元主婦マーケティング会社経営。夫婦仲、恋仲に悩む女性会員1万3千名を集め、恋人・夫婦仲相談所 運営。所長を務める。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察。恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。著作、講演、メディア取材多数。NHK離婚特集番組、セックスレス問題を考える番組等に出演。
「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクション。すべての既婚女性に送る、女性のうちに秘めるモンスターの実態を解明。
読者の方からのセックスに関するお悩みをセックスレスカウンセラーで、まじめにセックスレス、ED問題に取り組む三松真由美がアドバイスします。
男女にまつわる数々のお悩みから、女性、とりわけ妻の中に“モンスター”を見出した「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美さん。その実態を明かした人気連載「モンスターワイフ」の続編「リアル・モンスターワイフ、再び」では、三松さんが実際に遭遇したモンスターワイフの身の毛もよだつリアルエピソード、そしてあなたのモンスターワイフ度を明らかにします。
数々のお悩みから、ドス黒い闇の共通点が女性にあると感じる「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美さんによる衝撃の考察。共通する闇とは? 全ての既婚女性に送る、女性のうちに秘めるモンスターの実態を解明。
「恋人・夫婦仲相談所」の所長として、さまざまな角度から夫婦仲改善のためのアドバイスをする三松さんによるシリーズ。離婚を選択したほうが幸せになれた、つまり『ポジティブな離婚』を選択した方の実例を紹介。
夫婦共働きで女性もバリバリ仕事をしているというスタイルは、令和のご時世、珍しいものではなくなってきました。夫婦が"運命共同体"であるのは、いつの時代も変わりないことですが、そのバランスを上手く保っていくには、お互いの努力が必要です。 今回は結婚後、自分の価値観を押し付けて家庭を壊してしまった バリキャリ系モンスターワイフ のエピソードです。 こんにちは、「恋人・夫婦仲相談所」の三松真由美です。今回、ご紹介するのは、大手商社の最前線で、男性と対等に肩を並べ、結果を出してきた茉莉さんのケースです。 茉莉さんの怒りに亮平さんは… これまで茉莉さんの仕事を応援し続け、サポートもしてきた亮平さん。さらに茉莉さんから「亮平も海外希望出したら」と言われたこともあり、茉莉さんも海外転勤の辞令を喜んでくれると思っていたのですが… ところが…そのとき茉莉さんが感じていたのは「先を越された…」という敗北感だったのです。 次回に続く! ※この漫画は、男女にまつわる数々のお悩みを受ける「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が、妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクションです。 脚本・ 山崎伸子 /イラスト・ ふくみみ ■三松真由美さんの新著 『「君とはもうできない」と言われまして』 (モチ(漫画), 三松 真由美(監修)/KADOKAWA)
2020年12月26日前回からのあらすじ(【気遣い皆無モンスター】全3回) 美意識も夫への気遣いもなくなっていった妻から、夜の誘いを受けたのだが…。 人がうらやむような夫婦だった美里さんと祥太さんですが、夫婦仲はいつしか冷え切ってきました。 その理由は、ワンオペ育児の結果だけではなかった気がします。 家族が増えれば、自分だけにかけられていた時間が削られ、それに合わせて思ったような外見への追及は難しくなってしまうという側面があります。でも一緒に過ごすうえでは、表面的なことだけではない気持ちのよい空間、そして会話が大切となっていきます。 そんな空間は、ほんの少しの相手への気遣いで生まれてくるのではないでしょうか。 夫も、「妻がだらしなくなった」、「容姿に気を使わなくなった」と感じたら、「僕にも原因があるのかも?」と一瞬立ち止まってみてください。 夫からの承認は、妻にとって何よりうれしいプレゼントです! 美里さんと祥太さんは、一緒に散歩やランニングをするようになったら、コミュニケーションが増え、美里さんの精神衛生上も上向いてきたそうです。 夫婦のスタイルは夫婦の数だけあります。気持ちよい関係は、夫婦で寄り添って、2人で解決作を見いだしていただければ嬉しいです。 ※この漫画は、男女にまつわる数々のお悩みを受ける「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が、妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクションです。 脚本・ 山崎伸子 /イラスト・ 鈴木し乃 ■三松真由美さんの新著 『「君とはもうできない」と言われまして』 (モチ(漫画), 三松 真由美(監修)/KADOKAWA) 【同じテーマの連載はこちら】 モラハラ夫図鑑 この連載の全話を見る >>
2020年10月10日前回からのあらすじ(【気遣い皆無モンスター】全3回) 結婚前までは自分への意識を高く持ち、気遣いも完璧だった美里さん。しかし出産後、その気持ちが失われていき… 結婚するまでは美男美女のカップルと言われ、新婚生活もラブラブだったはずの美里さんと祥太さん。でも、いまや夫婦生活は、設定温度が低すぎるエアコンのように、冷え切っています。 仕事が多忙な夫と、ワンオペ育児に追われる妻、というのはよく聞く話ですが、事態を悪化させた原因は、他にもあったようです。 美里さんは、どんどん楽な方向に流れていき、祥太さんが帰ってきても、起きた時と同じ服のままだったり、キッチンも朝の食器まで洗わずにシンクの中に残っていたりとなっていきました。 そのだらしなさは部屋だけではなく、美里さん自身にも色濃く表れるようになっていったのです。 気がつけば、どんどん溝が広がっていく美里さんと祥太さん。結婚前に描いていたすてきな未来予想図は、早くも崩れ去っていました。 次回に続きます ※この漫画は、男女にまつわる数々のお悩みを受ける「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が、妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクションです。 脚本・ 山崎伸子 /イラスト・ 鈴木し乃 ■三松真由美さんの新著 『「君とはもうできない」と言われまして』 (モチ(漫画), 三松 真由美(監修)/KADOKAWA) 【同じテーマの連載はこちら】 モラハラ夫図鑑 この連載の全話を見る >>
2020年10月09日自分へのモチベーションを意識したことってありますか? 自分磨きに余念がなかった美里さんの場合、最上級のパートナーをゲットし、羨望の眼差しを浴びた結婚式の日が、その頂点をマークした日でした。 美里さんは、その最高値をキープし続けようと、新婚生活も日々頑張ってきましたが、長男の健くんを出産後、ワンオペ育児となってから、そのモチベーションが右肩下がりになっていきました。 こんにちは、「恋人・夫婦仲相談所」の三松真由美です。今回の問題点として、パートナーの祥太さんの態度もあるでしょう。でもそれを引き起こしたのは、出産後、モンスターワイフ化した美里さんにも原因があったようです。 美里さんは、出産するまでは子どもがいても毎日メイクをきちんとして、キレイなママでいようと心に決めていたと言います。 しかし結婚前は会えば毎日褒めてくれた祥太さんも何も言ってくれず、美里さんの中で何かがキレた音がしたそうです。 昼間は泣いてばかりの息子・健くんと2人だけの生活。出産後にはすぐに体型も戻そうと思っていたけれど、自分の体型を気にかける時間を取ることもできません。 そうして次第に美里さんは変化していきます…。 脇毛も気にすることがなくなり、食事も食べたいだけ食べる生活へ…。 子どもに恵まれ、よりハッピーな生活になるはずだったのに、少しずつ夫婦の間に吹き始めた隙間風。 美里さんはその風に気がついていませんでした。 次回に続きます ※この漫画は、男女にまつわる数々のお悩みを受ける「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が、妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクションです。 脚本・ 山崎伸子 /イラスト・ 鈴木し乃 ■三松真由美さんの新著 『「君とはもうできない」と言われまして』 (モチ(漫画), 三松 真由美(監修)/KADOKAWA) 【同じテーマの連載はこちら】 モラハラ夫図鑑 この連載の全話を見る >>
2020年10月08日前回 からのあらすじ(【疲れはてたバリキャリ系モンスター】全3回) 完璧であろうとしながらも疲れで攻撃的な口調となる妻。そんな姿に夫は結婚を後悔し始めていき…。 隼人さんは、結婚したことを後悔しはじめました。まじめで頑張り屋のところが好きで結婚したのに、度を越してパーフェクトを目指そうとする亜紀さんとの生活は窮屈で体も心も休まりません。 結婚する時、「隼人の理想の奥さんになるね」とほほえんでいた亜紀さんは、理想の奥さんからどんどんかけ離れていることに気づきませんでした… 亜紀さんの世代は、母親が専業主婦であることがまだ多かった世代。それなのに現代社会で男性と肩を並べてバリバリ働きながらも、家庭でも専業主婦の母親がこなしていたレベルの家事を自分に課してしまう女性がいます。 特に、母親の家事レベルが高かった場合、その傾向が強く、さらに真面目過ぎる人ほどこうした苦境におちいってしまいます。 「『大変でも我慢して頑張っている自分』こそえらい」「苦労してこそ評価される」…そんな考え方にとらわれてしまっていたと亜紀さんは話します。 仕事と家庭の両立に熱心になるあまり、一歩間違えるとモンスターワイフとなってしまう…。そうなる前に、自分の中の生き方、妻像を臨機応変にシフトしていきませんか? そうしないと自分自身を圧迫し、夫婦生活に亀裂を招くことになるかもしれません。 ※この漫画は、男女にまつわる数々のお悩みを受ける「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が、妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクションです。 イラスト・ あん子 ■三松真由美さんの新著 『「君とはもうできない」と言われまして』 (モチ(漫画), 三松 真由美(監修)/KADOKAWA) 【同じテーマの連載はこちら】 モラハラ夫図鑑 この連載の全話を見る >>
2020年08月28日前回 からのあらすじ(【疲れはてたバリキャリ系モンスター】全3回) 仕事では「デキる女」、家庭では「愛され妻」を両立したい亜紀。しかしその完璧さに夫は窮屈さを感じていて…。 会社でも家庭でも完璧なパフォーマンスを発揮しようと奮闘する亜紀さんは、本日の「家事 To Do」を眉間にしわを寄せながらこなしていきます。しかしその姿は、はたからみてもくたくたでボロボロ。 そしてその疲れが、夫である隼人さんに対しても、キツイ言葉となって表れはじめました。 がんばる亜紀さんを隼人さんは労ろうとするのですが… 亜紀さんに謝られてしまうと、隼人さんは文句を言うことができなくなり、心の中に不満ををため込んでいきました。 家庭の中には疲労とストレスが蓄積。家庭の空気が悪くなり、夫婦ケンカも増えていきます。 亜紀さんはいつも疲れていて不機嫌なので、雰囲気も悪くなり、2人で過ごす楽しい時間も甘い夜もなくなっていきました… 次回に続きます ※この漫画は、男女にまつわる数々のお悩みを受ける「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が、妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクションです。 イラスト・ あん子 ■三松真由美さんの新著 『「君とはもうできない」と言われまして』 (モチ(漫画), 三松 真由美(監修)/KADOKAWA) 【同じテーマの連載はこちら】 モラハラ夫図鑑 この連載の全話を見る >>
2020年08月27日仕事をバリバリ頑張り、家事にも一切手抜きなし。そんな妻をもった夫はさぞかし幸せかと思いきや、夫婦仲はイマイチ…。 こんにちは、「恋人・夫婦仲相談所」の三松真由美です。今回ご紹介するのは、そんな亜紀さんと隼人さんのケースです。 始業10分前に駆け込んだ会社の女子化粧室で、鏡に映る自分の姿に、亜紀さんは朝からゲンナリしていました。でも、亜紀さんは朝から洗濯機を回し、お弁当や朝食も完璧に作って、仕事では昇進を目指す、仕事と家庭の両立に全力なタイプです。 理想が人一倍高い亜紀さん。会社で評価されたい。そして家庭でも「理想の奥さん」でいたいと思っていたのです。 しかし、マンションの入り口が見えると、亜紀さんは現実に戻り、家に帰ってからやらなければいけない家事を思い浮かべながらため息をつくのでした。 亜紀さんは、真面目にがんばる仕事ぶりが評価され、半年前にチームリーダーに昇進しました。だからといって家事の手抜きは厳禁。 そんな「デキる女」と「愛され妻」を両立しようという亜紀さんだったのですが、家庭に隙間風が吹き込んでいることを気が付かなかったのです… 次回に続きます ※この漫画は、男女にまつわる数々のお悩みを受ける「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が、妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクションです。 イラスト・ あん子 ■三松真由美さんの新著 『「君とはもうできない」と言われまして』 (モチ(漫画), 三松 真由美(監修)/KADOKAWA) 【同じテーマの連載はこちら】 モラハラ夫図鑑 この連載の全話を見る >>
2020年08月26日前回 からのあらすじ(【モラハラ妻モンスター】全3回) 妻は家にあるものを勝手に何でも処分。子どもたちの前では、「パパはダメ人間」と毎日のように繰り返され… 夫の持ち物にまで、片付けに狂った妻の魔の手が伸び、もはや片付けをめぐる衝突は日常の一部へ。自分の考えを押し付ける妻が異常なのか、それとも自分がダメな人間なのか…わからなくなる裕貴さんだったのですが…。 そんな日々の中、友梨佳さんはついに裕貴さんのささやかなコレクションにさえ手を付けてしまいます。 モラハラの加害者はいつも夫とは限りません。じつは、強力なモラハラ系モンスターワイフも、そこかしこで暗躍しているのです。 SNSによって他人の暮らしぶりや持ち物といった他人のスタイルをすぐマネしたくなる人は、じつは本当の意味で、自分に自信をが持てず、その不安をかき消すために周りの人まで巻き込もうとするのです。 自分の生き方に満足していると、人の生き方も尊重でき、モラハラモンスターも侵入することはできません。 ※この漫画は、男女にまつわる数々のお悩みを受ける「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が、妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクションです。 イラスト・ あん子 ■三松真由美さんの新著 『「君とはもうできない」と言われまして』 (モチ(漫画), 三松 真由美(監修)/KADOKAWA) \「モンスターワイフ」が動画に!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪
2020年07月23日前回 からのあらすじ(【モラハラ妻モンスター】全3回) 何かにハマってはすぐに冷める妻。今回ハマったのは「片付け」だったのだが、その行動はエスカレートして行き… これまで雑貨コレクターと化して、あらゆるものを買ってはすぐに放置を繰り返してきた妻の友梨佳さん。ところが事態は思わぬ展開に! 彼女はブームに乗って片付け魔へと変身したのです。 何でも勝手に処分する友梨佳さんに意見しても、お決まりの「あきれた」「あなたは何も分かってない」という顔をし、さらには自分のやり方が通らなければ逆上し、泣きわめく。 裕貴さんはそんな日々に疲れきっていきます。 そのうえ、子どもたちの前で、「パパはダメ人間」と毎日のように繰り返され、一体なぜこんな妻と一緒にいるのかを裕貴さんは自問するようになっていきます。 そしてある日、決定的な出来事が起こるのです。 次回(7/23UP!)に続きます ※この漫画は、男女にまつわる数々のお悩みを受ける「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が、妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクションです。 イラスト・ あん子 ■三松真由美さんの新著 『「君とはもうできない」と言われまして』 (モチ(漫画), 三松 真由美(監修)/KADOKAWA) \「モンスターワイフ」が動画に!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪
2020年07月22日夫婦であっても、夫はあなたとは別の人間。あなたとは違う感じ方、考え方、好み、ポリシーを持っていて当然です。 でも相手のことが認められない場面も出てきてしまう。 「この人の、こういうところがどうしても理解できない」 「せっかくアドバイスしてあげてるのに、まったく聞く耳を持ってくれない」 長く寄り添うからこそ、夫に気になる言動があったら、直して欲しい、自分のやり方に従ってほしい…。 悪気がないこの気持ちは、あなたも知らないうちに、モラハラ系モンスターへの第一歩を踏み出し始めているかもしれません。 こんにちは、「恋人・夫婦仲相談所」の三松真由美です。今回ご紹介するのは、そんな友梨佳さんと裕貴さんのケースです。 「片付け」の素晴らしさについてお決まりの熱弁を続けている妻をその場に残して、フラフラと寝室に逃げこんだ裕貴さんですが、以前の友梨佳さんは、浪費と衝動買いを繰り返す「片づけられない妻」だったのです。 ついこの前まで足の踏み場もないぐらいにモノを買いあさっていたのに、今度は『ミニマリスト』と宣言する友梨佳さんに、裕貴さんは理解ができず苦しみます。 そしてずぼらな友梨佳さんは、「フライパンでトースト」が1週間も続くわけもなく、すぐに食パンは何もせずにそのまま出されるように…。 先日は、「使われていない不要なものは、負のエネルギーを出す」と演説をして、買ったばかりのホームベーカリーも消えてしまったといいます。しかしこれも「手作りパンが子どもに良い」とネットで見た友梨佳さんがさんざわめいて買ったものだったのです。 しかし「まだこの頃はましだった…」と裕貴さんは言います。この後、友梨佳さんのお片付け熱の異常さはさらに過激になっていったのです…。 次回(7/22UP!)に続きます ※この漫画は、男女にまつわる数々のお悩みを受ける「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が、妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクションです。 イラスト・ あん子 ■三松真由美さんの新著 『「君とはもうできない」と言われまして』 (モチ(漫画), 三松 真由美(監修)/KADOKAWA) \「モンスターワイフ」が動画に!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪
2020年07月21日前回 からのあらすじ(【子どもが恋人モンスター】全3回) 夫の育児参加を拒否し、話しかけるのはお金が欲しいときだけとなった妻は… 亜由美は、夫との関係になどまったく関心がないように見えていきます。夫が、夜ベッドで誘えば、「隣で子どもが寝てるのに、信じられない」という、軽蔑に満ちたまなざしを向ける妻。 敬二は、産後十分な期間待ったつもりでも、何度も冷たく断られ、次第に夜の生活は遠のいていきます。 そんなある日… その後、亜由美さんと敬二さんは冷戦状態に突入しました。離婚も考えたという敬二さんですが、「妻は絶対に親権を譲らないでしょうし、子どもを置いて働きに出ることも考えないでしょう。離婚した場合、僕は毎月いくら、妻と息子に払い続けるのか…」と八方ふさがりの状態だといいます。 育児、教育に関する情報も徹底リサーチし、「わが子のことを一番よく理解しているのも、わが子にとってなにが良いかを知っているのも自分」と信じて疑わない妻。 本当は、最高の相談相手であるべき夫が隣に座っているのに。 「今は子どものことしか考えられない」というあなたも、もう少し先の夫婦の生活を考えてみてはいかがでしょうか? ※この漫画は、男女にまつわる数々のお悩みを受ける「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が、妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクションです。 \「モンスターワイフ」が動画に!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪ イラスト・ 山口しずか
