本年度ゴールデングローブ賞ミュージカル・コメディ部門で作品賞を受賞した全米大ヒットコメディ『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』の公開記念イベントが22日、都内のバーで行われ、歌手で芸能界屈指の酒豪としても知られる山本譲二が登場。ワインを飲みながら数々の“伝説”を披露した。若い女性と兄弟盃!本作は、結婚式を2日後に控えた新郎が、悪友、花嫁の弟とともに独身最後の夜を楽しむ“バチェラーパーティ”で大騒ぎしまくったことから始まる爆笑コメディ。セクシーな美女二人とともに、会場入りした山本は「言葉は通じないが、愛に国境はない」と早速美女にアプローチ。実は本番前に、すでに酒を口にしており、早くもご機嫌な様子だった。二日酔い(ハングオーバー)が災難のもととなる本作の内容については「酒好きの人間にしてみれば、これだけハチャメチャやってみたいなって憧れはありますね」と感想を語った。芸能界で幅広い交友関係をもつ山本は、ハウンドドッグの大友康平と酒を交わした際、大友がカラオケで熱唱した『みちのくひとり旅』に感動したといい、「ついにはめていた指輪をあげちゃった。すんごい高いやつだよ」。一方、大友はその指輪をはめた写真をCDジャケットに使用したそうで、山本も「男気を感じちゃったよ」とほろ酔い顔を緩めた。ほかにも、酒で酔っ払ったせいで浮気がバレたり、朝目が覚めたら、財布がすっからかんだったりといった失敗談を明かした。また、集まった来場者からも酒での失敗エピソードを募集し、“酔っ払いNo.1”を選出。「朝気づいたら、全裸で手におにぎりを握っていた」という女性が選ばれ、“ハングオーバー賞”として、山本と兄弟盃を交わした。「普通、兄弟盃って男同士だろ」と照れる山本も、相手が若い女性とあって、表情はデレデレ。酒好きな山本にとっては、最高のイベントになったようだ。『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』7月3日(土)より、シネセゾン渋谷ほか全国順次ロードショー
2010年06月23日東京・渋谷区ほかで開催されていたショートフィルムの祭典「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2010」のアワードセレモニーが6月20日(日)、東京・渋谷区の明治神宮内神宮会館で行われ、コンペティション対象作品31か国62作品からグランプリにオランダ作品「Vera/ミュージアムとショコラ」を選出し、閉幕した。本作は、インターナショナル部門の優秀賞とW受賞で、グランプリ作品の副賞として、来年の米国アカデミー賞短編部門ノミネートの候補作品に加えられる。コンペ対象のインターナショナルのほか、アジアインターナショナル部門、ジャパン部門の3部門からそれぞれ優秀賞1作が選出されるが、今回、ジャパン部門の優秀賞は2005年の創設以来初めて「該当作品なし」とされ、特別に奨励賞が設けられ、「A Sweet chamber music/家族のしらべ」(山本亜希監督)が選ばれた。W受賞のトマス・コルタレス・アルテス監督は帰国しており欠席。代わって出席した主演でベルギー出身の女優、ビェン・ペ・モアーは「人生は本当に驚くことが起こるものだわ。昨日の夕方、初めての日本に着いたばかりですが、美しく温かい日本が大好きになりました」と興奮気味。コンペの公式審査員5人のうちのひとり、女優の桃井かおりは「音楽でも文学でも表現できないから映画があるんだと再認識させてくれた作品。(主演)女優の肌触りで感情が分かる・かなりいい!」と大絶賛した。一方で桃井さんは今回のジャパン部門について「もっと粗雑で勇気のある日本人クリエイターを育てたい。今回出品した人は、リベンジってあるから、冗談じゃねぇ、という気持ちで来年また挑んでもらいたい」と出品者たちを辛口激励。同じく審査員のひとり、行定勲監督も「今回、日本の作品はちょっと落ちる。突破口を開く作品に出会いたい」と話した。審査員はほかにフリーアナウンサーの草野仁ら。受賞作品は6月23日(水)から8月15日(日)まで、横浜市西区のブリリア ショートショート シアターで上映される。(photo/text:Yoko Saito)シネマカフェ「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2010」特集公式サイト:■関連作品:ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2010 [映画祭] 2010年6月10日から6月20日までラフォーレ ミュージアム原宿ほかにて開催■関連記事:ミュージックビデオの雄・園田俊郎ゴスペラーズ5曲に苦戦?韓国ミュージックビデオの巨匠撮ってみたいのは「蒼井優!上野樹里!」猫ひろしTシャツ&短パンのファッションポリシーは「ホットドック・プレス」青山真治監督自作短編音楽を「由美かおるさん、秋山さんに演奏してほしい」“エロ男爵”沢村一樹「ショートショート」オープニングでも奔放トークを炸裂!
2010年06月20日全米で驚異的なヒットを記録し、本年度のゴールデン・グローブ作品賞を受賞したコメディ映画『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』が、現地時間6日に行われた映画賞「MTVムービーアワード2010」で、最優秀コメディ・パフォーマンス賞と最優秀WTF(What the fuck)賞の2冠に輝いた。その他の写真『ハングオーバー!…』は、結婚式を2日後に控えた新郎が、悪友、花嫁の弟とともに独身最後の夜を楽しむ“バチェラーパーティ”で大騒ぎしまくったことから始まる爆笑コメディ。「MTVムービーアワード」は、1992年よりスタートしたMTV主催の映画賞。各賞がMTV視聴者の投票によって決められるのが特徴で、花嫁の弟役を務めたザック・ガリフィアナキスが受賞した「最優秀コメディ・パフォーマンス賞」は過去にジョニー・デップ、ジム・キャリーら大物俳優たちが受賞者に名を連ねてきた部門だ。今年も『ナイト ミュージアム2』のベン・スティラー、『あなたは私の婿になる』のサンドラ・ブロックらスター俳優がノミネートされていたが、映画ファンは無名の俳優、ガリフィアナキスを“コメディ演技のスペシャリスト”に選んだ。また、ケン・チョウが受賞した「最優秀WTF(What the fuck)賞」は、観客に“(直訳できないので意訳すると)とんでもない衝撃”を与えた俳優に送られる部門。本作でチャイニーズマフィアを演じている彼が、果たして劇中でどんな“衝撃”を与えてくれるのかも注目だ。『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』7月3日(土)より、シネセゾン渋谷ほか全国順次ロードショー
2010年06月10日モード界のアカデミー賞とも言われるアメリカファッション協議会(CFDA)賞の授賞式が7日、ニューヨークのリンカーン・センターで開催され、サラ・ジェシカ・パーカーが故アレキサンダー・マックイーンに贈られたCFDA理事会特別賞のプレゼンターを務めた。2月に自ら命を絶ったマックイーンはサラ・ジェシカのお気に入りデザイナーで、プライベートでも愛用していた。2人は親交があり、2003年のメトロポリタン博物館のガラ・パーティにお揃いのキルト着用で出席したこともある。サラ・ジェシカは故人のアシスタントだったサラ・バートンが引き継いだ「アレキサンダー・マックイーン」2010年プレフォール・コレクションのドレスを着てステージに登場すると、「この場に立つことは光栄であると同時に、非常に残念でもあります」と複雑な心情を吐露しつつ、マックイーンの功績を讃え、「彼が次にどんなことをするのか、見たかった」と故人を偲んだ。会場にはグウィネス・パルトロー、ジェシカ・ビール、レイチェル・ワイズらの姿もあり、『プラダを着た悪魔』でメリル・ストリープが演じた編集長のモデルと言われ、自らのドキュメンタリー映画『ファッションが教えてくれること』もある「VOGUE」誌のアナ・ウィンターも功労賞(受賞者:マイケル・コース)のプレゼンターとして登場した。(text:Yuki Tominaga)写真は先日の来日時の『セックス・アンド・ザ・シティ2』ジャパン・プレミア。■関連作品:セックス・アンド・ザ・シティ2 2010年6月4日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2010 New Line Productions, Inc. and Home Box Office, Inc.■関連記事:サラ・ジェシカに演じてほしい役を投稿!『噂のモーガン夫妻』Tシャツを3名様にプレゼントクリスティンの独占メッセージも!『SATC2』プレミアの興奮を動画でお届けIKKO、にしおかすみこらが“和製『SATC』”に!「思い込みでOK」サラ・ジェシカ絶叫「We Love Love Love Love You!」にファン3千人も熱狂『SATC』4人が日本で揃い踏み!サラ・ジェシカの劇中のお気に入り衣裳は?
2010年06月09日MTVムービー・アワードの授賞式が6日、ユニバーサル・シティのギブソン・アンフィシアターで行われ、『ニュームーン/トワイライト・サーガ』が作品賞、男優賞、女優賞など5部門を制覇した。だが、この日一番の人気者は何といっても、功労賞にあたるジェネレーション・アワードを受賞したサンドラ・ブロックだった。前日に行われたケーブルTV「Spike TV」主催のガイズ・チョイス・アワードにもサプライズ出席し、観客を喜ばせたサンドラは、夫のジェシー・ジェームズと破局を迎えて以来、この日が初めてのTV生放送の出演だった。映画産業への多大な貢献を表彰する賞のプレゼンターには、ラズベリー賞受賞作『All About Steve』(原題)で共演したブラッドリー・クーパー、『あなたは私の婿になる』で共演したベティ・ホワイト、そして同作でサンドラの相手役を演じたライアン・レイノルズの実生活の妻であるスカーレット・ヨハンソンが務めた。受賞スピーチ中にサンドラはスカーレットに向かって「どうしてここにいるの?」と質問。スカーレットは夫の代理であることを白状すると、劇中でのサンドラと夫のキス・シーンを褒めながらサンドラに歩み寄り、サンドラもスカーレットに近づくと突然熱いキスを交わし、観客席は騒然!夫の浮気による離婚騒動の渦中にあるサンドラが、共演男優の妻とイタズラ心を発揮したこのサプライズに、スタンディング・オベーションが起きた。最後に「ノーマルに戻すわよ」と前置きして、メキシコ湾で起きている原油流出事故で被害を受けている人々へ祈りを捧げるよう、観客に訴えていた。(text:Yuki Tominaga)© REUTERS/AFLO■関連作品:ニュームーン/トワイライト・サーガ 2009年11月28日より全国にて公開© 2009 SUMMIT ENTERTAINMENT, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.あなたは私の婿になる 2009年10月16日より全国にて公開© Touchstone Pictures, Inc. All Rights Reserved.■関連記事:『ハリポタ』シリーズのジニーが『ニュームーン』のヴァンパイアと婚約!『トワイライト』最新作『エクリプス』のメイキング映像が到着!三角関係混迷?シネマカフェ的海外ドラマvol.145もうすぐ新学期!オススメ学園ドラマ最終回ザックにマイリー、『トワイライト』コンビも!アカデミー賞プレゼンター追加発表女上司と年下部下が織り成す痛快ラブコメ『あなたは私のムコになる』試写会に30組60名様ご招待
