●すべてを計算したポン・ジュノ監督ソウルの“半地下”住宅に住む無職のキム一家が、高台の高級住宅に住むパク家に徐々に寄生(パラサイト)し始め、思わぬ事態に突入していくポン・ジュノ監督作品『パラサイト 半地下の家族』。第72回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、第92回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞(旧外国語映画賞)に輝き、ちょうど1年前の昨年1月には日本でも劇場公開され、大ヒットを記録した。この話題作が、動画配信プラットフォーム「TELASA(テラサ)」で見放題配信を開始。同時スタートの音声解説バージョンを担当し、「これは全方向映画です!」と高く評価する映画評論家・町山智浩氏に、改めて魅力を聞いた。※編集部注:本記事はストーリー展開を解説する内容も一部含んでいます。知らない状態で映画をご覧になりたい方はご注意下さい。○■韓国には“半地下”の住宅が実在する物語の中心となるのは、タイトルにもある“半地下”に住む家族。名優ソン・ガンボ演じる父を中心に、母、息子、娘の4人家族のキム一家が暮らす、“半地下”住宅の描写で幕を開ける。「おそらく映画のためのフィクションだと感じる人が多いと思います。でも韓国の事情を知っている人には分かりますが、あのような“半地下”の住宅は実在するんです。もともとは北朝鮮が攻めてきた時のための防空壕として作られました。そのあと、ソウルの地価がどんどん上がっていって住みづらくなったので、アパートとして貸し出されました。だから実際、すごい数の人が住んでいる。自分たちの座っている位置よりも高くにトイレ(下水)があるというのも、誇張でもなんでもなくて、現実。その一方で、IT系を始めとしたものすごい億万長者がたくさん出た。韓国に急激な格差社会が起きたんです」リアルな社会事情を基盤に、ポン・ジュノ監督は徹底的なコントロールのもとで作品を構築していった。「とにかく細かいところまで徹底的に作られていて、計算されている。突っ込みどころのほとんどない映画です。まず序盤。“半地下”というすごく狭いところから始まって、なかなか空を見せない。さらに、すごくうるさい雑踏音がずっと入り続けています。そこから、彼らが潜入していくことになる、お金持ちのパクさんの家に近づくにつれて、画がだんだん広がっていきます。そしてパクさん家に着いた途端に、周りの音がすっと消える。実はキム家もパク家もロケではなく、セットで作られています。監督自ら図面を描いて作ったセットです。全部作り物。舞台も音も、全てが計算されているんです」ため息が出るほどに美しく、憧れを抱かせるパク家だが、建築基準に合っておらず、実際には住みづらい造りなのだとか。しかし一見したところは、素晴らしいロケーションにしか思えない。実際、カンヌ国際映画祭で、コンペティション部門の審査員長を務めたアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督(『バベル』『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』)は、「ロケーションがとてもいい」とポン・ジュノ監督に伝え、すべてがセットだと知って驚いたという。さらに町山氏の音声解説バージョンによると、パク家の広いリビングから見える開けた美しい庭も、グリーンバックではめ込まれた映像なのだとか。●名優ソン・ガンホの存在感※編集部注:本記事はストーリー展開を解説する内容も一部含んでいます。知らない状態で映画をご覧になりたい方はご注意下さい。○■前半は『オーシャンズ11』や『ミッション:インポッシブル』のよう!?そんな“半地下”と高台を舞台に、ジャンルレスな物語が展開していく。「監督自身も言っていたのですが、前半はいわゆるケイパーもの、ミッションものの形式を取っています。ケイパーものというと、たとえば『オーシャンズ11』のような、ターゲットの組織のなかに入り込んでいって内部を操作してみたいな強奪ものですね。