米Appleが申請していた小型ディスプレイ搭載デバイスを使ったヘッドマウントディスプレイ(HMD)に関する特許が2月17日(現地時間)、米特許商標庁(USPTO)によって認められた。同特許はUSPTOのサイトで参照できる。似たようなアイデアはSamsungによって「Gear VR」の名称ですでに商品化が行われており、Appleがこうした仕組みにどの程度興味を持ち、何を考えているのかが注目ポイントとなる。今回認められた特許は申請番号が8,957,835で「Head-mounted display apparatus for retaining a portable electronic device with display」の名称がつけられている。特許の最初の申請日は2008年9月30日と古く、2世代目にあたるiPhone 3Gが発売されてすぐのタイミングにあたる。そのため、iPhoneだけでなくiPod touchなどのデバイスの利用も想定していた可能性がある。一方で、これだけiPhoneの普及台数と機能面での差異が特許申請当時から現在において非常に大きく、想定しているユースケースについてもGear VRなどのそれとは大きく異なっている可能性が高い。実際、特許で示されているものもデバイス(iPhone)とグラス型マウンターとの"電気的"な接続方法や、外部コントローラ(Apple Remoteのようなもの)による制御方法、Picture-in-Pictureのような形で複数のアプリを同時に実行して閲覧する方法など、純粋に映像を楽しむための視聴デバイスとしての"HMD"に着目しているように見える。これに対し、SamsungのGear VRはマウンターそのものは単なる「デバイスを固定するための箱」であり、Galaxy Note 4をはめ込むことで視点を調整する役割を果たしているに過ぎない。Gear VRは「Oculus Rift」を多分に意識したもので、実際にOculusとのコラボで実現したものだ。Oculusではデバイスの装着者が頭を動かすと、モーションセンサーがそれを検知して移動量や向きに応じて視点が変更される特性があり、非常に没入感が高い。例えばゲームであれば実際にゲームの世界で行動しているような感覚を味わえ、環境映像や映画コンテンツと連動させた場合、頭を動かすことで固定視点の映像では見られない風景が目に入ったりといろいろ応用が期待されている。最近のスマートフォンの場合、このOculusのようなVR(仮想現実)の世界を体験するのに十分なセンサーやスペックを備えており、Gear VRはそれを実践したものだ。これが、今回のApple特許が申請から認可までの6年半で業界で起きた、大きな変化だといえるかもしれない。
2015年02月20日米Appleがハンドヘルドデバイスを用いたヘッドマウントディスプレイ(HMD)システムの特許を取得したことが、米特許商標局(USPTO)が公開した資料で明らかになった。17日に成立したAppleの特許は「Head-mounted display apparatus for retaining a portable electronic device with display」(US 8,957,835)。頭に装着するヘッドマウントデバイスにiPhoneのようなディスプレイを持つハンドヘルドデバイスを取り付けるHMDシステムと、その操作方法に関するものだ。考案背景の説明では、ディスプレイを備えたHMDとPCやモバイルデバイスをケーブル接続するシステムはケーブルが邪魔になって取り扱いにくく、またHMDとモバイルデバイスの両方がディスプレイを装備するというような機能の重複が生じると指摘している。そうした重複はシステム全体では、コスト、重量やサイズの無駄になる。Appleが考案したHMDシステムは2つのデバイスが直接コネクタ接続し、電気的にも一体化するコードレスシステムだ。ヘッドマウントデバイスにハンドヘルドデバイスを取り付けるとディスプレイの表示がヘッドマウント・モードに切り替わる。頭に装着したユーザーは、左右の眼の部分に配置された光学パネルを通じてハンドヘルドデバイスのディスプレイを見る。またApple Remoteのようなリモコンによる操作補助も想定している。Googleが昨年6月に開発者会議Google I/O 2014で「Google Carboard」を公開し、昨年末にCarl Zeissが「Zeiss VR One」、Samsungが「Gear VR」を発売するなど、すでにスマートフォン一体型のHMDシステムは目新しい仕組みではなくなっているが、Appleは17日に成立した特許を2008年9月に出願していた。
