「PARITORO -パリとろブリュレ-」表面のカラメルはパリパリの食感。丁寧に1枚ずつ高温で焼き上げることで実現できたのだそう。スプーンでつつくと「ピシッ」と小さく割れる音が!まるで、寒さがぶり返した春の日の朝、水たまりにうっすらと張る薄氷のよう。うっとり。カスタードプリンには、バニラビーンズと北海道産の生クリームを使用。低温で湯せん焼き(オーブンの天板などにお湯を張って蒸し焼きにすること)されていて、しっとりとした食感に仕上がっています。カラメル層とプリンが織りなす「パリとろ」食感の軽妙さもさることながら、ふくよかな甘さと芳ばしい苦味のコントラストが口福を満たします。うっとり。噂によると、パリパリ感を出すために200個も試作品を作ったという力作。ぜひ、お好きなお飲み物とともにどうぞ。・価格:285円(税込)・カロリー:248kcal
2020年03月19日イザベル マラン(ISABEL MARANT)2020年秋冬コレクションが、フランス・パリで発表された。80年代ライクのパワーショルダー再び2019年秋冬コレクションに続き、イザベルマランは今季も80年代のタイムレスなファッションスタイルを追求しているようだ。ランウェイに登場したウィメンズのピースは、ブラウス、ニット、ジャケット問わず一貫してパワーショルダーが基本。丈はウエスト位置で短くカットし、モダンなムードを添えているのが特徴だ。アイテムごとに異なるそのシルエットへのアプローチも興味深い。柔らかなニットはボディ×アームを立体的につなぎ合わせることで、軽やかなブラウスは構築的なベストとのレイヤードスタイルによって、その独特なフォルムを再現。またツンと上を向く、3Dのエッジィなショルダーラインを組み合わせたワンショルダードレスも観客の目を誘った。逆三角形を強調散見されたのは、太めのベルトでウエストマークした“逆三角形”のスタイリング。またコレクション全体に共通することだが、足元はややマニッシュなショートブーツで統一されている。堂々と闊歩するモデル達の姿から映し出されるのは、力強く自信に満ちた女性像。同時に展開されたメンズコレクションの、比較的なだらかなシルエットと対比することで、よりそのパワフルな表情がランウェイに映し出される。パレットカラーは、アイボリーをはじめ、ブラックやグレーを多用したややマニュッシュな印象。時折現れたシックな花柄によって、静かなフェミニティを感じさせる。また衣服やアクセサリーの装飾には、シルバーのシルバーのスタッズやビーズを取り入れることで、マットな世界に繊細な煌めきを投じていた。
2020年03月14日ネヘラ(NEHERA) 2020年秋冬コレクションが、フランス・パリで発表された。1940年代をミックス今シーズンは、40年代の洗練されたスタイルを閉じ込めた、現代の機能的なワードローブを提案。過去と現在の出会いによって、新旧交えたシルエットと、モダンなファブリックでアップデートしたコレクションを展開する。モダンにブラッシュアップどこか懐かしい、ゆったりとしたシルエットが目を惹くコレクションだが、“古くささ”を感じさせないのは、斬新なアプローチによるモダンな要素が同居しているから。例えば温かみのあるニットウェアは、ウエスト丈で大胆にカッティング。また緩やかなテーラードパンツも踝丈にブラッシュアップし、レースアップのレザーブーツをさしこんで、さり気ないエッジをきかせている。ドレスに浮かび上がるパターンクラシカルなドレスやブラウスに浮かび上がるのは、木や煙をモチーフにした、地元職人による“焼絵”をデジタルプリントさせたもの。まるで抽象画のような、アーティスティックな表情が印象的だ。ハイネックのワンピースは、しっとりとした落ち感も相まって、エレガントな表情へと導いている。前シーズンの布を集めてサステナブルな取り組みに力を注いだ今季は、古くなった布地を使用したワード―ローブも登場。そのシンボルとなるのは、パッチワーク風に仕上げたユニークなシアリングコート。前シーズンのファブリックを繋ぎ合わせることで生まれたこの一着は、クラフト感溢れる温かみのある表情が魅力で、冬の寒さからもしっかりと守ってくれる。パレットカラーは、ベージュ、黄土色、ペールグレー、ホワイトといったニュートラルカラーを基調に。クラシカルな表情のバケットハットを取り入れたルックでは、ジャケットのインナーとハットをホワイトの同一色にすることで、統一感のあるモダンなムードへと引き寄せていた。
2020年03月12日ロシャス(ROCHAS) 2020年秋冬コレクションが、フランス・パリで発表された。アレッサンドロ・デラクアのラストコレクションクリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・デラクアが手掛けるラストコレクションとなる今季。ランウェイの上には、2013年より自身がメゾンでデザインした代表的なアイテムを復刻させた、タイムレスなコレクションが姿を現した。アーカイブとのドッキング“過去と未来”の対話の中にデラクアが求めたのは、年月と季節を超え愛されるファッション。今季のコレクションの中には、ゴールドの刺繍がほどこされたシャツや、フリンジのグリッタースカート、ブロケードのゴージャスなドレス、コウモリの様な形状をもつバット・サングラス、そして彼のシグネチャーであるプラットフォームサンダルが合わさり、モダンな表情へとアップデートされていく。流行の入れ代わりが激しいファッション界で、彼の作り上げたタイムレスな美しさは、“時間の概念”を取り払うと同時に、均衡のとれたハーモニーをランウェイの上で奏でている。マスキュリン×フェミニンクチュールメゾンとして誕生したブランドのDNAを受け継ぐドレススタイルと共に、今季はマスキュリン×フェミニンの相反する要素をドッキングしたスタイリングも目を惹く。ウールの肉厚なボーイシャツには、軽やかに舞うパテントレザーのプリーツスカートを組み合わせ。またクチュリエの繊細なテクニックを感じさせるフェザー付きの華やかな生地は、オーバサイズで仕上げた3ピースのジャケットスタイルへと姿を変えている。メンズモデルによる着こなしもさらに今季は男性モデルを起用したウィメンズルックも登場。ブロケードのブラウス×スカート、フリンジのように煌めく装飾をあしらったブラックドレスなどを、凛とした佇まいで闊歩する彼らの姿が観客の目を誘った。カラーパレットカラーは、ベーシックな色合いに、スパークリング・バイオレッ トやブライト・ターコイズといった鮮やかな色彩を織り交ぜて。単色で3ピース以上を組み合わせているのも特徴で、スパークリング・バイオレッ トを主役にした着こなしには、丈と濃淡の異なるジャケットのレイヤードによって、柔らかなグラデーションを生み出していた。