2020年07月06日前回 からのあらすじ(【子どもが恋人モンスター】全3回) 仲が良かった夫婦が、妊活によってヒビが入り始めて… この家の王様は陽翔で、亜由美はその忠実な従者。そして、自分は…この家庭にとって自分は、ただのATMだ。 いつしか敬二はそんな風に感じるようになっていきます。 次回(7/6UP!)、亜由美と敬二との間に、決定的な亀裂が入ってしまいます ※この漫画は、男女にまつわる数々のお悩みを受ける「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が、妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクションです。 \「モンスターワイフ」が動画に!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪ イラスト・ 山口しずか
2020年07月05日「子どもが生まれたら、子ども中心の生活」。 それが大多数の夫婦の現実かも知れません。けれど、夢中で子どもを追いかけ回しているうちに、気づけば夫が置いてけぼり…。そんなライフスタイルが、夫婦仲にヒビを入れる可能性があることも忘れてはいけません。 こんにちは、「恋人・夫婦仲相談所」の三松真由美です。今回ご紹介するのは、そんな亜由美と敬二のケースです。 妊娠しづらい体質であることがわかった亜由美は、妊活の成果が出ないことにひどく落ち込んだり、感情的になることが増えていったそうです…。 まるで汚いものでも見るような妻。そんなまったく予想もしていなかった妻からの反応に、敬二は傷つきます。と同時に、心には不満も芽生えてきたのです。 「俺は精子バンクか」 しかしようやく授かった子どもに妻がナーバスになるのは無理ない話。 「妊娠中の女性は気持ちが不安定になるという。この件は、自分が悪いんだ。夫婦仲良くわが子を迎える準備をしよう」 敬二はそう思おうとしていたのですが…。 次回(7/5UP!)に続きます ※この漫画は、男女にまつわる数々のお悩みを受ける「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が、妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクションです。 \「モンスターワイフ」が動画に!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪ イラスト・ 山口しずか
2020年07月04日前回 からのあらすじ(【かまってちゃんモンスター】全3回) 夫ともっと一緒にいたいのに…夫は私に関心がない…。夫のためにキレイにしているのに、夜の生活もないことから、プライドがずたずたな香織は合コンへと走り出してしまい…。 合コンにいくようになってからの香織は、久しぶりに、大きな満足感を味わっていました。 自分にはまだまだ価値がある、男を操れる魅力があるのだと、自信を取り戻すことができていたのですが…。 夫に振り向いてほしくて、構ってほしかった香織。 そんな香織が「自分で自分の人生をなんとかしなきゃ!」と自立を目指しはじめたら、夫婦仲は少しずつですが確実に回復していっているそうです。 もしあなたが香織に近いタイプだと感じたら、まずは自分で自分を楽しませる、満足させる術を持つ女性を目指してはいかがでしょうか。なぜなら、そんな女性はたとえ夫婦仲に問題が生じても冷静に対処できるからです。 「かまってちゃん」モンスターとなった香織。とにかく誰かに甘えたい、自分を認めて欲しくて仕方がない。そして、そんな「かまってちゃん」な性格の背景には、自分への自信のなさが潜んでいることが多いのですよ。 ※この漫画は、男女にまつわる数々のお悩みを受ける「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が、妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクションです。 \「モンスターワイフ」が動画に!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪ ▼ 「モンスターワイフ」 ▼ 『リアル・モンスターワイフ、再び』 イラスト・ 山口しずか
2020年06月09日前回 からのあらすじ(【かまってちゃんモンスター】全3回) 「夫にかまってもらえないのが寂しくて」と合コンに走るようになった香織。いつもきれいにして夫にも愛される専業主婦が理想だった香織だが、夫は結婚してからかまってくれなくなり…。 「仕事との両立なんてしんどいことはまっぴら」というのが本音で専業主婦になった香織。 時間にもお金にも余裕があって、いつもきれいにしていて夫にも愛される専業主婦。それが彼女の理想だったのです。 しかし結婚してみると、自分を大切にしてくれるはずの夫が、自分のために時間を割いてくれず、彼女は自分が軽んじられる気がして我慢できなくなっていき…。 妻のことになどまったく関心がないような夫の態度に、香織は自分の中でなにかが崩れ去るのを感じていました。 「とにかく誰かに『かわいい』と言ってもらわなければ! 自分をほめて、大切にしてくれる男がいなければ、私は干からびてしまう…」 香織は、そんな想いに囚われていきます。 その日を境に香織は夫を、結婚生活をかえりみなくなり、夫婦仲の悪化は加速していくのですが…。 次回(6/9UP!)、合コンに没頭するようになった香織にある転機が訪れます。 ※この漫画は、男女にまつわる数々のお悩みを受ける「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が、妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクションです。 \「モンスターワイフ」が動画に!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪ ▼ 「モンスターワイフ」 ▼ 『リアル・モンスターワイフ、再び』 イラスト・ 山口しずか
2020年06月08日吟味を重ねて理想の夫と結婚したはずの香織。しかし、彼女は「私だけを見て」と合コンを渡り歩く「かまってちゃんモンスター」と化していきます。 なぜ夫に大切にされる生活を夢見て結婚した彼女が、そんな危ない橋をわたることになったのでしょうか。 香織は、結婚したら一緒に過ごせる時間が増える分、これまで以上に真司が満足させてくれるはずと思っていました。 香織にとっては、結婚したら「ずっとお姫様気分で暮らせる!」が理想。 しかし「私のために時間もお金も工面できないと言うこの男が、私が厳選した理想の夫?」と、真司との新婚生活は幻滅の連続となっていきます。 次回(6/8UP!)、夫との夜の生活の不満によって夫婦に亀裂が入っていきます。 ※この漫画は、男女にまつわる数々のお悩みを受ける「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が、妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクションです。 \「モンスターワイフ」が動画に!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪ ▼ 「モンスターワイフ」 ▼ 『リアル・モンスターワイフ、再び』 イラスト・ 山口しずか
2020年06月07日前回 からのあらすじ(【夫放置モンスター】全3回) 里帰りした妻は、出産後も戻ってこず、父親である大樹が妻実家に子どもを会わせてもらいに通う日々に。ようやく戻ったものの、ひとりで育児ができない妻は実家の母を頼り…。そんな中、妻実家近くへの引越し話が持ち上がる…! 妻との夫婦時間が持てないことに危機感を感じていた夫の大樹。妻実家近くに住むことに躊躇したが、近距離ならば義母が泊まることも少なくなり、夫婦の夜生活も家族時間も取れるはずと、引越しを決意したのだが…。 自分と息子さえ快適に過ごせれば、夫のことなどお構いなし、というモンスターとなってしまったあずさ。自分の都合や利益しか見えなくなり、相手に対する思いやりが持てなくなる。これはモンスター化の始まりです。 「夫に頼れないから、実家に頼るしかない」と考える妻。「娘が大変な時には、助けてやりたい」と思う妻の実家。どちらにも悪気などないでしょう。けれども、注意していないと、この「妻・実家協力体制」が夫婦仲を崩壊させる恐れもあるのです。 ※この漫画は、男女にまつわる数々のお悩みを受ける「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が、妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクションです。 \「モラハラ夫図鑑」が動画に!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪ ▼ 「モラハラ夫図鑑」 ▼ 『リアル・モンスターワイフ、再び』 イラスト・ 山口しずか
2020年05月11日前回 からのあらすじ(【夫放置モンスター】全3回) 夫の大樹、息子と妻あずさの3人暮らしの家族。しかし夫が帰宅しても食事も風呂も用意はなかった。なぜなら妻は実家で風呂も食事もすませてくるから。さらには「食費を浮かしてやってる」と言い放つ妻。なぜこんなことに…? ひどいつわりの中、夫は仕事で助けてくれず、妻を救ってくれたのは実の母。妊娠中に夫と協力できなかった妻あずさは、出産までまだ時間があるなか里帰りをすると言い始めたのです。 「家族水入らず」の生活が、初めから難航し、出産後の大変な状況を夫婦で協力ができなかった大樹とあずさ。さらに義母に甘える妻を女性としてみづらくなり、夜の生活も遠のいていきます。 「そろそろなんとかしないと、まずいのでは?」と大樹が危機感をいただく中、浮上した引越し。これにより大樹は少しでも妻との距離を縮められることを期待したのですが、これが致命的な決定打に! 次回、完全に崩壊した家族の行く末、そして「夫放置モンスター」にならない方法をお届けします。 ※この漫画は、男女にまつわる数々のお悩みを受ける「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が、妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクションです。 \「モラハラ夫図鑑」が動画に!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪ ▼ 「モラハラ夫図鑑」 ▼ 『リアル・モンスターワイフ、再び』 イラスト・ 山口しずか
2020年05月10日仕事ばかりの夫に対して、妻は文句も言わずに「子育てをがんばっている」と思っていました。しかし、夫婦間では絶対忘れていけないものがあったのです。 妊娠中に夫婦で協力して乗り越えることができなかったあずさと大樹。そして里帰りを決めたあずさの行動が、夫婦仲の破綻の一途をたどることになったのです。 次回、破綻の始まりは長めの“里帰り出産”をお届けします。 ※この漫画は、男女にまつわる数々のお悩みを受ける「恋人・夫婦仲相談所」所長・三松真由美が、妻の中に見出した“モンスター”の実際の事例を分類し、リアル・エピソードをべースにしたフィクションです。 ▼ 「モラハラ夫図鑑」 ▼ 『リアル・モンスターワイフ、再び』 イラスト・ 山口しずか
2020年05月09日読者の方からのセックスに関するお悩みをセックスレスカウンセラーで、まじめにセックスレス、ED問題に取り組む三松真由美がアドバイスします。 【夫婦に贈る夜のお悩み相談】 私のまわりでは、セックスレス問題は妻側がその気にならず、夫との温度差に悩んでる方が多いです…。 だから 前回の記事 を読んで、妻のほうがしたくて悩んでいる場合も多いのか?!と驚きました。妻が避けたい場合はどうしたらいいのか教えてほしいです。嫌々でもたまには受入れるべきなんですかねえ… (めぐみ) 夜の営みを拒否するのは夫か妻か問題! めぐみさんの周りには「妻がしたくない」友達が多いのですね。この状況で安心してはいけません。ワイワイ集まる女性のお茶会、実は本心を告げていない方もいると思います。 私も長年ママさんサークルで、ママお茶会を開いてきましたが、自分の性の欲求、夫の求め具合の詳細を話す方はほとんどいませんでした。かいつまんで話す、大事なとこだけ隠して話す。 つまり核心は開示するひとは少ないという見解です。 性の衝動や願望はひとそれぞれで、オーガズムを感じて完遂という人もいれば、ムギュっと抱きしめてくれれば…とかキスだけで満足という人もいます。挿入は苦手だけどタッチはしてほしい人もいます。 どのレベルをもって自分の性欲感覚をジャッジするかには個人差がある のです。 例えば「夫は遅漏で時間が長いから挿入はイヤ。でもタッチはしたいけど夫はそれでは気がすまないから、私のほうが最初から拒んでるのよ」など、お友達に細部まで心情を解説するひとは多くないでしょう。夜の営みが苦手な理由は、計り知れないバリエーションがあるのです。 よって「私の周りは苦手な友達ばかりだから、これが普通なんだ。拒んでいいものだ。」と危険な判断をしがちです。夜の営みが苦手な友達を安全圏と思うなかれ。 隣の寝室事情と自分の寝室事情は切り離して考えてください! なぜ「拒んでいい」が、危険な判断かというと 嫌なのは「夜の営み」だけ? めぐみさんは「嫌々でもたまには受け入れるべきか」とのことですが、その「嫌々感」の原因を考えないと、子どもが手を離れて、また2人の生活がはじまるころに北風がピューと吹きすさぶ状況が目に見えます。セックスレスは 愛情を表現する行動ができなくなっているサインの1つ なので、無視し続けると「嫌々感」は寝室のみならず日常に漂い始めます。 夜の営みだけが嫌なのか? 他にも夫の嫌な部分が増加してきているのではないか? もしかすると夫も私に「嫌々感」が増してるのではないか? セックスレス問題を通して、何が問題なのかを改めて考えてみてください。「嫌々感」からまず2人の関係性を見つめてみませんか? 拒んだ翌日の夫の心中を想像してみましょう。数回拒むと、男性も傷つきます。拒んだ理由を自分でも考えて、話し合いをしようなど夫と向き合おうとしていますか?相手の性的欲求を無視せず、すり合わせようという気持ちがあるのかどうかで今後が変わると思います。 「嫌々受け入れる」のはNG! 私もセックスがなくても仲良しという夫婦にたくさん出会ってきました。しかし、性の衝動は環境や身体の変化、ホルモンバランスによって都度変化するものです。30代では「なくても仲良し」だったけれどアラフォー世代になってどちらかが不満を言い出すケースも多いのです。とくに女性は生理、出産、閉経などによって体調と性意識の変化が大きいです。 めぐみさんも 「おばあちゃんになる前に女性として求められたい」 「このまま閉経になるのは寂しい」とフッと思うこともあるかもしれません…。 さて、めぐみさん、「嫌々でも受け入れなければ」の回答ですが… 「嫌々受け入れる」のはおススメしません。 「喜んで受け入れる」ために、相手の希望とすり合わせる工夫をする。そのためには、夫と向き合う覚悟が必要です。 そして、その前に…なぜ拒みたくなるのか。自分の問題か。夫の問題か。これをクリアにすることなしに先には進めません。本気で改善したいと思うのであれば、 その理由にフォーカス し、そこを治す努力ができれば「嫌々感」は減少してきます。 まずは、なぜ嫌なのか…の理由を深堀りして、自分と向き合ってみてくださいね!
2019年11月20日読者の方からのセックスに関するお悩みをセックスレスカウンセラーで、まじめにセックスレス、ED問題に取り組む三松真由美がアドバイスします。 【夫婦に贈る夜のお悩み相談】 40歳結婚3年目で子どもは2歳になります。夫とは仲が良くて幸せなのですが、夫とのセックスが嫌なのです…準備ができる前に入れるから痛い。前戯の仕方を教えようにもポイントがずれていて気持ちが悪くて…。 夫は経験人数が少なく、セックスの楽しみは入れることだと思っています。それだけじゃない事を伝えたいけどどう伝えたらいいのか…毎日ハグはしてるのでハグだけで一生を終えたいです。でもセックスの良さも分かりますし、夫が求めてきます。どうしたらいいでしょうか。(美香) 女性の性欲は40代で二極化する 美香さん、40歳!まさに私が唱える「女性の性欲は40代で二極化する」のスタート地点に立っておられます。美香さんの寝室事情がこの先、天国になるか、地獄になるか、まさに運命の分かれ道の時期です。この大切な時期に美香さんはちゃんと「夫婦間セックスの大切さ」に気づいています。それは妻としては素晴らしいことなのです。前戯のポイントがズレている、準備できていないのに挿入…世の妻たちの不満の代弁をしてくださってありがとう。夫のセックスに同じような感想を持つ妻たちがウンウンと頷く姿が浮かんできました。 「ハグだけで一生終えたい」と思う反面、セックスの良さもちゃんと理解しておられるので、もしセックスレスになってしまうとこの先、どうなるか。美香さんは「何か足りない…」とジクジク悩んでしまう姿が私には見えます。間違いない。 ではどう改善してゆけばよいかにお答えすると… 自分の好みを把握する 前戯の仕方に関しては、人によって好みも違いますので…美香さん向けにカスタマイズしてもらわなければなりません。まずどんなタッチが好きか、どこにタッチされたいか、強さはどれくらいがいいのかご自身でわかってらっしゃいますか? わかっている場合…羽のような軽さでふわっと触られたいときもあれば、ガッツリワイルドに…などを伝えるには、口頭ではむずかしい。よって美香さんが、私がやることを真似してと伝え、めんどうくさがらず、一歩ずつ。人はまず模倣から上達の道をたどります。また、美香さん自身が自分の好みがよくわからない場合…自分で探索、確認、開発するしかありません。 もうひとつ、 前回の記事 でも言いましたが、女性向けセクシーな動画で気に入ったものがあればそれを観ながら手本にしてもらうのもいいと思います。いまの状況を嘆いていても仕方ないので、不満を感じるくらいが成長の見込みがあるのだと思って、夫婦間セックスを2人で作り上げていきましょう。 久々のセックスはセカンドバージンのようなもの 夫のセックスを拒否する方たちの意見で「痛いからしたくない」という理由でセックスレスに突入する割合は、非常に多いです。特に産後2年以内は突出しています。お産時の痛みがフラッシュバックして緊張してしまう方もいます。 そして、子どもが成長してそろそろ再開という久々のセックスはセカンドバージンのようなもの。性器官も使ってないと衰えます。よって私は、事情があってセックスレスになったとしても自分で膣メンテナンスをすることをおすすめしています。 美香さんの場合は、夫のテクニックの未熟さが痛みを起こしているとのことなので、美香さんが迎え入れる準備がどういう状態なのかを教えてあげましょう。美香さんが挿入OKの膣の状態を自ら作り出しておき、これくらい潤っていてやっと痛くないのだと、確認してもらうことが…できるといいのですが。 私が運営する夫婦仲相談所では 「夫が私をオンナとして見てくれない」 「今さら何言ってるんだと言われた」 とおっしゃる方も多いです。 ですが、美香さんの旦那さんは、毎日抱きしめてくれるし、夜も求めてくれるというのは、美香さんをちゃんと異性のパートナーとして扱ってくれている素敵な旦那さんだと私は思います。 「家族としては大事だけど色気は感じない」「妻だけED」「仕事とセックスは家庭に持ち込まない」「盆暮れのイベントでしてあげてる」と言ってしまうような男性も少なくないですが、私はそういう発言は失礼なことだと思っています。 美香さんと旦那さんは家族となっても異性の関係を維持しているハッピーカップルです。2人で改善に取り組めば、きっと楽しい時間になると思います。エンジョイ!
