コミュニケーションディレクターの森本千絵が、三越伊勢丹の母の日キャンペーン「goen° plant planet by 森本千絵」の一環で制作した動画「おはなしの は」が公開された。作詞を森本が手掛け、作曲を坂本美雨、歌と演奏は坂本、おおはた雄一、ダブルフェイマスらが担当。監督は秦永優子。4月29日14時からは、伊勢丹新宿店で参加アーティストらの館内行進が行われる。動画は風のように歌う坂本の声で始まり、お母さんの木が子供の木に物語の「は」を継いでいくというストーリー。「旅に出るフクロウ」「おもいでをポケットに集める女の子」などが登場し、語り継いでいきたいメッセージを伝えていく。森本が描いた「ご縁曼荼羅」からなる惑星の上で、親から子、子から親へのメッセージが込められた物語が動き出す。森本はこの動画の世界観を作り上げるにあたりミュージシャンやアーティストに「山がお母さん、海がお母さん、というように、人間じゃないもっともっと大きな生命体が歌いだして、人間には到底及ばないくらい大きな存在がお母さんというイメージ。そこで生まれた音楽で植物たちがざわめくくらい、統一感なく音を散りばめて欲しい」というリクエストしたという。29日は14時から、伊勢丹新宿店本館1階、5階、6階を参加アーティストらが演奏をしながら練り歩く他、13時からは本館地下2階ビューティアポセカリーで絵本「おはなしの は」を坂本美雨が朗読するイベントも開催される。また29日から5月5日まで、同店本館1階ザ・ステージでもイベント「goen° plant planet by 森本千絵」を開催。森本が描き出した愛情溢れる親子の世界を表現した空間で、ズッカ(ZUCCa)、イーエム(e.m.)、ケイハヤマ プリュス(KEI Hayama PLUS)、ぬいぐるみのモンチッチなどとのコラボレーションアイテムが多数展開される。
2015年04月28日日本の伝統文化である江戸小紋を90年にも渡り染め続けてきた「廣瀬染工場」の4代目、廣瀬雄一。武士の裃(かみしも)がルーツとなり、今日まで400年の歴史を持つ伝統工芸品・江戸小紋を日本だけでなく世界に広めるべく活動する廣瀬。新たな世代へ伝えるべく、ストールブランドも立ち上げた。彼が考える江戸小紋とは?工場に潜入した。1918年創業。神田川と妙正寺川が落ち合い、奇麗な水を求めて多くの蛍が集まったことで浮世絵にも描かれた地域である東京・落合に工房を構える廣瀬染工場は、歌舞伎役者の着物を専属で染めるなど、型染めを継承し4代にわたり江戸小紋を染め続けてきた老舗だ。まず、案内されたのは型付け場。もみの木の長い1枚板に白い反物を張り、その上に型紙を乗せ、ヘラで色糊を置く。作業をする廣瀬の眼は布を射抜いてしまうのではないかと思うほどに真剣だ。見ているこちらも、息を潜めてしまうほどの緊張感が伝わる。型付け場では、型紙のくり抜かれた部分の模様を生地に型付ける、染めの中で最も重要な作業を行う。柄によってくり抜かれる模様のサイズが異なり、その模様部分のサイズに合わせて色糊の量やヘラを動かすスピードを調整する、まさに職人の技。反物の長さに対して型紙のサイズが小さいため、1反染め上げるのに40から50回は同じ作業を繰り返し、色むらなどが出ないよう1反を染める作業は必ず1日で終わらせる。気が抜けない集中力が問われる作業だ。しかも、太陽の光が降り注ぐ午前中が勝負だという。次に案内されたのは型部屋。3畳程の広さの部屋に、4,000柄を超える型紙を保有している。3枚の和紙に柿渋を塗り重ね合わせることで強度を増した型紙には、1枚1枚繊細な絵柄が彫られている。1枚の型紙で30から50反分の型付け可能だが永久に使えるわけではない。使えなくなった型紙は改めて新しい和紙にデザインを彫って型紙を作ることでデザインを継承している。和紙でできているため乾燥に弱く、型部屋の湿度管理はとても重要で、昔は弟子がこの部屋に住み込み、型紙の状態を手で触って確認したり、型紙が盗まれないように番を兼ねて寝泊まりしていたそうだ。