2020年03月12日クロエ(Chloé) 2020年秋冬コレクションが、フランス・パリにて発表された。3人の女性アーティストとコラボレーションナターシャ・ラムゼイ=レヴィが今季描き出すのは、様々なフェミニニティの概念が交差する中で、固定概念から脱却しようとする女性たちの複雑な心の情景。そのクリエーションの一助を担ったのは、異なる国で活躍する3人の女性アーティストたちの存在だ。マリオン・ヴァーブームによる豊満なトーテムが飾られた会場に流れるのは、マリアンヌ・フェイスフルのクラシックな詩の朗読。視覚のみならず、聴覚にも働きかける神秘的な演出で始まったショーには、リタ・アッカーマンが描く精霊のような少女のイラストレーションがレディ・トゥ・ウェアやアクセサリーに登場し、現代のフェミニティの意味合いをあらゆる角度から問いかけていく。マニッシュなピースに交わる、フェミニンな要素メンズライクなシャツドレスや、ハンティングジャケット、ワイドデニム、オーバーサイズのフレアスーツといった、マスキュリンなピースには、手作業で施された繊細なディテールで、フェミニンな要素を交えていく。真珠のように輝く立体的なペイズリーや襟にあしらわれたビーズ、イギリス刺繍などが、コレクションにさり気ないロマンスをもたらしているのだ。ウエストマークのスタイリングまたマニッシュなジャケットスタイルは、レザーベルトでウエストマーク。パワフルな装いの中にも、女性らしい柔らかなシルエットを描きだしているのが特徴だ。芸術的なモチーフもカラーは、ヘザーやドゥーン、オークル、チェスナット、ダスティーブルーなどを基調に。落ち着いたな表情のパレットの中、ペイズリープリントのパッチワークや水玉柄といったモチーフがコレクションにリズムをもたらしていく。ショーの終盤には、これらのモチーフの代わりに、芸術的なペタルビーズを施した妖精のようなイブニングドレスが登場。足元は、レースアップブーツを差し込んで、力強く闊歩しているのが印象的だった。新作アクセサリー今季のコレクションに登場したアクセサリーには、アンティークなムード漂うアゲートビーズの首飾り、ハンマーメタルのリーフをモチーフにしたイヤリングやバングル、カフスがラインナップ。またモデルの手元には、モノグラムが特徴的な大容量のトートバッグ「fredy」やマイクロクロスボディの「franne」をはじめ、クロコダイルの型押しを施したミニサイズの「daria」など、新作バッグが多数散見された。
2020年03月12日書籍『パリの紙 100枚レターブック Season Paper Collection』が、2020年3月11日(水)より発売される。『パリの紙 100枚レターブック Season Paper Collection』は、“1枚ずつ切り離して”便せんとして使用できるユニークな書籍だ。中には、50柄各2枚ずつ入っており、100枚の便せんを収録している。2017年にも発売されており、人気シリーズの最新版となる。デザインを手掛けるのは、パリの文房具ブランド「シーズン・ペーパー・コレクション」だ。2人のテキスタイルデザイナーが2012年に立ち上げた文房具ブランドで、手描きイラストのカードやノートが可愛いとパリで人気を集めている。ニュアンスカラーで描かれたフラワーモチーフやアニマル柄、幾何学模様など、遊び心あふれるデザインが満載。絵柄だけでなく、文房具ブランドならではの発想で、紙そのものも、真っ白なつるつるの紙、クリーム色のざらざらの紙、茶色いクラフト紙とバリエーション豊富に用意した。便せんとして使うのはもちろん、お気に入りの1枚を額に入れて、アート作品のように飾ってもOK。付属の型紙に沿って折り紙のように折り畳んで、封筒・ぽち袋などにアレンジして楽しむこともできる。【詳細】書籍『パリの紙 100枚レターブック Season Paper Collection』1,800円+税発売日:2020年3月11日(水)仕様:A5判正寸(148×210mm)、ソフトカバーページ数:216ページ(フルカラー)発売元:パイ インターナショナル【問い合わせ先】株式会社パイ インターナショナルTEL:03-3944-3981
2020年03月09日シャネル(CHANEL) 2020/21年秋冬 プレタポルテ コレクションが、2020年3月3日(火)にフランス・パリ市内で発表された。ヴィルジニー ヴィアールによる2回目の秋冬 プレタポルテ コレクション故カール ラガーフェルドに続き、アーティスティック ディレクターに就任したヴィルジニー ヴィアールによる2回目の秋冬 プレタポルテ コレクション。ヴィルジニーが今季描きたかったものは、自由、エネルギー、完璧への探求をシンプルに、そしてピュアに描き出すことだ。会場のグラン・パレには、観客シートを層状に段々と重ね、小さな島が広がっているような風景を再現。雪山や秋の森など、毎シーズンその大規模な演出でも話題を集めてきたシャネルだが、今季はそんなヴィルジニーの想いと重なるように、オールホワイトで統一されたミニマルな表情が印象的。足元からもくもくと白い煙が立ち込める始まりの合図と共に、2人、3人とペアで並ぶモデル達の姿が続々とランウェイの上に登場した。馬をモチーフに“ロマンティカ”という名の競走馬を所有するほど、馬に情熱を燃やしていたというガブリエル・シャネル。今季はそんな彼女の愛した趣味を着想源に、馬をモチーフを取り入れているのが特徴だ。乗馬用のジョドパーズを連想させるゆったりとしたパンツスタイル、ペガサスを連想させる馬柄のジャケット、そして風を切って自由に楽しむ騎手を連想させるユニフォームライクなルック。エレガンスに秘める力強さそこに交わるのは、規則的に配列したCCロゴのカフスボタン。ジャケットやコートドレス、パンツルックに登場し、エレガンスの中にも活発でエネルギッシュなムードをプラスする。また今季、モデルの足もとを飾ったややマニッシュなレザーブーツは、かつてカール・ラガーフェルドがストライプのスーツに合わせたライディングブーツを着想にした特別なもの。モデル達が堂々と闊歩するその姿からは、力強さを兼ね備えた、自信に溢れる女性像を感じさせてくれる。フレッシュな空気もプラスパレットには、ブラックとホワイトといったシンボルカラーを基調にしながら、ペールグリーンやピンクといったフレッシュな色彩も差し込んで。また丈やディテールにモダンなアレンジを加えているのも印象的で、胸下で大胆にカットしたツイードのベアトップや、股下まで深くスリットを入れたミニスカート、そして網目模様でモデルの肌を透かせるスーツなど、若々しさ溢れるルックが観客の視線を誘った。コレクションを彩るコスチュームジュエリーコレクションに更なる華を飾るのは、マドモアゼルが愛したビザンチン芸術からインスピレーションを得たデコラティブなコスチュームジュエリー。クロスをモチーフにしたネックレスやイヤリング、ブレスレットが登場したほか、同モチーフをモダンに再解釈したニットやベルトといったアイテムもランウェイに姿を現している。
2020年03月09日ラコステ(LACOSTE) 2020年秋冬ウィメンズ&メンズコレクションが、2020年3月3日(火)にフランス・パリ市内で発表された。モダンに楽しむスポーツウェアスポーツを起源に持つラコステが今季会場に選んだのは、パリの老舗テニスクラブ・ド・パリ。今季は、ブランドのヘリテージに敬意を示しながらも、様々な要素をプラスすることでモダンにブラッシュアップ。ニットウェアに変身したポロシャツや、モヘアニットで温かみのある表情に仕上げたテニスセーター、膝下丈まで伸ばしたプリーツスカートがコレクションの中で交わっていく。レイヤードスタイルが主流スタイリングは、タートルネックを差し込んだレイヤードスタイルが主流。秋冬のアウターと合わせるときは、オーセンティックなロングコートを選ぶことで、現代的なスポーツミックスの着こなしを創り上げている。またウィメンズでは、ウエスト周りをベルトでキュッと絞った女性らしいアプローチも見て取れた。ポップなカラーパレットパレットは、グリーン、ピンク、オレンジ、ミント、イエローといった鮮やかな色彩に加え、様々なチェック柄&ボーダー柄が登場。2カラー以上を組み合わせるのが基本で、ポップで楽し気なムードを演出している。またこれらのパレット1つにドッキングさせたカラーブロックのポロシャツもランウェイに。モヘアニットなど、異素材もミックスすることで、面白みのある表情を作り上げている。“ワニ”柄シャツ×テーラリング美しいテーラリングの表情が印象的な細身のスーツスタイルは、ボタンを開けてラフに着こなすのが気分。差し込まれたYシャツは、アイコニックな“ワニ”柄を散りばめて、ブランドらしい遊び心をプラスしていた。