2015年02月19日パスロジは28日、不正送金を防止する「取引防護システム」の特許(特許番号:特許第5670001)を取得し、技術の提供を開始すると発表した。同システムでは、利用者がパソコン上で送金操作を指示すると、スマートフォンなどの別端末に、送金先や金額等といった取引情報を一部欠損して表示させる。利用者は、その欠損部分を補う情報をインターネットバンキングの画面で入力することで、送金操作を完了する。万が一、利用者が欠損部分を補う情報がわからない場合や、指示した取引と合致しない取引情報である場合は、取引情報が偽装されている可能性があると判断できるという。送金操作における追加作業は、利用者自身が指示した既知の情報をクイズ感覚で入力する仕組みとなる。インターネットバンキング利用者への負担は最小限で、金融機関の既存システムへの導入は最低限の機能の導入であれば短期間で行える。また、パスロジが提供しているパスワード生成・管理アプリ「PassClip」上に、欠損した取引情報を表示させることが可能で、認証用パスワード管理用として「PassClip」を併用することにより、利便性が向上するとしている。今後は、年間数10億円の規模へと拡大しつつある不正送金の損害をなくすべく、各金融機関へ導入の提案を行っていくという。
2015年01月29日リプロセルは1月27日、日産化学工業(日産化学)と共同出願していた造血幹細胞の増幅方法に関する特許が国内で成立したと発表した。同発明は骨髄および臍帯血中に含まれる造血幹細胞を従来の30倍、効率的に増幅する技術に関するもの。臍帯血移植はドナーの負担が少ない手法として白血病の治療で利用が広がっているが、臍帯血の量が十分でないという問題があり、同技術はその解決につながる可能性がある。同社は、同発明の成果を最大限に活かし、将来の事業の中核として見据える再生医療分野への進出に向けた取り組みを推進していくとしている。
2015年01月29日米Appleが指紋認証システム「Touch ID」に関して申請した特許が2015年1月15日(現地時間)、米特許商標局(USPTO)によって公開されている。基本的にはTouch IDが持つ指紋登録機構や、Apple PayやサードパーティへのAPI公開で提供されるようになったサービス認証やオンライン/オフライン決済に関するものが中心だ。だが「iCloud経由での指紋同期」「BluetoothやNFCによる指紋データのデバイス間での直接転送」といった仕組みも示されており、Touch IDの将来的な拡張が期待される。申請番号は20150016697で「FINGER BIOMETRIC SENSOR DATA SYNCHRONIZATION VIA A CLOUD COMPUTING DEVICE AND RELATED METHODS」の特許名が示されている。発明者はGreg Kerr氏となっているが、同社が2012年に買収したAuthenTecのエンジニアだった人物だ。申請日は2013年7月10日となっており、AuthenTec買収後にAppleが提出したものだと考えられる。ただしLinkedInのプロフィールによれば、Kerr氏はAuthenTecが買収された後にAppleへと移籍したが、その後わずか5カ月ほどで同社を辞め、少しの休眠期間の後に米InmarのCTOとなっている。そのため、この買収前後のタイミングで準備された特許申請だったのかもしれない。冒頭の説明のように、本特許における記述内容は指紋登録から認証まで、Touch IDの基本的な動作を記したものであり、特記事項はない。特にApple Payが発表された今日においては、「Touch IDの指紋センサーを使った店舗やオンラインでの決済」という仕組みが特にニュースになることもないだろう。注目すべきは指紋データの扱いの部分で、現在は各デバイス内の専用領域に保存され、基本的にデバイスに結びつけられている指紋登録データが、iCloudに保存されたり、あるいはiCloudを介してデバイス間で同期できるような仕組みが提案されている。またiCloudを介さずとも、BluetoothやNFCといった近距離通信を使った指紋登録情報の転送が行えるようになっている点が特徴だといえる。この機能が実際に将来のiOSバージョンで導入されるかは不明だが、セキュリティ的な議論も含め、今後の注目となるのは間違いない。
