8日夜、釜山国際映画祭が華やかに開幕した。海雲台ヨット競技場での開幕式には、イ・ビョンホン、ジョシュ・ハートネット、松本人志、ソ・ジソプ、イ・ミンホ、審査委員長のジャン=ジャック・ベネックスら、多くのスターや監督が参加。14回目となる今年のオープニング作品は、チャン・ドンゴン主演の『Good Morning President』。3人の大統領の悩みを描くコメディで、ドンゴンの韓国映画への出演は実に4年ぶり。ドンゴンが見せるコミカルな演技に大観衆が大きく沸いた。記者会見でドンゴンは、「釜山のオープニングを飾れてとても光栄です。いままでコメディに出演したことがなかったので、ぜひ挑戦したかった。撮影をとても楽しみました」とふり返った。監督・脚本は、『トンマッコルへようこそ』などの人気脚本家チャン・ジン。演劇界出身で、そのユーモアあふれる作風から韓国の三谷幸喜とも言われている監督は「政治的な映画ではないが、私が少年時代を過ごした70年代は軍事政権時代で、大統領のコメディなど考えられなかった。いまは良い時代だと思う。今年亡くなった2人の大統領にも観てもらいたかった」と語った。キム・ドンホ映画祭委員長は「チャン・ジン監督の才能に加え、不況なので、明るい作品で映画祭を盛り上げたかった」と『Good Morning President』(原題)をオープニングに選んだ動機を語った。チャン・ドンゴンが演じるのは、妻を早くに亡くし、子育てに奮闘するイケメン独身大統領。尊敬する前大統領の娘(チャン・ジェヨン)にほのかな思いを寄せたり、瀕死の一般市民のために自分の腎臓を提供するか否かで悩んだりという、人間味あふれる役どころだ。香港の記者から、「あなた自身も独身生活が長くて、淋しくはありませんか」という質問には「普通の独身男性と同じように、淋しいときもありますが、そんなに深刻に悩んではいませんよ」と笑っていた。(photo/text:Ayako Ishizu)■関連作品:第14回釜山国際映画祭 [映画祭]■関連記事:ダウンタウン松本絶叫「殺人予告の人かと…」監督第2作『しんぼる』公開!
2009年10月10日今年で22回目を迎える東京国際映画祭(TIFF)が10月17日(土)に幕を開ける。東京サクラグランプリを競うコンペティション部門を始め、アジアの佳作を紹介する「アジアの風」、さらに多様な日本映画の新作を上映する「日本映画・ある視点」に各国の映画祭で高評価を得た作品を日本で初めて上映する「WORLD CINEMA」などなど、多岐にわたる作品が9日間にわたって一挙上映される。ズバリ、今年のTIFFの見どころは?そして気になる日本代表作品の評価は?開幕を前にコンペティション部門の作品選定ディレクターを務める矢田部吉彦氏に話を聞いた。今年のコンペ出品作の特徴は“物語の強さ”1月のロッテルダム国際映画祭(オランダ)を皮切りに、矢田部さんが作品選定を兼ねて訪れた国は10か国。そして、鑑賞した作品は驚くなかれ、約600本!数か月にわたって「とにかく時間があればDVD」という生活を送っているが、特に今年は例年に比べて応募作品が100本ほど多かったとか。そこから厳選された15本のコンペティション部門出品作品の傾向を尋ねると「物語の強さ」という答えが返ってきた。「毎年、『こういう映画を選ぼう』といったテーマは決めずに、あくまで良いものを選ぶようにしているんですが、出揃った作品を眺めると、雰囲気やセンスといった要素よりも物語が観る人を引っ張る作品が多い気がします。そういう意味で、観ていて退屈する作品は全くないですね」。日本のファンにとっては、辻仁成監督、アントニオ猪木主演の『ACACIA』がコンペティションでどのような評価を受けるかが気になるところだが…。「東京で開催する映画祭として、どういう日本映画を選ぶかは大きなポイントです。不安であり、楽しみでもありますがそういう意味で『ACACIA』は嬉しい出会いでした。辻さんと猪木さんという組み合わせに対して期待は大きかったけど、正直、観る前は不安もありました。でも、観始めて数シーンで『いいなぁ』と思えるものが伝わってきて、『ありがとう』という気持ちになりましたね。これが単に猪木さんの存在感というだけならここまで喜ばないです。映像が美しく、音楽と映像のコンビネーションも脇役も素晴らしい、アンサンブルの映画として評価したつもりです。お客さんの反応が楽しみですし、コンペに入れられてよかったなぁ、と思います」。続いて、話題は映画界の現況に。一部の大作が市場を引っ張る形で邦画の好調が伝えられるが、一方で洋画、特にアート系の作品にとっては厳しい現状が続いている。こうした状況の中で、映画祭が果たすべき役割とは?「僕は、映画祭の究極の役割は、お客さんを映画館に戻すことだと思っています。以前であれば劇場公開されていたような、海外の映画祭で高評価を受けた作品が日本では公開されない、ということも多くなっています。だからこそ、TIFFでどんどん上映できればと考えています。普段、欧米の単館系の映画を観ない人がたまたま観て『意外といいじゃん』と感じてくれたら、観ようと思ってた邦画が売り切れで、その隣りで上映してた作品を観て『面白い』と感じてくれたら…。長い道のりかもしれませんが、そういう人が一人でも映画館に足を運ぶという好循環を作る可能性を秘めているのも映画祭だと思っています」。「普段は観ないタイプの映画をぜひ観てほしい」最初にも触れたが、約600本の中からたったの15本を選ぶ、すなわち残りの数百本を落とすということは肉体的にも精神的にもつらい作業である。そうして選び抜かれた15本の中からさらにお薦め作品を尋ねるのは失礼かもしれない…。が、あえてこれから映画祭に足を運んでみようか?と考えているシネマカフェ読者に薦めるなら?「そうですね…もちろん全てがお薦めです(苦笑)。でも、例えば20代、30代の働く女性なら『エイト・タイムズ・アップ』はいかがでしょう?失業し、アパートも追い出されてしまうような女性のお話で、つらいテーマなのになぜか爽快で、気持ちよく感情移入できると思います。それから、すごく“とんがった”作品なら『激情』を薦めたいですね。普段、女性がなかなか観ないタイプの映画かもしれませんが、個性的な強いラブストーリーです。もう少し若い方には『テン・ウィンターズ』。10年に及ぶ男女の愛を描いていますが、ゴンドラや観光名所の出てこない、“生活感のある”ヴェネチアが舞台になっています。映画祭という貴重な機会であり、特にコンペ作品は1,000円ですので、普段は観ないタイプの作品にぜひチャレンジしてほしいです。騙されることはない…はずです!騙されたと思ったらブログにコメントしてください(笑)」。「優柔不断な自分が嫌になるし、ウジウジとずっと考えてしまいます。8月の最後の週あたりは『この仕事向いてない!もうハゲる、ハゲる!』って悩んでます(笑)」とは作品の選定についての矢田部さんの弁。そこまで悩みに悩んだ上で満を持して上陸した作品の数々、ぜひご注目あれ!東京国際映画祭2009特集第22回東京国際映画祭公式サイト矢田部吉彦「映画業界人ブログ」■関連作品:第22回東京国際映画祭 [映画祭] 2009年10月17日から25日まで六本木ヒルズ、Bunkamuraをメイン会場に、都内の各劇場及び施設にて開催ACACIA© 2008 "ACACIA" Film Partners■関連記事:是枝監督、真田広之登壇東京国際映画祭「映画人の視点」招待券を10組20名様にプレゼントアントニオ猪木×辻仁成、わが子への思い語る東京国際映画祭ラインナップ会見還暦を迎えた永ちゃんが東京国際映画祭に出現!素顔が映るプレミアチケットも発売闘魂・猪木が東京国際映画祭に殴りこみ!辻仁成とタッグで『ACACIA』コンペ出品東京国際映画祭、今年の審査委員長に『バベル』イニャリトゥ監督が就任!