2020年03月07日ピエール・エルメ・パリ(PIERRE HERMÉ PARIS)から、イースターコレクションの新作スイーツが登場。2020年3月18日(水)から2020年4月14日(火)まで、ピエール・エルメ・パリ 青山ほか、直営ブティックにて販売される。貝殻モチーフの装飾的なエッグチョコレート貝殻や珊瑚などを駆使してバロック調の華やかなオブジェを制作してきた、装飾職人のトマ・ブーグとコラボレーションしたスイーツが登場。カラメリゼしたブロンドチョコレート、ミルクチョコレート、ベリーズ産純正ブラックチョコレートといった、様々な種類のチョコレートをマッチングさせ、“貝殻”のイメージを主題にした貝殻模様のチョコレートを展開する。「ラ ファス ド ウフ」は、ショコラ オ レとブロンドチョコレートの2種類から構成された、アーティスティックな貝殻モチーフのエッグ。アルチンボルドの傑作を彷彿させる、顔のようなモチーフが目を引く仕上がりとなっている。台座に乗った美術品のような佇まいの「ノーチラス アヴァラム」はオウムガイをモチーフにした1品。エレガントな渦巻きの造形に注目だ。ウサギや卵モチーフのイースターチョコレートコラボレーションスイーツの他にも、イースターコレクションとしてウサギや卵の形のショコラを用意。ショコラ オ レを使ってウサギの毛並みまで繊細に表現した「グラン ラパン」や、ショコラ ノワールもしくはショコラ オ レで形作られる、リボンを飾ったウサギのチョコレート「ラパン ア ラ ブルーエット」「ラパン リュール」は、躍動感のある愛らしいルックスが目を引く。オレンジピール、レーズン、ヘーゼルナッツ、皮むきアーモンド、ピスタチオを表面に並べた「ウフ マンディヤン」や、細やかな細工がリュクスな「ウフ ダンテル」など、存在感のある卵モチーフのチョコレートも揃える。【詳細】ピエール・エルメ・パリのイースター販売期間:2020年3月18日(水)〜2020年4月14日(火)※商品により販売期間が異なる販売場所:ピエール・エルメ・パリ 青山、他直営ブティック・ラ ファス ド ウフ 15,120円※ピエール・エルメ・パリ 青山、伊勢丹新宿店、日本橋三越、ザ・リッツ・カールトン京都にて展開。・ノーチラス アヴァラム レ/ブロン 各4,320円・グラン ラパン 6,480円・ラパン ア ラ ブルーエット 各3,024円・ラパン リュール 1,944円・ウフ マンディヤン ノワール(Mサイズ) 6,480円、レ(Sサイズ) 4,320円・ウフ ダンテルノワール(Sサイズ) 3,456円、レ(Mサイズ) 4,320円・プティ ウフ 1,944円
2020年03月06日ビューティフルピープル(beautiful people) 2020年秋冬コレクションが、2020年3月2日(日)フランス・パリで発表された。メンズラインが初めて加わったショー開催となる。見えないモノへと目を向けて会場一体の柱を“断熱材”で包み込む演出が施された今季のビューティフルピープル。本来“建物の外側と室内の間”に配置されるその建築資材は、誰の目にも触れることがないが重要な役割を担うものだ。そしてこの“見えないもの”に着目し、2019年春夏コレクションよりブランドが取り組んでいるのが、「サイド C」という新たな衣服へのアプローチ。通常の洋服には無い“間”を作ることによって、複数のアレンジを楽しめるコレクションが、今季もランウェイの上へと姿を現した。“何かが違う”リアルクローズニットウェア、アウター、プリーツスカート、カーゴパンツ…。日常で楽しめる秋冬のリアルクローズに目を向けた今季は、特別な装飾を加えないミニマルな着こなしが目立つ。しかしながら、「サイド C」というアイディアのもと、解体と再構築を繰り返した一連のワードローブは、どこか日常とはかけ離れた“違和感”があるのも事実。一部の生地がねじ曲がっていたり、どこからともなく生地が切り替わっていたり、まるで服を二重にしてきているように見えたり…。クラシカルなアイテムに変革をこうした手法が、オーセンティックなアイテムと掛け合わせることで、本来あるはずのないユニークな表情を生み出しているのが印象的だった。例えばカジュアルなニットウェアに首から掛けられたドレスは、おそらく本来はダブル仕立てのロングジャケットとなるもの。モデルが後ろを振り返ると、まるでエプロンのように背中がぱっくりと空いており、首とボディの間に本来はあるはずのない“間”が存在することに気付かされるのだ。また美しいカッティングが伺える優雅なケープには、フロントから設けられた段差によって、全く表情の異なるグラフィックが顔を出す。ここから一体どんな姿へと変えるのか…?種明かしのない演出ではあるものの、観客たちあらゆる“可能性”に想像力を膨らまし、ワクワクと心を躍らせるのである。ジェンダーレスなカラーパレットパレットは、落ち着いたブラック、グレー、カーキを基調に、鮮やかなオレンジ、レッド、ブルーといったカラーをアクセントに加えて。今季会場を“飾った”断熱材が着想となる透け感のあるプリントは、メンズ・ウィメンズ共に展開されたダウンジャケットの上へと登場。こちらはプレーンな表情も持つ片面と共に、リバーシブルで楽しむことができる。新作バッグも登場メンズ・ウィメンズ共に手にしていたのは、“種明かし”付きのバッグ。上下両方にクチがあるその不思議なバッグは、トートバッグと巾着タイプを上下にドッキングさせ両方の機能を備えていることを示唆しており、そのカラーもそれぞれ異なる。1つのアイテムから複数の使い方を見出すことができるユニークなアイテムは、私たちに“自由”を与えると同時に、エシカルな方法でファッションを楽しめる大切なキーも握っている。
2020年03月06日ニナ リッチ(NINA RICCI)2020年秋冬コレクションが、フランス・パリで発表された。レイヤードで生み出すフェミニンなムード今季のニナ リッチは、レイヤードによって作り出す秋冬のフェミニンな装いを提案。本来マニッシュなムードをもたらすジャケットスタイルには、大きな襟付きのドレッシーなブラウスやワンピースをインサート。その特徴的な襟はラペルの上へと重ねるだけでなく、スリーブや裾もアウターよりもほんの少し丈を長くすることで、ドレッシーな表情を加速させる。シルエットに変化球をまた秋冬のアウターの“形そのもの”に変化球を加える斬新なアプローチも行われた。本来ビッグシルエットのチェック柄のジャケットスタイルは、アーム&胸下を大胆にカットすることで、レーシーなインナーを主役に見せるような装いに。また、もとよりフェミニンなアイテムであるケープコートは、ギャザーをたっぷりとよせて膝丈まで伸ばすことで、ふんわりと柔らかな表情をプラスしてくれる。足元にはブラックレザーのショートブーツを合わせた、“甘すぎない”大人の女性の為の着こなしが提案された。流れるようなフラワーモチーフ淡い色彩やアースカラーなど、プレーンなパレットが並ぶ中、ラストに掛けては黒地に鮮やかな花が咲くフラワーモチーフが登場。オーセンティックなチェック柄ジャケットと組み合わせた花柄のスカートは、軽やかなテキスタイルで仕立てたことで、ふわりと流れるエレガントな表情をプラス。頭には、真っ赤なバケットハットを組み合わせて、モダンなアクセントを加えていた。
