1983年生まれ。横浜国立大学卒業後、テレビ番組制作会社に就職。出産を機に退社し、家事と育児の大変さに戸惑いながらも、いろいろな人との出会いに救われながら、子どもたちはすくすくと育っている。休みの日は子どもとお菓子を焼いてのんびり過ごすのが好き。趣味は読書とウクレレ。
小学生になると、子ども同士で遊ぶ約束をして帰ってくることがあります。でも「待ち合わせ」は、じつは難易度が高いお約束。ママも、子どもも安心できる、家庭での 「待ち合わせルール」 を作りましょう。 ■子どもにとって冒険と希望に満ちた「待ち合わせ」 友だちと待ち合わせをするということは、子どもにとってちょっぴり大人になったみたいで、うれしさいっぱい。学校などで、ご機嫌で約束してきちゃいます。 しかし、子どもが小さいうちは、待ち合わせの内容自体がきちんと決められていなかったり、時間や待ち合わせ場所もいい加減だったりして、友だちと会えないということが起こりがち。そうすると、ひとり遊びをすることになったり、友だちに迷惑をかけてしまったりと、危険が伴ってきます。 待ちぼうけすることも、子どもにとっては貴重な体験のひとつになるかもしれませんが、現代では、外で長い時間ひとりで過ごすことは、やはり避けたい事態です。待ち合わせをする前のお約束と、待ち合わせしたときのお約束を決めるルールについて紹介します。 ■待ち合わせをするために子どもと約束すること 低学年のうちは、子ども同士で待ち合わせをさせないというご家庭は多いかもしれません。その場合には、子どもにも「子ども同士で待ち合わせはしてはダメ」ということをきちんと伝えておきましょう。 しかし、適正な時期を親がみながら、待ち合わせして遊ぶことを許可する場合には、事前に次のことを子どもと確認しあいましょう。 (1)遊び相手の親と確認してから遊ぶ 待ち合わせ場所、時間などをお互いの親同士で確認できるので、とくに子どもが小さいうちは、連絡先がわかっていると安心です。 子どもには、約束する前に「帰ってから遊べるか、ママに聞いてから電話するね」とお友だちに伝えるように言っておきましょう。子どもは、習い事などの予定が入っているのを忘れて約束してきちゃうことも多くあります。 そのためにも子どもが仲良くしているお友だちは、家庭でも把握しておくことが大切。学校のイベントなどで会ったときに、あいさつをして、「〇〇ちゃんと学校以外でも遊びたいと言っているので、もしよろしかったら連絡先を交換させていただけませんか?」と連絡先を聞いておきましょう。 小学生になると保護者同士で顔を合わせる機会も少なく、働いている人とのコンタクトは難しいこともあります。確認が取れない場合は、ほかの日に改めさせるのが無難です。万が一何かあったときに責任問題になってしまうので慎重に対応しましょう。 (2)待ち合わせの場所を決める 遊び相手によって、待ち合わせする場所を事前に決めておきましょう。待ち合わせ場所は、次のようなところを選んであげましょう。 ・お互いの家からなるべく同じくらいの距離 ・お互いに確実にわかる場所 ・人目につく安全な場所 なるべく具体的に設定するのがポイント。「学校の前」だと門が複数ある場合もあるので、「学校の正門の前」というようにピンポイントで決めさせることが大切です。 ■子ども同士で約束をしてきたら4つのポイントを確認 事前に親に確認することをルールにしていても、「遊ぼう!」といわれたら、待ち合わせをしてきちゃうこともあります。そんな場合には、親が子どもと次の4つをしっかり確認しましょう。 <待ち合わせの確認ポイント> (1)待ち合わせの場所と時間 (2)相手の名前 (3)待ち合わせ後の遊ぶ場所 (4)帰る時間 子どもが待ち合わせの場所に向かう前に、相手の親に電話してもう一度、<待ち合わせの確認ポイント>をお互いに確認しあいましょう。 ■待ち合わせ場所で会えなかったら 待ち合わせ場所にひとりで行かせるときは、何かあったときにすぐに連絡できるよう携帯電話や連絡先のメモを持たせ、念のため防犯ブザーも携帯させましょう。 低学年の子が初めて遊ぶ相手の場合は、できれば親も待ち合わせ場所に行って相手の顔を確認しましょう。一緒に行かれない場合は、万が一相手と会えなかった場合のルールを決めておきましょう。たとえば、「3時になってもお友だちが来なければ、家に帰ってきてね」といったふうに。 もし、子どもが会えなくて家に戻ってきた場合や、待ち合わせ場所に相手の子がなかなか来ない場合には、途中で事件や事故に巻き込まれた可能性もあります。相手の親に電話で確認する、もし家の場所を知っているのであれば、行ってみるなどしてみましょう。 ■放課後遊び場事業って? 海外では大きい子でも、子ども同士が外で遊ぶときは必ず大人がついていくといいますが、日本はまだそこまで徹底している家庭は多くはありません。ですが、不審者情報や連れ去り事件などの報道を見ると不安になってしまうものです。 最近は、各自治体が学校や児童館などで「放課後児童クラブ」(放課後児童健全育成事業)(注)を行っているところがあります。学童保育の子どもだけでなく、すべての子どもが自由に参加できる事業で、運営スタッフによる管理のもと専用ルームや校庭、体育館などで放課後遊ぶことができます。 地域によって内容は異なりますが、映画会や昔遊び、工作ワークショップといったイベントを定期的に開催しているところが多いようです。学校の中で行われるこうした事業は安心して子どもだけで参加させられるので、 大人が家にいない日など子ども同士で遊ぶときは活用するとよいでしょう。 子どもがしっかり待ち合わせできるようになれば、安全性も少しは高まります。待ち合わせのルールをしっかり確認して安全に待ち合わせできるように教えておくことで、人との約束を守ることの大切さもしっかり伝えられるでしょう。 (注)「放課後児童クラブ」(放課後児童健全育成事業)とは 文部科学省と厚生労働省が実施する「放課後子ども総合プラン」の中の一事業です。 学校と地域でつくる「 学びの未来 」
2016年12月08日近年 偏平足 や 外反母趾 になる子どもが増えてきたことで、様々な観点から子どもの足を育てることの重要性が見直されています。そんな 「足育(そくいく)」 について、今回は 幼児期に意識したい習慣と、遊びながらできる足裏を鍛える方法 を紹介します。 ■幼児期に歩く習慣をつける 小さな子どもと一緒に道を歩くのは、けっこう大変。安全性や効率を考えて、道路では自転車に乗せてしまうという方も多いでしょう。しかしそうするうちに、 気づいたらわが子はほとんど歩いていなかった ということも。 子どもの足の成長を考えると、ふだんの買いものや習いごとの合間に歩いてみたり、1日10分でもよいので家の周りを散歩してみるなど、意識して歩く時間をつくることが大切です。散歩をすると近所の人と顔見知りになったり、歩くことで今まで見過ごしていた小さな発見を楽しめたりもします。 とくに小さな子どもの散歩は、歩かせることだけを目的にせず、立ち止まって花や虫をながめることも大事。 散歩の時間が苦痛になってしまうと逆効果 になるので気をつけましょう。 ■遊びながらできる足裏を鍛える方法 家の中であれば、足裏を鍛えるためのちょっとした遊びやかんたんな体操で、日常的に子どもの「足育」を促すことができます。 1、足指じゃんけん 足の指をぎゅーっと曲げてグー、指を大きく広げてパー。親指を大きく反らせてチョキをつくり、じゃんけんぽんをしましょう。 2、芋虫歩き 両足の指を同時に曲げ伸ばしして、ずるようにちょっとずつ前に、芋虫のように進みます。速さを競い合うとより楽しめます。 1.スタートラインと約50cm離れたところにゴールラインを決める。 2.スタートラインにあわせてまっすぐに立つ。 3.「スタート」の合図で足の指だけを曲げ伸ばしし、少しずつ前に進む。 4.先にゴールに着いたほうが勝ち。 3、タオル寄せ 1.椅子に座り、タオルの上に足をのせる。 2.指を曲げ伸ばしてタオルを自分の方に引き寄せる。 3.はじめにタオルを全部引き寄せた人が勝ち。 4、足指つな引き 1.足を前に伸ばした状態で、二人で向かい合って座る。 2.約60cmのひもを結んで輪にしたものを用意する。 3.ひもを両者の親指にひっかけ、適度に張るように距離をあけて座る。 4.「よーいスタート」の合図でひもをひっぱり合う。親指と第2指でひもを挟んでひっぱってもよい。 5.指からひもが外れたほうが負け。 5、足指体操 ポイントは、足指の付け根にしっかりと手の指の付け根を差し込むこと。指の間がしっかりと開くことで、一時的に足裏のつかむ力がアップします。女性のむくみにもよいそうなので、寝る前などに親子でリラックスしてやってみましょう。 1.足の指と手の指で握手をする。 2.握手をしたまま、ゆっくりと反らせて5秒数える。 3.握手をしたままゆっくりと曲げて5秒数える。 4.2と3を交互に何回か繰り返す。 とくに「足指じゃんけん」と「足指体操」は毎日できるほど手軽なので、1日1回習慣づけることをおすすめします。足の指がしっかり開くことにより、足指にちゃんと力を入れられるので、他の遊びを始める前にとりいれてもいいですね。 さらに足裏の力を鍛えるには、やはり鬼ごっこ系の「走る」遊びもよいといわれています。ダッシュで走り抜ける、急に止まって向きを変えるなどの動きによって、足の指で踏ん張る力、蹴り出す力が鍛えられますので、日中は外遊びの時間も大切にしましょう。
2016年10月09日夏休みの自由研究、今年も悩みの種になっていませんか? 自由研究のテーマをなかなか決められないという子には、調べ学習の基本を教えてあげると、スムーズに進められるかもしれません。今回は、夏休みの自由研究のテーマ選びに役立つ、図書館での下調べのやり方について紹介します。 図書館は知りたい情報を調べられる学術機関 まず、調べもの用のノート一冊と、筆記用具を持って、近くの図書館に行ってみましょう。たとえば、宇宙について調べたいと思ったら、まずは宇宙の本のコーナーに行って、目についたものを数冊めくってみますよね? 実は、宇宙のコーナーに行くより先に、格段に調べ物がやりやすくなる場所があるのですが、どこだかわかりますか? それは、子ども向けの百科事典のコーナーです。 意外と思われるかもしれませんが、百科事典を活用すると、とても効率的に調べていくことができます。子ども向けの百科事典のコーナーがわからなければ、図書館の人に聞いてみましょう。 百科事典を活用して、知りたいテーマをしぼろう (1) 言葉の「定義」をおさえよう 百科事典は分冊になっているものと、一冊でまとまっているものがあります。普通の事典と同じようにあいうえお順に言葉が並んでいるので、「う」のページから「うちゅう」を探します。 すると宇宙の意味=定義が分かるのです。定義は、その言葉の意味が簡潔にまとめられているエッセンスなので、ここをしっかりおさえるとぐっと理解が深まります。 (2) 知らない言葉をどんどん調べて解説文を理解しよう 定義のあとは詳しい解説が続きます。文章が理解できないときは、サポートしましょう。 わからない言葉、もっと知りたい言葉があれば、また百科事典でひいていきます。たとえば「銀河系」をひい、次に「銀河」を読んだら、その中で出てきた「うずまき銀河」という言葉が気になったので…。といったように、次々に言葉をひいていくと、「銀河系」とは何なのか、だんだん理解が深まって具体的な情報が集まっていきます。 (3) 調べものノートを作ろう 調べた言葉とその意味は、ノートに書きためていきましょう。長い解説文や図解などのページは、図書館のコピー機でコピーをしてノートに貼り付けるといいでしょう。始めての場合は、申請のやり方なども教えてあげましょう。 だいたいノートに情報がまとまったら、解説文をよく読んで、気になる言葉をマークしていきます。たとえば、「宇宙」の解説のページには、星団、星雲、宇宙のはじまり、宇宙ステーション、宇宙探査機といったさまざまなテーマがならんでいます。 このように百科事典は、ひとつの事柄についての大まかな重要項目が見渡せるので、研究のテーマを選ぶのにとても便利なのです。 たとえば、星座について調べようと思えば、星に関する本を当たってみる、やっぱり、宇宙のはじまりが気になる、と思えばそれについて書かれた本、というように、テーマを絞って本から情報を探すことができます。 百科事典のあとは、詳しい本で情報を集めよう 百科事典で調べた後は、より詳しく調べるために、専門的に書かれた本から詳しい情報を探します。 ほしい情報がどの本に書かれているかわからない場合は、図書館の職員の方に聞いてみましょう。そこにない場合は取り寄せてくれたり、より詳しくわかる施設を教えてくれたり、いろいろな情報を提示してくれますので、ぜひこの機会に活用しましょう。時間のある夏休み、一日じっくり図書館で過ごすつもりで、ネタ探しに行って見ませんか。
2016年08月01日前回 に続き、子どものための防犯術です。今回は、子どもが不審者から逃げきるために知っておきたいことをご紹介します。逃げ切るためには何m走れば助かるのでしょう。10m? 20m? いやいや30m? さて、何mだと思いますか? ■犯罪者は何m追いかけるとあきらめる? 「怪しい人がこっちに向かってきた! 周りに誰もいない!」というピンチのとき、子どもが、走って追いかけてくる大人を振りきるにはどうしたらいいのでしょうか。 ある調査で、犯罪者が子どもを狙って犯罪におよぶ際の、やる気と距離の関係を調べた結果、次のようなことがわかったそうです。(注2) 始めの4mまでは「やる気」が続き、8mを過ぎると「無理かな」という気持ちが生じ、さらに10mを超えると「がくっ」とやる気が落ち、16m前後で「ダメかな?」と思い、20mで「ダメだ」と完全にあきらめる傾向があるのだとか。 つまり、 20m走り抜けることができれば、犯罪者から逃げきれる 、というわけです。 ですが、子どもが大人につかまらずに20mも走り抜けることってできるのでしょうか。 実は、ある条件があれば、可能になることがわかっています。 小学2年から中学2年までの子どもを対象に、最初に犯罪者役の大学生との距離が何メーあれば20m逃げきれるか、という実験を重ねたところ、 すべての年齢で、犯罪者と対峙する4m手前から走らなければ逃げきれない ということがわかりました。 ランドセルやかばんを持っている場合は、6mの距離が必要で、それより近い場合は持っているものを道に投げ捨てて、全力で走らなければ追いつかれてしまうということです。 (注2)『犯罪からの子どもの安全を科学する~「安全基礎体力」づくりをめざして~』(清永賢二:監修/清永奈穂・田中賢・篠原惇理:著/ミネルヴァ書房) ■20m走り抜ける訓練をしてみよう ぜひ一度、子どもと20m走り抜ける訓練をしてみましょう。 まず、4mの距離を体感するために、外で4m離れて向き合ってみましょう。 大人の歩幅でだいたい7~8歩。そこから両者が1歩ずつ離れると約6mです。 「怪しいな」と思う人とすれ違うときは、この距離より近づかないことが大切です。道幅が狭く、この距離が取れない場合は、来た道を戻る勇気も必要です。 大人が不審者役になって、子どもが20m逃げきれるか走ってみましょう。 逃げたら近くにいる人に助けを求めるところまで訓練しておくと、実際に何かあったときに迷うことなく行動できるでしょう。 ■怪しい人ってどんな人? 何かされる前に、怪しい人かどうか見極めるために、次の行動に当てはまる人がいたら要注意。怪しい人の特徴を確認しましょう。 <怪しい人の5つの特徴 「はちみつじまん」> ・知らないのになにかと は なしかける人、 ・理由もないのに ち かづいてくる人、 ・あなたがくるのを道のはし(車のそば)でじっと み つめてくる人、 ・いつでも、どこでも、いつまでも つ いてくる人、 ・あなたがくるのを じ っと ま っている人、こういう人に会ったら、 ん !?と注意 (清永奈穂・清永賢二『犯罪からの安全学習ノート』より) ■怪しいなと思ったら…ためらわない、間違いを怖れない、すぐに大人に話す なにか危害を加えられたときは、すぐに助けを求めに行くと思いますが、ただついてくる、じっと見てくる、といったことだけだと、助けを求めていいかどうか、ためらってしまうかもしれません。 しかし、何かが起こってからでは遅いというもの。少しでも怪しいときは、ためらわずに助けを求めるよう、話しておきましょう。 また、間違いを怖れて、「防犯ブザーのひもを引けない」「大声を出せない」ということもあるかもしれません。間違ってしまったら、「すみません」と丁寧に謝ればすむ話です。必要なら親も謝りに行きましょう。 じっと見られた、つきまとわれた、体をさわられた、という被害にあっても、警察に通報しない場合が多いといわれています。怖くて話せなかったり、怒られるんじゃないかと心配したり、恥ずかしいと思ったりして、家族に話せないこともあります。 「たいしたことじゃない」と思っても、大きな事件を防ぐためにも、子どもの様子が変だなと思ったら、しっかり聞き出しましょう。「怖かったね」「よく頑張ったね」と声をかけて、安心させてあげることが大切です。 さらなる犯罪の予防のためにも、なるべく学校や警察に連絡して、地域で情報を共有しましょう。 参考: 親子で身につける防犯術 おそわれたらどうする? | 子育てに役立つ情報満載【すくコム】 | NHKエデュケーショナル
