稀代のオスカー賞女優、ヘレン・ミレンほどエンターテインメント業界で長く生き延びるための知恵を持っている人物はなかなかいないだろう。ヘレンが自身の最新作『RED リターンズ』の取材の最中、現代の若手女優、とりわけ“お騒がせ”がすぎるリンジー・ローハンとアマンダ・バインズに対してアドバイスを求められたとを米エンタメ情報サイト「eonline.com」が明かしている。そこでヘレンは「これをテレビで言っていいかは分からないけど」と前置きをしながら「調子に乗るんじゃないわよ」とキツい一発。「若いときはみんな調子にのって、ハメを外してしまうけれど、やってはいけないわ。絶対にダメ」。現在でこそ大英帝国勲章を受けるほどの存在のヘレンにおいても、かつてはコカインを使用していたと過去を告白した経験がある。「若い頃っていうのは、みんなバカなものなのよ」と2011年の雑誌「Esquire」のインタビューで発言している。「自分でそうは思っていなくても、おばかさんなの。そして、そうあるべきものなの」と話すヘレンは、「人生でもっとも厳しいのは20代ね」と言い切っている。偶然なことにリンジーとアマンダは共に27歳。ヘレンが言うところのもっとも厳しい時期なのだ。「恥ずべきことだけど、(20代は)一番ゴージャスで身体能力もピークな時期なのね。だけど、実際はもっとも不安定で、自分への疑問に満ちた時期でもあるのよ。この先に何が起きるのか分からずにいるのは、恐ろしいことなの」。ヘレンの言う“厳しい時期”20代を抜けるには、あと3年もあるリンジーとアマンダ。彼女たちの“お騒がせ”は30代になっておさまるのだろうか。(C) Getty Images(text:Mieko Nakaarai)
2013年07月05日人材紹介会社ヘイズ・ジャパンは17日、女性が活躍する就業環境と企業が抱える課題について論じるダイバーシティ・セミナーを、六本木ヒルズで開催した。ダイバーシティとは、企業が人種や年齢、性別や宗教などにこだわらず、多様な人材を生かし、その能力を発揮させようという、90年代にアメリカで発祥した考え方。人材紹介会社ヘイズ・ジャパンは、日本でのダイバーシティを広めることによって、女性が活躍する就業環境の拡大を促進している。同社の代表取締役クリスティーン・ライト氏は、講演の中で、女性がキャリアアップするための仕組みが企業に存在していないことが問題であると述べ、課題解決のためにダイバーシティ推進が重要であると語った。『現在、女性ワーカーの2人に1人は転職しています。その理由の半数が「今いる会社ではキャリアアップすることが不可能だから」です。わが社の調査によると、65%の女性たちがキャリアアップのチャンスや昇格、給与面で男性より不利であると感じており、また、実際に66パーセントの企業採用担当者が、女性のキャリアアップのための仕組みが社内に存在しないと語っています。より多くの企業がダイバーシティの重要性を理解し、女性ワーカーの能力を最大限引き出すよう努力することが、課題と言えるでしょう』(ライト氏)また、上智大学国際教養学部准教授の大石奈々氏も出席し、「さらなるダイバーシティとワークライフ統合に向けて」というタイトルで講演を行った。同氏によると、ダイバーシティを推進し女性従業員比率が高い企業は、低い企業と比べて事業収入が多く、市場占有率が高いなど、業績が良いという。これは、女性ならではの多様な経験や視点がイノベーションにつながり、女性に受け入れられるような製品やサービス開発につながるからであるとされる。しかし、日本においてはまだまだダイバーシティが浸透していないため、70%の女性が出産後退職。女性はキャリアを維持することが困難であり、企業も女性ワーカーという人材を活かしきれていないという現状がある。このような課題を解決するために、大石氏は「ワークライフ統合」を取り入れるべきであると語る。「ワークライフ統合」とは、仕事と家事育児を、必ずしもきちんと区別する必要がないという観点から生まれた、柔軟な業務スタイルを推進する働き方。