「今と昔のデザインでは大胆さやエネルギーが違います。昔は食べる物も食べられなくて、“この反物を売って飯を食わなくちゃ”というハングリー精神やダイナミックさを感じる物が多いですが、最近ではそういった物よりも繊細さが前面に出た物が多いですね」と廣瀬は語る。型部屋の隣にあるのは、しごき場。糊が乾いた反物を板からはがし、染料の入った地色糊を生地全体に塗り付ける「しごき染め」という工程を行う部屋だ。ローラーを通すことで均一に色が付き、地色糊が乾くまで生地が重なり合う部分におがくずをまんべんなくまぶすことで糊がひっついたり色移りすることを防ぐ。空気が乾燥しにくいことから、この部屋は工房の北側に位置する。逆に前述の型付け場は太陽光が降り注ぐ南側に位置し、工房全体が染色工程の理にかなったレイアウトになっている。他の工房では、染める・蒸す・洗う・干すなどの染色工程を分業にて行う工房もあるが、廣瀬染工場では染色工程を一貫して行うためすべての技術と設備を完備し、6人の職人が分業で担当。染色技法、染色工程、工房のレイアウト、一つひとつに長い歴史が培って来た繊細な心づかいを感じさせる。2/2に続く。
2014年07月21日指原莉乃(HKT48)主演の映画『薔薇色のブー子』が公開を迎えた。監督は指原の面白さを引き出すことにかけては右に出る者がいないと言われる福田雄一。公開を記念して、日本エンタメ界異色の黄金コンビに話を聞いた。その他の写真過去にも指原と数々の作品を共にしてきた福田。公の場でたびたび指原に容赦ない罵詈雑言を浴びせながら、なぜか炎上どころか指原ファンの喝采を集めてしまう男でもある。福田は「僕がさっしー(指原)をボロクソに言うのは、単純に女性としてタイプじゃないから!」と悪びれることなく言い切る。一方で「じゃあなんで、さっしーのことを追いかけるのか?面白いからに尽きます」とも。「劇団もやって、お笑い芸人の座付き作家もやって、笑いを仕事にしてきた僕が二十歳そこそこの女に笑わされてる。何にウケてるのか?分かんないけど、僕がこれまで学んできた笑いの方程式と全く違うものを持ってるんですよ」。一方の指原は福田を「すごい人」と語る。いや、正確には今回、初めてすごい人だと気づいた…。「今まで、監督の作品に出ても(完成作を)観てないんですよ(苦笑)。今回、初めて観て『だからこういう顔をさせたのか!』とか納得した部分がたくさんありました。モヤモヤが晴れました(笑)!」。文句ばかりの主人公“ブー子”が次々と不運に見舞われるさまを描いた本作だが、指原は「私も文句ばかり言うのですごく似てるし、共感した」という。福田は、そんな指原が本領を発揮したシーンとして冒頭で彼女が大学受験システムに文句を垂れるシーンを挙げる。「セリフを当日渡したら『覚えらんないですよ!』って文句言うんですよ(笑)。『だいたいの内容でいいから』とやってもらったら、抜群にうまかった。特に眉間にしわ寄せて文句言ってる顔が(笑)!」。「文句言わせたら誰よりうまい自信がある!」(指原)、「長くやってきて、初めてさっしーを上手いと思った」(福田)というこの場面。わざわざブー子の幼少期を演じる子役にも見せて、同じ顔で演じさせたとか…。指原の面白さを「いまだに解読できないし、だからこそ追いかけたくなる」と福田。これに対し「そうですね…。すいません、いま全然、話聞いてなかったんですけど(笑)」とあっけらかんと返す指原。「面白すぎて、ぶん殴りたくなることがちょいちょいありますよ」――また新たな創作意欲を刺激されたかのように、福田は嬉しそうに笑っていた。『薔薇色のブー子』公開中取材・文・写真:黒豆直樹
