始まりはビートルズの幻の名盤「ブッチャーカバー」の紛失。事件は一応の収束を見るが、その1年後、探偵を名乗る男が現れ…。彼の口から語られる“もうひとつの物語”。事件の真相は?『苦い蜜 〜消えたレコード〜』は“大人の密室劇”と呼ぶにふさわしい重厚なるミステリー。探偵役をおおせつかったのは、映画に舞台に幅広い活躍を見せる金子昇。元々、ビートルズファンという金子さんが作品の魅力をたっぷりと語ってくれた。「白衣のビートルズ」がこの映画に最初につけられたタイトル。「それを聞いた瞬間に、脚本を読まずに『出たい!』って思いましたね」。そう語る金子さん、16歳のときからビートルズファンというが、実は、いまこうして俳優をやっていることにも、ビートルズの存在が密接に関わっているとか…。「ずっとバンドをやってたんですが、あるときビートルズがビートルズになる以前の物語を描いた『バックビート』という映画を観たんです。それを観て『あぁ、役者って面白いかも』と思って俳優を志すようになったんです」。亀田幸則監督は、本作の全ての登場人物に関して、自身の周囲に実在する人間をモデルにしたそうだが、唯一の例外が金子さんが演じた探偵役。監督による完全なオリジナルのキャラクターだとか。「実はそれ、今日初めて聞いたんですよ。誰もモデルにしていない…ということは、この役は監督自身なんだなと勝手に思ってます(笑)。でも、撮影のときも監督はあまり多くは語らなかったですね。ただ、僕はこの作品のクランクインの直前まで、どっぷり4か月間、ニューハーフの役に浸かっていたので、そういう動きが空気感が出てしまうかもしれないと思った。そこは、監督の方で指摘してくださいとお願いしました」。“探偵役”という、なかなか演じる機会のない役柄とあって、準備段階から楽しめたのでは?と尋ねると苦笑いを浮かべつつこんな答えが。「そう、探偵役と聞いて、僕の方もあれこれ想定して『古畑任三郎タイプか?それともコロンボか?いや、コナンくんか?』と探りつつ、キャラクターを考えてたんですが…。まあ、映画を観てもらえれば分かりますが、僕の演じた探偵は、決して“推理、推理”って感じのいかにもな探偵ではないんですね。何も下調べなく乗り込んでいく感じで。準備していった古畑やコロンボはほぼ役に立たなかったですね…(笑)」。物語の内容は…と、これは観てのお楽しみ!ただ、少ない人数での密室劇とあって、会話のやり取りが大きな見どころ。この点に関して金子さんは「舞台の経験が生きた」と明かす。「僕の演じた三影というキャラクターに関しては、あまり色を出し過ぎない方がいいなと思い、相手のセリフをどう受けて返すかに集中しました。そういう点で舞台のノリでした。自分がでしゃばらない方が――普段はいろいろとやりたがるんですが(笑)――周囲も物語も活きるな、というカンが働いたとでも言うのかな…。いろいろやりたい衝動はありましたけどね(笑)」。映画に携わるようになっておよそ10年。演じていてこうした余裕が生まれてくるのも成長の証と言えるかもしれない。本人に以前との作品への取り組み方の違いや成長について尋ねてみた。「まあ、確かに焦らなくはなりましたね。以前はようやく役をもらって『もっと売れないと!』という意識が先行してたけど、いまは『楽しみたい』という気持ちもあって…。とはいえ、まだまだ選べる立場じゃないですよ!だから、受けた仕事の中でどう楽しみを見つけるか?という感じですね。現場の空気感を楽しむのか?会話のキャッチボールを楽しむのか?それとも打ち上げを楽しむのか…(笑)?中には、最初読んで『これが面白いのか?』という脚本もありますよ。でも、やっていくうちにそれが本当に面白くなっていったりする。『俺、読みきれてなかったな。俳優で、演出のひと声でこんなに変わるのか?』とかそういうことがいまだにあるんです。いや、以前は感じられなかったけど、いまだから感じられるようになったのかもしれないですね」。最後に質問。ビートルズで最も好きな楽曲をひとつだけ選ぶとしたら?「無理!選べないですよ。うーん、ジョンが歌ってる曲全て…かな(笑)。どちらかというと初期の…いや、そうとも言えないな…」と結局答えは出ず。写真撮影の間も、この日一番の難しい顔をして悩みに悩んでいた金子さんだった。■関連作品:苦い蜜 〜消えたレコード〜 2010年4月10日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて順次公開© 2010「苦い蜜」製作委員会
