ソチ五輪金メダリストのフィギュアスケート・羽生結弦選手は、日本時間12月12日から14日まで開催されていたグランプリ(GP)ファイナル大会で、トータル288・16をマークして大会2連覇を達成した。11月の中国杯では試合前の公式練習で他の選手と激突し、頭部とあごから流血をするほどのアクシデントに見舞われた。その影響もあってか、GPファイナルもギリギリ6位で滑り込んだ。だが、SPで今シーズンの世界最高スコアとなる94・06をたたきだすと、フリーでは自己ベストとなる194・08をマーク。終わってみれば2位に30点以上もの大差をつけての圧勝で、完全復活を印象付ける勝利となった。フリーでは冒頭の4回転サルコウと4回転トゥーループを鮮やかに決め、GOEでも共に2点以上の加点を得る。体力の落ちる後半も3回転ルッツ-2回転トゥーループ、トリプルアクセル-3回転トゥーループなどのジャンプを次々と決めてみせる。最後の3回転ルッツのみ転倒してしまったが、それ以外はほぼ完璧な演技を披露した。「オペラ座の怪人」のファントムに自身を重ねてのステップや舞いも、プログラムコンポーネントで唯一90点台(91・78)をマークするなど高い評価を得て、自己ベスト更新につなげた。羽生選手はなぜ優勝できたのか。四大陸選手権4位などの成績を収め、現在は関西大学を拠点にコーチとして活動する元フィギュアスケート選手の澤田亜紀さんは、「攻めの姿勢」を貫いたことが奏功したのではないかと指摘する。「SPとフリー共にノーミスとはなりませんでしたが、フリーでは基礎点が1・1倍になる後半にトリプルアクセルを2本入れるなど、『守るのではなく、勝ちにいくための攻めの構成』と感じました」。6位でGPファイナルに出場した羽生選手は、自らを「挑戦者」と位置づけて大会に臨んだ。最後まで自分を信じて攻め抜いた気持ちが、プラスに働いた形になったと澤田さんは見ている。「ソチ五輪のチャンピオンとして今シーズンを迎え、非常に重圧がかかったシーズンインだったかと思います。中国杯では事故もありましたが、それを感じさせないような堂々とした演技でした。(GPファイナルは)シーズン初旬に予定していた構成より難易度を少し落としているとはいえ、五輪チャンピオンになってもなお、成長しようとする姿がこのような結果につながっているのではないかと思います」。けがからの復活劇を見せた羽生選手が次に見据えるのは、全日本選手権の表彰台。注目の大会は、12月26日より長野のビッグハットにて開催される。○取材協力: 澤田亜紀(さわだ あき)1988年10月7日、大阪府大阪市生まれ。関西大学文学部卒業。5歳でスケートを始め、ジュニアGP大会では、優勝1回を含め、6度表彰台に立った。また2004年の全日本選手権4位、2007年の四大陸選手権4位という成績を残している。2011年に現役を引退し、現在は母校・関西大学を拠点に、コーチとして活動している。
2014年12月16日仙台空港で11月1日~11月9日に、特別企画「羽生結弦氷上の飛翔展」を開催する。○羽生選手の衣装も展示同企画では、仙台市出身で2014年のソチオリンピックでは男子シングルで金メダルに輝いた羽生選手の魅力を紹介。同大会の軌跡や素顔を捕らえた写真パネルのほか、羽生選手が実際に使用した衣装などを展示する。期間中は10時から17時まで、ターミナルビル1階センタープラザで展示。入場無料。(c)能登 直
2014年10月14日ソチ五輪のフィギュアスケート男子シングルで日本人初の金メダルを獲得し、一躍「時の人」となった羽生結弦選手。この歴史的快挙は日本国内で大々的に報じられたが、海外ではどう報じられていたのかを検証すべく、まずはニューヨーク・タイムズ(NYT)の記事を紹介する。26日から始まる世界フィギュアスケート選手権大会までの間に、もう一度羽生選手がくれた感動の軌跡を振り返っておこう。NYTは2月14日付けの紙面で「Yuzuru Hanyu of Japan Wins Men’s Figure Skating Gold」とのタイトルで、羽生選手に関する記事を掲載。記事内では、羽生選手が東日本大震災で被災してから、ソチ五輪で金メダルに輝くまでの過程や心の揺れ動きが丁寧に紹介されている。○価値観を変えた震災、荒川静香さんの精神的サポート序盤は、東日本大震災と羽生選手の関係に触れている。震災の瞬間、羽生選手が地元・仙台のスケートリンクで練習していたことや体育館の緊急避難所で両親らと3日間過ごしたことなどを紹介。さらに羽生選手が自著「蒼い炎」において、震災が自身の価値観を完全に変えてしまったことを伝えている。記事はさらに、震災が羽生選手に与えた影響について掘り下げている。震災後に練習拠点を横浜へと移し、学校へ登校するのは難しいと感じていたこと、被災者に恩恵を与えられるようにスケートを滑っていたが、真剣にスケートをやめようと悩んでいたこと……。