2010年06月08日『ドニー・ダーコ』で一躍、注目を浴び、『ブロークバック・マウンテン』では英国アカデミー賞受賞および本家オスカーノミネート、甘いマスクで人気を博しつつ、確実に“演技派”としての地位を固めてきたジェイク・ギレンホールが、これまでのイメージを一新、アクション・ヒーローを演じたのが『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』。新境地を呼ぶにふさわしいペルシャの“王子様”をどのような思いで演じたのか?ジェイクに話を聞いた。30代を前に、ついに(?)“アクション・ヒーロー”という分野に足を踏み入れたジェイク。彼は、これまでの自身のキャリアをふり返りつつ、ユーモアを交えてこう語る。「僕がこれまでに出演してきた作品を並べてみれば、一貫性がほとんどないことに気づくと思うよ。一貫性がないということに関しては一貫性があるけどね(笑)。ワイオミングで2人の羊飼いの男が恋に落ちることを描いた微妙な作品(※『ブロークバック・マウンテン』)でも、『プリンス・オブ・ペルシャ』のようなアクション映画でも、最高の仕事をできるという自信を与えてくれる人々によって作られた作品であることに変わりはないんだ。最終的には観客に満足してもらうことに尽きるしね。僕たちが今回大々的な娯楽映画を作った理由もそこにあるんだ」。さらに、ヒーローを演じることの魅力についてはこんなことを…。「悪者と戦って、ヒロインにキスして、たいていは最後に勝つよね。それが魅力さ(笑)。僕にとって、この役を演じることの魅力は、8歳の子供みたいな自分の一面を満たすことだった。そういう役はまだ演じたことがなかったからね。『マイ・ブラザー』や『ジャーヘッド』、『ブロークバック・マウンテン』は、8歳にはふさわしくない作品だから(笑)。この作品は自分のそういう一面を追求するいいチャンスだったんだ。僕は、自分のことを真剣に受け止めるのにうんざりしていたからね」。本作のプロデューサーを務めたのは、ハリウッドきっての“剛腕”ジェリー・ブラッカイマー。ジェイクは、自身が演じたダスタン王子の役作りについての、ブラッカイマーとのこんなやり取りを明かしてくれた。「彼に『この役に関して、僕が考えていることがある』と言ったら、『いいよ、どんなことだ?』って。そこで『ロングヘアにすべきだと思います』って答えたんだ。すると彼は『全く構わないよ。ニコラス・ケイジが出てる僕の映画(『コン・エアー』※ニコラスは長髪で出演)を観ただろう?』って言ってくれたよ。だから、最初のプロセスは半年かけて髪を伸ばすことだった。シャンプーとコンディショナーを使った徹底的な管理が必要だったよ。秘訣はツーインワンじゃなくて、シャンプーとコンディショナーを(別々に)使うことだったなんてね…(笑)」。もちろん、髪型だけでなく、アクションの練習も事前にかなり行っている。「僕は普段から活動的だから、この映画の準備としてやったトレーニングも、撮影でのアクションも心から楽しんだよ。TVゲーム版の『プリンス・オブ・ペルシャ』の僕のキャラクターが壁を歩けることを知って、これは絶対にパルクール(※自身の肉体だけで、障害を飛び越えたり、壁を乗り越えたりするスポーツ)を習得しなければいけないと悟った。パルクールの創始者のデヴィッド・ベルに訓練してもらえたことは幸運だったね。壁を歩いたり、屋根から安全に飛び降りたりする方法を教えてもらえたんだ。特殊効果ではなく、本当にやっているんだよ!」では、一番のお気に入りのシーンは?「アソカ(ダスタン王子の2番目の兄)と戦ったシーンだね。アソカが馬で僕を追ってくる。彼は槍を手に、僕に向かって馬を走らせる。僕は走って逃げるけれど、その差はどんどん縮まる。そしてトンネルに駆け込む。そのトンネルから出てきた僕は、壁を駆け上がってアソカを馬から引きずり降ろすんだ。パルクールをかっこよく効果的に使えたシーンだよ」。その一方で、ジェイクが「一番恐怖を感じた」というのがダチョウとの共演シーン。その過酷な内容とは?「本当に性格の悪い鳥だね。しかも、ものすごく危険なんだ!くちばしで人を殺すことも、爪で顔を引き裂くことも出来る。その上デカい!人を踏み潰すこともできる。僕がダチョウ・レースのど真ん中に入り込んでしまうシーンがあるんだけれど、8羽のダチョウに追われて、文字通り生死を賭けて逃げたよ」。砂漠での撮影では「スーパーボウルの試合のようにみんな、ゲータレードを手に歩き、笑えるほど水分を補給した」とのことだが、モロッコでの撮影や食べ物については「大好きだよ。(伝統的な)タジン料理ばかり食べてたんだ。僕の健康の秘訣さ!」と笑顔を見せた。では最後に一問。映画は“運命”について描いているが、ジェイク自身は運命論者?「年齢を重ねるごとに、少しずつ運命を信じるようになってきたよ。若い頃は、それほど長く人生を送ってきたわけではないから、いまほど過去を尊重することもなかった。自分の過去の経験を活かすことができるようになって初めて、人には運命のようなものがあるに違いないと思えるようになってきたんだ。それを自分で選ぶことができるのかどうか、そこまでは分からないけれどね」。© Nozu Chiaki■関連作品:プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂 2010年5月28日より全国にて公開© Disney Enterprises, Inc. and Jerry Bruckheimer, Inc. All rights reserved.■関連記事:「ルイ・ヴィトン」ロンドン旗艦店オープニングに、大胆衣裳のグウィネスらが出席禁断の力は誰の手に『プリンス・オブ・ペルシャ』オリジナルノートを3名様プレゼントジェイク・ギレンホール、“時間の砂”で世界中のワールドプレミアに出席!砂よ―時間を巻き戻せ!『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』試写会に10組20名様をご招待
2010年05月28日今年のアカデミー賞で主演男優賞と主題歌賞の2冠に輝いた『クレイジー・ハート』で、カントリーシンガーの主人公を演じたジェフ・ブリッジスが、酒場で熱唱するシーンの本編映像が到着した。落ちぶれたカントリーシンガーが、ひとりの女性との出会いをきっかけに立ち直っていく姿を描き、ジェフに悲願のオスカーをもたらした本作。今回到着した映像は、ジェフ演じるバッドが、アップテンポな楽曲「I Don’t Know」をノリノリで歌うシーン。ギターをかき鳴らして気持ち良さそうに歌ったかと思えば、間奏中に酒場の客のところの駆け寄りダンスをしながら「あんたを愛してるよ」と告白(!)。かと思えばまた慌しくマイクのところに戻ってギターを抱えて熱唱、と何とも楽しい空気が伝わってくる。物語を伝える上での“魂”とも言える音楽を担当したのは、映画音楽の巨匠、T=ボーン・バーネット。彼は、古くからの友人のギタリストで、音楽プロデューサーでもあるスティーヴン・ブルトンをこの仕事に誘う。ブルトンは残念ながら映画の完成を前に、ガンでこの世を去ったが、この「I Don’t Know」をはじめ、劇中のほとんどの曲は2人の共作によるものである。映画を観る前にまずはこの映像で、本作の音楽が伝えてくれる“温かみ”をたっぷり感じてみては?『クレイジー・ハート』は6月12日(土)よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開。※こちらの特別映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:クレイジー・ハート 2010年6月12日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開© 2009 Twentieth Century Fox■関連記事:アカデミー賞2部門受賞『クレイジー・ハート』独占試写会に25組50名様ご招待アカデミー賞総括!時代を切り拓く女たちの美しき勝利【アカデミー賞】ファッションチェック!〜ブルー&パープル編〜【アカデミー賞】主演男優賞は“最も過小評価されている俳優”ジェフ・ブリッジスオスカー主演男優賞のゆくえクルーニー&フリーマンの戴冠阻むは“過小評価の男”?
2010年05月26日23日夜、第63回カンヌ国際映画祭の授賞式が行われ、タイのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督の『Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives(前世を思い出せるブンミおじさん)』が最高賞パルムドールに輝いた。映画は、病気で死期を悟ったブンミおじさんの元を、死んだ妻や、猿人間になった息子が訪れたり、ナマズがしゃべったりと独特の表現で輪廻転生を描いた、スピリチュアルな作品。監督は「受賞は、タイの精霊と幽霊、そして30年前に小さな映画館に連れていってくれた両親のおかげ」と語った。審査委員長ティム・バートンは「いままでに観たことがない映画で、驚いた」と語り、審査員の一人、ベニチオ・デル・トロは「カンヌでは毎日、映画を何本も観て、パーティをはしごしていたので、この映画を観たときは、ちょっと申し訳ない気分になったよ」と感想を述べた。日本の北野武監督の『アウトレイジ』は受賞を逃し、また、下馬評で一番人気だった英国のマイク・リーの『Another Year』も無冠に終わった。サプライズは、男優賞がスペインのハビエル・バルデムと、イタリアのエリオ・ジェルマーノの同時受賞となったこと。バルデムは授賞式で「最愛のパートナー、ペネロペ・クルスに捧げます」と会場にいた恋人ペネロペ・クルスに投げキッス。ペネロペは涙を流し、隣にいたバルデムの母親と手を取り合う姿が印象的だった。また、セクシーで生命感あふれる『On Tour』で、監督賞を受賞した『007/慰めの報酬』などの人気俳優マチュー・アマルリックは、共演のバーレスク・ダンサーたちを壇上にあげて、感謝の意を示していた。また、監督賞に輝いたことについて「僕が助監督など裏方で勉強していたことを知っている審査員もいたのでしょう。感謝します」と語った。以下、主な受賞結果。パルムドール『Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives』(アピチャッポン・ウィーラセタクン監督)グランプリ『Of Gods and Men』(グザヴィエ・ボーヴォワ監督)監督賞マチュー・アマルリック(『On Tour』)男優賞ハビエル・バルデム(『Biutiful』)エリオ・ジェルマーノ(『Our Life』)女優賞ジュリエット・ビノシュ(『Certified Copy』)脚本賞イ・チャンドン(『Poetry』)審査員賞マハマット・サレー・ハルーン(『A Screaming Man』)カメラドール(新人賞)『ANO BISIESTO』(原題/マイケル・ロウ監督)(photo/text:Ayako Ishizu)第63回カンヌ国際映画祭 現地レポート■関連作品:第63回カンヌ国際映画祭 [映画祭] 2010年5月12日開幕© Brigitte Lacombe – ad design graphiqueアウトレイジ 2010年6月12日より丸の内ルーブルほか全国にて公開© 2010『アウトレイジ』製作委員会■関連記事:映画祭開催中のカンヌで、豪華セレブが集うエイズ研究チャリティ・ガラ開催【カンヌレポート 番外編】ファッションで見るカンヌ!ベストドレッサーは誰?【カンヌレポート 06】ディエゴ・ルナ初監督作にカンヌっ子拍手!雨の日に観たい映画ランキング大発表!1位はあのミュージカルの傑作【カンヌレポート 05】パルムドールのゆくえ…現地評価&T・バートンの選択は?