2016年07月13日もうすぐ夏休み。小中学生は塾や習い事に行ったり、友達同士で遊びに出かけたり、子どもだけで外出する機会が増えますよね。楽しいことがたくさんある時期ですが、犯罪などに巻き込まれる危険も高まります。いま一度、子どもの安全対策を見直してみましょう。 ■衝撃! 防犯ブザーは2%の子どもしか使えていなかった 子どもだけで出かけるとき、ほとんどのお家では防犯ブザーや携帯電話を持たせていますよね。でも、現実に危険な場面に遭遇したとき、きちんと使えているのでしょうか? 子どもの危険と防犯ブザーの使い方に関する、気になる調査結果があります。それは、 危機に遭遇したときに防犯ブザーを持っていて、実際に「ブザーを鳴らした」子どもは、わずか2%だった というもの。 最近は小学校入学と同時に防犯ブザーを配っている自治体が多く、低学年のうちはほとんどの子が持っていますが、高学年になるにつれて持たない子が増えています。また、学校以外のときは、つい持たせるのを忘れてしまう、という人も多いかもしれません。 前述の調査によると、「その時ブザーを持っていなかった」は69.9%、ブザーを持っていて「ブザーを鳴らそうと思った」は13.9%、「ブザーを鳴らそうとは思わなかった」が16.1%という結果が出ています。(注1) つまり、大半の子どもは危機に遭ったときに防犯ブザーを持っていないか、持っていても、鳴らそうと思わなかった、鳴らそうとしたが鳴らせなかった、ということになります。 (注1)『犯罪からの子どもの安全を科学する~「安全基礎体力」づくりをめざして~』(清永賢二:監修/清永奈穂・田中賢・篠原惇理:著/ミネルヴァ書房) ■防犯ブザーを使いこなすために確認したい3つのこと 防犯ブザーは、周囲に危機を知らせるだけでなく、大きな音で相手をひるませ、その隙に逃げるために利用できるという、正しく使えばとても頼りになる防犯アイテムです。せっかく持っているのに、いざというときに利用できないのは残念なこと。 この機会に、とても基本的なことですが、次の3つのことを確認しておきましょう。 <防犯ブザーを使うために確認したい3つの基本> 1.壊れていないか 防犯ブザーはランドセルやかばんの外側につけていることが多く、常に雨風にさらされっぱなしなので、ぶつかったり水に濡れたりして壊れてしまうことも多々あります。月に1回は、きちんと作動するかどうか確認しましょう。 2.電池が切れていないか 多くの防犯ブザーは電池式なので、当然、電池が切れていたら鳴りません。また、電池が少ないと音量が小さくなって、効果が薄れてしまいます。ときどき確認しましょう。 3.すぐに鳴らせる場所に取りつけているか すぐに鳴らせる位置になければ、いざというときに使えません。上着のポケットやズボンのベルトなど、とっさに手の届きやすい位置に取りつけましょう。よく携帯電話を首からひもでさげている子をみかけますが、逃げようとしたときにひもをひっぱられたり、首を絞められたり、凶器になる危険が。首から下げるのはなるべく避けましょう。 ■防犯ブザーを使った防犯訓練をしてみよう 突然知らない人に追いかけられたり、抱きつかれたりしたら、大人でも恐怖で声が出なくなったり動けなくなったりしますよね。 危機に遭ったとき、とっさに防犯ブザーを鳴らせるようにするために、大人が不審者の役になって、こんなシミュレーション訓練をやってみましょう。 1.子どもは防犯ブザーを作動させやすい位置につけて歩く。 2.大人が不審者役になり、木の陰などに隠れる。もしくは背後から近づく。 3.大人は子どもにつかみかかろうとする、子どもは逃げる。 4.子どもは防犯ブザーを鳴らし、助けを求める。 警察署による学校などでの防犯教室では、不審者から逃げる訓練はやっても、防犯ブザーを実際に使っての訓練はほとんどされていません。休みの日に広い公園などに行って、やってみてはいかがでしょう。 大きく「訓練中」と書いた紙を貼って訓練するなど、周囲の人に訓練であることがわかるようにしておくと、間違って通報されてしまう心配がないですね。 ■いざというときは大人に頼って 子どもとこうした訓練をするときは、ただ怖がらせるのではなく、基本的には安全が守られている、と伝えることも大切です。知らない人はみんな怖い、と思い込んでしまうと、周りの人に助けを求めづらくなってしまうかもしれません。 普段から、ちょっとでも「怖いな」「怪しいな」と感じたら、すぐに大人に相談できる環境をつくっておきましょう。次回は、怪しい人に遭遇したときに、逃げきるための距離などについて紹介します。
2016年07月13日もうすぐ父の日。ついつい毎年同じようなものになりがちという方も、贈り物に毎年悩む…という方にも、このコラムがちょっと役立つかも。プレゼントを渡す相手に感謝されるだけでなく、地震で困っている人たちにも少しだけ力になれる、そんな贈り物を探してみました。 ■いろいろ選べる特産品ギフトがすごい! 熊本の食材を楽しめる復興支援セット 熊本といえば、馬刺し、からしレンコン、芋焼酎など、おいしい特産品が有名ですね。 なかでも今回地震の被害が大きい阿蘇地方は、農業や酪農がさかんな地域です。「熊本阿蘇の逸品ネットショップASOMO」で販売されている「阿蘇復興支援セット」は、バラエティに富んだ特産品のセットです。乳製品やハム・ベーコン、高菜漬けからスイーツまでさまざまなセットがあり、パラグライダーや乗馬体験セットというアクティブな思い出作りのできるセットまであります。 実はこの「阿蘇復興支援セット」、購入すると被災した店舗の売り上げになるだけでなく、売り上げの一部が倒壊した阿蘇神社に寄付されるという寄付金付きのセットなんです。阿蘇のシンボルともいえる阿蘇神社ですが、宗教団体なので公的資金を使って再建することができずに困っているそう。阿蘇のおいしい特産品を食べることが、阿蘇神社の再建へ協力することにもつながります。 このほかにも、「道の駅 阿蘇」が販売している「阿蘇復興応援 特産品セット『Hand in Hand~手に手をとって~』」もインターネットで購入できます。こちらも、さまざまな生産者を、買い物を通じて支援できるセットになっています。 ラーメン好きのお父さんには、熊本を代表するラーメン店、味千と桂花による復興支援セットもおすすめです。売り上げの一部が熊本地震義援金に寄付されます。 ・ 熊本 阿蘇の特産品、通販 ネットショップ - ASOMO ・ 阿蘇復興応援特産品セット販売のお知らせ – 道の駅 阿蘇 ・ 【楽天市場】キャンペーン > 熊本地震 復興支援セット:味千拉麺 通販事業部 ■夏のおしゃれな室内履きに セミオーダーできる、ふっくら布ぞうり 食べ物以外でも、復興支援になるプレゼントは、まだまだあります。 熊本ではありませんが、東北もあの未曾有の震災から5年経つものの、被災した人たち全員の暮らしが元に戻ったわけではありません。 陸前高田・南三陸・石巻・東松島を拠点に、仮説住宅などに住む女性たちが活躍する「ふっくら布ぞうりの会」では夏に向け、室内履きとして重宝しそうな布ぞうりを製作・販売しています。さらりとしていてべたつかず、指を開くので健康にもよいと話題です。 「ふっくら布ぞうりの会」で販売している、「しじら織り」シリーズは、おしゃれなお父さんにぴったり。セミオーダーなのでサイズも細かく注文できます。現在、6月5日までの注文で6月19日の父の日に間に合うように送ってもらえるとのこと。お父さんだけでなく、お母さんにも色違いでプレゼントすると、さらに喜ばれるかもしれませんね。 ・ ふっくら布ぞうりの会 ■男性でもトライしやすい! 歴史を感じる会津木綿のストール ストールというと、抵抗感のある男性もいるかもしれませんが、会津木綿のストールなら、初めてトライする人にもおすすめです。 会津木綿の歴史は古く、400年前から伝統工芸品として脈々と受け継がれてきました。丈夫で保温性、保湿性、放熱性にすぐれ、日常着として古くから愛用されてきた質の高い木綿。東日本大震災をきっかけに、地元の若者が復興のために何かできることを…と始めた事業で、原発事故で避難してきた住民たちなどが作り手として活躍しています。 季節の変わり目や真夏や真冬などにも、タイミングを問わず長く愛用できそうなストール。会津木綿のストールを男性にも、ぜひ巻いて楽しんでほしいですね。 ・ IIE | 会津木綿を中心に会津の伝統素材を使って商品を製作・販売しています 「震災によってこれまでの生活を失った人たちが、自立して生活できるよう、製品を買う」というのも大切な支援です。父の日のプレゼント選びをきっかけに、熊本や東北などの被災地の生産者の方たちと、買い物を通して交流が広がっていったら嬉しいですね。 ※すべて2016年5月23日時点の情報。品切れ、販売終了の場合はご容赦ください。
2016年06月03日毎日使うダイニングテーブル。長く、大切に使いたいと思っていても、小さい子どもがいると、気がついたらテーブルや椅子に落ちない汚れが…なんて悲しい思いをしたことのある人もいるでしょう。 そこで今回は、子どものいる家庭でも木製のダイニングテーブルをきれいに使うために、知っておきたいことをまとめました。 ■「木製のダイニングテーブル」と言ってもピンからキリまで ひとくちに「木製のテーブル」と言っても、値段も種類もピンからキリまであるので、何を基準に選ぶかはとても大切です。 長く使えるものを選ぶのにも、利便性や低価格を重視するにしても、木材の加工方法についてちょっとした知識があると選びやすいかもしれません。 外から見ると同じに見えても、表面から芯まですべて同じ木でできているものと、表面と中が違う木でできているもの、人工素材に紙を貼ってあるものなど、加工の仕方も様々です。まずは、品質表示を確認してみましょう。ここでは、代表的なものを紹介します。 ■知っておきたい、家具の素材と仕上げの基礎用語 ・無垢材/集成材(天然木) 無垢材も集成材も、素材の種類のことです。一本の木から切り出した「無垢材」は、値段はやや高めですが、使うほどに味が出てきて長く使えると人気があります。一方、一枚板ではないブロック状にした木を接着して仕上げた「集成材」は「天然木」などと呼ばれ、無垢材と区別されます。無垢材は一枚板なので反りが出るなど、不安定な面もあります。 ・突き板(天然木化粧版) 一般に販売されている家具の素材で一番多いのが、突(つ)き板です。突き板というのは、ベニヤ板や人工素材に、天然木を薄くスライスしたシート状のものを貼った合板のことで、天然木化粧板とも呼ばれます。無垢材などに比べて価格が安く、軽くて扱いやすいといった利便性があります。 ・オイル仕上げ、ワックス仕上げ 無垢材や集成材を使ったテーブルの場合、木の風合いを生かすため、植物性のオイルや天然成分のワックスなどで仕上げるのが一般的です。天然成分なので、薬剤の使用を心配する方にも安心です。ただし、定期的にオイルを塗るなど多少のメンテナンスが必要で、水や熱に弱いため、熱いものを直接置いたり、濡れたままにしたりすると染みになることがあります。 しかし、傷がついても柔らかいやすりで削るなど、自分で手入れができるので、傷も家族の思い出として長く大切に使いたい方におすすめです。 ・ウレタン塗装 ウレタン塗装(ポリウレタン樹脂塗装も同じ意味)仕上げというのは、木の表面に薄くて固い樹脂の膜を作るもので、光沢が出て傷や汚れがつきにくく、熱や水にも比較的強いとされています。普段の手入れはから拭き程度ですが、いったん傷がつくと素人では補修が難しいため、「ある程度使ったら買い換えよう」という方におすすめです。 こうした塗装は鉛筆などの汚れを消しゴムなどで消すと、くもりが出てしまうこともあり、注意が必要です。汚れを拭くときは水で薄めた中性洗剤を雑巾に浸してしぼってから拭くなど、手入れ方法を確認しておきましょう。 ■ダイニングテーブルを長く、きれいに使うために気をつけたいこと さきほど紹介した素材や仕上げ方法によって、気をつけるポイントは少しずつ違いますが、小さい子どもがいる家庭では特に次のような点に気をつけると、より長く使えるでしょう。 1.子どもの作業机は別のテーブルを用意する 工作やお絵かき、自由にやらせてあげたいけれど、鉛筆の削りかすや、のり、セロハンテープなどで予想以上に汚れてしまったり、はさみやカッターなどで傷つけてしまったりするかもしれません。できれば、作業机は別の場所を用意してメリハリをつけたほうが、食事にも集中できるでしょう。 2.マットやクロスを敷いて熱や水、傷などから保護する 木のテーブルは熱や水に弱く、熱で浮き上がったり、水で染みができたり、塗装がはげたりする原因にも。しかし、1枚マットを敷くだけで、それらの傷や汚れを防ぐことができて安心です。テーブルクロスだと危ないので、ランチョンマットなどを置くのがおすすめです。お気に入りのマットがあると食事の気分も上がりますね。 3.テーブルの上にものを置かない ついつい何でも置いてしまいがちですが、テーブルの上が散らかっていると思わぬトラブルを招きます。濡れていたところに新聞や雑誌などを置いてくっついてしまうこともあるでしょう。そうしたことが起きないよう、常にテーブルの上を片付けておくことも、長く使うための大切なポイントです。 リビングの顔ともいえる、ダイニングテーブル。ちょっとしたことに気をつけるだけで、長くきれいに使えると思います。この機会に使い方を見直してみてはいかがでしょうか。 参考:『家具の教科書(オレンジページムック オレンジページやさしい実用ブックス)』