同時に、変装してミッションに挑むような『ミッション:インポッシブル』みたいな感じもある。しかもそれがコメディになっているんです。ものすごく笑うシーンがいっぱいあります」そんな、つい「笑ってしまう」感じも、ポン・ジュノ作品の特徴だという。「笑っちゃうんだけど、やっていることはすごくエグイ。長編デビュー作の『ほえる犬は噛まない』からしてそうです。『殺人の追憶』もそうですね。ものすごく残酷な殺人事件、しかも実話を描いたものにも関わらず、あっちこっちにコメディシーンがあって、笑わせるようにできている。その辺のいじわるな、居心地の悪さみたいなものを感じさせるところがポン・ジュノ監督の特殊なところです」『殺人の追憶』といえば、本作で主演を務めたソン・ガンホとの初タッグ作でもある。その後、ポン・ジュノ監督とソン・ガンホは、『グエムル-漢江の怪物-』『スノーピアサー』で組んできており、本作が4度目のタッグとなった。「監督が、ソン・ガンホは、どんなに悪いことをしても観客が全然憎めない非常に稀有なキャラクターだと言っています。もしも今回のキム一家のお父さんを、ほかの人が演じていたら、『なんて奴だ』と観る人の心が離れていくと思うのですが、ソン・ガンホが演じると、観客は共感をもって観てしまう。すごく貴重な才能を持った俳優です」本作では、特に彼の“表情”に注目だ。「後半、キムお父さんはほとんどしゃべらなくなるんですけど、パク家の奥さんの買い物に同行するあたりから、どんどん表情が暗くなっていきます。そしてある事件が起きますが、あれは突然起きたのではないことが、ソン・ガンホの表情からよく分かります。セリフではなく、顔の演技で見せていく。その辺はやっぱり彼の凄さです」○■『パラサイト』は、ジャンルものを超えた映画そして町山氏は『パラサイト』は「全方向映画」だと評した。「後半、物語は全く違う色合いを帯びていきます。詳しいことは言えませんが、『パラサイト』はキム家とパク家の二層構造だけには終わりません。前半はドタバタで大いに笑わされますが、一転してどんどん背筋が寒くなってくる。後半はホラーですからね。ビックリしますよ。社会派的なメッセージや現実を描く側面のある映画ながら、前半はケイパーもの、ミッションものとしてのサスペンスをコメディとして撮り、後半はホラーになる。しかも最後はすごくしっとりと深く終わる。『パラサイト』は、ジャンルものを超えた映画になりました。まさに全方向映画です!」音声解説バージョンでは『パラサイト』が強く影響を受けた作品について、前半と後半を転換するスイッチといえる演出、撮影カメラにまつわる話、綿密な絵コンテ、他のキャストについてなど、町山氏によるさらなる解説が、2時間を超える本編と共に語られる。望月ふみ 70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビュー取材が中心で月に20本ほど担当。もちろんコラム系も書きます。愛猫との時間が癒しで、家全体の猫部屋化が加速中。 この著者の記事一覧はこちら(C)2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED
2021年01月08日2020年2月より米ABCにて放送され高い評価を得ている海外ドラマ「FOR LIFE」(原題)の日本放送を前に、アメリカ在住の映画評論家・町山智浩氏が、現代のアメリカ社会に起こっている“ブラック・ライヴズ・マター”や“システマティック・レイシズム”なども踏まえ、徹底解説する動画が公開された。本作は、無実の罪で終身刑を言い渡された男アーロン・ウォレスが、自らの潔白を証明するため法律を学び、受刑者ながらに弁護士資格を取得。同じく冤罪で服役する刑務所仲間のため、弁護の時だけ裁判所へ移送され、法廷に立つ姿を描いた物語。刑務所内でパラリーガルとして活躍したアイザック・ライトJr.の実話にインスパイアされ、黒人の「冤罪」という社会問題に切り込んでいく刑務所×法廷ドラマ。