2010年05月24日各賞が発表され、まもなく幕を閉じるカンヌ国際映画祭。オープニング作品『ロビン・フッド』を皮切りに、数々の話題作が上映されてきたが、もちろん映画祭の見どころは作品のみにあらず。レッドカーペットや公式上映、そして各所で開催されたパーティに人気の俳優、女優たちが着飾った姿で登場し、カンヌっ子たちの歓声を浴びていた。ここでは写真と共に、祭典を彩った女優、俳優たちをご紹介!『ロビン・フッド』の公式会見にラッセル・クロウらと共に出席したケイト・ブランシェットは開幕の夜、オープニングディナーに姿を現した。黒地に鳥の模様が豪快に描かれたドレスで、手にはRoger Vivierのバッグを手に、あいにくの雨模様の中でも笑顔を見せていた(上写真)。同日の『ロビン・フッド』のプレミアにはサルマ・ハエックもGucciで身をかためて登場!同じくGucciのドレスで出演作『You Will Meet A Tall Dark Stranger』(原題)のレッドカーペットに姿を現したのはナオミ・ワッツ。薄いピンク色のドレスで、ウディ・アレン監督と共にカーペットを歩き観客を魅了した。Gucciといえば、マーティン・スコセッシ監督が率いる財団「THE FILM FOUNDATION」を支援しており、名作の修復活動に力を注いでいる。映画祭ではかつてパルムドールを受賞した『山猫』のデジタル復元版が上映され、同作に出演するアラン・ドロン、クラウディア・カルディナーレも姿を見せ会場をわかせた。その後のVanity Fairとの記念パーティにはジェニファー・ロペス、ナオミ・キャンベル、ケイト・ベッキンセールらの姿も。もちろん、Gucci以外のブランドもズラリ。中国人女優ファン・ビンビン、そしてカミーラ・ベルはCartierの宝石を身につけて『ロビン・フッド』や『山猫』のプレミアに出席した。先述のウディ・アレン監督作のプレミアにEmilo Pucciのドレスで登場したのは香港出身のスター、ミシェル・ヨー。男優では、映画祭審査委員に名を連ねるベニチオ・デルトロも『山猫』プレミアに姿を見せていた。さて、あなたが選ぶ今年のカンヌのベストドレッサーは?第63回カンヌ国際映画祭 現地レポート© Venturelli/WireImage.com■関連作品:第63回カンヌ国際映画祭 [映画祭] 2010年5月12日開幕© Brigitte Lacombe – ad design graphiqueロビン・フッド (2010) 2010年12月、全国にて公開■関連記事:【カンヌレポート 06】ディエゴ・ルナ初監督作にカンヌっ子拍手!雨の日に観たい映画ランキング大発表!1位はあのミュージカルの傑作【カンヌレポート 05】パルムドールのゆくえ…現地評価&T・バートンの選択は?審問に出廷しなかったリンジー・ローハンに逮捕状発布【カンヌレポート 04】たけし、批評家の採点は辛口も観客からは5分の拍手の嵐
2010年05月23日ウディ・アレンが、今年もカンヌを大いに沸かせた。本国アメリカのアカデミー賞にもめったに現れないアレンだが、カンヌには毎年のように登場。今年も新作『You Will Meet A Tall Dark Stranger』(原題)がコンペティション外の招待作品に選ばれ、主演のナオミ・ワッツ、ジョシュ・ブローリンらと共にカンヌ入りした。『You Will Meet A Tall Dark Stranger』は、ロンドンを舞台に60代で離婚した両親と、その娘と作家志望のダメ夫がそれぞれ繰り広げる恋愛騒動を描いたコメディ。再婚した若い妻に嫉妬する父親をアンソニー・ホプキンスが演じ、ウディ自身は今回は監督、脚本業に専念している。公式会見で出演をしなかった理由について「もうこの年じゃ、ロマンティック・コメディの主人公は出来ないよ。僕は映画に出るなら、女の子にモテる役じゃなきゃ嫌なんだ。ほかの男に恋人を取られる老人役なんて、やりたくないんだよ」と語り、会場を爆笑させた。また、同じくカンヌに参加している、101才の監督マノエル・ド・オリヴェイラが「人生で確実な意味を持つのは、死だけだ」と言ったことに関して感想を聞かれると「100年以上生きている人はさすがだ。100パーセント賛成…しないね」と、74歳でまだまだ意気盛んなところを見せていた。(photo/text:Ayako Ishizu)第63回カンヌ国際映画祭 現地レポート■関連作品:第63回カンヌ国際映画祭 [映画祭] 2010年5月12日開幕© Brigitte Lacombe – ad design graphique■関連記事:【カンヌレポート 02】『ウォール・ストリート』シャイア&キャリー揃って登場成海璃子カンヌで“最後の”書道パフォーマンスを披露することが決定!【カンヌレポート 01】『ロビン・フッド』で開幕!会見でケイトがR・クロウに質問
2010年05月18日かのティム・バートンをして「これまでの人生で見た映像の中で、最高の11分間だった」と言わしめた短編アニメーション『9』。2005年のアカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされた、若き天才、シェーン・アッカーの手による本作の世界観やキャラクター造型の魅力に惚れ込んだティムは、すぐさま長編映画化を決意。ティム自らプロデューサーを務め、アッカーによって5年の歳月をかけて長編化された。こうして長編として生まれ変わった『9(ナイン)〜9番目の奇妙な人形〜』がまもなく日本で公開を迎えるが、その生みの親シェーン・アッカーからシネマカフェに向けて動画メッセージが到着した。人類滅亡後の未来。遺された9体の奇妙な人形たちが、自分たちは何者なのかを探す戦い、旅が描かれた本作。アッカー監督はまず、覚えたての日本語を操り挨拶。さらに作品の見どころについて語ってくれた。バートンをも驚嘆させたというのも納得!独特の世界観とストーリーにひき込まれていくこと間違いなし。イライジャ・ウッド、ジェニファー・コネリー、クリストファー・プラマーといった豪華な顔ぶれが声優を務めている点も注目の『9(ナイン)〜9番目の奇妙な人形〜』は5月8日(土)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。※こちらの特別映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:9(ナイン)〜9番目の奇妙な人形〜 2010年5月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2009 Focus Features LLC. All Rights Reserved■関連記事:T・バートンも惚れ込んだ『9 〜9番目の奇妙な人形〜』試写会に10組20名様ご招待
2010年05月07日演技経験ゼロの新人が主演に抜擢され、さらにアカデミー賞にノミネート。無名だったガボレイ・シディベの名は瞬く間に世界へ広まった。受賞は逃したものの、サンドラ・ブロック(受賞)やメリル・ストリープ、ヘレン・ミレンといった大物女優たちと肩を並べ、同じステージに立ったことは事実だ。虐待、家族、絆、愛……様々なテーマが盛り込まれているこの『プレシャス』で、16歳の主人公クレアリース・“プレシャス”・ジョーンズを演じた27歳の新人女優ガボレイ・シディベとは一体どんな人物なのか──。彗星のごとく映画界に現れ、いま世界中から熱い視線を浴びているガボレイだが、『プレシャス』と巡り会わなければ女優という職業に就くことはなかった。「人生って面白いわ!」と笑い、自分の人生の岐路をふり返る。「私は女優を目指していたわけではないの。かといってこの映画に関わる前はこれといった具体的な夢があったわけではなくて…だからカオスに身を任せようって思った。でも、これからは女優業を続けていきたいと考えているわ。そう思えたのは、今回の映画の現場が楽しくて仕方なかったから。自分はこんなことができるの?って、想像もしなかった自分を見ることができて、今後、自分がどんなことができるのか楽しみで仕方ないのよ」。16歳で2度目の妊娠、しかもお腹の子の父親は自分の父。実の母からは毒づかれ、学校ではいじめられる日々。誰が見てもプレシャスの人生はどん底だ。けれど彼女はそんな過酷な環境の中、自分の手で幸せを見つけようとする。ガボレイも「流れに身を任せた」とはいえ、女優としての一歩は彼女自身の手でつかみ取ったチャンスにほかならない。だが、大学で心理学を学びながら電話オペレーターの仕事をしていた彼女は「この役のための演技指導は一切受けていないの」と意外な事実を口にする。それでは、あの感情揺さぶる演技はどうやって生み出されたのだろう。「大学の芝居にほんの少し出た経験はあるけれど、演技を学んだことはないの。だから、プレシャスを演じることがどれほど大ごとなのか正直、理解していなかった。もちろん、この作品への出演が決まったときは興奮したわ。演技経験はなくても、いい脚本だと思ったし、プレシャスという役にシンパシーを感じることもできた。むしろ演技経験ゼロだったからこそ、彼女が誰であって、自分が誰であるのかをしっかり考えることができ、キャラクターに埋没しなかったのかもしれないわね」。続けて、プレシャスが胸にためていた想いを涙とともに吐き出すシーンや、母メアリーと緊張に満ちた喧嘩シーン、高い演技力が必要とされるシーンについて聞いてみた。「ひとりの人間としてプレシャスにシンパシーを感じることで彼女を演じることができたわ。涙のシーンは彼女のため、彼女を想って泣いていたの。母親との喧嘩する演技は楽しかったのよ!怒りを強く出した方がいいシーンになると思ったし、何よりも母親役のモニークはコメディアンだから、すごくやりやすかった。カットがかかるたびに2人で笑い合ってハグし合っていたもの。ただ、ソファに押し倒されるシーンで肘掛けのところにお尻をぶつけるという、痛いパプニングはあったわ(笑)」。ベテランのコメディエンヌ相手に堂々たる演技、やはり本物の女優である証しだ。また、プレシャスを支えるキーマンとしてマライア・キャリー、レニー・クラヴィッツといった音楽界のヒットメイカーたちが名を連ねているが、「全然、緊張しなかったわ!」と、大胆発言。「だって、いまはアメリカでは私の方が人気があるのよ!彼らの方が緊張していたと思うわ(笑)。でも、友達からはとても羨ましがられたのは事実ね(笑)」。演技の才能だけではない、ユーモアも持ち合わせている才女だ。素人目にも彼女が今後スターダムを上っていく姿が目に浮かぶ。そして、この日のガボレイの衣裳はプレシャスのコーディネートと似ている?もしや衣裳やヘアメイクにも自分自身の意見が反映されている?「そうなの!衣裳合わせでスタッフの人たちが次々とプレシャスの衣裳を持ってくるんだけれど、監督はなかなかOKを出さなくて。いつまで経っても決まらないから、自分の服に着替えて帰ろうとしたの。そうしたら監督が私の私服を見て『それがいい!』って(笑)。だからプレシャスの衣裳はほとんど私服を使っているのよ。メイクも髪型も私のアイディア。オーディションを受けたときはポニーテールで前髪パッツンでヘアバンドもしていて、それが当時のマイルックだったの。それから、実はワンシーンだけ監督もしたのよ!赤ちゃんにお乳をあげているシーンがそう。アカデミー賞はどうして私に監督賞をくれなかったのかしら(笑)」。様々な才能を秘めた新人女優ガボレイ・シディベのこれからの活躍が何とも楽しみではあるが、まずは『プレシャス』で彼女の圧倒的存在感を確かめてほしい。(text:Rie Shintani)■関連作品:プレシャス 2010年4月24日よりシネマライズほか全国にて公開© PUSH PICTURES, LLC■関連記事:シンデレラガール“プレシャス”ガボレイ・シディベ来日!「コンビニ行ってみたい」主演ガボレイ・シディベ舞台挨拶付き『プレシャス』女性限定試写会に40組80名様ご招待アカデミー賞総括!時代を切り拓く女たちの美しき勝利【アカデミー賞】助演女優賞は『プレシャス』のモニーク!NAACP(全国有色人種向上協会)イメージ・アワードで『プレシャス』6冠!
2010年04月22日アカデミー賞4冠に輝いた『ノーカントリー』の原作者、コーマック・マッカーシーのピューリッツァー賞受賞作品を映画化した『ザ・ロード』のこの夏の公開が決定、あわせて本作のポスター画像が解禁となった。物語の舞台は文明が失われて10年が経ち、太陽もなく寒冷化が進み、動植物が死滅した世界。そんな荒廃した地で、道なき道を南へと進む父と子のドラマが綴られる。主人公の父親を演じるのは日本でも多くのファンを持つヴィゴ・モーテンセン。息子役は注目の子役、コディ・スミット=マクフィー。さらに、回想シーンで登場する主人公の妻役としてシャーリーズ・セロンが出演するほか、ロバート・デュヴァル、ガイ・ピアースといった名優が脇を固める。2人に常に付きまとう死の匂い。それでも父は、幼い息子に在りし日の世界や道徳観を説き、“善き者”であろうと心掛ける。人類最後の火を掲げ、終わってしまった世界を旅する2人が行き着くのは――?『ザ・ロード』は今夏、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開。■関連作品:ザ・ロード 2010年夏、TOHOシネマズ シャンテシネほか全国順次公開