2016年05月12日■「出生率2」を維持する国フランス 社会保障の手厚い欧州の中でも、ひときわ高い出生率を維持するフランス。 出産を機に仕事をやめる人は少なく、2人、3人育てながら、仕事を続ける女性がほとんどなのだとか。一方で、子どもができたら仕事を続けることを断念せざるを得ない女性が大勢いて、出生率の低下が問題視され続ける日本。一体、何がそんなに違うのでしょうか? ■フランスでも保育園は足りていない 「女性が働いていると、出生率は低下するんじゃないか」と思うかもしれませんね。1980年代まではたしかにその傾向があったそうですが、2000年以降その関係は逆転。働く女性が多い国のほうが出生率も高い傾向があると報告されています。(フランス政府諮問機関の報告書より) 0歳児から保育園に預けるなんてかわいそう。せめて1歳までは母子の時間を大事にしたい。 日本ではそう考える人が大半ですが、フランスでは「母親だけに育てられるより、いろいろな人の手で育てられたほうが赤ちゃんの成長にプラス」と考えるほうが主流だといいます。生後3ヶ月で母乳からミルクに切り替えて職場復帰する人も少なくありません。 それゆえ保育園に預けやすい環境が整っているのかと思いきや、意外にもフランスでも保育園は足りていないのだとか。利用者が多いこともあり、全体の2割ほどしか保育枠がなく、受け皿の拡大が急がれています。 都市部では共働きでもなかなか入れないほど競争が熾烈なので、保育園に預けられない人は、保育ママや自宅に来て子どもの面倒をみるヌヌ(ヌリス、直訳すると乳母)、ベビーシッターなどを探して預けています。2歳までに預けられる子どものうち、5割以上が保育園以外に預けられているそうです。時短勤務で仕事を再開することもできるので、週3日だけ働いたり、ほかの家庭とシェアしたりして、保育費を安く抑える工夫をしているようです。 保育費の支払いには、所得に応じて保育手当が支給されるほか、6歳未満の子どもの保育費の50%が税控除されるので利用しやすいしくみになっています。 ■3歳から希望者は全員無料で幼稚園(保育学校)に といっても、預け先探しに大変な思いをするのは、2歳まで。3歳からは公立のエコール・マタネール(保育学校)というプリスクールに、誰でも無料で入ることができるからです。 義務教育ではありませんが、小学校と同じ敷地内にあり、朝8時半から2時間の昼休みを挟んで、午後4時半に終わります。さらに延長保育が午後6時まであるので、長時間働くことが可能になります。フランスでは水曜日は学校がお休みなのですが、学校で預かるしくみも整っているようです。 日本と違って、小学生でも送り迎えは大人が付き添わなければいけないので、フルタイムで働く人は時間のやりくりが大変で、ベビーシッターが活躍することも。ですが、小学校と保育学校が同じ敷地内にあるので、兄弟が別々に通っていても、送り迎えが1箇所で済むのは便利なようです。 ■大学まで教育費がほとんどかからない 日本では、小中高と公立でも、塾など学校外での教育費も含めると平均して約500万円かかり、大学や専門学校に行くためにはさらに500万~800万円ほど必要です。(文部科学省「平成24年度子どもの学習費調査」より) 子どもをたくさん産みたくても経済的に大きな負担を強いられるので、2人目、3人目を諦める家庭は少なくありません。しかし、フランスの場合は、両親が貧しくても子どもは4人とも大学まで卒業、なんて家庭もめずらしくありません。日本のように進学塾に通うことも一般的ではないので、教育費はほとんどかからない仕組みになっているようです。 ■さまざまな場面で手厚い家族手当 高福祉・高負担のフランスでは所得税も消費税も高いですが、家族の人数が多いほど納税額が減る「N分N乗方式」という方式で計算されるので、子どもがいない夫婦は税が重く、子だくさんの家庭には税を軽くするというしくみになっています。 子育て家庭への家族手当の種類もたくさんあり、ライフステージに合わせて変わる子育てにかかるお金に対して必要な補助がされます。 ●妊娠・出産 出生手当923ユーロ(所得制限あり) 出産費用無料 ●産休中 所得補償が日給と同額(一日最大80ユーロ) ●3歳まで 基礎手当 184ユーロ(所得制限あり) 育児手当(第1子は生後6ヶ月まで、2人目以降は3歳になるまで) 完全休業:572ユーロ 50%以下の勤務:435ユーロ 50~80%の勤務:329ユーロ ●保育手当 3歳未満:173~458ユーロ 3~5歳:86~229ユーロ ●その他 保育ママなどへの社会保障費の補助、保育費の税控除あり このほかにも、子どもが増えたり年齢が上がったりすると増額される家族手当や、3歳以上の子どもが3人以上いる家庭への補足手当(所得制限あり)、新学期手当(所得制限あり)など、さまざまな場面で家族手当が出ます。 こうした手厚い家族手当に必要なお金は、フランス全国家族手当金庫(CNAF)という独立した機関で管理されます。おもな財源は、企業が労働者の賃金に5%上乗せして納める「社会保障拠出金」で、個人や国の負担は少なく抑えられています。 ■週35時間労働、残業なしが普通 フランスでは週35時間労働と、そもそも労働時間が短く、残業をする人は一部。フルタイムでも午後7時には帰宅して家族と夕食を囲むのが一般的です。男性も60%以上が父親休暇を取得し、産後は家で赤ちゃんと母親のサポートのために会社を休む人も増えているそうです。 日本とフランスは学校の制度や所得配分のしくみ、労働環境などあらゆる面で異なっていて、子育て観や人生観もだいぶ違っています。日本もいまはだいぶ待遇が改善されてきてはいるので、まずは自分がどうしたいか、どう育てたいかをよく考えて、周りの人の協力を得ながら主体的に子育てする人が増えると、子育てしやすい環境が整っていくのではないでしょうか。 (参考) ・『産める国フランスの子育て事情』(牧陽子・著/明石書店) ・『フランスの子育てが、日本よりも10倍楽な理由』(横田増生・著/洋泉社) ・『経済のプリズム』No,131「フランスにおける子育て支援」』
2016年04月22日4月からの電力自由化で、ついに私たち一般の消費者が電力会社を選べる時代になりましたね。どのように選ぶかについてはさまざまですが、「できれば自然エネルギーで作られた電力を買いたい」という基準で選ぶ方もいるのでは? 今回の自由化で、自然エネルギーで発電された電力を購入するために、知っておきたいことをまとめてみました。 100%自然エネルギーで作った電気だけを買うことはできない 自然エネルギーとは、太陽光、風力、地熱、小水力、バイオマス発電などのことで、再生可能エネルギー(以下再エネ)とも呼ばれています。日本では、今のところ約12.6%がこうしたエネルギーによって発電されています。(2014年度 大規模水力発電含む)(注1) 風力や太陽光は、天候次第で発電量が大きく変動するから不安定といわれますが、電気の質が変わったり、停電しやすくなったりといった心配はあるのでしょうか。 電力会社は、需要と供給の電気の量をつねに一定にしなければいけません。風力や太陽光発電などの大きく変動する電力は、発電量の微調整が可能な火力発電と組み合わせるなど電力会社で調整がおこなわれます。 万一、発電所などにトラブルがあった場合も、地域電力会社(東京電力など既存の電力会社)との間で契約しているため、停電の心配はありません。 電気の質は原発でも太陽光でも、発電方法に関わらず同じです。2020年に発送電分離が始まるまでは、これまで通り、地域電力会社の送電線を使って送られてきます。 電気は送電線で混ざってしまうため、実際には再エネ発電の電力だけが必ず家庭に届くというわけではありません。ですが、再エネ発電事業を行っていたり、再エネ発電の電気を積極的に購入したりしている会社から電力を購入することで、再エネの比率の高い電気を購入することができます。 (注1)内訳 水力8.2% 太陽光2.2% バイオマス1.5% 風力0.5% 地熱0.2% 出典:自然エネルギー白書2015 サマリー版 認定NPO法人環境エネルギー政策研究所 自然エネルギーで調達した電気=「FIT電気」をチェック 電力会社がどういった電力を供給するのかを調べるときは、「電源構成」を調べればわかります。電源構成をみると、「FIT電気」という見慣れない言葉があるかもしれません。この言葉、何のことだかわかりますか? FITは2012年7月にスタートした固定価格買取制度(Feed-In-Tariff)の略称です。 「FIT電気」は、この制度によって交付金を受けた再エネ発電による電力のこと。「自然エネルギー」とか「クリーン電力」といった環境にやさしいイメージの言葉を使ってはいけないと決められています。なぜでしょうか。 固定価格買取制度(FIT)では、再エネで発電した電力は、電力会社が一定期間、固定価格で買い取らなければなりません。 私たちが月々電力会社に支払っている電気料金には、使用した電気料金のほかに「再エネ発電賦課(ふか)金」が課せられていますよね。(平成28年度は2.25円/kWhに決定) 利用者全員から徴収した賦課金と、電力会社が発電をしないですんだとみなして算出される「回避可能費用」をもとに、その年の買取価格が決まるというしくみになっています。 「国民全体から集めたお金で売買されるFIT電気を、それぞれの会社が環境によさそうな付加価値をつけて販売するべきではない」ということで、「FIT電気」もしくは「FIT(太陽光)」などの表示の仕方が義務化されました。 交付金によってまかなわれている電力という意味の「FIT電気」に対して、「再生可能エネルギー」と書かれているものは、FIT制度を利用しないで調達した電力ということになっています。 なお、東京新聞の調査によれば、首都圏でホームページなど消費者がみられる形で公表している電力会社は、3割にとどまっているとのこと。(2016年3月26日)今のところ、電源構成の開示は義務ではないため、載せていない電力会社のほうが多いのが現状です。契約を検討している電力会社が開示をしていなければ、問い合わせてみましょう。 再生エネの電気代は高くつく? 今後どうなっていくのかはわかりませんが、現時点ではこれまでの電気代と同じくらいか、少し安い価格設定が中心で、再エネだからといって特別高いわけではありません。 現在の日本のエネルギー自給率はたったの6%。残りの94%は海外からの輸入に頼っているのが現状です。原子力や、CO2排出量の多い化石燃料に頼らず、自然エネルギーで電力を自給自足できるようになれば、社会のしくみも大きく変わっていく…そう考えて未来に投資するつもりで、自分に合った電力会社を探してみるのもひとつの手です。 新電力会社で再生可能エネルギーを重視している会社 家庭向け電力プランの申し込み受付を始めている、再生可能エネルギーの発電や買取に力を入れている新電力会社をいくつか紹介しましょう。(2016年3月時点の内容です) ・ Looopでんき 再生エネ6% FIT電気20% その他74% 2016年5月31日申し込み分まで基本料金0円 ・ みんな電力 ホームページ上での電源構成の公表は準備中 FIT電気(太陽光)55% 非FIT電気(太陽光)15% 常時バックアップ30%(2016年2月実績概算) 応援したい再生エネ発電所を選ぶと料金の一部が支援される ・ ソフトバンクでんき(SBパワー) FITでんきプラン FIT電気57% リサイクル発電5% 卸電力取引所5% その他14% メガソーラー発電所あり ・ 株式会社生活クラブエナジー 生活クラブ生協に加入する組合員世帯対象。2016年10月~本格運用開始 風力発電所、メガソーラー発電所設置 バイオマス発電提携。 再生エネ30~60%予定 ・ 生活協同組合コープさっぽろ(トドック電力) コープさっぽろに加入する組合員世帯対象。FIT電気60%の「FIT電気メニュー」あり。 ・ エコスタイルでんき ※現状非公開。ホームページ上での公開を検討中。 再生可能エネルギーの生産比率は現状12.6% 再生可能エネルギーは日本全体で12.6%しか作られていないので、供給量の多い会社ほどFIT電気の比率は低くならざるを得ません。また、現時点では再エネ100%の会社もありません。常時バックアップ用の電力が必要なためです。今後、バイオマスや地熱発電などでバックアップが可能になれば、100%再エネを供給する会社も出てくるかもしれません。 ほかにも今後、家庭向けへの配電の準備を進めている電力会社はありますが、地域電力会社による接続保留の問題や、FIT制度の変更によって、苦戦を強いられているところも多いようです。再エネ発電に関心を持つ人が増え、再エネ発電の市場が活発になっていけば、今後もっと選択肢が増えていくことでしょう。
2016年04月01日最近、小中学校でも俳句コンテストをやったり、テレビ番組で辛口先生が俳句を添削するコーナーが人気だったり、俳句の面白さが広く見直されてきているようです。 俳句に年齢は関係ないので、子育て中のパパやママは、子どもと競って楽しむこともできます。親子で俳句づくりに挑戦してみたいという方に、俳句を始めるにあたって、知っておきたいことをまとめてみました。 子どものことばを俳句にしてみよう 松尾芭蕉は 俳諧は、三尺の童にさせよ。初心の句こそたのもしけれ。 出典:『三冊子』 という言葉を残しました。小さな子どもに俳句を作らせることをすすめています。 子どもに俳句作りなんて難しいかなと、普通は考えてしまうもの。筆者もこれまで俳句を日常的に作ってこなかったので、なんとなく身構えていましたが、やってみるとまず大人が楽しくてハマります。普段暮らしている中に面白いことを探すので、なにげない日常が生き生きと面白くみえてくるのが魅力です。 子どもの俳句を読むと、会話の中では拾いきれない子どもたちの心の機微がにじみ出ていたり、小さな子どもでも大人が思っている以上によく見ているなと感心するような句がたくさんあったりして、大人も勉強になります。俳句は年齢に関係なく同じ土俵で戦えるので、親子で取り組むと刺激しあってより楽しめると思います。 「雪にシロップかけたらかき氷になるかな」 「あの雲、○○みたい」 忙しいときは、適当にあいづちを打って受け流してしまいがちな子どものつぶやき。そんなつぶやきに耳を傾けながら、日常の中にある面白いことを一緒に探してみましょう。 今さら聞けない俳句の超基本ルール 俳句は、五・七・五の十七音で作る短い詩です。その中に、季節を表す季語を入れること。ルールはたったこれだけです。制約があって難しそう、と感じてしまうかもしれませんが、これさえ守れば、誰でも俳句が作れるともいえます。 「あじさいは きれいなお花 たからもの」(小学2年生の作品) 子どもは難しく考えないので、さらっと一句できてしまうことも。 季語の表す季節はひとつひとつ決まっていますが、中にはイメージと異なるものもあります。 たとえば、「西瓜(すいか)」は夏のイメージですが、俳句では秋の季語です。俳句の季節は旧暦で決まるので、「バレンタインデー」は春、「母の日」「カーネーション」は夏です。「シャボン玉」や「ぶらんこ」「風船」なども、ある季節の季語ですが、どの季節だと思いますか? 気になる方は調べてみてくださいね。 ネット上でも季語を調べるサイトは数多くありますが、「歳時記」という、季語の辞典のようなもので季語の季節や使い方を確認することができます。小中学生向けに書かれている歳時記も多くあり、手元に置いておくと便利です。 (参考) ・『 大人も読みたい こども歳時記 』季語と歳時記の会・著/長谷川 櫂・監修(小学館) 初心者が手っ取り早く俳句をよむには、基本的な型に当てはめると作りやすいようです。 初心者でもすいすい作れる基本的な型って? 夏井いつきさんの著書『 100年俳句計画—五七五だからおもしろい! 』(そうえん社)では、「取り合わせ」という技法の中で最も基本的な型である、「五音の季語+季語とは関係のない十二音」で俳句を作るやり方が紹介されています。 「五音の季語」+ ○○○○○○○・○○○○○ ○○○○○○○・○○○○○ +「五音の季語」 ○の中に自分の創作した十二音文を当てはめれば、俳句の完成です。 この十二音の中には、「自分の目で見て、耳できいて、肌でふれて」感じたことを言葉にします。内容は五音の季語とはまったく関係のないものが面白く、どの季語と組み合わせるかによって、印象が大きく変わってきます。 たとえば、春の季語で五音のものは、 春の空、春の暮れ、春来る、春の風、風光る、山笑う、桜草、桃の花、葱坊主、牡丹雪、などがありますが、これらと「洗濯ものの山高し」という十二音を組み合わせてみると、以下のような句ができます。 「春の空 洗濯ものの山高し」 「春の暮れ 洗濯ものの山高し」 「春の風 洗濯ものの山高し」 それぞれ印象が微妙に変わってきますよね。「春の暮れ」だと、疲れがにじんでいる感じですが、「春の空」だと、たくさんの洗濯ものを前に「よしやるぞ」と気合が入る感じでしょうか。「春の風」だと、より爽快感がアップしますよね。 帰省して家族で集まったときに、お題を決めて制限時間内に俳句を作ってみるのも、ゲーム感覚で楽しめそうですね。歳時記を片手に、俳句の世界にハマってみませんか。 (KANA)
