ハムとベーコンの違いをご存知でしょうか。生肉と違って手軽につかえる、大変便利な加工肉製品。薄切りされたハムとベーコンは朝食の定番として人気が高いです。しかし、実際に何が違うのかご存知の人は少ないかもしれません。今回はハムとベーコンの特徴を知っていただき、どのような料理に適しているのかをご紹介します。■ハムとベーコンの違いと特徴ハムとベーコンは豚肉からつくられている、ということは共通です。豚肉にはさまざまな部位がありますが、ハムとべーコンではつかっている部位が違います。では、ハムとベーコンの違いと特徴を見ていきましょう。・ハムは『モモ肉』ベーコンは『バラ肉』ハムを英語にするとhamです。この単語は豚のモモ肉を意味します。つまり、ハムをつくる主な部位は『モモ肉』であり、後ろ足の部位をつかうことが多いです。世界的に見てもモモ肉が主流になっていて、モモ肉で作られたハムはボンレスハム、骨付きハムに分類されます。ただ、世界的にはモモ肉が主流ですが、ロース肉や肩肉でつくられたハムもあります。ロース肉をつかったものはロースハム、肩肉をつかったものはショルダーハムと呼ばれています。日本では、豚のモモ肉よりもロース肉をつかったロースハムが主流です。実際にスーパーで販売しているハムを見てみると、ほとんどがロースハムになっています。みなさんも「ハム=ロースハム」という認識があるのではないですか? これは日本独自のことなので、豆知識として覚えておきましょう。次に、ベーコンを英語にするとbaconです。この単語は豚のバラ肉を意味します。ハムをつくる部位は『モモ肉』でしたが、ベーコンをつくる部位は『バラ肉』という違いがあります。バラ肉とは、アバラ骨の周囲の肉を指し、皮と赤身と脂身が3層になっているので三枚肉(さんまいにく)とも呼ばれます。他の部位と比較すると、脂身が多いことが特徴です。世界的にみて、豚のバラ肉を使ったベーコンが主流です。しかし、バラ肉とは異なるロース肉を使ったロースベーコン、肩肉を使ったショルダーベーコンもつくられています。・ハムとベーコンの製造方法の違いハムとベーコンはつかっている部位のほかに、製造方法にも違いがあります。ハムはベーコンに比べて製造までの過程が多く、比較的手間のかかるのが特徴です。ハムの製造工程は、まず、「塩漬」と呼ばれる塩を主成分にした塩漬剤を肉塊に加える作業を行います。塩漬の目的は、保水性の向上や保存性の向上、肉色の発色と固定などです。また、味や食感をよくするためでもあります。漬け終わったあとは丁寧に塩抜きを行い、次の工程である燻煙をうまく行うために表面を乾燥させ、肉を熟成させます。次に、肉を型に入れて形を整えます。そして、ハムとしての形が崩れないように肉を糸で巻き、桜や樫などのチップを用いて燻製にします。最後に、スチームやボイルなどの加熱工程を経て、急速に冷却させることでハムが完成します。一方、ベーコンの製造工程は前述したとおり、ハムに比べて比較的手間がかかりません。ハムがボイルで加熱するのに対して、ベーコンは非加熱でボイルしません。つまり、製造工程の大きな違いは、加熱の有無なのです。燻製しているのでもちろんそのまま食べられますが、塩漬けしたあとは熟成と燻製のみで、あらためてボイルで加熱しません。・ハムはカロリーが低いスーパーで販売されているロースハムとベーコンのカロリーを調べてみたところ、このようになっていました。ロースハム(100g当たり):196kcalベーコン (100g当たり):405kcal100グラムのハムがどのくらいの量なのかわかりづらい方もいると思いますが、だいたいハム10枚ほどで100gになります。数値を比較すると、ベーコンのカロリーの高さが際立つでしょう。ベーコンは大半が豚バラ肉(赤身と脂身が交互になって層をなしている)を使用しているのでカロリーが高いです。 また、ハム類と違って炒め料理が主なので、なおさら油分が多くなるでしょう。ハムもカロリーに関してはものすごく低カロリーであるとは言えませんが、ベーコンよりはヘルシーな食材です。「ダイエットにはハムが向いている」というと、食べる量によるでしょう。次に詳しく紹介しますが、ハムは糖質を燃焼させる栄養素を含んでいるので、ダイエットには向いています。ただ、食べ過ぎてしまうとカロリーが気になりますし、ハムには多くの塩分が含まれているので注意が必要です。・ハムとベーコンの栄養素の違いハムには、ビタミンB1が多く含まれているため、糖質を燃焼させる効果に期待できます。また、カルニチンが多いことから脂肪燃焼率も高いといえます。ベーコンはどうしても油分が多くカロリーが高いので、油分が気になる場合は、キッチンペーパーに包みラップをしてレンジで加熱するといいでしょう。