オフィスでの短時間勤務と在宅勤務のバランスを自由に選択することができ、例えば同氏は週55~60時間勤務の内、オフィスで25時間、自宅で30~35時間の勤務を行っているという。ダイバーシティ推進の一つの施策として、今後期待が集まるワークスタイルであるといえよう。また、大石氏自身もワーキングマザーであり、インタビューでは「子育てと仕事の両立は大変だが挑戦し続ける価値はある」と語った。『子育てで一番うれしいのは、子供の成長です。「お母さんお仕事頑張ってね」というその一言だけで頑張ることができます。毎日必ずうれしいことが起きるんです。仕事においては、大学で関わっている学生たちが一生懸命勉強し、努力して、進学や就職など、自分の希望する道に進むことができる事が何よりの喜びです』(大石氏)セミナーには特定非営利活動法人J-Winの理事長である内永ゆか子氏も出席し、企業がダイバーシティを受け入れることの重要性についての講演を行った。J-Winは、企業におけるダイバーシティの促進と定着を目的に2007年に設立された団体。企業に対して女性ワーカー活用のコンサルタント、セミナーや講演などを行う。同団体の内永氏は、ワーカーだけではなく、企業こそが意識改革をしなければならないと語る。『女性ワーカーがどれほどキャリアアップを目指し、ダイバーシティの意識を持ったところで、彼女たちが働く企業がそれを理解しなければ意味はありません。だからこそ、J-Winは、ワーカーだけでなく企業に対してダイバーシティを促進するのです』また、女性ワーカーだけではなく、企業にとってもダイバーシティがもたらすメリットは大きく、「性別、宗教、国籍、年齢に関わりなく、さまざまな人材を活用していくことによって企業は自社開発力を高めてゆくことができます。ダイバーシティは、女性のためだけではなく、企業のために行うことなのです」と同氏は語った。そしてセミナーには、ワーキングマザーの代表として、NTTコミュニケーションズの鈴木照江氏が出席。ダイバーシティがまだまだ浸透していない日本社会で、働く母として乗り越えてきたさまざまな体験談を語った。同氏は、仕事と子育てを両立させるために「週末婚」という選択をしたという。『平日の間、夫は社宅から会社へ出勤し、私は自分の実家から出勤します。そして当時派遣社員だった妹に仕事をやめてもらい、自分の子供のベビーシッターとして雇い、子育てを手伝ってもらいました』(鈴木氏)週末婚をしている当時、ある新聞社に取材を受け、「鬼嫁」と記事に書かれたこともあったと同氏は語る。『子供が父親と週末しか会えないため、この選択が本当に正しいのかと当時は悩みました。しかし、たとえ「鬼嫁」と呼ばれても、家族にとってベストな選択を取ることができたと思っています。週末婚という形をとることによって、仕事を続けつつ、子供に対してきちんと愛情を注ぎ、育児をすることができました』しかし、会社や子供の学校で、さまざまな困難も経験したという。男性社員がもつ「19時の退社は早い」という意識の差や、昇格することによって失う家事や育児の時間、母親が専業主婦であることを前提としているPTA活動の時間捻出、主婦集団の中での疎外感など、その困難はさまざまであったという。『なによりも、子供が地域の子たちの輪に入れないということがつらかったです。玄関で子供が涙を浮かべてモジモジしていて、結局遊びに行かずに、庭の隅っこで砂いじりをしていたりしました。友達がなかなかできず、寂しい思いをさせたことに対しては心が痛みました』以上のような経験を乗り越え、女性ワーカーが活躍する就業環境を整えるために、「社会全体にダイバーシティの浸透が必要」と鈴木氏は語り、「制度確立、運用推進だけではなく、意識改革までしなければならない」と自身の思いを述べ、「仕事と子育ての両立に関して最も大切にしたことは、徹底した自己分析であった」と語った。