皆さんは「デンスブレスト」という言葉を聞いたことありますか? デンスブレストとは、高濃度乳腺の別称で、乳腺組織が多い状態のことを指します。実は、デンスブレストだと乳がんの発見が遅れてしまうことがあるのだとか……。一体デンスブレストとはどんなものなのか、日々がん患者と向き合っている新見正則先生にお伺いしました。教えてくれたのは……新見正則先生(新見正則医院院長)新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学における医学博士号を取得。2002年より帝京大学医学部博士課程の指導教授を勤める。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として活躍し、現在は世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬「フアイア」の啓蒙普及のためにがん、難病・難症の治療をおこなっている。最新刊『フローチャート整形外科漢方薬』★関連記事:【乳がん】40代50代は発症率がピークに! 知っておきたい乳がんのこと【医師監修】デンスブレストって何?病気ではなく体質40代女性の6割、50代女性の4割がデンスブレストだといわれています。自分自身がデンスブレストであると、どんな影響があるのでしょうか?「まず、デンスブレストは高濃度乳腺のことです。高濃度乳腺は、乳腺組織が多い状態で病気ではありません。ただ、乳腺組織が多いことで月経前に乳房が張りやすくなったり、痛みが出ることもあります。マンモグラフィー検査をした際、乳腺は白く写ります。乳がんの石灰化した部分も同じく白く写りますので、高濃度乳腺だと石灰化したものが見えにくく、乳がんの発見が遅れてしまうことがあります」(新見先生)デンスブレストの原因は脂肪量にあり!脂肪が少ないほどなりやすい傾向に「日本人女性は欧米の女性に比べて脂肪組織の割合が低く、デンスブレストになりやすい傾向にあります。若い年齢のほうがデンスブレストの割合が高く、ホルモン補充療法や妊娠、授乳、ダイエットによる脂肪量の変化などによっても乳腺濃度は変化します。デンスブレストは乳腺内の脂肪量に関係しています。胸のサイズに関わらず乳腺内の脂肪量が多ければデンスブレストにはなりにくいですし、逆に脂肪がなくて乳腺だけが多い人というはデンスブレストになりやすいです。痩せている人のほうが乳腺内にも脂肪が少ないのでデンスブレストになりやすいですが、病気ではなく体質なのでそこまで気にする必要はありません。身長などと同じで私はこういう体質なんだと受け入れることが大切です。しかし、肥満は乳がんのリスクを高めますので太っている人は痩せるように意識をするほうが良いでしょう」(新見先生)乳がんを見逃さないために二刀流の検査で早期発見!デンスブレストによって乳がんの発見が遅れると聞くと少し不安になりますよね。不安要素を少しでも減らすために、どんなことができるのでしょうか?「乳がん検診の際、クリニックによってはデンスブレストであると説明してくれることもあります。デンスブレストであることを知っておいて損はありません。ですが、病気ではないので知らなくても問題はありませんし、デンスブレストだからといって落ち込むことはナンセンスです。乳がんは乳腺組織にできるがんなので、デンスブレストだと乳がんのリスクも相対的に高くなります。マンモグラフィー検査は乳房を板で圧迫し、薄く伸ばした状態で撮影する乳房専用のエックス線撮影ことです。この検査では石灰化した乳がんを白く写すのですが、乳腺も白く写るのでデンスブレストになると判別が付きにくくなってしまいます。乳房に超音波を当て、乳腺の状態を確認する超音波(エコー)検査では乳腺は同じく白く写るもののしこりなどは黒く写るのでデンスブレストでも乳がんを発見できます。そのため、マンモグラフィー検査と超音波(エコー)検査の両方を受けることで、乳がんの早期発見につながります。もちろん両方一緒に受けても問題ありませんが、1年ずつ交互に受けておけば大丈夫です。デンスブレストではなくても、乳がんの予防にはマンモグラフィー検査と超音波(エコー)検査の両方が有効です」(新見先生)まとめデンスブレストでも乳がん検診をしっかりと受けていれば、がんが大きくなる前に発見することができるのだそう。健康を維持するために自分の体質を知り、検診などで病気を予防することは大切なのですね。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。著者/監修/ 新見 正則先生新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学における医学博士号を取得。2002年より帝京大学医学部博士課程の指導教授を勤める。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として活躍し、現在は世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬「フアイア」の啓蒙普及のためにがん、難病・難症の治療をおこなっている。最新刊『フローチャート整形外科漢方薬』
2023年05月26日