2010年04月20日とにかく、すこぶる評判が良い『17歳の肖像』。主演の新星、キャリー・マリガンが本年度のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、さらには作品賞、脚色賞にも選ばれているということは、キャスティングが良く、脚本が素晴らしく、作品としての総合評価ももちろん高いという、バランスの取れた秀作であるということの証明でもあります。脚色したのが、『ぼくのプレミア・ライフ』『アバウト・ア・ボーイ』『ハイ・フィデリティ』の作家ニック・ホーンビィで、監督が世界を大いに泣いて笑わらせた『幸せになるためのイタリア語講座』のロネ・シェルフィグですから、外すはずもありませんよね。少女時代の揺らぎをとても丁寧に、大人から見れば痛いくらいに懐かしく描いているこの作品、青春物語というよりは人生ドラマ。大人に憧れる世間知らずの少女が、現実世界へと入っていく覚悟を決めるまでを緻密に描写しながら、大人たちがもつ大人特有の“スレ”を密かに皮肉る。ピーター・サースガード演じる上っ面のいい大人、ヒロインの両親のように善良だけれど無神経でだまされやすい大人、知的だけれど頭の固い教師陣など、早熟で知識欲いっぱいのヒロインを取り巻く大人のタイプもいろいろです。その人々に囲まれて、それぞれから少しずつ何かを得ながら、理想と現実の違いを学び、成長していく主人公。観客に、ヒロインは何て無謀なんだ、そんな行動は若気の至りだ、と思わせつつ、それでも彼女の成長を応援させてくれる。そんなストレートな語り口に、非常に好感が持てる作品でした。作品の出来もさることながら、60年の頃のイギリスを映したファッションも魅力のひとつ。親では決して教えてくれない刺激的な魅惑の世界を、手取り足取り教えてくれる年上の異性への憧れと夢、そして現実の中で揺れ動く少女の心を、ファッションを使って描き出しました。制服を脱ぎ捨て、大人びたワンピース×スカーフ×ハイヒール×ハンドバッグを身につけるヒロインは、まだ大人のファッションがしっくりくるわけではありませんが、なんとか大人のフリをしようとする背伸び具合に、女性なら誰しも昔の自分を思い出すのではないでしょうか。一所懸命に、ブラウス×タイトスカート×アップスタイルのヘアなどを自分のものにしようとする少女を、瑞々しい知性を感じさせつつ演じたキャリー・マリガンは本当に素敵。アカデミー賞ノミネートも頷けます。でも白状すると、私がより気になったのは、脇を固めたロザムンド・パイクの方。ロザムンドが演じているのは、年下のヒロインに、美しくなるためには何を着るべきか教え、自分の服も惜しみなく譲る寛容で優しい女性ですが、賢いゆえに人生や教育、親に決められた将来に疑問を抱くヒロインとは対照的に、自分で考えるということをせず、地味なオックスフォード大学の女学生を見て、「進学なんかしなければ、綺麗でいられる」と本気で口にする教養も知性も感じられない美女。女性を美しくするものは、教養でも知識欲でもなく、いい男と素敵な服だと信じ込んでいるような人です。本当ならば、こんな女性は輝くはずもないのですが、ロザムンドが演じることで、憎めない、チャーミングなおとぼけ女性になっているのです。大人の女性なのに、表情がどこか幼稚で可愛らしいのですが、これも知性があまりないせいかも。実生活でも男性に寄り添って生きることに疑問を持たず、何でも恋人の言いなり。若く、美しいときはいいけれど、本作のヒロインが、後にジャーナリストとなって、この映画の原作を書く人物になったと考えると、古い価値観(当時は当たり前の価値観?)を持った彼女が、どうなったかも気になるところ。これほどまでに、演じた人物の行く末が心配になるなんて、やっぱりロザムンドの演技がなかなかだったせい?彼女自身は、舞台経験もあって、実際にオックスフォード大学で英文学を専攻した才女。才女が演じるおとぼけというのも、味があっていいものですよね。好きなおとぼけキャラクターといえば、ヒロインの同年代ボーイフレンド役を演じたマシュー・ビアード青年もとってもかわいい。初めてガールフレンド(=ヒロイン)の家にお呼ばれしたときの、すべてにおいて間の悪い様子など、私から見ればキュートな限りです。でも、ヒロインの両親、特に父親からしてみれば、ただの子供に見えたようで、娘の相手には不足といったところだったよう。損得ばかり考えるいんちきそうな大人よりも、ドン臭いけれど誠実な男子の方がいいのに、と思う私でしたが、それも人生をそれなりに経験してきたから思えることなのでしょう。もしかすると、ピーター・サースガード演じる大人代表と、マシュー演じる青年代表と、どちらに好感を抱くかで、“少女度”がわかるのかも。大人に憧れる少女たちは、迷わずオシリの青そうなマシューではなく、ピーターを選ぶことでしょう。でも、少女に憧れる(?)大人たちは、初々しいマシューを選ぶはず。ああ、人間ってないものねだり。「まずは、自分のまわりにあるものに感謝しましょう」とは、私の書道の師、武田双雲氏の言葉。がんばります!(text:June Makiguchi)キャリー・マリガン インタビュー■関連作品:17歳の肖像 2010年4月17日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開■関連記事:三船美佳7人家族願望吐露「父も『七人の侍』だったから」大人の世界の裏側にほろ苦い真実『17歳の肖像』鑑賞券を5組10名様プレゼント本命は誰?女優にモテモテの『ハート・ロッカー』主演男優【アカデミー賞】ファッションチェック!〜レッド&ブラック編〜キャリー・マリガン『17歳の肖像』インタビューオスカー候補24歳の素顔と成長
2010年04月16日今年のアカデミー賞戦で『ハート・ロッカー』ともども最多6部門で候補となり、さらに世界中の興行収入記録を塗り替えている『アバター』のジェームズ・キャメロン監督が12日、ブラジルのアマゾンに計画中のベロモンテ水力発電ダムの建設反対運動に参加した。首都ブラジリアで行われた運動には『アバター』や『エイリアン2』などキャメロン監督作に出演してきた長年の盟友、シガニー・ウィーバーも参加した。ダム建設と反対派の先住民が存在する様は、武器を手に侵略してきた人間と惑星パンドラの先住民ナヴィが戦うという『アバター』のストーリーをどこか彷彿とさせる。キャメロンはこの反対運動を「リアルライフ“アバター”バトル」と呼んでいる。サンフランシスコに拠点を置く環境保護団体「Amazon Watch」の運動家とともにブラジル入りしたキャメロン監督は、ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ・ブラジル大統領に建設中止を求めた。(text:Yuki Tominaga)写真はその前日、サンパウロで行われた『アバター』のブルーレイ&DVD発売記念イベントに出席した2人。© REUTERS/AFLO■関連作品:アバター 2009年12月23日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開© 2009 Twentieth Century Fox. All rights reserved■関連記事:『タイタンの戦い』サム・ワーシントンが語る“サムの小さな三部作”サム・ワーシントン来日!スターになっても「履いてるブーツは昔と同じ」超異例『アバター』ブルーレイが4月に早くも発売!キャメロン監督が鑑賞法を伝授『アリス』を抑え全米1位!“子供に見せたい”『ヒックとドラゴン』の最新映像到着【ハリウッドより愛をこめて】アカデミー賞の裏ドラマ!S・ペンは前妻めぐり退席?
2010年04月16日今年のアカデミーで助演女優賞と脚色賞の2部門に輝いた『プレシャス』に主演し、自らも主演女優賞にノミネートされたガボレイ・シディベが来日し、4月5日(月)に開催された本作の特別試写会の舞台挨拶に登壇した。本作は、80年代後半のニューヨーク・ハーレムを舞台に、幸福とは言えない境遇に育った少女・プレシャスがフリースクールへの通学をきっかけに学ぶことの幸せを知り、自分の人生を生きる一歩を踏み出していく姿を描いたドラマ。真っ赤なドレスに身を包み、大きな拍手で迎えられたギャビー(=ガボレイ)は、日本の印象を尋ねられ「まだ多くは見てないけど、コンビニに行ってみたいし自動販売機で何か買いたい。あと、原宿にも行きたいわ」と語った。演技経験がほとんどないところから、アカデミー賞ノミネートに至った彼女をめぐるシンデレラストーリーは、映画の内容ともあいまって注目を集めているが、本人は「この映画以前は大学生兼受付の仕事をしてたの。女優を目指していたわけでもなく、たまたま友人に教えられたオーディションに気まぐれで行ったんだけど、月曜日にオーディション受けて、水曜日には役をもらったのよ」とケロリとした表情。演技に関しても「ほとんど初めてのことだったけれど、難しいとは全く思わなかった」とこともなげに語ったが、オスカー授賞式への参加に関しては「この作品が一体どこに行きついたのか?という意味で、誇りに思える出来事だったしとっても幸せだったわ」と嬉しそうにふり返った。タイトルの“プレシャス(=貴重な、大切な)”に因んで、あなたにとってかけがえにないことは?という質問に「できるだけ、眠ることね」と愛嬌たっぷりに答えてくれたギャビー。今後も女優を続けるか?という問いには力強く頷き「コメディにもホラーにも出てみたいし、スーパーヒーローもやってみたいわね」と意欲を見せた。最後には用意された色紙に筆ペンで、練習してきたというカタカナで“プレシャス”と豪快に書き込んでくれたギャビー。贈呈された桜の花を手に観客と共に記念撮影に収まった。『プレシャス』は4月24日(土)よりシネマライズほか全国にて公開。■関連作品:プレシャス 2010年4月24日よりシネマライズほか全国にて公開© PUSH PICTURES, LLC 第82回アカデミー賞 [アワード]© Omelette/AMPAS■関連記事:主演ガボレイ・シディベ舞台挨拶付き『プレシャス』女性限定試写会に40組80名様ご招待オスカー女優のジンクス?K・ウィンスレットに続き、サンドラ・ブロックも夫と別居アナ・ケンドリック インタビュー “上司”ジョージ・クルーニーをおじさん呼ばわり?【シネマモード】今年のアカデミー賞を騒がせた、女王の“ドレス”とは?【ハリウッドより愛をこめて】アカデミー賞の裏ドラマ!S・ペンは前妻めぐり退席?
2010年04月06日今年のアカデミー賞において『インビクタス/負けざる者たち』で助演男優賞候補になったマット・デイモンのこれまでのキャリアを讃えて、アメリカン・シネマテーク・アワードが贈られることになり、授与式のガラ・パーティが27日、ロサンゼルスのビバリー・ヒルトン・ホテルで開催された。アメリカン・シネマテーク・アワードは、新人でも超ベテランでもなく、いま、まさに脂の乗った中堅のポジションにいる映画人が対象。『ボーン・アルティメイタム』などのアクションからドラマ、コメディまで幅広いジャンルの作品に出演し続けている近年のめざましい活躍が評価されたもの。会場には、マットの少年時代からの親友、ベン・アフレックと夫人のジェニファー・ガーナー、弟のケイシー・アフレック、シャーリーズ・セロン、ロビン・ウィリアムズ、ドン・チードル、グレッグ・キニアといった出演作の共演者たち、そして『インビクタス/負けざる者たち』のクリント・イーストウッド監督や最新作『グリーン・ゾーン』のポール・グリーングラス監督も、マットを祝福するために出席した。盟友ベンがプレゼンターを務め、賞を手渡されたマットは感激の面持ちだったが、共演者たちのお祝いスピーチはなぜかジョーク合戦に。「私とマットは2000年に『バガー・ヴァンスの伝説』でウィル・スミスと共演したけど、ウィルの出演作で大ヒットしなかったのはあの作品だけ。私と彼が組んだ『ハンコック』はうまく行ったんだけど…」とシャーリーズが言えば、ケイシーはマットと2人でプライベート旅行に出かけたときの面白写真を公開したり、とかなり自由なムードだった様子。仲良しのジョージ・クルーニー、ビル・クリントン元大統領からのメッセージも送られたこの日の模様は、アメリカのABCで来月放映を予定している。(text:Yuki Tominaga)© Rex Features/AFLO■関連作品:インビクタス/負けざる者たち 2010年2月5日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2009 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.グリーン・ゾーン 2010年5月14日よりTOHOシネマズスカラ座ほかにて公開© 2009 UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.■関連記事:オスカー主演男優賞のゆくえクルーニー&フリーマンの戴冠阻むは“過小評価の男”?モーガン・フリーマンの南アフリカ訪問の特別映像が到着!各地で熱狂的歓迎NAACP(全国有色人種向上協会)イメージ・アワードで『プレシャス』6冠!就活に効能アリ?『インビクタス』学生座談会で熱い意見続出【読者レビューをウォッチ】『アバター』旋風に負けず、邦画勢に高ポイント続々