2009年10月07日日本初の実写長編デジタル3D作品として注目を集め、先のヴェネチア国際映画祭でも喝采を浴びた『戦慄迷宮3DTHE SHOCK LABYRINTH』。16日(水)、本作の世界配給決定を受けて清水崇監督が都内で凱旋記者会見を行い、主演の柳楽優弥もサプライズで駆けつけた。清水監督は「ヴェネチアの大きな会場の大きなスクリーンでは、『こんなに奥行きがあったのか!飛び出したのか!』と観客の反応も良くて、興奮して帰ってきました」と手ごたえを語った。世界配給決定についても「嬉しいです!どうしてもホラーのイメージが強いので、僕としても作り手として新しいところに行きたかったし、違ったところに行きたかった。その思いをプロデューサーが汲んでくれて、観たことのない映画が出来たと思っています」と自信をのぞかせた。柳楽さんはこの場で世界配給決定の知らせを聞いたそうで「すっげーなぁと思いました。良い結果になってくれれば嬉しいです」と喜びと期待を口にした。ちなみに柳楽さんは、これまで怖い映画が苦手だったそうだが、「演じていると意外と怖くないなと。お化け屋敷での撮影もあまり怖くなかったです。新たな発見をしちゃいましたね」と克服を強調!「いやぁ、小学生みたいですね(笑)。お化け屋敷も前なら絶対入らなかったのに、楽しめるようになりました」と嬉しそうに語った。清水監督からの(柳楽さんが『誰も知らない』で主演男優賞を受賞した)カンヌ以外の映画祭にも連れて行ってあげたいという言葉に「ほかの映画祭も楽しみたいです。でも映画祭より普通に観光したい(笑)。パスポートを判子でいっぱいにしたいんです!忙しいビジネスマンみたいに」とおどけた。最後に柳楽さんは「カップルや家族で観に来てください。3Dだし!特にカップルにお勧めです」と映画をアピールした。『戦慄迷宮3DTHE SHOCK LABYRINTH』は10月17日(土)より新宿バルト9、梅田ブルク7ほか全国にて公開。■関連作品:戦慄迷宮3DTHE SHOCK LABYRINTH 2009年10月17日新宿バルト9、梅田ブルク7ほか全国にて公開© ショック・ラビリンス・フィルム・コミッティ2009■関連記事:清水崇ティーチイン付き!『戦慄迷宮』3D特別試写会に5組10名様をご招待清水崇、アジア代表でヴェネチア入りジャパニーズ3Dホラーに1,000人驚愕!『戦慄迷宮3D』撮影快調!柳楽優弥「暗いところは本当に怖い…」世界最大のお化け屋敷“戦慄迷宮”が、清水崇監督&柳楽優弥主演で映画化
2009年09月18日現在開催中のトロント国際映画祭で出演作『The Private Lives of Pippa Lee』(原題)が上映されたキアヌ・リーヴスが記者会見に出席、1991年の『ハートブルー』で共演した故パトリック・スウェイジの思い出を語った。14日、すい臓がんのため57歳で亡くなったスウェイジとキアヌは、『ハートブルー』で銀行強盗容疑のあるサーファー役とFBI捜査官役で共演、追う者と追われる者の間に芽生える奇妙な友情を演じた。「僕らはスカイダイビングのシーンを一緒に撮影した。パトリックは飛行機から何度もジャンプし続けることになった。30回以上は飛んだよ。不当労働行為禁止命令の域に達するほどだったよ。ハワイ・ロケまで続いた。彼はそこからまた飛行機から飛び降りたんだ」と語ったキアヌは、懐かしむように微笑みながら「彼はオープンな態度で取り組んでいた。本当に親切で、ユーモアのセンスも素晴らしくて、その場を明るくしてくれた。充実した生涯だったと思う」。「彼はアーティストであり、美しい人だった。ご遺族には心からお悔やみを申し上げます」と語ったキアヌ。『ハートブルー』は彼にとって転機になった作品でもあったという。「この作品で大きなチャンスをつかんだ。これを機に僕の人生は変わったんだ」。『The Private Lives of Pippa Lee』も人生の転機がテーマの作品。キアヌは、ロビン・ライト・ペン扮するヒロイン、ピッパと親しくなる隣人を演じている。(text:Yuki Tominaga)© Moviestore Collection/AFLO