2016年03月11日Vol.1 では、お手伝いを習慣にすることで、勉強だけでは教えられない、生きるために必要なスキルや心を身につけることができるというお話をしました。今回はその続きとして、お手伝いを習慣づけるために、やるべきこと、やってはいけないことを紹介します。 1.毎日継続してできる仕事を探そう 「子どもにお手伝いをさせたくても、毎日は時間がとれない」と思う方も多いかもしれません。ですが、短時間でできる小さな仕事はたくさんあります。 お手伝いを習慣にするための第一歩は、短時間で簡単に終わる仕事を選び、継続させることです。 お手伝いというと、ゴミ出しや部屋の片付け、風呂掃除、食器洗いなど、ある程度手間のかかるものが定番ですが、家事を行動別にみると、子どもに頼みやすい簡単なお手伝いはほかにもたくさんあります。 たとえば、「洗濯」について、ひとつひとつの行動を書き出してみましょう。 洗濯物を分ける、洗濯機に入れる、洗剤を入れる、スイッチを押す、汚れ物を手洗いする、色物を手洗いする、脱水する、洗濯機から出す、干し場に運ぶ、干す、取り込む、畳む、アイロンをかける、持ち主の部屋に運ぶ。 このように、小さなたくさんの仕事に分けられますね。全部を子どもに任せるには、根気よく教えこまなければなりませんが、どれかひとつだったら頼みやすいはずです。 全員分の洗濯物を畳むのは大変でも、畳んだ洗濯物を「持ち主の部屋に運ぶ」だったら、すぐに終わりますよね。小さな子には「これは誰の洗濯物かな?」などクイズにしながら、遊びの要素も取り入れると楽しいですね。 お風呂に入ったときに、ついでに自分の靴下を手洗いさせるというのも、ひとつのお手伝いです。洗濯物を干す前の洗濯物を洗濯機から出す、と、干し場に運ぶ、の作業は簡単にできるので、毎日継続させる仕事に向いているといえます。 これ以外にも、玄関や窓際のスペースなどを持ち場にして、その場所をきれいに掃除して飾るなど、その子の性格に合った、楽しく取り組める方法を考えてみましょう。 なるべく簡単ですぐにできて、本人が継続しやすいものから始めると、忙しい子でも習慣にしやすいのでおすすめです。時間のかかるものは、習い事のない日や、休日にまとめてやるなど、負担のない範囲でしっかりお願いしましょう。 2.「やりたい」お手伝いと「やってほしい」お手伝いをセットで頼もう お手伝いをやらせるのが大変と感じる理由のひとつに、「大人がやってほしいお手伝いと子どもがやりたいお手伝いが違う」ということがあるかもしれません。 夕飯準備で忙しいときに、片付けやお皿の用意を頼みたいのに、野菜を切りたいと言われた場合、親としては子どもの気持ちに応えたいところですが、注意して見ていなければならない分、仕事は増えます。ケガや失敗するリスクを考えると、お手伝いを頼むほうが面倒…なんて思ってしまいますよね。 そうならないために提案したいのが、子どもが「やりたい」お手伝いと大人が「やってほしい」お手伝いをセットで頼む、という方法です。 たとえば、お箸とお皿を並べてほしければ、「野菜を切る」とセットで頼みます。お箸とお皿を並べたら、野菜を切っていいことにしてみましょう。ほかには、「味噌汁の味つけ」と「味噌汁をよそって食卓に運ぶ」をセットにすると、「味噌汁を運ぶ」だけよりも、喜んで運んでくれることでしょう。味つけだけでなく、味噌汁を最初から作ることにも興味をもってくれるかもしれません。 子どものやりたい気持ちを尊重しながら、大人が「やってほしい」お手伝いもできるようにリードしていきましょう。できることが増えるのは楽しいことです。お手伝いが楽しくなってくれば、すんなり協力してくれるようになってくるでしょう。 3.どんなに小さな仕事でも「ありがとう」 お手伝いをしてもらうと、つい「えらいね」とか「よくできたね」という褒め方をしてしまうかもしれませんが、それよりもまず「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えることが大切です。 家の仕事をやることは、家族の一員として当たり前のことで、特別えらいことではありません。それよりも、「ありがとう」とか「手伝ってもらって嬉しい」と言われるほうが、子どもにとっても嬉しいはずです。お手伝いをすると家族が喜ぶ、とわかれば、お手伝いをすることに抵抗感はなくなっていくでしょう。 ここでひとつ気をつけたいことがあります。お礼としてのお小遣いについてです。 時々あげる分にはいいかもしれませんが、毎回はやめたほうがいいと思います。感謝の気持ちを純粋に伝えたいなら、お金は渡さないほうが懸命です。お小遣いをあげてしまうと、純粋に家族に奉仕したいという気持ちが歪められてしまう心配があるからです。 また、お金や欲しい物で釣ると、お手伝いそのものへの興味がそらされてしまいます。それよりも心からの「ありがとう」をしっかり伝えましょう。 4.指示を出しすぎない、任せるところは任せるつもりで 脇で見ていると、つい口を出したくなりますが、いつのまにか事細かに指導している、というのでは、子どももうんざりしてしまうでしょう。 ひと通りやり方を教えたら口を出さずに見守ることも大切です。任せたからにはしっかり任せましょう。お願いした仕事をまったくしないときは注意すべきですが、一生懸命やった上で不十分なときには、不満はなるべく言わないように、最初から高望みしないことが得策です。やはり、まずは「ありがとう」とお礼をいい、不十分なところはあとでそっとやり直しましょう。 お手伝いを習慣にするためには、本人が楽しんで意欲的になれる環境をつくることが先決です。お手伝いの習慣、今日から始めてみてくださいね。 (KANA)
2016年02月09日子どもに家のお手伝いをやらせていますか? 「やりなさい」と言っても簡単には子どもは動かないもの。大変なことなので、つい後回しにしがちですよね。忙しいから仕方ないと思って親がなんでもやってしまうと、自立できない大人になってしまいそうなのが心配です。お手伝いをさせると、子どもはどう変わるのでしょうか? お手伝いを習慣にすると、家事の大変さ、大切さがわかる子に 小学生は学校から帰ると、勉強に遊びに習い事、あっという間に夕食の時間です。手伝いをさせたくても、子どもはゲームやテレビの時間を確保したいので、簡単には動きません。だから仕方なく、お母さんが毎日すべての家事をこなしてしまうというのはわかります。 しかし、大変なことですが、どこかで切り替えて、しっかりお手伝いの習慣を身につけさせたいものです。お手伝いを習慣にすると、子どもにはちょっとした変化が現れてきます。まず、家事の大変さ=お母さんが困る気持ち、を理解できるようになってきます。 たとえば「じゅうたんの上でお菓子を食べないで」と注意したとします。 ・お手伝いをしている子 「じゅうたんの上に食べかすが散らばると掃除が大変」と説明しなくても、すぐに注意が伝わりやすい。自分が気をつけるだけでなく、他の家族にも注意するなど、言われていないことまで気がついて行動してくれます。 ・お手伝いをしていない子 「掃除が大変」と説明しても、なかなか注意が通らない。いくら注意しても繰り返す。毎日の家事の大変さがわかっていないので、お母さんの困る気持ちが伝わっていない。 ちょっとしたことですが、この差は大きいですよね。 お手伝いをさせなければ、家事の大変さ大切さというのは伝わりにくいものです。 「子どもにとっては勉強や習い事が一番大切なこと)という考え方もあるかもしれませんが、長い目で見れば、いわゆる「大人の仕事(家事も含めて)」ができるように教えておくことは、生きる力を育むことにもつながる大切なことと言えるでしょう。 お手伝いで勉強ができるようになる!? お手伝いをさせたからといって、すぐにテストの点数がアップするわけではありません。ですが、お手伝いを通して、「今、自分は何をするべきか」を考えるくせがついてきます。仕事を終わらせるために、自然と段取りや効率を考えたり、工夫したりするようになるからです。 自分がするべきことを考えるので、宿題にもさらっと取り組むようになりますし、時間の使い方が上手になり、やりたいことをテキパキこなせるようになってきます。 また、東京都などの調査では、身の回りのことを自分でしている子の方が、していない子より、問題解決力が高いという結果もでています。少し長い目で見れば、学力にとってもプラスになることは明らかといえます。 人の役に立つ喜びを知る お手伝いをさせる、もうひとつのねらいは、「人の役に立つ喜びを知る」ことです。 人の役に立って感謝されるのは、誰だって気持ちがいいことです。家族の役に立つ喜びを知ると、大きくなって人のために役立ちたい、社会のために働きたいという意欲につながります。実際に、子どもの頃に家事やお手伝いをした経験の多い人ほど、職業意識が高い傾向がみられるといった調査報告もあります。(注1) この調査では、「できれば、社会や人のためになる仕事がしたいと思う」について、「とてもあてはまる」人の割合が、お手伝い経験の多い人では44.6%、少ない人では24.4%と倍近い差があります。「自分にはなりたい職業や、やってみたい仕事がある」についても、お手伝い経験の多い人では35.9%、少ない人では21.5%という結果が出ています。 職業意識だけではなく、道徳心や正義感についても、同様の傾向が見られるようです。(注2) お手伝いを習慣にするのは大変なことですが、勉強だけでは教えられない、生きるために必要なスキルや心を身につけることができます。次回はお手伝いを習慣づけるために、やるべきこと、やってはいけないことを紹介します。 (注1) 「子どもたちの未来を育む家庭教育–家庭教育支援の取組について–」文部科学省(PDF) 出典:独立行政法人国立青少年教育振興機構「子どもの体験活動の実態に関する調査研究」(平成 22 年度) (注2)青少年の体験活動等と自立に関する実態調査(文部科学省 09年度調査) (KANA)
2016年01月12日忙しいママたちの間で、最近ウクレレにハマる人が増えています。軽くて扱いやすく、簡単に音が出せるのに、意外にも奥が深いと親子一緒に習う人も。今回は、そんな親子で楽しめるウクレレの魅力を紹介します。 そもそもウクレレってどんな楽器なの? ウクレレは、小さいギターのような形をしたハワイの弦楽器です。弦は4本で、押さえやすく、柔らかい音が特徴です。サイズはいろいろありますが、一般的なのは、一番小さいソプラノ・ウクレレと、少し大きいコンサート・ウクレレです。 弾き語りのイメージが強いウクレレですが、メロディと伴奏を同時に弾くソロ楽器としても大活躍しています。曲もゆったりした曲ばかりではなく、フラメンコのようにかき鳴らしたり、クラシックやジャズなどさまざまな楽曲をカバーできたりする、意外に奥の深い楽器なんです。 日本では過去に何度かウクレレブームが起きていますが、ここ数年、若い世代を中心に、再びブームが来ていると感じるほど、人気が高まっています。2012年に横浜で行われたイベントでは、2,134名のウクレレファンが集まり、同時演奏でギネス記録に認定されたそうです(※)。 (※)参照: ウクレレピクニック2012 ウクレレでギネス世界記録™に挑戦!!|イベント情報|Hawaii.jp Beach Life Style 毎日いつでもどこでも弾ける手軽さ ウクレレの人気の理由のひとつとして、日本の住宅事情に合っていることがあると思います。 ピアノやギターは置き場所に困るという方でも、ウクレレの場合は、壁にフックをつけてかけておけばほとんど場所をとりません。 また、音がそれほど大きくないので、家の外に音がもれることを心配する人にも安心です。子どもが寝静まってからもこっそり練習できます。弾く場所を選ばないので、すきま時間にソファでくつろぎながら弾いたり、広い芝生や海岸に持っていって弾いたりするのも気持ちが良さそうですね。誕生日やクリスマスパーティなどにファミリーコンサートをするにはぴったりの楽器です。 育児に悩んでいる時も、気分転換になります。ウクレレの音色に癒されて、子どもにもやさしくなれるかもしれませんね。 子どもが興味を持ったら ウクレレは、3~4歳ぐらいになれば、簡単なコードやメロディを弾くことも可能です。子どもが興味を持ったら、メロディとコードに分かれて親子で合奏してみると、よりいっそう楽しめます。子どもに教えるとなると、ちゃんと練習させようと、親はついつい細かい注文をつけたくなりますが、まずはその子なりの楽しみ方を見守りましょう。 親子でウクレレを弾くと、ひとつの曲を競うように練習したり、合奏する中でひとつの曲を共有したり、対等な関係になれるのがステキなところだと思います。音楽でもスポーツでも、親子で趣味を共有する時間があると、子育てはぐっと楽しくなりますよ。 ウクレレ選びで気をつけること ウクレレは数千円から10万円以上するものまで、値段も種類もたくさんあります。インターネットでも買えますが、やはり楽器店で買うのがおすすめです。値段やメーカーによって、音色や音の響き方がまったく違います。チューニングがしっかり合うか、ボディにヒビが入っていないかなど、実際に触って確認することも大切です。 あまり安いものを買うと、結局買い直す羽目になることもあるので、最低でも1万5,000円以上のものを選びましょう。音やメーカーにこだわって楽器を選びたければ、それなりの予算が必要です。はじめて選ぶ場合は、国産のメーカーから探すと、低価格でつくりのしっかりした楽器を見つけやすいと思います。 ウクレレは、手軽に始められるのに難易度の高い曲にも挑戦でき、ソロ楽器としても十分活躍できる楽器です。小さな子をもつパパやママたちにとっては、すきま時間に弾けて長続きしやすく、親子で趣味を共有できるのも魅力です。堅苦しく考えず、自由な気持ちで楽しく音楽を長く続けていきたい。そんな方にウクレレはおすすめです。 【取材協力: 青空ウクレレ教室 】 (KANA)