2015年01月21日米Appleが1月13日(現地時間)に獲得した特許が話題になっている。1つは手の動きで操作を行う3D UIに関するもので、同社が買収したPrimeSenseの技術の延長線にあると考えられる。もう1つはリモート制御が可能なカメラ技術で、おそらくはGoProライクなアクションカメラ等の用途を想定していると考えられている。1つめは特許番号8,933,876で「Three dimensional user interface session control」の名称がつけられている。今回の話題を聞いて連想される3Dモーションセンサー技術としては、かつてMicrosoftがKinectで採用しており(現在は別の独自技術を利用)、2013年にAppleによって買収されたPrimeSenseがすぐに思い浮かぶだろう。同特許の申請者として名前の挙がっている3人はともにイスラエルの技術者であり、おそらくはPrimeSenseの流れを汲んでいると予想できる。Apple自身もイスラエルに開発拠点を持っており、このような形で買収した企業や技術者の受け皿として機能している側面がある。そのため、今回の特許もまたこの過程でAppleの技術として取り込まれたものだと考えられる。詳細はPatently Appleでも紹介されているが、モーションセンサーに対して行う手のアクションは3種類あり、1つはZ軸方向(前後)に手を動かすもの、2つめはX軸方向(左右)に手を動かすもの、3つめはY軸方向(上)に手を動かすものといった具合だ。それぞれが意味するものは操作対象となるアプリケーションによって異なると思われるが、メニュー画面移動や拡大縮小、メニュー選択、メニュー決定といった役割が与えられると考えられる。3Dモーションセンサーの形状や操作対象となるデバイスは特定されていないものの、主にデスクトップやTV関連での操作に利用されるのではないだろうか。2つめは特許番号8,934,045で「Digital camera system having remote control」の名称がつけられている。いわゆるGoProがシェアを握っているアクションカメラの領域にAppleが興味を示していることの証左といわれる今回の特許だが、それは本文中の記載に確認することができる。カメラのリモート制御に加え、カメラモジュールをヘルメットやバイク等に固定するマウンターに関する説明があり、明らかにアクションカメラでの利用を想定したものになっているからだ。Patently Appleの記事によれば、さらにいくつか興味深いポイントがあるという。1つは同社が2013年11月に米Eastman Kodakから買収した特許との組み合わせが可能なこと、そしてリモートコントロールに利用するデバイスやマウント対象となるカメラデバイスがiOSデバイスで代替可能な点だ。例えばリモート制御に使うデバイスがApple Watchとなるケースも考えられれば、カメラ側のデバイスをiPhoneにすることも考えられる。カメラデバイスは水中での利用も想定しており、場合によってはiPhoneを水中利用可能なオプションや、あるいはiPhoneそのものを水中利用可能にすることも検討しているのではないかという話も出ている。その意味では、いろいろ想像の膨らむ特許だといえるかもしれない。
2015年01月15日米Appleがアクションスポーツの撮影に利用できるカメラシステムの特許を取得したことが、米特許商標局(USPTO)が公開した資料で明らかになった。資料の「考案の背景」で、AppleはGoProの「GoPro HD Hero2」と比較しながら考案したカメラシステムの有用性を説明している。13日にAppleの小型アクションカメラ市場参入の可能性が報じられると、同日のNASDAQ市場でGoPro株が急落した。13日に成立したAppleの特許は「Digital camera system having remote control」(US 8,934,045)。イメージキャプチャ(カメラ)モジュールとリモコンモジュールで構成されたデジタルカメラシステムで、2つの撮影システムの連係と、リモコンモジュールを効率的に機能させる電力管理システムを特徴としている。GoPro HD Hero2の場合、1つの撮影システムで撮影するため風や振動によるブレやノイズの補正に限界がある。Appleのカメラシステムのイメージキャプチャモジュールは2つの撮影システムでキャプチャしたデータを組み合わせて効果的に補正する。複数の撮影システムを備えたテレカンファレンスシステムのようにカメラの設置に制限はなく、ヘルメットやハンドルバーに装着して激しい動きの中で撮影できるソリューションとなっている。特許資料に描かれているリモコンモジュールは、スマートウオッチのような形をしている。イメージキャプチャモジュールと無線で接続し、リモコンモジュールでイメージキャプチャモジュールのステータスを確認して操作も行える。