20th Centuryの坂本昌行が、ミュージカル『三銃士』の主演を務めることが26日、明らかになった。○■2004年に製作されたミュージカル『三銃士』主演に坂本昌行同作は19世紀フランスの作家であるアレクサンドル・デュマによる小説のミュージカル作。ブロードウェイやフランス、オランダなど、世界各国でミュージカル化されてきたが、今作は2004年にチェコで製作された後、2009年に韓国で脚本や楽曲を大幅にリニューアルされ、再演が繰り返されている人気作品だ。演出を手掛けるのは、『THE BOY FROM OZ』、日本版『ロックオペラ モーツァルト』、『スパイダーマン:ターン・オフ・ザ・ダーク』で知られるフィリップ・マッキンリー。『三銃士』定番の、憧れの銃士を目指すダルタニャンの成長と恋の物語だけでなく、三銃士のリーダー格であるアトスにも焦点を当て、かつての恋人との間で揺れる愛憎や、ダルタニャンの亡き父を通してアトスとダルタニャンの絆を描き出す。スペクタクルな「冒険活劇」の要素はそのままに、登場人物たちの心理描写に深みを与えた新しいミュージカルに。また本作では、メインテーマ曲としてブライアン・アダムスの「All For Love」が用いられる。本曲は、ブライアン・アダムス、ロッド・スチュワート、スティングの3人が“三銃士”として歌い、世界中で大ヒットした名曲で、時代を超えて息づく、「人間ドラマ」を前面に打ち出したミュージカルとなる。剣の腕前に優れた三銃士のリーダー格、アトスを演じるのは坂本昌行。銃士になることを夢見て田舎町からパリへ出てきた青年ダルタニャンに末澤誠也(Aぇ! group)、ダルタニャンと恋に落ちる純真な娘コンスタンスに屋比久知奈、三銃士の一人で仲間思いのアラミスに上口耕平、同じく三銃士の一人で元海賊であり腕力に自信があるポルトスに原田優一、銃士隊と敵対する枢機卿の親衛隊長ジュサックに上山竜治、枢機卿の腹心として暗躍し悪女と噂されるミレディにシルビア・グラブ、そして国王を追い出しフランスの全権を掌握しようと企てる枢機卿リシュリューに今井清隆と、個性豊かな俳優陣が集結した。東京公演は日生劇場にて9月8日~28日、広島公演は広島文化学園 HBG ホールにて10月4日~6日、大阪公演はSkyシアターMBSにて10月18日~27日。○■演出:フィリップ・マッキンリー コメント今回『三銃士』の演出家としてまた来日することができ、大変光栄です。作品に対する私のクリエイティブなビジョンを、情熱を持って受け入れそして支えてくださる製作陣に恵まれたことは、本当に幸運です。愛、名誉、そして「正義のために」を伝える不変の冒険物語に私は深く共鳴しており、この作品を素晴らしいキャスト、クリエイター、スタッフ達と作れる機会は格別です。私が思い描く『三銃士』をお届けするために、日本はいつもクリエイティブな情熱とコラボレーションに敬意を表してくれ、理想的な環境を与えてくれています。この冒険物語をお楽しみください!○■坂本昌行 コメント日本で何度も上演されている名作『三銃士』に参加出来る事を心から嬉しく思います。また『THE BOY FROM OZ』でお世話になった演出家のフィリップさんを始め、今井さん・シルビアさん・末澤君など共演した事のある方々で、お互いに刺激し合いながら楽しい稽古になると思いますし、新たな『三銃士』を創りあげていきたいと思います。それを大好きな日生劇場で公演出来る事も喜びの一つです。さて、どんな作品に仕上がるのか今から僕自身も非常に楽しみです。○■末澤誠也 コメントAぇ! groupの末澤誠也です。演出のフィリップさんとは『THE BOY FROM OZ』でお世話になり、稽古から熱くご指導してくださったので、今回もご一緒させていただけることを嬉しく光栄に思います。坂本くんともまたご一緒出来て、作品を作り上げられるのが楽しみで仕方ないです!『三銃士』は映画を見たことがあり、ストーリー展開もアクションも見応えがあったので、ミュージカルでどのような演出でストーリーが進んでいくのか今から楽しみでワクワクしています。純粋で正義感が強いダルタニャンが三銃士と出会ってどのように成長していくのか、またコンスタンスとの甘酸っぱい恋愛やアトスとの絆、色んなダルタニャンをみなさんに見て楽しんでいただけるように精進したいと思います。劇場でお待ちしております。【編集部MEMO】ミュージカル『三銃士』ストーリー17世紀、フランスは揺れていた。国王ルイ13世を守る近衛銃士隊と、政治の実権を握るリシュリュー枢機卿直属の親衛隊との間で争いが絶えず、アトス(坂本昌行)は、国王を守る銃士の一人としてその渦中にいた。亡き父と同じ銃士になることを夢見て、田舎町からパリへと出てきたダルタニャン(末澤誠也)は、三銃士を率いるアトスに続き、アラミス(上口耕平)、ポルトス(原田優一)と次々に出会うが、ガキとからかわれたことに腹を立て、それぞれに決闘を申し込む。その騒ぎの中、目の前に美しいコンスタンス(屋比久知奈)が現れ、ダルタニャンは一目で恋に落ちる。いざ決闘の時、リシュリュー卿の親衛隊長ジュサック(上山竜治)が法律違反を名目に、4人を逮捕しにやってくる。三銃士とダルタニャンは親衛隊相手に共に戦い、見事に勝利、コンスタンスの宿屋で祝杯をあげる。仲も深まる中、アトスはダルタニャンの父が自分の師であることに気づくのだった。宴の最中、突然コンスタンスが何者かにさらわれてしまう。さらったのは国王と対立するリシュリュー卿の腹心となり暗躍するミレディ(シルビア・グラブ)。かつて恋人であったアトスは複雑な心境でいた……。一方で、国王が行方不明になったことが発覚。リシュリュー卿(今井清隆)が、国家を揺るがす陰謀を企てていたのだった。果たして、アトスとミレディの行く末は?ダルタニャンと三銃士はコンスタンスと国王を連れ戻すことができるのか――。
2024年04月26日中田裕二の2023年は、言葉を選ばずに言えば、騒々しかった。12作目のソロアルバム『MOONAGE』を4月にリリースし、全国ツアーへ。そしてそのツアーファイナルですでに解散した伝説的なバンド椿屋四重奏のデビュー20周年を記念した夏季限定の活動を発表。フェス、ツーマン、ワンマン、追加公演と各地ソールドアウトの盛り上がりとなった。この一連の活動を3枚のBlu-rayと2枚のCDにコンパイルした作品『花舞う宵に月仰ぎ見て-TOUR 23 “MOONAGE SYNDROME” FINAL IN TOKYO/椿屋四重奏二十周年記念公演 “真夏の宵の夢”-』を4月17日(水) にリリース。過去を振り返るだけではない、未来にまで一直線につながる2023年の活動について目下制作中というニューアルバムの情報なども交えて話を聞いた。その日いいライブができたので、いい気持ちで椿屋四重奏二十周年の活動につなげられるなって思いました――まずは全体の流れを振り返りたいと思うのですが、4月に12作目のオリジナルアルバム『MOONAGE』がリリースされ、そのツアー「MOONAGE SYNDROME」が行われました。Disc 1に収められているのがそのツアーのファイナルが行われたEX THEATER ROPPONGIでのライブなのですが、バンドでのツアーが4年ぶりだったんですね。コロナの影響が大きかったというのもあるんですけどね。なかなか環境的にフルバンドでツアーするというのが難しかったので、かなり久々の感覚でした。変則的に3人とか2人で、というのはやっていたんですけどね。――振り返ってみて「MOONAGE SYNDROME」ツアーはどのようなものになりましたか?ものすごく手応えのあるツアーになりました。素晴らしいミュージシャンの方々と一緒に演奏ができること、そしてそれを目の前のお客さんにきちんと届けること――この当たり前のことをやれているっていうのがシンプルにうれしかったですね。純粋に音楽を楽しんでいるっていう気持ちでやれたツアーでした。――心の内面を繊細に音で表現した、より中田さんらしいライブだなと、改めて映像を見て感じました。ありがとうございます。ソロになってからは、どっちかっていうと普段悩んでいたり、苦しみを抱えている大人の人に向けて歌っているところがあるので、自分もそれなりに年齢を重ねて、そういう表現がしっくりくるようになったというのはあるかもしれませんね。勢いだけではない音楽表現をライブでいかに見せていくかっていうのはテーマとしてあって、そういう意味でも「MOONAGE SYNDROME」は、よりそのあたりを深く表現できたのかなと思います。またそれをバンドとして形にできたことが大きかったですね。皆さんそれぞれがすごいミュージシャンではあるのですが、意識としてひとつになっていたという感覚がありました。――そしてこのEX THEATER ROPPONGIでのライブ終了後に「椿屋四重奏二十周年」の夏限定でのライブ活動がサプライズで発表されました。準備としては、アルバムとツアーと並行しながらということだったのでしょうか?そうですね。2022年の年末には決まっていました。――Disc 3の「椿屋四重奏二十周年 DOCUMENTARY : 06/24/2023 - 09/04/2023」のなかにもあったのですが、きっかけはスタッフの方の説得だったんですよね。周年だから執念で説得されました(笑)。――中田さん的には2023年が椿屋四重奏の二十周年というのは、すっかり抜けていた感じですか?もうまったく抜けてましたね(笑)。だし、最初はやる気もなかったんですよ。もちろん今はやってよかったなって思ってます。一度だけ、ソロの10周年のときに2曲だけ同窓会的にやるっていうのはあったんですけど、活動として短期間でもきちんとやるっていうのは今回が初めてでした。――椿屋四重奏は解散ツアーを行わなかったんですよね。はい。ただ、解散というのはもう決まっていながらのツアーだったりシングルのリリースだったりっていう感じではあったんですけどね。それを経ての12年ぶりの邂逅となりました(笑)。――ソロとして活動を続けていくなか、椿屋四重奏というバンドを振り返ることはありませんでしたか?なかったですね。とは言え、スタッフの方やお客さんから「椿屋四重奏、好きでした」って言われることも多かったので、それはそれでありがたいなって思っていました。逆に不思議な感じがしたというか、そんなに聴いてくれてたんだって。――スタッフの方に、2023年の椿屋四重奏二十周年で限定的に活動することを提案されたとき、最初気乗りしなかった理由はなんですか?自分のソロの活動がまだまだ自分のなかではやりきれていないというか、道のりの途中というイメージなので、そっちがもっと形になってからかなという感じでは思ってたんですけど、まあでも、それも自分だけの勝手なこだわりだったのかなって、なんか、だんだんそういうふうに思わせるように囲われていったっていう感じですね(笑)。――なるほど(笑)。で、メンバーと再会して話していくなかで、「裕二が本当にやりたいかどうかの気持ちを確認したい」って言われて。僕がそこに向かって気持ちをどう持っていくかっていうのに少し時間がかかりましたね。あとは単純に歌えるのかっていうのが心配でした。二十代の自分の曲を歌うのは結構パワーがいることではあるので。「MOONAGE」を制作するまでに自分の歌い方も研究して、少しずつ固まりつつあったので、これだったら(椿屋四重奏の曲をやっても)いけるかなっていう感覚はありましたけど、やっぱり準備は時間がかかりましたね。