2010年03月30日この映画を何と評すればいいのでしょう。豪華で煌びやかで、贅沢。それぞれ正しいのですが、こんな言葉を並べてもまだ何かが足りない、そんな気分だった『NINE ナイン』。ミュージカル版『オーシャンズ11』とでも言いましょうか、とにかくオールスターキャストなので、出てくる主要人物のすべてが主役級なのですから、もったいない限りです。しかも、主演のダニエル・デイ=ルイスはじめ、脇を固める美女軍団は、マリオン・コティヤール、ペネロペ・クルス、ケイト・ハドソン、ニコール・キッドマン、ジュディ・デンチ、ソフィア・ローレンと見事にオスカー絡みな人々。監督、製作、振付を行っているロブ・マーシャルだって、『シカゴ』を6部門のアカデミー賞に輝かせた凄腕ですからね。スタッフには、2年前に他界したオスカー監督、アンソニー・ミンゲラ(『イングリッシュ・ペイシェント』)も参加。さらには、原点となっているのが、1963年にオスカーを受賞したフェリーニの『8 1/2』(主人公の9歳当時の姿も登場すること、また不朽の名作に半歩進んだ解釈、歌+ダンスを加えたことから“NINE”というタイトルがつけられたとか)という堅さなのです。この作品に関わったキャスト&スタッフが獲得しているオスカーは全部で17冠というのですから、凄いものですよね。しかも、舞台となっているのは映画業界。世界屈指の美女たちが、こぞって才能を競い合います。そんな背景、この構図、このお祭り具合、なんだかアカデミー賞授賞式みたい。観ながらそう思っていた私。そんなわけで、“アカデミー賞授賞式を見ているかのような映画”という感想となったわけです。でも、実際に今年のアカデミー賞にノミネートされたのは助演女優賞、衣裳デザイン賞、楽曲賞、美術賞の4部門。そして受賞はゼロ。スタッフ&キャストの実績からすると、ちょっと寂しいですよね。ゴールデングローブ賞でも5部門へのノミネートのみにとどまっているし。とはいえ、世界、そしてアメリカだけでも1年間で公開される作品は数知れず。ノミネートだけでも大した話なのですが、ここまで豪華、ここまでオスカーを意識した作品なだけに、なんだか寂しい感じがしてしまうのでしょうか。確かに、1本でアカデミー賞授賞式を見ているような迫力と豪華さです。でも、正直言って、物語をどう語るかというところに集中するなら、オールスターキャストでなくてもいいのにという気分は否めません。脚本や演出が素晴らしければ、それが映像作家によって最も効果的な選択だとされるなら、何も最先端の3D技術がなくても、色さえついてなくても良い私としましては。根が地味映画好きなものですから。中盤から後半にかけて、共演というよりもコラボに近い俳優たちの競演に、この映画どうなっちゃうんだろうと不安になった私。凄い顔ぶれが次々に登場するものの、女優たちはほぼ互いに絡んでないという事実。大物の共演にありがちなプレゼンテーションですよね。でも、最後の落とし方は、お見事でした。だって…、ってこれを明かしてはいけませんね。エンドロールで女優たちの歌と踊りのレッスン映像がドキュメンタリーとして流されるのが面白い、というのは明かしてもいいでしょうか。実は、本編よりも興味深い…なんて言ってはダメかしら。とにかく、随所にお祭り感覚いっぱいの『NINE』ですから、結局のところ難しいことは考えずに、みんなでわいわいイベントとして楽しむのが正解なのかなとも思ったのでした。さらには、原作となったミュージカルを観て、フェデリコ・フェリーニの『8 1/2』を見直してみようという心の動きも。ついでに、ペネロペがつけているセクシーなビスチェやコルセット、胸元のカットワークがキュートなドレス、ケイト・ハドソンが魅せるレトロ・モダンなエディターズファッションに憧れ、主人公が栓を開けるモエのシャンパンもたっぷり飲みたいなどと、購買意欲もむんむん。私のように思う女子が増え、『NINE』周辺で、こんな特需が生まれたら、景気回復の起爆剤になるかもしれませんね。不況のときこそ、思い切り豪華に。『NINE』は、そんな気分にぴったりな作品と言えるのかもしれません。(text:June Makiguchi)■関連作品:NINEナイン 2010年3月19日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2008 The Weinstein Company. All rights reserved.■関連記事:『NINE』を彩る7人の魅惑の女たちあなたに最も近いのは?ランキング大発表!『NINE』プレミアでセレブたちが美の競演!桃井かおり「出るものと思ってたのに」『NINE』の華麗なるミュージカルシーンを紹介!「iTunesカード」を10名様にプレゼントいよいよゴールイン間近?ペネロペ・クルスがウエディングドレス調達に乗り出す杉本彩、女豹ダンスでエロス全開好きな男性は「魂ごと奪いたい」
2010年03月29日昨年のオスカー主演女優賞受賞のケイト・ウィンスレットに続き、先ごろ開催された第82回アカデミー賞において『しあわせの隠れ場所』で主演女優賞を受賞したサンドラ・ブロックが、結婚5年目の夫ジェシー・ジェームズと暮らす南カリフォルニアの自宅を出ていたことが17日、明らかになった。現在アメリカで発売中のゴシップ誌「In Touch」が、ジェームズと女性タトゥー・モデルのミシェル・“ボムシェル”・マクギーの不倫を報じたが、サンドラはその数日前の15日に家を出た。マクギーが「In Touch」誌に暴露した内容によると、ジェームズとの関係は11か月に及んだが、それはサンドラが『しあわせの隠れ場所』を撮影していた期間だったという。15日にはサンドラ側が、23日に予定されていた『しあわせの隠れ場所』のロンドン・プレミア欠席を決定、「予期せぬ個人的な事情により、『しあわせの隠れ場所』PRのための海外渡航が不可能になりました」と声明を発表し、「ご迷惑をおかけして申し訳ございません。映画を応援し続けてくれてありがとうございます」と結んだ。サンドラはオスカー前哨戦となる各賞授賞式はもちろん、7日のアカデミー賞授賞式にも夫婦そろって出席し、いつも仲睦まじい様子を見せていた。受賞スピーチでもジェームズを見つめ、感謝の意を表し、ジェームズも感極まった表情で拍手を送っていたのだが。昨日は、昨年のオスカー主演女優賞受賞のケイト・ウィンスレットの離婚前提の別居についてお伝えしたばかり。来年以降、既婚者でオスカー主演賞を受賞する可能性が高そうな女優は、私生活を安定させるコツを学んでおいた方がいいかも。(text:Yuki Tominaga)Richard Harbaugh / © A.M.P.A.S.■関連作品:第82回アカデミー賞 [アワード]© Omelette/AMPASしあわせの隠れ場所 2010年2月27日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2009 ALCON FILM FUND, LLC ALL RIGHTS RESERVED■関連記事:アナ・ケンドリック インタビュー “上司”ジョージ・クルーニーをおじさん呼ばわり?【シネマモード】今年のアカデミー賞を騒がせた、女王の“ドレス”とは?【ハリウッドより愛をこめて】アカデミー賞の裏ドラマ!S・ペンは前妻めぐり退席?【アカデミー賞】ファッションチェック!〜番外編<セレブカップル>〜本命は誰?女優にモテモテの『ハート・ロッカー』主演男優
2010年03月19日『マイレージ、マイライフ』でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、一躍若手実力派女優の筆頭に躍り出たアナ・ケンドリック。アカデミー賞の受賞はならなかったものの、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞をはじめ、各映画批評家協会賞をいくつも獲得。まさに本年度映画賞シーズンの顔と言える存在だったのがアナだ。そんな彼女がオスカーナイトの興奮も冷めやらぬ中、『マイレージ、マイライフ』の公開を目前に来日!早速、映画賞シーズンを終えた感想を聞いてみると…?「実はすごくホッとしているところなの」と苦笑いを漏らすアナ。映画賞の授賞式ではドレスアップしたスターたちの華やかな光景がお約束だが「楽しんだことは確かだけど、ハイヒールを履くのに疲れちゃったから、ぺたんこの靴に戻ることができて安心してるわ」と本音をこっそり教えてくれた。「ドレスからヘアスタイルまで、ものすごくおしゃれして、死ぬほど緊張しているのにカメラの前で『楽しいです!』って笑わないといけないし(笑)。レッドカーペットを歩くときは、『マイクを向けられても、変なことを言わないようにしなきゃ!』と気をつけるのに必死だったのよ」。そんな映画賞シーズンのラストを締めくくったのがアカデミー賞。映画界最大の式典の思い出を尋ねると、「スティーヴ・マーティンと話せて嬉しかった!」と授賞式の司会者を務めた名優とのエピソードを嬉しそうに語る。「“『マイレージ、マイライフ』の君は本当に可笑しくて素晴らしかったよ”と言ってもらえたの。コメディの権威でもある彼からそう言われて、すごく興奮したわ」。スティーヴ・マーティンも絶賛する『マイレージ、マイライフ』は、企業の依頼でリストラ対象者にクビを言い渡す“リストラ宣告人”の主人公・ライアンが、空虚な人生をふと見つめ直すヒューマンストーリー。アナはライアンの部下であり、リストラ宣告のノウハウを彼から学ぶ新入社員・ナタリーをユーモラスに演じている。実はこのナタリー、以前からアナに注目していたジェイソン・ライトマン監督が彼女のために書いた役なのだそうだ。「出演が決まってから、そのことをジェイソンに教えてもらったの。でも、その頃の私は経験が浅くてプロ意識の薄い新人だと思われたくない一心だったから、彼がせっかくそう言ってくれたのに、『そんなの日常茶飯事のことよ。私のために役を書いてくれるのはあなただけじゃないわ』というふりをしたの。それがプロの女優というもので、そうした方がハリウッドの一員らしいかなって思い込んでいたのよね。だから、ジェイソンは『嬉しくなさそうだな』と思ってしまったかもしれない。心の中では嬉しくて叫んでいたのよ(笑)」。企業に出向いてクビを宣告するため、年間のほとんどを出張フライトに費やしていたライアンに対し、ナタリーはネットを通してのクビ宣告を提案。その現代っ子ぶりでライアンをひるませる。しかし、アナ自身は「ネットは苦手なの」と“非ナタリー”な一面を告白する。「Facebookもやってないし、Twitterにもあまりアクセスしていなくて…。そもそも、メールのやりとりさえ苦手。面と向かって話す場合だって自分の気持ちを伝えるのが大変なのに、パソコンで文字を打って伝えるなんて私には難しすぎるわ」。その一方、『マイレージ、マイライフ』のプロモーションで世界各国を回ったアナのフライトマイルは、ナタリーどころかライアン級なのだそう。「おかげさまで、いっぱい貯まったのよ(笑)。映画の中でライアンが持っている“コンシェルジュ・キー(航空会社から最高のサービスを受けられる特権カードキー)”を、最近になって私も貰うことができたの。でも、使い方やメリットがいまいち分からないのよね…。何か大きな力を得てしまった気はするけど」。ところで、主人公のライアンを演じたのは、あのジョージ・クルーニー。「彼は周りを和ませてくれる素敵な人」と言うアナだが、役柄さながら、実際のジョージとアナの間にもジェネレーション・ギャップがあった!?「もちろん!私にとってジョージはオジサンなの!私はいつも彼をオジサン呼ばわりしてからかっていたわ。でも、それはジョージが私の背の低さをからかって、チビ呼ばわりするからなの。そのお返しなのよ!」“オジサン”のジョージ、もといライアンは、若きナタリーの指導者に。では、女優としてのアナにも“指導者”はいるのだろうか。「12歳のときに出演したブロードウェイの舞台で、私の母親役を演じていた人が、毎晩舞台に立つ前にこう言い聞かせてくれたわ。『愛する仕事を楽しめている私たちがどれだけ幸運な立場にあるか、どんなときも絶対にそれを忘れては駄目よ』とね。だから、疲れてしまったり、演じることのありがたみを忘れそうになったときは今でも彼女の言葉を思い出すようにしてるの」。『マイレージ、マイライフ』は、人とのつながりを問う物語でもある。アナ自身、周囲の人々の存在に助けられながらの毎日を送っているようだ。「正直に言って、映画賞シーズンの数か月間はとても忙しかった。何から何まで、本当に大パニックだったの。でも、その間ずっと私をサポートし続けてくれて、私が連絡を絶やしがちだったことも笑って許してくれた家族や友達との絆を改めて実感しているの」。前2作に続き、ジェシカ役を演じる『トワイライト』シリーズのほか、セス・ローゲン製作のコメディなど、出演作が続々と待機中。「自分自身にとってチャレンジになるようなことを続けていきたい」と語る。「同じような役を演じるのではなく、常に新しいことに挑戦し続けていきたい。もちろん、リスクを伴うことだし、すごく怖いけど、それこそが女優業の楽しさ。チャレンジし続けることが大事だと思う」。ちなみに、『マイレージ、マイライフ』ではシンディ・ローパーの名曲「タイム・アフター・タイム」をカラオケで熱唱するシーンを披露し、「私に歌わせるのがどんなに危険か、このシーンを観てもらえれば分かるわ」と笑うアナ。少々危険で(!?)、とびっきりキュートなアナのチャレンジはまだまだ続く。(text:Hikaru Watanabe)■関連作品:マイレージ、マイライフ 2010年3月20日よりTOHOシネマズ シャンテほかにて公開© 2009 DW STUDIOS L.L.C and COLD SPRING PICTURES. All Rights Reserved.第82回アカデミー賞 [アワード]© Omelette/AMPAS■関連記事:石田純一「変わらず“マイ理子、マイライフ”…この歳で切られたら寂しい」【シネマモード】今年のアカデミー賞を騒がせた、女王の“ドレス”とは?ジョージ・クルーニー、ハワイのカウアイ島で新作を撮影中【ハリウッドより愛をこめて】アカデミー賞の裏ドラマ!S・ペンは前妻めぐり退席?【アカデミー賞】ファッションチェック!〜番外編<セレブカップル>〜