2019年10月03日はじめまして。読者の方からのセックスに関するお悩みをセックスレスカウンセラーで、まじめにセックスレス、ED問題に取り組む三松真由美がアドバイスします。 【夫婦に贈る夜のお悩み相談】 夫のセックスがいわゆるAVのようなセックスで、力は強いし激しく動けばいいと思ってるようで…で、全然気持ち良くありません。正直言って、いままで付き合った人の誰よりも下手です。 でも男のプライドや自信(?)もあるみたいなので、なかなか改善や誘導が難しいと感じています。よく聞く「もっとゆっくりが気持ちいい」という言い方を試してみたのですが、あまり効果はありません。 何かいい方法はないでしょうか?(あき子) ■なぜ男性はAVセックスになるの? どうして男性は、AVセックスになってしまうのか…。 AVに出てくるようなセックスしかしない男性はあき子さんの旦那さんだけではありません。ニッポンのAV文化は男性がたの背中を押したり、スッキリさせたりと良い面もたくさんあります。でもでもマイナス面は「AVでしているようなセックスが正しい」と考える男性が増えたことです。 リアルセックスにAVの知識を持ち込むことで、女性は「痛いんだけど!」「これじゃイケない…」「何か違う…」など不満を感じる人も多いのです。男性側の意見を聞きますと「女優さんが気持ちよさそうだからAVをお手本にしている」と…。 そういえば、「女性がうれしいセックス」などを教えてもらったことがない。つまり知識がない。実際にある男性に「最後には、彼女の顔に発射するのが普通だと思っていた」と真顔で言われたとき、私はのけぞってしまいました。「それをされて嬉しい女性はいったい何割いるのでしょうか…」。セックスに対する男女の温度差が一番現れている発言だと思いました。AV作品はフィクションです。ファンタジーと言い換える男優さんもいます。ファンタジーであることを世の男性にわかっていて欲しいです。 ですが「セックスのやり方を、どこで習えばいいかわからないからAVの模倣をする」というのが一般的な意見でしょう。あき子さんの旦那さんも、おそらくAVで習得されたのです。学習の場がなかったのですから、しょうがない。今までのことは水に流しましょう。これから新しいステージに2人で上がればいいのです。 ■男性は、女性がうれしい「セックス」を学んだことがない 私の持論は「過去のセックスの積み重ねが現在のセックスを作り上げる」です。 男性が上達するには、パートナーが「そこは痛い」「次は私が動くからじっとしていて」と具体的に伝えて導くことでAVセックスとリアルセックスは違うのだ! と気づきを得るのが理想です。しかし性経験が少ない、あるいは過去のパートナーが何も言わずにスルーしていた場合、変わりません…よね。 あき子さんの旦那さんは「これでいいのだ」と思い込んでいます。あき子さん、はやく終わって欲しいのでイッたフリなどしていませんか。気持ちはわかりますが、それを続けると成長しません。 ステップアップのポイントは… ■夫に独りよがりなセックスを卒業してほしい! そんな妻がやるべき夜のアクション3つ (1)具体的な言葉と仕草で伝える 「やさしくして」という抽象的ワードでは夫には伝わりません。「このくらいの強さで触って」と自分から相手を触ってみせたり「このくらいの速さで動いて」と具体的に。 お習字を子どもに教えるとき、背後から子どもの手を取り一緒に筆を動かすという感覚で、妻も自ら身体を使って具体的なセックスのオーダーを出してみましょう。 (2)自分がしてみたいセックスをお互いに話す ベッドの上ではなく、日常のリラックスタイムの話題にしてみませんか。理想のセックスについて語ってみて、それを伝えます。 もちろん夫の理想も聞き出しましょう。そして、この話し合いに置いて大切なことは、否定しないこと。「えー?そんないやらしいこと考えてるの!ヤダー」は絶対NG。人には見せない恥ずかしい欲望を、お互いが情報交換するって… 本当に信頼している関係 じゃないとできないことですよね。夫とそういう関係にステップアップしたいと思えれば、ヤル気…でませんか? (3)女性向けAVを二人で観る 今やレンタルショップでひと目を気にしながらAVを探す時代ではありません。ネットで動画ダウンロードもできるし、通販でも買えます。AV鑑賞のハードルはかなり低くなりました。 夫のAVセックスに悩む妻こそ女性向けの作品の夫婦鑑賞会を提案しましょう。女性向け作品は、ベッドに至るまでのストーリーがしっかりあります。多くの女性にとって「セックスする理由」というストーリー性が大事であることも男性側に知ってもらえるといいですよね。 こんなシチュエーションで…とか、やさしい言葉あるいはエッチな言葉があると嬉しい…など、作品を観ながら自分の思いを伝えるのです。「この体位してみたい」「今の言葉いいなぁ」とお手本があると、伝えやすいですよね。 私も何本か女性向けAVの監修をしています。男性向けとは違う視点で、女性がして欲しいことを取り入れて、激しい動きだけが正解ではないということを伝えています。 また、性の欲求は 株価のように波打つ もの。その日の体調、環境、気分によって「激しくして」の日もあります。 やはりポイントは お互いの(自分の)好みを把握すること です! 独自の欲望や好みを把握してセックスが楽しくなった!という方はたくさんいます。 あき子さん、セックスレスで悩む方が多い中、旦那さんはちゃんと夫婦間の営みを継続しようとしています。そこは「よかった…ありがとう」という気持ちを持ってください。さらにA子さんは男性のプライドについて気づいていらっしゃる。そこはとても花丸です! 数々の夫婦仲相談を受けていますが、夫のプライドをチクチク崩してゆく妻には、夫の愛情は確実に冷めてゆきます。それに気づかない妻の方々がいかに多いか…。 「あなたとエッチしてもイケない」 「あなたのセックス下手だから気持ちよくない」 などプライドを傷つける包丁セリフは、決して口に出してはいけません。 あき子さん、簡単なことではないかもしれませんが、旦那さまのプライドを傷つけずに お互いを思いやりながら深いことも話せる関係にステップアップ して、ぜひいろいろ楽しんでくださいね! 【三松真由美】 恋人・夫婦仲相談所所長。まじめにセックスレス、ED問題に取組む夫婦仲コメンテーター。セックスレスや理想の寝室事情を語るコミュニティで女性会員1万3千名を集める。
2019年09月21日過去、「女性の幸せ」が「リッチな結婚相手をつかまえて、優雅な専業主婦生活を満喫」だったとしたら、現代版のそれは、「仕事も家庭も両立。自己実現にも手を抜かず、充実した毎日を満喫」といったところでしょうか。 前回 登場した笑美さんのように、結婚しても働き続ける女性は増え続け、仕事で昇進、起業する方も増えてきました。「キャリアを築かなくちゃ生き残れない」「社会的承認されたい」とする風潮も出てきたように思います。 以前にも触れましたが、現代社会はさまざまなことを 「あきらめなくていい社会」であると同時に「あきらめさせてくれない社会」 。 バリっと動いて、仕事と家庭を両立。そのうえ余裕もあって、上質なものに囲まれる暮らしを送り、さらに自分を高めて一目置かれる意識高い系妻になりたい。妻、ママ、仕事人としての麗しいハーモニー…。 そんなこと、本当にできますか? どれだけ時代が変わり、便利な社会になっても、私たちに与えられた体は1つ。そして1日は24時間。思いつくすべてのことを実現しようなどと考え出したら、エネルギーも時間も足りなくなって当然なのです。 ところが「幸せ」演出できるツールがあるがゆえに、つい頑張ってしまう。 ネットそのものが悪いわけでは決してありません。上手に使えば、とても有益なサービスです。けれどもSNSは、女性の大敵でありモンスターワイフの卵でもある 「虚栄心」「嫉妬心」「比較魂」 を刺激してやみません。 投稿する写真、ちょっと盛っちゃおう。これは誰にでもある盛り心。うわ、ママ友のAさんのインスタのお部屋の写真、ものすごくきれい! え? 整理収納アドバイザーに合格? Aさんだってフルタイムで働いてて、子どももいるのに。よーし、私だって負けてられない! Aさんにできたなら、私にだってできるはずだわ…。 ネット上の幸せ画像は「ステキな私の輝く一場面」のみを披露する公式の場なので要注意。資格取得で忙しすぎて、家事や育児がおろそかになり、夫婦ケンカが増えた、セックスレスになった…などという 舞台裏が暴露されることは非常に少ない からです。 「あの人にできるなら、私も頑張ればできるかしら」 そうして勝手に自分の足りなさを悔しく思ったり、不必要な課題を自己に押し付けたりします。「アレもコレもやらなきゃ」と、いつもソワソワ。職場でも家庭でもグッタリ。忙しく頑張っているはずなのに、いつも何かが足りない気がして、 欠乏感や飢餓感はいつまでも癒えることがない…。 常に何かに追い立てられているかのように落ち着きがなく、必死の形相の妻と一緒にいては、夫や子どもの心も休まるはずがありません。 そんな妻が外面だけは異様に良く、対外的な 「幸せな私」演出に異常な執念 を燃やしている…これでは夫の心は離れていきます。 向上心旺盛で、努力家だと自分で思っている場合、夫もそう見てくれているかどうか立ち止まらなければなりません。「向上心」がいつしか「強迫観念」にすり替わっていることも…。早速確認してみましょう。 ■「キラキラ系モンスター 新型幸せなふり」度チェック ここでは、あなたの「キラキラ系モンスター 新型幸せなふり」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか? 1. 家庭と仕事を両立できてこそ一人前だと思う。 2. 自分や自分の生活について、足りないところ、改善の余地がある点ばかりに目がいき、いつも焦っている。 3. 根性論が嫌いではない。 4. 「常に上を目指しててポジティブね」と言われる。 5. スケジュール管理表は埋めてしまいたいタイプだ。 6. 「やるべきこと」「やりたいこと」をリストアップして、つぶしていくことで達成感を得る。 7. 休息日には「ためになること」をしていないと不安で、「のんびり過ごす」ことに罪悪感を抱いてしまう。 8. 「忙しそうね」と言われるとうれしくなる。 9. ステキと感じる対象が目に入るとスマホですぐ撮ってしまう。 10.身近な人に「結婚・出産後も社会で活躍を」と期待されている気がする。 ■あなたの「キラキラ系モンスター 新型幸せなふり」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果 「キラキラ系モンスター 新型幸せなふり」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。 ○の数が3個以上6個未満は、新型幸せなふり度「C」(努力するのは良いことですが、常に「頑張りモード」で疲れが溜まり始めていませんか?) ○の数が6個以上8個未満は、新型幸せなふり度「B」(常にせわしなく動き回り、立ち止まることに不安を覚えるようになってきます) ○の数が8個以上は、新型幸せなふり度「A」(「幸せな私」「充実した私」という理想に向かってアンストッパブルに爆走中。そんなに息切れして、本当に「幸せ」ですか?) いろいろなことがどんどん便利になってゆく世の中。あらゆる分野で「効率アップ」が叫ばれ、頭を使って最新の技術やサービスも味方につければ、何でもできそうな気がしてきます。 残念ながら、それは幻想。誰にも、何でもできるほどの時間なんてあるわけがないのです。自分の人生を納得できるものにするためには、自分が本当に やりたいこと・実際にやることを選択 する必要があります。 さまざまな可能性にあふれている社会では、そんな 「取捨選択」 が難しいもの。山積みの選択肢のどれも手に取ってみたくて、そしてすべてが手に入るような気がして、「何かを捨てるなんてムリ!」と思うこともあるでしょう。 でも、無数の選択肢を前に 何一つ捨てられないのは 何一つ選べないのと同じ です。そんな状態では、どこへも進めません。 また最近気になるのは、「朝活」や「タイムマネジメント」に傾倒して、 「多くをこなす」ことが人生の目標 になっているような妻、特にワーキングマザーです。 やりたいこと、達成したい目標があって、そのための時間を捻出するための朝活やタイムマネジメントに励むのは、大いに結構。 ところが、仕事と家庭の両立に悩み、「私の効率が悪いのがいけないんだわ」と悩んだ末に、効率アップをうたったメソッドに飛びつき、効率アップ自体が目標になってしまうと、おかしなことになってきます。 そんな考え方にとらわれた妻たちは、 無限に続くTo Doリスト を自分に押し付けて、常にフル回転で息切れしているような状態に。 こうした妻たちもやはり、自分が本当にやりたいこと・やるべきことを、一度立ち止まってしっかり考えてみたほうがいいのではないでしょうか。 「自分が本当に求めるもの」を考える際に重要なこと、それは女心に巣食うモンスター「幸せなふり」が、あなたの本音をねじ曲げようとしているのに気づくこと。 「出産後も以前と同じように働きたい」 それは、本音ですか? 「そうしなければならない」と周囲が思っているから? 「スタイリッシュなおもてなしができる妻、ママになりたい」 向上心は大事。でも、 本当はそんな面倒なことはしたくない けれど、ママ友たちに圧倒されて、「これくらいできなくちゃダメ」と追われているのかもしれません。 ■意外過ぎる本音「自分が本当にほしいものは何?」 前回登場した笑美さんも、そんな自問自答を繰り返しました。そうして見えてきたのは 「意外過ぎる本音」 だったそうです。 「私は昔からいわゆる努力家でした。向上心も旺盛なほうだと思ってきました。でも、世間体とか、まわりにどう思われるかとか、そういうことを一度全部脇に置いて、今の自分が本当に求めていることを考えてみたら…それは、『どうしてもやらなきゃいけないことだけこなしたら、あとは極力何もせずゆったり過ごす』ことだったんです」 それではなぜ、タイムマネジメントまで学んで「少しでも多くのことをこなす」生活を長年続けてきたのでしょう? 「私の実家はごくごく普通の、決して裕福とは言えない家庭でした。それでも両親は私のために高い学習塾の授業料を払ってくれて、おかげで私は地元でトップクラスの高校に進学することができた。だから高校時代は、勉強一筋でした。 結果、いわゆる一流大学に合格できたわけですが、今度は都内での一人暮らしのために、親から仕送りを受けることになって。ずっと 『親に申し訳ない』 っていう気持ちが大きかったんですよね。 大学で全身おしゃれに決めた同級生を見てうらやましいと思っても、いつも同じ大型衣料品店の似たような服を着ていた母の姿を思い出すと、私だけファッションなんかにうつつを抜かしていたらいけない気がして…。 勉強も就活も頑張って、いい企業に就職できて。自分の面倒を自分で見られるようになって、初めてファッションやインテリアにお金をかけられるようになった時はすごくうれしかったです。 自分がどんどん洗練されていくような、人生がどんどんアップグレードされていくような気がして。一度そうなったら、 『もう昔みたいな、さえない自分には絶対に戻りたくない』 と強く思うようになりました」 そうして変身した笑美さんは文哉さんと再会を果たし、結婚・出産。 娘さんが生まれて、「子どもが幼稚園に通い始めるまでは、仕事をセーブしようか」といったことも考えたといいます。それでは一体何が、笑美さんをフルタイムでの仕事復帰へと駆り立てたのでしょう。 「やっぱり 『まわりがみんなそうしていたから』 というのが大きいですね。大学時代の友人たちにしても、職場の同期や先輩にしても。だから子どもが生まれたから仕事をセーブするなんていうのは、私の甘えや能力の低さの表れのような気がしたんです。 それに、おしゃれな暮らしを維持したければ、お金もかかりますし…。あとはやっぱり、両親への申し訳なさというか。教育を受けさせた娘が、出産を機にあっさり第一線を退いたりしたら、両親は失望するんじゃないかって」 子どもの幼稚園入学までは、のんびり子育てがしたい。笑美さんはそんな自分の本音にフタをして、バリキャリママの道をひた走り始めます。 自分の本音に逆らった生き方はつらいもの。そんなつらさを紛らわせて走り続けるためには、ごほうびが必要です。 笑美さんにとってそのごほうびは、「ステキな暮らし」でした。 「これだけ頑張ってクタクタになるまで働いてるんだから。自分を癒すためにも、もっとステキな暮らしをしなくちゃって」 ところが「ステキな暮らし」の参考にとチェックし始めたSNSやママ友との交流は、笑美さんをさらに追い詰めていきます。 「世のワーママたちは家庭と仕事を両立しながら、ここまで充実して洗練された暮らしをしているのかと衝撃を受けて…それが できない自分はダメなんだ。能力や効率が低いんだ って落ち込みました」 家庭+仕事だけでクタクタだった笑美さんに、「ステキな暮らし、ステキな自分」という目標が新たな「To Do」としてのしかかります。それは笑美さんにとってもはやごほうびではなくなり、 遂行すべきタスク に変わりました。 けれども体調不良により、笑美さんにはイヤでも自分の生き方を見直さざるを得ない転機が訪れます。そして時を同じくして、「理想のワーママ」の舞台裏を図らずも知ることに。 「そこからは少しずつ、目が覚め始めました。今後の働き方について、夫とも話し合いました。夫婦でバリバリ働かなくちゃまともな暮らしができないってずっと思ってたんですけど、それは今の街に住み続けて、今のペースで自分や子どもの習い事にお金をかけ続けたらの話。 夫が前々から希望していた通り、私たちの地元へ引っ越せば家賃はグッと安くります。娘にも、習い事やレジャーで本当に好きなものとそうでないものについて、初めてまともに本人に聞きました。 そうしたら、娘自身は興味を持っていないのに、私が勝手に押し付けていたことがたくさんあって…。私は お金だけでなく、娘の時間や気持ちまで犠牲 にしていたんだって猛反省しました」 娘さんが本当に求めていたのは、ママが普通に家にいて、いつ話しかけても怒られない暮らし。訳も分からずあちこち連れ回されるのではなく、家でママと一緒に塗り絵をしたり、本を読んでもらったりする休日でした。 「それを聞いて、いろいろ考えさせられて。私が望んでいるのも、『最低限やるべきことだけやったら、あとはあれこれ詰め込まず、余裕を持って家族と過ごせる生活』だと気づいたんです」 今は娘さんの小学校入学前に、地元に戻ることも視野に入れ始めたという笑美さんと文哉さん。 「仕事を辞める。地元に戻る。習い事や資格取得をやめる…。これまで追い求めてきた 『キラキラした今風の幸せ』とは真逆 を行く生き方です。でも、私が本当に幸せになるための道はこっちなんだと、時間はかかりましたがようやく気づくことができました」 そう言って微笑む笑美さんからは、偽りのない余裕が感じられます。家でもカリカリした怖い顔でいることがなくなって、家庭の雰囲気も良くなったそうです。 幸せの形は、人それぞれ。自分にとって何が本当の幸せか、ハッキリと見極めるのは容易ではないこともあります。 ましてネット時代、他人のライフスタイルが輝いて見えて、うらやんだりねたんだり、まねをしたくなることもあるでしょう。 自分の暮らしぶりを発信する機会を得た分、「幸せなふり」をしたくなってしまう場面も急増。「幸せなふり」をするのに忙しく、自分の 本当の幸せについて考える余裕がなくなる という不健全な状況に陥る妻たちも急増中です。 幸せのカギは、あなたの中にあります。 キラキラした投稿の中にではありません。世間体、虚栄心などに邪魔されて、自ら幸せに背を向けて走り続けては疲弊します。 あなた自身の声と、あなたの家族の声に耳を澄ませてみてください。外野からの雑音や「幸せなふり」モンスターに、心を乗っ取られないように。