――今追求している音楽と二十歳の頃に作っていた椿屋四重奏の音楽はぜんぜん違うものですか?少し矛盾した言い方にはなってしまうんですけど、まったく違うけど一緒というか。基本的には同じ人間が作っているので根本は変わらないです。ただ、フォーマットが違うという感じですかね。どっちも俺だなっていうところまで今は捉えられるようになりました。ギターにしても、あんな歪んだギター弾けるかなって思ってたんですけど案外すらすら弾けて、ぜんぜん憶えてるな身体がって(笑)。というか当時より楽に弾けるんですよ。それはやっぱりソロになって12年くらい、一生懸命やってたことがちゃんと役に立ってるんだなっていうことがわかってうれしかったですね。――それにしても、サプライズで発表された会場はものすごい絶叫がこだましてましたね。袖で見てたんですけど、すごかったですね。まだあの時期って、声出しは解禁されたけど、みんなマスクもしてたし、そこまで声を出す感じでもなかったんですよね。それがどうだいっていう(笑)。――あの瞬間に感じたことはどういうことでしたか?それだけ喜んでくれるんだっていうことが驚きでしたし、うれしかったですね。椿屋四重奏というバンドがみんなのなかに根付いていたんだなって。その日のライブがすごい良くて、個人的には今までの集大成くらいの感じだったんですけど、椿屋四重奏二十周年のことが発表されたら全部吹き飛んだみたいになったので、半分悲しかったです(笑)。――(笑)。でも、いいライブがあっての、ということですから。そうそう。その日いいライブができたので、いい気持ちで椿屋四重奏二十周年の活動につなげられるなって思いましたね。ホッとしました。そこまで自分の過去と向き合わされるっていう経験はなかった――椿屋四重奏二十周年のメンバーは、中田さんと小寺良太さん(Ds)のオリジナルメンバーを中心に、奥野真哉さん(Key)、隅倉弘至さん(Ba)、カトウタロウさん(Gt)といった、ソロでの活動でもおなじみのメンバーが揃ったということもあって、単純にバンドの再結成というよりも、中田さんのソロ活動も含めた新しいものという感じがしました。まさにそうですね。あのメンバーだったからこそより楽しんでやれたのだと思いますね。――この5人で演奏する椿屋四重奏の曲からフィードバックされるものはありましたか?昔のままの演奏じゃないんですよね、やっぱり。しなやかさがそこにあったりとか。自分なりにも解釈をして、振り返りじゃないんですけど、いったいどういうところが武器でどういう個性があったのかなっていう部分を改めて自分で認識しながら、そこに今の何を加えてどういう形にしていくかっていうことを考えましたね。――椿屋四重奏の楽曲をご自身で分析するというのは初めてだったんですか?そうですね。客観的にそうやって向き合うのは初めてでしたね。自分の曲なので、ソロになってからも何曲かは歌っているんですけど、オリジナルメンバーもいたなかでっていうのはまたぜんぜん違いましたね。そもそもそこまで自分の過去と向き合わされるっていう経験はなかったですから。どっちかと言えば避けてきた部分でもあったので。自分の考え方的にも過去にあんまり執着してはいけない、とにかく今現在とその先に進むんだっていう意識の方が強い人間なので最初は戸惑いもありましたけど、意外にこれもいいものだなと。過去をヒントにまた閃くものがあるなと。――では、かなりポジティブだったんですね。やる直前までは不安だったんですけど、やっていくうちにどんどん身体が応じてくれるんですよね。むしろ自分の今の曲の方が歌いづらいんじゃないかっていうときがあったくらいでした(笑)。そういう意味でも、いろいろと得るもの、気づきがありましたね。――逆に言えば、ソロになってやってきたことが、その前の過去に今向き合うことで証明されたというところもあるのでしょうか?ああ、そうですね。だからあえて振り返らずにやっていたのも良かったのかなと思いました。バンドからソロになる場合って、結構バンドを引っ張ったりすることもあるじゃないですか。で、結局戻っていっちゃう人もいるので。僕的にはそれが一番嫌だったんですよね。――曲作りにおいて、椿屋四重奏とソロとでは決定的に違うところというのはあるんですか?昔は基本的にはギターとかベースとか、弦楽器しか弾けなかったので、引き出しは少なかったと思います。今はピアノも弾いたりするし、いろんなジャンルの音楽を学んできたので、そこの違いですかね。ただ作り方は同じだと思いますね。自分が今思っていることとか納得のいっていないこととかを歌にしているという点においては変わらないですね。――バンドの場合は、作った曲を演奏するのがバンドであるという点で、言ってしまえばそこが制約にもなるわけですよね。そうですね。その制約があるからこそ自由があるとも言えて、自分たちでしか演奏できないからこうしようとか、それだからこそ生まれるマジックはありますよね。そこを今回の5人でやるとどうなるのかというのが一番興味深かったですよね。あの編み込まれた曲たちをいかに楽にやるか(笑)。僕はもちろんですけど、メンバーにとってもそこは挑戦だったと思います。隅倉くんなんか「おい、なんでこんな難しい曲作ったんだよ」って言ってました(笑)。――当時の意識としてはどうでしたか?難しくしようと思っていたのでしょうか?はい。難しくしようと思ってました。若気の至りというやつですね(笑)。難しい方がかっこいいと思ってたので。でも結構ギリギリのところで止めてはいたなっていうのもあるんですよ。あんまり技術ばかりが聴こえてくる音楽だと聴き手の入り込む余地がなくなるじゃないですか、そこはうまくバランスをとってたんだなって今回やって発見しました。あ、難しいことやってるけど、意外といいところで抑えてるなって。――そしていざ椿屋四重奏二十周年の活動が始まると、最初はフェス、そしてツーマン、最後がワンマンと徐々に馴らしていくような感じでしたね。演奏もまさにそんな感じでしたね。――最初にフェス(北海道「JOIN ALIVE」)に出たときの反響はいかがでしたか?あの日悪天候だったんですよ。土砂降りで。運良く僕らのステージは屋内だったので助かったんですけど。結構盛り上がってくれてましたね。――Disc 4+5(CD)に収録されている大阪の追加公演で、初めて椿屋四重奏のライブに来たというオーディエンスの方がものすごく多くて驚かされました。当時中学生とか高校生くらいだった人たちが、自分のお金でライブを見に行けるようになったときには椿屋四重奏は解散してしまっていて、それで今回ようやく見れたという人たちとか、解散してから後追いで知ったっていう人も多かったですね。若いなと思って、お客さんが。特に大阪は。――仙台のTHE YOUTHとのツーマンライブとDisc 2に収録されている昭和女子大学 人見記念講堂でのワンマンライブのチケット申し込みがものすごい数だったために大阪での追加公演が実現したんですよね?そうなんですよ。それは僕から提案したんですけど、もともと関西では予定がなかったので、やった方がいいんじゃないかなということで。――ちょっと前後してしまうんですけど、人見記念講堂のアンコールでは、もう音楽活動から引退されたオリジナルメンバーの永田貴樹さん(Ba)が加わって、3人での椿屋四重奏が実現しました。あの頃のまんまでした(笑)。やっぱり当時の自分たちのことを思い出しましたしね。下北とかでやってた頃の。時代を見ながらも時代に乗らないっていう感覚を大切にしています――この映像作品にコンパイルされている2023年の一連の活動が、「MOONAGE SYNDROME」から始まっているというのが、ただ過去を振り返るだけのものではない現在進行形のものになっているのかなと思います。そうですね。ちゃんと過去、現在、未来がシームレスにつながっている感じがしますね。――そうなることを予期されていなかったわけですもんね、スタッフの方から提案をされるまでは。だから人生って何があるかわからない、偶然が重なって自分にとって大切なものになったりする場合があるから面白いですよね。今の問題だけに囚われて、「あー、もうダメだ……」ってなってしまいがちですけど、そういうときに自分の過去と対話してみたりするのもいいのかもしれないですよね。悩みの真っ只中にいるとなかなかそこから抜け出すヒントって見つけられないものですから。――特に椿屋四重奏二十周年の活動を通じて、これからのヒントはありましたか?ありましたね。歌への向き合い方とか歌唱法自体もいい形でソロへ還元できそうだなと感じています。普段動かしてなかった筋肉や神経を刺激してもらったのもあって、もうすぐ新しいアルバムができるんですけど、去年1年間やったことが全部生かされた作品になりそうですね。僕も去年のことを経験して思ったのは、ひたすら無心にやっていくっていうことが大事なんだなっていうことですね。もちろんこだわることは大切なんですけど。そこのバランスというかコントロールは、よりうまくできるようになるような気がしていますね。時間を重ねること、年齢を重ねることはすごくいいことなんだと思います。――中田さんが音楽を作る上で大切にしているのはどんなことですか?世間とか世の中にはあまり囚われないという感覚ですね。そのときに「いい」って言われているものがあっても時間が経てばその価値観は変わってくるものだし、だから何が最も普遍的で大切なものなのかっていうことを表現者というのは一番意識しなければいけないと思うんですよ。もちろん時代も見なければいけないんですけど、時代を見ながらも時代に乗らないっていう感覚を大切にしていますね。でもそれは椿屋四重奏をやっていた頃からそういう意識ではあったんですよ。そうだったからこそ、去年あんなふうにみんなが覚えていてくれたり、新しい若い人たちが見にきてくれたりしたのかなと思うんですよね。――新しいアルバムがもうすぐできるというお話をされていましたが、5月からのツアー「MASTER OF SHADOWS」が発表されていますけど、それと関わってくる作品ということですか?そうです。――どんなアルバムになるんですか?参加ミュージシャンが僕ひとりの作品です。全演奏を自分ひとりでやっています。――なぜその方向へ行こうと思ったのですか?昨年の活動を経てそっちに行こうと思ったんです。本質にグッと入っていこうと。以前からアイデアとしてはあったんですよ。でもまだちょっと技術的に無理かなとか、モチベーションがそこまでいかないかなっていう感じだったんですけど、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの『暴動』とか、プリンスの初期のアルバムとか、そういうものをいつかは作ってみたいなと。たくさんの人を巻き込んでの去年1年間だったので、今度は巻き込まないスタンスで(笑)。今ならできるぞっていうスイッチがようやく入ったんですよ。――新しいツアーも含めてアルバムも楽しみにしています。今日はありがとうございました。はい。ありがとうございました。Text:谷岡正浩Photo:石原敦志動画コメントぴあアプリ限定!アプリで応募プレゼント★サイン入り色紙を3名様にプレゼント【応募方法】1. 「ぴあアプリ」をダウンロードする。こちら() からもダウンロードできます2. 「ぴあアプリ」をインストールしたら早速応募!<リリース情報>中田裕二「花舞う宵に月仰ぎ見て - TOUR 23 “MOONAGE SYNDROME” FINAL IN TOKYO / 椿屋四重奏二十周年記念公演 “真夏の宵の夢” -」2024年4月17日(水) 発売価格:22,000円(税込)【収録内容】DISC 1(Blu-ray)TOUR 23 “MOONAGE SYNDROME” FINAL IN TOKYO(2023/06/24 EX THEATER ROPPONGI)DISC 2(Blu-ray)椿屋四重奏二十周年記念公演 “真夏の宵の夢”(2023/08/27 昭和女子大学 人見記念講堂)DISC 3(Blu-ray)椿屋四重奏二十周年 DOCUMENTARY : 06/24/2023 - 09/04/2023(ドキュメンタリー映像)DISC 4&5(CD)椿屋四重奏二十周年記念公演 “続・真夏の宵の夢”(2023/09/04 GORILLA HALL OSAKA)※完全生産限定盤※5枚組 [3Blu-ray(映像)+2CD(音源)]※ブックレット / 三方背ケース予約リンク:ニューアルバム『ARCHAIC SMILE』2024年5月15日(水) 発売価格:3,300円(税込)詳しくは、中田裕二公式サイト( )まで<ライブ情報>中田裕二 TOUR 24 “MASTER OF SHADOWS”5月18日(土) 北海道・札幌 PENNY LANE 245月26日(日) 大阪・梅田クラブクアトロ6月1日(土) 神奈川・横浜ベイホール6月9日(日) 愛知・名古屋クラブクアトロ6月15日(土) 宮城・仙台 Rensa6月23日(日) 東京・品川インターシティホール6月28日(金) 福岡・DRUM Be-1メンバー:平泉光司(Gt) / 隅倉弘至(Ba) / 張替智広(Ds) / sugarbeans(Key)チケット情報:()公式サイト:
2024年04月17日キジマ タカユキ(KIJIMA TAKAYUKI)が、坂本龍一が愛したワークキャップを再現。2024年3月28日(木)より、キジマ タカユキ 代官山などで発売される。坂本龍一が愛したワークキャップを再現コラボレーションキャップのベースとなるのは、生前、坂本龍一が愛用していたワークキャップ。キジマ タカユキによるエッセンスを加え、日常の寄り添うシンプルなキャップが完成した。ボディには、ナイロンのような風合いとハリ感を持つコットン 100%のキャンバスを使用。柔らかさとしわ感を兼ね備える処理を施し、新品の状態から自然に馴染む見た目に仕上げた。カラーは、ブラックのみ。帽子の裏側には、コラボレーションのために作成されたネームを備えている。【詳細】ワークキャップ for リュウイチサカモト(WORK CAP for Ryuichi Sakamoto)発売日/販売店舗:・2024年3月28日(木) 坂本図書 ※完全予約制、場所は非公開。・2024年3月28日(木)~31(日) キジマ タカユキ 代官山※完売次第終了※4月1日(月)~7日(日)までキジマ タカユキ オフィシャルウェブサイトにて受注販売。価格:19,800円サイズ:1~3
2024年03月22日演歌歌手の藤あや子が5日に自身のアメブロを更新。演歌歌手の坂本冬美へサプライズで用意した品を公開した。この日、藤は「楽屋見舞いに来てくれました!!」というタイトルでブログを更新。「冬美さんのデビュー記念日だったのでサプライズでケーキを用意」と坂本との2ショットとともに報告し「とっても喜んでくれました」と坂本の反応を明かした。続けて「初日祝いに部屋着など頂いたのに可愛いネコちゃんグッズを買ってきてくれました」と坂本から頂いた品を公開。「共演者の皆さん スタッフさんにも差し入れを」と明かし「たくさんありがとう」と感謝をつづり、ブログを締めくくった。
2024年03月06日演歌歌手の藤あや子が28日に自身のアメブロを更新。演歌歌手の坂本冬美から頂いた祝いの品を公開した。この日、藤は「嬉しい差し入れ」というタイトルでブログを更新。「冬美さんから早めの初日祝い」と坂本から頂いた祝いの品を公開し「KID BLUEのあったかそうなホームウェア」と紹介した。続けて「市川由紀乃ちゃんからはチョコレートを」と演歌歌手の市川由紀乃から頂いた差し入れも公開し「温かいお心遣いに感謝申し上げます」とコメント。最後に「明日から大阪へ移動します」と明かし「この頂きもの持っていきまーす」とつづり、ブログを締めくくった。この投稿に読者からは「嬉しい差し入れ」「力がはいりますね」「お気をつけて」などのコメントが寄せられている。
2024年02月29日演歌歌手の藤あや子が18日に自身のアメブロを更新。演歌歌手の坂本冬美から貰った手作りの差し入れを公開した。この日、藤は「お好み焼き やきそば チャプチェ」と夕食のメニューを紹介し「お友だちの冬美さんから手作りのお好み焼きの差し入れ」と坂本から差し入れされたことを写真とともに報告。「豚肉 イカ 海老など具沢山」と説明し「フワッフワで激ウマ」と大満足の様子でコメントした。続けて、焼きそばについて「ヘアーメイクじゅんちゃんから」と明かし「野菜が豊富で美味しい」と絶賛。「お稽古中だからと作ってくれました」と説明し「ありがとう」と感謝をつづり、ブログを締めくくった。この投稿に読者からは「格別」「美味しそう」「良かったですね」などのコメントが寄せられている。
2024年02月19日バラエティ番組『進ぬ!電波少年』に出演していたお笑いタレントの坂本ちゃんが10日に自身のアメブロを更新。悪い数値ばかりだった血液検査の結果についてつづった。この日、坂本ちゃんは「10年近くずっと肥満状態からついに私!普通体重になりました!」と報告し「昨年の10/1の90.2キロから今朝は72.8キロ。4ヶ月で17.4キロ減です!」と写真とともに説明。「これからも体重の増減はあるかと思いますが今まで通りウォーキング(気持ち前向きになる!)に食事!楽しみながら痩せて行こうと思います!」と意気込みをつづった。続けて「昨年6月前立腺肥大症の手術で入院した際毎回『血圧高いですね、退院したらちゃんと調べてもらったら?』と看護師さんに」言われたといい「岡元あつこちゃんから突然血圧計をいただき」「次に事務所のマネージャーさんから『坂本さん血圧高いとか言ってましたが病院行かれてます?』のLINEが」と説明。「立て続けに3回血圧関係が続いた!これは流石に病院行けってことかしら?と思い近所の病院へ」と病院を受診したことを明かした。また「血液検査したらほっんとまじビビるくらいな悪い数値のオンパレード」だったといい「怖かった!」とコメント。医師からは「肥満は諸悪の根源!とにかく痩せましょう!」と言われたそうで「そこから食事の見直し&ウォーキングがスタート!なのでした!」と減量を始めた経緯を説明した。最後に「病院行くきっかけ作ってくれた看護師さん!岡元あつこちゃん!マネージャーさん!に多謝!」と感謝のコメント。「痩せた後の血液検査は『基本大丈夫です』の数値」と明かし「自分への戒めとして90キロの頃のアクリルスタンド」と体重が90kgあった頃の自身のアクリルスタンドの写真とともにブログを締めくくった。
2024年02月11日演歌歌手の藤あや子が4日に自身のアメブロを更新。演歌歌手の坂本冬美からの差し入れを公開した。この日、藤は「昨日の晩ごはん」というタイトルでブログを更新し「恵方巻き」と夕食のメニューを紹介。「冬美さんが差し入れしてくれた恵方巻き」と坂本から差し入れされた品であることを明かし、鬼のお面を付けて恵方巻きを食べるような素振りをする自身の写真を公開した。続けて「中村美津子さんから以前頂いたものだぁ」と述べ「マル坊が横取りしようとするからカットして食べちゃった」と報告。「めちゃくちゃ美味しい」と絶賛し「最高でした ごちそうさまでした」と大満足の様子でつづり、ブログを締めくくった。
2024年02月05日巨人の坂本勇人が1日、都内で行われた「2023 スカパー! ドラマティック・サヨナラ賞 年間大賞」表彰式に登壇した。レギュラーシーズンを通じて最も劇的なサヨナラ本塁打、またはサヨナラ安打などを放った選手(セ・パ各1名)に贈られる同賞。昨年に引き続き、月間「スカパー! サヨナラ賞」全12プレーの中から、ファン投票により選出され、受賞両選手にはそれぞれ、オリジナルトロフィーと賞金200万円が贈呈される。今年は、6月16日に東京ドームにて行われた対楽天戦で劇的な逆転サヨナラ3点本塁打を放った巨人の坂本勇人と、7月24日にZOZOマリンスタジアムで行われた対ソフトバンク戦で起死回生の代打逆転サヨナラ2点本塁打を放ったロッテの角中勝也が受賞した。表彰式後は、坂本、角中、ゲストとして駆けつけた松田宣浩氏の3人によるトークも。今シーズン限りで現役を引退した松田氏は「10月1日に東京ドームで引退セレモニーをさせていただいてから2カ月。今はもう新しいステップに向けて進んでいます」と充実した表情を見せつつ、自身の引退試合についても「ここにいる坂本勇人選手と日本代表以来の三遊間を組めて、本当に忘れられない試合になりました」としみじみと振り返った。一方の坂本も「代表で一緒にプレイさせていただいたんですけど、いつか同じチームで1年間戦いたいなというふうに唯一思った人」と明かし、「同じユニホームを着てプレイできたことは、僕の野球人生の中でも財産になりました」と感慨深げに回想。一緒のチームで戦ってみたいと思った理由を聞かれると、「試合中も練習中も一番声を出して、盛り上げてくれる。味方の選手がエラーしたり打てなかったりして、ベンチに戻ってきた時の声の掛け方だったり、こういう人と1年間プレイしたら、常にポジティブな気持ちでプレイできるんだろうなと(思った)」と説明していた。
2023年12月02日巨人の坂本勇人、ロッテの角中勝也が、「2023 スカパー! ドラマティック・サヨナラ賞 年間大賞」を受賞し、1日に都内で行われた表彰式に登壇した。レギュラーシーズンを通じて最も劇的なサヨナラ本塁打、またはサヨナラ安打などを放った選手(セ・パ各1名)に贈られる同賞。昨年に引き続き、月間「スカパー! サヨナラ賞」全12プレーの中から、ファン投票により選出され、受賞両選手にはそれぞれ、オリジナルトロフィーと賞金200万円が贈呈される。今年は、6月16日に東京ドームにて行われた対楽天戦で劇的な逆転サヨナラ3点本塁打を放った巨人の坂本勇人と、7月24日にZOZOマリンスタジアムで行われた対ソフトバンク戦で起死回生の代打逆転サヨナラ2点本塁打を放ったロッテの角中勝也が受賞した。表彰式で、坂本は「スカパー! ドラマティック・サヨナラ賞 年間大賞に選んでいただき、本当にありがとうございます」と挨拶。「今年はチームが4位という中で、まさかこの賞に選んでいただけると思っていなかったので、大変光栄です」と感謝を伝え、「来シーズンはチームが優勝し、そしてまたこの賞を頂けるように精一杯頑張りたいと思いますので、来シーズンもあたたかいご声援をよろしくお願いします。本日はありがとうございました」と来シーズンへの意気込みを語った。なお、今回の表彰式では、鈴木健アナウンサーと袴田彩会アナウンサーがMCを務め、過去に同賞を2回受賞している松田宣浩氏、スカパー! CMに出演中のやす子もゲストとして登場した。