2009年09月18日世界各国の良質の映画を集め、多くの映画人やファンが一堂に会する、年に一度の祭典、東京国際映画祭。第22回を迎える今年も昨年に続いて“エコロジー”をテーマに、10月17日(土)より9日間にわたり六本木を中心に開催される。開幕を1か月後に控え、9月16日(水)に記者会見が行われ、本年度のラインナップが発表された。会見には、映画祭大使を務める木村佳乃、グリーンアンバサダーを務めるモデルの杏、さらにコンペティション部門出品作品『ACACIA』より監督の辻仁成と主演のアントニオ猪木が出席した。昨年、新たに映画祭チェアマンに就任した依田巽氏の言によると「今年はホップ、ステップ、ジャンプのステップの年」を目指すという本年度の映画祭。オープニングとクロージング作品には、それぞれネイチャー・ドキュメンタリー『オーシャンズ』とディズニー/ピクサー最新作『カールじいさんの空飛ぶ家』と、“海”と“空”を舞台にした作品を配すなど、エコロジー色も健在だ。昨年に続き、グリーンアンバサダーを務める杏さんは、「映画祭を通して、多くの人に楽しみながら地球環境問題を考えていただければ」と意気込みを語った。杏さん同様、2年連続で映画祭大使に任命された木村さんも、「私も映画産業に携わる人間として映画祭が成功することを祈りつつ、お力になれれば」と挨拶した。目玉となるコンペティション部門には、本年度は各国から選りすぐりの15作品が集結。日本から唯一の出品となった『ACACIA』は、辻監督の6年ぶりの監督作であるとともに、猪木さんの初主演映画である。前妻の南果歩さんとの間に生まれた自身の息子への思いを映画にしたという辻監督は、「いま一緒に暮らすことは出来ないのですが、(いま一緒に暮らしている)2人目の子供と過ごしていると思い出します。会えないけど毎日思っている、この思いを100年残ると言われる映画で届けたいと思った」と映画化のきっかけを語った。そんな中で“日本の父性がある、男のいい皺のある人”として主演に抜擢したのが猪木さんだった。「ホテルのロビーで打ち合わせしてたときに、『例えばアントニオ猪木さん…』って話してたら目の前を猪木さんが通り過ぎて…。飛んでいって出演のお願いをしました」とその経緯を話す監督。実際の撮影を通して、「泣くシーンでは朝から役作りをしていて、誰も近寄れませんでした。いつもは気迫というものを闘魂でしか表してませんが、実は内側に強い思いを秘めていて、自分の命や魂を削ってでも何かに向かう姿には本当に頭が下がります」と“奇跡のタッグ”を組んだ主演俳優に敬意を表した。素顔を明かされ、やり場のない表情を見せる猪木さんだが、曰く「不安もありましたが、とにかく一歩踏み出す気持ちでやった。とてもいい人生の体験をさせてもらいました」とのこと。「人生は一寸先が“闇”じゃなくて、“ハプニング”。何か起こればおもしろいなという気持ちで生きています」。そう話す猪木さんが演じるのは、ある少年との出会いを通して、過去の痛みを乗り越えていく、元レスラー。改めてふり返り、「人生が出ているような映画は感動します。私自身、8歳の子供を飛行機の中で亡くしまして、ある部分が重なり、ふと涙が込み上げることがありました。人生には苦しみもありますが、それぞれの心の中にしまったものをふと開けたときに、その人の人間らしさが見えてくる。そんな思いで撮影に挑んだ」と重みのあるコメント。加えて、監督からは「自信がなく大作ではないですが、そこにある何かを感じとっていただければ嬉しいです」との渾身のメッセージが残された。2人の言葉から早くも期待がかかる。映画祭開幕まであと1か月。本年度はどんな盛り上がりを見せるのか?第22回東京国際映画祭期間:2009年10月17日(土)〜25日(日)場所:六本木ヒルズをメイン会場に都内劇場および施設・ホール公式サイト:■関連作品:第22回東京国際映画祭 [映画祭] 2009年10月17日から25日まで六本木ヒルズ、Bunkamuraをメイン会場に、都内の各劇場及び施設にて開催ACACIA© 2008 "ACACIA" Film Partners■関連記事:還暦を迎えた永ちゃんが東京国際映画祭に出現!素顔が映るプレミアチケットも発売闘魂・猪木が東京国際映画祭に殴りこみ!辻仁成とタッグで『ACACIA』コンペ出品東京国際映画祭、今年の審査委員長に『バベル』イニャリトゥ監督が就任!辻仁成の最新作にアントニオ猪木主演!高齢化社会に闘魂注入!