2010年04月21日プロボクサーの亀田興毅が、市原隼人主演の映画『ボックス!』(李闘士男監督)でスクリーンデビューすることが明らかになった。同作は、高校のボクシング部を舞台に、やんちゃ坊主ながら天才的ボクシングセンスを持つ鏑矢(かぶらや)義平(市原隼人)と幼なじみで努力型の優等生・木樽優紀(高良健吾)の交流とそれぞれの挫折、苦悩から立ち上がる姿を追う青春ドラマで、原作は「探偵!ナイトスクープ」などを手掛けてきた放送作家・百田尚樹氏の同名小説。亀田さんはクライマックスの国体予選で鏑矢が宿敵・稲村との試合に挑むシーンで、稲村を視察するため観戦に来たプロボクサーの本人役で出演する。2人は、市原さんが一昨年3月、亀田選手の試合でリングアナを務めたことをきっかけに同い年ということもあり親交を深め、同作への主演を機に市原さんが亀田選手の本作への出演を提案。亀田選手もそれを快諾し、WBC世界フライ級王者の映画デビューが実現した。撮影は茨城県内の体育館で行われた。入場し、リング脇の席に座った亀田さんは、リング上の熱戦に見入り真摯な表情。展開が白熱すると興奮気味に体を揺らし、稲村のパンチが飛ぶと「いけ!いけ!」と熱く声援を送った。撮影が終わり、市原さんと対面した亀田さんは「難しいし慣れないことをするのは恥ずかしい。めっちゃ緊張したわ」と苦笑い。スクリーンデビューの感想を聞かれ「ホンマにチョイ役で、『いけーっ』としか言うてへんからなぁ」と映画のデビュー戦の手応えを明かした。市原さんは出演をオファーした心境を「同い年だし、2人でいろんなことを経験したら楽しいし、お互い違う自分を探し出せればと思った」と説明。亀田選手の俳優のセンスについて聞かれると「分からないですが、ボクシング以外にもいろいろなことができそう。これから何か弾けるんじゃない?」と期待を寄せた。8月からボクシングのトレーニングを積んできた市原さんに、亀田さんは「数か月であれぐらい動けるなら、結構練習したんちゃう?普通こんだけの動きはできへん。プロテストくらい受けたら?受けて1回試合したらごっついボクシングも盛り上がるんちゃう?」とリング上の“競演”ラブコール。市原さんの印象を「見たまま熱い、ヤケドするわ。イッチーじゃねえな、アッチーやわ」などと笑わせ、市原さんも「器用にやる大人というより、真っ直ぐで人思いで優しい人」とお返し。ヘビー級の好相性をうかがわせていた。『ボックス!』は5月22日(土)より全国東宝系にて公開。(text:Yoko Saito)■関連作品:ボックス! 2010年5月22日より全国東宝系にて公開© 2010 BOX! Production Committee■関連記事:【文豪を演る】インタビューvol.2 優香 as お慶太宰に敗北感味わわす女に快感?市原隼人と共演できる!『ボックス!』クライマックス・シーンでエキストラ大募集
2010年03月03日ボクシングWBCフライ級王者の亀田興毅選手が12月21日(月)、東京・スペースFS汐留でホラー映画『パラノーマル・アクティビティ』(オーレン・ペリ監督)を鑑賞した。同作は、若いカップルが女性の側に幼少時からにとり憑いていた悪霊の正体を知るためビデオカメラで生活の一部始終を撮影し、悪霊と対峙するさまを描く物語。ペリ監督が自宅で体験した不可解な出来事を基に撮影日数7日、製作費約135万円の超低予算で完成させ、全米で興行収入約96億円のヒットを飛ばした話題作。スティーヴン・スピルバーグ監督率いるドリームワークスがリメイク権を得ながら、これ以上の恐怖を描くのは難しいと判断しオリジナルをそのまま公開した経緯を持つ、スピルバーグ“お墨付き”の作品だ。特別チャンピオンベルトを手に登場した亀田選手は、上映前から「怖いのメチャメチャだめ。顔真っ白になるんちゃうかな…」とビビリながら最前列中央に着席。上映中は凍りついたようにスクリーンに見入った。上映後は「なんやコレ、ごっつびっくりしたわ。おれ、結構ビビリやで。怖いのって夢に出てきたりするやろ。あかんあかん。本当は観たくなかったん」と怯え、劇中の悪霊には「勝たれへん、勝ち目ないで」と降参。彼女を守るため悪霊に立ち向かえるか?の質問に「怖いな〜。試合の方が楽や。でもやらなあかんとな。ハッスルしないと」と騎士道精神をチラリとのぞかせつつも、「ジェットコースターもお化け屋敷もあかん。遊園地で乗れるのはメリーゴーランドぐらいや」と怖がりぶりを見せつけた。一方、先月29日の内藤大助選手に判定勝ちした試合の話題には「終わったことやから次に向かって頑張っていかんとあかん。変化?特にないし毎日一緒。最近もまあ適当に」とサラリ。今年1年をふり返ると「喜びは半分。大毅と兄弟でチャンピオンになっていい正月迎えようと話していたけど大毅が(10月の試合で)負けてしまったからな」と語り、「来年2月7日に世界戦決まったから兄弟でチャンピオンを実現してくれるやろ。兄弟でがんばってボクシング界を盛り上げたい」と抱負。プライベートで結婚は?と聞かれると「考えてないね。まあいつかね」とはにかんでいた。『パラノーマル・アクティビティ』は2010年1月30日(土)よりシネマサンシャイン池袋、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて公開。■関連作品:パラノーマル・アクティビティ 2010年1月30日より全国にて公開■関連記事:全米を沸かせた“超常”ムービー『パラノーマル・アクティビティ』試写会に40組80名様ご招待無名ホラー映画が全米で“恐怖”の社会現象に12館スタートからトップ5位へ!
2009年12月21日