2015年12月08日「 子供にとってちょうどいいお小遣いの金額設定 」の続きです。今回は、子どもでもできる、具体的なお小遣いの管理方法を紹介します。 3つの空きビンでお金を管理しよう お小遣いの金額が決まったら、今度は渡す日時を決めます。土曜日の夕方、日曜日の朝など、具体的に決めて、毎回必ず、その日時を守りましょう。週の途中でお金がなくなっておねだりしてきた場合は、追加であげたり早めにあげたりせずに、次にお小遣いを渡す日まで待たせましょう。「お金は使い果たすとなくなる、限りのあるもの」ということを実感させるためです。 そして、お小遣いを渡す時は、3つの空きビンを用意して、「楽しみのためのお金」「勉強のためのお金」「貯金」と書いたラベルを貼り、振り分けさせましょう。出費のたびにお小遣い帳をつけさせることも大切ですが、この方法なら、お小遣い帳をつけるのをつい怠けてしまっても、残金がひと目でわかるので、管理が楽になり、モチベーションも上がります。 お小遣いのやりくりには、自分にとって必要なもの、楽しみのものを分けて考えることと、お金を計画的に使うことという目的があります。くれぐれも、お小遣いをあげっぱなしにしないことが大切です。 失敗して当たり前! 失敗から正しいお金の使い方が学べます 最初のうちは新しいおもちゃと同じで、お金に急に執着するようになって驚くかもしれませんが、多くは一過性なので、あまり気にしなければ、だんだんと落ち着いてきます。 お金を必要以上に使わないように貯めたり、お金を大切にしたりするのは、何よりもお金を最大限に利用して幸せになるためです。お金は利用することによってはじめて価値があるものですが、そのことも、こうした経験を通して徐々に理解していくことでしょう。 また、買い物に行っても欲しい物が決められず、買ってからもやっぱりあっちがよかったと後悔…なんていう経験も大切です。何を買ったら自分は幸せになれるのか、自分にとって価値のあるものを選ぶ力は、生きていく上で最も大切な力のひとつです。 単なる買い物と思うかもしれませんが、「自分が好きなものは何か」「一番やりたいことは何か」など自分にとって大切なことを自問自答する訓練になるので、親としてはできる限り口を出さずに見守りましょう。 そして、子どもがお金の使い方に迷った時は、頭ごなしに否定したり指導したりせず、気軽に相談できる環境を作っておくように努めたいものです。お小遣いのやりくりは、失敗して当たり前。失敗から学ぶ環境が大切なので、なるべく子どもと話し合うように心がけましょう。 (KANA)
2015年10月27日子どもにお小遣いを渡すと、すぐに使ってしまったり、お小遣いがあるのにそれを使わずにおねだりしたり、子どもにお金を管理させることは、難しいものです。それに、お小遣いの金額をいくらにすればいいのかも、悩ましい問題です。 そこで今回は、お小遣い制を始めてみようかなと思った時に役立つ、ちょうどいい金額設定の仕方について紹介します。 定期的にもらえるお小遣いは、生きた「教材」 お小遣いというと、「楽しみのためのお金」というイメージが強いもの。ですが、ちょっと見方を変えると、お金の価値を実感し、お金との付き合い方を学ぶための「教材」でもあるのです。 最近は、無駄遣いさせないためや、トラブルに巻き込まれないために、必要な時にその都度渡すという家庭が増えています。この方法だと、親の目が届くので安心感はありますが、子どもがお金を計画的に使うことや、無駄遣いして失敗するといった経験ができません。お財布をなくさずに持ち歩けるようになってきたら、定期的に渡すことを考えてみましょう。 ちょうどいいお小遣いの金額ってどのくらい? 最初は、子どもが管理しやすいよう、週単位でお小遣いを渡すのがおすすめです。具体的な金額は、以下のステップで決めてみましょう。 <お小遣いの額の決め方例> 1.まずは、1ヵ月で子どもに使っているお金を書き出してみましょう。 2.その中で、スーパーで買うカプセルトイやおもちゃ付きのお菓子、漫画や雑誌など、必ずしも必要ではないと思うものを、「楽しみのためのお金」として合計します。 3.具体的な金額を計算します。たとえば、「楽しみのためのお金」の合計が月に1,000円だったとしたら、4で割って週に250円は「楽しみのためのお金」が使えることにします。 4.3で出した金額に、ノートや文房具などを買う「勉強のためのお金」をプラスします。たとえば、月200円とすると、4で割って週に50円です。 5.さらに、ゲーム機や自転車などの少し高額な物を買うためのお金として、毎回少しずつ貯金できるように50円プラスします。 「楽しみのためお金」250円+「勉強のためのお金」50円+「貯金」50円=350円 これが1週間のお小遣い額を決めるひとつの例です。 ちょっと多めに感じるかもしれませんが、あまりギリギリの額にしてしまうと、コツコツ貯めて欲しいものを買う楽しみがなくなり、続きません。しかし、あまり多く設定しすぎても無駄使いしてしまう危険があります。 目的はあくまで、普段子どものために使っているお金を、子ども自身に一部管理させるということ。年齢が上がるにつれて必要額も増えるので、金額は少しずつ上げていき、「塾への交通費」や「洋服代」など、管理する範囲も徐々に増やしていきましょう。 (KANA)
2015年10月26日今は、現金がなくてもクレジットカードや電子マネーで買い物ができ、ATMで簡単にお金を借りられ、インターネットでいつでも好きな物が買えてしまう時代です。ゲームアプリの課金で高額請求されるといったトラブルも起きており、金銭教育の必要性が見直されています。 大量消費、お金の流れが見えにくい時代に金銭教育を 子どもの周りひとつとっても、おもちゃやゲーム、子供服、文具類など、新しいものが次々と発売され、激しい販売競争が繰り広げられています。 物があふれ、お金がなくても買えてしまう時代、お金や物を大切に、と言われても、ピンとこないもの。こうした中で、お金との付き合い方をじっくり考えていく必要があるといえるでしょう。 といっても、何か特別なものをするということではありません。たとえば、子どもの服が必要になった時、新品を買うか、リサイクルショップで買うか、おさがりをもらうのか、手作りするのか、リメイクして使うのかなど、さまざまな選択肢がありますが、そこでどういう選択をするか、ということも大切な金銭教育です。 「おねだりを我慢したら旅行に行けるよ!」作戦で無駄遣いを減らそう また、子どもが「おねだりを我慢できるようにすること」も立派な金銭教育のひとつです。子どもにねだられて買ってしまったものの、「無駄遣いだなぁ」と感じることも少なくないのでは? 無駄遣いが多いと思ったら、事前に買うものリストを作ったり、使う金額の上限を決めてから買い物に出かけたりすると、無駄買いを防止する効果があります。 また、予定外の欲しいものを見つけた時は、すぐにカゴに入れずに一度その場を離れて、本当に買うべきか考えましょう。店内を1周して、それでも欲しかったら買うと決めます。 これは、小さな子どものおねだりにも有効です2~3歳ぐらいだと欲しいものを我慢するのは大変ですが、買い物に行く前に「○○できたら1つ買ってあげるね」など約束をして、守れたら思い切りほめてあげましょう。 欲しいものを買わずにすんだら、買わなかった物の金額、または500円など定額を貯金します。ある程度お金が貯まったら、家族で話し合って旅行や外食など、好きなことに使うのです。この方法だと、子どもも一緒に我慢と貯金の両方を楽しむことができるでしょう。 「買う前にできることを考える」DIYも有効 おもちゃやアクセサリーなど、欲しい物があったら、すぐに買うのではなく、家にあるもので工夫して作れないか考えてみましょう。 ゼロから作ろうと思うと大変かもしれませんが、100円ショップにあるものなどを使って、ちょっとしたアイデアで乗り切れないか試すのは、おもしろいものです。 厚紙や色画用紙、ペットボトルなどを使って船や車、ロボットなど、普段から作っていれば夏休みの自由研究のテーマにも困りません。女の子も、かわいい端切れをヘアアクセサリーにしたり、ストローやモールを使って魔法のステッキを作ったり、難しいところは手伝ってあげましょう。 時にはキッチンセットや本棚などをママやパパが手作りして、子どもにプレゼントしてみてはいかがでしょうか。裁縫が得意なら、ドレスやコスチュームも喜ばれるでしょう。普段から身の回りにあるものは作れるのだと教えることは、物を大切にしたり、工夫する力につながります。 とはいえ、どうしても欲しいおもちゃの変わりに、「手作りしよう!」といっても、「売っている方がいい」、となることもあるかと思います。手作りのほうがいいと押し付けず、日常的に手作りの楽しさがわかれば、新しいおもちゃだけに執着しなくなっていくことでしょう。 お金の使い方には、「うちのルール」があることを教えよう 5~6歳ぐらいになると、「自動販売機のジュースはすぐ飲めるのにどうしてお店で買わないとダメなの?」など、質問されることもあるかもしれません。親としては、同じジュースでも、自動販売機で買うよりお店で買うほうが安いという理由があるのに、目の前にジュースが売っていたら我慢できないのが子ども心です。 こんな時は、「うちのルール」を伝えるチャンスです。「自動販売機もいいけれど、お店で買うほうが同じお金で、もっとたくさんジュースが買えるよ」など、わかりやすく説明してみましょう。そして、「自動販売機は、お店が閉まっていて、どうしても買わなければいけない時だけにしよう」というルールにします。 このように、「うちのルール」を決め、親の価値観を明確に伝えましょう。たとえば、「お友達の○○ちゃんがゲームを持っているから、私も買って」といわれた時も、「うちでは○歳までは買わない」などときっぱり示すことが大切です。 子どもが小学校の高学年になると、「うちのルール」を守らせるのも一筋縄ではいかなくなってくるかもしれませんが、それまでに親の価値観をしっかり伝えておけば、ある程度安心して本人の判断に任せられます。 物にあふれている時代、つい子どもに与えすぎていないか、しっかり見直すことも大切なことといえるでしょう。 (KANA)
2015年10月16日食物アレルギーになるのが心配だから、離乳食の開始を遅くして卵や牛乳は避けている。そんな方も多いかもしれません。でも、ちょっと待ってください。なんと最近、特定の食物の摂取を遅くしたり避けたりするほうが、食物アレルギーになりやすい可能性があることがわかってきました。 さまざまな情報が飛び交っているからこそ、きちんと知りたい食物アレルギーのこと。予防の常識が大きく変わりつつある今、最新の研究で明らかになった意外な予防法についてご紹介します。 食物アレルギーのある乳幼児の割合は5~10% 「食物アレルギー」とは、食物を食べたり、触ったり、吸い込んだりした時に、免疫システムがはたらいて起こる有害な反応のこと。症状は、かゆみや発疹などが最も多く、中には呼吸困難、意識障害などの重い症状に苦しんでいる方もいます。 日本では、乳幼児の5~10%に食物アレルギーがあるものの、年齢とともに減り、小学生以上では1.5~3%と推測されています。特に、卵、乳製品、小麦については、80~90%が就学前には自然に治っているというデータもあります。 「念のため食べさせない」は食物アレルギーの予防にならない? これまで食物アレルギーの予防には、 1.離乳食の開始を遅らせる 2.アレルギーが心配な卵、乳製品、小麦などは、念のため避ける 3.妊娠中や授乳中は、アレルギーが心配な食べ物は念のため避ける この3つが有効と考えられてきました。しかし、それらの情報の信ぴょう性が、ここに来て大きく変わってきているようです。 まず「1.離乳食の開始を遅らせる」ですが、離乳食の開始が遅めになっているのに、アレルギー患者が増えていることから、国立成育医療センターの大矢幸弘アレルギー科医長は、「食べ始めを遅らせても、アレルギーの予防にはならない」と見ています。(注1) また、「2.アレルギーが心配な卵、乳製品、小麦などは、念のため避ける」についても、気になる調査結果があります。 今年(編集部注:2015年)、英国で行われた、子ども640人を対象にした調査では、乳幼児期からピーナツを食べ始めた子のほうが、5歳までピーナツを控えていた子より、ピーナツアレルギーになりにくいとの研究結果が発表されました。このことから、「食物アレルギーの頻度が高い食物も、除去するより早めに食べるほうがよい」可能性が高いという認識が広がりつつあるようです。 それに伴い、現在世界中で、アレルゲンになりやすい卵、牛乳、小麦に関しても、早く食べるほうがいいのかどうかという研究が進行中です。 ちなみに日本では、環境省が2010年度から行っている10万人規模の追跡調査において、生後6ヵ月以前に米を食べさせ始めた人が79%いるのに対し、牛乳は9%、鶏卵は10%に過ぎず、生後9ヵ月でも鶏卵は46%、牛乳は53%が与えていないという結果が出ています。(注2) この割合も、今後は変わる可能性があるかもしれませんね。 なお、「3.妊娠中や授乳中は、アレルギーが心配な食べ物は念のため避ける」については、妊娠中や授乳中にママが食事制限をしたからといって、食物アレルギーの予防になるという科学的な根拠はありません。特定の食品を避けずに、ママは必要な食事をしっかり摂って、赤ちゃんに栄養を届けましょう。 スキンケアで食物アレルギーが予防できる? 新しいアレルギーの予防法 このように、食物アレルギーに関して、次々と新しいことがわかってきていますが、確実な予防法はまだ見つかっていないのが現状です。 しかし、最近の研究では、「スキンケアをすることでアレルギーが予防できる可能性が高い」と考えられています。 大矢医師(前出の国立成育医療センター・アレルギー科医長)は、「食物の成分は、ほこりにまじる形で比較的多くあり、皮膚の状態が悪いほど体内に入りやすいと考えられる」(注1)と話します。少し噛み砕いて解説すると、以下のようなことです。 ・食物の抗原(アレルゲン)は、空気中のほこりにも含まれていると考えられています ・肌が炎症などを起こしてバリア機能が低下していると、バリアの弱まった皮膚の隙間からほこりに混じったアレルゲンが侵入します ・アレルゲンの侵入によって、体内では免疫システムが反応して抗体を作り始め、アレルギーの原因物質に反応する準備ができている状態になります ・この時点でアレルゲンとなる食物を摂取してしまうと、食物アレルギーになりやすくなります 現在、このような仮説が有力なようです。 ですが、皮膚から抗原が侵入しても、アレルギー反応を起こす準備が完全に整う前にその食べ物を食べれば、身体の中に受け入れようとする免疫が強くはたらくため、アレルギーにはなりにくいと考えられています。 けれども、これまでのようにアレルギー予防のために特定の食品の摂取を避けたり遅らせたりすると、逆にアレルギー反応を起こす準備が整ってしまうため、食物アレルギーを起こしやすくなるというわけです。 したがって現在、食物アレルギーを研究する医師の間では、「すでにアレルギー反応が出ている場合以外は、特定の食物を除去しないほうがよい」と考えられるようになっているそうです。 つまり、最新の食物アレルギー予防策としては、 ・赤ちゃんの肌を清潔にし、保湿をして肌のバリア機能を高め、皮膚の保護機能を低下させないように気をつけること ・離乳食は開始を遅らせず、特定の食品を避けずに進めること 以上2点が大切といわれています。 なお、アレルギー予防の常識は日々変わっている真っ最中。 国立成育医療センターの成田雅美医師によれば、「私たちアレルギーの世界では主流となる考え方であっても、小児科医や産婦人科医、助産師や保育士など、現場に情報がいきわたっていないのが現状」(注3)とのこと。そのため、病院や保育園などで行われる指導と、ここに書かれていることは異なる可能性もあります。 その場合、医師や保育士、栄養士などと相談しながら、現状で最善と思われる対応をとっていってください。 (注1)東京新聞 2015年7月10日 (注2)環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査」の中間集計から (注3)「ちいさい・おおきい・つよい・よわい no.99 園で、学校で、給食で…食物アレルギーからいのちだけは守る」(株)ジャパンマシニスト社 参考:食物アレルギーの専門家が最新情報を発信【アレルギーラボ】