2023年12月01日企画展「坂本龍一展(仮)」が、東京都現代美術館にて、2024年12月21日(土)から2025年3月30日(日)まで開催される。坂本龍一、創作の軌跡をたどる坂本龍一は、多彩な表現活動を通して、常に時代の先端を切り拓いてきた音楽家・アーティストだ。1952年に生まれ、78年に『千のナイフ』でソロデビューした坂本は、同年に「イエロー・マジック・オーケストラ(Yellow Magic Orchestra)」に参加。83年の散開後も、映画『戦場のメリークリスマス』や『ラストエンペラー』の音楽を手がけるなど、多方面で活躍している。さらに2000 年代以降は、 さまざまなアーティストとともに空間内で音を立体的に設置する試みを積極的に展開するも、2023年にこの世を去った。企画展「坂本龍一展(仮)」は、坂本による大型インスタレーションを包括的に紹介する、日本初となる最大規模の個展。生前の坂本が本展のために構想した新作に加えて、これまでの代表作を美術館屋内外の空間に展開し、その創作活動の軌跡をたどってゆく。展覧会概要企画展「坂本龍一展(仮)」会期:2024年12月21日(土)〜2025年3月30日(日)会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F・B2F住所:東京都江東区三好4-1-1※詳細については追って告知【問い合わせ先】TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
2023年11月30日坂本龍一の最初で最後の長編コンサート映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』が第36回東京国際映画祭で10月24日に上映され、上映前に坂本龍一と親交のあった役所広司が登壇したトークショーが行われた。また2024年春に日本公開されることも決定した。2023年3月に逝去した音楽家、坂本龍一。闘病生活を続けていた彼が最後の力を振り絞り演奏したソロ・コンサート。2022年9月、東京のNHK 509スタジオで行われた撮影に、2000年に坂本さんのためにカスタムメイドされ、長年コンサートで愛用したヤマハのグランドピアノだけで臨んだ。「Merry Christmas Mr. Lawrence」、2023年に発表された最後のアルバム「12」からの曲、初めてピアノ・ソロで演奏された「Tong Poo」まで、自身が選曲した20曲から構成。ボーダーを越え活動を続けた坂本さんの軌跡を辿る曲目、鍵盤を奏でる指と音楽家の息遣い、その人生が刻みこまれた手。坂本さんが全面的に信頼を寄せた監督と撮影クルーたちが入念に撮影プランを練り上げ、親密かつ厳密な、世界でひとつしかない宝物のような映画空間を生み出した。坂本さん自身がアプルーブし、入念なポストプロダクションを経て完成した、最初で最後の長編コンサート映画である。東京国際映画祭での上映に登壇した役所さんは「坂本さんに最初にお会いした時から、人間としてとても魅了され、尊敬し、勝手に恩師だと思っています」と坂本さんとの交流について語り、「以前に坂本さんがお元気だった頃に対談させてもらって、その時にスタジオで演奏される姿を目の前で観たことがあります。その時は筋力に溢れていらして、その演奏もとても素晴らしかったけど、今日これから観ていただく作品の坂本さんは、その時のような筋力はないんですね。でも筋力はないけれど、一音一音に気を込めて弾いてらっしゃる姿が、そして色々なものを削ぎ落として演奏されている姿がとても美しく、人間はここまで美しくなれるのかと感動しました」と本作の魅力を語った。『Ryuichi Sakamoto | Opus』は2024年春、109シネマズプレミアム新宿ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:Ryuichi Sakamoto | Opus 2024年春、109シネマズプレミアム新宿ほか全国にて公開ⓒ KAB America Inc. / KAB Inc.
2023年10月25日2023年3月28日に逝去した音楽家・坂本龍一と深い関わりがあった東京・初台のNTTインターコミュニケーション・センター [ICC]にて、2023年12月16日(土) より『坂本龍一トリビュート展(仮称)』が開催される。坂本龍一は、90年代初頭の黎明期よりインターネットに関心を持ち、インターネット・ライブを実施するなど、作品へのメディア・テクノロジーの導入を積極的に行なってきた。以降、1996年のメディア・アーティスト、岩井俊雄とのコラボレーションをはじめ、2000年代以降は、カールステン・ニコライ、高谷史郎、真鍋大度、毛利悠子といったアーティストとのインスタレーション制作など、現代美術、メディア・アートの分野でも多くの作品の制作。ICCとの関わりは同館開館以前のプレ活動期間(1991年〜)に遡り、展覧会の企画に連動したコンサートの開催(『ローリー・アンダーソン展』 2005年)や、ICC開館10周年および20周年記念企画展も坂本と高谷史郎によるものだ。2017年に開催されたICC開館20周年記念企画展「坂本龍一 with 高谷史郎|設置音楽2 IS YOUR TIME」は台湾に巡回し、作品《IS YOUR TIME》は北京での坂本の個展にも出品されたほか、現在は中国・成都で大規模個展『SOUND AND TIME(一音一時)』が行われている。メディア・アートという分野においてもはかりしれない功績を残した坂本龍一への追悼を込めて行われる今回の展覧会では、親交のあった ライゾマティクスの真鍋大度を共同キュレーターに迎え、過去の演奏データをもとにした作品や、国内外のアーティストによるかかわりのある作品、これまでのICCでの展示などの記録によって構成。未来に向けた坂本龍一像を提示することを試みる。<開催情報>『坂本龍一トリビュート展(仮称)』会期:2023年12月16日(土)~2024年3月10日(日)会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]ギャラリーA
2023年10月23日9月12日(火)今夜最終回を迎えるドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」より、伊藤沙莉、中島健人、織田裕二がクランクアップした際のコメントが到着した。本作は、執行官をテーマに描くポップなお仕事ドラマ。約4か月におよぶ撮影を終え、迎えたクランクアップ。初めてのゴールデン帯連続ドラマで主演を務めた伊藤さんは、大きなプレッシャーも抱えていたようで、時おり涙を見せながら、「小さいですが地味な戦いを勝手に1人でやったりしながら、いろいろもがくこともありました」と撮影をふり返り、「本当に皆さんのお人柄と優しさにいつも支えられていました。現場に来るのが本当に楽しみでした。楽しかったです、ありがとうございました!」と挨拶。伊藤さんとは何度も共演経験があり、常に「幼なじみのような存在」と語っていた中島さんは、「“沙莉座長”のもとしっかり作品に参加できたことが、本当にうれしかったです」と笑顔。「すごく学べた日々でした。本当にレベルの高いチームで、日々制作のクオリティーが高く、テンポも良く、もっと頑張らないといけないなと思えた撮影期間でした。織田裕二さんをはじめとした“生きる伝説”たちとも一緒にお仕事ができてよかったです」とコメント。織田さんは「『もういい歳なんで、そろそろ老兵は…』なんて思っていたら、逆に楽しくて新しい道が見えてきたような気がして…また暴れたいと思います(笑)」と確かな手応えを語りつつ、今後にも大いなる期待を抱かせるコメントを寄せた。そして今回の最終話は、執行官の仕事の中で最も難しいと言われる事件、“子の引き渡し”に挑む。また、「いつか執行官になりたい」と決意表明をしたひかりがこの先歩む道も、最終回の大きな見どころのひとつ。もちろん、司法試験の予備試験に臨んでいた栗橋の合否結果、その先の進路にも注目だ。最終話あらすじ小原樹(織田裕二)たちの前で「いつか執行官になりたい」と、重大な決意を明かした吉野ひかり(伊藤沙莉)。室長の日野純二(勝村政信)らに現実的な厳しさを説かれる中、小原だけは自分の決断を喜んでくれるのでは、と思っていたひかりだったが、小原からも「勧める自信はない」と言われてしまう。そんな中、小原のもとに「子どもの連れ去り」という、執行官の仕事の中で最も難しいと言われる事件が舞い込む。娘の碧唯(小野井奈々)と愛犬を連れ、黙って家を出てしまった夫の興津大輔(福士誠治)に対し、「子どもの引き渡し」を求める仮処分の申し立てをしていた妻の凪咲(佐津川愛美)。家庭裁判所はすぐに引き渡しの判決を出したものの、大輔側がその決定に従わなかったため、子どもを直接強制、つまり「碧唯を執行」し、凪咲のもとに連れ戻す、という事件。凪咲本人と弁護士の串木田克子(堀内敬子)の希望もあり、自ら志願してこの事件に執行補助者として協力することになったひかり。子どもを執行するということに心を痛めていると、案の定小原から「そんなデリケートなハートで執行官なんかなれるか」と言われてしまう。そんな中、大輔が栗橋祐介(中島健人)の大学の先輩だということが判明。栗橋が大輔から聞いていた話と、凪咲が裁判所で話した内容にあまりにも違いがあったため、不安を抱えながら執行当日を迎える小原たちだったが、想定外の出来事が発生し、小原はショックを受けてしまう――。「シッコウ!!~犬と私と執行官~」は毎週火曜日21時~テレビ朝日系にて放送中。(シネマカフェ編集部)
2023年09月12日2024年3月28日(木)から坂本龍一が生涯最後に手掛けたシアターピース「TIME」が上演されることが決定した。「TIME」は、2021年に坂本龍一がアソシエイト・アーティストに選出された世界最大級の舞台芸術の祭典「オランダ・フェスティバル」(オランダ・アムステルダム)にて、世界で初めて上演された作品。サウンド・インスタレーション・パフォーマンス・ヴィジュアルアートが劇場空間で融合する唯一無二の鑑賞体験は、満場のスタンディングオベーションをうけるほどの高い評価を獲得。今回遂に日本で初めての上演を迎えることになった。1999年に日本武道館・大阪城ホールで上演され、約4万枚が即完売した公演「LIFE a ryuichi sakamoto opera 1999」に続く本作。坂本龍一が全曲を書き下ろし、コンセプトを考案、生前最後に手掛けたこのシアターピースでは、そのヴィジュアルデザインとコンセプトを、坂本と数多くのプロジェクトで創作をともにした高谷史郎(ダムタイプ)が手掛ける。出演には、田中泯、宮田まゆみ、石原淋が名を連ねる。田中は、ダンサー、そして俳優としても国際的に活躍している実力者。宮田は、伝統楽器「笙」を国際的に広めた第一人者で、ジョン・ケージ、武満徹など、世界的アーティストの新作初演も手掛けている。石原は、今回の日本初公演で新たにキャスティングされた、国内外で多彩な活躍を続けるダンサー。オランダでの世界初演から、更なる進化を遂げた本作に期待が膨れ上がる。公演は、東京・新国立劇場(中劇場)で2024年3月28日(木)〜4月14日(日)、京都・ロームシアター京都(メインホール)で2024年4月27日(土)〜4月28日(日)に上演される。<公演情報>RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI『TIME』音楽+コンセプト:坂本龍一ヴィジュアルデザイン+コンセプト:高谷史郎出演:田中泯(ダンサー)宮田まゆみ(笙奏者)石原淋(ダンサー)【東京公演】2024年3月28日(木)〜4月14日(日)会場:新国立劇場(中劇場)【京都公演】2024年4月27日(土)〜4月28日(日)会場:ロームシアター京都(メインホール)チケット情報公式サイト