2010年03月18日『NINE』では惜しくもアカデミー助演女優賞2年連続受賞の快挙は叶わなかったペネロペ・クルス。だが、授賞式にも一緒に出席した交際中のハビエル・バルデムといよいよゴールインするのでは?とうわさになっている。芸能誌「Touch Magazine」によると、ペネロペはミック・ジャガーの恋人でもあるデザイナー、ロウレン・スコットにウエディングドレスのデザインを依頼したという。スコットはニコール・キッドマンやマドンナといった大物セレブのドレスを手がけたこともあり、ペネロペと密に話し合い、彼女だけのためのオリジナル・ドレス制作を進めていて、本真珠をアクセントとして使用する予定だという。昨年には、スペインのブランド、ハウス・オブ・バレンシアガでウエディングドレス制作という話もあったが、果たして実際はどちらのブランドに軍配が上がったのだろうか?オスカー授賞式では、助演女優賞を受賞したモニーク(『プレシャス』)に対して真っ先にスタンディング・オベーションをし、座っていたハビエルに立つよう促す姿がちらりとTVカメラに捉えられていたペネロペ。夫婦然とした様子が微笑ましいオスカー俳優カップルの挙式はスペインで行われるのでは?と言われている。(text:Yuki Tominaga)Michael Yada / © A.M.P.A.S.■関連作品:NINEナイン 2010年3月19日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2008 The Weinstein Company. All rights reserved.■関連記事:杉本彩、女豹ダンスでエロス全開好きな男性は「魂ごと奪いたい」【アカデミー賞】ファッションチェック!〜レッド&ブラック編〜豪華オスカー女優競演!『NINE』ジャパンプレミアに10組20名様をご招待【シネマモード】アカデミー賞開催直前セレブファッション大胆予測!ペネロペ、受賞逃すも余裕の笑み?恋人ハビエルと一緒に公の場に登場
2010年03月15日先日のアカデミー賞授賞式、ご覧になりましたか?注目されていた元夫婦対決の行方、初の女性オスカー監督の誕生、ラジー賞&アカデミー賞同時受賞者の誕生など、なかなか話題に富んだ結果となりました。ここ数年のアカデミー賞の中でも、かなり面白い賞レースだったのではないでしょうか。さて、賞レースの結果とともに、もうひとつの楽しみだったのが、セレブたちのファッション。昨年は、ミッキー・ロークに注目しましたが、今年の華はやっぱり女たち。ハリウッドがよりゴージャスだった時代の女たちを髣髴させる艶やかなデザインとカラフルなドレスが目立ち、レッドカーペットにはまるで宝石をちりばめたような煌びやかさがありました。でも、ジュエリーは例年より控えめ。ここで、現代的な洗練を表現していたということなのでしょう。先日のコラムでは、アカデミーファッション予測を行いましたが、ペネロペは残念ながら外れ。ヘアはダウンスタイルではなく、アップスタイル。その代わり、ではありませんが、主演女優賞に輝いたサンドラ・ブロックが上品なダウンヘアに真っ赤な唇で、黄金時代の女優っぽさを感じさせてくれました。手前味噌ながら、キャリー・マリガンについては“当たり”と言えるかもしれません。前が少し短くなったドレスが、『麗しのサブリナ』で主人公が着ていたドレスにちょっと似ていたと思うのですが。個人的に気に入っているのは、サンドラが着ていた植物モチーフのシルバーのドレスと、サラ・ジェシカ・パーカーが着ていたレモンイエローのドレス、ジェニファー・ロペスのピンクのドレス。J.Loのドレスは、ぴったり体にフィットしたタイトなベアトップドレスに、ウエストからたっぷりのフリルがトレーンのように添えられた何ともシルエットが美しいドレス。色といい、シルエットといい、自分に合うものを良く知っているなという印象です。それに関しては、ここで上げたほか2人の女優も同じですね。J.Loによると、ドレス選びのポイントは「着ていて気持ちのよいものでないとダメ。心地よく着られて、気持ちも高めてくれるものでないとね」。なるほど。似合うものを着ると、自信もみなぎって、気持ちもアガりますからね。さすが、女ヂカラも、女優ヂカラも、セレブヂカラも、存分に高まっていました。さて、長いふりになりましたが、実はここからが本題。実はコラムを書く前に、編集担当のizumiちゃんに、「誰か一人をクローズアップしてくださいね!」と言われていたのに、ついつい。すみません。余計なことも書いちゃう性分なんです。(あ、これまた余計なことを!)そうそう、本題…。私が今年の授賞式で一番輝いていたなと感じたのは、やはりキャスリン・ビグローです。女優級のスタイルと美貌、その外見とのギャップが嬉しい硬派な作品作り。見事です。ファッションに注目すると、決して女優たちのように日サロで焼いたのではなく、ロケで焼けたであろうこんがりキツネ色の素肌に似合う、グレイッシュ・ブラウンという色選びがまずは大成功。光沢のあるシルク素材が、地味になりがちな色を華やかに引き立てていました。しかも、『ハート・ロッカー』というハードな作品を引っ提げての登場なのに、上半身にあしらわれていたのは何とハートのモチーフ!ビーズでいくつものハートシェイプが象られていました。なんて、大人カワイイのでしょう。「仕事はバリバリとハードにやるけど、キュートなモチーフは大好きなの」って感じでしょうか。日本にもたくさんいますよね、バリバリのキャリアだけど、手にしているのは可愛いキャラクターのついているボールペンだったり、キティちゃんが好きだったり、家にはぬいぐるみがたくさんあったり。女心を忘れないけど、仕事は男勝りという人が初の女性オスカー監督になったというあたりに、いまという時代を感じます。しかも、ヘアスタイル、アクセサリーで大仰に飾り立てるのではなく、内面からあふれ出るパワーや自信を、大粒ダイヤにも勝るアクセサリーにして、堂々たる佇まいでレッドカーペットや会場を闊歩。私は授賞前からあなたの頭上に、王冠が見えていましたよ。ビグロー監督は、年相応(58歳)にシワもありますが、若々しく完璧と思われる容姿を持つ女優たちの間にいても、美しさにおいて全く引けをとっていませんでした。というか、個人的には、年輪を重ねた人間的なふくよかさ、滲み出る知性、慈愛溢れる母性に他の誰よりも魅了されました。外見もすこぶる素敵なのですが、それと同時に彼女が作品にこめた情熱や信念、そこから映し出される人間性のすべてが彼女の魅力と呼応して、あの日、輝きとして現われたよう。わかってはいたけれど、人の美しさは、着ている服だけの問題じゃないなと改めて感じる授賞式となりました。つまり、今年のレッドカーペットで、最もうっとりさせられたのは、どのブランドのドレスでも、どのデザイナーのドレスでもなく、キャスリン・ビグローが纏っていた“自信とパワー”という名のドレスだったというわけです。(text:June Makiguchi)Rick Salyer © A.M.P.A.S.Matt Petit © A.M.P.A.S.Richard Harbaugh © A.M.P.A.S.Michael Yada © A.M.P.A.S.■関連作品:ハート・ロッカー 2010年3月6日よりTOHOシネマズ みゆき座、TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国にて公開© 2008 Hurt Locker, LLC. All Rights Reserved.第82回アカデミー賞 [アワード]© Omelette/AMPAS■関連記事:【ハリウッドより愛をこめて】アカデミー賞の裏ドラマ!S・ペンは前妻めぐり退席?【アカデミー賞】ファッションチェック!〜番外編<セレブカップル>〜本命は誰?女優にモテモテの『ハート・ロッカー』主演男優アカデミー賞授賞式今年の“ベストプレゼンター”部門受賞者はベン・スティラー?アカデミー賞総括!時代を切り拓く女たちの美しき勝利
2010年03月12日アカデミー賞授賞式も終わり、ハリウッドはすっかり通常のお仕事モードに戻っている。前哨戦で健闘し、オスカー6部門で候補になりながら無冠に終わった『マイレージ、マイライフ』のジョージ・クルーニーも心機一転、ハワイで新作の撮影が始まった。ジョージの新作『The Descendants』(原題)は、『サイドウェイ』のアレクサンダー・ペイン監督が6年ぶりに手がける長編映画。アメリカの作家、カウイ・ハート・ヘミングスの同名小説の映画化で、ジョージはハワイに広大な土地を所有する主人公の弁護士マット・キングを演じる。事故で昏睡状態に陥った妻が不倫していたことを知り、10代の娘2人を連れて、妻の不倫相手を探すため、ハワイのカウアイ島を旅するというストーリー。カウアイ島でのジョージは、10歳の次女を演じる子役の女の子とじゃれあったり、リラックスした表情を見せている。ちなみに17歳の長女役は、10代の妊娠を扱ったTVシリーズ「The Secret Life of the American Teenager」(原題)でヒロインのエイミーを演じるシャイリーン・ウッドリー。映画の公開は2011年を予定している。(text:Yuki Tominaga)© Fame Pictures/AFLO■関連作品:マイレージ、マイライフ 2010年3月20日よりTOHOシネマズ シャンテほかにて公開© 2009 DW STUDIOS L.L.C and COLD SPRING PICTURES. All Rights Reserved.■関連記事:【アカデミー賞】ファッションチェック!〜番外編<セレブカップル>〜【アカデミー賞】ファッションチェック!〜レッド&ブラック編〜オスカー主演男優賞のゆくえクルーニー&フリーマンの戴冠阻むは“過小評価の男”?本家オスカーを控え激戦、混戦!英国アカデミー賞で『ハート・ロッカー』6冠お味はどれが一番?アカデミー賞ノミネート作品にちなんだメニューの数々を公開
2010年03月12日「新ビバリーヒルズ青春白書」に続き、今回ご紹介する学園ドラマはゴールデン・グローブ賞のTVシリーズ部門で作品賞に輝いた「Glee」。日本でもCS局で放送が始まり、ハマる人続出中の話題作です。昨年9月に全米放送が始まり、現在もシーズン1のオンエア真っ只中にある「Glee」は、とある高校のグリー部(合唱部)が舞台。かつては学園の花形クラブだったグリー部の惨状を見かねた熱血教師・ウィルが、栄光を取り戻そうとグリー部の顧問に就くところから始まります。しかし、現在のグリー部に所属する部員たちは、学園のいじめられっ子やはみ出しっ子ばかり。果たして、ウィルは学園ヒエラルキーの最下層に位置する部員たちを栄光へと導けるのでしょうか…?ストーリーラインだけを追うと根性系青春ドラマのようですが、「Glee」が単なる学園ドラマと一線を画す点は2つ。1つはグリー部の物語なだけに、全編にわたって音楽満載であること。グリー部の個性派部員からウィル先生に至るまで、登場人物たちが様々なシーンで歌や踊りを披露します。しかも、グリー部が取り組む楽曲は、いわゆる合唱曲ではなく、新旧いろいろのヒットソング!例えば、第1話のクライマックスでグリー部員たちが歌うのは、ジャーニーが80年代にヒットさせた「Don’t Stop Believin’」。そのほか、ローリング・ストーンズ、ポリス、シンディ・ローパーからビヨンセ、リアーナ、カニエ・ウェストまで、ありとあらゆる楽曲が「Glee」ならではのアレンジでカバーされ、ウキウキ気分にさせてくれます。さらに2つ目は、どこかブラックでエッジのきいた作風であること。スター願望むき出しのいじめられっ子、レイチェルやおしゃれに敏感なゲイの男子生徒・カートといったグリー部員たちはもちろん、彼らの奮闘を見守る(もしくは邪魔する)教師たちも全員強烈な個性の持ち主。と言えば聞こえはいいのですが、要は少々とぼけたヘンテコキャラたちが集まっているというわけです。実は、「Glee」を手掛けているのは、エグさ満点の過激描写で美容整形の世界に迫った「NIP/TUCK」のクリエイター、ライアン・マーフィー。もちろん、「Glee」に「NIP/TUCK」のような過度のエグさはなく、むしろ後味すっきりの爽快感さえあるのですが、スパイシーなブラックユーモアは「NIP/TUCK」の中にも見られたものです。ちなみに、先頃のゴールデン・グローブ賞で「Glee」の作品賞受賞が発表された次の瞬間、ライアン・マーフィーは授賞式に参加していたニコール・キッドマンから祝福のキスを受けていました。と言うのも、マーフィーとニコールは互いを知る仲で、ニコールは「NIP/TUCK」の大ファンでもあるのだそう。ニコールが「NIP/TUCK」へのゲスト出演を希望している…なんて話も過去にありましたが、歌の上手なニコールですし、せっかくなら「Glee」にゲスト出演していただきたいものです!(text:Hikaru Watanabe)「Glee」FOXチャンネルにて毎週日曜23:00〜放送中番組公式サイト:© 2009_Twentieth_Century_Fox_Film_Corporation■関連作品:Gleeグリー [海外TVドラマ]