本国では早くも現地時間11月18日よりシーズン2の放送が開始される。制作には、実際にアイザックに弁護を依頼したことがあり、ドラマプロデューサーとしても評価されている、世界的ラッパーの50セントが参加している。今回公開されたのは、町山氏が語るアメリカ社会のいまが分かる19分の特別映像。さらに、本作のプロデューサーを務め、囚人役で出演もしている50セントから日本のファンに向けた独占メッセージも到着している。【映画評論家 町山智浩コメント】“FOR LIFE”とは「終身刑」を意味する。主人公アーロン・ウォレスは妻子あるビジネスマンだったが、ある日突然、悪徳検事が警察と仕組み、無実の罪で終身刑を宣告されてしまう。アーロンは刑務所で法律を学び、自ら弁護士となり、同じように濡れ衣を着せられた他の囚人を救おうとする。本作は20人以上の冤罪を晴らした「獄中の弁護士」アイザック・ライトJr.の実話にインスパイアされ、彼の弁護を受けたラッパーである50セントが企画した作品であり、アメリカの司法における差別的で理不尽な現実を暴き、決して屈しない男が権力と戦い、家族の元に帰ろうとするヒューマン・ドラマ。「フォー・ライフ」とは「人生のため」「命のため」でもある。ブラック・ライヴズ・マター運動の今こそ観てほしい作品だ。米国で巻き起こっている社会運動“ブラック・ライヴズ・マター”(黒人の命は大切)とは何か。なぜ白人警察官は起訴されないのか、なぜ黒人の冤罪が多発するのか。“システマティック・レイシズム”(制度的人種差別)を交えた解説、さらに、本作のプロデューサーであり、世界的ラッパー50セントが本作を制作するきっかけや、アイザックとの関係にも注目だ。「FOR LIFE」(原題)は米ABCにて放送中。(text:cinemacafe.net)
2020年11月19日今月の人。Illustration:Hidemi Ito漫画家古泉智浩さん1969年生まれ。’93年、ヤングマガジンちばてつや賞大賞を受賞してデビュー。代表作に『ジンバルロック』、『ワイルド・ナイツ』など。そのほか『青春★金属バット』、『ライフ・イズ・デッド』、『死んだ目をした少年』、『チェリーボーイズ』が実写映画化されている。DVD『渚のマーメイド』原作・脚本担当。2015年に刊行した子育てエッセイ『うちの子になりなよある漫画家の里親入門』が話題を呼ぶ。2017年に続編となるコミック・エッセイ『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』を刊行。現在、池袋コミュニティ・カレッジで第2・4月曜日に初心者マンガ教室を開催中。ブログ:古泉智浩の『オレは童貞じゃねえ!!』子どもへの愛が生まれる瞬間里親になろうとしたときにとても勇気づけられた作品『おまえ うまそうだな』作・絵:宮西達也¥1200/ポプラ社大昔、卵からアンキロサウルスの赤ちゃんが生まれました。まわりには誰もいません。赤ちゃんが泣きながら、ひとりぼっちで歩いていると、おそろしいティラノサウルスが現れました。「おまえうまそうだな」と言って、ティラノサウルスがとびかかろうとした時、なんとアンキロサウルスの赤ちゃんは「おとうさーん!」とティラノサウルスにしがみつきました。ティラノサウルスはとまどいながらも、赤ちゃんの父親としてふるまいます。「肉食恐竜のティラノサウルスが、草食恐竜のアンキロサウルスの赤ちゃんと出会うんですね。もちろん最初は赤ちゃんのことを “食べ物” としてしか見ていないんですが、自分になついてくる赤ちゃんに対して、いつしか保護者みたいな気持ちになっちゃうっていう心の変化の描写がすごいなぁと。息子の1歳の誕生日のときには映画版の『おまえうまそうだな』のDVDも買いました。将来ぜひ見せたくて。こちらもすばらしい感動作です」赤ちゃんを前にしたとき、わきあがる熱い感情を描いた里親ストーリー6年間で600万円を費やした不妊治療を経て、里親制度で男の子の赤ちゃんを預かり、その後 “特別養子縁組” をするまでのいきさつについて、正直に、ユーモラスに綴った子育てエッセイ『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』が大反響を呼んだ古泉智浩さん。