秘密の恋はドキドキするもの。それは本人たちだけでなく、それを知った周囲も「えっ!!」と、思い切りドッキリさせられます。たとえそれが、自分は直接知らない人物や既にこの世を去って久しい歴史上の人物でも、「実は…」的な話を耳にすれば、「へー」「ほー」と思うもの。それが、本人のイメージからはかなり遠い、激しい恋であれば驚きとドキドキは倍増です。そこで、こんな話はいかがでしょう。生涯独身で通し、お堅いオールドミスだったと思われていた作家ジェイン・オースティンに秘密の恋が芽生えていたというのです。そんな“実は…”が描かれているのが、アン・ハサウェイ主演の『ジェイン・オースティン秘密の恋』。ジェイン・オースティンといえば、いまで言うなら“恋愛小説の女王”。「分別と多感」「高慢と偏見」「エマ」などで、時代を経ても変わることのない愛の本質にぐぐっと迫った作家。「恋愛の達人でなくてどうする!」と思ったりもしますが、作家とは必ずしも経験から創作を行うわけではなく、想像から作品を生むことも多い人々。人物と作品のギャップなど、文学界にはつきもので、そこが面白かったりするもの。劇中でも、作家と作品のギャップについて語られている部分があるので、本当のところ、ジェインはどうだったのかなと、旧説と新説を比べつつ、本人像に思いをめぐらせたりできるのも楽しいところです。元はと言えば、伝記作家のジョン・スペンスが、独自の調査と新たに入手した証拠を基に、斬新な視点で彼女の生涯を検証。2003年にジェインは激しい恋を経験していたと発表したもの。それを機に、ジェインの人生についての新説が誕生したものの、事実なのは、彼女が生涯独身を通し、作家として自立した女性像を築いたこと。彼女が生きた18世紀、19世紀のイングランドと言えば、非常に保守的。結婚は当然すべきもので、今と違ってある年齢になっても結婚していない女性は“いき遅れ”として家族の悩みの種、周囲からは笑いの種になる時代でした。それでも、結婚や階級の制度に憤りを感じ、自分を貫いたジェイン。映画では、そんな彼女の姿勢に、若き弁護士・トムが、ほかの女性には感じられない新鮮な魅力を感じ、激しい恋に発展したとなっています。映画で描かれるトムとの恋は、彼女にとって運命の恋。それを引き寄せたのは、彼女の素直でしなやかなパーソナリティ。つまり、心を偽らなかったがゆえに、ありのままの自分であり続けることに誇りを持っていたがゆえに出会った恋です。心を偽れば、資産家との結婚、そして願ってもない豊かな人生が待っているはずでした。実際、一度は彼女のこの結婚に承諾しています。そんな事実からすると、トムとの恋が、経済的に豊かな結婚生活を犠牲にして、生涯一人を貫くことの引き金になったのかもしれませんが、一生を捧げるに値するものだったということなのでしょう。結果的に、ジェインは後世に“お堅いオールドミス”という、ありがたくないイメージを残してしまいましたが、人知れずでも確かにいきいきとした人生があったのなら、人がどう思おうと関係ないのかもしれません。すべては自分の心次第。その信念の強さは、彼女の作品に表れていますよね。幸せそうと思われていても、激しい恋など一度も経験したことがないのと、寂しい人生だと思われても、実は豊かな実りがありそれを大切にしているのと、どちらがいいのか。好みの問題でしょうか。さて、『ジェイン・オースティン秘密の恋』についていろいろ語ってみましたが、証拠を検証したとはいえ、本人がいない今となっては、本当のところどうだったのか分かりません。憶測のラブストーリーといえば、個人的には、ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンの恋文から着想を得た『不滅の恋/ベートーヴェン』が大好き。ウィリアム・シェイクスピアの恋を描いた『恋に落ちたシェイクスピア』も有名です。いずれにしても、歴史的人物の知られざる愛を知ると、この傑作の根底にも密かに恋物語が隠されているのかもと想像できて楽しいもの。彼ら自身の作品もよりドラマティックに思えてくるので、楽しさも一石二鳥というところでしょうか。(text:June Makiguchi)■関連作品:ジェイン・オースティン秘められた恋 2009年10月31日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開© 2006 Becoming Jane Films Limited, Scion Films Premier (Third) Limited Partnership and UK Film Council,All Rights Reserved■関連記事:イギリスで大ヒット!アン・ハサウェイ主演『ビカミング・ジェーン(原題)』