2009年09月17日業田良家の短編集「ゴーダ哲学堂空気人形」の一篇を原作に、『誰も知らない』の是枝裕和監督が、心を持ってしまった“空気人形”の恋を描いたラブ・ファンタジー『空気人形』。公開を目前に控えた9月13日(現地時間)、本作がトロント国際映画祭「マスターズ」部門にて公式上映された。舞台挨拶には、是枝監督に加え、本作に出演するオダギリジョーも祝福に駆けつけ、300人の観客総立ちでの絶賛に迎えられた。これまでの監督作7作全てが出品され、同映画祭ともトロントの市民ともなじみの深い是枝監督。前日からチケットは完売し、キャンセル待ちの長蛇の列が出来るほどの熱狂ぶりが見られた。上映中は、通路に座って鑑賞する観客もいれば、同じく映画祭に参加していた役所広司の姿も。そんな中、司会者から「トロントで最も愛されている日本人監督!」と紹介された是枝監督は、「いつも来るたびに本当に楽しみにしています。今回の映画は、いままで僕の映画を観てくれていた方は驚かれるかもしれませんが、不思議なファンタジーで、人間でないものが主人公になっています。とはいえ、いままでの僕の作品と共通する部分も結構あるのではないかと思います」と挨拶。本作のテーマについて、「人形が抱えている空虚感が、自分では埋められなくて他人に息を吹き込まれたときに初めて満たされるという、自分と他人の考え方というのが、非常に豊かだと思ってテーマにした」と話す監督。主演のぺ・ドゥナのキャスティングについて聞かれると、「一人の人形が、好奇心で世界へ出て言葉を覚えて人を好きになるという物語だったので、日本語が最初出来なくてもお願いできる役だなと思い、もともと大ファンだったペ・ドゥナにダメもとでお願いしようと、韓国に手紙を書き、実現しました。とても幸せなコラボレーションでした」とふり返った。また今回、『狼災記(The Warrior and the Wolf)』で奇しくも同映画祭に参加していたオダギリさん。「こんばんは、オダギリです。実はこの映画に出ていまして、たぶん気づかない方もいるんじゃないかと思いますが、人形を作る生みの親の役をやりました」と謙虚に挨拶をすると、是枝監督は「大好きな役者さんなので、今日は来てくれて本当に嬉しいです!」と喜びを表した。曰く、実在の人形師から聞いた話を基に作ったというこの役だが、「オダギリさんがOKしてくれなかったらこの役はなくなっていたんじゃないかと思うくらい重要な役」とし、「非常に大好きなシーンになりましたので、楽しんでいただけたらと思います」と監督自らアピールした。このティーチインは予定時間を大幅に上回る大盛況、米アカデミー賞の前哨戦とも位置づけられる同映画祭での観客賞の受賞も期待される。『空気人形』は9月26日(土)よりシネマライズ、新宿バルト9ほか全国にて公開。■関連作品:空気人形 2009年9月26日よりシネマライズ、新宿バルト9ほか全国にて順次公開© 2009業田良家/小学館/『空気人形』製作委員会■関連記事:「中華食べるの楽しみ」 『空気人形』トロントへ出発を前に“意気込まない”是枝監督是枝裕和監督ティーチイン付き『空気人形』試写会に25組50名様をご招待是枝裕和監督『空気人形』、カンヌに続きトロント映画祭に“マスターズ”出品決定ペ・ドゥナ、駆け込みセーフに日本語で「遅れて申し訳…」ARATAも板尾もホッ…【カンヌ現地レポ 02】是枝監督、観客の反応に「安心した」『空気人形』初披露
2009年09月15日現地時間の12日に無事、幕を閉じたヴェネチア国際映画祭。今年もハリウッドからも数々のスターが登場し連日賑わいを見せたが、映画祭終盤の11日、今年新設された注目の部門「3Dアワード」の授賞式が行われ、ジャパニーズ・ホラーの旗手・清水崇監督がアジア映画史上初のデジタル3D長編に挑んだ新作『戦慄迷宮3D』を引っさげ登場、錚々たる監督たちの作品と並び“来年最も期待される1本”との名誉を授かった。映画界の3D化の波が押し寄せる中、新たなフィールドとして設立された、この「3Dアワード」。清水監督はこの栄えある大賞のプレゼンターとして映画祭から急遽招聘され現地入り、そのオープニングとして『戦慄迷宮3D』の5分間のフッテージが上映された。アジアを代表するホラー監督として登場した清水監督は大歓声に押され、「わたしは大監督ではありません」と自身が小柄なことと掛けたジョークで場内を湧かせ、「3D映画の制作が単にブームで終わらないよう、監督それぞれの感性によって3D映画を発展させていくことが大切」と語った。その後行われたフッテージの上映では、廃墟の病院を舞台に次々と現れる不気味な立体的亡霊に、観客は釘付けに。さらに上映後、ウサギのぬいぐるみが大劇場の空中を飛び、客席に迫るかのように少女が現れるといった演出も。西洋の3D映画とはまた一味違うリアルな演出に、3Dメガネをかけた1,000人以上の観客が一体となって大興奮、監督のクレジットが出ると拍手喝采を贈った。ちなみに、本作は全世界で大ヒットを記録した『モンスターvsエイリアン』や『カールじいさんの空飛ぶ家』など、錚々たる作品10本の1本にノミネートされたが、“ベスト・オブ・ザ・イヤー”は『グレムリン』などでおなじみのハリウッドのベテラン監督ジョー・ダンテ初の3D映画『The Hole』に授けられた。壇上に上がったダンテ監督は、清水監督から記念像を受け取ると、トロフィを観客に突きつけながら3Dのようなアクションでおどけ、仲良く2人で記念写真に収まった。この「3Dアワード」の対象となったのは、2008年から2009年に製作された3D映画。映画祭を盛り上げる新たなヴェネチア名物として、今後もセレモニーは開催される予定だ。『戦慄迷宮3D』は10月17日(土)より新宿バルト9、梅田ブルク7ほか全国にて公開。■関連作品:第66回ヴェネチア国際映画祭 [映画祭]戦慄迷宮3DTHE SHOCK LABYRINTH 2009年10月17日新宿バルト9、梅田ブルク7ほか全国にて公開© ショック・ラビリンス・フィルム・コミッティ2009■関連記事:続報!ニコラス・ケイジ主演作をめぐる米独の監督2人のバトルのゆくえM・ムーアの経済ドキュメンタリーがヴェネチアを席巻!上映後10分間観客総立ちジョージ・クルーニー、恋人についての質問にCMのキメ台詞で切り返し!マット・デイモン、主演するソダーバーグ監督の新作を携えてヴェネチア映画祭に登場!ニコラス・ケイジ&エヴァ・メンデス、波紋を呼ぶ一作を引っさげヴェネチア入り
2009年09月14日背中を丸めて裁縫仕事にいそしむこの男は…アントニオ猪木!こちらの写真はミュージシャンにして作家、そして映画監督としても活躍する辻仁成の6年ぶりの最新作『ACACIA』の一場面。猪木さんが、70歳を過ぎた心優しき元プロレスラーを演じる本作が、10月17日(土)より開幕する第22回東京国際映画祭でコンペティション部門に出品されることが発表された。昨年の初夏に製作が発表されて以来、“辻仁成×アントニオ猪木”という異色のコラボレーションが注目を集めていた本作。狭き門をくぐり抜け、世界中から厳選されたコンペティション部門15本の中の1作に名を連ねることとなった。物語は美しい港町を舞台に、寂れた団地の用心棒を務める心優しい元プロレスラー“大魔神”と孤独な少年の交流を中心に、高齢化が進む現代社会の一面を描き出す。猪木さんに加え、石田えり、北村一輝、坂井真紀ら実力派の俳優陣が出演する。毎年、高い注目を集める東京国際映画祭。過去に日本映画が最高賞(東京 サクラ グランプリ)を受賞したのは第1回の『台風クラブ』(相米慎二監督)と第18回の『雪に願うこと』(根岸吉太郎監督)の2作品のみ。3度目の快挙なるか?東京国際映画祭は10月17日(土)から25日(日)の日程で開催。『ACACIA』の前売り鑑賞券は10月3日(土)より発売開始。第22回東京国際映画祭■関連作品:第22回東京国際映画祭 [映画祭] 2009年10月17日から25日まで六本木ヒルズ、Bunkamuraをメイン会場に、都内の各劇場及び施設にて開催ACACIA© 2008 "ACACIA" Film Partners■関連記事:東京国際映画祭、今年の審査委員長に『バベル』イニャリトゥ監督が就任!辻仁成の最新作にアントニオ猪木主演!高齢化社会に闘魂注入!