2020年03月05日セリーヌ(CELINE) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月28日(金)にフランス・パリで発表された。会場に漂うクラシカルなムード今季で4度目のショー開催を迎える、エディ・スリマン率いるセリーヌ。今シーズンは、セカンドシーズン以降提案している、ブルジョワスタイルのムードを引き続き踏襲。クラシックでありながらデイリーウェアとしても着用できる、現代女性の為のワードローブがランウェイへと登場した。クラシカルな装飾の襟元カジュアルなデニムパンツとのスタイリングが提案された前シーズンとは異なり、今季はよりクラシカルなムードを強めているように感じられる。その上質な質感が伝わるブラックやブラウン、ネイビーと色味を抑えた細身のジャケットスタイルは、大き目の襟やたっぷりのフリル、スカーフカラー、蝶ネクタイなど、首元にポイントをおいたシックなブラウスをインサート。しかしながら、膝丈上に設定した短めのスカートと、フロントをラフに開けたジャケットの着こなしによって、モダンな要素をプラスするのも忘れてはいない。パイソン柄×クラシカルの融合本来出会うはずのない要素も1つのピースの中でミックス。大きな白襟をつけたクラシカルなワンピースは、エッジのきいたパイソン柄と融合することで、現代に引き寄せたエレガンスを作り上げる。細身のレザーベルトでウエストはキュッと絞りながら、Vネックの襟元のカッティングは深めに入れることで、バランスのとれた抜け感を演出している。デニムパンツのルック再び今季のデニムパンツを使用したルックは、ロングブーツを組み合わせた、すっきりとしたシルエットでクリーンな印象に。また古典的なラッフルカラーの白トップスは、ニットで仕立てることで秋冬にぴったりな温もり溢れる表情へと導いている。繊細に煌めくドレスもショーのラストには、スパンコールやビーズの刺繍をあしらった、エディらしい煌びやかな装飾のドレススタイルが登場。しかしながら“華美”という印象よりも、1つ1つの繊細なクチュールテクニックを感じられるものばかりだ。足元には、レザーのロングブーツでエッジをきかせて。またコレクションの中には、フランスを代表する彫刻家、現代美術家のセザール・バルダッチーニとコラボレーションした特別なゴールドのネックレスもアクセントとして加えられていた。
2020年03月05日エルメス(HERMÈS) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月29日(土)にフランス・パリで発表された。ジャンピングポールの森“馬具”をルーツに持つメゾンのショー会場に現れたのは、馬術競技で使用される無数のジャンピングポール。従来は横に設置されるそのポールだが、今回は一本の”木”に見立て、美しきエルメスの森をクリエイト。この森の中を横断するようにして現れたモデル達は、ジャンピングポール同様、白を基調に、イエロー、グリーン、レッド、ブルーといったカラーをアクセントにしたワードローブを披露してくれた。首元にポイントをおいたスタイリング会場の演出と連動して“ジャンピング”を1つのテーマとして掲げた今季は、スタイリングの中にもポロシャツのような襟付き、もしくは立ち上がり襟を取り入れているのが特徴。アビエイタージャケットやサルトリアルジャケット、スタジャン、キルティングコートといった豊富な襟付きのアウター群には、さらにタートルネックやポロシャツを差し込み、首元にポイントをおいた着こなしを提案している。タートルネック×アクセサリータートルネックのセーターには、この首元に注目した新たなディテールも取り入れて。スリットを入れることで出来たホールには、スカーフやレザーのチョーカーを差し込み、プレーンな表情のセーターに女性らしいエレガンスをプラスさせている。ジャンピングポールをモチーフに今季のシンボル“ジャンピングポール”のモチーフは、ブラウスや繊細なプリーツスカートに姿を変えて登場。また同色によって構成されたカラーブロックのニットウェアは、真っ白なハイウエストのワイドパンツと組み合わせることで、そのアイキャッチな表情を引き立てている。職人の手仕事が光るワードローブ一連のコレクションから感じるのは、ワードローブに潜むメゾンならではのクラフツマンシップだ。ラムやシープスキンといった最上質のレザーを使用したジャケットは、ドレープを描くほどしっとりと滑らか。またそのディテールにもこだわり、ニット×シルク、ニット×レザーといった縫合の難しい素材同士を交互に組み合わせたプリーツスカートが、さらなるエレガンスへと導いていく。新作リップでメイクアップなおコレクションの中では、エルメスのビューティラインのデビュー作〈ルージュ・エルメス〉を纏ったモデルが多数登場。これらのリップは、2020年3月4日(水)に35の国と地域の一部のエルメスブティックを中心に発売される。
2020年03月05日フランス・パリに本拠地を置くサッカークラブ、パリ・サン=ジェルマン(PARIS SAINT-GERMAIN)の公式ショップ「パリ・サン=ジェルマン ストア(PARIS SAINT-GERMAIN STORE)」の3号店が名古屋パルコに登場。2020年3月7日(土)よりオープンする。「パリ・サン=ジェルマン ストア」東海エリア初出店「パリ・サン=ジェルマン ストア」は、アクティブで情熱的なパリ・サン=ジェルマンサポーターをコンセプトにした、クラブ公式ショップ。フレンチカジュアルをベースとしたアパレルを中心に、パリ・サン=ジェルマンのオフィシャルグッズを展開している。東海エリア初の店舗となる名古屋パルコ店は、渋谷の1号店と同様の全てのラインナップを用意するほか、ジョーダンブランドやサッカー漫画「キャプテン翼」とのコラボレーションアイテムも販売。さらに、クラブ50周年のアニバーサリーイヤーを記念した、パリ・サン=ジェルマンのヴィンテージユニフォームコレクションを販売する企画も実施する。イタリアデニムブランドとのコラボカプセルコレクションが先行発売また、イタリアのデニムブランド・リプレイ(REPLAY)とパリ・サン=ジェルマンのコラボレーションによるカプセルコレクションが全世界に先駆け、名古屋パルコ店にて先行受注会を開催。クラブファン必見のアイテムをいち早くチェックできるチャンスとなる。【詳細】パリ・サン=ジェルマン ストア 名古屋パルコオープン日:2020年3月7日(土)営業時間:10:00~21:00住所:愛知県名古屋市中区栄3-29-1 名古屋パルコ西館1階TEL:052-684-8772<アイテム例>・ショーダンブランドコラボレーションアイテムパーカー 9,900円(税込)、スタジアム ジャージ 9,900円(税込)、ロゴTシャツ 3,850円(税込)
2020年03月05日トム ブラウン(THOM BROWNE) 2020年秋冬コレクションが、2020年3月1日(日)にフランス・パリで発表された。ブランド初となる男女合同ショーの開催となる。動物たちが導くファンタジー演劇的な演出で毎度観客を楽しませてくれるトム ブラウンのショー。今季会場に現れたのは、銀世界が広がる幻想的な雪景色。真っ白なパウダーで実際に埋め尽くされたランウェイには、その中央に大きな扉がそびえたっている。そしてショーの始まりの合図と共に現れたのは、様々な動物のお面を被ったモデル達。中でも“リーダー格”のキリンが不思議な舞を繰り広げながら、ランウェイの中心へと躍り出ると、大げさなパフォーマンスと共に、扉のドアのぶをがちゃっとひねる。“さあ、ここからがファンタジーの世界の始まりです”といわんばかりにー。ジェンダーの垣根を超えた演出こうして開け放たれた扉から現れたのは、1組のカップル。しかし口から上は黒のお面で隠されているため、性別はあいまいだ。そして視線を主役のワードローブへと目を落とすと、あれ…?なんと2人は全く同じジャケットスタイルを貫いている。男性モデルが女性ウェアを纏って登場した2018年春夏コレクションを彷彿させる、ジェンダーの垣根を超えた演出だが、今回はその“中性化”がさらに曖昧。1つのルックには両方の要素が複雑に交じり合っているからだ。