2014年06月10日日本一の湧出量を誇る温泉都市、別府。源泉数は約2,800にものぼり、日本の源泉の約1割にあたる。まさに温泉の上に街が浮かんでいるようなスケールの大きさだ。当然、観光客も行かない地元民御用達の温泉もあるはず。早速調査に出掛けた。別府は別府・鉄輪(かんなわ)・観海寺(かんかいじ)・明礬(みょうばん)・亀川(かめがわ)・柴石(しばせき)・堀田(ほりた)・浜脇(はまわき)の、「別府八湯(べっぷはっとう)」と呼ばれる温泉郷で構成されている。別府には広く知られた名湯がたくさんあるが、市営温泉や地域の住民がお金を出し合って作った共同湯もある。それらはどれも安い料金で利用できるのだ。なかには歴史ある温泉や、温泉ツウもうなる良泉もあるという。しかし、観光で街を巡る限りでは、地域の共同湯を見かけることは少ない。それでもあると聞いたら、どうしても入りたくなるものだ。地元民が愛する名湯はどうやって見つければいいのだろうか。そもそも、一見の観光客が地域の共同湯に入ることはできるのだろうか。そこで、別府の共同湯について、「別府八湯永世名誉名人」の土谷雄一さんに教えていただいた。別府八湯名人とは、別府八湯の中から選ばれた88湯を制覇した者に与えられる称号。土谷さんはなんと、名人位を34回も取り、現在は35巡り目の8段というつわものである。その豊富な知識と温泉愛を持って、別府温泉の魅力を発信する温泉の伝道師なのだ。「市内には100カ所とも200カ所ともいわれるほど、たくさんの共同湯があり、郵便ポストの数より多いとさえいう人もいます。特に昭和の下町風情が残る浜脇、別府、亀川などに共同湯、組合湯が点在しています。しかし、その多くが公民館の中にあったり、ひなびた民家のような建物だったりします。路地裏や生活道路にひっそり佇(たたず)んでいるので、車で移動しながらでは見つけることは難しいでしょう。共同湯散策は徒歩か自転車がおすすめです」。なるほど、住宅地の中に紛れている上、目立たない外観が多いから気づかなかったのか。「自宅に風呂がない家も多く、共同湯は暮らしに欠かせない存在です。特に別府駅周辺の路地裏では、かなりラフな格好で風呂に通う人を見かけることも珍しくありません。自宅から共同湯まで、わが家の廊下のような感覚なのでしょうね」。まるで、隠れ湯のように点在する共同湯や組合湯。ここには、観光客でも入れるのだろうか。「どうぞご遠慮なく。お湯を楽しみ、温泉を愛する地元の人たちと触れ合ってください。ただし、共同湯は地元の人が大切に維持管理しています。利用する際は、よその家のお風呂をお借りする気持ちで先客に挨拶して入り、マナーを守って利用してくださいね」とアドバイスをいただいた。多くの共同湯は、洗い場と浴槽があるだけという簡素な造りだ。あまりのシンプルさに最初は戸惑うかもしれないが、それもまた風情。しかも、「場所によって泉質も雰囲気も違いますが、お湯はどこも極上ですよ」と土谷さん。これはもう、入らずにはいられない。しかし、あれもこれもは時間的に無理だし、第一のぼせてしまいそう。そこで、数ある共同湯の中から別府の温泉文化が垣間見えるおすすめの共同湯を紹介してもらった。まず一つ目が、錦栄温泉(きんえいおんせん)。とろみはあるが、クセのないやわらかい肌触りの湯を楽しめるこちらの温泉は、完全かけ流しで湯量豊富。番台のおばちゃんのもてなしもよく、初めての人でも笑顔で受け入れてくれる。別府市民の暮らしに密着した温泉スタイルを感じることができるはずだ。次に向かったのが、天満温泉(てんまんおんせん)。市街地では珍しく、地下のマグマが地表に近く、高温湯が湧き出るというこちらの温泉は、天満地獄とも呼ばれているそう。新鮮な湯が豊富にあふれかえる、透明で清潔感のある温泉だ。番台さんのもてなしも素晴らしく、初心者でも快く迎えてくれ、地域の人たちとコミュニケーションも楽しめる。続いて紙屋温泉(かみやおんせん)。いかにも別府らしい昭和レトロな情緒あふれる路地裏にあるこちらの温泉は、別府温泉の典型である土類泉と呼ばれる温泉で、飲泉もできることで有名。熱い湯の洗礼を受けるが、これもまた楽しいもの。