2023年09月11日今年3月28日に71歳で亡くなった、坂本龍一の意思を継いだ「一般社団法人坂本図書」が立ちあがったことがわかった。「坂本図書」は、「いつか古書店の店主になるのが夢だった」と語るほど愛書家として知られる坂本さんが2017年から準備を進めていた、自身の本を多くの人と共有するための図書構想。今回の「一般社団法人坂本図書」の設立に伴い、坂本さん所蔵の本を実際に手に取り、読むことができる空間「坂本図書」が東京都内に9月末にオープンする。大きくはない空間のため、完全予約制で場所は非公開で運営。予約できた人だけがその場所にたどり着くことができる、特別な場所になりそうだ。予約の詳細などは、「坂本図書」のSNSやオフィシャルサイト、登録制のニュースレターから知ることができる。また、この設立にあわせて書籍「坂本図書」の刊行も9月24日に決定。本書は、2018年から2022年まで雑誌『婦人画報』で連載していた「坂本図書」全36回分の他、坂本さんが絶大な信頼を寄せた編集者・鈴木正文氏との対談(2023年3月8日実施)、「2023年の坂本図書」が新たに収録される。発売元となるバリューブックスの「坂本図書」ページで予約すると、本書内でも語られている夏目漱石の短編「夢十夜」の冊子(初版500部限定)と、坂本さんの残した言葉を記した坂本図書オリジナルしおりが付いてくる。書籍「坂本図書」は本日8月28日よりバリューブックスおよび、全国の書店で予約開始(なお、上記の予約購入特典の配布は予告なく終了する場合があり)。(シネマカフェ編集部)
2023年08月28日昨年に引き続き中田裕二を迎えた『LIVE in the DARK tour w/中田裕二』の開催が決定しました。今年は11月1日(水)にプラネタリウム天空(東京)、11月11日(土)にバンドー神戸青少年科学館(神戸)の2会場を巡るプラネタリウムツアーとして開催します。東京・神戸を巡るプラネタリウムツアー『LIVE in the DARK tour w/中田裕二』開催決定!卓越したソングライティングと、オリジナル、カバー問わず巧みに自身の世界を表現するボーカルワークで、業界内外からも厚い支持を集める中田裕二を迎え、東京・神戸を巡る『LIVE in the DARK tour w/中田裕二』を開催します。昨年11月に開催した『LIVE in the DARK tour』のチケットは早々に完売し、プラネタリウムライブとの親和性を改めて示した中田裕二。さらにその東京公演の模様はニューアルバム「MOONAGE」のボーナスディスクとして音源化されリリースされるなど大きな話題を集めました。今年もプラネタリウムに合わせた特別なセットリストと共に、星々と中田裕二の音楽が共鳴する唯一無二の空間をお楽しみください。▼特設サイト 『LIVE in the DARK』とはプラネタリウムでしか体験できない、音楽と星空、そして暗闇が共鳴する全く新しい音楽エンターテインメント。星々がひしめく暗闇の中、耳を澄ませてみると、日常生活では感じることができなかった、微かな音の“表情”をしっかりと感じることができるはずです。全天周映像演出は数多くのライブ演出を手掛ける、ビジュアルデザインスタジオ“HERE.”が担当し、星空、音楽、そして映像がシンクロする、ここでしか体感できないプラネタリウムライブを実現します。良質な音楽、そしてプラネタリウムという非日常空間で、特別なひと時をぜひ。●チケット販売に関して●■中田裕二オフィシャルファンサイト「CLUB PATHOS」会員先行受付(抽選)期間:2023年8月19日(土)10時00分~8月27日(日)23時59分※「CLUB PATHOS」プレミアム会員/一般会員の方が対象となります (スマートフォン専用サイト)■一般販売(先着)期間:2023年9月9日(土)10時00分~※予定枚数に達し次第受付を終了します ※ticket board先行受付、一般販売いずれの場合も『LIVE in the DARK』特設サイトに記載されている注意事項を必ずご確認の上お申込みください。※ticket boardをご利用いただくために会員登録(無料)が必要です。※ticket boardに記載の応募規定(枚数/席種等)及び、申込に際しての注意事項をご確認の上ご応募下さい。●『LIVE in the DARK tour w/中田裕二』東京公演 概要●出演:中田裕二 / サポート:sugarbeans (Key.)、四家卯大(Vc.)日程:2023年11月1日(水)時間:1st Stage 18:30開演(18:00開場) / 2nd Stage 20:30開演(20:00開場)料金:一般シート:7,500円(税込) / 三日月シート:17,000円(税込) ※2名掛け/各公演3席限定会場:コニカミノルタプラネタリウム天空 in東京スカイツリータウン(R)●『LIVE in the DARK tour w/中田裕二』神戸公演 概要●出演:中田裕二 / サポート:sugarbeans (Key.)、四家卯大(Vc.)日程:2023年11月11日(土)時間:19:00開演(18:30開場)料金:一般シート:7,500円(税込) / リラックスシート:17,000円(税込) ※2名掛け/各公演4席限定会場:バンドー神戸青少年科学館ドームシアター(プラネタリウム)【イベントに関する注意事項】※本イベントはプラネタリウムという会場の特性上、様々な制限を設けさせていただいております。「特設サイト」に記載されている注意事項を必ずご確認の上、チケット購入/来場をして下さい※イベントの延期/中止を除き、感染症を含む個人的な体調不良や周辺環境等の理由による払い戻しは行いませんので、ご了承の 上チケットをお買い求め頂きますようお願い致します※本イベントはプラネタリウム施設で星空、映像、音楽をお楽しみいただくイベントです。演出の都合上又は、ドームの座席配置の関係でステージ(アーティスト)が見えにくい場合がございます※中央後方のお席はプラネタリウム機器の関係でステージが見えにくくなっておりますが、星空・ドーム演出は一番見やすいエリアとなっております※本イベントは時節に応じた感染症防止対策を行い実施いたします※イベントの性質上、小学生以下のお客様はご入場いただけません●中田裕二(なかだゆうじ) プロフィール●1981年生まれ、熊本県出身。2000年にロックバンド「椿屋四重奏」を結成、フロントマンおよびすべてのレパートリーのソングライターとして音楽キャリアをスタート。2011年のバンド解散直後からソロとしての活動を開始。コンスタントなオリジナル作品の発表&全国ツアーの開催、オリジナル/カヴァー不問の数多くのレパートリーの中からその場でセットリストを決めていく弾き語りライブツアー《中田裕二の謡うロマン街道》、カヴァーアルバム『SONG COMPOSITE』のリリース、さらには他アーティストへの楽曲提供やサウンドプロデュースなど、精力的に音楽活動を展開している。確かな歌唱力に裏打ちされた艶のある歌声、幼少時に強く影響を受けた70-80年代の歌謡曲/ニューミュージックのメロディセンスを核に、あらゆるジャンルを貪欲に吸収したバラエティに富むサウンドメイクと様々な情景描写や人生の機微をテーマとした詞作によるソングライティングが幅広い層に支持されている。この夏、椿屋四重奏デビュー20周年を祝した「椿屋四重奏二十周年」としての期間限定でのライブ活動も話題に。中田裕二 HP: ●株式会社HERE.(ヒア)●代表土井昌徳。プロジェクションマッピングやVR360°ドームパノラマ映像の制作に特化した少数精鋭のビジュアルデザインスタジオ。プロジェクションマッピングでは、百貨店の常設やホテル、アーティストのライブ等、大規模案件の実績も多数。時代を捉えた演出と高い技術に裏付けられた良質なコンテンツ提供に定評がある。また、次世代のVR ドームシアター向け素材販売サイト「Shout!360」も運営、動画制作に役立つTipsも連載中。【Shout!360詳細 www.shout360.xyz】 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年08月18日2023年8月16日、漫画家の佐野菜見さんが、ガンのため同月5日に亡くなったことが分かりました。36歳でした。佐野さんは、2010年に漫画『ノンシュガーコーヒー』でデビュー。以降、アニメ化となった『坂本ですが?』や『ミギとダリ』などの作品で人気を博しています。2023年7月には『ミギとダリ』のアニメ化も発表されていました。株式会社KADOKAWAが発行している漫画誌『ハルタ』のSNSアカウントでは、佐野さんのご家族と編集部からの言葉が公開されています。【読者の皆様へ】漫画家の佐野菜見さんが8月5日に逝去されました。『坂本ですが?』『ミギとダリ』など素晴らしい漫画を描いてくれたことに感謝すると共に、心よりご冥福をお祈り申し上げます。読者の皆様へ、佐野さんのご家族と編集部からの言葉をお伝えします。ご一読いただければ幸いです。 pic.twitter.com/5qqXUfqKp5 — ハルタ (@hartamanga) August 16, 2023 編集部からの文書によると、佐野さんは『ミギとダリ』の連載を終えてから、アニメの監修をこなしながら、新作の打ち合わせをしていたとのこと。佐野さんのことを「とにかく漫画に真っ直ぐ」で「面白い漫画を描くため、漫画家として成長するための努力をできる人」だとつづっています。佐野さんの作品『坂本ですが?』『ミギとダリ』は多くの人を笑顔にしてきました。この先も多くの人に笑っていただけると幸いです。10月からは『ミギとダリ』のアニメの放送も始まります。佐野さんはアニメの出来の良さにとても喜んでいました。こちらも楽しんで頂けると嬉しいです。@hartamangaーより引用また、ご家族からのメッセージには、佐野さんの遺書に書かれていた言葉も添えられていました。ファンの皆様へ娘の菜見は進行の早い癌により闘病1か月と言う早さで8月5日に旅立ちました。ご愛読いただきましてありがとうございました。「この人生は楽しい人生だったわさ私はこれから多分もっと自由な世界にいってきます…アバヨ」(遺書より抜粋)@hartamangaーより引用佐野さんの作品に親しんできたファンからは、訃報に際し、さまざまなメッセージが寄せられています。・佐野さんの漫画が最高に大好きです。ご冥福をお祈りします。・『坂本ですが?』に、たくさん笑わせていただきました。ありがとうございます。・佐野さんの漫画を友人に「読んでくれ!」と勧めてまわった覚えがあります。・面白くて素敵な漫画をありがとうございました。多くの人を楽しませてきた佐野さんの作品は、これからもたくさんの人を笑顔にし、愛され続けることでしょう。佐野さんのご冥福を心よりお祈りいたします。[文・構成/grape編集部]