2018年11月25日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に モンスターワイフの影が見える から…。 今回ご紹介するのは、社会が変わっても相変わらず多くの女性たちの心にはびこるモンスターの卵、 「幸せなふり」にがんじがらめ にされてしまった妻のケースです。 「幸せなフリ」は、妻たちを本当の幸せから遠ざける。それは拙著 『モンスターワイフ 幸せなふりはもうしない』 でも、こちらの連載でもお伝えしてきた通りです。 前の時代は「経済的に苦しいのに、余裕があるふりをしたくて専業主婦の座に固執する」という「幸せなふり」が蔓延していました。ところが、現代版の「幸せなフリ」モンスターは、これとは様子が異なります。 「家庭も仕事も両立できて当然。両立に疲れて、所帯じみてくたびれた雰囲気になるのはお断り。きっちり仕事して、家庭でも良き妻・良き母で、そのうえ自分磨きも怠らず、充実した日々を楽しまなきゃ!」 現代社会が生み出した キラキラ系モンスター「新型幸せなふり」 は、そんなふうに考えて生きています。 確かに、理想的な生き方のように聞こえます。けれども、そんな妻たちの実情はどうでしょう。 自分のためにも家族のためにも、意識の高い「キラキラ系」を目指して頑張ってきたものの、気付けば「新型幸せなふり」モンスターに 足元をすくわれていた… なんてことも。 ■子どものため、夫のため…いつも努力が空回り 「キラキラ系モンスター 新型幸せなふり」代表:笑美(仮名)37歳の場合 「できた…!」 娘の明日の弁当の下ごしらえをした笑美は、達成感と疲労感の両方でいっぱいになった。 時計を見ると、もう22時半。いけない、早くお風呂に入らなきゃ。 最近、顔のむくみが気になりお風呂でリンパマッサージを始めたので、22時にはバスタイムと決めていたのに…今日は仕方がない。明日からは、もう少しお弁当作りの効率を上げなくちゃ。 そんなことを考えながらエプロンを外していると、一人娘の優乃(ゆの)がトイレに起きてきた。笑美のほおが、思わずゆるむ。 「じゃじゃーん!」 笑美は眠そうな優乃をキッチンに招き入れると、お弁当のデザインを見せた。ところが…。 「えーっ! ママ、何これ!? お野菜と果物ばっかり。優乃、いつもみたいなお弁当がいい!」 優乃は、顔をしかめてすごい勢いで嫌がる。 気付くと笑美は、キッチンカウンターに手のひらを思い切り叩きつけていた。調理器具がシンクにカンッという音を立てて転がり落ちる。 「なんで!? どうしてそんなこと言うの? 優乃ちゃんのために、 ママがどれだけ頑張ってるか… 」 怯えた顔で立ちすくんでいる娘の姿が、涙でにじんでゆく。野菜ソムリエの資格取得のために、かかった時間と労力。そしてお金。忙しかったのに。疲れていたのに。 家族のため、娘の健康のためにと、どうにか 時間とエネルギーをやりくりして頑張った。 それなのに、この反応は何? ああ、もうイヤ。こんなに頑張っているのに、どうしていつもダメなんだろう。自分のためにも家族のためにも、私はいつだって努力している。いつまでたっても 「幸せになりたい」という飢餓感 でいっぱいなのか…。 物音を聞きつけて、夫の文哉が飛んで来た。優乃はすぐさま文哉にしがみつく。 笑美は無言で娘と夫の横を通り過ぎ、できかけのお弁当をまるごとゴミ箱に放り込んだ。そして振り返ることなく、キッチンを出て行く。その心は 虚しさと徒労感 で、重く重く沈んでいた。 ■インスタでは「完璧・理想なワーママ」その仮面の下は… 笑美と文哉は、千葉の高校の同級生だった。と言っても高校時代の2人は、ただの仲の良いクラスメート止まり。それぞれ別の都内の大学に進学し、都内で就職した後、28歳の時にたまたま再会。そこから交際が始まった。 笑美は大手飲料メーカー勤務。広報という仕事柄、ファッションに気をつかうようになり、すっかり垢抜けた笑美は再会した文哉を驚かせた。 文哉は電機メーカーで開発に携わっていた。こちらも優良企業で、笑美と文哉は お似合いのカップル 。旧知の仲であることもあり、2人の交際は順調に進み、再会から2年後には結婚。その翌年には娘も生まれて、一家の人生は順風満帆と思われた。 ところが…笑美が1年の育児休業を終えて職場復帰を果たした頃から、夫婦間のすれ違いや衝突が少しずつ増えていくことに。 理由は明らかだ。笑美が 忙しすぎた のだ。 「最初は時短勤務からでもいい」と言ってくれた会社には、夫に相談もせず 「フルタイムで問題ありません」 と即答。せっかく就職した大企業、せっかくつかんだ希望の職種、やるからには、順調なキャリアアップを目指したい。 自分の産休・育休中にもバリバリ働いていた、独身の同期や子どものいない同僚に、これ以上差をつけられるわけにはいかなかった。長時間利用可能な保育所に高い料金を支払って、笑美は仕事に邁進(まいしん)した。 育児をおろそかにしているのかといえば、そんなことはまるでない。満員の通勤電車の中ではスマホを片手に、知育玩具や、情操教育に良いとされる絵本を検索・購入。週末も持ち帰った仕事で忙しいことが多い中、子どもに人気のスポットをリサーチして、できる限り娘を連れ出すようにする。 さらに笑美は、 自分磨きにも余念がない。 美容・健康関連の習い事に参加したり、仕事に役立ちそうな資格について調べたり…あまりに休む間もなく常に忙しくしているので、文哉が思わず「大丈夫? やることだらけでパンクしない?」と心配したことがある。 すると、笑美はその翌週には、「文哉の言う通りね。もっと効率よく物事をこなすために、タイムマネジメントのオンライン講座を受講することにしたの」と言い出す始末だった。 文哉は徐々に、笑美のことが 理解できなくなっていった。 どうして妻はいつもスケジュールをギュウギュウにして、常に何かに追われる生活を続けているのだろう? スマホの カレンダーはぎっしりうまっている。 忙しくても、本人がそれを楽しんでいるのなら構わない。けれども笑美は楽しそうにはとても見えないし、むしろ 疲れて殺伐 として見える。それを指摘しようものなら、笑美は「私はやりたくてやってるの」「文哉に迷惑かけてないじゃない」と、全否定だ。 そして、家の外やSNSでは、笑美は疲れ切った顔の上に 「充実した毎日を楽しむ幸せなワーキングマザー」という仮面 を貼り付けていた。 ついさっきまで家でくたびれ切った顔をして不機嫌オーラ全開だった妻が、ママ友に会った途端、1オクターブ高い声で満面の笑みを振りまいている。 夫に子どもの世話を押し付けてブツブツ言いながら資格試験の勉強をしていた妻のインスタグラムには、試験対策テキストとブランド物のコーヒーカップの写真が「#資格試験」「#自分に投資」「#充実した時間」といったハッシュタグとともに投稿されている。 そんな妻の様子に、文哉は首をひねるばかりだ。この頃から、2人の夫婦仲にすきま風が吹くようになる。 ■セレブエリアへ引越し、理想がさらにエスカレート… 娘の優乃の保育園入園前にもう少し大きなアパートに引っ越そうという話になった時、笑美と文哉の 意見が対立 した。 「生活の質は住む場所で決まる」と主張し、都内の子育て世代に人気の街に住みたいという笑美。千葉の2人の地元である町に戻れば、両家の両親から育児のサポートが得られるうえに、家賃も大幅に節約できると訴える文哉。 結局いつも通り、「子どものためにも上質な生活を」と熱弁する笑美に文哉が屈することになった。家賃ははね上がったが、元の家賃に上乗せられた金額の大半を笑美が負担するということで、この一件はどうにか丸く収まった。 しかし、新たな街に引っ越すと、笑美の 「より上質な生活」を目指す熱意 はさらに過熱していった。その背後にあったのは新たな街でできた、新しいママ友たちの存在だった。 皆いつもおしゃれで、家を訪ねればインテリア雑誌に出てくるような部屋。子どもの誕生日パーティーに招かれれば、海外の盛大なバースデーパーティーのような華やかな飾り付け…。彼女たちの生活を垣間見るたびに、笑美は 「私にはやるべきことがまだまだある」と痛感 した。 そして、この頃から笑美は、ママ友たちと自分を 比べては落ち込み、ふさぎ込む ことが多くなっていった。 「凜花ちゃんママのインスタで遠足の日のお弁当を見たんだけど、本当にすごいの。私、あんな凝ったお弁当作ったことない…。もしかして優乃に、みじめな思いをさせてたかしら」 「怜ちゃんのピアノの発表会のお疲れさまパーティーに呼ばれたんだけどね。お部屋の飾り付けもお料理もすごくスタイリッシュで、洗練されてて。 怜ちゃんのママはテーブルコーディネートの資格を持ってるんですって。うちもこれからお客さんを呼ぶ機会が増えるかも知れないし、私もテーブルコーディネートくらい勉強しておかないとダメよね…」 笑美はそんなことを言って、いつも 自分にないものを探し出しては嘆いてばかり いる。 文哉はずっと、妻は向上心の塊のようなタイプなのだと思っていた。しかし、これでは「向上心が旺盛」なのか、「自分へのダメ出しが過ぎる」のか分からない。 「俺はそもそも、そこまで弁当やらテーブルコーディネートやらに凝る必要性を感じないんだけどさ。笑美の場合、凝りたくたって仕方がないじゃないか。フルタイムで働いて、家でも持ち帰りの仕事だろ。人脈づくりの異業種交流会にまで顔を出して、それでいつキャラ弁作りや、テーブル・部屋の飾り付けまで時間をさけって言うんだよ」 文哉は至極当然の指摘をしたつもりだったが、笑美は不満げに口を尖らせる。 「 『時間がない』なんてただの言い訳 よ。要は自分の時間とエネルギーをどう活用するかなの。 そのためにタイムマネジメントや、目標達成戦略を勉強して…」 「言い訳じゃないよ。事実だよ。『家庭と仕事の両立』だけでも大変だ、大変だって、みんな言ってるのにさ。それに加えてアレもコレもだなんて、苦しくならないほうがおかしいよ」 それでも笑美は引き下がらない。 「そんなことないわ。私より忙しくても、私よりずっと多くのことを実現できている人はいっぱいいるわ」 「『いっぱいいる』って…例えば、誰? ていうかさ、どうしてそんなに『多くのことを実現』しなきゃならないわけ? 一体何をどれだけ実現すれば、笑美は満足なんだよ?」 いつになく執拗に追及してくる文哉に、笑美はたじろいだ。私よりずっと多くのことを実現できている人…一つの顔が、笑美の脳裏に浮かんだ。 ■夫や子どもに八つ当たり「どうして理想通りにならないの?」 文哉に詰め寄られた時、笑美の頭の中に浮かんだのは淑美の顔だった。 淑美というのは笑美の大学時代の友人、寛人の妻だ。大学卒業後も寛人とは時々会っていたのだが、文哉に寛人を紹介すると、意気投合。今ではこの男2人のほうが、仲の良い友人同士になっていた。こうした事情で笑美と文哉は時々、寛人とその妻の淑美に会う機会があったのだ。 淑美は大手出版社勤務。人気女性ファッション誌の編集部で働いている。 そんな彼女は、いつ会っても最高にファッショナブル。編集者の仕事は多忙なはずだが、疲れなど感じさせない優雅な雰囲気だ。一人娘の恵麻も、いつ会っても髪型にも服装にも、しっかりと手がかけられている。 淑美のインスタグラムには、美しい料理の写真の数々。彼女は野菜ソムリエの資格を持ち、お菓子作り教室にも長く通っていたという。 まさに、完璧な女性。 仕事も家庭も完璧に両立しながら苦労をまるで感じさせず、余裕たっぷりでキラキラと輝いている…。淑美さんのような人が奥さんなら、寛人は最高に幸せなはず。恵麻ちゃんだって、自慢のママが大好きに違いない。 そんなことを考えていたら、笑美はだんだん悲しく、みじめになってきた。何もかも完璧な淑美のような女性がいる一方で、私は 足りないものだらけ… 。 妻が押し黙っているのを見て、自分の説得が功を奏したのだと勘違いした文哉。彼は気を良くして言った。 「な! スーパーウーマンなんていないんだよ。笑美はもう十分頑張ってるよ。これ以上、あれもこれもやらなきゃなんて、焦る必要なんて全然ないじゃないか」 残念ながら、そんな夫の言葉が笑美の心に響くことはなかった。笑美はますます仕事にも、家事・育児にも、自分のステップアップにも熱中し、彼女の生活は多忙を極めた。 笑美の「向上心」は、夫の目にはもはや 「強迫観念」 のように見えた。彼女は楽しそうにしていることなどまるでなく、いつも疲れてイライラ、カリカリ。夫や娘に当たることも増えた。特に笑美が家族のために良かれと思ってしたことが受け入れられないと、 ヒステリックに激怒 するようになった。 ママ友から聞いてきた習い事に、優乃が興味を示さない。クタクタの体にムチ打って、ネットで高評価のイベントに優乃を連れて行ったのに、優乃が喜ばなかった。聞いたこともない「スーパーフード」を突然朝食に出し、味が苦手な文哉が断った…。 そんなことが起きるたびに、笑美は大爆発。 「私がこんなに頑張ってるのに」「死ぬほど疲れてるのに、あなたのためにやってあげたのよ」 が、激昂した笑美の口癖になっていた。文哉と優乃は次第に、笑美の顔色をうかがってビクビクしながら過ごすようになっていった。 家庭がそんな状況になっても、笑美は家の外やSNS上での「ステキなワーキングマザー」の仮面だけは絶対に手放さなかった。 「スーパーフード」をめぐってケンカになったその日のインスタグラムには、文哉が手を付ける前の朝食の写真が投稿され、「#夫の健康管理」「#パパいつもおつかれさま」などと書き込まれていた時には、文哉は 妻の異常性 を感じずにはいられなかった。 ■とうとう病気を発症! それでもキラキラ生活にしがみつく妻 ある日、熱があろうが頭痛がひどかろうが、意地でも会社を休まなかった笑美が、尋常ではない腹痛に襲われて病院に駆け込むことに。そこで彼女はストレスによる心の病気という診断を下される。 笑美から話を聞いた文哉は驚き、「通院の頻度は?」「どんな治療をするんだ? 薬はもらったのか?」と妻を質問攻めにした。 しかし、文哉を驚かせたのは、笑美の答えだった。 「 しないわよ、通院なんて 。残業ができないだけでも大きなハンデなのに、加えて通院のために半休なんてとんでもないわ。 薬も勧められたけど、飲むと眠くなったりだるくなったりするんですって。そんな薬飲んでちゃ、仕事にならないわ」 普段、穏やかな文哉も、この時ばかりは猛抗議した。健康が第一。きちんと通院して薬も飲んで、働き方も見直すべきだと文哉は主張する。 しかし笑美は「この病気の原因がストレスだって言うなら、定期的に通院したり、毎日眠くなる薬を飲んで仕事をしなきゃいけないのが 最大のストレス 」だと言い張り、聞く耳を持たない。 この議論は未曾有の夫婦ケンカに発展した。どちらも自分の言い分が絶対に正しいと信じているので、 仲直りの糸口すら見えない まま、険悪なムードで日々が過ぎてゆく。 その間も笑美は、毎日絶不調の体を引きずるようにして仕事と家事・育児、ママ友付き合いをどうにかこうにか回していた。顔にはいつもの笑顔を貼り付けていたが、正直、心身ともに限界だった。 そして迎えた、ある週末。前々から寛人・淑美夫妻と約束していた、キャンプの日がやって来た。 笑美は最悪な顔色と微妙な夫婦仲のまま、まぶしすぎる淑美と顔を合わせたくなかったが、仕方がない。寛人が誘ったもう一家族も加えた三家族分のキャンプ場がすでに予約されているからだ。 鬱々とした気分のまま、笑美はキャンプ場に向かった。 淑美が雑誌の撮影にも使用したその場所は、従来の「キャンプ場」のイメージを覆すものだった。新しいキャンプ体験ができる最近流行のグランピング施設で、どこもかしこも清潔でセレブ感が漂う。 これなら雑誌の撮影現場にもなるだろう。子どもたちが安全に目一杯遊べる遊び場も併設されている。一言で言うと「さすが淑美さん」としか言いようのないキャンプ場だった。 優乃は早速歓声を上げながら、淑美の娘・恵麻と、もう一家族の子どもたちと遊んでいる。その楽しそうな姿を見て、笑美はまた心が沈んだ。 こんな場所があるなんて、私、全然知らなかった… 情報収集不足だわ 。恵麻ちゃんはきっと、優乃よりずっとたくさん楽しい場所に連れて行ってもらえてるのよね。それに、今日も恵麻ちゃんのファッションは完璧。子ども用のアウトドアウエアに、こんなにかわいいアイテムがあるなんて…。 ひたすら落ち込んでゆく今日の笑美に、キラキラと輝く淑美の姿を眺め続けるのはキツすぎた。淑美がもう一人のママとの話に花を咲かせている間に、笑美はそそくさと退散。一人になれそうな場所を探して歩いた。 ■憧れの女性だったのに…親友の告白で知る現実 木陰に腰を下ろして缶ジュースをすすっていると、誰かが近づいてくる。振り向くと、そこには寛人が立っていた。 「よっ!って、笑美、お前何だよ、ジュースかよ!? ビール持って来ようか?」 いつも通りの屈託のない寛人の笑顔に、笑美もつられて微笑みながら「今はジュースでいい」と答える。まさか「ストレスによる心の病気でおなかの調子が悪いから、アルコールは控えている」なんて言えない。 寛人が笑美の隣に腰を下ろしながら、笑美の顔をのぞき込む。 「笑美、なんか今日元気なくないか?」 鋭い指摘にギクッとする。けれど、今自分が抱えている鬱々とした気分、健康問題、夫婦ケンカ…何をどこから、どう寛人に話せばいいのだろう。考えがまとまらないまま、気付くと笑美はつぶやいていた。 「寛人は幸せ者だよね…」 「はぁ? 