スケートをやめようという考えは、仙台市民や羽生選手の精神的サポートをしてきたトリノ五輪の金メダリスト・荒川静香さんによって改められたと記されている。○「オリンピックで勝ちたい」一時はスケートをやめようと悩んだ羽生選手が、五輪の頂点を目指すと明言したのは、ソチ五輪から遡ること約1年2か月の2012年12月。NYTによれば、グランプリ(GP)ファイナルでソチに来ていた羽生選手は、黒海付近を散歩している最中にブライアン・オーサーコーチにこう話したそうだ。「オリンピックで勝ちたい」。その強い信念が、ソチ五輪の男子シングルショートプログラムで101.45という世界最高スコアをたたきださせたのだろうか。記事によれば、1984年のサラエボ五輪で同種目の金メダルに輝いたスコット・ハミルトン氏も「羽生選手はとても爆発的だった。彼は最も難しいことを、とてもシンプルなようにやってのけた。これは本当に賞賛すべきことだ」と話したという。○悲劇が羽生選手の成長を押し上げたまた、オーサーコーチとともに羽生選手を指導するトレイシー・ウィルソンコーチは、震災が羽生選手を強くしたと指摘。ウィルソンコーチは「あの悲劇を経験したことによって、彼(羽生選手)はあの若さで成熟期に達した」と話しているという。実際、数字も羽生選手の成長を物語っている。2012年に初参加の世界フィギュアスケート選手権で251.06で3位になって以降、同年12月のGPファイナルで2位(264.29)、2013年12月のGPファイナルで1位(293.25)と、主要大会で表彰台にのぼりながら、スコアを着実に伸ばしてきているのがわかる。○五輪の金メダルは「出発点」特に2013-2014シーズンは、ソチ五輪前に参加した5つの大会(フィンランディア杯、GPシリーズスケートカナダ、同エリックボンバール杯、GPファイナル、全日本フィギュアスケート選手権)すべてで3位以内(1位3回、2位2回)と、圧倒的な強さをほこっていた。そして2月15日、五輪の金メダルという新たな勲章が羽生選手に加わった。記事はこの金メダルこそが羽生選手が前に向かっていくための「出発点」になると締めくくっている。逆境を乗り越えて金メダルを獲得した羽生選手が、次なる目標を目指して前を向き進もうとしている姿は、ニューヨーカーをはじめとする多くのアメリカ人の心にもきっと響いたに違いない。
2014年03月11日羽生結弦選手が2月15日、ソチ冬季オリンピック男子フィギュアスケートで金メダルを獲得した。それを記念し、Twitterユーザーが『ジョジョの奇妙な冒険』で知られる漫画家・荒木飛呂彦風に描いた羽生選手の似顔絵を投稿。ネット上で話題になっている。「金メダルおめでとう!羽生選手を荒木先生風に描いてみた」と似顔絵をTwitterに投稿したのは、「週刊少年ジャンプ」(集英社)の新人漫画賞を受賞した経験があるというTAKUMI。タッチだけでなく、衣装やポーズ、そして傍らに立つ羽生選手が大好きなあの熊のキャラクターまでジョジョ風にアレンジされている。ネット上では「野生の公式」「本人かと思った」「眼福」と絶賛の声が相次ぎ、18日現在、4万以上リツイートされている。その後、別のユーザーが投稿した人気ゲーム「ダンガンロンパ」風の羽生選手の似顔絵も話題を呼んだ。スリムなスタイルで「二次元っぽい」と大評判の羽生選手だけに、何かクリエーター達の創作意欲を刺激するものがあるようだ。
2014年02月18日7月に開催される真夏のアイスショー「LOTTE presents THE ICE(ザ・アイス) 」に2012年世界選手権銅メダリストの羽生結弦やジェフリー・バトル、ジェレミー・アボット、無良崇人らが出演することが新たに決まった。THE ICE(ザ・アイス)のチケット情報6年目を迎える本公演は、今年も浅田真央を中心に国内外から世界で活躍するトップスケーターたちが集結する。ハイレベルな技と優雅なスケーティングを披露するだけではなく、参加スケーター同士がオリジナルのコラボレーションをしたり、グループナンバーを滑ったりと、趣向にとんだプログラムで構成される。主な出演者は以下のとおり。浅田真央 / 村上佳菜子 / 小塚崇彦 / 羽生結弦 / 無良崇人 / ジェフリー・バトル / ハビエル・フェルナンデス / ジェレミー・アボット / アリョーナ・レオノワ / 長洲未来 / アデリナ・ソトニコワ / 高橋成美&マーヴィン・トラン / メリル・デイヴィス&チャーリー・ホワイト / マイア・シブタニ&アレックス・シブタニ本公演は、7月21日(土)・22日(日)愛知・愛・地球博記念公園 アイススケート場、7月24日(火)・25日(水)栃木県立日光霧降アイスアリーナ、7月28日(土)・29日(日)大阪市中央体育館にて開催される。チケットは5月26日(土)より一般発売。なお、チケットぴあでは、5月14日(月)11時から16日(水)11時まで愛知公演、5月15日(火)11時まで大阪公演、5月16日(水)11時まで日光公演の先行抽選(プレリザーブ)を受付中。
2012年05月11日