2009年09月08日昨年『おくりびと』がグランプリを制し、アカデミー賞に向けた前哨戦としても注目を浴びるようになった、国際映画祭の最高峰のひとつ、モントリオール世界映画祭。8月27日(現地時間)より開催されていた、今年で第33回目を迎える本映画祭にて、ワールド・コンペティション部門に出品されていた、根岸吉太郎監督作『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』が最優秀監督賞を獲得した。日本文学史の代表的作家・太宰治の遺した数々の作品の中でも、異彩を放つ恋愛小説を原作に、松たか子と浅野忠信を主演に迎えて夫婦の愛を綴った本作。ほかにも広末涼子、妻夫木聡、堤真一といった豪華俳優陣が根岸監督の下、華麗な競演を遂げている。授賞式の壇上に立った根岸監督は、フランス語で「メルシー・ボク(=ありがとうございます)、メルシー・ボク、メルシー・ボク、メルシー・ボク、メルシー・ボク。何度お礼を言っていいかわかりません。モントリオールと言う映画が大好きな人々の映画祭でこの映画の第一歩を歩むことができました。本当にありがとうございます」と興奮を隠しきれない様子で感謝のコメント。さらに、「個人で撮った賞ですが、日本映画全体の名誉だと思っています。自分の名前が呼ばれたときは、自分の名前ってフランス語っぽいなぁ(笑)と感じていました。地味な演出の作品なので、賞を獲れるなんて思っていませんでした。この映画の東洋的なニュアンスをきちんと読みとってもらえて大変嬉しく思います」と並々ならぬ喜びを表した。今後の賞レース、さらに日本への凱旋も楽しみな『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』は10月10日(土)より全国東宝系にて公開。■関連作品:ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜 2009年10月10日より全国東宝系にて公開© 2009 フジテレビジョンパパドゥ新潮社日本衛星放送■関連記事:『ヴィヨンの妻』モントリオール監督賞受賞で浅野忠信、松たか子からも喜びの声が到着ファッション小噺vol.112日本女優の美肌のヒミツはこれだった!松たか子×浅野忠信『ヴィヨンの妻』がモントリオール出品で、太宰イヤーを飾る!
2009年09月08日2日から開催中の第66回ヴェネチア国際映画祭。7日夜にスティーヴン・ソダーバーグ監督の最新作『The Informant!』(原題)が上映され、主演のマット・デイモンが監督やプロデューサーらとともにレッド・カーペットに登場した。『The Informant!』は、90年代にアメリカの穀物商社の不正を内部告発し、FBIに協力した同社重役、マーク・ウィタカーの実話を基にした作品で、マットは30ポンド(約14キロ)増量して撮影に臨んだ。ソダーバーグのオスカー受賞作『トラフィック』やプロデューサーとして参加した『シリアナ』のようにシリアスな作風かと思いきや、本作はブラック・コメディ。FBIのおとり捜査に協力するウィタカーをマットは楽しそうに演じている。今年の映画祭コンペティション部門には日本の塚本晋也監督の『TETSUO THE BULLET MAN』も出品されているが、『The Informant!』はコンペ外での上映。前日はルチアナ夫人と一緒にゴンドラに乗ってロマンティックな夜を過ごすなど、マットはバカンスも兼ねたヴェネチア滞在を満喫しているようだ。(text:Yuki Tominaga)6日、妻のルシアナと一緒にヴェネチアでの夜を過ごしたマット・デイモン。© AFLO■関連作品:TETSUO THE BULLET MAN 2010年、全国にて公開第66回ヴェネチア国際映画祭 [映画祭]■関連記事:塚本晋也、深夜のヴェネチアを興奮の渦に「レッドカーペット歩けるのはすごいこと」ニコラス・ケイジ&エヴァ・メンデス、波紋を呼ぶ一作を引っさげヴェネチア入りM・ムーア、ヴェネチアに殴りこみ!ドキュメンタリー作品初のコンペ部門出品塚本晋也最新作、ヴェネチア国際映画祭出品決定初コンペ出品の快挙!世界のツカモト、全篇英語で挑んだ21世紀版『鉄男』で“全世界同時”会見
2009年09月08日先日より開催中のヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品されているニコラス・ケイジ主演の最新作『Bad Lieutenant: Port of Call New Orleans』の記者会見が9月4日(現地時間)に行われ、現地入りしていたヴェルナー・ヘルツォーク監督とケイジ、そして共演のエヴァ・メンデスらが出席した。本作は、ニュー・ジャーマン・シネマの代表的監督、ヴェルナー・ヘルツォークが手がける犯罪ドラマで、ケイジ扮するアルコール&薬物中毒の刑事が、移民一家を狙った殺人事件の真相を追う姿を描く。そのタイトルからも、1992年のカンヌ映画祭で上映後にそのショッキングな内容から賛否が分かれた、アベル・フェレーラ監督の『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』(’92)のリメイクとされてきたが、記者会見でこのことについて聞かれると、ヘルツォーク監督は、「その作品を観たこともなければ、フェレーラ監督のほかの作品も観たことはない」と一蹴した。奇しくもフェレーラ監督も新作ドキュメンタリー「Napoli,Napoli,Napoli」を携えて映画祭に滞在中だが、本作の製作に関わったフェレーラ監督側の人々は全て「地獄に堕ちればいい」と怒りを露にしているという。一方で、ヘルツォーク監督はあくまで本作がリメイクでないことを強調し、「会ってウィスキーを交わせば、すぐに解決するでしょう」と語った。また、同日行われたワールド・プレミアにも揃って登場した一同。エヴァは胸元の開いた黒のセクシードレス、ニコラスも黒のスーツで共にシックな装いで作品の晴れ舞台を祝した。ヴェネチア国際映画祭は今月12日まで開催。果たしてコンペティションを制するのは?■関連作品:第66回ヴェネチア国際映画祭 [映画祭]■関連記事:M・ムーア、ヴェネチアに殴りこみ!ドキュメンタリー作品初のコンペ部門出品塚本晋也最新作、ヴェネチア国際映画祭出品決定初コンペ出品の快挙!