続いて向かったのは、照湯(てるゆ)。別府で一番古いといわれる、伝統ある湯船と石造りの洗い場が特徴の温泉だ。数年前までは地元民のみが利用できる男女混浴湯であったが、リニューアル後に男女別となり、一般開放されるようになった。クリアな湯に湯の花が浮遊する絶品湯。湯上がりのサラサラした感覚も独特の名湯と呼ぶにふさわしい温泉だ。そして最後に入湯したのが、東蓮田温泉(ひがしはすだおんせん)。温泉+井戸水のコラボで、金気臭のある鮮度抜群の美肌湯だ。ジモ泉(一般開放されていない地元組合員だけの共同湯)の雰囲気があり、昭和の息吹が残る情緒ある温泉だ。地元の入浴客と挨拶を交わし、交流しながら別府温泉文化に浸ることができるのもうれしい。最初はちょっと勇気がいるが、「こんにちは」とドアをあけて泉都・別府の奥深い湯にどっぷり浸かってほしい。マイおけ持参で路地を散策すれば、宝の湯に出合えるはず。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月31日脚本家、演出家、放送作家、俳優など、ともに様々な肩書きを持つ福田雄一とマギー(本名・児島雄一)。このふたりの雄一(=U-1)が共同で脚本・演出を担うユニット『U-1グランプリ』の2年ぶりとなる公演が決定した。U-1グランプリ case04『宇宙船(スペースシップ)』公演情報「僕らの関係性において、“イヤだと思うことが一緒”ってことがすごく大きいんですよね。だからこそふたりでやるのはすごく楽しい」と福田が言えば、「この信頼関係は、回を増すごとに厚くなっていますからね。お互いの使いこなし方を、お互いが非常によく理解している(笑)。だからやってて全然飽きない」とマギー。そんな彼らがこだわり続けているのが、“コント”という形態だ。「やっぱり僕ら、コントが一番好きなんですよね。おもしろいことって思いついても、それを成立させるのは意外と難しい。でもコントだと、わりと軽いタッチでできてしまうというか」(福田)。「一番おもしろいと思ったことをダイレクトに、最短距離で伝えられるのがコントだと思うんです。産地直送、みたいなね」(マギー)。2007年『取調室』、2008年『厨房』、2010年『職員室』(2010年) に続く新作は、『宇宙船(スペースシップ)』と題して、ワンシチュエーション・コント集を展開する。「今って時代的に、“オモシロ気”なものにみんなが食いつきやすいと思うんです。で、宇宙船って、なんかオモシロ気じゃないですか?ただ設定をリアルにすると発想は飛ぶんですけど、逆に設定をファンタジーにすると発想は小さくなる。だから宇宙船の中で、ものすごく細々とした話になるんじゃないかなと思う(笑)」(福田)。「宇宙船内の壁紙の色はどうする? とかね(笑)」(マギー)。また『U-1グランプリ』には、ジョビジョバ(=マギーがリーダーを務めたユニット。現在は活動休止中)のメンバーが出演するという楽しみも。今回は坂田聡が参加、マギーとの久々の共演に期待が高まる。しかしそれ以上に売り文句となりそうなのが……。「福田さんが出るってことですね。変な味わいがあって、これがおもしろい」(マギー)。「ただ全然セリフが言えないんですよ。だから行き当たりばったりで(笑)」(福田)。「上手なんですよ、うまい具合に間を外したりしますから。だからいい共演者ではあるんですけど、誰にとってもいい共演者ではない(笑)。つまり福田雄一のコントローラーを天からもらったのは僕だけっていう、変な自負はありますね(笑)」(マギー)。そんな福田が、今回は"演技派"として挑むと言う。いろいろな点で見逃せない舞台となりそうだ。U-1グランプリ case04『宇宙船(スペースシップ)』は、4月25日(水)から5月6日(日)まで東京・赤坂RED/THEATERにて上演。チケットは2月25日(土)に一般発売開始。取材・文:野上瑠美子
2012年01月24日