2015年09月11日「自分の責任で自由に遊ぶ」をモットーに掲げる「プレーパーク」という遊び場を、ご存知ですか? 「冒険遊び場」とも呼ばれ、禁止や制約を書いた看板のない、子どもがさまざまなことに挑戦し、冒険できる遊び場のことです。 子どもたちが自由に生き生きと遊べる場所を 東京都世田谷区にある羽根木公園の一角に、全国で初めての常設の冒険遊び場、「羽根木プレーパーク」ができたのは1979年。「子どもたちが自由に生き生きと遊べる場所がほしい」と願うお父さんやお母さんたちが、世田谷区に働きかけて始まりました。 住民たちが運営するこの遊び場は、今では0歳から中高生までの子どもたちを中心に、年間およそ12万人が訪れる人気スポットです。 誰でも遊ぶことができますが、ここにはカラフルなアスレチックや砂場はありません。緩やかな斜面に大きな木々が木陰をつくり、むき出しの土の地面は穴ぼこだらけ。廃材で作られたような木製の滑り台やロープ製のぶらんこ、手作りのウォータースライダー、ぱっと見ただけでは遊び方のわからない木造建築物がぽこぽこと立っています。 かまどを作って火をおこして煮炊きをしたり、とんかちやのこぎりで木工に挑戦したり、木登りだって禁止されていません。 取り除くのは子どもが予測できない危険だけ 一見すると子どもには危険だらけ、と思われるかもしれません。プレーパークでは、子どもがやりたいことに挑戦できる環境を守るために、危険をすべて取り除くのではなく、「子どもが予測できない危険だけを取り除こう」という考え方をしています。 手作りの遊具の劣化や整備不良、釘やガラスの破片などの危険は子どもが予測できないものとして、できるだけ取り除かれますが、地面の凹凸は子どもが自分で予測できる危険なので、整地はしません。木製の遊具は、小さな子が簡単に高い所まで登れないように、あえて段差を大きくするなどして、安全策をとっています。 ここで遊ぶと、たしかに小さなケガは日常茶飯事。ですが、凸凹の地面で遊ぶ中で鍛えられる身体感覚は計り知れず、小さなケガの積み重ねが大きなケガを回避する力へとつながります。 木登りや火遊びについても同様です。そういう遊びの中でしか得られない宝物はたくさんあります。それに、多少の危険があるからこそ、冒険心や挑戦心が沸いてくるのではないでしょうか。 世間ではケガの責任を遊具の設置者に求める人が増え、公園の禁止事項がどんどん増えた結果、多くの場所が子どもにとって魅力のない遊び場へと変わり続けています。禁止事項を増やして子どもたちが挑戦する自由を奪いたくない、「自分の責任で自由に遊ぶ」というモットーにはそんな想いがこめられています。 遊具は土、水、火、木・・・自然にあるもの プレーパークにある遊具は、土、水、火、木、竹、葉っぱや花など自然にあるものと、工具やスコップなどです。置いてある遊具もすべて手づくり。あえて既成の遊具を設置しないことで、子どもたちは想像力を最大限に発揮して遊びます。手づくりの遊具は、古くなったら壊してまた新しくつくることができます。 「プレーパークは『現代に甦った昔の原っぱ』」と呼ぶ人がいます。「あの木は登りやすいかな?」とか、「あそこに秘密基地を作ったら楽しそう!」とか、大人も自然と子どものころの感覚に戻れる場所、それがプレーパークの醍醐味といえます。 ですが、初めてプレーパークに来た子は、最初は戸惑うこともあります。ワイルドに遊ぶ子たちに圧倒され、何をしたらいいのかわからず固まってしまうこともあるでしょう。特に小さな子どもは、見るものすべてが刺激的なので、小さな蟻を眺めてばかりで動かないなんてこともあるかもしれません。 そんな時もパパやママは「プレーパークに来たんだから、身体を動かして遊びなさい」なんて急かさずに、一見つまらない遊びに見えても、ここでは子どものやりたいことを見守り、一緒に面白がることを心がけてみましょう。 プレーパークは、世田谷区以外にも全国で400以上もの団体が活動しています。羽根木プレーパークのように常設ではなく、月に数回、週に数回などと定期的に実施するところが多いようです。 子どもの頃、自然の中でやりたいことに思いっきり挑戦して育った子は、本当に幸せです。「プレーパークに来るようになって、自分のことが好きになった!」という子どもたちがたくさんいるそうです。一度きりの子どもの時代、思い切り自由に遊ばせてあげませんか。 取材協力:NPO法人プレーパークせたがや 参考:日本冒険遊び場づくり協会 ※全国の遊び場の活動はこちらで探せます。
2015年08月17日脳を育てることと、心を育てることは、なんとなく別のことに思えるかもしれませんが、「心=脳」ということが最近の研究の結果、明らかになっています。 以前は、児童虐待の残す傷あとは、「心の問題」であると考えられていましたが、最近の脳科学の研究では 子どものときに虐待を受けると、脳の一部に発達障害を起こす 出典:日経サイエンス2006年12月号臨時増刊 「インタビュー 熊本大学大学院医学薬学研究部小児発達社会学助教授 友田明美 子どもは親を選べない 脳科学は子どもの心を救えるか」 ということがわかっているのです。 近年話題になっている、突然感情を爆発させて暴力的になる「キレる子ども」になるかどうかも、脳の発達に関係があるそうです。脳の発達の基礎は、幼児期の親子関係の中で作られていきます。 そこで今回は、脳科学で明らかにされてきた子どもの脳について紹介します。 「キレない」ために大切なのは、脳の前頭前野 言葉を覚え、計算し、人の気持ちを感じ取るときに重要な働きをしたり、「キレる」ことのブレーキ役となったりするのは、大脳の前頭前野です。 前頭前野は脳の部位の中でも、もっともゆっくりと成長していきます。脳のおおよそは8~10歳くらいでほぼ完成を迎えますが、前頭前野だけは24~25歳くらいまで成長を続けるそうです。 つまり、脳の構成がかたまる8~10歳までに脳の基礎を育てておく必要はありますが、大脳の発達は絶えず続き、足りないものがあれば補おうと変容したり、新たな刺激や発想があればいくらでも変わることができたりする柔軟性を持っています。 つまり、8~10歳の時期を逃したら手遅れ、ということではありません。このことはしっかり覚えておいてください。 「遊ぶことは学ぶこと」なのは、前頭前野の連携を鍛えるため 前頭前野は 知性を司る領域 体を司る領域 情動(感情)を司る領域 の3つの領域に分かれています。 そのうち、知性を司る領域は、体や情動を司る領域とうまく連携できて初めて、十分な発達をとげるのだそうです。 脳科学者の篠原菊紀教授によると、 ひと昔前は、子ども同士の遊びの中でこの結びつきが鍛えられていた 出典:AERA with kids 2006年12月15日 「脳科学 発達行動学から見た早咲き脳 後のび脳」 ということです。 さらに、「今、ADHD(注意欠陥・多動性症候群)傾向や自閉傾向、LD(学習障害)といった子どもの増加が問題になっていますが、以前は子ども同士の遊びが、そうした障害の出現を抑制していたのではないか」と指摘しています。 「子どもにとって、遊ぶことは学ぶこと」と、よく言われますが、先の指摘によるとこの言葉は理にかなっており、外で大騒ぎしながら遊ぶことは、子どもの脳が健やかに発達するために大切なことといえるでしょう。 キレにくい子に育てるには、扁桃体の暴走をコントロールさせること 前頭前野のある大脳の活動を支えるのは、脳全体の中心辺りに位置する大脳辺縁系です。記憶を司る海馬のほか、扁桃体(へんとうたい)があります。 扁桃体は、生き物として「近づくべきか」「これは食べられるか」といった、危険性の判断や恐怖にかかわる部分です。幼児期に虐待されたり、愛情を与えられなかったりすると、この部分が育ち損なう可能性があるといわれています。 扁桃体では、「好き」「嫌い」という感情も決めています。ここで判断された「嫌い」という感情が攻撃欲と結びつくと、扁桃体が暴走し、いじめや衝動的な攻撃が生じるのです。 扁桃体を暴走させないためには、そのボリュームを増やしてしっかり攻撃欲をコントロールさせることが必要です。そして結果としてこれが、キレない脳、社会性を育てることにつながります。 扁桃体は、幼児期に身近な人の笑顔、愛情表現を与えることで成長が促されることもわかっています。自分を育ててくれる親を見て「好き」になり、その好きな親が笑顔で自分を見ている、という経験は、お互いに「好き」という気持ちを共感することです。この体験が他人との信頼関係を築いていく原点となるのです。 幼児期のやりたい気持ちを尊重することが脳の健やかな発達につながる 子どものうちは、前頭前野が大人のようには完成していないので、大人よりも一時的な「好き嫌い」で物事を判断します。物事の重要性や優先順位を判断したり、本能的な欲望に理性的にブレーキをかけたりするのは前頭前野の活動です。 子どもが「やってみたい」と思うことには、危なかったり汚かったり、眉をひそめたくなることもあるかもしれません。ですが、「やってみたい」気持ちをくじけさせてしまうと、 せっかく芽生えた意欲をつぶしてしまいます。ルールに従い、我慢する、他人の意図や感情を理解するのは、ゆっくり時間がかかるもの。幼児期に大切なのは、しつけの前に、「やってみたい」意欲を出来る限り尊重し、挑戦させてあげることではないでしょうか。
2015年07月28日自宅で大地震にあったら、大きな揺れがおさまった後は、どう行動するべきでしょうか? 地震そのものでの被害はなくても、その後の2次災害で命を落としてしまうこともあります。 特に、小さな子どもを抱えて安全に行動するには、しっかり準備をすることが必要です。まさかの時に備えて、地震直後に想定される危険をシミュレーションしてみましょう。 ■地震直後は、冷静に被害状況を把握しよう 地震直後は、以下の3つのステップで、自宅の状況を把握してください。 1.大きな揺れがおさまったら、まず、けがをしていないか確認します。 2.次に避難路を確保します。割れたガラスや倒れた家具、食器棚や戸棚の中身が床中に散乱しているかもしれません。靴や厚手のスリッパで足を保護した上で、玄関ドアや窓など避難路を確保し、余震で閉まらないよう、紙などを挟んでおきます。 3.火を消し、ガスの元栓を閉めます。もし出火していたら、落ち着いて消火にあたりましょう。消火剤や家庭用の消火器などを火の元の近くに置いておくと、初期消火に効果的です。 もしも消火できずに燃え広がってしまったら、すぐに避難します。煙を吸い込まないよう口や鼻を覆い、低い姿勢ではうように移動します。無事に外に脱出できたら、周りの人に大声で火事を知らせ、協力して消火に当たりましょう。 都市部では、地震直後は、消防車はすぐに来ません。普段から自治会の防災訓練に参加したり、自宅周りの消火設備を確認したりしておきましょう。そして、いざという時に助け合えるよう、近所の人とは顔見知りになっておきたいものです。 ■万が一閉じ込められた時のための対策法 もし出火していたり、大けがをしてしまったりしていたら、玄関を開けに行く余裕はないかもしれません。子どもを抱っこしながら障害物だらけの床を移動するのは時間もかかります。 そう考えると、前もって玄関ドアを耐震化しておくと安心です。特にマンションなどのスチールドアは震度5からゆがむといわれ、震度6では開けるのに200kg以上の力が必要になります。 賃貸でも簡単な取り付け工事で耐震化できるグッズがあるので、大家さんに相談してみてはいかがでしょうか。ドアとドア枠の間に低摩擦材で特殊加工をしたプレートを取り付けるタイプ(注1)や、金属製ローラーが入ったボックスを、ドア内側の上部に取り付けるタイプ(注2)などがあり、低予算でドアを耐震化できます。 また、バールを1本備えておくと、腕力のない女性でも、ドアをこじ開けたり、ガラスをたたき割ったり、家具を壊したりしての脱出や救助がやりやすくなるのでおすすめです。 (注1) 貼るだけで耐震ドア アケルくん (注2) 耐震用ドア開閉補助装置 デレル8 ■すぐに避難は× 家の外にも危険がいっぱい 安全を確保できたら、すぐに避難所へ行きたくなるかもしれませんが、大地震の直後、むやみに出歩くのは危険です。電柱が倒れたり、看板などが落下したり、ハンドルを取られた車による事故、ビルの倒壊、ガス漏れ、火災、地割れ…このほか、予期できない危険もあります。 テレビ、インターネットやラジオなどで正確な被害状況を把握し、津波や土砂崩れ、火災や倒壊の危険などがなければ自宅に留まって様子を見ましょう。子どもが幼稚園や保育園にいる時間であれば、一刻も早く迎えに行きたいと思うかもしれませんが、無事を信じて、状況が落ち着くのを待ってから慌てずに行動しましょう。 避難やお迎えに行く時は、ヘルメットと防じんマスク、手袋、底が厚い靴、長袖の服などで全身を保護し、傘などで地面を突いて、地割れがないか確認しながら歩きます。 途中で火災を見かけたら周りの人に知らせましょう。小さい子どもと一緒に移動する場合、いつどんな危険があるかわからないので、ベビーカーは使わず、抱っこが安全です。 幼稚園や保育園に着いたら、帰宅するかどうか慎重に判断します。今通ってこられた道も、帰りは通れないということもあるかもしれません。場合によってはその場に留まることや、そのまま避難所へ行くことを考え、貴重品と最低限の水や食糧を持って出るようにしましょう。 ■ブレーカーを落としてから避難しよう 地震直後は停電するので見落としがちですが、復旧過程で、電気が再び通じたときに火災が起こることがあります。「通電火災」とよばれ、重い家具などに圧迫されていたコードが加熱されることや、スイッチが入ったままの加熱するタイプの家電に、再び電気が流れることで火事になります。 火元はガスだけではありません、ブレーカーは必ず落として避難しましょう。また、地震後は空き巣被害が増えるので、戸締りはしっかりと確認。割れた窓ガラスはふさぎ、カーテンは閉めましょう。 ■地震直後は、家族としばらく会えない覚悟を 離れた家族の安否が気になるかもしれませんが、地震直後はしばらく会えないことを覚悟しておきましょう。子どもにも、すぐには迎えに行けないが、安全になったら必ず行くからね。と普段から言い聞かせておきましょう。 災害用伝言ダイヤルなどを利用したり、集合場所を具体的に決めておいたり、連絡方法についてあらかじめ家族で話し合っておくことも大切です。心配ごとを減らし、目の前の危険に冷静に対応できるよう、日ごろからしっかり準備しておきましょう。