2017年には新たに女の子の赤ちゃんが加わって、現在は、古泉さん、奥さん、長男、長女、古泉さんのお母さんの5人家族で暮らしている。そんな古泉さんが、まだ里親になる気持ちもなく、不妊治療をしていた頃に運命的に出会った作品が『おまえ うまそうだな』だった。「映画化もされている絵本で、最初は妻と一緒に劇場に映画を観に行ったんです。当時、映画好きが『傑作だ!』と、ものすごく騒いでいたので、気になって。そうしたら、口コミどおりで、本当に感動しました。原田知世さんがお母さん恐竜役で声の出演をしていて、すばらしかった。当時は物語を、まったく自分に引き寄せてはとらえていなかったんですけど、後に里親になろうとするときに、とっても勇気づけられた作品でした」Illustration:Kashiwai原作の絵本を最初に手に取ったのは、生後数ヵ月の長男を里子として引き取り、小児科に通っていたとき。待合室に『おまえ うまそうだな』の絵本と、パペットの恐竜のぬいぐるみが置いてあったのだ。「あ、これが原作かぁ!と思って。“ウマソウ” っていう名前をつけられたアンキロサウルスの赤ちゃんと、その赤ちゃんが “おとうさん” と呼んで慕うティラノサウルスの物語です。もちろん絵本のストーリーだけでも感動的なんですが、映画のほうは時間がさかのぼって、ティラノサウルスが卵のときからの話になっているんですよ。草食恐竜に育てられた肉食恐竜が、後に草食恐竜の親になるという構成。つまり里子が里親になるっていう、すばらしい脚色だったことにビックリしましたね」息子の2歳の誕生日プレゼントにと初めて作ったオリジナルの絵本実は古泉さん、自分の子どものためだけに、完全オリジナルの絵本を手作りしたこともある。長男が2歳の誕生日を迎えたときに作った絵本のタイトルは『バスとねこと2さいのうーちゃん』。絵もストーリーも装丁も、市販の絵本に負けないくらいのクオリティの高さだ。「僕は漫画家のはしくれでありますので、息子の誕生日の記念に何か作りたいなと思いついたんです。将来、子どもがグレたときとかに役に立つかなと(笑)。血のつながりがないですから、こんなにかわいがっていたんだぞ!というアリバイ作りというか(笑)。絵本には、息子が2歳の時点で好きだったものをぜんぶ入れました。乗り物が好きなので、バスやパワーシャベル。あとは猫も出てくる。パソコンで作画したものをプリントして、白紙のボードブックに貼っていきました。たあいもない話ですよ~。でも、息子はふだん、新幹線とか車の図鑑ばっかり読んでいるのに、この絵本はすごく気に入ってくれて。もう暗唱するくらい見てくれたんです」バスが町並みをゆっくり進みながら、海に行くまでの物語。バスの運転手さんはパパで、男の子の他にもママやおばあちゃん、家族みんなが一緒に乗っている。「3歳のときも、また絵本を作ろうと思って、下書きまでは描いたんですが、なんか忙しくなって中断しちゃいました(苦笑)。やっぱり息子が好きな新幹線が出てくる話で、新幹線に乗っているうちに、みんなが眠くなっちゃうっていう、寝かしつけにピッタリのストーリー。今はね、下の娘にも絵本を作ってあげなきゃなぁと思うんですけど、2人目あるあるで、気合がなかなか入らない。2人目の子育てって、ついつい雑になっちゃいますね(笑)」子どもが来てくれたおかげで自分本位の苦しさから解放された長男が3歳のとき、女の子の赤ちゃんを里子として迎え入れた古泉家。長男と一緒に乳児院を訪れていたので、彼には妹ができることは分かっていたはず。とはいえ、やはり、いざ可愛い赤ちゃんが家にやって来て、みんなの注目が赤ちゃんに集中するという状況は、甘えん坊の男の子にはきつかった。「保育園で出会った絵本『ちょっとだけ』は、子ども心にも『これはまさに我がことなり!』って思ったみたいです(笑)。主人公の女の子のような健気さはないんですよ。でも、それまで一人っ子だったのが、下の子ができて注目されなくなるのって、つらいことじゃないですか。