余分な脂肪が落ちることで、少しヘルシーになります。また、ベーコンの塩分を活かしてパスタなどのダシにすると、お鍋で煮ることで余分な油分が落ちるのでおすすめです。ハムもベーコンも熟成されているため、成長ホルモンの分泌量を増加させます。筋トレ中の方は適度に摂取すると筋力アップに繋がることでしょう。ただし、食べ過ぎは注意です。・ハムもベーコンも『再加熱』しなくてよいハムもベーコンも一度加熱処理されているため、『再加熱』する必要がなく、そのままでもおいしく食べられます。ハムは、そのままサラダやサンドイッチに利用して食べましょう。また、美しいピンク色の見た目を活かして、おひたしなどのアクセントにつかうと彩りも良くおいしく食べられます。一方ベーコンは、そのまま食べる方は少ないでしょうが、そのまま食べることもできます。ただ、加熱調理した方が脂の味わいを引き出すことができ、おいしく食べられます。■ハムはベーコンと違い種類が多いハムとベーコンは豚肉の部位について種類が異なりますし、ハムはベーコンよりも種類が多いです。それぞれの種類について、詳しく見ていきましょう。・ロースハムロースハムは、豚のロース肉を使用したハムです。現代の日本では、1970年代以前に主流となっていたプレスハムに代わって、ハムと言えばロースハムを指すようになったといわれています。値段も安く、日本人好みのさっぱりとした味であり、第一次世界大戦後の日本の経済事情と食生活が生んだ日本固有の加工食品であるといえます。・ボンレスハムボンレスハムは、基本豚のモモ肉の塊から骨を外してからつくります。脂肪が少なくあっさりとした食感と味わいが特徴的です。ロースハムと比べると、色合いは少し赤みが強くプリっとした食感です。脂肪分が少ないため、カロリーが低く、ボンレスハムの平均的なカロリーは100gあたり118kcalですのでボンレスハムがヘルシーだということがわかります。・ショルダーハムショルダーハムは、豚の肩肉をロースハムと同様に整形、加工したものです。ほかのハムと比べて、赤肉が多い特徴があります。・プレスハムプレスハムとは、塩漬けした豚肉、牛肉、馬肉、羊肉、山羊肉などの肉の小片と、挽肉やデンプン、小麦粉などのつなぎを香辛料や調味料とともに練ったものが原料の加工食品です。プレスハムも先ほど紹介したロースハムと同様で、日本発祥のハムです。昔は単にハムといった場合に、プレスハムを指すこともありました。しかし、現在のJAS(日本農林規格)の定義によると、プレスハムは、「プレスハム類」に分類され、ロースハムなどが分類される「熟成ハム類」とは明確に区別されています。・生ハム生ハムとは、モモ肉を塩漬けにしたあとに加熱せずに乾燥させてつくります。製造方法はベーコンと近い方法です。生ハムは「非加熱食肉製品」に分類されます。サンドイッチやお酒のつまみ、パスタの具材にするなど、人気の高い食材です。ハムと違い加熱していないため、生ハムと呼ばれることになりました。塩味だけでなく、しっかりとしたうま味がある生ハムは、料理に加えるだけでおいしさが増し、見た目もおしゃれに仕上がります。・ベーコンにも『ロース』や『ショルダー』があるベーコンに種類があることをご存知でしょうか。最も一般的なベーコンのほかに、「ロースベーコン」や「ショルダーベーコン」があります。ショルダーベーコンは、豚の肩肉の塊を燻製したものです。脂肪がほどよくあり、肉のうまみがしっかりしているのが特徴です。ロースベーコンは、豚のロース肉を整形、塩漬し、燻製したものです。■ハムとベーコンの味わい方の違い・ハムはあっさりと『サラダ』や『サンドイッチ』にハムは買ってからそのまますぐにつかえる便利な食材です。簡単にサラダやサンドイッチをつくってみてはいかがでしょうか。今回はお弁当やピクニックにおすすめの「ハムチーズレタスサンド」のつくり方をご紹介します。 【材料】食パン2枚サニーレタス1枚ロースハム2枚スライスチーズ1枚マヨネーズ適量マーガリン適量からし適量【手順】まず、パンの耳をおとします。マーガリンとからしを適量パンにぬります。チーズをのせ、半分に切ったロースハムを平らな面を外にむけてのせます。レタスをのせて、マヨネーズをかけます。パンで挟み、軽く上から押してあげます。お好みの大きさにパンをカットして、できあがり! いかがでしょうか。材料も少なめで、手順もシンプルですよね。普段料理をしない人でも、簡単につくれるのではないでしょうか。 ・塊のハムは『ハムカツ』や『ステーキ』でガッツリ塊のハムがご自宅にある場合は、がっつりハムカツやステーキがおすすめです。ぜひ、夕食のおかずとしてつくってみてください! 