2015年06月05日家の中で大地震にあったらどうしますか? 小さな子をもつママやパパは、その瞬間、自分だけでなく子どもの安全も守りながら、適切に行動しなければなりません。突然大きな揺れがきても、家の中は安全でしょうか? 今回は、子どもと自分の身を守る、とっさの避難方法や、自宅を安全な場所にするためのチェックポイントを紹介します。 ■ぐらっときた! その瞬間にどう身を守る? 子どもがそばにいる場合は 震度7以上の地震は、何かにつかまっていないとその場に留まることもできないような揺れです。吊り下げ式の照明は壁や天井にぶつかって割れ、机の上や棚に置かれている物は飛んできます。 そんな時、子どもがそばにいたら、なるべく安全なところで、子どもと向かい合わせになった状態で、子どもの頭を大人のおなかで覆うように抱きかかえて座りこみましょう(写真参照)。 抱っこでは、子どもが腕の中から飛び出してしまうので危険です。子どもが2人以上いる場合は、机の下などに避難し、まずは落下物から身を守りましょう。 ■地震の時、子どもが離れたところにいる場合は 子どもがすぐには親の手の届かない、離れた場所にいる時に大地震がきた場合、あわててそばに行こうとするのは危険です。揺れがおさまるまで待ちましょう。 子どもの名前を呼ぶのもやめてください。名前を何度も呼ぶと、小さな子は周りの状況もわからずママやパパのところに行こうとするので、これも危険な行為です。 子どもは恐怖で泣き叫ぶかもしれませんが、まずは大人が冷静になって、その場で頭をかかえて座り込むように指示しましょう。「だんご虫のポーズになって」と教えると小さな子にもイメージしやすいので、普段からこのポーズはしっかり教えておきましょう。 ■あなたの家は安全? 子ども目線で家の中をチェックしてみよう 地震対策でまず一番にやるべきことは、「自宅を安全な場所にすること」といわれています(注)。小さな子どもがいる家は、特に念入りに対策をして、危険を減らしましょう。 大きな家具の固定も重要ですが、余計な物をなるべく置かないようにすることも重要です。とりわけ、避難経路になる廊下やベランダなどには、なるべく物を置かないようにしましょう。 高いところに重い物は置いていないつもりでも、大人にとって腰の位置にあるものは、小さな子どもにとっては頭の上です。子どもの目線になって、落ちてくるものはないか、もう一度チェックしてみましょう。 食器棚の中身も飛び出さないように、扉にはすべてフックを付けたほうが安全です。電子レンジや炊飯器、ノートパソコン、花びんなども、頭に落ちれば重傷を負います。ジェルマットを敷くといった工夫をして、できるだけ固定しましょう。 ■ママの意識が家族を変える、できるところから少しずつ地震対策を 家の中の地震対策、できるところから少しずつ始めてみませんか。地震のことを意識するだけで、今まで見えていなかった危険に気付くでしょう。 ママが意識するようになると、家族の意識も変わってきます。小さな子でも、「自分の身は自分で守る」という意識を持つのは大事なこと。心の準備ができていれば大きな揺れが来ても、命を守れる可能性が高まります。大きな地震に、家族みんなでしっかり備えましょう。 (注)『地震から子どもを守る50の方法』(国崎信江・著/ブロンズ新社)より
2015年05月31日子どもができると、食の安全性が気になり出すもの。「遺伝子組み換え食品なんて、子どもに食べさせたくない」と思うママやパパも多いでしょう。しかし、実はスーパーで売られている加工食品の大半に、「遺伝子組み換え」品種が混入していることをご存じですか? ■どこに使われているの? 見えない遺伝子組み換え食品 2015年4月現在、日本で流通している遺伝子組み換え品種は全部で8品目290種類あり、大半がとうもろこしと大豆です (注1) 。 それらは、おもに家畜の飼料やコーンスターチ、食用油や果糖ぶどう糖液糖などの原料として姿を変え、知らないうちに食卓に上がっています。 日本では主原料の3位以内、かつ全重量の5%以上混入しているもの以外は表示の対象外で、「遺伝子組み換えでない」と書かれていても5%未満であれば混入が許されているので、表示を見ても完全に避けることはできません。 日本における食物の最大の輸入元であるアメリカでは、とうもろこしの93%、大豆の94%が遺伝子組み換え(GM)品種です。日本では家畜の飼料用作物のの自給率は26%しかなく (注2) 、「国産牛」であっても、飼料は輸入に頼っているのが現状です (注3) 。 それはつまり、家畜がエサとして摂取した遺伝子組み換え食品が、回りまわって私たちの体にも確実に入っているということ。遺伝子組み換え食品は、どこに使われているのかが見えづらいところがやっかいなのです。 (注1)日本で流通しているおもな遺伝子組み換え品種は、以下の通り。 大豆(枝豆、大豆もやしを含む)、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイヤ( 農林水産省ホームページ より) (注2)出典:ISAAA2014、作付け面積より算出 (注3)出典:農林水産省「食料需給表」 ■「遺伝子組み換えってなぁに?」子どもにこう聞かれたら、どう答えますか? そもそも遺伝子組み換え食品(GMO)の何が問題なのかと言うと、いくら安全性が保たれているとは言っても、遺伝子を操作された作物を摂取することで、人体に悪影響がまったくないとは言い切れないことです。 現に「GM食品がアレルギー発症の原因になっている」ということが、大きな問題になっています。 世界的にGM品種の作付面積は広がっていますが、人体や生態系への影響を懸念する声は根強く、欧州ではGMフライドポテトの不買運動が起きたり、震災があった国ではGM種子の寄付を断ったり、世界各地で強い抗議や反対の声が上がっています。 知っているようで知らない遺伝子組み換えのこと。気になってきた方は、4月25日(土)から「パパ、遺伝子組み換えってなぁに?」というドキュメンタリー映画が公開されているので、ご覧になってはいかがでしょうか。 この映画の監督のジェレミー・セイファート氏は、アメリカで3人の子を育てるパパであり、子育てを通して「食」について深く考えるようになったといいます。 ふとしたことから興味を持った、「遺伝子組み換え作物」について知るため、家族を連れて旅に出るジェレミー。アメリカでは現在、GM食品への表示義務がないため、その存在についてほとんどの国民は知りません (注4) 。 この映画は、取材を通して遺伝子組み換え食品の実態に迫りながら、「どんな食べ物を、家族で選択していくのか」という答えをみつけるまでの家族の成長物語になっています。 「どんな食べ物を選択するか」、それは「どんな未来を選択するか」という問いでもあります。できれば家族と一緒に観て「私たちはどうする?」と話し合ってみてくださいね。 <「パパ、遺伝子組み換えってなぁに?」 公式サイト > 2015年4月25日(土)より、東京・渋谷アップリンクほか全国順次公開 (注4)2014年5月に、バーモント州で米国初となる「GM食品表示義務付け法」が可決され、2016年7月から施行される。
2015年04月28日「子どもの頃にお話を聴く」という経験には実は、その後の人生を大きく方向づけるほどの影響力を持ち、人生を生きていく手がかりになるのだとか。子どもにお話をしてあげていますか? ■昔話には、子どもたちの生や死への関心に応える作用がある 私が子どもの頃、帰省するとよく祖母が仏壇の前でお話をしてくれました。物語というより、「人は死んだらどうなるのか」とか「どう生きるべきか」といった話でしたが、全身の神経を集中して聴き入っていた記憶があります。 お話の具体的な内容はおぼろげにしか覚えていませんが、方言によるやさしい祖母の言葉に、心に浸み込んでいくような心地よさがあったことは、今でも印象に残っています。 祖母のお話には、目に見えないものを信じたり、生や死に強い関心を寄せたりする、子どもならでは好奇心を刺激してくれるような、そんな感覚もありました。大人になって振り返ると、祖母のお話で聞いたことが、今でも心の核になっているように感じられることもあります。 自分の子どもにもそんな経験をさせてあげたいと思っていた時、大人向けのお話講座を見つけたので、通ってみることにしました。 ■昔話の魅力は、言葉のリズムと隠れた悲哀 講座では、昔話の魅力やお話を語る上で大切なことなどが解説されました。それによると、お話を語ったり歌ったりする際にもっとも大切なことは、「言葉のリズムと響き」なのだそうです。言葉を覚えたての小さな子どもは、言葉を意味ではなく「リズムと響き」で受け止めます。 講座で教えてもらった創作話の1つに「ごきぶり五郎兵衛」(注)という、みんなから疎まれる「ごきぶり」という存在の哀しさを描いた、うた仕立てのお話があるのですが、このお話の中に登場する「ごきぶり五郎兵衛ゴロゴロベエ」という唱え言葉は、小さな子どもにとても人気です。 (注)「 とらおおかみ 子どもらの心が生んだ物語 」川手鷹彦 地湧社より 「ごきぶり五郎兵衛ゴロゴロベエ」と言葉に発するだけで、楽しい気持ちになるので、ごきぶりの存在をまだ知らない小さな子どもでも、唱え言葉のリズムと響きだけでお話を楽しむことができるのです。 「ごきぶり五郎兵衛」では、みんなに疎まれたごきぶりは最後、「追われる者」として月に還ります。生きとし生けるものへの慈しみと哀しさや滑稽さ。一見楽しいお話に見えるものの、描かれているテーマは深い、それこそが昔から繰り返されてきた物語の智慧なのではないでしょうか。 言葉のリズムや響きを楽しむとともに、「人はどう生きるべきか」「死んだらどうなるのか」といった根源的なテーマへの問いの答えを、子どもたちが楽しい歌や物語の中からおぼろげに感じ取ることができること、それが昔話の魅力なのだということを、参加した講座で学ぶことができました。 ■夜寝る前に、子どもたちにお話を 子どもを夜寝かしつける時に、1つでいいので、お話を聞かせてあげてください。ママやパパがおもしろいと思ったお話で構いません。 そして、できれば本を読むのではなく、ご自身の言葉で語ってあげてください。本に書いてある内容と全然違ってしまっても構いません。よくある昔話ではなく、自分で思いついたお話でも構いません。子どもたちはお母さんやお父さんが、お語をしてくれているというだけで幸せになれるのです。 たとえば、「昔むかし、あるところに小さな女の子がいました。女の子は大きなお家に1人で住んでいましたが、ある時、お友達を探しに旅に出ました、続く~」といったように、こんなに短くても大丈夫です。 続きは次の日に、また思いついたことを話しましょう。難しく考えずに、想像の翼を広げてみると、これまで忘れていた豊かな「お話の世界」に辿り着けるかもしれません。 そうして語られたお話は、子どもたちの心に深く浸み込み、豊かな想像力によって、人生を歩む手がかりとなるに違いありません。
2015年04月09日子どもがいろいろなことに興味を持ち始める2歳ぐらいから幼稚園に入るまでの元気いっぱいな頃って、1日がと~っても長く感じられる時がありませんか? 毎日子どもと力いっぱい遊んであげたいけど、病み上がりや、雨が降っていて公園で遊べない時、児童館などがお休みの時など、なんとなく持て余してしまうこともありますよね。 また今日も1日中、家で子どもの遊び相手をするのかと思うと胃が痛い…という人のために、楽しく遊べて脳トレにもなっちゃうすごいアイテムを紹介します。 ■発達科学に基づいて開発された、幼児向け脳トレアプリ 今回おすすめするのは、発達科学に基づいて開発された2~5歳の幼児向けアプリ、「Lumikids Park」(ルミキッズパーク)。全世界で登録ユーザーが7,000万人を超える「Lumosity」(ルモシティ)という脳トレアプリの会社Lumosity(ルモシティ)が、幼児向けに開発したiPad向けの無料アプリです。 科学的な研究に基づき、認知力や運動制御能力、社会性や情緒性が鍛えられるように設計されているそうですが、とにかく「遊び」を基本にしているので、肩の力を抜いて楽しむことができます。 子どもたちは楽しみながら能力を鍛えられ、保護者は子どもが操作する様子を見て、子どもの行動について理解を深められるという、ハイブリッドな効果があるようです。 ■デジタルプレイグラウンドへようこそ! もうすぐ2歳になる息子と一緒に、「Lumikids Park」を遊んでみました。最初にアカウントの設定があり、子どもの生年月日を入力したらスタートです。 アプリ名に「Park」とつくことからもわかるように、場所の設定は公園です。ファンキーな妖精のようなキャラクターたちの目がくるくる動いたり、飛び回ったり、色のトーンも目にやさしくて、とにかくかわいいデザインです。 キャラクターの動きにあわせて、小さな子どものくすぐったいような笑い声も聞こえてきて、息子も楽しそう。早くもよい刺激を受けているみたいです。 横にスクロールしながら公園の中を進んでいきます。とりあえず動いているものにタッチすると、シャボン玉が噴き出したり、ブランコが大きく揺れたり、音が鳴ったりと、いろいろな変化が起きます。いろいろと触っているうちに、アクティビティに切り替わるポイントを発見。 最初のアクティビティは、2色の小さなキャラクターを、それぞれ同じ色の水たまりに入れるというルールのようです。成功すると「イエーイ」という声が聞こえて、小さな子でも直感的に楽しめます。 息子は、「イエーイ」の声が楽しいらしく、何回も「イエーイ」と叫んでひとしきり盛り上がりました。何度か成功すると、ちょっとずつレベルが上がっていくので、変化があって飽きさせません。 ほかにもアクティビティが2つほどありましたが、1歳児には指の操作がまだちょっと難しいようで、最初のアクティビティを繰り返し楽しんでいました。 ■使う側のレベルに合わせて、アクティビティのレベルもアップ! 「対話型」アプリの魅力 そのうち、7歳になる上の子とその友達がやってきて、「何やってるの? 面白そう!」と言って、やり始めました。 上の子たちは、飛び回るハエのようなキャラクターを動かしてえさを食べさせるというアクティビティにハマったらしく、何度もそれにチャレンジ。すると、難易度がどんどん上がってしまい、下の子にはまったくできないレベルになってしまいました。 ですが、また小さい子が使っていると、それに合わせてレベルが下がっていくようです。正直、上の子たちには退屈かなと思っていましたが、十分楽しめるようです。兄弟で同じアプリを使えるなんて便利ですね。 「対話型」の脳トレアプリというだけあって、笑い声やリアクションの声など、人の声がたくさん使われているので、黙々とやっている感じにならないのが、傍目にもいい印象が。 ルールについての説明や指示がまったくないのも、子どもにはかえってよいようで、おもちゃをいじる感覚で、どんどん遊びを発見していきます。大人が一緒に遊ぶ時は、あまり子どもに指示を出さずに、なるべく子どもが発見するのを待ちながらサポートするほうがよさそうです(ついつい「ここだよ」と口出ししたくなりますが)。 子どもと楽しく遊べて、脳トレにもなるアプリ「Lumikids」。iPadをお持ちの方はぜひ検索して、遊んでみてはいかがでしょうか。 ・関連サイト: Lumikids(ルミキッズ)