カメラに変化があるたびにリモコンモジュールが通知を受け取っているとすぐにバッテリーを消費してしまうが、低電力ステートで待機し、ユーザーの操作に応じて通常電力ステートに復帰してイメージキャプチャモジュールからステータス情報を引き出すことで効率的に機能する。Appleの小型アクションカメラ市場参入は?今回Appleが特許を取得したカメラシステムは、2012年に米連邦破産法11条(民事再生法に相当)の適用を申請したEastman KodakからAppleが買収した画像関連特許に含まれていたものだ。小型アクションカメラを意識したシステムだが、Appleのプロジェクトの成果ではなく、元はKodakのプロジェクトだった。そのためAppleの小型アクションカメラ市場参入を示すものではないと見る向きも多い。GoPro株の急落を引き起こしたが、現段階では可能性の1つでしかない。また"可能性"を論じるなら、今回取得した特許技術はiPhone/iPadとApple Watchの連係に活用される可能性も考えられる。
2015年01月15日米IBMは1月12日(現地時間)、2014年に取得した米国特許が7534件となり、22年連続で米国特許取得数において第1位となったことを発表した。同社が2014年に取得した特許のうち、3000件以上、全体の40%がクラウド・コンピューティング、アナリティクス、モバイル、ソーシャル、セキュリティ分野における発明。過去5年間、同社はこれらの戦略的成長分野において年間取得数が2倍以上に増加しているという。また、Watson関連のコグニティブ・テクノロジーなどのコグニティブ・システムの分野に関する発明において500件以上の特許を取得した。2014年の米国特許取得数のランキングは以下のとおり。IBM7534サムスン 4952キヤノン 4055ソニー3224マイクロソフト2829東芝2608クアルコム2590グーグル2566LGエレクトロニクス2122パナソニック2095同社の2014年の特許取得数は、アクセンチュア、アマゾン、グーグル、ヒューレット・パッカード、インテル、オラクルを合わせた総取得数を上回っているという。
2015年01月14日米Appleが米国時間6日に米特許商標庁より「Flexible electronic devices(柔軟性のある電子デバイス)」という特許を取得したことが明らかになった。取得した特許の書類には、端末が湾曲したもの、折りたたまれた図も含まれ、将来のiPhoneの姿は大きく変わるかもしれない。Appleはこの特許を2011年9月30日に申請、2015年1月6日に認められた。特許番号はUS 8929085。米特許庁が公開した書類では「柔軟性(Flexible、以下同じ)のあるディスプレイ、柔軟性のあるケーシング、柔軟性のある電子デバイスの変形を可能にするために設計された1つあるいはそれ以上の柔軟性のある内部コンポーネントなどを含む」としている。柔軟性のあるディスプレイは、柔軟なディスプレイレイヤー、柔軟なタッチ対応レイヤー、柔軟なカバーレイヤーなどが含まれ、柔軟性のある内部コンポーネントとしては、柔軟性のあるバッテリー、柔軟性のあるプリント基板などが含まれるという。定義として「変形可能な素材から作られた柔軟なケーシング」「柔軟なプリント基板を含むプリント基板」「少なくとも1つの曲がらない部分と少なくとも1つの柔軟な部分を含むプリント基板」などの言葉が並んでいる。特許は製品化を約束するものではないが、「柔軟なディスプレイは柔軟なOLEDディスプレイ技術により作成できる。柔軟なディスプレイをもつ電子デバイスは通常、曲がらない電子デバイスを構造する曲がらないケーシング構造またはその他の曲がらない構造とともに提供される」などとあり、「曲がらない電子デバイスは、デバイスを固い表面に落下したときなどの衝撃におけるダメージには弱い。そのため、電子デバイスを改善できることが望ましい」と続いている。また、ユーザーインターフェイスについても「柔軟なデバイスに加わる曲がりを検出するよう設定でき、検出したらそれに対する反応を起動できる」としている。例として、デバイスのオン/オフ、アクティブ/スタンバイモードの切り替え、着信への応答、ソフトウェアアプリケーションの起動、オーディオや動画再生の音量調節、オーディオ再生のスタート/停止などを挙げている。曲面ディスプレイを採用したスマートフォンは、Samsungが2013年10月に「GALAXY Round」として発表、LGも「LG G Flex」ラインで展開している。だがこれらのデバイスは最初から曲面になっており、ユーザーが実際に曲げる柔軟性には乏しい。Appleの特許申請書類を見る限り、折りたたみ式も含まれ、従来の曲面ディスプレイを超えるデバイスが登場するかもしれない。