赤ちゃん返りもすっごくする。だから、今は息子を最優先にするようにしています。たとえば、息子は保育園では自分で服を着ているくせに、家ではぜったいにひとりで着ないんですよ。妹が来る前は『抱っこ』なんて、そんなに言わなかったのに、僕が帰宅して、妹が寄ってこようとすると、ダーッと妹を追い越して、僕に『抱っこ!』って言う。そこで無下にしちゃいけないなぁと思って、息子を先に抱っこしています(笑)。だから、この前、初めて息子と娘が一緒におもちゃで遊んでいる姿を見て、びっくりしました(笑)」里親には守秘義務があるなど、いろいろ細かい規定も多い。一人を育てるだけでも大変なことなのに、さらにもう一人、赤ちゃんを引き取ろうと決意した理由とは?「それはですね、僕自身が一人っ子で育って、一人っ子の負の側面の塊のような感じだったんですよ。つまり、とことん自分本位で、そのことが苦しかった。だから息子にはきょうだいを作ってあげたかった。僕自身ずっと自分本位で生きてきて、そのことで胸を苦しめていましたが、子どもが来てくれて子どもと日々接して、自分以上に大切にできる存在だって、心から実感することができるようになったんです。前のような自分本位のまま、年寄りになっていたらと思うと、ぞっとしますね。50歳手前になって、やっと一人前の感覚が持てた気がするんですよ。今は子どもたちのおかげで、そういう気持ちを抱けているので、とても幸せです(笑)。」【 古泉智浩さん、これもオススメ 】コントラストの強い配色で展開する楽しい世界に赤ちゃんも大喜び!『いっしょにあそぼしましまぐるぐる』絵:かしわらあきお¥880/学研プラス赤ちゃんが注目する黒、白、赤を中心に、2ヵ月児にも見やすいカラフルな色とくっきりした絵でデザインされたベイビーブック。赤ちゃんが生まれながらに反応する “顔” や、反応がいいとされる “しましま” と “ぐるぐる” の絵がいっぱい。紙が厚く、しっかりしていて、角も丸く処理されているので、赤ちゃんがひとりでページをめくることができます。パパ、ママと赤ちゃんとのコミュニケーションにも最適な、かわいくてキレイな絵本です。「赤ちゃんだった息子が家に来たときに、母の友達のおばさまがプレゼントしてくれたんですよ。今は下の娘が喜んで見ています。やっぱり、色がハッキリしているところが、赤ちゃんも見ていて楽しいのかもしれないですね。うちの子たちはページをめくるのが大好きで、こちらが読んでいる途中でも、どんどんめくっていく(笑)。妻の実家で猫を3匹飼っていることもあって、この絵本でも猫が出てくるページが特にお気に入りみたいです」ぴよちゃんとかくれんぼめくって楽しい、しかけ絵本『NEWぴよちゃんとあそぼ! めくってばあ!』てんとうむしが『ばあ!』作:いりやま さとし¥880/学研プラス©Satoshi Iriyama/Gakkenフェルトでできた四つ葉をめくると、てんとうむしが『ばあ!』、チューリップの花びらをめくると、ありさんが『ばあ!』、レタスの葉っぱをめくると、あおむしが『ばあ!』……めくってワクワク、発見が楽しい、手触りも温かいフェルトめくりしかけ絵本。子どもたちにとって身近な昆虫や動物がたくさん登場するのも嬉しいポイントです。フェルトは破れにくく、扱いやすいので、赤ちゃんが手指を動かすトレーニングにもなります。ありさんが『ばあ!』「子どもたちも『ばあ!』って言いながら、フェルトをめくるのが好きで。『ここにいるのは、かたつむりだよ』って、丸暗記しているくらい。フェルトがすごくしっかり貼られていて、子どもが引っ張っても取れたりしないのがさすがですね。絵本の最後、ぴよちゃんがいなくなって、いろんなものをめくるページが一番盛り上がります。最近、娘が歩くようになったんですけど、ドアをバーンと開けては『ばあ!』って言うんですよ(笑)」上野の森親子ブックフェスタ20195月5日(日・祝)13~14時上野恩寵公園中央噴水池広場周辺学研ブースにてぴよちゃんの新刊にちなんで、ワークショップといりやまさとし先生のミニサイン会を開催します。