何だよ急に?」 「淑美さんみたいな、いっつもきれいでおしゃれで余裕があって、職場でも家庭でも完璧な奥さんがいて。私なんてさ、もうダメダメだよ。仕事に追われてヒーヒー言ってるし、家でも頑張ってるつもりなのに、一人で空回ってる感じ。家族に喜んでもらいたいのに、全然うまくいかなくて…」 いけない、 涙目 になってきた。笑美は思わず寛人から顔を背ける。 寛人はしばらく黙っていたが、キョロキョロとあたりをうかがうと、低い声で話し始めた。 「ここだけの話だぞ。淑美ってさ、確かに余裕しゃくしゃくみたいに見えるけど、本当は全然そんなことないんだぜ。毎日ボロボロになって帰ってくるし、特に締め切り前なんて殺気立っててさ。家でもいらだってて、恵麻が怖がることもあるくらいだよ」 「うそ…そんなの全然想像できない。私、淑美さんのインスタもチェックしてるんだけど、いつもすごく豪華なお料理の写真をアップしてるじゃない。恵麻ちゃんにお菓子作ってあげたりとか」 「あれなー。なんか『職場のみんながインスタやってるから、私もやらなきゃ』とかって言って始めたんだけど、 “ステキな暮らし”の演出 に躍起になってるよ。 俺は見栄えだけいいワケの分からん洋食より、普通に肉じゃがが食いてえって言っても、即却下。やたら手の込んだ洋菓子作って、恵麻の反応がイマイチだと腹立てるしな。ハッキリ言って、家族からするとはた迷惑なことも結構あるよ」 何だか耳が痛い…あの「完璧な淑美さん」が、家では実は、私と同じようなことをしている…? 笑美はポカンと口を開けたまま、寛人の話を聞いていた。 「知り合った頃、仕事をバリバリ楽しんでる淑美をいいなって思ったのは事実だよ。でも 仕事を楽しんでるからって淑美を好きになって結婚したわけじゃない。 結婚しても、子どもが生まれても、仕事は昔と変わらずバリバリ、家庭でも完璧な妻、母で、ファッションや習い事は独身貴族並みなんて、どう考えてもムリだろ? 俺はただ、淑美に昔みたいにニコニコしててもらいたいだけなんだ。そのために仕事をセーブしたければ、すればいい。家事や育児で手抜きをしたければ、すればいい。 でも淑美には、そんな選択肢はあり得ないんだよ。『ここまで全力疾走してきたんだから、 ここで足を止めるわけにはいかない 』みたいに思ってるみたいで」 そのうちぶっ倒れたり、ノイローゼになるんじゃないかって、結構真面目に心配してるんだ、と寛人は苦笑した。 ずっと憧れていた、理想としてきた「いつも余裕の完璧な女性」の実態を知って、笑美は脱力してしまった。 淑美さんのようになれれば、「私にはあれが足りない、これも足りない」なんて 自分を責めなくてすむ ようになるはず。そうすれば、いつも感じている欠乏感や飢餓感から解放されて、自分に自信が持てるはず。幸せになれるはず。ずっとそう思っていた。 けれども「ゴール」にたどり着いたところで、見える景色はどうやら今と大差ないようだ。それなら…それなら私は、 どうやって幸せになればいいんだろう。どうやって家族を幸せにすればいいんだろう。 寛人の話を聞き終わる頃には、笑美の涙も乾いていた。遠くから、「おーい、寛人、笑美! 肉焼くぞー」という文哉の声が聞こえてくる。2人は顔を見合わせると、同時に立ち上がった。 みんなのところへ足早に戻りながら、「今夜は少し、文哉と話してみようかな」と笑美は思った。
2018年11月24日「セクハラ」「パワハラ」に続き、「モラハラ」に注目が集まる今日この頃。 「モラハラ」と聞くと、夫が妻に「俺の稼ぎのほうが多いよな!」とすごむような光景を思い浮かべがちですが、モラハラの加害者はいつも夫とは限りません。実は、強力な モラハラ系モンスターワイフ も、そこかしこで暗躍しているのです。 モラハラの恐ろしいところは、DVなどと違って、 加害者に加害者意識がない 場合が多いこと。 前回 ご紹介した友梨佳さんのケースではどうでしょう。 夫の裕貴さんの目に映る友梨佳さんは、完全なモラハラモンスター。しかし、当の友梨佳さんには何の悪気もなく、まさか自分がモラハラをしているなどとは夢にも思っていません。それどころか、 「自分は家族のためにしている。家族を正しい方向へ導いている」 という気でいるのです。 夫と妻、それぞれに見える現実が完全に乖離(かいり)したまま、ついに夫は 「妻を断舎離する」 というところまで追いつめられてしまいました。 その後、友梨佳さんと裕貴さんはどうなったのでしょうか。 離婚も辞さない覚悟の裕貴さんに対して、友梨佳さんは夫がなぜ自分を捨てたがるのか、まったく理解できずに大混乱。 「離婚だとか、そんなこと考えられません。私は夫を愛しているんですから。愛しているからこそ、夫にも消費社会の呪縛や物欲から解放された、本当に自由で健全な生き方をして欲しくて…。一体、 夫はどうしたら、私の思いを理解してくれるのでしょうか? 」 「悪気がないからタチが悪い」というケースの典型例です。この期に及んでまだ、友梨佳さんは自分がモラハラの加害者であると認識できずにいるのです。このままではいつまでたっても、2人の主張は平行線をたどるだけでしょう。 あなたも知らず知らずのうちに、モラハラ妻になりつつありませんか? 自分の中に危険な傾向を見つけたら、早め早めにリスクを摘み取ることが重要。 早速、以下のチェックテストをどうぞ。 ■「モラハラ系モンスター 暴走ダンシャリアン」度チェック ここでは、あなたの「モラハラ系モンスター 暴走ダンシャリアン」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか? 1. 物事の「違い」を尊重するよりも、「優劣」をはっきりさせたい性格だ。 2. 自分がいいと思ったものは、人にすすめずにはいられない。 3. 自分のやり方が受け入れられないとイラっとする。 4. 善意と熱意を持って接すれば、相手を変えることはきっとできる。 5. 家族が効率の悪いことやムダなことをしていると、すぐに口出ししてしまう。 6. 不必要と思えば、人もモノも遠ざけたくなる。 7. 自分のことを道徳的、常識的な人間だと信じている。 8. 夫に直して欲しいところ、変えて欲しいことが即座に5つは思い浮かぶ。 9. 夫婦けんかの中で、相手の癖や生活習慣を否定したことがある。 10. 子どもたちの前で夫を「悪い大人の見本」扱いしてしまったことがある。 ■あなたの「モラハラ系モンスター 暴走ダンシャリアン」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果 「モラハラ系モンスター 暴走ダンシャリアン」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。 ○の数が3個以上6個未満は、暴走ダンシャリアン度「C」(「自分こそ正義」「家族は私のやり方を見習うと幸せになる」という態度をとり始めていませんか?) ○の数が6個以上8個未満は、暴走ダンシャリアン度「B」(自分のスタイルを夫にゴリ押しすることが多いのでは? 要注意!) ○の数が8個以上は、暴走ダンシャリアン度「A」(夫もあなたと同じ、個性を尊重されるべき個人です。夫の気持ちやポリシーを切り捨てないで!)) ■モラハラモンスターにならないための「2つの心得」 「セクハラやパワハラの定義は難しいが、被害者がセクハラだ、パワハラだと感じたなら、それはセクハラであり、パワハラである」と言いますね。 モラハラも同じです。妻にどれほど悪気がなかろうと、善意しかないと言っても、夫が妻の言動をモラハラだと感じたなら、それはモラハラ以外の何物でもないのです。 「それじゃあモラハラを避けるために、具体的に妻はどうしたらいいんですか?」 そんな声が聞こえてきそうです。 大丈夫。 モラハラモンスターワイフ化を防止するための心得 が、ちゃんとあります。どんな時も妻たちに心に留めておいて欲しいのは、以下の2つの点。 一つ目は、 「他人が操作して人を変えることはできない」 ということです。これは、夫婦関係のみならず、あらゆる人間関係の基本です。 大の大人が、それもプライドを傷つけられるのが大嫌いな男性たちが、「あなたのここがよくない」「こうしなくちゃダメよ」などと妻から言われると、気持ちよくはありません。 誰しも大人になるまでに、さまざまな経験をして、たくさんの選択を重ねて、今の自分があります。本人にしか分からない心の傷があり、本人にしかわからないこだわりがある。そうしたことが、各人の「個性」を形成しています。 それなのに、いくら妻だからといって、自分ではない別の人間が「ああしろ、こうしろ」と指図してきたのでは、それは 夫にとってストレス にしかなりません。 「自分なりのこだわり」を単なる「ムダ」と切り捨てられた時にも、夫のプライドは傷つきます。夫独自のやり方があるのに「そんなんじゃダメ。もっとこうして」とダメ出しされたり、個人の好みの問題にまで口を出されて、自分のスタイル、自分の趣味を否定されたり…。それが続くと、夫は妻に自分の 人格や人間性を否定 されていると感じるようになります。 それを子どもの前でやるなどというのは、言語道断。 夫の自尊心をひどく傷つける行為 です。 「自分と夫は別の人間」「夫を自分の思い通りに変えることなどできない」という事実が見えていない、あるいは事実に目をつむっている妻が多いのです。だから、それと気づかぬまま夫にモラハラ攻撃を続けてしまう。 さらに、自分の善意のアドバイスや指示が夫に受け入れられないと、妻たちは傷つき、腹を立てます。そして「アドバイス」はいつしか「命令」になり、夫に自分の要望を飲ませよう、夫を自分の望み通りに変えようと躍起になります。こうなると、もはや夫にとって妻はモラハラモンスターでしかありません。 夫がしていることや持っているものが、ムダか否か。それを 決めるのは妻ではなく、夫本人 です。 「でも、相手はほかの誰でもない、私の夫なんだもの。自分の夫だからこそ、自分がいいと思うものはすすめたいし、よりよく変わってもらいたいんです」 そんな妻の気持ちも分かります。では、どうすればいいのか? 人を変えることはできないし、変えようとしてはいけません。 人というのは自ら変わりたいと思った時に、初めて変わることができる のです。 「あなたにこうして欲しい」「あなたにこう変わって欲しい」を上から目線で押しつけない。夫を変えようとするのではなく、夫が自ら「変わろう」と思うような機会を提供するのです。 例えば、「夫のファッションセンスが理解不能。もういい大人なんだから、もっとちゃんとした格好をしてよ。一緒に外出するのも恥ずかしいから、私が選んだものを着てちょうだい」というのが、妻のホンネだとします。 それをそのまま伝えたら、夫は自分の趣味を否定された気持ちになって傷ついたり、腹を立てたりするでしょう。では、「夫の着るものを変える」というゴールは同じであっても、伝え方を変えてみたら? 「もっと正統派のおしゃれのほうが、あなたの魅力が引き立つと思うのよね。ちょっとあなたに着てみて欲しいお洋服があるんだけど…」 まずは、相手の好みや趣味を否定しない。そして、妻の好み(夫自身の趣味ではない)を受け入れるか否かの 選択権を、あくまで夫に委ねてみる のです。 この後者の方法であれば、夫が「自分を否定された」と思うことも、「自分を曲げるよう強要されている」と感じることもないでしょう。このやり方であれば、妻の「要望」が夫に対する「モラハラ」になることもないのです。 ■妻のモラハラ行為「実は自信のなさの裏返し?」 モラハラモンスター化防止のため、そして夫と幸せで安定した関係を築くために大切なポイントの二つ目は 「自信」 です。 「モラハラモンスターって、自分や自分のやり方に自信過剰な人がなるんじゃないの? それなのに、モラハラモンスター化防止に大切なのは自信…?」 そう思った方もいるでしょう。 確かにモラハラ系モンスターは一見、「我が道に自信満々」というタイプに見えます。けれども、最近急増中なのは 「自信満々に見えて、実は本当の意味での自信をまったく持てずにいるタイプ」 のモラハラモンスターワイフです。 「私の人生、これでいいのかしら?」などと、自分の生き方に漠然とした不安を抱いている妻。彼女たちは「新しいライフスタイル」や「洗練」といった言葉に弱く、常に「よりよい暮らし」を目指さなければならないような気がしています。 これまでにも何度かお話ししてきましたが、ある種の妻たちにとって現代社会は非常に危険な社会です。自分自身のことをしっかり理解できず、自分のスタイルを確立できていないと、情報に流されてしまいます。 インターネットによって無限の情報にアクセスすることができるようになりましたし、SNSの普及で人の暮らしをのぞき見ること、自分のライフスタイルを発信することが可能になりました。 人の暮らしぶりや持ち物にいちいち嫉妬して張り合いたがる。自分だって幸せだと、見えを張りくなる。自分のスタイルが確立できていないから、ちょっとおしゃれに見える他人のスタイルをすぐにまねしたくなる。新しいもの、話題のものにすぐに飛びついて夢中になる。 けれど、それが本当に自分が求めているものなのか、自分に合ったものなのか確信が持てないから、 不安をかき消すために周りの人まで巻き込もうとする のです。 本当に自分のこと、自分の求めるものを知っていて、自分の生き方に満足している人の心は安定し、落ち着いています。そんな妻は、以下のようなこととは無縁です。 「没頭できるものがないと、不安で落ち着かない」 「よさそうなものを目にすると、とりあえず片っ端から飛びつかずにはいられない」 「何かが『マイブーム』になると、周囲の人にも加わって欲しくて仕方がない」 自分の信条がしっかりしている人ほど、人の生き方も尊重 できます。そして、人に押しつけられたライフスタイルや人にねじ曲げられたテイストでは、結局うまくいかないことも分かっています。自分に自信を持ち、自分の生き方に満足している妻は、「私もOK、あなたもOK、みんなOK!」と考えられるのです。 そんな妻の心には、モラハラモンスターも侵入できません。 知らず知らずのうちに、夫を全否定してその心を荒ませるモンスターワイフと化さないように。 「私は私、夫は夫」 という冷静な線引きができ、「私は私の生き方に満足」と思える、理性的なハッピーワイフを目指してください。
2018年11月11日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に モンスターワイフの影が見える から…。 「親しき仲にも礼儀あり」 とは、人生の真実。とはいえ「親しい」どころのレベルではなく「運命共同体」である夫婦の間で、このことをきちんと理解できていないケースが多いのは非常に残念なことです。 夫婦としてどれだけ親しい、近しい関係にあろうとも、 夫はあなたとは別の人間 。あなたとは違う感じ方、考え方、好み、ポリシーを持っていて当然なのです。 ところが、そんな当然のことを認められない、認めたくない場面が出てきてしまうのが、夫婦生活の難しいところ。 「この人の、こういうところがどうしても理解できない。苦手」 「親身になってアドバイスしてるのに、まったく聞く耳を持ってくれなくて頭にきちゃう」 相手が知人や友人ならば、距離を置くという選択をすることも可能です。けれども、夫婦となると、そうはいきません。毎日顔を合わせなければならないし、簡単に距離を置くことなどできない。今後もおそらく、ずっと一緒にいる相手。お墓もおそらく一緒…。 だからこそ、 夫を自分の都合がいいようにしたい 。夫に気になる言動があったら、直して欲しい。夫にも、自分のやり方に従って欲しい。そう思うようになってしまうのです。 「長い人生を共にする、代えなどきかないパートナー」だと思うからこそ、「相手と自分は違う人間」という当たり前過ぎる事実が見えなくなる。 相手を支配したい と思うようになってしまう…。 妻の中のこうした傾向は、夫の人格を否定する 「モラハラ系モンスター」 の卵。このタイプのモンスターワイフは、夫という自分とは別の人間の存在を無意識に否定し、夫婦仲を崩壊させます。 あなたも知らないうちに、モラハラ系モンスターへの第一歩を踏み出し始めていないでしょうか? 悪気などまるでなく、けれども気づけば完全なモラハラモンスターと化していた友梨佳さんのケースを参考にしてみてください。 ■断捨離に狂ったモラハラ系妻「家から次々とモノがなくなっていく…」 「モラハラ系モンスター 暴走ダンシャリアン」代表:友梨佳(仮名)34歳の場合 裕貴は我が家のドアの前に立つと、ドアノブに手をかけて大きくひとつ深呼吸をした。最近ではこの瞬間が、一日の中で最も緊張する時間かもしれない。 意を決して家の中に入る。リビングに異変はない。そこから見えるキッチンも、問題なさそうだ。鍋の中をのぞき込みながら「おかえり」とつぶやくように言った妻の友梨佳の様子も、いつもと変わりない。 よかった。 今日我が家では、何も起こらなかったようだ…そう胸をなで下ろして洗面所のドアを開けた裕貴はギョッとした。洗面所が、異様に広々として見える。 それもそのはず、1年半前に友梨佳に懇願されて渋々購入した 乾燥機が、跡形もなく消え去っている のだ。裕貴が唖然としていると、いつの間にか彼の背後に立っていた友梨佳が、不気味な笑いを浮かべて言った。 「どう?スッキリしたでしょ。乾燥機も断捨離しちゃった。やたら場所を取るし、やっぱり服を傷めちゃうし。それにね、ネットで見たんだけど、乾燥機にかかる平均的な1カ月分の電気代って…」 裕貴は嬉々としてしゃべり続ける妻の声が、遠のいていくのを感じた。 勘弁してくれ。 毎日毎日、家の中から何かしらなくなっていく。最初は、去年のクリスマスにねだられたホームベーカリーだった。 次はトースター。続いて炊飯器が消えた。そして、今度は乾燥機? 裕貴は文字通り頭を抱えると、 「断捨離」 の素晴らしさについてお決まりの熱弁を続けている妻をその場に残して、フラフラと寝室に逃げこんだ。 ■浪費と衝動買いを繰り返す「片づけられない妻」 友梨佳と裕貴は、ともに27歳の時に結婚した。いわゆる「授かり婚」で、長女の芽衣は今年7歳。2歳下には長男の海斗もいる。 少々いい加減でだらしないところはあるが、基本的に明るくニコニコしている友梨佳。優柔不断なところもあるけれど、穏やかで優しい裕貴。2人の結婚生活は、それなりにうまくいっていた。 けれど、経済的な不安はあった。裕貴は小さなメーカー勤務で、収入はそれほど多くない。それなのに働くのが嫌いな友梨佳は第一子妊娠を理由に、ほとんど独断でショッピングモールの販売員の仕事を辞めてしまったのだ。