2009年10月30日ロバート・ネッパー、サラ・ウェイン・キャリーズに続き、インタビューに応じてくれたのはリンカーン・バロウズ役のドミニク・パーセル。弟思いのワイルドな兄・リンカーンの登場です。以前に話を聞いたときは「僕自身はリンカーンほど喧嘩っ早くはない。情熱的でキレやすいところは似ていなくもないけれどね」と役と自分の違いを語っていたドミニクですが、4シーズン目ともなると、役作りさえも必要なくなる瞬間がしばしば訪れるのだそう。「リンカーンという役に何を求められているのか、以前よりもすんなり理解できるようになった気はしている。まあ、それでギャラを貰っているのだしね(笑)。いまや僕はリンカーンという男を熟知している。役を演じるのも容易になってきたし、準備はほとんど必要ないんだ」。言われてみれば、そもそも野性味あふれる風貌のドミニクに、より一層リンカーン的鋭さが増したような…。リンカーンという役に対し、長く真摯に向き合ってきた俳優ドミニク・パーセルらしさを見せつけられた思いになりました。シーズン3では塀の中の弟・マイケルを救うべく、彼なりに奔走していたリンカーンですが、ファイナル・シーズンでは常に近い位置で兄弟タッグ。いよいよリンカーン&マイケル兄弟の逆襲が始まります。そんな中、リンカーンには、あっと驚く衝撃の展開も…。「リンカーンはもともと気性の荒い男だけれど、今シーズンはそんな彼の怒りをますます目の当たりにすることになると思うよ。組織の陰謀を根底から覆すために体を張るからね。でも、正直なところ、彼はちょっとうんざりもしているんじゃないかな。困難に見舞われてばかりだから」。そうなんです。リンカーンは常に一難去ってまた一難状態。彼が心穏やかに暮らせる日は訪れるのでしょうか…、そこもファイナル・シーズンの見どころです。ところで、インタビューの冒頭、噛んでいたガムを口からにゅるりと吐き出し、セットの隅を目掛けてシュピッと格好よく(?)投げ、どこまでワイルドガイなんですか…とツッコみたくなるほどリンカーンらしさ全開に振る舞っていたドミニク。ところが、質問の中に出てきたある単語を卑猥な言葉と聞き違えた瞬間から、笑いが止まらない状態に。発言主を指差し、「彼女、○○って言ったよー」とキャイキャイ。ただの子供じゃないですか…。リンカーンからは想像もつかない、ちょっと愉快な光景でした。さてさて、「プリズン・ブレイク」現場取材レポ最終回となる次回は、いよいよ“彼”の登場です!(text:Hikaru Watanabe)「プリズン・ブレイクファイナル・シーズン」<レンタル>・Vol.1〜3レンタル中・Vol.4〜66月3日(水)レンタル開始※Vol.7、89月2日(水)レンタル開始予定「プリズン・ブレイクファイナル・シーズンDVDコレクターズBOX1」(6枚組・全11話)発売日:6月3日(水)価格:10,290円(税込)※<初回生産限定版>には『ダージリン急行』DVD付き発売元・販売元:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン© 2009 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.■関連作品:プリズン・ブレイク [海外TVドラマ]■関連記事:シネマカフェ的海外ドラマvol.105「プリズン・ブレイク」重要シーンを直撃!シネマカフェ的海外ドラマvol.103「プリズン・ブレイク」の美女復活のウラ話シネマカフェ的海外ドラマvol.102「プリズン・ブレイク」の“問題児”登場!シネマカフェ的海外ドラマvol.101「プリズン・ブレイク」最後の現場潜入!「プリズン・ブレイク」のマイケルが来日!「いままで逃げてたけど、今度は戦うよ」
2009年06月04日