2023年08月16日是枝裕和監督×脚本・坂元裕二×音楽・坂本龍一による映画『怪物』の興行収入が20億円を突破したことが25日、明らかになった。同作は是枝裕和監督と脚本家・坂元裕二によるオリジナル作で、第76回 カンヌ国際映画祭で脚本賞、クィア・パルム賞を受賞した。大きな湖のある郊外の町に存在する、息子を愛するシングルマザー(安藤サクラ)、生徒思いの学校教師(永山瑛太)、そして無邪気な子供たち(黒川想矢、柊木陽太)。そこで起こったのはよくある子供同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した。6月2日より全国341館で公開した同作は、7月24日に興行収入20億を突破(動員:1,455,470人 興行収入:2,000,920,610円)。是枝裕和監督作品で興行収入20億を超えたのは、第66回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した『そして父になる』(13/福山雅治主演)、第71回カンヌ国際映画祭最高賞のパルムドール受賞し、第91回アカデミー賞外国語映画賞ノミネートも果たした『万引き家族』(18/リリー・フランキー、安藤サクラ主演)に続き3本目となる。公開後は40~50代の映画ファンや20代カップルを中心に幅広い層の観客が劇場を訪れ、映画レビューサイトでも高評価が続くなど好評を得ている。2度3度と鑑賞するリピーター客も多くみられ、鑑賞後に感想や見解について語り合いたい、確かめ合いたいという声も多く届き、各地で計12回実施しているティーチイン付き上映も、活況を呈しているという。すでに公開を迎えたアジア各国の成績も好調で、香港ではすでに『万引き家族』の最終成績を塗り替えるなど、世界的にも話題を呼んでいる。現地時間9月7日 ~ 9月17日の期間で開催される第48回トロント国際映画祭スペシャルプレゼンテーション部門への出品も決定し、北米プレミアを迎える。是枝監督作品のトロント国際映画祭への出品は、2019年の『真実』、22年の『ベイビー・ブローカー』での同部門出品に続くものとなり、最高賞にあたる観客賞の選考対象となる。(C)2023「怪物」製作委員会
2023年07月25日坂本龍一の作品を、クラシック界で活躍する若き俊英たちが演奏するコンサートが8月29日(火)に東京オペラシティ コンサートホールにて開催される。ピアニストの中野翔太とヴァイオリニストの成田達輝。ふたりが坂本と初めて会ったのは、2022年9月のことだった。中野翔太(Pf)、成田達輝(Vn)成田「坂本さんが東京芸術大学の学生時代に書いたヴァイオリン・ソナタと弦楽四重奏曲を録音するとのことで、ヴィオラ奏者の安達真理さんから声がかかりました。僕の場合、坂本さんといえば、YMOのファンだった母がピアノで弾く『Energy Flow』を小さい頃からいつも聴いていた思い出があって。僕はバッハの音楽にはじめて触れたのとほぼ同時期に、坂本さんの音楽を聴いていたのだと思うと、まるで自分にとっての“音楽の父”のように感じる存在でした」中野「僕にとっても坂本さんは特別な存在です。僕は15歳からアメリカに留学したのですが、なぜ日本人である自分が西洋の音楽をやっているのか、意味を見出せなくなって、壁にぶち当たっていた時期がありました。そんなとき、ふと坂本さんの音楽が耳に入ってきて、“あ、こういうことなんだ”と思ったんです。言葉にするのが難しいですが、今までの自分の悩みが小さなものに感じられました。それから坂本さんの音楽にどんどん惹き込まれていきました」今回のコンサートでは、そのヴァイオリン・ソナタを聴くことができる。1970年に作曲され、ほとんど人前で演奏されることのなかった作品だ(1984年の演奏が録音として残っている)。中野「おそらく皆さんがイメージするような坂本さんの作風ではなく、現代音楽的な響きのなかに、ラヴェルやドビュッシーをはじめさまざまな音楽の要素が詰め込まれている感じ。若き日の坂本さんの“やってやる!”という音楽に対する情熱があふれ出ているような作品です」成田「無駄のない、高度な作曲テクニックで書き上げられた形式的な第1楽章、能のすり足を思わせるような第2楽章、そして血潮がほとばしるような鮮烈さをきわめた第3楽章。ギラギラしたものを感じます」LEO(箏) (C)NIPPON COLUMBIAさらに特別ゲストとして、同じく坂本をリスペクトする箏アーティスト、LEOを迎え、「戦場のメリークリスマス」「M.A.Y in the backyard」をトリオで披露。「ラストエンペラー」「The Sheltering Sky」といったおなじみのメロディから、ウクライナのヴァイオリニストとコラボした「Peace for Illia」など最新の楽曲まで、“作曲家・坂本龍一”の本質を伝えるコンサートとなるに違いない。アフタヌーン・コンサート・シリーズ 2023-2024若き俊英たちによる戦場のメリークリスマス8月29日(火) 13時30分東京オペラシティ コンサートホール■チケット情報出演中野翔太(Pf)、成田達輝(Vn)、LEO(箏)曲目坂本龍一:戦場のメリークリスマスラストエンペラーPeace for IlliaソナタA Flower is not a Flower文:原典子
2023年07月20日4月14日(金) から5月31日(水) まで開催されていた坂本龍一の関連作品を上映するイベント『Ryuichi Sakamoto Premium Collection』が、7月14日(金) から12月28日(木) にかけて109シネマズプレミアム新宿で再び開催されることが決定した。再開催ではこれまでのラインナップに加え、同館のシアター音響監修を務めた坂本が音楽を担当した新旧の映画作品や自身のドキュメンタリー映画、さらに彼が同館の館内楽曲を制作中に「#観たいもの」とメモしていた作品を追加。また、「フィルム上映できる劇場をぜひつくって欲しい」という坂本の意志のもと作られた同館だからこそできる、35mmフィルムでの上映作品も用意されている。<イベント情報>『Ryuichi Sakamoto Premium Collection』7月14日(金) ~12月28日(木) 109シネマズプレミアム新宿『Ryuichi Sakamoto Premium Collection』告知画像【上映作品】7月14日(金)~27日(木):『アフター・ヤン』7月28日(金)~8月10日(木):『怒り』8月11日(金・祝)~24日(木):『Ryuichi Sakamoto: CODA』8月25日(金)~9月7日(木):『シェルタリング・スカイ』9月8日(金)~21日(木):『坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK: async』9月22日(金)~10月5日(木):『ラストエンペラー 劇場公開版 4K レストア』※4K10月6日(金)~19日(木):『ヤンヤン 夏の想い出 』※35mmフィルム10月20日(金)~11月2日(木):『御法度』※35mmフィルム11月3日(金)~16日(木):『東京物語』 ※35mmフィルム11月17日(金)~30日(木):『秋刀魚の味』※35mmフィルム12月1日(金)~14日(木):『愛の悪魔 フランシス・ベイコンの歪んだ肖像』※35mmフィルム12月15日(金)~28日(木):『戦場のメリークリスマス』※35mmフィルム・4K109シネマズプレミアム新宿 公式サイト:
2023年07月06日Netflixは29日、脚本家・坂元裕二氏との5年契約の締結を発表。今後は坂元氏が手掛ける脚本の新作シリーズや映画を複数制作し、独占配信していく。世界各国でリメイクされ、世界的ヒットとなった『Mother』(10)、『最高の離婚』(13)、『カルテット』(17)、『大豆田とわ子と三人の元夫』(21)など、数々の名作を生み出してきた坂元氏。是枝裕和監督がメガホンを取った映画『怪物』の脚本を担当し、第76回カンヌ国際映画祭にて日本映画では史上2度目となる脚本賞を受賞したことも記憶に新しい。Netflixで、坂元裕二脚本の第1弾となる映画『クレイジークルーズ』の配信も控えている中での今回の発表。Netflixコンテンツ部門バイス・プレジデントの坂本和隆氏は、「私を含め多くの方が、坂元さんの描く物語に心を動かされ、登場人物とともにその世界に深く没入していったことと思います。何よりも坂元さんの作品を待つ人は、日本のみならずグローバルにも多く存在します。そして、未だ語られていないストーリーを見つけ、全世界に届けていくことはNetflixのミッションです。坂元さんが生み出すオリジナリティあふれるストーリーテリングを、最高の制作環境で具現化し、世界中の視聴者にお届けできることを楽しみにしております。Netflixは国内実写制作でのさらなる魅力的で充実したラインナップを目指してまいります」とコメントを寄せている。
2023年06月29日中田裕二が、今夏限定で椿屋四重奏ライブを開催することをサプライズ発表した。椿屋四重奏は、中田が20歳の時に仙台で結成したロックバンド。2011年1月のバンド解散まで、歌謡曲のエッセンスを取り込んだオリジナリティを誇るロックサウンドで熱心なファンを多く獲得した。今回の期間限定活動は、ミニアルバム『椿屋四重奏』でデビューしてから20周年を記念して行われる。本公演は、「椿屋四重奏二十周年」という名の下、音楽活動を引退している永田貴樹(B)は不参加ながら、オリジナルメンバーの小寺良太(Ds)、2011年以降の中田のソロ活動を支えてきた奥野真哉(Key/ソウル・フラワー・ユニオン)、隅倉弘至(B/初恋の嵐)、カトウタロウ(G)という強力なラインナップでステージに臨む。同メンバーによるライブは、中田裕二としてすでに出演が発表されている北海道の音楽フェス『JOIN ALIVE 2023』を皮切りに、バンド結成の地・仙台で同期デビューのロックバンド「THE YOUTH」とのツーマン、そしてデビュー日に当たる8月27日(日) の東京・昭和女子大学人見記念講堂でのワンマンの計3本を予定している。<ライブ情報>『椿屋四重奏二十周年』『椿屋四重奏ニ十周年』ビジュアル7月15日(土) 『JOIN ALIVE 2023』北海道・いわみざわ公園8月11日(金) 『椿屋四重奏二十周年とTHE YOUTH “伊達男頂上決戦”』※同期デビューのロックバンド「THE YOUTH」とのツーマン宮城・SENDAI GIGS8月27日(日) 『椿屋四重奏二十周年記念公演 “真夏の宵の夢”』※デビュー記念日ワンマン東京・昭和女子大学 人見記念講堂■出演アーティスト中田裕二(Vo&G)小寺良太(Ds)奥野真哉(Key/ソウル・フラワー・ユニオン)隅倉弘至(B/初恋の嵐)カトウタロウ(G)中田裕二オフィシャルサイト:テイチクエンタテインメント:
2023年06月24日雑誌『SWITCH』の坂本龍一特集号が、2023年6月20日(火)に発売される。『SWITCH』の坂本龍一特集、膨大なアーカイブを分解・再編集音楽家として比類なき作品の数々を残し、2023年3月28日に逝去した坂本龍一。「特集 坂本龍一 Ars longa, vita brevis. 芸術は長く、人生は短し」と名付けられた本号は、これまでに幾度となく坂本にまつわる特集を組んだ『SWITCH』が、膨大なアーカイブを4つのテーマに分解・再編集した特別な一冊だ。音楽・美術・映画・環境の4つテーマ「音楽」設けられたテーマは、「音楽」「美術」「映画」「環境」の4つ。例えば「音楽」では、坂本龍一の自作解説はもちろん、盟友の細野晴臣と高橋幸宏が語る「坂本龍一の10曲」、ニューヨークのプライベートスタジオ取材、アルヴァ・ノトや大貫妙子といったコラボレーターとの対話などを紹介しながら、その音楽的な魅力に迫る。「映画」また、坂本のキャリアを語る上で欠かせない「映画」も見逃せないテーマの一つだ。映画『戦場のメリークリスマス』の思い出を開陳しつつ独自の大島渚論を展開した2010年2月号の特集「闘う、大島渚」、ジャン=リュック・ゴダールの10作品を選び語った2011年1月号、劇伴を努めた『レヴェナント:蘇えりし者』をめぐる真鍋大度との対談などを収録している。現代美術との関係性、環境保全問題もこのほか、早い時期から声を上げ続けてきた環境保全問題、現代美術との関わりの原点ともいえるナム・ジュン・パイク、ジョン・ケージとの邂逅の記録など、様々な角度から特集を組んできた『SWITCH』ならではの視点で、その好奇心・想像力・そして反骨精神のあり方に迫る内容となっている。書籍情報SWITCH Vol.41 No.7(2023年7月号)特集 坂本龍一Ars longa, vita brevis. 芸術は長く、人生は短し発売日:2023年6月20日(火)価格:1,540円
2023年06月19日監督・是枝裕和、脚本・坂元裕二、音楽・坂本龍一による映画『怪物』から、坂元作品の常連俳優・永山瑛太が不気味さと親しみやすさの二面性を巧みに表現した“保利先生”の本編映像が到着した。舞台となるのは大きな湖のある郊外の町。シングルマザーの早織(安藤サクラ)は、息子・湊(黒川想矢)の告白により、担任教師である保利(永山瑛太)からモラルハラスメントを受けていることを知り衝撃を受ける。早織は学校に説明を求めるも、学校はまともに真相を確かめようとせず、また保利は「あなたの息子さん、イジメやってますよ」とまで言い放つ。息子を守りたい一心で、懸命に学校に訴え続けるが…。この度解禁となった本編映像で映し出されるのは、永山さん演じる担任教師・保利の登校シーン。桜が舞い散る木漏れ日の中、児童たちと談笑しながら登校する平和な日常が切り取られている。保利が歩いていると、後ろから男子児童が集めた桜の花びらを投げつけるが、保利は花びらにまみれながらも笑顔で応え、子どもたちから親しまれている様子がうかがえる。少し歩くとカバンを道に投げ出し、脱げてしまった靴を履き直す星川依里(柊木陽太)の姿が…。依里を見つけるとすぐに「星川、どうした?」と心配そうに声をかけ、カバンを拾って渡す姿からは“児童思いの教師”の姿が垣間見える。「僕が俳優を続けている限り、一生お付き合いしたい」本作の主人公の1人である保利の不気味さと親しみやすさの両面を見事に表現したのは、本作で脚本を務めた坂元裕二作品に常連といっていいほど数多く出演してきている永山さん。2000年代の連続ドラマ「リモート」、「男湯」シリーズなどをはじめ、主演ドラマ「それでも、生きてゆく」や「最高の離婚」、コロナ禍でリモートでの制作が話題となったドラマ「Living」など、坂元作品には欠かせない存在となっており、本作の保利役は永山さんにあて書きされたことも明かされている。その一方で、是枝作品には初参加。是枝監督は永山さんについて、「以前からご一緒したいと思っていました」と語り、インタビューなどでその表現力を絶賛している。坂元裕二と是枝裕和、2人の巨匠による夢のような座組への参加について永山さんは、完成披露舞台挨拶で「坂元さんとは、二十代の前半からいろいろお付き合いさせてもらい、数々の素晴らしい脚本を書いてもらいました。僕が俳優を続けている限り、一生お付き合いしたいと思っています」とコメント。そして「是枝さんは、僕が俳優をはじめてから、自分なりにこの人が日本映画を変えていくのだろうと感じて、全作品を拝見してきました。そのお二人の座組に自分が入れたことを幸せに感じています」と語り、喜びを露わにしている。『怪物』は全国にて公開中。(シネマカフェ編集部)■関連作品:怪物 2023年6月2日より全国にて公開©2023「怪物」製作委員会
2023年06月15日東京・早稲田大学で10日に行われた授業「マスターズ・オブ・シネマ」で映画『怪物』がテーマとなり、是枝裕和監督、坂元裕二、岡室美奈子教授(聞き手)が登壇した。同作は是枝裕和監督と脚本家・坂元裕二によるオリジナル作で、この度、第76回 カンヌ国際映画祭で脚本賞、クィア・パルム賞を受賞した。大きな湖のある郊外の町に存在する、息子を愛するシングルマザー(安藤サクラ)、生徒思いの学校教師(永山瑛太)、そして無邪気な子供たち(黒川想矢、柊木陽太)。そこで起こったのはよくある子供同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した。同作で第76回 カンヌ国際映画祭 脚本賞を受賞した坂元だが、「監督が書いたセリフがところどころにあって、それがオセロをひっくり返すように素晴らしい。それがなかったら全然違う印象を受けたんじゃないかというシーンがいくつかあって、中でもジャングルジムに登りながら宇宙が破裂する話をしていて、最後の締めに『じゃあ準備をしなきゃね』というのが後から足したセリフなんですよ。あるかないかで、映画の面白さ全然かわるんですよ」と絶賛。「僕がハッとして、『あのセリフめちゃくちゃすごいですね』という話をしたんですけど、どれだけ違うのか考えてもらえると」と映画の道を志す学生にアドバイスする。さらに坂元は、是枝監督が足したセリフについて「『神崎先生はいい先生でした』というところとか、ないと学校に対する見方も変わる。監督から『足したい』と書かれていて、なんでかなと考えたんだけど、上がってみたもの見ると、『このセリフ大事だったな』とはすごく思いましたね」と感心。是枝監督は「校長室にいる先生たちの中でも濃淡があった方がいいなと思ったんですよ。セリフを足すというよりは目配せだけでお芝居をしてて、神崎先生が褒められている、それを校長先生と教頭はお前だけ褒められやがって的な目で見て、褒められてるのに逆にいたたまれない感じは、台本ではなくて。あの空間の中で台本を触らずにやる演出で、そういうのが好きです」と明かした。坂元は「監督はそんなに注文出されなくて『ここがいいよね』とお手紙をくださるんですけど、意地悪な言い方をすると、手のひらの上に乗せられているというか、『ちょっとここのボタンを押すだけでお前の書いたものは変わるんだぞ』とマジックを見せられたような気分でやっていました。『ここもここも直せ』というのって、誰でもできるじゃない。でも『ちょっとここに塩を入れればいいんだよ』『あ、うまくなってる!』みたいな、そういうのが1番すごい」としみじみ。「是枝さんを語る時に『ドキュメンタリータッチ』とか『即興』ということが言われるんですけど、僕はこんなに日本一脚本がうまい映画監督はいないと思ってて、何冊も台本を読んだことがあるんですよ。ハリウッド脚本術みたいなセットアップがきっちりとあって、教科書的なものが全て網羅されていて、こんなにしっかりとした脚本はないんですよ。現場で作られてるにしても、前もって書いてあるにしてもこんなにも脚本がいい映画はない。それを何もかも現場でアドリブで作ってるドキュメンタリータッチだというのは、ご本人がやって誘導してるのか、世間の誤解なのか僕が思ってる実態とは違うなと思ってる」と主張する。是枝監督は「ありがとうございます」と照れつつ、「たぶん、映画で見て自然だと思われることほど、裏で不自然なことをやらないと自然に感じないんですよ。子供達が自然に見えるのはしっかり演じているから。『好きにしてね』と言って自然に見えるかというと、絶対にそんなことはない」と語った。
2023年06月10日東京・早稲田大学で10日に行われた授業「マスターズ・オブ・シネマ」で映画『怪物』がテーマとなり、是枝裕和監督、坂元裕二、岡室美奈子教授(聞き手)が登壇した。【※この記事は作品の結末についての記述を含みます】同作は是枝裕和監督と脚本家・坂元裕二によるオリジナル作で、この度、第76回 カンヌ国際映画祭で脚本賞、クィア・パルム賞を受賞した。大きな湖のある郊外の町に存在する、息子を愛するシングルマザー(安藤サクラ)、生徒思いの学校教師(永山瑛太)、そして無邪気な子供たち(黒川想矢、柊木陽太)。そこで起こったのはよくある子供同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した。これまでの脚本作などについて触れながら今作について話が及ぶと、坂元は「どうすれば自分が加害者になって、お客さんに加害者の主観になって体験してもらうことができるだろうか、そんなことをずっとぼんやりと十何年考えてたんです。どのように落とし込めば、お客さんに体験してもらうことができるるだろうか。その形として、自分が加害者としての主観を持ったものを作りたかったのが、このお話の構造なんです」と明かす。「三部構成がそうなんですが、初めはシングルマザーである安藤サクラさんの早織という役が『自分の息子がいじめられてるんじゃないか』と動き出すんですけど、瑛太くん扮する保利先生からはまた違ったように見えて、それぞれに自分が見えないままで誰かを傷つけていたという物語の構造ということですね」と説明した。「横断歩道で前のトラックが動かないからクラクションを鳴らしたら、実はトラックが車椅子の歩行を待っていた」という経験談も交えながら話す坂元。今作を描くにあたって「勇気がいったのでは」という岡室教授の質問には、「加害者の話も、彼らの話も僕は自分の経験をベースに作っているので、とにかく自分の中にあるものを『この人に届けたい』という1人の人を想定してその人に向かって届ける、それがすべて。自分の中では嘘はついていないし、子供の頃に感じた感情、いくつかの出来事、友達との関係、全て思い返しながら書いたので、勇気というよりは自分のことをいつものように書いていました」と語る。また、是枝監督は「最初にプロットを渡された時に、(坂元作品の)どの系譜に連なるものだろうかとは考えました。僕の中では『わたしたちの教科書』かもしれない。『世界を変えることはできますか』という問いが重要なものとして出てくるでしょう。この映画にはそのセリフは出てこないけど、多分そういう問いかけがあの2人を通してこちら側に投げかけられているんだろうなと考えたんですよ。台本の中にセリフにすることはないけれども、ページを開いたところに『世界が生まれ変われるか』という一文を咥えさせてもらったんです。その一言を、作り手である自分に常に問いかけよう、というのがスタンスの一歩目でした」と振り返った。同作の結末について「子供2人は死んでしまったのではないか」という説があることに対しては、坂元が「これは最終意見じゃなくていちスタッフの意見だけど、全然、一択。彼らはこのまま生きているとしか僕は思えなかったですし、映画を見た時に別の世界に行ったとは受け取らなかった。フジテレビの人からメールが来て『彼らは生きてますよね?』と言われた時に、何を言ってるんだろうと思ったくらい一択でした」と感想を述べる。是枝監督も「彼らが自分たちの生を肯定して終わろうとは、台本の段階から共通認識としてもっていました。多様な読みを否定するつもりはないし、そういう悲劇を見たいという人もいるだろうし、見ようとすると光に満ちてることがやや現実から離れて見えるのはわからなくはないので、目くじら立てるつもりはないんだけど」と同意。さらに是枝監督は「最後に光につつまれるものを、もう少しおさえましょうかみたいな意見はなくなかったんですよ。現実だと思われなくなるのではないかと。でも2人の心象風景だと思ったらあそこは嵐の中で光に満ちていた方がいいだろうと僕は考えました」と演出意図を明かす。