2015年01月08日トヨタ自動車は1月6日、燃料電池自動車(FCV)の普及に向けた取り組みの一環として、単独で保有している世界で約5680件の燃料電池関連の特許(審査継続中を含む)の実施権を無償で提供すると発表した。今回の対応は、FCVの導入初期段階においては普及を優先し、開発・市場導入を進める自動車メーカーや水素ステーション整備を進めるエネルギー会社などと協調した取り組みが重要であるとの考えに基づくものという。特許実施権無償提供の具体的な内容としては、燃料電池スタックの約1970件、高圧水素タンクの約290件、燃料電池システム制御の約3350件といった、FCVの開発・生産の根幹となる燃料電池システム関連の特許に関しては、これらの特許を実施してFCVの製造・販売を行う場合、市場導入初期(2020年末までを想定)の特許実施権を無償とした。また、水素供給・製造といった水素ステーション関連の約70件の特許に関しては、水素ステーションの早期普及に貢献するため、水素ステーションの設置・運営を行う場合の特許実施権を、期間を限定することなく無償にするとしている。これらの特許実施に際しては、特許実施権の提供を受ける場合の通常の手続きと同様に、トヨタに申し込み、具体的な実施条件などについて個別協議の上で契約書を締結する予定としている。
2015年01月07日トヨタ自動車は6日、燃料電池自動車(FCV)の普及に向けた取り組みの一環として、同社が単独で保有している世界で約5,680件の燃料電池関連の特許(審査継続中を含む)の実施権を無償で提供すると発表した。この対応は、FCV導入初期段階においては普及を優先し、開発・市場導入を進める自動車メーカーや水素ステーション整備を進めるエネルギー会社などと協調した取り組みが重要であるとの考えに基づくもの。具体的な内容は、燃料電池スタック(約1,970件)・高圧水素タンク(約290件)・燃料電池システム制御(約3,350件)といった、FCVの開発・生産の根幹となる燃料電池システム関連の特許に関しては、これらの特許を実施してFCVの製造・販売を行う場合、市場導入初期(2020年末までを想定)の特許実施権を無償とする。また、水素供給・製造といった水素ステーション関連の特許(約70件)に関しては、水素ステーションの早期普及に貢献するため、水素ステーションの設置・運営を行う場合の特許実施権を、期間を限定することなく無償とする。これらの特許実施に際しては、特許実施権の提供を受ける場合の通常の手続きと同様に同社へ申し込みを行い、具体的な実施条件などについて個別協議の上で契約書を締結していく予定。同社は従来より、知的財産(特許)の取り扱いについては、オープンポリシーを基本としており、第三者からの実施の申し込みに対しては、適切な実施料により特許実施権を提供している。燃料電池関連の特許に関しては、こうした基本方針を一歩進めて無償で特許実施権を提供することにより、FCVの普及を後押しし、水素社会の実現に積極的に貢献していきたいとの考えだ。
2015年01月06日トヨタ自動車は1月6日、燃料電池自動車(FCV)の普及に向けた取り組みの一環として、同社が単独で保有している世界で約5680件の燃料電池関連の特許(審査継続中を含む)の実施権を無償で提供すると発表した。具体的には、燃料電池スタック(約1970件)、高圧水素タンク(約290件)、燃料電池システム制御(約3350件)といった、FCVの開発・生産の根幹となる燃料電池システム関連の特許を実施してFCVの製造・販売を行う場合、市場導入初期(2020年末までを想定)の特許実施権が無償となる。水素供給・製造といった水素ステーション関連の特許(約70件)については、水素ステーションの早期普及に貢献するため、水素ステーションの設置・運営を行う場合の特許実施権が期間を限定することなく無償となる。これらの特許実施に際しては、特許実施権の提供を受ける場合の通常の手続きと同様、同社に申し込みをし、具体的な実施条件などを個別協議しうえで契約書を締結する予定だという。