長男の幼稚園入園後、夫にせっつかれてようやく友梨佳は重い腰を上げ、パート先を探し始めた。 友梨佳の口癖は 「好きなことしかしたくない」 。そんな調子なので彼女の仕事探しはなかなか進まず、夫婦けんかも増えた。 妻の「好きなこと」は、世の中にあまりないように裕貴には見えた。しょっちゅう「何か楽しいことないかなぁ」などと言いながらダラダラとネットサーフィンを続け、その時々の流行の商品やサービスを購入したりする。だが、どれも1カ月もしないうちに、友梨佳はきれいサッパリ忘れ去ってしまう。 そんな性格の反動なのか、数年に一度、何かにハマると友梨佳は すさまじい勢いで熱中 した。彼女が好条件とは言えない雑貨屋のパートの職にあっさり収まったのも、そのショップの雑貨にハマったからだった。 キッチン小物やらベランダ用の置き物やらガーデニング用品やら、友梨佳はしょっちゅう細々したものを購入してパートから帰って来る。稼いだそばから浪費してしまうのも困りものだったが、それ以上に裕貴を困惑させたのは、どんどんひどくなる 家の散らかり ぶり。 「春になったらハーブを植えるのよ。そのハーブを使ってお料理するの。すてきじゃない?」 友梨佳はそんなことを言って自分の妄想にうっとりしているが、実際に春が来る頃にはそんな妄想などすっかり忘れているに違いないと、裕貴はため息をつく。 一体どうして妻は、「ベランダ」というより「エアコンの室外機置き場」と言ったほうがいい小さな小さなスペースのために、これだけ 大量のモノ を購入してくるのだろう。 キッチンだってそうだ。同じようなものをすでに持っていても、「デザインがすてき」、「ひと工夫あって使いやすい」などと言って、似たようなものを山ほど買ってしまう。おかげでキッチンも、モノだらけでグチャグチャ。その収納のために「すきま収納」家具が欲しいと友梨佳が言い出した時には、さすがの裕貴も異議を唱えた。 「家具を増やして収納することより、少しはモノを減らすことも考えてくれよ。似たようなものがいっぱいあるじゃないか。同じようなものは処分するなり、ネットで売るなりできないのか?」 自分の要望が通らず、友梨佳は逆上した。 「何よ。私は家族のためにおうちをすてきな場所にしようと思って、そのためのアイテムを買いそろえてるのに。それに、料理なんてほとんどしない裕貴に、キッチン用品の使い勝手なんて分からないでしょ。 何にも分からないくせに、口出ししないでよ 」 こうして始まった冷戦は結局、友梨佳が自分のパート代ですきま収納家具を購入し、裕貴がそれを黙認するまで続くことになった。 この家が足の踏み場もない状態になるのも、時間の問題だな…。さらに狭くなったキッチンをながめながら、裕貴はがっくりと頭をたれた。 ■断捨離に目覚めた妻「トースター、炊飯器、次は…」やりすぎで生活崩壊 ところが、事態は思わぬ展開を見せた。雑貨コレクターと化していた友梨佳が、 断捨離ブーム に乗っかったのである。 「モノに依存しても、本当の幸せは得られないって気づいたの。それどころか、モノをためこむことで、幸せは逃げていってしまうみたい。これからはできる限り、シンプルライフを目指すわ」 断捨離に関する本や雑誌を、散らかり放題のテーブルに山積みにして満足そうに笑う友梨佳。どうせ断捨離のムック本やら、お片付け講座のDVDやらが増えて、さらに部屋が狭くなるだけに違いない。そう思っていた裕貴だったが、翌週から本当に部屋が片づき始めた。 毎晩裕貴が帰宅すると、友梨佳は夫の帰りを待ち構えていたかのようにやって来て、すごい勢いでまくし立てた。 「今日はゴミ袋4つ分捨てちゃった」 「しゃもじはね、厳選してこれ一つだけ残すことに決めたの」 「私はこれまで新しいモノを買うことで、『新しい自分』になれるような気がしてたんだけど、今は違うの…」 友梨佳は何やら、断捨離によってすさまじい 充足感・達成感 を得ているらしい。その没頭ぶりは多少異常なような気もしたが、とにもかくにも部屋が片づくのは素晴らしい。裕貴はそう思い、妻の変化に目を細めていた。 しかし、そんなふうに呑気に構えていられたのは最初のうちだけ。裕貴はすぐに、 断捨離にハマり過ぎた妻 についていけなくなっていった。 似たようなものが山ほどある、鍋しきやら調味料ケースを断捨離してくれるのは大歓迎。だが、さんざんねだられて買ったばかりの ホームベーカリーを手放した と聞いた時には、裕貴も驚いた。 「まだ新品同様だったじゃないか。これからまだまだ使えたのに…」 「そういう問題じゃないのよ」 決然とした口調で、まるでその道の専門家か何かのように友梨佳が解説する。 「『まだ使えるモノ』であっても、『実際には使っていないモノ』を家に置いておくのが大問題なわけ。使われていない 不要なものは、負のエネルギーを出す ようになっちゃうんだから」 確かにホームベーカリーは購入直後に2、3度使われたきり、まったく使用されていなかった。費用を負担した裕貴としては「もったいない」という気持ちはあったが、これからもずっと使われない運命にあるモノに、決して広くない家の中の空間を占拠させておくほうが「もったいない」のかもしれない。 裕貴はそう考えて、自分を納得させることにした。ところが、しばらくして トースターまで捨てた と言われた時には裕貴は訳が分からなくなった。 「トースターは毎日使ってるじゃないか」 すると友梨佳は、「まったく、これだから何も知らない人は…」と言わんばかりの顔で答えた。 「トーストなんて、フライパンでもできるんだから。ミニマリストの間では、家電を減らしてほかのもので代用するのは常識よ、常識」 ミニマリスト…? ついこの間まで「私って『ステラレネーゼ』なの」などと言っていた妻が、一体いつの間にミニマリストになったというのだ。裕貴はひたすら理解に苦しんだ。その間にも友梨佳の断捨離熱は、ひたすら過熱していった。 次に姿を消したのは、炊飯器 。友梨佳に言わせれば、「時短料理ブームの時に買った圧力鍋を使えば、あっという間にごはんが炊けるから炊飯器なんていらない」とのことだった。 ところが、そこはもともとズボラな友梨佳のこと。「フライパンでトースト」も「圧力鍋で炊飯」も1週間と続かず、朝食のパンは「トーストしなくたっていいじゃない」とそのまま出されるようになり、ごはんの代わりに麺類ばかり出される日が続いた。 「今日は米が食べたい」と裕貴が何日か連続でリクエストすると、とうとう「そんなにごはんが食べたければ、コンビニでパックのやつ買ってきたら?」などと言い出す始末。この頃になると、断捨離に関する夫婦けんかが急増した。 「何でもかんでも 後先考えずに処分して、生活に支障 が出てきてるじゃないか」 「支障って何よ? 家の中はどんどんスッキリ、快適になってきてるじゃない。きれいなものはネットフリマで売ると2000円位になるのよ。上等じゃない!」 「なんだよ、その言い方。俺は前みたいに毎日普通に米が食べたいし、子どもたちだって朝はトーストが食べたいって言ってるだろ。快適、快適って言い張ってるのは、友梨佳だけじゃないか」 こんな時、友梨佳はお決まりの「あきれた」「あなたは何も分かってない」という顔をする。そして、やれやれと首を振りながら言うのだ。 「あなたは本当の『快適』の意味が理解できてないのよ。麺か米か? パンがトーストしてあるかどうか? そんなことが本当に重要だと思ってるの? だとしたら、あなたはこの過剰消費社会に踊らされてるのよ。 あれこれ用途別に家にモノを増やして、それで快適な生活を手に入れているつもりなんだとしたら、そんなの健全じゃないわ。モノだらけの空間は精神衛生上よくないし、お金も浪費…」 「じゃあコンビニの白米パックやコインランドリーは何なんだよ!」 裕貴はすかさず反論した。 「乾燥機なんてスペースばっかり取って服を傷めるって言って処分しておいて、やっぱり干すのが面倒でコインランドリーに頼ってるのは一体、何なんだ? せっかく買ったものを何にも考えずに処分して、新たな出費まで発生してるようじゃ、それこそ 浪費以外の何物でもない じゃないか」 「どうしてあなたは、いつもそうなの!?」 ここで友梨佳は、まさかの逆ギレ。 「私はいつだって家族のために、最善のライフスタイルを目指して頑張ってる。それなのにあなたは、いつもそうやってあげ足を取って、ケチをつけて…。どうして私の気持ちを分かってくれないの!?」 こうして友梨佳の大爆発で、何の解決にもならないまま、けんかが強制終了されるのがいつものパターン。友梨佳は 自分のやり方が通らなければ逆上し、泣きわめく 。裕貴はそんな日々に疲れきっていた。 けれども実は、この頃はまだよかったのだ。友梨佳の断捨離テリトリーが、主婦の主戦場であるキッチンや洗面所に限られていた頃は…。 ■「パパ、ダメね~」子どもを味方に断捨離を強要する妻 そのうち友梨佳は ベッドまで断捨離 したいと言い出した。さらには、裕貴の個人的な持ち物にまで、連日うるさく口出しするようになる。 「ねえ、このカタログ捨てていいでしょ」 「この漫画本、全然読んでないじゃない。売りましょう」 「あなたのクローゼットで、こんなシャツ見つけたんだけど。悪趣味よ。全然あなたに似合わない。捨てちゃっていいわよね」 自分の持ち物にまで、断捨離に狂った妻の魔の手が伸びてきそうになり、裕貴も自分の身を守るために徐々に攻撃的になっていく。 もはや断捨離をめぐる衝突は、日常の一部と化していた。ひたすら断捨離の素晴らしさを説き、それを 夫にも押しつけようとする 友梨佳。そんな妻を異常だと感じ、抵抗する裕貴。 自分が理想とするライフスタイルを認められず、じれにじれた友梨佳は、とうとうこの問題に子どもたちまで巻き込み始めた。裕貴と口論になると、これ見よがしに子どもたちに向かって大声で言うのだ。 「パパったら、いらないものをいつまでもためこんでダメねぇ。整理整頓ができなきゃダメって、幼稚園でも習うわよねぇ」 「あーあ。パパはまだ、使わないものを捨てられずにいる。芽衣ちゃんと海斗くんは、パパみたいな大人になっちゃダメだぞー」 子どもたちの前で 「ダメな大人の見本」扱い されるにいたって、裕貴の妻を見る目も完全に変わってしまった。以前はズボラでミーハーで、とても「できた奥さん」とは言えなくても、それなりにかわいいところもあって、一緒にいて楽しいこともあった。 けれども、今の友梨佳は 独裁者 だ。家庭内で自分の設定したルールが通らなければ即、激怒。自分のやり方こそ正しく、これを認められないのはお前がダメだからだという態度。そのうえ、子どもたちの前で、 「パパはダメ人間」 と毎日のように繰り返す。 一体なぜこんな妻と一緒にいるのか。裕貴はいよいよ分からなくなってきた。 ■ついに夫のコレクションまで断捨離、その結果… そんなある日、決定的な出来事が起きた。 大けんかの翌日、仕事から帰った裕貴がパソコン部屋に入ると、 コレクションしていた映画のキャラクターのフィギュアが消えていた 。 何が起きたか、疑問に思うまでもなく一瞬で分かった。友梨佳が捨ててしまったのだ。持ち主である裕貴に何の相談もなく、何の許可も得ずに。 裕貴専用のパソコンの横の、小さな箱に収められた、本当にささやかなコレクションだった。そんな小さな空間であっても、友梨佳は自分にとって「ムダなもの」にスペースを取られるのが、どうにも我慢ならなかったらしい。 裕貴はリビングで、ミニマリストのブログに夢中になっている友梨佳に話しかけた。 「お前の言う通り、健全な人生のためには、思いきっていらないものを捨てる覚悟も必要かもな」 友梨佳はびっくりした顔でスマホから顔を上げたが、その顔はすぐに輝くばかりの笑顔に変わった。 「もう! やっと分かってくれたのね! そうよ。ムダを排除して、本当に必要なものだけを持つことが一番大事なの。そういう生き方を、子どもたちにも早い段階から見せてあげることが…」 友梨佳の弾んだ声を、裕貴がキッパリとした口調でさえぎった。 「それなら俺が真っ先に断舎離すべきは、友梨佳、お前だよ」 今ではガランとしたリビングで、友梨佳はポカンと口を開けたまま裕貴を見上げていた。 「私が進む道こそが、我が家が進むべき道」と断捨離に没頭した友梨佳さん。夫の意見も持ち物も勝手に断捨離した結果、 自分自身が夫の断捨離対象に なってしまいました。 果たしてこの夫婦の行く末は? 次回は、モラハラ系モンスターの診断チェックテスト、そして友梨佳さん、裕貴さん夫婦の結末をご紹介しましょう。
2018年11月10日ようやく授かったわが子が、かわいくて仕方がない。この子のためなら、なんだってしてあげたい。食事の内容もインテリアも、頭の中、心の中まで、とにかく子ども第一。いつも笑顔で甲斐甲斐しく子どもの世話を焼く、愛情いっぱいの母親…。 とても理想的な母親に見えます。実際、母親としては百点満点といえるでしょう。ところが、時間も気力も体力も子どもだけに傾注した結果、 夫婦仲が崩壊 。 前回 ご紹介したケースの主人公、亜由美さんはそんな女性でした。 亜由美さんと敬二さんのように、目に見える大きな衝突にはいたらなくとも、妊娠・出産という夫婦にとっての一大イベントをへて、夫婦仲が冷えきってしまうのは決して珍しいことではありません。 特に、妻が「母」でしかなくなり、「妻」として機能しなくなってしまった、 機能不全の夫婦 。そんな夫婦は年月をへるごとに、どんどん夫婦仲が悪化していく傾向にあります。 確かに母親業は重労働。持てる時間もエネルギーも、すべて吸い取られゆく…そんな気持ちも分かります。わが子を愛すればこそ、わが子のために良い母親になろうとすればこそ、疲労度もアップ。 「そんな毎日の中で、夫になんか構っていられない」 「夫は大人なんだから、自分のことは自分でやってくれなくちゃ。これ以上、私を忙しくしないで」 「どうせ頼りにならない夫が、たまに育児に口をはさんでくると頭にきちゃう。いつも子どもの面倒を見ているのは私だし、私のほうがずっと子どものことを分かってるのに。思いつきみたいに余計なことを言って、私の足を引っ張らないで!」 「こっちがクタクタに疲れてるのにセックスとか言われると、もうドン引き。そもそも子どもが生まれてそんな気分になれないから、誘われると『気持ち悪い』と思っちゃう」 そんな風に言いたくなる気持ちも、分からないでもありません。 妊娠・出産による環境やホルモンバランスの変化で、妻が夫を拒絶するようになってしまう。本能的に子どもを守り育てることに必死で、「足を引っ張られた」と感じたら、相手が 夫でも攻撃対象 となり、「敵」とみなしてしまう。 これらはよく知られた事実です。生後間もない、か弱い赤ちゃんを守り抜くために、女性に備わった本能。 しかし、ただ事実を事実として、本能を本能として受け入れるだけでは、なにも変わりません。こうした事実を踏まえたうえで、どう対処していくべきかを考えましょう。 その第一歩として、あなたが本能のなすがままに 「夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」モンスター と化してしまう危険度をチェックしてみてください。 ■「今時モンスター 夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」度チェック ここでは、あなたの「今時モンスター 夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか? 1. 子どもさえいてくれれば、夫は留守でも構わない。 2. 子どもには持てる限りの時間とお金と労力を、すべて注いであげたい。 3. 子育てこそ、女性の最大の幸せだと思う。 4. 育児や子どもの教育について、夫はあてにならないと思う。 5. 母親がどれだけ育児や教育に関する知識を持っているかで、子どもの人生は決まると思う。 6. 妊娠中、産後を通して、育児書とネットが最高の友だちだった。 7. 育児以外の仕事、人間関係の優先順位が下がるのは仕方がない。 8. 妊娠・出産をへて、夫にイライラすることが急増した。 9. 産後、夫の誘いを断り続けている。 10. 子どもが生まれてから、夫を家事や育児の足手まといだと感じるようになった。 ■あなたの「夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果 「夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。 ○の数が3個以上6個未満は、“子どもが恋人”ママ度「C」(今はまだ、ただの「いいお母さん」ですが…「いい奥さん」であることも忘れないようにしてください) ○の数が6個以上8個未満は、“子どもが恋人”ママ度「B」(「夫に回す時間や労力はない」という生活になりつつありませんか?) ○の数が8個以上は、“子どもが恋人”ママ度「A」(「子どもさえいてくれれば、夫のことなんかどうでもいい」という態度に、夫は相当傷ついているはず) 夫の敬二さんをズタボロに傷つけた、「夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」モンスターの必殺技。それは 「夫を完全無視」 。 夫として尊重されず、父親として頼りにされず、男として求められない。だから家庭に居場所がない。 「あなたの考え? 気持ち? したいこと? そんなの興味ないわよ」 「あなたは精子バンクとATMとしてだけ機能してくれれば、それでいいの」 そんな亜由美さんの態度に敬二さんはずっと傷つき、怒りを募らせていました。 幸い女性の産後うつに関しては、少しずつ情報が増えてきています。赤ちゃんの誕生で突然環境が変わり、心身ともに疲労困ぱいしている妻に、 夫が言ってはならない禁句 があるそうです。それは… 「母親になったんだから頑張れ」 「ママなんだから我慢しないと」 なんだそう。 では、子どもの誕生後の夫の状況は? 男性は出産という、肉体的な大ダメージを受けずにすみます。ホルモンバランスの変化による、精神的なゆらぎもないでしょう。だからこそ、「いかにして夫が 妻を産後うつから守る か」が重要視されていますね。 けれど、夫だって父親1年生。なんでもかんでも「父親なんだから我慢」「妻は心身ともに参っているんだから、夫が我慢してやれ。折れてやれ」と言われていては、不満がたまるのは当然です。 こんなことを言う妻がよくいます。 「私は妊娠・出産で体の状態が変わってセックスどころじゃないのに、夫に求められると本当にゲンナリするんです。 確かに男性は妊娠も出産も経験しないから、女性の体や心の変化を体感することはできません。でも、ちょっと想像すれば分かりますよね? あんなにおなかが大きくなって、人ひとりを生み出すんですよ。 