男女の要素がミックス例えばテーラリングの美しさが際立つクラシカルなジャケット×パンツのスタイルには、上からスカートをレイヤード。またスーツを着ているように見えるトロンプイユの“ワンピース”を差し込んでいたり、ネクタイの代わりにリボンスカーフを巻いていたり。中には、片方にパンツ、もう片方にスカートといった、今季を象徴するような“中性”を示唆する大胆なルックも登場。シンボルとなるジャケットも、かっちりとしたショルダーラインをもつもの、滑らかなウエストのものなど、どちらかに偏ることはない。楽し気なデザインシルエット、ウェア、アクセサリー…。従来2つに分かれてしまっている要素が混ざりあうことで、私たちの目には“どちらがどちらか”というジェンダーの境界線が引くことが難しくなる。こうして困惑する観客もお構いなしに、カップルの纏うジャケットは、実に楽し気なデザイン。先に登場した動物たちを集めたような“アニマル”柄をはじめ、トラッドなチェック柄もアレンジ。フェミニンなフリル付きや、ワイルドなミリタリー風、そしてアイコニックなトリコロールカラーも楽し気に差し込まれていた。動物ばかりの3Dバッグ毎度注目を集めるバッグには、トム・ブラウンの愛犬であるアイコニックなダックスフンド“ヘクター”だけでなく、ブタ、ゾウ、ダチョウ、ライオン、馬、ねずみ…など、“ノアの箱舟”の動物たちをかき集めたような、豊富なバリエーションがラインナップ。いずれも全て、ジェンダーレスで楽しめるブラックで統一されている。ファンタジーの世界は終わるのか?ラストに再び登場したカップルモデルは、それぞれ手を繋いだピースフルなムード。周りでその姿を見守っていた動物たちも心なしか嬉しそうだ。モデルが会場を後にすると、“例の”キリンが再びランウェイの中央へと踊りたち、ドアノブをがちゃりと締めて深々とお辞儀をする。しかしこの物語は決して終わりではない。この会場でみた“ファンタジーの世界”の続きは、私たちの未来にゆだねられているのだから。
2020年03月05日イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE) 2020年秋冬コレクションが、2020年3月1日(日)にフランス・パリで発表された。新デザイナー近藤悟史によるセカンドシーズンのショーとなる。キャンバスから現れたモデル達会場に設置された真っ白な巨大キャンバスに、ライブアートを行う演出から始まった今季のショー。真っ黒なペンでシンプルな洋服のイラストを絵描きだしたかと思えば、突然その縁取りにそってキャンバスからくり抜きはじめた。その代わりに現れたのは、先程まで描かれていたイラストと瓜二つとなるワードローブ。ひと繋ぎのニットウェアに、線を引っ張るだけで、ポケットがあるように見せたり、2ピース以上を着ているようにみせかけたユニークな洋服は、アイテムごとの境界線をなくすことを試みた、デザイナーの遊び心を感じられる。“一枚の布”へのアプローチこうしたブランドの根幹となる“一枚の布”へアプローチは、あらゆる手法で行われ、またダウン、ポリエステル、ウール…といった様々な生地ごとに、異なる表情を見せてくれるのも面白い。浮遊するドレス例えば通常の2倍以上の丈で仕立てた軽やかなシャツドレスは、本来裾に当たる部分に“ふたつめ”のアームの通し穴を作り、2重に生地を纏っているかのようにみせた。重ねることで生まれた布と布の空間には、モデルが両手を広げるたびに空気を含んでふわりと浮かび、優雅な表情を描き出す。伸縮性に富んだプリーツ四角形の布を三角形状に折ったシンプルなドレスには、イッセイ ミヤケらしい細やかなプリーツを施して。まるで“和紙”のような透け感を持つ繊細な表情を持っているが、ダイナミックなダンスを繰り広げるモデル達のパフォーマンから、同時に伸縮性にも富んだ機能的なウェアであることもうかがえる。ダイナミックなグラフィックもダイナミックなグラフィック模様のアウターは、ショルダーラインもしっかりと幅をとり、よりパワフルな表情へと導く。同柄の2ピース以上の組み合わせが主流で、計算されたアシンメトリーなシルエットが、躍動感も生み出している。ポジティブなメッセージをのせてラストに登場したのは、なんと5アイテム以上のニットウェアを1つに繋げたカラフルでユニークなピース。アームからアームへ、もしくは胴体同士の結合を通して繋がるそれらは、モデル達全員が手をつなぐことで、最終的に1つのピースのように見せる演出が行われた。“未来への希望を描きたかった”と語る近藤悟史の言葉通り、その姿は、過去・未来・現在を繋ぐポジティブなメッセージのよう。普段はランウェイをすまして闊歩するモデル達も、今日ばかりは満面の笑みで会場をあとにした。
2020年03月04日バルマン(BALMAIN)2020年秋冬コレクションが、フランス・パリで発表された。異国の地を舞台にエキゾチックなムードからスタートした今季のメンズコレクション同様、ウィメンズショーもどこか異国の地を連想させるルックから始まりを告げた。サンドカラーに染まるジャケットと合わせられたのは、ゆったりとしたサルエルパンツのような表情仕上げたクロップド丈のパンツ。また旅人のようにして重ねられたケープマントは、美しいアシンメトリーなシルエットを描き、ラグジュアリーなムードをプラスしている。ボリューミーなショルダーまた一連のジャケットスタイルは、ツンと上を向くパワーショルダーで自信にあふれる女性像を演出。逆三角形を際立てるウエストマークには、ベルトの代わりに、大切なものを持ち運べるベルトポーチをあしらい、シティライクな着こなしに引き寄せているのも印象的だ。スカーフ柄を主役に中盤に差し掛かると、シルクスカーフをもとにしたような、あでやかなシルクプリントのシャツやパンツが登場。ジャケットやロングコートに差し込んで、優美なニュアンスをプラスする。ニットウェアもまたこのスカーフ柄をもとにしたニットセーターも散見された。温もり溢れる秋冬の定番ウェアは、ビーズを飾ったり、キラキラと輝く銀糸を織り交ぜたりした、バルマンならではの華美な装飾で、煌びやかな一着へと昇華している。ドレッシーなジャケットとの融合ショーの終盤にさしかかると、ピークドラペルや煌めくボタンの装飾で、ドレッシーな表情へと導いたジャケットスタイルが登場。しかし今季はこれまでのショーの流れを引き継ぎ、サルエルパンツのようにして仕上げたリラクシングなシルエットのボトムスで抜け感を演出。そこにヒップの下までくるほどのロングレザーブーツを差し込むことで、バランスを計算した都会的な着こなしを創り上げていた。
2020年03月04日ウジョー(UJOH)が、2020-21年秋冬コレクションショーをパリで行った。今シーズン、発表の場をパリに移し初めてのショーとなる。