2015年01月06日米特許商標局(USPTO)は12月2日(米国時間)、Appleが「Protective mechanism for an electronic device」の名称で出願していた特許を正式に認可した。落下破損の事故は昨今のスマートフォンではごく身近なものとなりつつあるが、この特許ではスラスターなどの機構を用いることで落下時の位置修正でガラス面を保護したり、接続ケーブルからの巻き添えでの落下を防ぐためにケーブルを強制射出する仕組みを用意したりと、落下による被害を最小限に食い止めるべく、さまざまなアイデアが提案されている。以前のレポートでも紹介したように、もともとは2011年9月に登録された特許が2013年3月に開示されて話題になったもので、このたび正式に認可となった。特許番号は8,903,519で「Protective mechanism for an electronic device」の名称が付与されており、USPTOの該当ページで参照できる。冒頭での説明のように、この特許のポイントは落下検出と、その動きが落下と認められた場合の保護運動の2つにある。加速度センサーやジャイロスコープを組み合わせることで本体が落下状態にあるかを判断しつつ、その状態を認識し、衝突が発生するまでにベストな保護状態がどの体勢かを瞬時に計算する。基本的に落下に対して一番"弱い"と考えられるのはタッチスクリーンのあるガラス面やスイッチ、そしてコネクタ部のため、比較的頑丈なフレーム付近を衝突面とし、弱い部分への直撃を避けるべく内蔵スラスターなどで微妙に衝突位置を修正する。2年間の契約縛りが解けておらず、ガラス面にヒビが入っても端末を使い続けなければならないことに苦痛を感じていたユーザーには朗報だろう。問題は特許の実現性だが、iPhone採用は難しいと考えている。仕組み的に直撃は逃れられても本体へのダメージは避けられないこと、iPhoneの設計思想が薄型軽量化に進むなか、各種ギミックを搭載することによる重量やコスト増と比較し、本体交換のほうがコストや手間的にもメリットが大きいため、あくまでアイデア止まりというわけだ。一方でApple InsiderはiPhone 6とiPhone 6 Plusにバイブレーション用の専用モーターが取り付けられており、もし本体の姿勢制御に使える装置に接続されれば、こうした特許で示された姿勢制御は容易という見方を示している。自動姿勢制御による落下衝撃吸収という仕組みは非常に夢がある一方で、数千円の投資で保護ケースを購入して比較的安価に対策できるという状況で、ユーザーはどちらを望むだろうか?
2014年12月04日大塚家具はこのほど、家具転倒防止器具「耐震アトラスネオ」、家具転倒・移動防止システム「グリップフロア」、「家具転倒防止機能を備えた隅木構造」での特許取得を発表した。○天井と家具を面で支え転倒を防止家具転倒防止器具「耐震アトラスネオ」は、天井と家具を「面」でしっかり支える設計の家具転倒防止器具。一般的に流通している同様の器具が振動実験を行っていない、若しくは震度6弱までの実験が多いのに対し、震度6強~7相当の実際の地震波を再現した振動実験で効果を実証した。居室の美観を損ねないシンプルなデザインで、2013年度のグッドデザイン賞を獲得。締め過ぎ防止機能搭載で簡単に取り付けられる。価格は1万5,120円~(税込み)。○家具の移動を抑えて転倒を防止倒れない家具家具転倒・移動防止システム「グリップフロア」は、家具転倒の大きな原因として、振動により家具が移動することに着目。家具底部(台輪)の空間に耐震吸着マットを取り付けたパネルをセットし、押し付けることで家具を床面に強力に吸着させ、家具の移動、転倒を防止する。取り付け・取り外しが簡単で、繰り返し何度でも設置が可能。家具や家屋を傷つけず、 器具が外から見えないため、家具のデザインに影響することもないという。震度7相当の実際の地震波を再現した振動実験で効果を実証した。価格は1万7,280円~(税込み)。同社オリジナルユニット収納「Shin」専用オプションとして販売中だが、今後は他商品への導入を予定している。○家具を底面に吸着させ転倒を防止「家具転倒防止機能を備えた隅木構造」は、家具底部(台輪)の補強部材として一般に設けられている「隅木」部分に耐震吸着マットを貼り付けることで、家具を床面に吸着させ、家具の転倒、移動を防止する仕組み。家具や家屋を傷つけず、また家具のデザインに影響することもないという。粘着するために必要な貼り付け面積を確保すると同時に、家具の移動等の際に、耐震吸着マットを剝がすことができる構造を発案し、現在小型家具向けに開発を行っているという。価格、発売時期は未定。
