『キツツキと雨』『横道世之介』で高評価を集めた沖田修一監督が新作『滝を見にいく』を完成させた。本作はオーディションで選ばれたプロ・アマ混合の出演者たちが主演で、山の中で迷子になった7人のおばちゃんのサバイバル劇だ。その他の写真本作はそもそも、プロデューサーから「出演者でワークショップをして映画を撮りませんか?」という提案が沖田監督に持ちかけられたところから始まった。しかし、「ワークショップというと若い人のものというイメージなんですけど、40歳の人でも50歳の人でも“新人俳優”というジャンルに入るんだろうな、と思った」という監督は、演技経験を問わずに年配の女性ばかりをキャストに選ぶことにした。「最初はもう少し楽をする予定だったんですけど、キャストの方とワークショップというか稽古をしていくうちに今までの映画と変わらないことに気づきまして、最初は『よーい、スタート』の声をかけないで撮影してみるとか、色々としてたんですけど、結局はこれまでの映画とほとんど変わらない感じで撮影してましたね。みなさん、妙に上手かったんですよね(笑)」。物語は、幻の大滝を見にいくツアーに参加した7人のおばちゃんがガイドとはぐれ、山で迷子になるところから始まる。沖田監督はキャストの個性や特徴を活かしながら脚本づくりをしたそうで「そういう風に俳優にとって有利になるような脚本づくりをしたことも、芝居をしていく上では良かったんじゃないかと思います」と振り返る。「最初からラストは決めていたので、タイトルも『滝を見にいく』にしました。実際に出てくる滝は……自分では面白いと思ってます(笑)。最初はロケハンでもうちょっと荘厳な滝もたくさん見たりしたんですけど、どうしても観光地っぽい感じがしてしまうので、おばちゃんたちが見る滝はこれだろうな、と」。おばちゃんたちが山でのサバイバルを経て、ラストで一体、どんな滝を見ることになるのかも注目だ。商業映画デビュー作『南極料理人』から演技派俳優たちとタッグを組んで、大規模な映画作りを続けてきた沖田監督は「この映画はこれまでとは違った楽しさがあった映画」だという。「オーディションの段階からみんなと色々と話し合いしながらできましたし、自分では映画の規模の大小はわからなくなってきてるんですけど、僕の映画が好きな人って映画の中の“ささいなところ”が好きだという人が多かったりするんですけど、そういうものがつまった映画なので、これまでの映画が好きだった人には楽しんでもらえると思います」。『滝を見にいく』公開中
2014年11月28日開催中の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」において、スカパー!と衛星劇場の主催で行われるプログラム上映で3月1日(土)、映画『南極料理人』が上映され、沖田修一監督がトークショーを行なった。南極観測隊の料理担当で実際に南極に赴いた西村淳のエッセイを元に、ドームふじ基地の観測隊の面々の非日常的な日常をコミカルに描いた本作。本映画祭のメイン会場前に作られたドーム型の特設会場ホワイトロックという、まさにこの映画にピッタリの場での上映に多くの観客が足を運んだ。エッセイの映画化ということで起きた監督は当初「どうやって?」と思ったそうだが、同時に「観測隊をコメディタッチで描いた作品はなかったので面白そうだと思い、ワクワクしながら脚本を書いた」とふり返る。撮影は北海道で行われたが「どこで撮るんだ?と思いつつ、脚本に“大雪原”とか書いて、あとで何とかなるだろうと(笑)。野球のシーン(隊員たちが大雪原で野球をする)は網走湖で撮ってます」と明かした。次々と登場する食事も重要な要素だが「堺(雅人)さんが演じた西村がもてなす感じから、流れの中で食事を通じて“家族”になっていくのを見せたかった」と沖田監督。特に終盤の食事シーンは長回しで撮影されており「堺さんが母、生瀬(勝久)さんが父で高良(健吾)くんが末っ子…」など家族設定を決めた上で進められたが「台本には『いただきます』までしか書いてなかった」とのことで、その後は俳優陣のアドリブで進んだというエピソードも明かされた。本作の後、『キツツキと雨』、『横道世之介』と話題作を送り出してきた沖田監督だが、この秋には新作『滝を見に行く』の公開が控える。この作品のヒロインは「7人のおばちゃん」。これまで全く演技経験のない人も含め、40歳以上の女性を監督がオーディションでキャスティングしたという独特の作品で、78歳の女性、シニア劇団所属の女性、役所の観光課に勤める女性など様々な女性が出演。物語は紅葉狩りツアーに出かけた7人の女性が山で遭難する様子を描いており、沖田監督は「『ゼロ・グラビティ』と同じです!」と宇宙での遭難を描いたアカデミー賞有力作の名を挙げ、会場は笑いに包まれた。撮影は新潟の山奥で行われたが、沖田監督は「台本は書きましたが、オーディションで感じた魅力を組み込んで、約半分、人間半分で描いてます。『グーニーズ』的なことをやりたかった」と語っていた。「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」は3月3日(月)まで開催。(黒豆直樹(cinema名義))