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月26日「演じる」ということは、それほど魅力的で、まるで麻薬のように女優を惹きつけてやまないものなのか。英国を代表する名女優ヘレン・ミレン。歳のことを言うのは失礼かもしれないが、60代半ばにして、昨年と一昨年だけで計5本の映画に出演しており、中には『RED/レッド』のように大きな銃を手に激しいアクションが要求される作品も。一体何が彼女を動かすのか?まもなく公開となる『テンペスト』は、シェイクスピアの最後の作品。『アクロス・ザ・ユニバース』のジュリー・テイモアが映像技術を駆使して“映画”として作り上げた。シェイクスピアはヘレンにとって、生涯を通じて舞台で繰り返し演じてきた作品だが、今回、彼女は何を感じ、表現したのか――?数多くのシェイクスピア作品に出演してきた名女優の新たな挑戦シェイクスピアが“ゆるし”をテーマに書き上げたこの戯曲。謀略によってミラノ大公の座を追われ娘と共に流れ着いた孤島で12年。魔法の力を極めた主人公がついに自らを陥れた者たちへの復讐の機会を手にするのだが…。今回の映画の何よりの特徴は、主人公のプロスペローの性別を変更し、プロスペラという女性としたこと。だがヘレンは映画の話が来る以前から、この主人公を女性として演じることは可能だと考えていたという。どのように役を作り上げていったのだろうか?「特にジュリーとの間で話し合いといったことはしてないの。というのは、すでに原作のしっかりとしたセリフがあり、それは女性に置き換えても納得のいく素晴らしいものだったから。ジュリーから言われたのは、映画として撮る上で、芝居臭さをなくしてほしいということ。これまでに何度もシェイクスピアの作品に参加して、この『テンペスト』も違う役で何度も演じたことがあったから、そうした中で身についてきた芝居っぽさを落として、自然な会話をするというのはチャレンジだったわ。でも、女性だからこその難しさというのはほとんど感じなかったわね」。だが完成した作品を観ると、プロスペラの“復讐”と“ゆるし”のはざまで揺れる心情やほかの登場人物との関係性において、女性であるがゆえの空気感といったものが確実に感じられる。「そうね。例えば娘のミランダ(フェリシティ・ジョーンズ)との関係で、エモーショナルで心温まる部分、娘を深く愛しているという気持ちが強く出たと思うけど、それは女性ならではと言えるわね。それからエアリエル(妖精/ベン・ウィショー)とも単なる主従というだけでない、ソフトで知的な関係が築けたと思う。この部分もセリフは原作からほとんど変更されていないけど、より面白くなった部分ね」。「やり尽くしてと思うこと?もちろんあるわ(笑)」「シェイクスピアというのはいつでも何かを学べる深さがあるの。深く掘り下げるべきものがね」とヘレン。プロスペラの燃えるような“憎悪”と“寛容”で揺れる心理の変化の過程を女優として、彼女はどのように捉えたのか?「あの復讐の思いを表現するということは、自分の女優としての個人的な経験や心理を役に重ね合わせていくことが演技の中で要求されたわ。それから“ゆるし”という部分に関しては、プロスペラがどのようにして死を迎えようとするのか――それはシェイクスピアが描こうとしたことでもあるのだけれど――自らの死に対して準備をする、ということが重要なテーマとして横たわっているの」。それにしても、本作のプロスペラもそうだが、ヘレンの演技からは“円熟”や“老練”というよりも、荒々しいまでの情熱、熱さが伝わってくる。年齢を重ねるということについて、ヘレンはこんな言葉を口にする。「年を取るということはもちろん、誰にとっても悩めることではあるけど、私は意外と上手にそこに向き合えたと思うわ。13歳、14歳の少女の頃は自分の欠点を挙げては『ああすれば良かった』、『こうなりたかった』なんて思っていたものだけど、年を重ねてそういうことを気にしなくなった。それが上手に年を取るコツかしら(笑)?」