2020年03月04日コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月29日(土)フランス・パリで発表された。超ボリューミーなドレスが登場それぞれの物語を持っているかのように、モデルごとに異なるショーミュージックを起用した今季のランウェイ。「ネオ フューチャー」をテーマに、ブランドの新しい未来像を目指したというピースは、オブジェクトのような超ボリューミーなフォルムで構成されているのが特徴だ。サイドに突き出していたり、岩のようにゴツゴツしていたり、“クッション”のような装飾で更なるボリュームを追加してみたり…。これまで見た事のないドレスの数々に、近未来の世界へと迷い込んでしまったような感覚に陥る。ビッグパーツを組み合わせ実はこういった一連のピースは自然を着想源に制作したという。自然界の中に、火・水・土・木…といったエレメントが存在するように、1つのピースには、あらゆる素材とフォルムを交えながら、1つの形の形成をしているのではないだろうか。ディテールも拡張して拡大されたディテールも今季を語る上で大切な要素のひとつ。巨大な胸元と膝丈まで垂れさがるビッグアームには、たっぷりの布地を使用したギャザーをあしらい、本来とは異なる重厚感溢れる表情を生み出している。漆黒の美しさを讃えて1つのピースに2色以上の色彩で溢れるコレクションの中、ブランドのシンボルコード=ブラックのドレスに至っては、異なる素材の質感を引き立てる単色でスタイリングされた。モデルのヘッドピースには、今季の特徴でもある3Dのベールをオン。ドレス構成のアプローチとしては他と共通項があるものの、半透明の黒の世界を通すことで、どこか妖艶な雰囲気が漂っているのが印象的だった。新作シューズもなおコレクションの中では、新作のフットウェアが続々と登場。ナイキ(NIKE)エアフォース1とダブルネームを刻んだハイカットスニーカーにも視線が注がれた。
2020年03月04日ノワール ケイ ニノミヤ(noir kei ninomiya) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月29日(土)にフランス・パリ市内で発表された。パンク&ロックな要素と融合バラをモチーフにしたようなボリューミーなドレスから始まった今季。例年のようにレースやフリル、フェイクレザーといった立体的な装飾を施しながらも、パンク&ロックテイストのカラーやディテールを組み合わせて、パワフルな表情に仕上げているのが印象的だ。安全ピン付きのシューズ一連のドレスに組み合わせられたのは、複数の安全ピンでデコレーションしたレザーシューズ。そして毎度ショーで目を惹くヘッドピースは、逆立てたヘアスタイルのように、四方八方へと流れている。鋭利なデコレーションまさにそんなヘッドピースと連動するような、エッジを効かせたブラックドレスも登場。鋭利にカッティングされた1つ1つの装飾はクリアな素材と組み合わせることで、危な気な光沢を放つ。またその裾にはフリルを差し込み、逆説的にフェミニンなムードをプラスしているのも面白い。メタル素材で仕立てるドレステーラリングの美しさが際立つブラックのピースには、硬質なメタリックな装飾が加えられながらも、どこかフェミニンなムードを演出する。モデルが身動きをとれないほど複数のワイヤーで囲ったピースは、全体を俯瞰すると、ふんわりと袖が膨らむドレスのよう。また安全ピンのように細長いメタルパーツを繋ぎ合わせたピースは、ひとつひとつは無機質な表情であるが、イブニングドレスのような優雅なシルエットを生み出している。パンキッシュなチェック柄もショーの終盤に差し掛かると、パンキッシュな真っ赤なチェック柄を取り入れたピースが登場。フロントを大きくくり抜いたドレスには、表情の異なるチェック柄スカートをレイヤード。アームとボディそれぞれに2つのチェック柄を取り入れたピースも存在する。“貴族風”のドレスルックもそれに続くように現れたのは、まるで舞踏会に登場するような“貴族風”のドレス郡。しかしこれらのピースは、本来の姿に“反抗”するような前衛的なアプローチのもと作られている。クリノリンに直接編み込みドレスの構造を明らかにしたり、綿のようなものを重ねて優雅なヘッドドレスに見立てたり。漆黒に溶け込む正体は?そしてショーのラストに現れたのは、超ボリューミーなブラックピース。これまでとは繋がりのないようにも思えるその姿は、不気味なほど装飾でモデルを埋め尽くしていて、かろうじて顔や手の平を覗かせている。漆黒に包まれた会場に溶け込むようにして消えたその正体は、今季のコレクションに潜む反骨精神のようにも感じられた。
2020年03月03日ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月29日(金)にフランス・パリ市内で発表された。漆黒に染まったコレクションヨウジヤマモトのコード=黒一色に包まれた今季。ロングレングスを主流とするコレクションは、とにかくその“黒の布地”という舞台で繰り広げられる、様々なアプローチを伺うことができる。黒のレースアップで引き立てる女性美序盤に登場したテーラードのロングジャケットスタイルには、ビスチェのようなレースアップのディテールを1つのキーワードとして捉えた。ジャケットのサイドやフロント、そして差込んだドレスなど、あらゆるところに現れたそのディテールは、もとよりセンシュアルな機能を持つことはもちろん、生地を縛ることで生まれるドレープや、崩れることのない美しいシルエットも相まって、黒から生まれる女性の美しさを静かに讃えている。チェック柄をモチーフに続いて行われたのは、黒を通して“柄”を生み出すという手法。格子柄のストールを差し込んだスタイリングが登場したかと思えば、その“チェック柄”を2Dや3Dといった観点から生地の上で表現。ツイード風のどこかおぼげなチェックや、“くりぬく”というカッティングによって生まれた網目模様のチェック、そしてチェック=図形としてとられたかのような、四角形の集合からなる立体的なモチーフ…。再び2Dに戻ると、今度は真っ白なスプレーで描いたようなストリートライクなチェックへと進化。さらにそのモチーフを拡大させたジャケットは、まるでクロス(十字架)が浮かび上がるような神聖な表情へと導いている。黒が秘めるパワー終盤にかけては、黒の世界へレッドやブルー、パープルといった差し色を投じた。波打つドレスのフリルに色をのせて躍動感をプラスしたり、グラフィカルなモチーフをボディに描いてみたり。黒に浮かび上がるそれらの色は、日常がフェイクと思えるほど、鮮やかな色彩を放つ。再び黒一色の世界へと戻ると、色が無くともそこには無限の美しさが広がっていることに気付かされる。エレガントなドレスルックには、黒のチュールを“纏う”だけで、妖艶なムードをプラスしている。ラストを飾るポップなカラーショーのラストに現れたのは、今季のコレクションとは繋がりを全く持たない鮮やかなピース。ブルーのドレスに真っ赤なカーディガン、そして首元には不思議な装飾を巻き付けている。ヨウジ ヤマモトならではの構築的なシルエットはそのままにもかかわらず、何故か“違和感”を覚えてしまうルックだ。会場を後にした後、“あれが黒だったなら…”と想像してしまった観客は、おそらく一人だけではないはずだ。
2020年03月03日クリスチャン ワイナンツ(christian wijnants) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月28日(金)フランス・パリで発表された。温もり溢れるニットを主役にその上質な素材と色使いで人気を誇るニットウェアを中心に展開された今季。ワントーンを基調としながらも、編み模様の切り替えや、肩から胸元にかけてアシンメトリーに重ねた共布によって、モダンな雰囲気を演出しているのが特徴だ。帯を連想させるデザインも中でも印象的だったのは、日本の伝統衣装・着物の“帯”を連想させるデザイン。ゆったりとドレープを描くエレガントなニットドレスには、ウエストから背後へとその独特なモチーフが流れていく。帯がほどけてしまったかのようなその姿に、私たち日本人は一種のセンシュアリティを感じるかもしれない。ジグザグ模様が“飛び出す”ニットウェアブランドの得意とするグラフィック柄も、ニットのセットアップで提案。キャンバスに見立てたアイボリーのセーター×スカートには、立体的なジグザグ模様があしらわれている。そしてそのラインの延長先上には、フリンジ状のストラップをオン。まるでジグザグ模様が、裾から“飛び出してしまった”かのようなユニークな表情が面白い。ストラップを使用したアプローチもこうしたグラフィックへのアプローチは、布地やニットの上だけでなく、複数のストラップを重ね合わせたドレスからも見て取れた。網目状のドレスに繋がれたそれらのストラップは、モデルが歩く度にユラユラと揺れ、一瞬一瞬に異なるグラフィカルな模様をみることができるのだ。カラーパレットパレットは、ブラック、ホワイト、ペールピンク、淡いブルーといった落ち着いた色彩に、ネオンオレンジ、ミントグリーン、鮮やかなブルーをアクセントに投じて。コレクションの中では、こうしたプレーンカラーのピースみならず、グラフィカル模様のピースも、同柄でスタイリングされていた。