「坂本龍一さんの『Aqua』という曲を使わせていただいて、火で始まって水で終わる話だと思ってたんですよ。あの曲は映画とは関係ないかもしれないけど、何かを寿いでいる歌で、子供達がもう一度自分たちとして生き始めることを祝福して終わる話だと思った。祝福されてる子供達の世界から、僕らは置いていかれるということだと思ったんです。嵐の中に残されてるけど、子供達は光に包まれたところに走り出したというものにしようかと思ったから、2人にはちゃんと伝えました。とにかく叫んでくれて構わない、喜びで叫んでくれ。でもなかなか叫べない。恥ずかしかったりもするから、『もっとやっていい』『もっと跳ねていい』と言って、結構撮り直していました」と振り返った。一方で、最後の子供達の姿が是枝監督&坂元に重なり「2人で次のステージに行く」姿に見えたという指摘も。2人は照れつつ、坂元は「妻にも言われました」と告白する。大人にも救いがあるかという問いには、坂元が「大人の希望というか、早織という母にも、保利という先生にもどこか罪があって、その罪について気付き考えていく時間がここから生まれるわけなので、それは見た方にも伝わるといいなと思ってるんですけどね」と語った。授業では学生からの質問も飛び出し、「社会的なメッセージのある映画をプロパガンダにしないためにはどうすればいいか」という質問には、是枝監督が「どんな映画も社会的なメッセージを持っていると思う」と回答。「まず作り手が考えて、僕もこの脚本をもらって一緒に考えてみる。この2人の幸せを阻害しているのはなんかのか、作品の世界ときちんと向き合ってみないと。作品の世界と登場人物と向き合う前に、作品が孕んでいるだろう社会的なメッセージを世界に向かって投げかけても、多分届かない。よくない態度かなと思います」と語り、坂元も「まあ社会派ではないんですが、メッセージを生み出していないとも思っていない。作品はメッセージをはらんでしまうんですよ」と頷いていた。
2023年06月10日現在公開中の映画『怪物』より、是枝裕和監督から本作の劇伴を担当した坂本龍一への感謝のコメントと制作エピソードが公開された。本作は『万引き家族』の是枝監督、『花束みたいな恋をした』の脚本家・坂元裕二、そして『ラストエンペラー』で日本人初となるアカデミー賞作曲賞を受賞した坂本という3人のコラボレーションで紡がれるヒューマンドラマ。出演者には安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、角田晃広、中村獅童、と豪華キャストが集結。先日開催された第76回カンヌ国際映画祭では坂元が脚本賞を受賞し、独立部門「クィア・パルム賞」と合わせて2冠を獲得した。これまでは脚本を執筆する際に聴いていた音楽をもとに、まず楽器のイメージを固め、それから音楽家に曲を依頼するケースが多かったという是枝監督。以前から坂本に音楽を依頼する機会を伺いながらも具体化することがなかったが、「今回は自分で脚本を書いていないので、その段階では音楽のイメージがなかったんです。ただ撮影中や編集中に、ホテルの部屋で坂本さんのピアノ曲をかけながら作業していたら、これしかないなと思って」と確信し、今作でオファーすることを決意。そして坂本へ音楽を依頼したい旨をしたためた手紙と、坂本の楽曲を仮に当てて編集した映像を送ったところ、「お引き受けしますが、スコア全体を引き受ける体力はない」という回答とともに、「思い浮かんだ曲が1、2曲ある」という返事があったという。最終的に書き下ろしの2曲と、坂本の最新アルバム『12』からの曲、そして過去の曲により、本作の音楽は構成されることになった。是枝監督は「坂本さんに断られていたら、根本から発想を変えるしかなかった。音楽も、それ以外の活動も尊敬している坂本さんに音楽をお願いすることができて、本当に嬉しかったです」と喜びをあらわにした。坂本龍一また、先日開催されたカンヌ国際映画祭の日本用囲み会見で、坂本とのエピソードを聞かれた是枝監督は、「観た直後に音楽室のシーンがすごく好きだと言ってもらい、あのホルンとトロンボーンの音を邪魔しない音楽を作ろうと思った、という意見をもらいました。映画の中から聞こえてくるような曲になったんじゃないかなとおこがましいけれど思いました」と坂本とのやりとりや本作のために書き下ろされた楽曲について振り返った。なお、坂本が音楽を担当した本作のサウンドトラックは現在発売中だ。<リリース情報>サウンドトラック『怪物』■アナログ盤&CD発売中ブックレット:是枝裕和監督コメント掲載■配信リンク:【販売形態】アナログ盤/CDDL ※バンドル配信のみサブスク ※Aquaは除く6曲で配信【収録曲】1. 202202072. Monster 13. hwit4. Monster 25. 202203026. hibari7. Aqua<作品情報>映画『怪物』公開中公式サイト:
2023年06月05日映画『怪物』(6月2日公開)の第76回 カンヌ国際映画祭凱旋記者会見が29日に都内で行われ、是枝裕和監督、脚本家の坂元裕二が登場した。同作は是枝裕和監督と脚本家・坂元裕二によるオリジナル作で、この度、第76回 カンヌ国際映画祭で脚本賞、クィア・パルム賞を受賞した。大きな湖のある郊外の町に存在する、息子を愛するシングルマザー(安藤サクラ)、生徒思いの学校教師(永山瑛太)、そして無邪気な子供たち(黒川想矢、柊木陽太)。そこで起こったのはよくある子供同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した。親、教師、子供と3つの視点からなる構成となっている同作だが、この理由を聞かれた坂元は「私が以前経験したことなんですが、車を運転して赤信号で待っていた時、前にトラックが止まっていて。青になったんですが、そのトラックがなかなか動き出さない。しばらく待っても動かないものですから、前の車がちょっとお休みしてるのかなと思って、クラクションを鳴らしたんですね。それでもトラックが動かなかったので、何をしているんだろうと思っていると、ようやく動き出した後に、横断歩道に車椅子の方がいらっしゃるんです。そのトラックが車椅子の方々れるのを待っていたんですが、トラックの後ろにいた私はそれが見えなかったんです」と、自身の体験談を振り返り始める。坂元は「それ以来、自分がクラクションを鳴らしてしまったことを後悔し続けておりまして、このように世の中には普段生活していて見えないことがある。私自身、自分が被害者だと思うことにとても敏感ですが、自分が加害者だと気付くことはとても難しい。どうすれば、自分が被害者に対してしていることに気づくことができるだろうか。そのことを常にこの10年あまり考え続けてきて、その一つの描き方として、この方法を選びました」と説明した。そういった構成の関係上、宣伝時にはストーリーに踏み込まず、今回クィア・パルム賞を受賞したことで驚かれることともなった。是枝監督は「子供たちが抱えた葛藤を『ネタバレだから言わないでくれ』と言っていると囁かれたりしていると耳にしているんですけど、観た方の感想で『なるべく先入観なく観た方がいい』というのは間違いない。決して彼らが抱えた葛藤をネタとして扱ったつもりはありません」ときっぱり。「構成上、むしろ自分が当事者として子供達と向き合うためには、できるだけ脚本に振り回された方が、観終わった後にどこに着地するのかわからない方がいいのではないのかなと思っておりますので、そこは誤解のないようにと宣伝にも伝えております」と語る坂元は改めて「2010年に『Mother』、2011年に『それでも、生きてゆく』というドラマの脚本を書きました。その時からずっと抱えていた問題が自分の中にあって、加害者というものをどのように書けばいいのか、それが私にとってこの12年間の長い課題というか、考えていきたいテーマだったんです」と明かす。「加害者がどのようにすれば、被害者の存在に気付くことができるか? 被害に対して考えることはよくあるんですが、自分自身の加害という行為に関して考えること、気付くことは難しい。それをどうすればいいんだろうか、ということが長年のテーマだったんですが、加害者が被害者の存在に気づいていく道のりを、自分なりに現状書けるものがこれだったという。これで一つ、自分なりの道筋というものになってるといいなと思うんですが、答えが出るのかどうかわからないのですが、現状、これです」と表した。
2023年05月29日映画『怪物』(6月2日公開)の第76回 カンヌ国際映画祭凱旋記者会見が29日に都内で行われ、是枝裕和監督、脚本家の坂元裕二が登場した。同作は是枝裕和監督と脚本家・坂元裕二によるオリジナル作で、この度、第76回 カンヌ国際映画祭で脚本賞、クィア・パルム賞を受賞した。大きな湖のある郊外の町に存在する、息子を愛するシングルマザー(安藤サクラ)、生徒思いの学校教師(永山瑛太)、そして無邪気な子供たち(黒川想矢、柊木陽太)。そこで起こったのはよくある子供同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した。最後まで映画祭に参加し、2時間前に帰国したという是枝監督が、一足先に戻っていた坂元にトロフィーを渡す。是枝監督は「本当に素晴らしい評価をいただいたなと思っております。無事に坂元さんにお渡しすることができてほっとしています」と心境を表した。坂元は「実感は正直あまりありません。受賞を初めて聞いた時に寝ていたものですから、第一報を聞いた瞬間、まだ夢を見ているのかなと思いました。その後続いているようで、今も夢の中にいるような思いと、重み自体をこの作品の責任感だと感じますので、私自身手にも背中にも乗っかった大きな責任だと感じております」と胸の内を明かす。「最近映画の脚本を書くようになりましてほぼ2本目のようなものなんですが、まだ監督の力、プロデューサーの力を借りながらゆっくりと進んでいるものですから、今回含めて周りの方のお力によるものだと考えています」と感謝した。受賞の知らせについては着信に気づかず、「ニュースをご覧になった別の方からショートメールが来て音が鳴って気づいて見たところ、プロデューサーや監督から『受賞しました』というお話を聞きまして、あまり感情の起伏がないものですから『嬉しい』とか『やったあ』という気持ちよりはズシンという思いが訪れて、水を1杯飲みました。それが最初の行動でしたね」と振り返る。感情の起伏が少ないとはいうものの「周りの方から『おめでとう』と言われた時に、初めてうれしくなります」と明かし、さらに「1番うれしかったのはジョン・キャメロン・ミッチェル監督から昨日メッセージが届きまして、タクシーの中にいたんですが、涙が出ました」と語る。カンヌで賞をもらうことは「考えたこともありませんでした。カンヌに呼んでいただけたことが幸せだった」という坂元だが、「チームの1人として好きになれた作品でしたので、これが評価を受けるとうれしいな、それくらいの気持ちでした。自分のことはまったく考えてませんでした」という。どこが評価されたのかという質問には「出来上がった作品から脚本を評価していただいたんだと思うので、それはもちろん作品の素晴らしさで、脚本に関しては自分ではなかなか評価しづらいんですが、ジョン・キャメロン・ミッチェル監督が『人の命を救う映画になっている』と言ってくださったので、もしそれが誰かの心にあるならうれしいことだなと思っています」と語った。
2023年05月29日