ちょっと考えれば、セックスどころじゃないことくらい、分かりますよね? そう思うと、本当に夫にイライラして」 身も心も疲れ切っている時期に、そう思ってしまうのは無理もないかも知れません。けれど…そんな妻たちこそ、思いやりを持たなければ。 男性は妻の妊娠期間中といえども、自動的に性欲スイッチがオフになるわけではありません。女性が男性の性欲のメカニズムを体感することはできませんが、ちょっと考えれば、「妻の妊娠中であれ産後であれ、夫の性欲は普通に存在する」のです(妊娠中の妻は対象にならない夫もいますが)。 それでも新たな命を育み、生み出すために、妻は全身全霊で頑張っている。それが分かっているから、夫たちは自分の 性欲を我慢 するのです。 それなのに、夫が頃合いを見計らって、勇気を出して、「そろそろ、どう?」とおうかがいを立ててきた時に、妻が相手をさげすむような態度で冷たく拒絶したら…夫だって「やってられない」という気持ちになってしまいます。そして 「産後セックスレス」へまっしぐら 。 とはいえ「妊娠・出産・育児で体がつらかろうと、夫の誘いは断るべからず!」などと言うつもりはありません。 もちろん応じることができればそれに越したことはありませんが、無理は禁物。 妻たちに覚えておいてもらいたいこと。それは、子どものことだけで手一杯だからと 夫のことを後回し にして、『そんなの当然』と開き直っていては、あっという間にモンスターワイフ化してしまうということです。これはセックスに限らず、夫婦の生活全般についていえることです。 産後、時間も心身のエネルギーも、まずは子どもに回っていくのは避けられません。 そこで妻が「仕方ないでしょ。あなた、父親でしょ。私の手をわずらわせないで」という態度を取るか。それとも「ごめんね。私も忙しくて疲れてて、あなたのことはいつも後回しで…」と、相手の抱える不満に理解を示すのか。 夫に傾けることのできる時間やエネルギーの量が同じでも、妻の気持ちや態度によって、夫婦関係に大きな差が出てくるのです。 ■子育ては十数年、夫婦生活は数十年…どちらが大切? ここで、 亜由美さんのケース を振り返ってみましょう。 子どもに夢中になった亜由美さんは、早々に夫をバッサリと切り捨ててしまいました。夫の気持ちや要望など、お構いなし。子どもさえニコニコしていればそれでよく、いつでも「あなた父親でしょ。子どものために、これくらいできるでしょ? こんなことも我慢できないの?」という態度。 朝から晩まで、子どもにベッタリ 。育児、教育に関する情報も徹底リサーチしているので、「わが子のことを一番よく理解しているのも、わが子にとってなにが良いかを知っているのも自分」と信じて疑わない。だから、夫が妻の育児・教育方針に意見しても、聞く耳を持ちません。 最近の傾向に、「検索魔ママ」の急増があります。 子どものことで知りたいことがあれば、すぐにネットで検索。初めての育児で疑問に直面した時にも、ネットのママコミュニティで質問し、教育の悩みも、ネットの相談サービスを利用します。育児書もおもちゃもおやつも、すべてネットで高評価のアイテムを検索してワンクリックで購入するのです。 本来なら、子どもの父親である夫にも相談してしかるべき事柄まで、妻がネットでリサーチして自己完結。最高の相談相手であるべき夫が隣に座っているのに、妻はまったく目もくれず、ネットで見知らぬ他人に子育て相談…などという奇妙な現象まで発生しています。 妻のこうした行為は、夫が父親として成長する機会を奪ってしまいます。妻に頼られ、子どもに求められ、家族に尊敬されてこそ、 夫は成長 していくのですから。 こうした妻は普段、夫をスマホの育児アプリ以下の扱いをしておきながら、ネットや育児書で見つけた「理想の父親像」を夫に押しつけようとしたりもします。こうなると夫は当然、息苦しくて仕方がない。 発言権を与えられず、「子どものために」と妻が独善的に設定したルールを強要される。夫が妻の思い通りに動かなければ、さんざん目の敵にされ、非難される。そして、それ以外の時には、見向きもされない。 妻の妊娠中や育児中の、夫の浮気。どんな事情があれ決して正当化されてはならないし、許されることではありません。しかし、家庭に居場所を失った夫たちが、外に救いを求めた結果なのかもしれないという想像はできます。 その後、亜由美さんと敬二さんは冷戦状態に突入しました。態度をあらためるつもりもなく、夫婦関係について話し合う気もないまま、「ねえ、2人目」という催促しかしてこない亜由美さんから、敬二さんの心は完全に離れてしまいました。 催促を拒絶された亜由美さんも、子どもの前では相変わらずニコニコしていますが、敬二さんと2人きりになると、以前以上に冷たい態度を貫いているそうです。 「離婚も真剣に考えましたよ。でも、妻は絶対に親権を譲らないでしょうし、僕も息子と離れるのはつらい。それに妻は、子どもを置いて働きに出るなんてことは考えられないでしょう。となると離婚した場合、一体僕は毎月いくら、妻と息子に払い続けなければならなくなるのか…」 八方ふさがりです、と頭を抱える敬二さん。 育児の真っただ中で時間的、体力的制約があっても。「正直今は、子どものことしか考えられない」という気持ちであっても。亜由美さんが夫に対してもう少し思いやりを示せていたら、状況は変わっていたはずです。息子の前でだけ演じる「見せかけの幸せ」ではなく、本当に幸せな家族でいられたかもしれないのです。 もう子どものことで手一杯。子どもさえいてくれればそれでいい。セックスなんて、もう興味ないわよ。今そんな風に思っているあなたも、ちょっと考えてみてください。 夫が忙しさを理由に、あなたの寂しさや不満を無視するようになったら? 子どもに手がかからなくなったら? 子どもが家を出たら? 夫にセックスを冷たく断られ続けたら、どんな気持ちになりますか? 家族は夫婦に始まり、夫婦に終わります。子どもが巣立ってからも夫婦関係は続きます。熟年離婚や空の巣症候群のリスクは大きいのです。 「今は子どものことしか考えられない」というあなたも、 もう少し先のことを考えてみてください 。そうして、今より少し思いやりを持って夫に接することができるようになり、夫婦仲がやんわりすれば…。それはあなたが愛してやまない、お子さんの幸せにもつながります。
2018年10月28日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に モンスターワイフの影が見える から…。 「子どもが生まれたら、 子ども中心の生活 」。 それが大多数の夫婦の現実かも知れません。けれど、そんなライフスタイルが、 夫婦仲にヒビ を入れる可能性があることも忘れてはなりません。 自分の子どもがかわいいのは当然です。しかし、子どものことしか見えなくなり、夫との関係をおろそかにしていると…家族の基礎である夫婦仲が、確実にぜい弱化していきます。 夢中で子どもを追いかけ回しているうちに、気づけば夫を置いてけぼりにしていた…。夫との間に、決定的な亀裂が入っていた…。 今回ご紹介するのは、そんな亜由美さんのケースです。 ■悲劇は妊活から始まった…“子どもが恋人”ママモンスター誕生 「今時モンスター 夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」代表:亜由美(仮名)38歳の場合 「はるくん! タマネギもちゃんと食べなきゃダメだぞ~」 大好物のナポリタンで口のまわりを真っ赤にした息子の陽翔(はると)に向かって、亜由美は言った。口では怒りながらも、亜由美の顔は満面の笑み。もうすぐ4歳になるひとり息子が、かわいくてかわいくて仕方がない。 郊外の住宅街。子ども部屋やリビングのみならず、ダイニングスペースまで亜由美が厳選したおもちゃであふれ返る家。水色のエプロンをした亜由美は、満ち足りた顔で愛情いっぱいのまなざしを陽翔に向けている。陽翔も甘えん坊特有の上目づかいで、亜由美の顔を見つめている。 絵に描いたような幸せな食卓…の片隅に亜由美の夫・敬二は、 いつもの仏頂面 で座っていた。 「あら、あなた、食べないの?」 敬二の手つかずのナポリタンを見て、亜由美は言った。 「あのさあ、何度言わせるんだよ。俺はケチャップ嫌いだって言ってるだろ。それに甘ったるいタマネギも。なのに昨日はオムライス、今日はナポリタンってこれ…」 さっきまで笑顔だった亜由美が、キッと鋭い視線を敬二に向ける。そして、そんな様子を息子には気取られまいと、視線とは裏腹の明るい声を上げて言った。 「やだ~、パパがそんなこと言ってちゃダメだよねぇ。はるくんは、タマネギ食べれるでしょ? ほ~ら、パパに、お手本見せてあげて!」 妻の取ってつけたような高い声と笑顔に、敬二は うんざり して顔を背けた。 妻はいつもこうだ。 息子のことしか考えていない 。俺のことなんてどうでもいいと思っている…いや、そもそも夫のことなんて、なんにも考えていないのだ。 昔はこんなじゃなかった。俺たちだって昔は、仲の良い夫婦だったのだ。そう、 妊活が始まるまでは… 。 もちろん息子はかわいい。けれど、今の家庭の状況、夫婦関係を考えるにつけ、敬二は「こんなはずじゃなかった」という思いをぬぐい去ることができなかった。 ■奥ゆかしかった妻が「排卵日セックス」要求 亜由美が大学生、敬二はすでに会社員として働いていた頃に2人は出会った。敬二の仲の良い同期の恋人が亜由美の大学の友人で、ダブルデートをすることになったのだ。 5歳も年下の、しかもまだ学生をしている女の子となにを話したらいいんだ? やたらキャピキャピした子が来たらどうしよう?と心配していた敬二。しかし、自分と同じ 奥手で真面目 過ぎるくらいの亜由美に、一瞬で好感を持った。 亜由美のほうも同じだった。それまでまともに男性と交際したことがなかった亜由美だが、誠実で頼りがいのあるお兄さんのような敬二に、どんどんひかれていった。 こうして、晴れて付き合い始めた2人。交際は亜由美が中堅企業の一般職に就いてからも順調に進み、亜由美が27歳、敬二が32歳の時に結婚した。 亜由美は家庭的なタイプで、子どもも大好き。きっと 理想的な妻 になってくれるだろうと、敬二は幸せに浸っていた。そして実際、2人の結婚生活は楽しかった。 亜由美が30歳の時に、 妊活 を始めるまでは。 心から子どもを望んでいたのに、自分が妊娠しづらい体質であることが分かった亜由美。思うように妊活の成果が出ないとひどく落ち込んだり、感情的になることも増えていった。 彼女の穏やかで落ち着いた人柄を愛していた敬二にとって、これはつらかった。けれど、もちろん妻の苦しみは理解できる。だから敬二は、懸命に妻のサポートを続けた。 ところが、亜由美の変化はそれだけではなかった。 妊活に取り組む夫婦にとって避けては通れない道とはいえ、敬二は亜由美の 寝室での変貌ぶり に衝撃を受ける。奥手で恥ずかしがり屋で、奥ゆかしいところがたまらなくかわいらしかった亜由美が、堂々と 排卵日セックス を要求。 そのうえ、ネットで見つけてきた 「妊娠しやすい体位」 を事細かに指示してくるわ、事後にも「妊娠しやすいから」と、いつまでも奇妙な姿勢を取っているわ…。 分かっている。妻は一生懸命なのだ。必死なのだ。それは自分にだって、よく分かっている。頭ではよくよく分かっているのだ。 だから、敬二はなんとか、亜由美と同じだけの熱意をもって妊活に参加しようとした。それでも、なかなか気持ちが追いつかず、排卵日セックスをひどく億くうに思うようになっていった。 でも、これも今だけだ。ずっと続くわけじゃない。 妊活さえ成功すれば、自分たちは元通り になれる。元のかわいい亜由美が戻ってきてくれるはずだ。 そう自分に言い聞かせて、敬二は耐えた。そして2人の努力がついに実り、亜由美は妊娠。これで妻も穏やかではにかみ屋で、いつも自分を頼って慕ってくれていた昔の妻に戻ってくれるはず…敬二はそう信じていた。 だが、事態は彼が望む方向へは進まなかった。妊活中、あれほどセックスを要求してきた亜由美が、 妊娠後はセックスのセの字もなくなった のだ。 ■セックス拒否の妻「子どもが生まれれば…」我慢、我慢の日々 妊活中の 「必要に迫られてするセックス」から解放 された今こそ、昔のような2人に戻れるのではないか。 子どもが生まれるまでの数カ月間は、夫婦だけで過ごす最後の時間になる。2人で楽しい時間を過ごしたい。子どもが生まれたら行けないような場所にも行っておきたい。セックスだって子どもが生まれたらしばらくは、なかなかできないかも知れない…。 そう考えた敬二はある日、リビングのソファでいかにも幸せそうに妊婦向けの雑誌を眺めている亜由美の隣に座り、肩を抱きながら久しぶりに妻を誘った。すると、妻の表情が一瞬にして激変した。 「冗談よね?」 妻のこわばった、相手を非難するような表情に敬二は困惑した。 「え…、いや、安定期に入ったしさ。妊娠が分かってから俺たち、一度もしてないだろ。それに、おなかが大きくなったら、また難しいだろうしさ…。もちろん、絶対に激しくなんかしないし」 「なに言ってるのよ!」 亜由美は敬二から飛び退くようにして立ち上がり、敬二をにらみつけた。 「安定期に入ったからって、赤ちゃんが無事に生まれてくる保証なんてどこにもないのよ! 赤ちゃんに万が一のことがあったらって、不安にならないわけ!? こんな時にセックスだなんて、敬二さん、どうかしてるわ。あなた、 それでも父親なの!? 」 まるで汚いものでも見るような目つき。相手を完全に突き放し、見下した口調。まったく予想していなかった妻からの反応に、敬二は傷つく。と同時に、心には不満も芽生えた。 つい数カ月前まで、こっちが引くくらい求めてきたくせに…。子どもさえできれば、 俺はお払い箱 かよ。俺は精子バンクか。 そんな思いを、敬二はグッと飲み込む。4年近い不妊治療の末に、やっと授かったわが子。亜由美がナーバスになるのも無理はない。そうでなくとも、妊娠中の女性は気持ちが不安定になることがあるという。この件に関しては、自分が悪い。 子どもが無事に生まれて、少し落ち着いたら、きっと妻も元に戻ってくれるはずだ。それまで自分が夫として、父親として、しっかりサポートしていかなければ。セックスにこだわらず、夫婦仲を良くしたうえで、わが子を迎える日に備える。敬二はそう思うことにした。 ところがその後、敬二の 心は妻からどんどん離れていく ことに。正確には、亜由美が敬二にまったく関心を示さなくなり、敬二も「仲良し夫婦」を目指すのをあきらめてしまった、といった状態だ。 亜由美はヒマさえあればあらゆる妊婦向け雑誌やウェブサイトを読みふけり、とにかく生まれてくる子どものことしか眼中にない。2人で並んで座っていても、スマホの妊婦向けアプリに夢中で、敬二が話しかけると露骨に面倒臭そうな顔をする。 クレジットカードの請求がびっくりするような額になっていて、敬二が亜由美に問いただしたこともあった。すると妊娠中に食べると良いらしい健康食品をネットで見つけては、あれこれ注文したとのことだった。 これまたネットでどこかの国の聞いたこともない教育法の情報を見つけてきては、なにやら高価な材料を取り寄せて、寝具やら知育玩具やらを作り始めたりもしている。 正直、敬二はついていけなかった。子どもを迎える準備といえば、夫婦で子ども服やおもちゃを見に行って、ああでもない、こうでもないと、楽しく頭を悩ませるシーンを想像する。 ところが実際には、「プロの妊婦」と化した妻がどんなことでもリサーチにリサーチを重ね、完璧かつ最高の条件を用意して子どもの誕生を待ち構えている。 そこに敬二が入り込む余地はない。すると今度は「あなたの子でもあるのに、 やる気あるの? 」と亜由美に責められる。そんな生活に、敬二は嫌気がさし始めた。 そうこうしているうちに待望の第一子、陽翔が生まれた。 ■夫は邪魔者? 息子を溺愛すぎる妻 亜由美の母親ぶりは申し分ない。赤ん坊の夜泣きの対応をどちらがするかで夫婦けんかになるなどという話も聞くが、亜由美と敬二の間にそんな問題は皆無。どんなに疲れていても陽翔が少し声を上げれば、亜由美は飛び起きてすっ飛んでいく。 「亜由美、疲れてるだろ。俺が見るよ」と敬二が言っても、「ダメ。はるくんには特別なあやし方があるんだから」と言って、亜由美は陽翔を渡そうとしない。妊娠が判明した直後からさんざん育児書を読みあさっていただけあって、亜由美の母親としてのパフォーマンスは最高だった。 ところが…敬二の亜由美に対する 不満は、息子の誕生後も募る一方 だった。 亜由美の献身的な母親ぶりには、もちろん感謝している。けれど、今の亜由美は陽翔の母親であって、それ以外の何者でもない。夫のことなどまるで眼中になく、夫の意見など完全スルー。彼女が夫を必要とするのは、子どもにかける お金が欲しい時だけ だ。 もはや亜由美には、「妻」らしさがまるでない。夫との関係になど、まったく関心がないように見える。 セックスに誘えば「疲れてるから」「はるくんがいつ目を覚ますかわからないから」と、いつもいつも同じ言い訳。そして「こんなに疲れてるのに、一体なにを言い出すのよ」「隣の部屋で子どもが寝てるのに、信じられない」という、 軽蔑に満ちたまなざし 。産後十分な期間待ったつもりなのに、一体、何度冷たく断られたかわからない。 食事も、家の中のあれこれの配置も、生活パターンもすべて 息子が中心 。そして亜由美は、それを夫にも強要してくる。敬二の好きな和食が食卓に上ることはほとんどなくなり、陽翔の好物の洋食ばかりが用意される毎日。 さらに亜由美は「父親がお酒を飲む姿を子どもに見せたくない」と、敬二のささやかな楽しみだった 晩酌まで禁止 する。 シンプルにまとめて居心地の良かったリビングも、今では陽翔の「知育玩具」だらけ。壁にも目がチカチカするような「あいうえお」や「ABC」の表が何枚も貼り付けられている。敬二がこだわって選んだテレビボードに陽翔がシールを貼ってしまっても、亜由美は黙ってニコニコしていた。 育児や教育の方針についても、亜由美は絶対君主制を敷いている。陽翔とずっと一緒にいるのは自分だし、自分は育児についてものすごく勉強しているのだから、自分のやり方こそ絶対に正しいと言う。 例えば、亜由美が陽翔を甘やかし過ぎている気がして、敬二が少し強い口調で陽翔に注意でもしようものなら、すぐさま亜由美は飛んできて陽翔を擁護する。「叱らない育児」「ほめて伸ばす教育」という類の本を片っ端から読んでいる亜由美は、敬二が陽翔に少しでもきつい口調になると、もう我慢ならない。 そして、そんな亜由美の言動について、陽翔のいるところで反論しようものなら、ギロリとにらまれ小声で「後で」と言われる。 亜由美は「子どもに両親が言い争う姿を見せてはならない」という主旨の心理学者の記事をネットで読んだらしい。陽翔が起きている間は、意見することすら禁じられるようになった。 そして陽翔が寝静まった「後で」2人の関係・問題について話し合おうとしても、亜由美は「疲れてるのよ」と言って、自分もさっさと寝てしまう。 「あなたとの関係なんて、どうでもいいのよ」 。敬二はそう言われているように感じていた。 この家の王様は陽翔で、亜由美はその忠実な従者。そして、自分は…この家庭にとって 自分は、ただのATM だ。 いつしか敬二はそんな風に感じるようになっていた。 ■「俺は精子バンクか?」夫の怒りがついに爆発! そんなある日。敬二が寝室に入ると、いつもは先にひとりで寝ている亜由美が、珍しく起きて待っていた。 「どうしたんだよ」 敬二がいぶかしげにたずねると、亜由美は言った。 「ねえ、はるくんももう4歳でしょ。私、もう1人、子どもが欲しいの」 そして久しぶりに、本当に久しぶりに、敬二に向かって笑顔を見せた。 この笑顔を、俺はずっと待っていた。待っていたはずなのに…。敬二は自分が奥歯をかみしめているのに気づいた。 「ねえ、なんとか言って…」 亜由美が言い終わる前に、敬二が怒鳴り声を上げた。 「ふざけるな!」 一瞬にして亜由美の顔から笑顔が消え失せ、目が一気につり上がる。 「シッ! ちょっとなんなのよ、はるくんが起きちゃう…」 亜由美の言葉をさえぎって、敬二は怒鳴り続けた。 「おまえは俺のことなんか、 精子バンクかATMとしか思ってない んだよな。さんざん俺を 無視 しやがって、欲しいものがある時だけ愛想よく笑ってみせて…もう、うんざりなんだよ!」 ようやく授かったわが子を溺愛する亜由美さん。母親としては完璧ですが、妻としては…夫に我慢を強要し続け、ついに沸点まで追いつめてしまいました。 母親の役目は、確かに大仕事。けれども 妻の「完全ママ化」 は、夫婦関係の悪化を招いてしまいます。あなたも「母親」としての役割しか見えなくなって、夫を無視して暴走するモンスターに変身してしまう危険性を抱えてはいませんか? 幸せな子どもは、幸せな家庭から。幸せな家庭は、幸せな夫婦から。 愛するわが子のためにも、夫婦仲をもっと大切にしましょう。その第一歩として、まずは、次回ご紹介する「夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」チェックテストをお試しください。