妹という存在ができた長男が共感!ママが読んでも涙がこぼれる感動作『ちょっとだけ』作:瀧村有子絵:鈴木永子¥900/福音館書店弟が生まれ、なっちゃんはお姉さんになりました。お母さんは赤ちゃんのお世話で忙しいので、なっちゃんはいろんなことを自分ひとりでやってみます。「ちょっとだけ」しかできないけれど、お姉さんだからと、がんばるなっちゃん。でも、眠くなったときだけは、どうしてもお母さんに甘えたくなって……。姉になったことで感じるせつなさ、そして、それを乗り越えることで成長していく子どもの姿を、母親の深い愛情とともに描いた物語。Illustration:Kashiwai「この絵本は、ちょうど下の娘が家に来た頃に、たまたま息子の保育園の先生が読み聞かせの時間に読んでくださったんです。息子は主人公のなっちゃんの気持ちにすごく共感したらしくて、先生に『もう1回読んで!』って、せがんだそうなんですよ。その話を聞いて、うちにも1冊ほしいと思って買いました。息子はなっちゃんみたいに立派じゃ全然ないんですけどね。赤ちゃん返りするところだけ共通している(笑)」里親制度や養子縁組についても学べる古泉さんの作品!『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』著:古泉智浩¥1296(税込み)/イースト・プレス『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』著:古泉智浩¥1296(税込み)/イースト・プレスIllustration:Hidemi Ito/KashiwaiText:Keiko IshizukaConposition:Shiho Kodama
2019年04月08日●長年、仮想システムを運用してきた管理者ほど導入メリットを実感できる"ETERNUS DX S3 series+VVOL"5月14日から2日間、東京国際フォーラムで開催された「富士通フォーラム 2015」。今年で22回目を迎える同フォーラムには、富士通の最先端のテクノロジーをはじめ、ビッグデータ、セキュリティ、ワークスタイル革新、ビジネスと社会のイノベーションなどにフォーカスしたソリューションや取り組みが多数展示された。中でも富士通のクラウド戦略を紹介するセクションでは、15にもおよぶブースで、クラウドプラットフォームの運用環境を最適化する最新のソリューションが紹介されていた。その中で、ひときわ注目を集めていたのは、仮想環境での最適なストレージ運用を実現するディスクストレージシステム「FUJITSU Storage ETERNUS DX S3 series」である。「ETERNUS DX S3 series」は、仮想化プラットフォームであるヴイエムウェアの「VMware vSphere 6.0」に搭載されたストレージ管理技術「vSphere Virtual Volumes(以下、VVOL)」にいち早く対応した。VVOLとは、仮想マシン単位のストレージ管理を実現するものであり、システム管理者の負荷を大幅に軽減する技術として注目されている。今回、富士通ではVVOLに独自の機能も取り入れ、仮想化環境のさらなる運用効率化を実現した。ブースでは、「ETERNUS DX S3 series」とストレージシステム統合管理ソフトウェアである「ETERNUS SF Storage Cruiser 16」を使ったVVOLのデモが行われ、多くの人が足を止めていた。仮想マシン単位で詳細設定が可能に――「ETERNUS DX S3 series」多くの企業が、ICTリソースの効率化や運用コストの削減を目的に、仮想化技術を導入している。しかし、仮想マシンの増加に伴い、新たな課題も発生した。それは、運用管理に伴う管理者の負荷増大だ。富士通プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部の石浦裕一氏は、「仮想マシンごとにストレージの利用状況を把握し、適切な運用管理を行うことが困難になっています」と、仮想化環境におけるストレージ管理の課題を指摘する。