2010年03月11日『ハート・ロッカー』が大勝利!今週行われたアカデミー賞授賞式を観ていた方はどれくらいいるのでしょうか?ご覧になった方はこの結果、どう思いましたか?私は6冠を制した『ハート・ロッカー』がセレモニーの勝者として幕を閉じたのだと思います。本作は、膨大な制作費をかけた『アバター』と比べれば完全にダークホース的な存在でしたが、同時に、これまでSF映画が作品賞を受賞したことが一度もないことを考慮すれば、受賞の可能性は五分五分といったところでした。勝利と言えば、アカデミー賞自体も大きな勝利を収めました。というのも、4,130万戸もの人々(昨年より500万戸増)がこのハリウッド最大のイベントを見ていたおかげで、過去5年で最高の視聴率を獲得したのですから。また、司会を務めたコメディ俳優のスティーヴ・マーティンとアレック・ボールドウィンは素晴らしいコンビネーションでしたね。たしかに2人の見せ場は少なかった?という感じは否めませんが、約4時間にわたり観衆を大いに楽しませてくれました。でもやっぱり、一番笑った瞬間は、ベン・スティラーが“アバター”の格好で大勢の前に登場したときでした(笑)。風刺的な笑いも満載のアカデミー賞ですが、ここでおもしろい話を一つ。噂によれば、授賞式のプロデューサー陣からは、授賞式を通して、かのスーパースター、タイガー・ウッズの話題を冗談めかしたりほのめかしたりすることを一切禁じていたそうですよ。本当にタイガーはアカデミー賞を左右するほどの権力を持っているのでしょうか…?聞いたときは変な話だと思いましたが。奇怪な話をもう一つ。今年もたくさんの“レッドカーペット荒らし”がいたようで、19人もの人たちがレッドカーペットに許可なしに近付いたことで捕まっていました。その中には9人のドイツ人の姿もあり、彼らはMTVの偽IDをつけていたそうですが、とにかく大事にならなかったのは何より。それより、本当のドラマの主役は、様々なフォルムのドレスに身を包んだ女優たち。なぜだかわかりませんが、今年のレッドカーペットは、不思議でユニークなデザインのドレスを着る女性が多く、もちろん美しさは文句のつけようがありませんが、個人的にはちょっと頑張りすぎな印象を受けました。ユニークな形のドレスとともに、今年の傾向として見られたのは「レトロ・ハリウッド」と「ブルー」。私にとってのベスト・ドレッサーは、ドリス・ヴァン・ノッテンのドレスを着こなしていた、助演女優賞ノミネートのマギー・ギレンホール、ゴージャスなマルケーザのガウンを着た主演女優賞獲得のサンドラ・ブロック、そして、アトリエヴェルサーチの鮮やかなガウンを着たデミ・ムーアの3人。また、授賞式後の最大のアフター・パーティと言えば、もちろんヴァニティ・フェア・パーティ。ショーン・コムズ(P. Diddy)や助演女優賞のモニークに先述のサンドラ、オスカー女優のヒラリー・スワンクやシャーリーズ・セロン、トム・ハンクス、サミュエル・L・ジャクソン、ジュリアン・ムーア、ベン・スティラー、キャメロン・ディアス、ジェイミー・フォックス、ジェニファー・ロペスと夫のマーク・アンソニーなどのセレブ俳優たちはもちろん、米オリンピック代表選手のアポロ・オーノまで姿を見せていましたよ。一方、「The Governors Ball」パーティでは、主演男優賞のジェフ・ブリッジスやジェラルド・バトラー、監督賞のキャスリン・ビグローにオスカー俳優のショーン・ペン、ウディ・ハレルソン、オプラ・ウィンフリーと彼女のミューズ、主演女優賞ノミニーのガボレイ・シディビー(そして彼女のお母さんも!)が出席。こちらの面白いうわさでは、ショーン・ペンがケンカを始めたという理由で退席を命じられたとか…。本当なのでしょうか?そのワケというのも、ショーンの前妻ロビン・ライト(昨年は、受賞スピーチの際、ショーンは彼女の名前を言うのを忘れていました)が、近頃『ハート・ロッカー』のプロデューサーの一人、グレグ・シャピーロと交際しているとの噂が。同日、ショーンとグレグはほんの一瞬遭遇したそうなのですが、その瞬間にアカデミー関係者が入っていって、ショーンをホールから退席させたのだとか。これだけ聞いても、ハリウッドはおもしろいドラマの宝庫ですね!そう思いません?(text:Lisle Wilkerson)特集:2010アカデミー賞 ©A.M.P.A.S.Greg-Harbaugh ©A.M.P.A.S.Richard Harbaugh ©A.M.P.A.S.■関連作品:第82回アカデミー賞 [アワード]© Omelette/AMPASハート・ロッカー 2010年3月6日よりTOHOシネマズ みゆき座、TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国にて公開© 2008 Hurt Locker, LLC. All Rights Reserved.アバター 2009年12月23日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開© 2009 Twentieth Century Fox. All rights reserved■関連記事:【アカデミー賞】ファッションチェック!〜番外編<セレブカップル>〜本命は誰?女優にモテモテの『ハート・ロッカー』主演男優アカデミー賞授賞式今年の“ベストプレゼンター”部門受賞者はベン・スティラー?アカデミー賞総括!時代を切り拓く女たちの美しき勝利オスカー授賞式後はアフター・パーティ。お疲れモードでもセレブはパーティをはしご
2010年03月10日レッドカーペットの主役はもちろんゴージャスなドレスに身を包んだ女優たち。とはいえ男性たちもタキシードで、いつもとは違うフォーマルスタイルでレディをエスコート。ファッションチェック番外編では、レッドカーペットカップルをチェック!まずはどんなイベントでも注目の的のファッションニスタ、サラ・ジェシカ・パーカー。今年彼女が選んだのはシャネルのイエローのドレス。光沢感のある生地が裾まで真っ直ぐ流れ落ちるシンプルなラインは、ボリューミーなドレスが多い中、逆にインパクト大。首元のチョーカーは実は肩のストラップにつながっていて、前からの露出はミニマムだが、後ろは背中が大きく開いた個性的なデザイン。連れ添った夫のマシュー・ブロデリックはトム・フォードのタキシードで。トム・フォード自身、今年は映画『シングルマン』の監督としても授賞式に参加。サラ・ジェシカと共に、衣裳デザイン賞のプレゼンターを務めた。『マイレージ、マイライフ』で主演男優賞にノミネートされたジョージ・クルーニーはお決まりのアルマーニを、彼ほどタキシードが似合うスターはいないのでは?と思っていまうほど余裕の着こなし。惜しくも受賞は逃したが、授賞式中も司会者から幾度と呼びかけられたり、ハリウッドでの彼の人気の高さがうかがえた。当日連れ添ったのは、交際がうわさされているエリザベッタ・カナリス。彼女は真っ赤なロバート・キャヴァリのドレスで登場。この日、男優の中で最も目立っていたのは『シャーロック・ホームズ』が日本でまもなく公開を迎えるロバート・ダウニー・Jr.。ブルーグリーンの蝶ネクタイに、ブルーのサングラスという独創的なスタイル。奥様のスーザンも裾まで広がるボーダーのマーメイドラインドレスで、2人揃ってレッドカーペットを賑わせた。特集:2010アカデミー賞 Petit / © A.M.P.A.S.■関連作品:第82回アカデミー賞 [アワード]© Omelette/AMPASマイレージ、マイライフ 2010年3月20日よりTOHOシネマズ シャンテほかにて公開© 2009 DW STUDIOS L.L.C and COLD SPRING PICTURES. All Rights Reserved.シャーロック・ホームズ 2010年3月12日より丸の内ルーブルほか全国にて公開© 2009 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITEDシングルマン 2010年秋、新宿バルト9ほか全国にて公開© 2009 Fade to Black Productions, Inc. All Rights Reserved.■関連記事:【ハリウッドより愛をこめて】アカデミー賞の裏ドラマ!S・ペンは前妻めぐり退席?本命は誰?女優にモテモテの『ハート・ロッカー』主演男優アカデミー賞授賞式今年の“ベストプレゼンター”部門受賞者はベン・スティラー?アカデミー賞総括!時代を切り拓く女たちの美しき勝利オスカー授賞式後はアフター・パーティ。お疲れモードでもセレブはパーティをはしご
2010年03月10日第82回アカデミー賞で作品賞・監督賞をはじめ最多6部門で受賞した『ハート・ロッカー』に主演し、自身もオスカー候補となったジェレミー・レナーが、シャーリーズ・セロンと交際中?といううわさが流れている。シャーリーズは昨年末、9年間交際したスチュアート・タウンゼントとの関係に終止符を打ったばかり。『ハート・ロッカー』をヨルダンで長期撮影中に恋人と破局してからはシングル生活が続いているというジェレミーとは、2005年に『スタンドアップ』で共演して以来の友人だ。2月半ば、ジェレミーがオスカー候補になったのを祝って一緒にディナーに出かけたり、ひんぱんにデートを目撃されている。英国の「デイリー・メール」紙上ではジェレミーは2人の関係について「ただの友達同士」と言いながら、「お互いに夢中なんだ」とも語り、彼女の家を訪れて「ピアノを弾いたり、スコッチを飲んだりしている」と単なる友人同士以上の関係を匂わせた。7日の授賞式には母親を伴って出席したジェレミーは残念ながら主演男優賞は『クレイジー・ハート』のジェフ・ブリッジスに譲ったが、主演作が6部門制覇の快挙には大喜び。アフター・パーティでは、彼と同じく主演賞に初ノミネートながら惜しくも受賞は逃した『17歳の肖像』のキャリー・マリガンと親密そうな様子を見せていた。キャリーは昨夏よりシャイア・ラブーフと交際中のはずだが、授賞式のキャリーの隣りに彼の姿はなく、彼女も連れてきたのは母親だった。ジェレミーにはジェシカ・シンプソンとのロマンスも囁かれているが、彼はパーティで会って短い言葉を交わしただけだと交際は否定、「いまはシングルで相手を募集中。僕はモテないよ。働く男なんだ」と話している。(text:Yuki Tominaga)Matt Petit / © A.M.P.A.S.■関連作品:第82回アカデミー賞 [アワード]© Omelette/AMPASハート・ロッカー 2010年3月6日よりTOHOシネマズ みゆき座、TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国にて公開© 2008 Hurt Locker, LLC. All Rights Reserved.17歳の肖像 2010年4月17日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開■関連記事:【ハリウッドより愛をこめて】アカデミー賞の裏ドラマ!S・ペンは前妻めぐり退席?【アカデミー賞】ファッションチェック!〜番外編<セレブカップル>〜アカデミー賞授賞式今年の“ベストプレゼンター”部門受賞者はベン・スティラー?アカデミー賞総括!時代を切り拓く女たちの美しき勝利オスカー授賞式後はアフター・パーティ。お疲れモードでもセレブはパーティをはしご
2010年03月10日今年も数々の感動的な瞬間が誕生した第82回アカデミー賞。様々な困難を乗り越えた末の受賞を果たしたエンターテイナーたちのスピーチは毎年、感動を誘うものだが、一方で、候補者の紹介や賞の発表を行うプレゼンターを務めるスターたちの、ウィットに富んだコメントやコミカルなやり取りも観客・視聴者の注目の的。最も多くオスカー像をさらったのが『ハート・ロッカー』であるなら、観客の心を最も強く掴んだプレゼンターは果たして?最多ノミネートの大御所をいじる司会者コンビ授賞式の顔と言うべき今年のホストを務めたのは、スティーヴ・マーティンとアレック・ボールドウィンという小粋なベテラン俳優のコンビ。ミュージカル出身のヒュー・ジャックマンを司会に迎えた昨年の、ブロードウェイさながらの煌びやかなパフォーマンスと比べると、“地味”感が否めなかった今年の授賞式だが、そこは彼らの“オヤジギャグ”を交えた軽妙なトークがカバー。3Dメガネなどの小道具で『アバター』をネタにしたり、『恋するベーカリー』で共演した“史上最多ノミネート”のメリル・ストリープをいじったりと観客の笑いをさらった。昨年の授賞式会場内では、ブラッド・ピット&アンジェリーナ・ジョリーとブラピの元妻ジェニファー・アニストンのニアミスが話題をさらったが、様々な人々が交錯するこの世界、バッティングや因縁が生じるのは当然のこと。今年、“元夫妻”対決と注目を浴びたキャスリン・ビグロー&ジェームズ・キャメロン監督は仲良く前後に着席。また、主演賞の発表では、共演経験のある俳優が候補者を紹介するという粋な演出がなされたが、主演女優賞候補者の1人、キャリー・マリガンに対して『17歳の肖像』で共演したピーター・サースガードが彼女を絶賛しながらも「でもごめんね、僕には愛する妻がいるんだよ」と、同席した妻マギー・ギレンホール(助演女優賞ノミネート)にラブコールを贈る(?)一幕も。一方、視覚効果賞の発表では、恋多き女ジェニファー・アニストンの“今カレ”と噂されるジェラルド・バトラーと、“元カレ”(?)のブラッドリー・クーパーが仲良く、ひげをたくわえ登場。そんな中、気の毒だったのはキャメロン・ディアス。当初の予定では、恋の噂もあったジュード・ロウと一緒に登壇するはずが、ジュードがこれをキャンセルしたとか。置き去りを食らった怒りもあって(?)、代理のスティーヴ・カレルとの相性もどこかぎこちなかった…?ひと言も発せずともネタになるジョージ・クルーニー!ベテラン勢が貫禄を見せつける中、若手俳優陣も負けず劣らず、初々しさを垣間見せながらもしっかりとプレゼンターの任務を遂行!マイリー・サイラスとアマンダ・セイフライドという公私共に絶好調な2人は、それぞれゴールドとシルバーのドレスで美の競演。一方、ロブ様ことロバート・パティンソン不在の『トワイライト』チーム、テイラー・ロートナーとクリステン・スチュアートの2人は、ヴァンパイアを題材にした『トワイライト』にかこつけて、通常、オスカーとはなかなか絡む機会の少ないホラー作品の魅力をアピールし楽しませてくれた。