2015年03月16日「食品添加物は怖いっていうけど、表示を見てもいまいちよくわからない…」そんな声をよく耳にします。たしかに「食品添加物には、アレルギーを引き起こす危険性がある」といった指摘もされていて、食卓を預かる立場のママとしては、不安になることだらけです。 しかし、怖がってばかりいても仕方ありません。食品添加物とはどんな存在なのか、どんなリスクがあるのかを、冷静にきちんと判断するために、知っておきたいことを調べてみました。 ■そもそも、食品添加物ってなぜ必要なの? 豆腐をつくる時に入れる「にがり」や、お菓子やパンを作る時に入れる「ベーキングパウダー」、実はあれも食品添加物の1種です。このように、食品の加工や保存性を高めるために昔から使われてきたものもたくさんあります。 消費者庁のホームページによると、食品添加物とは「食品に添加することで、・味を調える・長期保存を可能にする・色や香りをつける 等の効果が得られる物質のこと」と定義されています。 では、食品添加物は、私たちが日頃口にしている食品の中にどれだけ含まれているのでしょうか? 冷蔵庫に常備しているお家も多く、手軽で便利な食品の代表といえる「ハム」を例にあげて確認してみましょう。 ある大手メーカーがスーパーに卸しているハムの表示には、「豚ロース肉、糖類(水あめ、砂糖)、卵たん白、植物性たん白、食塩、乳たん白、ポークエキス、調味料(有機酸等)、リン酸塩(Na)、増粘多糖類、カゼインNa、酸化防止剤(ビタミンC)、発色剤(亜硝酸Na)、コチニール色素、香辛料、(原材料の一部に大豆を含む)」とあり、さまざまな添加物が載っています。 それぞれ、味を調え、肉を接着し、食感をよくし、保存性を高め、色をよくし、香りと味をつけるもののようですが、ハム1枚でこれだけの種類の添加物を食べていること、皆さんはいつも自覚しているでしょうか? ■食品添加物のリスク(1)複数の食品添加物を同時に摂取することのリスクが調べられていない 厚生労働省のホームページによると、現在日本で認可されている添加物は、厚生労働大臣が指定した「指定添加物」が445品目、長年使用されてきた天然添加物として品目が決められている「既存添加物」が365品目、このほかに、「天然香料」や「一般飲食物添加物」も合わせると約1,500品目あります(2015年2月時点)。このうち、「指定添加物」は、年々増え続けています。 食品添加物の安全性は、ひとつずつ動物を使って毒性を検査し、その結果に基づいて、それぞれの食品添加物に、健康への悪影響がないとされる「許容一日摂取量」(ADI)が設定されます。 ここで問題なのは、各食品添加物を単体で摂取する場合についての安全性は調査されているものの、複数の添加物を同時に摂る場合については調べられていないことです。実際には、ひとつの食品の中にいくつもの添加物が使われていますが、それらを同時に摂取してよいかどうかについては、調べられていないのが現状なのです。 食品添加物に詳しい安部司氏も、著書『食品の裏側2 実態編: やっぱり大好き食品添加物』の中で、「複数のものが1つの食品の中で混ざり合うことで、化学反応を起こす可能性は否定できません。」と述べています。 ■食品添加物のリスク(2)一度は安全とされたものでも、リスクが見つかる場合がある 一度は安全といわれた食品添加物でも、危険性が報告される例もあります。 ・タール系色素 お菓子などの着色に使われている「タール系色素」は、子どもの活動や注意力に悪影響を与える危険性があると指摘され、それを受けて最近では「合成着色料不使用」と表示された商品を見かけます。 ・コチニール色素 食品化粧品に使われることの多い「コチニール色素」は、サボテンに寄生する虫から作られる天然色素で、安全と見られていましたが、急性アレルギー症状の発症例が報告されたことから、2012年に消費者庁が注意を呼びかけました。 ・亜硝酸ナトリウム ハムやたらこなどに使われる発色剤の亜硝酸ナトリウムは、「食肉に含まれるアミンという物質と結びついて、ニトロソアミンという発ガン性物質に変化する」(『食べてはいけない添加物 食べてもいい添加物』渡辺雄二・著)ことがわかっています。それゆえ、使用量は厳しく制限されていますが、毒性が強いとわかっている以上、なるべく避けたいものです。 上記の食品添加物のように、明らかに危険性が指摘されているものは、使用量などが制限されていますが、それ以外にも安全性が疑問視されているものが多くあります。 ■食品添加物のリスク(3)表示を見ても使用されているのがわからないことがある 製造過程で使用されていても、パッケージに表示されない食品添加物があることも、リスクを高める一因になっています。 消費者庁のホームページによると、「原則 使用した全ての食品添加物を「物質名」(名称別名、簡略名、類別名も可)で食品に表示する」、とありますが、同じ用途のものをいくつか使うと一括表示することができます。 また、加工に使われても、最終食品にその食品添加物の成分がほとんど残らない場合や、原材料に使われていても最終食品に効果が発揮されない場合(キャリーオーバー)など、表示が免除されるケースもあるため、実際には表示を見ても、使われているすべての食品添加物を特定することはできません。 そのほか、容器包装されていない、店頭でバラ売りされている食品や、対面で量り売りされている食品、店内で製造・調理された食品は、表示そのものが免除されているので、危険度の高い添加物が使われていても、わからないのが現状です。 食品添加物に詳しい中村幹雄氏は、『生活と自治』2013年12月号の中で、「いま切実に求められているのは、すべての添加物を物質名で表示する義務を製造販売者に課すこと。」であり、さらに「ヨーロッパ諸国の消費者のようにかかりつけの薬局を持ち、添加物のリスク教育を小中学校が導入すること」と述べています。 ■食品添加物のリスクを避けるため、まず調味料を見直してみよう ドレッシングや調味料、カレールウなど、台所にあるものにもたくさんの食品添加物が使われています。食品添加物を避けようと、スナック菓子やカップラーメンだけに注意を払っていても、意味がない場合もあるのです。 食品添加物のリスクをできるだけ抑えるためには、まずは醤油や味噌、塩、砂糖、みりん、酢、油などの毎日使う調味料を見直すことから始めてみましょう。なるべく昔からの製法できちんと作られているものを選ぶ、それだけで添加物は大きく減らせます。 添加物の少ない調味料は、ちょっと値段が高いと感じるかもしれませんが、子どもたちにきちんとした味覚を養うことができますし、食べ続けることで生産者を支えていくことができます。 無添加の調味料を使っていれば、たとえば時間がない時、野菜を切って塩とオリーブオイルをさっとかけるだけでも、おいしいサラダができます。食品添加物の使用をなるべく抑える努力を重ねている、信頼できる業者を見つけて、少しずつ毎日の食事を見直すことから始めてみてはいかがでしょう。 参考: 『食べてはいけない添加物 食べてもいい添加物』(渡辺雄二・著/だいわ文庫) 『食品の裏側』『食品の裏側2 実態編: やっぱり大好き食品添加物』(安部司・著/東洋経済新報社) 『生活と自治』(2013年12月号)(生活クラブ事業連合生活協同組合連合会) 食品添加物 | 厚生労働省 食品添加物表示に関する情報 - 消費者庁
2015年02月24日■大家族のような学校 閑静な住宅街にある大きな洋風の一軒家。リビングでは小さな子どもたちがゲームで遊び、キッチンでは中学生くらいの子がケーキを焼いています。2階では映画を鑑賞している子や、ipadを片手に真剣に話し合っている子も。中には大人もいますが、「ゲームばっかりやってちゃダメ! 勉強しなさい!」と叱る気配もありません。ここは一体何なのでしょうか? 実はここ、学校なんです! 米国ボストンにあるサドベリーバレースクールをモデルに、2009年に開校した「東京サドベリースクール」です。この学校には、先生も授業もテストもなく、生徒たちは自ら興味のあることを探して学びます。 「人は自分が学びたいと思ったときに最もよく学ぶ」という考えに基づき、スタッフは生徒が必要とした時だけ手伝います。今、こうした学校が非常に注目を集めています。 ■何も決まっていない自由の中で 現在、東京サドベリースクールには、7歳~17歳までの14名の生徒が在籍しています。10時~11時の間に登校し、16時の下校まで、朝夕のミーティングと掃除の時間以外、生徒たちは思い思いに過ごします。 昼食も各自、自由に取ります。学校通信を発行しているメンバーのレターミーティングや経営ミーティングなど、やりたいことを同じにするメンバーが集まって開かれるミーティングやクラブ活動もあります。 この学校には、とにかく決められたことがまったくないのです。最初は掃除もなかったそうですが、必要性を感じて話し合い、毎日全員で掃除することに決めたそうです。 学校のルールも自分たちで決め、変更したければ、また話し合います。コンサートを開きたければ、自分たちで企画します。専門的なことを学びたければ、専門知識のあるアドバイザーやボランティアにサポートを求めます。 生徒たちは「ほかの人の自由を尊重した上で、自分のやりたいことをするのが自由であり、自由と自分勝手は違う」と語ります。彼らは、コミュニティの一員としての自覚が強く、社会性に富んでいます。 ■自分と向き合うことの大切さ サドベリースクールは、デモクラティック(民主的な)スクールとも呼ばれています。日本国内に8校ありますが、フリースクールなどと同様に、法的には学校と認められていないため、生徒たちは近くの小中学校に籍を置いて卒業資格を得ます。大学受験をするには、高校卒業程度認定試験(旧:大検)を受ける必要があります。 サドベリースクールでは、やることが与えられないので、子どもたちはおのずと自分と向き合わずにはいられません。「暇だ~」といってうろうろする子もいますが、スタッフの杉山さんは、「こういう時間こそ大事」と話します。 自分が何をしたいのか、好きなことは何か、どんな人生を歩みたいのか。中高生たちが進路を選択するときにはじめて直面する大きな課題に、ここでは7歳の子も直面するのです。 卒業のタイミングも、自分で決めます。この学校で何を学んだか、ほかの生徒とスタッフ全員の前で話して、認められれば卒業することができます。 ■ゲームも算数も同じ価値 読み書きや計算すら教えず、ゲームばかりしていても何も言わない学校なんて考えられない、と思う方も多いことでしょう。 読み書きや計算は日常生活の中で必要を感じ、身に着ける子がほとんどだそうです。40年間続く米国のサドベリーバレースクールでは、今まで読み書きできずに卒業した生徒は1人もなく、卒業生の8割が大学へ進学しているそうです。 楽しいゲームも、毎日していればいつか飽きる時がくるでしょうし、あるいは飽きずに続け、ゲームクリエイターになるかもしれません。みんなでゲームを楽しむためにはコミュニケーション力も必要です。ゲームも算数も、その子が興味を持ったものに関して、ここでは優劣をつけません。 こうした学校に入りたいと思うかどうかは人それぞれですし、合わない子も当然いるでしょう。親としては子どもを100%信頼していなければ、通わせられない学校です。 ■子どもが教育を選ぶ権利 これまでは、なんとなく、「子どもが学校に行くのはあたりまえであり、理由がない限り休ませてはいけない」と思っていました。しかし、憲法には「すべて国民は、(中略)ひとしく教育を受ける権利を有する。」「すべて国民は、(中略)その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。」とあります。 本来、教育を受けることは子どもの権利であり、義務ではありません。親はその権利をまっとうさせる義務があるのであって、学校に行かせる義務があるとは書かれていません。インターネットで何でも調べられる時代に、教室で一方通行の講義を受けることが退屈と感じるのは、自然ではないでしょうか。学校に行かなければ知識を得ることができなかった時代とは状況が違うのです。 昨今では、サドベリースクールだけでなく、フリースクールやホームエデュケーション、シュタイナー学校などに通う場合も、公費支援を受けられ、卒業資格を得ることができる仕組みを作ろうという動きがあります。その子にあった教育を選べる世の中になれば、つらい思いをしている親子が減ることに繋がるかもしれません。 取材の際、サドベリーに通う子どもたちを見ていたら、自分の子に対しても、「~しなさい」ということが減りました。期待したり、押し付けたりせず、子ども本人の意思を尊重し、信頼できるようになったことは、思いがけない大きな収穫でした。 取材協力: 一般財団法人 東京サドベリースクール 参考:『世界一素敵な学校~サドベリー・バレー物語~』ダニエル・グリーンバーグ・著/大沼 安史・訳(緑風出版) 『自分を生きる学校 いま芽吹く日本のデモクラティック・スクール』(せせらぎ出版)
2015年01月26日■憧れの…家族で音楽を楽しむ風景 古い外国映画を見ていると、家族や仲間と楽しく食事をしながら、演奏にあわせて、歌ったり踊ったりして楽しく過ごす、なんて場面を目にすることがあります。あれって、とっても楽しそうだし、ステキですよね。ちょっと照れくさいかもしれないけれど、誕生日やクリスマスぐらい、家族で歌ったり踊ったりして過ごしてみたいと思いませんか? © Akino Music Together 演奏にあわせて、歌ったり踊ったりして楽しく過ごすことは、普段からやっていないと、いきなりでは戸惑ってしまうかも。テレビを見たりゲームをしたりするのと同じように、自然に音楽を楽しむような習慣があったらステキなのですが、歌も楽器も下手だから無理。と思う人が多いのかもしれません。 でも、赤ちゃんや小さな子供たちは、うたを歌ったり手を叩いたり、楽器は弾けなくても音で遊んでいます。上手いか下手かを考えなくても、本当は音楽をもっと楽しむことはできるはずです。演奏はプロがやるもの、CDはじっと聴くもの、という考え方に縛られず、肩の力を抜いて子どもと一緒に質の高い音楽を楽しめたらステキ…なんて思いませんか? ■「Music Together ® 」という親子向けの音楽講座 そんな子供と一緒に音楽を楽しむというささやかな夢にこたえてくれる子どもと参加できる講座を見つけました! その名も、「Music Together ® 」 「Music Together ® 」は、1980年代にアメリカで、幼児心理学と音楽教育学の豊富な研究をもとに、0歳からの家族で楽しむ音楽づくりとムーブメントのプログラムとして開発されたもので、いまでは約40カ国に広がっているそうです。日本にも資格をとった講師の方々が各地で講座を開いています。 研究者たちが生み出したというだけあって、マザーグース、クラシック、ジャズ、だけでなく、ロシア、中東などのローカルな音楽もあり、いろいろなジャンルの音楽に親しめるようにできています。赤ちゃんから大人まで誰でも楽しめるよう、歌うだけではなく、身体をつかって遊びながら、音程やリズム感を身体で学ぶことができます。 リトミックやわらべうたなどと似ている部分もありますが、講師のやることを、正確に真似する必要はなく、自由にアレンジしてアイデアを求められることが多い、というのが大きな特徴です。3、4歳くらいになると、積極的にアレンジのアイデアを出したり、面白い動きを考えて笑わせる子がいたりして、子どもたちは生き生きと参加しています。あらかじめ家でCDを何度も聴いてから参加するので、なんとなく曲を知っているからノリやすく、講座の後は、やったことを思い出しながら、家でも楽しむことができます。 ■子どもにも大人にも音楽を楽しむ時間を 1歳の息子は、毎回歌う「Hello song」がお気に入りで、ぐずっているときに歌うと、泣き止んでしまうことも。最近は、自分からCDを出してきて、曲にあわせて足踏みしたり、講座でやったことを思い出して遊んだりしています。ソングブック集が全部で9冊あって、3年間受講することができるので、ぜひ続けてみたいです。 小学生の上の子も、一緒に楽しめますし、BGMにもなります。習い事としてだけでなく、普段から家で音楽を楽しむ習慣ができるのが嬉しい。誕生日やクリスマスに踊って楽しむことだって、そんなに難しいことじゃなくなりそうです。子育てしていると、楽しんでいられないことも多々ありますが、とにかく何も考えずに音楽を楽しむ時間を過ごす…必要なのは、大人の方かもしれませんね。 Music Together ® 協力: Akino Music Together
2014年11月28日