2009年09月07日あだ名の命名と毒舌で人気の芸人、有吉弘行が出演するドキュメンタリー映画、『我々は有吉を訴える謎のヒッチハイク全記録』のDVD発売を記念して、9月19日(土)より有吉さんをテーマにした映画祭、その名も「有吉映画祭」が開催されることが決まった。「進め!電波少年」でのユーラシア大陸横断でブレイクを果たしたのち、ピン芸人として再出発し、現在はアドリブの効いた毒舌を売りに活躍する有吉さん。『我々は有吉を訴える謎のヒッチハイク全記録』では、有吉さんはユーラシア大陸を横断した頃のピュアな自分を取り戻すべく、もう一度自分の原点“ヒッチハイク”に挑戦したいと自ら申し出て、山形県酒田市を出発点に日本三景で有名な宮城県松島町へと向けて“東北横断ヒッチハイク”を敢行!だが、その内実たるや、「ピュアな自分を取り戻す旅」とは名ばかりの愚行、蛮行の連続。どこまでも姑息な有吉さんが心優しい田舎の人々を騙し続ける姿が綴られている。有吉映画祭では、本作に加え、その続編で本邦初公開となる「我々は有吉を再び訴える沖縄ヒッチハイク殺人未遂事件の全真相」、そして上島竜平と共に有吉さんが夏を駆け抜けるサーフ・ドキュメンタリー「上島ジェーン」を上映する。映画祭は9月19日(土)よりシネマート新宿、センチュリーシネマにて、20日(日)よりシネマート心斎橋にて開催。TVでは見ることのできない真の有吉弘行の姿がここに!有吉映画祭『我々は有吉を訴える謎のヒッチハイク全記録』価格:3,990円(税込)発売中『上島ジェーン』価格:3,990円(税込)発売中我々は有吉を再び訴える沖縄ヒッチハイク殺人未遂事件の全真相価格:3,990円(税込)10月21日(水)発売発売元:ポニーキャニオン
2009年09月05日独特の笑いセンスとカリスマ的存在感で、日本のお笑い界の先陣を突き進む、松本人志。初の映画監督作『大日本人』(’06)で衝撃の世界デビューを果たしてから2年、待望の監督二作目『しんぼる』が遂に完成、9月12日(土)より公開される。未だその内容は数多くの謎に包まれる中、8月27日(木)、初めて一般の観客向けに完成披露試写会が開催され、上映前に松本監督が登壇した。劇中と同じ、水玉模様のパジャマにおかっぱ姿で姿を現した松本さん。盛大な拍手で迎えられると、「こんばんは、笑いのカリスマ、松本人志です。今日も存分にカリスマ性を出していきたいと思います」との挨拶で一気に観客の笑いをつかんだ。おまけに着用のパジャマを「8,400円で売ってるので、もしよければ」と、さりげなく売り込みも。前作と同様、今回も自ら企画・監督・主演・共同脚本をこなしている松本さん。初のお披露目を迎えた感想を聞かれ、「一般の人の反応はまだ見たことないので、期待したい。でも撮り終えて編集が終わった時点でもう僕のものじゃないので、みなさんご自由に勝手に何度でも観てください」と観客の評価に委ねた。本作で、松本さん扮する素性の知れない男は、白い壁に囲まれた部屋に閉じ込められ脱出を図るということは明かされているが、それ以外内容は一切伏せられたまま。やはり真相が気になるが…「内容はほとんど『おくりびと』と同じ感じ、キャストは『ROOKIES』のメンバーでやってるんで、めちゃくちゃ入るんじゃないかと(笑)。ニュートラルな感じなので、普通に観ていただければ楽しめると思います」と語る松本さん。撮影はかなり過密なスケジュールの中で強行されたようで、「本当にスケジュールがきつくて(劇中と同様に)自分も早く部屋から抜け出したいと思ってました。出来れば小栗旬くんにやってもらいたかったんですけど」とグチをこぼす一幕も。そして、ここで重大発表!このたび、『しんぼる』が10月8日(木)より開催される第14回釜山国際映画祭のガラ・プレゼンテーション部門に出品されることが決定した。同部門は、世界的に巨匠と呼ばれる監督の新作や、今年一番の話題作などが集まる、映画祭の中心的部門であるが、日本人監督作品が選出されるのはこれが初めて。この快挙に、映画祭側から「松本印の映画『しんぼる』は代弁してくれる。<映画たるものは映像で伝えるものだ>という表現の力を感じさせてくれる」と絶賛のコメントが届くと、松本さんは「僕の意図は伝わっているなという嬉しさです」と照れた表情を見せた。ただ、現地入りの可能性は「ちょうどこれが出てくる(第一子の誕生の)時期でもあるので、微妙なんですが」と濁すや、最後は「独身最後の作品なので楽しんで」と観客に呼びかけた。釜山のみならず、トロント国際映画祭を始め他映画祭からも多数正式招待を受けている本作。今後の動向に期待がかかる『しんぼる』は9月12日(土)より全国にて公開。■関連作品:しんぼる 2009年9月12日より全国にて公開©YOSHIMOTO KOGYO CO.,LTD.2009■関連記事:松本人志監督が登壇!『しんぼる』試写会(大阪)に10組20名様をご招待応援の合間の箸休めに?松っちゃん『しんぼる』×「世界陸上」コラボCM放映中松本人志監督の舞台挨拶付き!『しんぼる』試写会に10組20名様をご招待松本人志、カンヌ出品に自信またも謎多き監督第二作目『しんぼる』を発表