これまで、仮想サーバでストレージを使用するためには、仮想マシンの設定とは別に、事前にストレージを設計する必要があった。つまり、仮想サーバの管理とストレージの管理は、それぞれの管理ツールを使い、別々に管理しなければならなかったのである。また、従来の仮想マシンの運用では、複数の仮想マシンを同一ボリュームに格納し、ボリューム単位でバックアップ/リストア運用をしていた。このため、特定の仮想マシンをリストアする際にも、不要な領域もリストアするという"無駄"が発生していたのである。しかし、VVOLの登場で、こうした課題は一掃された。仮想マシン単位の管理が可能になったのである。スナップショットや複製など、従来はボリューム単位でしか行えなかった作業が、仮想マシン単位で設定できるようになった。石浦氏は、「1つのストレージボリュームに、複数のVMDK(Virtual Machine Disk)を配置設計する作業は、管理者にとって大きな負担でした。それが、VVOLではボリュームとVMDKが1対1となり配置設計が大幅に簡略化されます」と説明する。また、VVOLでは仮想サーバ管理ツールである「VMware vCenter Server(以下、vCenter)」から仮想サーバとストレージを一元的に運用設定することが可能だ。さらに、性能・データ保護・セキュリティといったストレージのサービスレベル設定も、vCenter Serverの画面から設定可能だ。「ETERNUS DX S3 series」/「ETERNUS SF Storage Cruiser 16」ならではのVVOLとして注目されているのは、「完全な複製取得による確実なバックアップ」である。VVOLの通常のバックアップはスナップショット機能のみだが、富士通では、これに加えて完全な複製を取得する機能を追加した。物理障害に備えた確実なデータ保全を確立している。リストアについては、スナップショットから仮想マシンデータをファイル単位でリストアできる「シングルアイテムリストア」を富士通独自機能として実装し、システム管理者の様々なリストア要件に対応できるようにした。もう1つが、「ETERNUS SF Storage Cruiser 16」に備わっている「QoS自動化機能」と、VVOLとの連携による自動チューニングである。QoS自動化機能は、優先業務の仮想マシンに予め目標性能を設定するだけで、ストレージを共有する仮想マシンのI/O性能のバランスを自動調整するものだ。業務の優先度に応じてI/O帯域を確保するので、複数の仮想マシンでストレージを共有する環境であっても、パフォーマンスを低下させることなく、ビジネス要件に応じた性能リソースを自動的に割り当てることができる。石浦氏は、「仮想化したものの、期待どおりのパフォーマンスが確保できないといった課題が解決できます」と説明する。「長年、仮想システムを運用してきた管理者ほど、"ETERNUS DX S3 series+VVOL"が提供する仮想環境での最適なストレージ運用のメリットを理解していただけると思います。われわれは、運用管理のさらなる簡易化をコンセプトに、負担低減と運用コストの削減という価値を提供します」(石浦氏)●仮想化に特化した「FUJITSU Storage ETERNUS TR series」と垂直統合型の「FUJITSU Integrated System PRIMEFLEX Series」複雑な設定は一切不要、運用のシンプル化を実現した「ETERNUS TR series」富士通は、仮想化環境専用ストレージとして「ETERNUS TR series」も提供している。同製品は米国ティントリのOEMで、仮想化環境に特化して設計されており、大規模サーバの仮想化統合やデスクトップ仮想化システムに最適なストレージだ。大規模なサーバ仮想化環境でも安定したパフォーマンスを発揮するストレージとして活用されている。ETERNUS TR seriesへのI/O(サーバとストレージ間の入出力)処理は、99%以上をSSDで処理できるよう設計されているため、高速処理が可能だ。