では、冒頭の質問に戻ろう。すでにオスカーをはじめ、ありとあらゆる賞を手にし、大英帝国勲章まで受勲しているヘレンだが、それでも彼女が常に新たな作品に挑戦し、情熱を役にぶつける理由はどこにあるのだろう?「いろんな俳優が言うのは『いまある仕事をもらわないと、干されちゃう』ということ(笑)。その心配は私もあるから、どんどんやってしまうのかもね。いろんな映画でいろんな場所に行けるのも魅力ね。『RED/レッド』ではハンガリーとイスラエル、この作品ではハワイで撮影できた。そういう好奇心でついつい受けてしまうのね(笑)」。本当にそれだけ?「もうやり尽くした!」と思ってしまうことは…。「あるわよ!もちろんあるわ(笑)。時々『もう十分ね、やめようかしら』と思うわ。でも、少し休みを取ってのんびりすると不思議とまたやりたくなるの。自分の中では“不思議なイマジネーションの旅”って呼んでるわ(笑)。しばらく演技をしてないとこう思うの。『また、イマジネーションの旅に出ようかな』って」。願わくばその旅路をいつまでも続けてもらいたいところ。70歳、80歳になっても新たな表情を見せてほしい。(text:Naoki Kurozu)© Startraks/AFLO■関連作品:テンペスト 2011年6月11日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開© 2010 Miramax Films.All right reserved.■関連記事:小林幸子がオスカー女優着用の衣裳で登場!「結構、重たいです」ケイティ・ペリー、一緒に来日した夫のラッセル・ブランドが国外退去処分にシェイクスピアの名作が蘇る『テンペスト』試写会に15組30名様ご招待
2011年06月10日『RED』で迫力の紅一点を演じたヘレン・ミレンが28日、多くのハリウッド・スターたちの手型や足型が刻まれるロサンゼルスのグローマンズ・チャイニーズ・シアターの前庭に、自身の手型と足型を刻んだパネルを設置した。スターの功績を讚える1920年代から続く伝統的なイベントで、ここ数年の間にジョニー・デップやロバート・ダウニー・Jr.、ウィル・スミスらも仲間入りをしている。ミレンは2003年にイギリスでデイムの称号を授かり、06年の『クィーン』でアカデミー賞主演女優賞受賞、昨年も『終着駅-トルストイ最後の旅-』で主演女優賞候補になった。華々しい経歴を誇る彼女はこの日のスピーチで「私の人生には3度、素晴らしい栄誉を受けた瞬間がありました。1つは大英帝国からデイムの称号をいただいたとき。とても誇りに思っています。2度目はオスカーを受賞したとき。そして3度目はグローマンズ・チャイニーズ・シアターの前に手型と足型を刻むときです」と語った。彼女同様、デイムの称号を受け、シアター前にパネルを設置している女優には先頃亡くなったエリザベス・テイラーや、ジュリー・アンドリュースがいる。ヘレンは「ハリウッド大通りのたくさんのデイムのひとりになれて、とても光栄です」と結んだ。(text:Yuki Tominaga)写真はグローマンズ・チャイニーズ・シアターで手形を刻むヘレン・ミレン。© Reuters/AFLO■関連作品:RED/レッド 2011年1月29日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2010 Summit Entertainment, LLC. All Right Reserved.■関連記事:ブルース・ウィリス、若造には負けじ!『RED』ド派手なアクション映像が到着“オヤジ代表”泉谷しげる、若者に過激なエール!「灰皿で殴っちゃダメ」ジョニーが主演賞Wノミネート!オスカー前哨戦のゴールデン・グローブ賞候補が発表バカが飛び出す!『ジャッカス3D』が『ソーシャル・ネットワーク』抑え全米1位獲得ブルース・ウィリス主演作の晴れ舞台に盟友スタローン&J・フォスターも登場
2011年03月30日