2014年03月02日女優・桐谷美玲が初舞台にして主演を務める『新・幕末純情伝』の公開稽古と会見が6月21日、都内稽古場にて行われた。本作は新撰組の沖田総司が実は女だったという設定で、幕末の志士たちの青春を描いたつかこうへいの代表作。1989年の初演以来、広末涼子や石原さとみら名だたる女優が演じてきた紅一点、沖田総司役の7代目に選ばれた桐谷。CMやドラマ、ニュースキャスターなどマルチに活躍している彼女の新境地に注目が集まる。『新・幕末純情伝』チケット情報この日、初めて稽古に参加した桐谷は、刀を持つのは初めてと言いながらも報道陣の前で鮮やかな殺陣を披露。「めっちゃ緊張してます。男性の中にひとりだけという環境も初めてなんですよ。最初は慣れない部分もありますが、みなさんいろいろ優しく教えてくださるので助けてもらおうかなと思ってます」と抱負を語った。そんな桐谷の姿をみて坂本龍馬役の神尾佑は「立回りははじめからすぐにできるわけでもなく、練習するのみ。芝居の基礎はできているのでそこは問題ないです。声の質がこの役に合っている」と桐谷を褒め、土方歳三役の鎌苅健太も「今日初めて美玲ちゃんの立回りを見て鳥肌立ちました!儚いというか切ないというか。素敵でした」と絶賛。そばで聞いていた桐谷が恥ずかしそうに俯く場面も。役作りについて訊かれた桐谷は「まずは立回りですね。殺陣がきれいに決まらないとカッコよく見えないので必死にやりたいと思います。(演出家に)腹筋をやっておけと言われたので、1日100回やっています」と意欲をみせた。また、初舞台への挑戦については「この舞台をやり終えた後に、ひとつ自分が進めたなと思えるように一生懸命やりたいです。初めてって1回しかないので。みなさんに温かく見守ってもらいつつ、楽しんで見て欲しいと思っています」と語った。2010年にこの世を去ったつかこうへいの三回忌にあたる今年。新たな『新・幕末純情伝』の誕生に期待したい。公演は7月12日(木)から22日(日)まで東京・シアターコクーンにて上演。チケットは発売中。
2012年06月22日人気小説家・吉田修一著による青春感動巨編を、主演に高良健吾、ヒロインに吉高由里子を迎えて『南極料理人』、『キツツキと雨』の沖田修一監督がメガホンを取り実写映画化する『横道世之介』。このほど新たに、池松壮亮、伊藤歩、綾野剛ら若手実力派俳優3人の本作への出演が明らかとなった。『悪人』や『パレード』の原作者としても知られる吉田修一の同名人気小説を原作にもつ本作。1980年代を舞台に、上京したての大学生・横道世之介の日常と、彼を取り巻く人々の生活を優しいタッチで描く。今回出演が決定したのは、いまがまさに“旬”の3人。世之介の大学の友達・倉持一平を、『ラスト サムライ』でハリウッド・デビューも果たした池松壮亮、世之介が憧れる年上女性・片春千春を、『ソラニン』や『GANTZ』など話題作への出演が相次ぐ伊藤歩が演じる。そして女性に興味がない世之介の同級生・加藤雄介を、現在放送中のNHK連続ドラマ小説「カーネーション」での活躍で脚光を浴びている綾野剛が演じる。徐々に明らかにされていく映画『横道世之介』の世界。心温まる人間模様を独特のユーモアと世界観で描くことに定評のある沖田監督の指揮のもと、若手実力派俳優たちがどのような化学反応を起こしてくれるのか、公開を楽しみに待ちたい。『横道世之介』は2013年、全国にて公開。■関連作品:横道世之介 2013年、全国にて公開■関連記事:『蛇にピアス』コンビ復活!高良健吾&吉高由里子で吉田修一の青春小説を映画化
2012年03月15日グリム童話の名作を基にした映画『赤ずきん』の試写会が6月5日(日)、東京・飯田橋の日仏学院で開催され、モデルの月本えりと女装パフォーマーのブルボンヌが登場し、奔放なガールズトーク(?)で会場をわかせた。レオナルド・ディカプリオが製作陣に名を連ね、『トワイライト〜初恋〜』の女流監督キャサリン・ハードウィックがメガホンを握った本作。狼が村を襲う怪しい森のはずれの村で、幼なじみと親が決めた裕福な婚約者の2人の愛のはざまで思い悩む少女の危険な恋と、“人狼事件”の衝撃の真実が描かれる。この日の試写会は“女子会”を謳い、女性ばかりの観客はみな、作品にちなんだ“赤”のコーディネイトで来場。ブルボンヌさんは真っ赤なドレス、月本さんは燃えるような赤いリップとマニキュア、そして赤いインナーをチラリと見せるコーディネートで登場した。