2009年08月27日各国の映画祭で喝采を浴びる鬼才・園子温監督が亡き父に捧げる一作として、父と息子の絆を描いた感動作『ちゃんと伝える』。8月22日(土)の公開を目前に控えた19日(水)、本作の完成披露試写会が開催され、上映前に園監督はじめ、映画初主演を果たしたAKIRA(EXILE)、共演の高橋恵子、奥田瑛二が登壇し、舞台挨拶を行った。監督とキャスト一同が舞台に登場するや、会場を埋め尽くすAKIRAファンの女性たちから割れんばかりの歓声!この熱狂に奥田さんは「AKIRAの父です。君たち、うるさい」と早速、説教調で挨拶。本作で、病に倒れた父親よりも短い余命を宣告される主人公・史郎を演じたAKIRAさん。本読みの段階で「すごく温かい話で、バケツ一杯分くらい泣いた」と明かし、役作りのために髪を切り髭も剃ったことについては「ビジュアル面のことを良く言われるんですが、そんなことはどうってことなかった」と固い決意を感じさせた。そんなAKIRAさんについて、両親役の高橋さんと奥田さんからは絶賛の言葉が口をついて出る。高橋さんが「本読みのときからすごく素直に“息子”という存在感だった」と語れば、奥田さんは「普通の俳優はたくさんいる。でもAKIRAは“ちゃんとした映画俳優”になれる男」と太鼓判を押した。さらに園監督からも「AKIRAという新しい映画俳優の誕生をみなさんで見守ってください」と一押しされると、AKIRAさんは感激の笑顔を浮かべた。最後に映画に因んで、登壇者全員が「映画を通して“ちゃんと伝えたいこと”」を披露、園監督直筆の書き初めによって、それぞれの本作への思いが伝えられた。「優しい心」と披露したAKIRAさんは「この作品を観た人に何かしらの映画のメッセージが伝わると嬉しいです」とメッセージを残し、盛大な拍手が贈られた。『ちゃんと伝える』は8月22日(土)よりシネカノン有楽町1丁目ほか全国にて公開。■関連作品:ちゃんと伝える 2009年8月22日よりシネカノン有楽町1丁目ほか全国にて公開© 「ちゃんと伝える」製作委員会■関連記事:ファッション小噺vol.112日本女優の美肌のヒミツはこれだった!鬼才・園子温監督最新作『ちゃんと伝える』試写会に25組50名様をご招待園子温×AKIRA×奥田瑛ニ『ちゃんと伝える』N.Y.上映で観客総立ちの喝采
2009年08月20日初めてシンガポールに行ったのは1999年。きっかけは恵比寿ガーデンシネマで上映されたシンガポール映画『フォーエバー・フィーバー』(’98)だった。70年代、ジョン・トラボルタ主演で大ヒットした映画『サタデー・ナイト・フィーバー』のパロディ映画というのが、この映画の一番簡単な説明である。イギリスで舞台俳優として活躍していたグレン・ゴーイが故郷のシンガポールに戻り、自主映画に近い形で、この映画を監督した。当時、シンガポールには映画産業の土壌はほとんどなく、彼の作品を上映してくれる映画館はどこもなかった。彼はフィルムを持って、招待を受けていないカンヌ映画祭へ飛ぶ。小さな部屋を借り、そこで自主上映を行い、いろいろな人に自分の映画を観てもらおうとしたのである。たまたま次の打ち合わせの合間に立ち寄ったハリウッドの映画会社の社長がこの映画を気に入り、その場でこの映画を買うという話になった。買うだけではなく、ハリウッドでの映画監督の契約も何本かあったらしい(その後、彼が監督のハリウッド映画の話を聞かないので、この契約自体がどうなったのかはわからないのだが)。アメリカでの上映はもちろんのこと、本国シンガポールでも上映することになった。世の中、わからないもので、少し前まで上映さえしてもらえなかったはずの映画が、シンガポール史上空前の大ヒット映画となる。その後、日本でも公開になり、そのプロモーションでグレン・ゴーイが来日した際、インタビューで意気投合した僕は、当時、自分が編集長をしていた女性ファッション誌でシンガポール特集を組み、彼にシンガポールを案内してもらったのである。滞在中、おかまショーやスキンヘッドのバレリーナのショーなどを案内してもらい、それはそれで充実していたのだが、いま考えるとシンガポールの映画館には一度も足を運ばなかった。そこで今回、シンガポールに立ち寄った際、映画館に行ってみようと思い、15のスクリーンを持つゴールデンヴィレッジなるハーバーフロント駅にある新しいシネコンに向かったのである。ちなみに同じビルには、ベスト電器も入っている。僕が選んだ作品はエリック・クー監督のシンガポール映画『マイ・マジック』である。元手品師だった父親と子供の親子愛を描いた作品で、2008年のカンヌ映画祭でパルムドールにノミネートされたことでも知られている。そんな話題作にもかかわらず、100名程の劇場は5名。平日の昼間ということもあるが、あまりにも寂しすぎる。日本と同じで映画祭の受賞が興行成績に結びつくのはアカデミー賞くらいで、カンヌ映画祭の話題性は観客を呼ぶものではないのかもしれない。それにしても、グレン・ゴーイ監督はいま、どこで何をしているのだろう。(text/photo:ishiko)
2009年08月19日世界各国から東京に選りすぐりの作品が集まる、秋の祭典「東京国際映画祭」(以下TIFF)が、今年も「エコロジー」をテーマに、10月17日(土)より9日間にわたり開催される。平成の幕開けと共に歩み、毎年各国の豪華ゲストが集まることでも話題を呼び、賑わいを見せる本映画祭。第22回を迎える今年のコンペティション国際審査委員長にメキシコの鬼才、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督が決定した。長編映画2作目となる『21グラム』で名優ショーン・ペンにヴェネチア国際映画祭男優賞をもたらし、菊地凛子のハリウッドデビュー作としても注目された『バベル』では各国の俳優陣を従え、第59回カンヌ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞するなど、まさに世界を股にかけて活躍するイニャリトゥ監督。その名を最初に知らしめた処女作『アモーレス・ペロス』(’00)は第13回東京国際映画祭にてグランプリを受賞しており、実はTIFFとは縁深い監督の一人である。グランプリ受賞から9年ぶり、今度は審査委員長としてのTIFFへ参加を決め、監督は以下のようにコメントを寄せている。