2014年08月11日総医研ホールディングスの子会社である日本予防医薬は4月1日、芳香剤「緑林の香り」を通信販売で発売する。○"エアー森林浴"でリフレッシュ!同商品は、特許取得の成分「みどりの香り(青葉アルコール=シス-3-ヘキセノール)」を配合。同成分は、芝生を刈ったときや緑茶の缶を開けたとき、樹木の香り等に感じられる青臭い香りであり、「青葉アルコール」を主成分とした7~8種類の化合物によってできているとのこと。同社は、大阪市立大学大学院医学研究科との共同研究等により、「みどりの香り」の疲労回復に関する効果について特許を取得。この特許成分を配合して芳香剤(水溶液)として商品化したのが同商品となる。香りを拡散させるボール型芳香器「IYASHIBALL」も同時に販売を開始する。「緑林の香り」芳香剤(水溶液)は、150mlで、価格は2,980円。「IYASHIBALL」芳香器は、4,980円となる。使用方法は、「IYASHIBALL」のタンクに水を入れ、目安として注水量1~3%の量(1回の使用目安は約5ml)の「緑林の香り」を入れて使用する。主な成分は、青葉アルコール、エタノール、界面活性剤、香料、パラベンとなる。
2014年03月31日日清食品ホールディングスおよび日清食品は3日、サンヨー食品および太平食品工業に対して、サンヨー食品の一部製品について、特許権侵害訴訟を大阪地方裁判所に提起した。同訴訟において、同社は特許権の侵害行為の差止と2億6,652万円の損害賠償を請求している。同社によれば、従来の即席麺は製造効率を高めるため、麺にウエーブを付けざるを得ず、そのため、そばやうどんなど、本来、真っすぐであるべき麺にもウエーブが付いていた。しかしながら、本件特許にかかる「ストレート麺製法」は、湯戻し時に麺同士がきれいにほぐれ、喫食時に真っすぐになる即席麺の大量生産を可能とし、滑らかな麺の「のどごし感」を味わえる革新的な製造技術であるとしている。同社はかねてからサンヨー食品と交渉を続けてきたが、残念ながら解決には至らず、やむを得ず提訴することとなったものであると説明している。なお、この訴訟提起による同社の業績に与える影響は軽微であるとのこと。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月04日ユニ・チャームはこのほど、大王製紙およびダイオーペーパーコンバーティングより提訴されていた特許訴訟に勝訴した、と発表した。同訴訟は、平成22年4月6日、大王より、同社製の紙おむつ「ムーニーマン スリムパンツ Big」および「ムーニーマン スリムパンツ L」が、特許第4197179号および特許第4463322号の2件の特許権を侵害するとして東京地方裁判所に提訴され、さらに同年10月25日、同一製品について特許4198313号の特許権の侵害を理由とする訴訟が追加提訴されたもの。これまで2年余りにわたって審理が続けられてきたが、11月30日、東京地方裁判所民事第47部(裁判長:高野輝久判事)は、大王の請求をいずれも棄却するとの判決を言い渡した。同社は今後も、製品開発にあたっては他社の知的財産権を尊重するとともに、自社の知的財産の保全と有効活用に努めていく、としている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月03日住信SBIネット銀行は24日、「SBIハイブリッド預金」の取引システムに関して特許を取得したと発表した。住信SBIネット銀行は、銀行取引に関するさまざまなシステムを開発しているが、このたび、SBIハイブリッド預金の特徴である、銀行口座における預金残高を証券取引などの資金に活用できる機能に関する特許を取得した。この発明は株式だけではなく、各種金融商品について取引を行う場合において、銀行と証券会社などの間におけるスムーズな資金決済処理の実現が目的。今回の特許登録により、住信SBIネット銀行の技術力の先進性を示すことができるとともに、SBIハイブリッド預金に関する独占的な権利を取得することができたとしている。登録番号特許第5080173号発明の名称資金前受制取引専用預金口座運用システム発明の要約顧客の預金口座の残高を資金前受制取引の商品買付余力に反映させる資金前受制取引専用預金口座運用システムSBIハイブリッド預金は、SBI証券における株式等の現物取引の買付代金や、信用取引における必要保証金・現引可能額に充当できる銀行預金(円普通預金)。この預金残高がSBI 証券の買付余力や、信用取引における信用建余力に反映されるので、SBI証券に入金する手間を省くことができる。なお、この預金残高は、SBI証券のWEBサイトでも確認できる。利用は顧客とSB 証券ならびに同社の3者による契約となる。また、通常の普通預金よりも好金利なだけでなく、特許に裏付けされる独自性の高い技術によって、証券・銀行間の振替の手間を省いた自動スィープ機能を実現し、より便利な資産運用ツールとしてすでに多くの顧客が活用している。資金の流動性を確保しながら堅実な運用を考えている人に向いているという。