残念ながら受賞を逃した『マイレージ、マイライフ』の主演ジョージ・クルーニーのスピーチが実現しなかったことを惜しんでいるファンも多いのでは?しかし、そこはハリウッドを代表する大スター。司会の2人からは、名前を紹介されただけで半ば“シカト”状態にさらされ、サンドラ・ブロックの主演女優賞獲得のスピーチでは、“私をいじめてきた人”の代表として「かつて私をプールに突き落としたジョージ・クルーニー」と明かされたりと、自身が表に出ずとも、どうにも周りがほっといてはくれないようだ。そして、この舞台の最強の刺客として、一番の笑いを提供したのはベン・スティラーだろう。『アバター』が(CGで制作されているため)受賞とは関係ないメイクアップ賞の発表で、敢えて真っ青“アバター”メイクで、ご丁寧に長いしっぽまで付けて登場するや、(劇中の)ナヴィ族の言語を真似した意味不明な発言を連発し、キャメロン監督を挑発。昨年はヒゲ面で登場し、当時、俳優引退を声明したホアキン・フェニックスを意識したパフォーマンスで笑いを誘ったが、今年もパロディネタで会場に陣取るスターたちをも笑いの渦に巻き込んだ。このコーナー、当初はサシャ・バロン・コーエンとのコンビで寸劇を予定していたものの、直前であまりに強烈な内容のためサシャの出演が取り消されたと報じられたが、ベン1人でも十分強烈!来年の登場にも期待したいところ。全体を通して、厳しい時間制限の中でスピーチ時間を短縮するよう命じられていた各登壇者たち。にもかかわらず結果的に時間が足りなくなり、最後の作品賞は不意打ちのように発表されたりと、慌しさの中で幕を閉じるなど、反省点も残したようだが、ご覧になった方はどう感じただろうか?さてさて、来年はどんなショーが繰り広げられるやら。特集:2010アカデミー賞■関連作品:第82回アカデミー賞 [アワード]© Omelette/AMPASハート・ロッカー 2010年3月6日よりTOHOシネマズ みゆき座、TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国にて公開© 2008 Hurt Locker, LLC. All Rights Reserved.アバター 2009年12月23日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開© 2009 Twentieth Century Fox. All rights reserved恋するベーカリー 2010年2月19日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開© 2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.■関連記事:アカデミー賞総括!時代を切り拓く女たちの美しき勝利オスカー授賞式後はアフター・パーティ。お疲れモードでもセレブはパーティをはしご【アカデミー賞】ファッションチェック!〜レッド&ブラック編〜【アカデミー賞】ファッションチェック!〜ブルー&パープル編〜【アカデミー賞】ファッションチェック!〜シルバー編〜
2010年03月09日『ハート・ロッカー』が作品賞を始め6部門を制し幕を閉じた第82回アカデミー賞。授賞式前は『ハート・ロッカー』と、同じく9部門ノミネートの『アバター』の一騎打ちを予想する声が多かったが、その『アバター』はスタッフ部門3部門受賞にとどまった。これまでの賞レースの流れをふり返りつつ、主要部門の結果について総括!『ハート・ロッカー』の6部門制覇の中でもやはり特記されるべきは、キャスリン・ビグロー監督の女性として初めての監督賞受賞。今後、“女性”監督ということが何ら珍しいことではなくなっていくであろうが、最初にその壁を破ったという点で、彼女の偉業は今後も語り継がれていくだろう。監督の喜びのスピーチとあわせて、監督賞のプレゼンターを務めた同じく女性で歌手のバーブラ・ストライサンドが発表の際に「時は来ました!」と興奮気味に語ったのが印象的だった。『ハート・ロッカー』はヴェネチア国際映画祭、トロント国際映画祭などでの高評価を背景に賞レースに参戦するも当初は無名。昨年12月に発表されたナショナル・ボード・オブ・レビュー賞で作品賞など主要部門を制し、当初本命視されていたのは『マイレージ、マイライフ』だった。まさに“伏兵”とでも言うべき存在だったがその後、うなぎのぼりに評価を上げ、年明け早々の全米映画批評家協会賞を始め、シカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスの各都市の映画批評家協会賞を独占し、一気にオスカー候補として名乗りを上げた。時を同じくして、『アバター』が歴史を塗りかえる興行成績で市場を席巻、賞レースにも参戦し、ゴールデン・グローブ賞の作品・監督賞を制したことで一気に『ハート・ロッカー』と『アバター』の一騎打ちの様相を呈した。オスカー直前の英国アカデミー賞ではお返しとばかり『ハート・ロッカー』が作品・監督賞を獲得。そのままの勢いを駆ってオスカー本番も制した。今年は久々に作品賞と監督賞を分け合う可能性も考えられた(そうなったら第78回の作品賞:『クラッシュ』、監督賞:アン・リー/『ブロークバック・マウンテン』以来)が、アカデミー会員はやはり娯楽大作よりも社会性の強い作品を選んだということか。俳優部門に目を向けてみても、授賞式を盛り上げたのはやはり女性陣!これまでの流れから“鉄板”と目される部門が多かった中で、最後の最後まで予想がもつれたのが主演女優賞。結果的に、ゴールデン・グローブ賞を始め、主要賞レースを引っ張ってきたサンドラ・ブロックが念願かなって初めてオスカー像を自らのものにしたが、実力に関して文句のつけようのないメリル・ストリープ&ヘレン・ミレン、さらに20代の新鋭キャリー・マリガンとガボレイ・シディビーと、作品と併せて高い評価の女優陣が顔を揃え、ハイレベルな争いを繰り広げた。受賞スピーチでサンドラは、候補者ひとりひとりに言葉を掛け、最後のメリルには、1月の放送映画批評家協会賞で共に主演女優賞を獲得した際に、壇上でキスを交わしたことをネタに、「あなたはとってもキスが上手ね」と語りかけ会場を沸かせた。一方で世界中の母親たち、そして自身の母親への感謝を口にしホロリとさせる場面も。授賞式でも千両役者ぶりを見せ付けた。そして、今年の授賞式で最も人々の心を震わせたスピーチと言えば、『プレシャス』で助演女優賞を受賞したモニーク。作品の関係者や偉大なる先人たちへの謝辞と共に、最愛の夫へも素直な感謝の気持ちを口にした。「時に、人気の出ることを取るのではなく、正しいことを選ばなくてはならない、と教えてくれました。(オスカー像を掲げ)その通りでした」と涙ながらに語る場面は今年のハイライトのひとつだった。また、男優部門は獲るべき実力派がきっちりと獲得した、という印象。カンヌ国際映画祭のときから「(主演の)ブラッド・ピットを喰った男」と絶賛されてきた『イングロリアス・バスターズ』のクリストフ・ヴァルツは授賞式の先陣を切ってオスカー像を獲得。昨年の助演女優賞を獲得した、同じく欧州出身のペネロペ・クルスからオスカー像を手渡され顔をほころばせた。結果的に彼の授賞が『イングロリアス・バスターズ』に唯一のオスカー像をもたらした。そして最も“獲るべき”でありながら、これまでなかなか栄冠に手が届かなかったジェフ・ブリッジスが、主演、助演合わせて5度目の挑戦で悲願のオスカー像(主演男優賞)を手にした。最終的に、『ハート・ロッカー』の6部門(作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞、音響編集賞、録音賞)、『アバター』の3部門(視覚効果賞、美術賞、撮影賞)以外で複数の部門を制したのは3作品。長編アニメーション映画賞と作曲賞を獲得した『カールじいさんの空飛ぶ家』と主演男優賞(ジェフ・ブリッジス)と歌曲賞を受賞した『クレイジー・ハート』、そして助演女優賞(モニーク)と脚色賞を手にした『プレシャス』といずれも前評判の高かった作品が受賞リストに名を連ねた。第82回アカデミー賞受賞結果一覧作品賞:『ハート・ロッカー』監督賞:キャスリン・ビグロー『ハート・ロッカー』主演男優賞:ジェフ・ブリッジス『クレイジー・ハート』主演女優賞:サンドラ・ブロック『しあわせの隠れ場所』助演男優賞:クリストフ・ヴァルツ『イングロリアス・バスターズ』助演女優賞:モニーク『プレシャス』脚本賞:『ハート・ロッカー』脚色賞:『プレシャス』外国語映画賞:『瞳の奥の秘密』(アルゼンチン)長編アニメ映画賞:『カールじいさんの空飛ぶ家』短編アニメ映画賞:『LOGORAMA』(原題)撮影賞:『アバター』美術賞:『アバター』視覚効果賞:『アバター』編集賞:『ハート・ロッカー』衣裳デザイン賞:『ヴィクトリア女王世紀の愛』メイクアップ賞:『スター・トレック』作曲賞:『カールじいさんの空飛ぶ家』歌曲賞:「The Weary Kind」(『クレイジー・ハート』)音響編集賞:『ハート・ロッカー』録音賞:『ハート・ロッカー』長編ドキュメンタリー賞:『ザ・コーヴ』短編ドキュメンタリー賞:『Music by Prudence』(原題)短編実写映画賞:『The New Tenants』(原題)特集:2010アカデミー賞■関連作品:第82回アカデミー賞 [アワード]© Omelette/AMPASアバター 2009年12月23日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開© 2009 Twentieth Century Fox. All rights reservedハート・ロッカー 2010年3月6日よりTOHOシネマズ みゆき座、TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国にて公開© 2008 Hurt Locker, LLC. All Rights Reserved.プレシャス 2010年4月24日よりシネマライズほか全国にて公開© PUSH PICTURES, LLC しあわせの隠れ場所 2010年2月27日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2009 ALCON FILM FUND, LLC ALL RIGHTS RESERVEDクレイジー・ハート 2010年公開© 2009 Twentieth Century Fox■関連記事:アカデミー賞授賞式今年の“ベストプレゼンター”部門受賞者はベン・スティラー?オスカー授賞式後はアフター・パーティ。お疲れモードでもセレブはパーティをはしご【アカデミー賞】ファッションチェック!〜レッド&ブラック編〜【アカデミー賞】ファッションチェック!〜ブルー&パープル編〜【アカデミー賞】ファッションチェック!〜シルバー編〜
2010年03月09日世界一美しい女優たちが一同に会すアカデミー賞授賞式のレッドカーペット。今年はブルー、パープル系の個性的なドレスも目を引いた。大注目の『アバター』に出演しているゾーイ・サルダナはパープルのグラデーションが美しいジバンシィのドレスで登場。胸元はシルバーの刺繍が煌き、ウェストから裾まで、ラベンダーから濃い紫へ幾層にも。スカート部分のデザインも、ふわふわとボリュームのあるラインで、彼女の細い体型をよりスタイル良く見せていた。『クレイジー・ハート』で助演女優賞にノミネートを果たしたマギー・ギレンホールはドリス・ヴァン・ノッテンのドレスを着用。こちらは有名なラップドレスほか女性の体型を美しく見せるということで世界中の女性たちに支持されているブランド。レッドカーペットには珍しいトロピカル柄だが、健康的な美しさを持つマギーだからこそ着こなせる一枚と言えそう。気品あふれるロングドレスで観客を魅了したのは若手女優、レイチェル・マクアダムス。オーガンジーをたっぷり使ったドレスはエリー・サーブのオートクチュール。ハート型の胸元と、淡いブルーをベースに、ピンクやグリーンのグラデーションが織り成すロマンティックな雰囲気が彼女にぴったり。ベストドレッサーの呼び声も高い。美しさの衰えないベテラン女優、シャーリーズ・セロンも今年はパープルのドレス。マーメイドラインにロングトレーンをなびかせた、シンプルなラインながらも、光沢感のある生地が着る人の美しさを一層引き立てる。両胸にあしらわれたバラの花も視線を集める。写真は左から、ゾーイ・サルダナ、マギー・ギレンホール、レイチェル・マクアダムス、シャーリーズ・セロン。特集:2010アカデミー賞:Greg Harbaugh / Richard Harbaugh / Matt Petit /© A.M.P.A.S.■関連作品:第82回アカデミー賞 [アワード]© Omelette/AMPASアバター 2009年12月23日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開© 2009 Twentieth Century Fox. All rights reservedクレイジー・ハート 2010年公開■関連記事:【アカデミー賞】ファッションチェック!〜シルバー編〜【アカデミー賞】作品賞&女性初監督賞『ハート・ロッカー』妻6冠、夫3冠で決着【アカデミー賞】サンドラ・ブロックに主演女優賞史上初ラジー賞と同時受賞【アカデミー賞】主演男優賞は“最も過小評価されている俳優”ジェフ・ブリッジス【アカデミー賞】助演女優賞は『プレシャス』のモニーク!
2010年03月08日