「地球上の各地の映画界から、新たな、そしてエキサイティングな産声があがっています。我々の発想を変える人たちも、これまでも映画によって我々のビジョンを豊かにしてくれた人たちも、今日の文化に時折見られる我々を完全に取り乱させるものに抵抗するための場を必要としています。TIFFは、何年も前から世界中の映画制作者が会する重要かつ心温まるフェスティバルです。日本の文化や映画の伝統は、私個人にも影響を与え、敬意と感心を抱いてます。審査委員長を務めさせていただけることを名誉に思い、感情の浄化や省察を引き起こす、新たな声に出会うことを楽しみにしています」。これから徐々に全貌が明かされていく同映画祭。果たして今年は昨年以上の盛り上がりを見せることができるのか?第22回東京国際映画祭は、10月17日(土)〜25日(日)の9日間、東京・六本木ヒルズほかにて開催。第22回東京国際映画祭開催期間:10月17日(土)〜25日(日)開催場所:六本木ヒルズ(東京・港区)公式サイト:■関連作品:第22回東京国際映画祭 [映画祭] 2009年10月17日から25日まで六本木ヒルズ、Bunkamuraをメイン会場に、都内の各劇場及び施設にて開催
2009年08月17日筒井康隆の原作に斬新な脚色を加え、「アニメの枠を超えた」とまで言われるほど高い評価を得た『時をかける少女』の細田守監督の最新作『サマーウォーズ』。神木隆之介に桜庭ななみ、谷村美月など旬の若手俳優陣を声優に迎え、注目を集める本作が、8月5日(現地時間)よりスイスで開催されるロカルノ国際映画祭のコンペティション部門に出品されることが正式に決まった。カンヌ、ヴェネチア、ベルリンの3大国際映画祭に次ぐ権威ある国際映画祭といわれるロカルノ国際映画祭。1946年より始まり、邦画では1970年には実相寺昭雄監督の『無常』が、そして近年では小林政弘監督の『バッシング』がそれぞれ、最高賞に当たる「金豹賞」を獲得しているが、日本のアニメーション作品がコンペティション部門に選出されるのは、今回が初めてとなる(邦画以外では2004年に香港の『マクダルパイナップルパン王子』が出品)。細田監督は「とても嬉しく思います」と短いながらも喜びのコメントを寄せた。主人公の健二の声を担当した神木さんは「ノミネートおめでとうございます。このような作品に参加することができて役者として光栄です。これをきっかけに世界中の人々に観ていただければと思います」と喜びを語ると共に、「監督、しまっていこう!」と、現地入りする細田監督に激励のメッセ−ジを贈った。『時をかける少女』はシッチェス・カタロニア国際映画祭のアニメーション部門最優秀長編作品賞を始め、国内外で22の賞を受賞したが、今回はそれを上回るか?まずはロカルノでの受賞に期待がかかる。『サマーウォーズ』は8月1日(土)より新宿バルト9、池袋HUMAXシネマズ、梅田ブルク7ほか全国にて公開。■関連作品:サマーウォーズ 2009年8月1日より新宿バルト9、池袋HUMAXシネマズ、梅田ブルク7ほか全国にて公開© 2009 SUMMER WARS FILM PARTNERS■関連記事:神木隆之介が先輩いじり?桜庭ななみを「“ななみ先輩”は天然で癒やしキャラです」細田守監督最新作『サマーウォーズ』試写会に25組50名様をご招待山下達郎、34年目にしてアニメ映画主題歌に初挑戦大きく普遍の愛を歌う神木隆之介、谷村美月、桜庭ななみ、仲里依紗が東京アニメフェアに浴衣で揃い踏み15歳の神木隆之介、『時をかける少女』監督最新作で等身大の高校生役に抜擢
2009年07月16日日本映画界を牽引する是枝裕和監督が、韓国の実力派女優、ぺ・ドゥナを主演に迎えて贈る、心を持ってしまった“空気人形”と人間のラブストーリー『空気人形』。先月開催されたカンヌ国際映画祭「ある視点」部門への正式出品で喝采を浴びた本作が、これに続き、9月10日(現地時間)から開催されるトロント国際映画祭の「マスターズ」部門に正式出品されることが決定した。1995年、初監督作にしてヴェネチア国際映画祭オゼッラ賞を獲得した『幻の光』以来、全作品が国際映画祭に出品されている是枝監督。トロント映画祭への参加はこれで4度目となるが、今回は実績のある巨匠とされる監督の作品のみが出品される「マスターズ」部門への出品ということで、世界からの高い注目がうかがえる。また現時点では、同映画祭への日本映画の出品は本作のみ、先陣を切っての出品となる。この快挙について是枝監督は、「5月のカンヌでのワールド・プレミアに続き、北米でのプレミアをトロントという素晴らしい国際映画祭で迎えられることを、たいへん光栄に思います。“マスターズ”という世界中の巨匠たちが集う部門への出品は、まだまだ時期尚早とも感じつつも、この市民に支えられた映画祭で『空気人形』が観客からどのように受け入れられるのか、いまから心地よい緊張感を感じています」と喜びのコメント。既に10以上の世界各国の映画祭から出品のオファーを受けている本作だが、トロント映画祭はアカデミー賞レースの前哨戦とも言われるだけにその評価が注目される。『空気人形』は今秋、シネマライズ、新宿バルト9ほか全国にて公開。■関連作品:空気人形 2009年秋、シネマライズ、新宿バルト9ほか全国にて公開© 業田良家/小学館/2009『空気人形』製作委員会/写真:瀧本幹也■関連記事:ペ・ドゥナ、駆け込みセーフに日本語で「遅れて申し訳…」ARATAも板尾もホッ…【カンヌ現地レポ 02】是枝監督、観客の反応に「安心した」『空気人形』初披露【カンヌ国際映画祭】日本から唯一、是枝裕和監督『空気人形』「ある視点」に正式出品是枝裕和、次に描くのは“空気人形”の恋ヒロインには韓国女優ぺ・ドゥナを抜擢!
2009年06月26日