性能設計など、煩雑な構成設計や性能チューニングなどは一切不要なため、必要なIOPS値やVM数にあわせて3モデルから選択するのみ。セットアップもネットワークの設定やvCenterの登録など、最低3項目の設定を行うだけであるため、10分程度で完了する。運用面でも「ETERNUS DX S3 series」と同様に、従来のストレージではできなかった仮想マシン単位で管理することが可能。さらに、ホスト、ネットワーク、ストレージ、ディスク単位の処理時間を可視化し、ボトルネックを特定することができる。運用がほぼ自動化されているのも特長の1つで、仮想マシンで性能が不足した場合には、性能リソースを自動で割り当てる。ストレージの運用がほとんど自動化されているため、システム管理者は、基本的に何もする必要がないという。石浦氏は、「ETERNUS TR seriesは、管理工数を極力削減し、仮想マシン管理をシンプル化したいお客様に最適な仮想化環境専用ストレージです」と説明する。運用プロセスも標準搭載、垂直統合型の「PRIMEFLEX Series」運用管理者の負荷を軽減する仮想化・クラウド基盤としてもう1つ注目したいのが、垂直統合型商品の「FUJITSU Integrated System PRIMEFLEX for Cloud」(旧 Cloud Ready Blocks)である。同製品は、仮想化・プライベートクラウド環境の構築に必要なハードウェアおよびソフトウェアなどの要素をパッケージ化し、1つのシステムとして提供されるものだ。ラインナップも、1~70VM程度を目安とした小中規模向けのモデルから、1400VM程度を目安とした大規模向けのモデルと幅広い。また、用途や要件に応じてストレージを選択することも可能で、現状「ETERNUS DX S3 series」や「ETERNUS NR 1000F series」が搭載されたモデルが提供されている。なお、今年度下期には先にご紹介した「ETERNUS TR series」を搭載したモデルも提供を開始する予定である。富士通プラットフォーム技術本部クラウドインフラセンター部長の押川智浩氏は、「PRIMEFLEX for Cloudには、管理者のインフラ運用負荷を統一化・自動化により軽減できる機能が多数組み込まれています。利用部門のシステムに合わせて仮想マシンのスペックを型決めしてメニュー化・自動配備できる機能も備わっているので、導入後すぐにプライベートクラウドの運用が可能です」と力説する。なお、PRIMEFLEXシリーズには、サーバに「SPARC M10」、ストレージに「ETERNUS series」、データベースに「Oracle Database」を採用した超高速データベース基盤の「PRIMEFLEX for Oracle Database」もラインアップされている。こちらは、基幹業務をはじめ、リアルタイムでのビッグデータ分析や、オンライン決済など、ミリ秒単位での大量のデータ処理が要求される環境に最適だ。富士通プラットフォーム技術本部プロダクトソリューション技術統括部の高橋裕氏は、「様々なデータを集約し分析・活用したいというお客様はもちろん、今までの業務効率を根本から見なおし、パフォーマンスを向上させたいというお客様には最適です。PRIMEFLEXシリーズですから、お客様によるインフラ設計は不要です。サポートも、全国2時間以内でオンサイト修理が可能な体制を構築しています」と説明する。ビジネスを効率化し、イノベーション分野へリソースを集中するためには、ICT基盤の運用負荷を軽減することは必須である。そうした環境において、「ETERNUS Series」および「PRIMEFLEX Series」をはじめとする富士通のICT基盤ソリューションは、最適解となるはずだ。6月16日、7月16日に開催されるセミナーでは、本ソリューションの詳細が紹介される。ご興味がある方は、参加されてみてはいかがだろうか。
2015年05月29日