女装家として人気急上昇中のブルボンヌさんは「(映画は)人々の中に狼がいる、ということで、女子会にひとり、女子じゃないのが混じってます」とおどける。映画について月本さんは「緊張して観てました。『この人かも?』『この人だったの!?』と思いながら観ていて、裏切られた気持ちです」と衝撃の結末の感想を語る。ブルボンヌさんも「女の子がウットリする景色を織り交ぜてあって良かったです」と女性監督ならではの世界観を絶賛した。また、劇中のファッションについてブルボンヌさんは「こんな穀物も採れなさそうな村で、何でみんなこんなディテールまで凝ったいい服を着てるんだ?って思いましたが(笑)、頭巾とかもかわいかったですね」とユーモアたっぷりに称え、月本さんも「ヘアスタイルや、Tシャツやワンピースにコルセットという組み合わせもかわいかった」と語った。この日、真っ赤な出で立ちのブルボンヌさんと対照的に月本さんはポイントで赤を使用。会場の女性たちも含め、意外と赤い服を持っている女性は少ないようで月本さんも「デートでは意外と目立たない服を着ますね」と告白。これにブルボンヌさんは「それがあんたたちの作戦でしょ?ハデな女だと思われないように」と噛みつくと会場は笑いに包まれた。さらに劇中の主人公・ヴァレリー(アマンダ・セイフライド)を巡る三角関係について月本さんは「ああいうシチュエーションは(実生活で)結構ありませんか?」と大胆発言!ブルボンヌさんは「いいご身分ね!」と再び噛みついたが、月本さんは「本当に好きな人がいるのに、別の人に好かれてしまう、ということですよ。恋は追いかける方が楽しいけど、それは本当は不幸かもしれなくて」と揺れる女心を明かし、これには会場の女性たちも同意。月本さんの言葉にしきりに頷く女性の姿が多く見られた。『赤ずきん』は6月10日(金)より丸の内ピカデリーほか全国にて公開。■関連作品:赤ずきん 2011年6月10日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.■関連記事:アマンダ・セイフライド、ライアン・フィリップと交際7か月で破局5年来の恋人と破局したばかりのレオナルド・ディカプリオに早くも新たな恋人出現?アマンダ・セイフライド×名作グリム童話『赤ずきん』試写会に10組20名様ご招待『赤ずきん』女性監督が証言、『トワイライト』を超える新たな“恋のジレンマ”レオナルド・ディカプリオ、5年来の恋人バー・ラファエリと破局
2011年06月06日女優の徳永えりが5月11日(火)、東京・千代田区のよみうりホールで行われた出演映画『春との旅』の舞台挨拶に出席。共演した大ベテラン、仲代達矢から誕生日を祝う言葉を贈られ、感動の涙を流した。この9日(日)に22歳になったばかり。大ベテランの仲代さんは、徳永さんに花束を手渡し、ギュッと抱擁すると「まだまだ若い女優さんで、これからいろいろ経験すると思いますが、あくまで初志を貫いて。その辺の薄っぺらい女優にならないで。志を高く持って」。小林政広監督も「最初の志を完結し、いい女優になって」と心のこもったエール。徳永さんは「ビックリしました」と感極まって涙をポロリ。「本当にまだまだだなと思っています。まだまだ足りない。でもあせらず一歩一歩進んで、仲代さんのような素敵な女優になりたい」と涙を拭い声を詰まらせながら、飛躍を誓った。本作は、最後の居場所を探して旅に出た元漁師の忠男(仲代さん)と新たな一歩を踏み出したその孫娘・春(徳永さん)の二人旅を綴る物語で、仲代さんが9年ぶりに映画主演を務めた。今後の生きる道について司会から聞かれた仲代さんは「77年も生きたからもういいんです」と軽妙に語りつつ、「この映画もそうですが、人間をテーマに、人間とは、生きるとは、ということを命ある限り俳優として追究していきたい。残り少ない人生を頑張ります」と穏やかな表情で語った。一方、小林監督は、「この映画にお客さんが入れば、また映画を作るチャンスがある。だからみなさんの気持ちで、僕の生きる道があるか決まります」と飄々とした口調。観客の笑いを誘っていた。『春との旅』は5月22日(土)より新宿バルト9、丸の内TOEI2ほか全国にて公開。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:春との旅 2010年5月22日より新宿バルト9、丸の内TOEI2ほか全国にて公開© 2010『春との旅』フィルムパートナーズ/ラテルナ/モンキータウンプロダクション■関連記事:史上初!奈良・薬師寺で映画奉納式『春との旅』仲代達矢「60年間で初めて」寄り添いながら、2人は旅をする――『春との旅』試写会に25組50名様ご招待仲代達矢、黒澤明を引き合いに『春との旅』小林政広監督を「天才」と大絶賛
2010年05月11日