今回はおすすめの「チーズハムカツ」のつくり方をご紹介します。【材料】ロースハム12枚スライスチーズ4枚バッター液薄力粉大さじ3卵1個水大さじ1.5パン粉大さじ3油適量サラダ菜4枚【手順】スライスチーズは4等分に切ります。ハム3枚1組にし、間に1をそれぞれ2箇所に合計4枚はさみます。これを同様に4つ作ります。バッター液の材料をバットに入れ、泡立て器で混ぜ合わせます。2の全体につけ、パン粉をまぶしたらラップに包み冷蔵庫で10分ねかせます。フライパンの底から3cmの深さに揚げ油を注ぎ、170℃に熱して4を入れてきつね色になるまで2分ほど揚げ、油切りをします。サラダ菜と共に皿に盛り付けてできあがりです! 料理のコツは、高温の油でカラッと揚げて下さい。からしを塗ってもおいしいです。バッター液をつけないでマヨネーズ+パン粉でもおいしくできます! ・ベーコンは『スープ』や『炒め物』でコクをプラスベーコンは脂身が多く、ジューシーであることから、スープや炒め物に最適です。スープにすると、肉のうまみが溶け出して、最高のスープができあがります。ベーコンをカリカリに焼いた炒め物も最高です。今回は定番の「アスパラベーコン炒め」をご紹介します。【材料】ベーコン40gアスパラ5本マカロニ30gオリーブオイル小さじ3白ワイン適量塩コショウ適量醤油小さじ1レモン汁小さじ1【手順】アスパラは皮をピーラーでむき、食べやすい長さに斜め切りにします。ベーコンは1cm幅に切ります。マカロニは塩を加えた熱湯でゆでて、準備をしておきます。フライパンにオリーブオイルを温め、ベーコンを加えてカリカリになるまで中火で焼きます。アスパラとマカロニを加え、塩こしょうで調味し、白ワインを加えて中火で全体に火が通るまで炒めます。レモン汁をかければ完成です! レモン汁とオリーブオイルでさっぱり仕上げました。アスパラガスの代わりにインゲンやブロッコリーをつかっても良いですし、きのこを加えても良いです。■ハムとベーコンをおいしくつかいわけよう! 今回はハムとベーコンの特徴を知り、それぞれのおすすめレシピについてご紹介してきました。普段何気なく食卓に並んで口にしていますが、実は材料やつくり方が違うのです。手軽に購入できてつかいやすいので、普段の料理にハムやベーコンを取り入れて楽しんでみてはいかがでしょうか。塩分や脂肪分が気になる方は、食べる際には一工夫入れてみると良いでしょう。今回紹介したレシピを参考にしてみてください!
2020年07月31日サンドイッチやサラダなどの具材に使ったり、そのまま食べてもおいしいロースハム。子どもが大好きだからよく買っているというママも多いと思いますが、ひと手間加えて食べ応えのあるおかずに変身させてみませんか?お手軽なレシピを3つご紹介します。ロースハムカツサクサクの衣がおいしいカツですが、とんかつ用のお肉や厚めのハムは金額もそれなり…。であれば、ロースハムを使いましょう。【材料】・ロースハム…4枚・ベーコン…1枚・卵…1個・小麦粉…適量・パン粉…適量・水…適量・揚げ油…適量【作り方】1)ベーコンを半分に切る2)ハム×2枚、ベーコン2枚、ハム2枚の順番で重ねる3)容器に卵、小麦粉、水を入れて混ぜ合わせる4)2を3につけて、パン粉をまぶす5)フライパンに多めの油をひき、揚げ焼きにしたら完成1枚1枚は薄くても、まとめて揚げることで、ボリューム満点のおかずになります。ロースハム春巻き続いてのレシピは春巻き。巻いて揚げるだけなので、難しい工程は一切ありません。【材料】・ロースハム…1枚・春巻きの皮…1枚・大葉…1枚・スライスチーズ…1枚・小麦粉…適量・水…適量・揚げ油…適量【作り方】1)まな板などの上に春巻きの皮を広げ、中央に大葉、ロースハム、半分に折ったスライスチーズをのせる2)春巻きの皮を巻く3)水で溶いた小麦粉で春巻きの皮をとめる4)フライパンに多めの油をひき、揚げ焼きにしたら完成パリパリの食感が楽しい1品です。そうめんの薬味で大葉が余ったときなどにも活用できるレシピですよ。ロースハムエッグ最後のレシピは、ランチや夕食のおかずはもちろん、お弁当のおかずにも最適なレシピ。火を使わないので、暑い日でもサッと作れます。【材料】・ロースハム…1枚・卵…1個・塩コショウ…少々【作り方】1)電子レンジ対応のマグカップなどの底に、ロースハムを敷く2)1のなかに卵を割り入れ、塩コショウを振る3)加熱中に破裂しないよう黄身に穴を開ける4)ラップをかけて電子レンジで1分ほど加熱する5)卵に火が通るまで加熱を繰り返し、容器から取り出したら完成アイデア次第でいろんな料理を作れるロースハム。お徳用パックを購入して、フル活用してもよさそうですよね。(文・山手チカコ/考務店)
2018年07月02日