住信SBIネット銀行は、顧客に常に使ってもらえる「あなたのレギュラーバンク」を目指して、更なる利便性の向上と社会の発展に寄与する新しい価値の創造につとめていくとしている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月26日スワニーはこのほど、特許取得の四輪キャスター・湾曲ハンドルそのままに、軽量素材ポリカーボネイトを使用したスーツケース「スワニーハードキャリーL」「スワニーハードキャリーXL」の販売を開始した。1997年より「四輪キャスター」「支えるかばん」の日常使いを推奨し、累計51万台を販売してきた四輪ウォーキングバッグの専門メーカー、スワニーが新作スーツケースを発表した。重たい荷物を軽く運ぶという、一見簡単そうで、じつは非常に難しい課題を解決し続けてきた同メーカーならではの機能が搭載されている。「海外でも使用したい」「やはりスワニーのキャスターを使いたい」という利用者の要望に応え、開発されたとのこと。従来の60mm四輪キャスター+湾曲ハンドルに軽量素材を合体し、いままでにない快適な走行を実現。横に倒せば耐荷重は100kgまでとなる頑強フレームも採用した。サイズは100席以上の機内に持ち込み可能な4~5泊用のLサイズと、6~7泊も可能なXLサイズを用意。色はブラックと、さわやかなオレンジの2色を展開する。価格はLサイズが1万9,950円、XLサイズが2万3,100円。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月20日株式会社パテント・リザルトが、コンタクトレンズ関連技術について競合分析を行い、「特許総合力ランキング」の1位はJOHNSON & JOHNSON、2位NOVARTIS、3位メニコンと発表した。集計は、1993年から2012年2月末までに日本の特許庁から公開された関連特許2,448件を対象に、個別特許スコアリング指標「パテントスコア」をもとに行われ、特許の質と量から総合的にみた「特許総合力ランキング」が発表されたものである。上位各社の注目度の高い特許として、1位のJOHNSON & JOHNSONでは「遠近両用の老眼コンタクトレンズ」「酸素透過性に優れたシリコーンハイドロゲル素材のソフトコンタクトレンズ」など、次いで2位のNOVARTISでは「長期間装着可能で、酸素透過性や水透過性に優れたコンタクトレンズ」「親水性ポリマーでコーティングされた酸素透過の高いコンタクトレンズ」など、そして3位のメニコンでは「光学中心を鼻側に位置させることで瞳孔とレンズの中心が重なるようにデザインされた遠近両用老眼コンタクトレンズ」「角膜上での回転をより確実に防止することで安定した見え方や良好な装用感が得られ、安全に使用できるトーリックコンタクトレンズ」などが挙げられる。上記の3社のほか、COOPERVISION、BAUSCH&LOMB、東レ、シード、トーメー、HOYA、三井化学などの企業もランクインしている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年04月17日特許分析を行う株式会社パテント・リザルトは、このほど燃焼装置の安全制御関連技術について競合分析を実施。参入企業に関する調査結果を発表した。集計の結果、トップ3はリンナイ、パナソニック、ノーリツという結果となった。同社は1993年から2012年1月末までに日本の特許庁から公開された関連特許3,534件を対象に、個別特許スコアリング指標「パテントスコア」による評価を実施。特許の質と量から総合的に見た「特許総合力ランキング」を集計した。集計の結果、トップ3は1位リンナイ、2位パナソニック、3位ノーリツという結果に。以下、4位東京ガス、5位パロマと続く。リンナイが1位となった理由としては、CO濃度検出センサの耐用寿命の事前報知に関する「不完全燃焼検出装置」や、部分不燃を早期検出するための「湯沸器」など注目度が高い特許を取得していることが考えられる。2位のパナソニックは2007年に家庭用ガス機器事業から撤退したが、同分野での出願を近年も継続して行っており、引き続き注目度の高い特許が開発されていることから。3位のノーリツは組み込みシステムの異常に対する制御の2重化に関する「燃焼制御装置」などが評価された形となった。また、注目すべき企業としては、パーパス(旧高木産業)が上位にランクイン。同社は有効特許件数が13件と少ないものの、注目度の面でポイントを上げている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年03月25日