2020年03月03日ロエベ(LOEWE) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月28日(金)フランス・パリで発表された。テーマは「ファッションと遊ぶことを愉しむ」。生地が生み出す不思議なボリュームジョナサン・アンダーソンによるエッジィなアイディアをきかせたデザインは、今季も健在だった。コレクションでは、ボリューミーなシルエットを生み出すアプローチをあらゆる角度から模索。ジャケットやドレス、ブラウスといったオーセンティックなアイテムが、斬新なディテールの採用によって、あらゆる方向に膨らみを持たせているのが印象的だ。自然と浮遊するドレス例えば、裾に向けてバルーンのようなふくらみを持つエレガントなドレス。前から見るとさほど違和感はないのだが、モデルが後ろを振り返ったときにそのシルエットの種明かしが明らかに。バックから布地を絞るようにして吊り上げられたそのスカートは、自ずと裾が持ち上がり、まるで無重力の中で浮遊しているかのよう。モデルが歩くたびに、ふわりふわりと揺れる独特なボリューム感を生みだしている。サイドからのアプローチまた前シーズンに続き、クリノリン風のパーツをスカートの下に組み込むことで、サイドへのボリュームを待たせるピースも散見された。こうしたサイドへと目を向けたアプローチの中でも、ひと際目をひいたのは、煌めく装飾付のベルスリーブのニットと組み合わせたワイドパンツ。そのゆったりとしたレングスよりも先に目が行くのは、サイドへと大胆に拡張させた履き口だ。たっぷりととった布地を従来のウエストの位置でつまみだすことで、羽根のようにパタパタと揺れ動くユニークな表情を作り上げた。クラフトマンシップを感じさせるピースロエベならではの上質なレザーを取り入れたアイテムにも注目したい。中盤に現れた淡い水色ジャンプスーツは、サイドのラインやスポーティーな縦襟にレザーを採用することで、ラグジュアリーなストリートウェアへと昇華。また日本人の陶芸家・桑田卓郎(※)とのコレボレーションピースとなる、フロントを丸っとくり抜いた特徴的なドレスには、スタッズをあしらったレザーのパネルを配置。それはまるで洋服の真髄には、常にクラフトマンシップが存在していることを意図しているかのようだ。※ロエベ ファンデーション クラフト プライズ2018の特別賞受賞者。新作アクセサリーなおランウェイには、レザーを使用したアクセサリーも続々と登場。リボンをアクセントにしたコンパクトなショルダーバッグや、スエードやカーフを使用した新作「ハンモックバッグ」をはじめ、煌くジュエリーを飾ったヒールシューズなどが展開された。
2020年03月03日CELINE(セリーヌ)が、パリで2月28日、パリのアンヴァリッドを会場に、2020年ウィンターコレクションショーを開催した。今シーズン、フランスを代表する彫刻家で現代美術家のセザール・バルダッチーニ(Cesar Baldaccini)とコラボレーション。彼の代表作であるジュエリー「compression Cesar bijou」シリーズをレプリカとして制作したネックレスがお披露目された。このネックレスは、2色展開で、特別ボックスとシリアルナンバリング入りで世界200個限定(予定)で販売を予定。価格、展開時期は未定とのこと。
2020年03月02日トム ブラウン(Thom Browne)が、パリで2020-21年秋冬コレクションを発表した。トム ブラウンは、初のメンズ・ウィメンズ合同でのコーエドショーを実施。33組のカップルが同じワードローブを纏い登場した。
2020年03月02日オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月27日(木)フランス・パリで発表された。“SLIGHTLY OFF”をキーワードに車がアスファルトの地面へとのめりこんでしまったかのような、ユニークな演出が施された今季のショー会場。そんなオブジェクトの周りを巡るようにして登場してきたモデル達は、今季ブランドが掲げたキーワード“SLIGHTLY OFF”=何かが違う、という言葉通り、従来のワードローブに遊び心溢れるアレンジを加えているのが特徴だ。ディテールに一捻り例えば“くり抜く”という手法。ラグジュアリーなゴールドのチェーンを腰元にまいたオールインワンや、ブラトップと合わせたスカートは、片側だけに楕円型のカッティングを施し、モデルの肌を露わにする。またジャケットやロングコートといったアウターには、複数のスリットを配したり、片側だけの裾を伸ばしたアシンメトリーなシルエットを加えることで、こうした不均一な表情を演出。ウエストにはベルトの代わりに、ギャザーをたっぷりよせたガーリーなストラップの装飾をあしらっているのも今季の特徴だ。格子柄をアレンジしたユニークなジャケット本来のクラシカルなコードに、ユニークなアレンジを加えるアプローチも見て取れた。格子柄のセットアップは、途中からパターンの配置を微妙にずらすことで、ジオメトリックな表情を描きだす。足元はラフなフラットサンダルで抜け感をプラスすることで、シティライクなストリートのムードへと引き寄せている。ドレスとの融合もショーの終盤にかけて続々と登場したのは、ドレスとストリートという、相反する要素のドッキング。一方にはクリノリン入りのロマンティックなチュールドレスを、そしてもう一方にはカモ柄のカーゴパンツをあわせてみたり。もしくは艶やかなミニ丈のネイビードレスに、ネオンカラーのロングレギンスを差し込んでみたり…といった具合で、本来出会うこのない組み合わせがランウェイの上で融合され、観客の視線を惹きつけていく。ボリューミーな純白ドレスもショーのラストに登場したのは、女性が憧れる純白のウエディングドレス!…と思いきや、これもブルーのアノラックパーカーを組み合わせたユニークな着こなしだ。また、まじまじと見ていると、ウエスト部分の切り替えが見当たらず、ドレスのスカートをくりぬいたような構造であることにも気付かされる。そしてこの不思議な構造のドレスを纏ったモデルのジジ・ハディッドは、そんなチュールをラフに手繰り寄せながら闊歩するという、“どこかおかしな”ラストで幕を閉じた。
2020年03月02日リック・オウエンス(Rick Owens) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月27日(木)フランス・パリで発表された。アシンメトリーなニットウェアをベースに今季はローズリー・ゴルドベルクによるパフォーマンスアート組織「Performa」を着想源にしたメンズコレクションと連動し、柔らかなニットのボディスーツをベースにしたウィメンズコレクションを展開。メンズ同様に、不均一にボディラインをみせるニットルックは、ショーが進むごとに様々なアレンジを見せてくれる。例えば透明なPVC素材のアウターを重ねたり、あらわとなった肌を隠すように、ニーハイブーツを組み合わせてみたり。またこうしたレイヤードアイテムもどこか不自然で、膝を超えるほどのスリーブや、トレーンを引くような超ロング丈のパンツなど、いくら重ねても私たちの思い浮かべる“完璧”な衣服が完成する気配はない。パワーショルダーをシンボルにツンと上を向くイカリ肩をもつアウターも象徴的な存在。構築的な表情をもつレザージャケットやテーラードジャケットは、対局な存在となる柔らかなニットウェアを包み込み、パワフルな存在を主張する。さらに進化して…ショーが進むにつれて、そのショルダーを極端に拡大させたルックも登場。隆々と盛り上がったアグレッシブなショルダーは、カンサイヤマモト(Kansai Yamamoto)から着想したという、マニッシュなグラフィカルラインを乗せることでより力強い表情へと進化。これまでのスタイルが“控えめ”に感じられてしまうほどだ。リック・オウエンススは、この独特のスタイルを、フランスの建築家ル・コルビュジエによるモデュロール と表現している。予想を裏切るワードローブこうした“サプライズ”を詰め込んだ一連のワードローブの中でも、ひと際目を惹いたのが、ショーの終盤に靄の中から現れたダウンケープの漆黒アウターだろう。後ろから見るとスクエア型のマントのようなフォルムを持つこのアウターは、モデルが腕を広げると、凧のように広がる仕掛け。まるで今にも飛び立ちそうなその様は、既存の固定観念を打ち破るメゾンの飛躍を予感させてくれた。
2020年03月02日レオナール(LEONARD) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月27日(木)フランス・パリで発表された。東洋の美を追求ブランドらしい鮮やかな色彩と、美しい花々で彩られた今季のコレクションは、エレガントなドレススタイルはもちろん、オリエンタルなムードを強く反映させたワードローブが登場。艶やかなシルクスクリーンを贅沢に用いながら、伝統的な東洋の要素をドレッシーに解釈したレディ トゥ ウェアが展開される。日本へのオマージュを捧げてまず目を惹いたのは日本の伝統的衣装=着物へのオマージュを捧げたアウター。打掛のような艶やかな表情を持つロング丈のダウンコートをはじめ、着物そのもののディテールやシルエットをリアルに踏襲したキモノローブも登場。ロングスリーブのダウンジャケットをインサートすることで、中に重ねた着物の袖丈が覗いているかのようなフレッシュな着こなしを提案している。“サムライルック”を現代に再解釈オリエンタルなオレンジ色のグラフィックが目を惹くノーカラーのアウターは、小袖の上に重ねるサムライの“羽織”を連想させるデザイン。かつての日本男児の正装は、細やかなプリーツをあしらった同柄のスカートに、ポインテッド トゥのパンプスを合わせることで、フェミニンなムードへと引き寄せている。チャイナドレスを起源に東洋の要素は、国境を越えて中国を起源に持つものも。チャイナドレス特有の斜めの前合わせや、大胆なスリットを配したオリエンタル柄のドレスは、キルティング仕立ての半袖ジャケットをレイヤードすることで、モダンな印象へとアップデートさせた。花々のグラフィックアイコニックな蘭の花をはじめ、儚げなアサガオ、みずみずしい紫陽花と、あらゆる花々で満ち溢れたグラフィックの着こなしも印象的。異なる花同士をドッキングさせた柄×柄のスタイリングや、エッジィなレオパード柄と組み合わせるフレッシュな着こなしも見て取れた。中でも印象的だったのは、欄や紫陽花の咲くシックな絵柄のボディスーツに、PVCのフード付きプルオーバーを組み合わせたルック。PVCの半透明の水色を通すことで、従来よりもみずみずしさを増した花々が映し出される、ブランドならではのエレガントな表情を生み出していた。
2020年03月02日アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月27日(木)フランス・パリで発表された。メタリックな装飾を味方にこれまでもマニッシュな要素をウィメンズウェアに落とし込むアプローチを行ってきたアン ドゥムルメステール。今季はこれまでも行ってきた紳士服のコード=テーラリングを用いながら、“メタリックな装飾”を新たなアクセサリーとしてプラスして、斬新なウィメンズルックを作り上げていく。女性の魅力を逆説的に引き立てる本来ドレスの構築的なシルエットを生み出す“クリノリン”を連想させるそのメタルパーツは、形を変えながらあらゆるルックに登場。パワーショルダーのように両肩にあしらわれたり、冠のようにして頭にかぶったり、まるで女性のシルエットを強調するかのように胸元につけてみたり…。「形どる」という本来隠された機能を、外側から行うアプローチは非常に斬新で、その無機質な表情も相まって、前衛的なウィメンズスタイルを作り上げている。“貴族ルック”を現代に再解釈ベースとなる再構築されたウェアは、貴族たちのまとうドレッシーなピースを意識しているのだろうか。ドレス用のランジェリー=コルセットを連想させるデザインのトップスをはじめ、ドレスのようにトレーンを引くほど拡張されたジレが登場。またアシンメトリーに仕上げたドレスには、超極小のクリノリンをインサートして、わざとらしくその内部構造を露出。ロングジャケット×ロングレングスというマニッシュなスタイルは、リボンの代わりに例のメタルパーツを腰元に配している。カラーパレットブランドお馴染みの漆黒から始まったコレクションだったが、中盤から終盤にかけては、レッド、イエロー、ライムグリーンといった、ドレスカラーを彷彿させる華やかな色彩が登場。それらはメタリック、マット、シアーといった様々な生地で仕立てられ、時にはマニッシュなテーラリングとドッキングさせたドレスも登場した。
2020年03月02日コシェ(KOCHÉ) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月25日(火)、フランス・パリにて発表された。ドレッシーな日常着「着られるクチュール=COUTURE TO WEAR」をコンセプトに、ストリートやカジュアルをミックスしたオリジナリティ溢れるスタイリングを提案するコシェ。今季は、ドレッシーなムードを強めているのが特徴で、たっぷりのギャザーをあしらったゴージャスなデニムスカートや、ドレス生地のような艶めく花模様のテキスタイルで仕上げたセットアップなど、日常のワードローブを“とっておきなもの”へと変えるアプローチが行われている。レースで優雅な表情に中でも印象的だったのは、レースを使用したスタイリング。クチュール的表現を代表するこのモチーフは、ダンガリーカラーでデニムに見立てたロングレギンスや、アクティブな色彩が目を惹くスポーティウェアに登場。これらの服が持つ本来のカラーコードを踏襲することで、日常に馴染むスタイリングを完成させながらも、相反する要素をドッキングさせた唯一無二のワードローブへと昇華している。アシンメトリーなシルエットオリジナリティをもたらす要素には、アシンメトリーなシルエットも深く関わっている。ドレスやスカートの裾はバイアスカットを施したり、フレアを幾重にも重ねたりすることで、優雅な動きを生み出し、よりエレガントな表情に。また片側だけの裾をフリンジ状に伸ばしたトップスは、パッチワーク風のテキスタイルも相まって、アーティスティックなムードが漂っている。日常を優雅に着飾るショーの終盤に現れたのは、観客の視線を惹きつける煌びやかな装飾が施されたワードローブ。しかしこれも良く見ると、ロングTシャツ×デニムジーンズというリアルクローズがベースとなっているのだ。そして手元、首元には、“本物”のドレスを纏っているかのように、パールやゴールドのアクセサリーを大げさにレイヤード。何気ない日常を優雅なものへと変えてくれるワードローブは、忙しない現代人に必要な一着なのかもしれない。
2020年03月01日