2018年10月27日大好きだった仕事を辞めて、妊活に専念。ところが、思ったように結果が得られず、焦燥感と挫折感、そして仕事をあきらめたことへの後悔にさいなまれ、精神のバランスを崩してしまった麻子さん。 日常生活も夫婦仲もどんどんおかしくなっていきますが、彼女はもはや妊活のことしか考えられない状態。専業主婦ならぬ「専業ベビ待ち」の誕生… 前回 ご紹介したのは、そんなケースでした。 子どもを持つか否か。 それは夫婦にとって、非常に大きな決断です。特に女性の間には、「女に生まれたからには、自分の子どもを生みたい。育てたい」という人が多いかもしれません。 けれど…社会が女性たちを半ば強制的に、まずは「就活」に放りこみ、そして「婚活」、そしてこれもクリアしたら、数年後には「妊活」を用意している、というようなところはないでしょうか。 「仕事に生きがい求めるのが普通よ。当然働かなきゃね。就活、就活」 「結婚はしなきゃダメでしょ。結婚して一人前。みんな結婚に憧れてるでしょ。条件が合う人を求める婚活は今や常識」 「女性なら子どもが欲しくて当然だよね。高齢出産年齢の35歳が近づいてきてるよ。 早く妊活しないと! 」 まるでそんな風に言われているように感じてしまいます。 「○活」という言い方をされると、それは「みんながやっていること」であり、「みんながやるべきこと」であるような気がしてきます。そして、「みんながやっていること、やるべきこと」である以上、社会に飛び交う情報の量は増える一方。 今では、専門家や一部の著名人のみならず、一般の個人も自身の意見や経験を気軽にSNSなどを通して発信できるのですから、注目度の高いテーマに関する情報量はもはや無限です。 「○活」に放り込まれた女性たちは、この膨大な量の情報に目がくらんでしまいます。情報がどんどん流れ込んできて、取捨選択する暇もない。そんな状況に疲れて自分を、そして自分のしたいことを、いつしか見失ってしまいます。 とても 便利な反面、自分を見失いそうになる社会 に生きている私たち。そして、生まれ持った性格が、現代社会のこうした性質の悪影響を受けやすいタイプだったりすると…妻はいとも簡単に、モンスターワイフへまっしぐらに落ちてしまいます。 あなたはそんな 「ハイリスクな性格」 に当てはまりませんか? 以下のチェックリストで確認してみてください。 ■「妊活系モンスター 専業ベビ待ち」度チェック ここでは、あなたの「妊活系モンスター 専業ベビ待ち」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか? 1. 自他ともに認めるコツコツ型の努力家だ。 2. 人生設計をバッチリ考えているタイプだ。 3. しないで後悔するより、失敗してもいいからチャレンジする。 4. 子どもがいない自分の未来が想像できない。 5. なにかを途中でやめたくなっても、投資した時間、お金、労力を惜しむあまり、やめることができなかった経験がある。 6. 物事を始める前には、関連する情報を集められるだけ集めたい。 7. 他人のブログを3つ以上継続して読んでいる。 8. チェックするブログ、SNSの発信者に対して、競争心を燃やしていることがある。 9. 女性の幸せは結婚と出産にあると思う。 10. これまでに大きな挫折を経験したことがない。 ■あなたの「専業ベビ待ち」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果 「専業ベビ待ち」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。 ○の数が3個以上6個未満は、専業ベビ待ち度「C」(あなたも「専業ベビ待ち」の卵を抱えている可能性があります) ○の数が6個以上8個未満は、専業ベビ待ち度「B」(妊活が長引くにつれて、「専業ベビ待ち」がそのシッポを出し始めます。要注意!) ○の数が8個以上は、専業ベビ待ち度「A」(かなり「専業ベビ待ち」化しやすい性格。一度立ち止まって自分と夫の幸せの形について、冷静に考えてみてください) 妊活を始める以前の麻子さんの人生は、なにもかもが順調に運んでいました。生まれ持った真面目で頑張り屋な性格が、うまく機能していたのです。もちろん人生において、努力は重要な要素。努力すれば手に入るものも、努力を惜しめば手に入りません。 けれど、世の中には どれだけ努力しても、手に入らないものがある のも事実。例えば、あなたがいくら魔法使いになりたくても、残念ながらなれません。「欲しいもの」がそれくらい分かりやすく、「手に入らないもの」なら問題ないのです。 ところが、技術の進歩により、少し前までは完全に不可能だったことの多くが、今日では可能になりつつあります。 ひと昔前の「不治の病」が、今では手術や薬で完治可能になり、スマホ1台で海の向こうの人々と、顔を見ながら話せる時代です。 そんな世界では、 「可能」と「不可能」の境界線 がどんどん曖昧(あいまい)になっています。 これって無理なのかな…どうにかならないか、ネットで調べてみよう。えっ、そんな方法があるの? SNSでこんなことを言っている人もいる。時間とお金をかければ、私だってできるかも…という錯覚。 できることが増えるのは素晴らしい。欲しいものをあきらめなくていいのも素晴らしい。 けれど…私たちの社会は 「あきらめなくていい社会」であると同時に、「あきらめさせてくれない社会」 にもなりつつある気がするのです。 こんな方法もある。こんな商品もサービスもある。こんな成功体験談だってある。これらをすべて片っ端から試せば、私だって望むものが手に入るんじゃない? 努力を惜しまない人ほど、なにごとも徹底的にやりたい人ほど、そう考えがちです。 でも、考えてみてください。どれだけ技術が進歩しようと、あらゆる情報や商品・サービスが瞬時に手に入る世の中になろうと、私たちに与えられた時間は1日24時間、体は1つしかありません。 ただでさえ、誰もが忙しい現代社会。そこに膨大な情報や広告が流れこみ、あれもやらなきゃ、これも買わなきゃ、こっちも試してみなきゃ…と急き立てられるようになったら、心身ともに疲れきってしまうのは目に見えています。 ところが 努力家タイプの人は、「ほどほどにする」「ほどほどでやめる」ということができない 人が多い。 「これだけ情報も技術も豊富にあふれているんだもの。あきらめさえしなければ、必ずゴールにたどり着けるはず」 「こんなに多くの選択肢に恵まれた時代に生きてるんだから、全部試す前にあきらめるなんて、逃げ。負けよ」 「うまくいった人がたくさんいるんだから。私だってこのまま頑張り続ければ、いつかは必ず…」 と、いつしか思いこまされてしまうのです。 ■妊活「いつまで、どれだけ?」引き際が見えない社会 あきらめさせてくれない社会。「引き際」が見えなくなる社会。そんな私たちの社会において過度に「頑張り屋」な性格は、妻の精神を崩壊させるモンスターの卵となりうるのです。 典型的な「努力の人」である麻子さんは、こうして妊活モンスターに取りつかれてしまいました。 「どんなに不妊治療の副作用がつらくても、妊活がどんなに苦痛でも、ゴールまで絶対に立ち止まらずに走りきる」 「大切な仕事をあきらめてまで妊活を選んだのだから、ここで手をゆるめたり、あきらめたりするわけにはいかない。絶対に妊活を成功させなければならない」 本人は明確なゴールに向かって、前向きに全力疾走しているつもりなのです。ところが、取捨選択しきれないほどの情報や広告というノイズに混乱させられて、いつしか 迷走、暴走 するようになってしまいます。そうすると… 「この治療は副作用がキツすぎて、体がもたないわ。別の方法がないか、お医者さんに相談してみよう」 「毎日毎日、健康第一の妊活メニューばっかりで飽きちゃった。今日はガッツリお肉だらけにしちゃおうかしら。 そういえば夫も『久しぶりに焼き肉が食べたい』って言ってたっけ。夫婦で気晴らし、気晴らし!」 なんて考えは、絶対に浮かびません。ゴールに向かう足を少しでも止めたら、それは努力家の妻にとっては「逃げ」なのですから。 もちろん「子どもをあきらめる」なんていう選択肢もありませんし、「いつまで妊活を続けるか」という冷静な見通しもありません。 不妊治療で心も体も疲れはて、泣く泣く妊活を終了するも、長年続いた苦しい日々で夫婦関係は破綻状態。経済的にも危機的状況…というケースもあります。 子どもを持つ未来へのビジョン、それにともなうリスクと心的負担は、妊活を開始する前、できるだけ冷静なうちに夫と共有してください。そうすれば妻が迷走・暴走を始めそうになった時に、夫がストッパーとして機能することが可能です。 さらに、将来のビジョンを共有することにより、 「妻だけがひとりで暴走し、夫は置いてけぼり」 という状況に陥るのを防ぎ、妊活による夫婦仲の悪化防止にもつながります。 「結婚はゴールではなくスタート」だと、よく言います。妊娠・出産も同じです。子どもを授かったその日から、夫婦は父親と母親という新しい役割を担って、新たなスタートをきるのです。 ところが、とにかく妊娠することしか頭にない妊活中の妻は、夫との関係など考える余裕がなくなってしまうことが多いように感じます。 「子どもが生まれてから忙しくて、夫婦仲が…」となげく妻が多いのですが、実は早くも 妊活中から、夫婦仲にヒビ が入り始めているケースが少なくないのです。 「待ちに待った、待望の赤ちゃんを迎えるその日には、仲良しのパパとママでいたい」 そんな思いを頭の片隅にでも常に置いておけば、夫を完全に無視した暴走は避けることができるでしょう。 ■「隣の芝生は青い」子持ちの親友と会って気づいたこと さて、 前回 のリアルエピソードで、大暴走を繰り広げてしまっていた麻子さんは、その後どうなったのでしょうか。 実は男性側が原因の不妊も多いという情報をネットでたて続けに目にした麻子さんは、俊さんを病院へ連れて行き、 精液検査 を受けさせます。ところが、俊さんの側には問題のないことが判明。これを機に麻子さんの精神状態は、ますます悪化していきました。 「 不妊の原因は私だけ にある。私だけが悪いんだ。全部私のせいなんだ…」 いつもそんな風に思いつめているため、事あるごとに夫に突っかかるようになります。俊さんは妻をサポートし、一緒に頑張っているつもりでしたが、麻子さんは少しでも気に入らないことがあると、「夫の協力が足りない」と不満爆発。 そして「そうよね、あなたの問題じゃないものね」「当事者じゃないあなたには、分からないわよね」などと、嫌味のオンパレードです。 ある日、治療のステージアップを宣言した麻子さんに 「これ以上は経済的に苦しい」 と俊さんが反論したことが、大戦争に火をつけました。 「人生で一番重要なことを話し合ってるのに、あなたが心配してるのは、お金!? そっか、そうよね、不妊はあなたのせいじゃなく、私のせいなんだもの。そりゃあ、お金を出したくないのも当然よね。それならいいわ。私、 実家の両親に借金 を申し込みに行って来るから」 「俺たちもうとっくに実家から独立して、夫婦として新しい家庭を持ってるのに、それは違うだろ。自分たちで費用の工面ができないようなことをどんどん押し進めるって、俺はなにか違うと思う」 そんなやり取りの後、麻子さんは旅行カバンに最低限の荷物を放りこんで家を飛び出します。初めは夫に言い放った通り、実家に帰って借金のお願いをするつもりでした。 ところが道中、数時間電車に揺られて冷静になってくると、夫の言い分も一理あるという気がしてきました。それに突然実家に帰って、「夫は不妊治療の費用をこれ以上出す気がないみたいだから、お金を貸してください」などと言ったら、一体両親はどう思うか…そんなことも考えました。 悩んだ末に麻子さんは、里帰りを中止。とはいえ、もう実家の近くまで来ていたので、何年も会っていなかった地元の親友、夏海さんに会いに行くことに。 自身の妊活中に夏海さんの妊娠と出産を知った麻子さん。辛うじて「おめでとう」は言えました。しかし、彼女のSNSに投稿されたフニャフニャとかわいらしい赤ちゃんの写真を見て心が荒れに荒れて以来、夏海さんに連絡を取ることもなければ、彼女のSNSをチェックすることもなくなっていたのです。 そんな麻子さんの突然の訪問にもかかわらず、夏海さんは大歓迎してくれました。ほとんど涙目になりながら、「息子がちっちゃくてどこへも行けないし、夫はほとんど家にいないし、母は父の看病でここへはなかなか来れないし…もう何日も、まともに人と話してないよ。だから来てくれて本当にうれしい」と言うのです。 確かに夏海さんは、疲れ切った顔をしていました。疲労と寝不足のせいか、むくみきった顔。肌はどんよりくもって、髪もボサボサです。そんな夏海さんの姿は、麻子さんが SNSから勝手に想像して激しく嫉妬していた「幸せなママ像」 とは大きくかけ離れたものでした。 親友との久しぶりの再会に一気に気がゆるんだのか、夏海さんは愚痴が止まりません。 「もう、生まれたその日から戦争よ。自分の時間なんて、これっぽっちもありゃしない。トイレにすら自由に行けないし、忙しすぎて洗顔や歯磨きをしそびれることもしょっちゅう。本当にもう、赤ちゃんの奴隷になった気分。 夫の出張中なんてノイローゼ寸前って感じで、『私の人生を返して!』って叫んで、赤ちゃんを放り捨てたくなっちゃうことすらあるの…」 こんなこと誰にも言えないけど、とつぶやきながら、夏海さんはとうとう泣き出してしまいました。 「麻子は都会に住んで、おしゃれな旦那様と2人で、おしゃれなお店めぐりとかしてるんでしょ? あ、麻子は料理上手だから、おうちでしゃれた料理を振る舞ってワインで乾杯とか? 麻子がうらやましいよ…私なんて外食もまともな料理も、一体いつになったらできるのか…」 麻子さんが妊活に悪戦苦闘していることを知らない夏海さんは、そんなことまで言い出したそうです。 「これを言ったのが旧知の親友でなければ、思いっきりひっぱたいていたところですけど」 と苦笑する麻子さん。 「彼女にそんなことを言われたら、 『隣の芝生は青い』 っていうのは本当なのかなぁっていう気が、ちょっぴりしてきて…」 帰りの電車の中、麻子さんは夏海さんの様子や言葉を思い出しながら考えました。 「私はこれまで苦もなく妊娠できた女性や、妊活に成功できた女性は勝ち組で絶対的に幸せ、私は負け組で絶対的に不幸なのだと思っていた。私もどうにかして、 一刻も早く、勝ち組の側に回らなければ 。向こう岸に渡れさえすれば、私も幸せになれる…そんな気がしていた。 向こう岸から見たら、私の生活もうらやましく見えるだなんて、思ってもみなかった。向こう岸に渡れたとしても、結局『隣の芝生は青い』のだとしたら…一体どうしたら、どうなれば、私は自分の芝生に満足できるのだろう」 答えが出ないまま帰宅した麻子さん。出迎えた俊さんは、麻子さんに謝ってくれたそうです。 「麻子がどれだけ子どもが欲しくて頑張ってるか知ってるのに、真っ先にお金の話をするなんて、あまりに思いやりに欠けていたよ。ごめん。 前からずっと言いたかったのは、俺は子どもを持つことだけが人生の幸せだとは思わないっていうことなんだ。俺たちずっと時間もお金も、ひたすら妊活のためだけに費やしてきただろ。食べ歩きも旅行も、なにもかも忘れたみたいに、妊活のことだけ考えて…。 こんな生活をずっと続けるのは、健康的じゃないと思うんだ。麻子に仕事を辞めるのを勧めたのは、肉体的な負担だけじゃなく、精神的なストレスも軽減できたらって思ったからなんだよ。 それなのに妊活一色の生活で鬱々として、働いていた時以上にストレスがたまるんじゃ、元も子もないじゃないか。 俺は子どもが欲しくて麻子と結婚したわけじゃないよ。 麻子と楽しく過ごしたくて、麻子と結婚したんだ 」 その日からは、少しずつですが「妊活メニュー」じゃない普通のごはんを料理して食べるのを楽しんだり、ヨガや温活セラピーをスケジュールいっぱいにつめこむのはやめて、夫とのんびり外出したりするようになった麻子さん。 毎日の暮らしの中に少しずつ楽しみを見いだせるようになると、以前なら絶対に持つことができなかった視点も持てるようになったといいます。 「もしも子どもを授かれなくても、その時は2人で楽しくやっていこう」 「一生2人きりならちょっと冒険して、セレクトショップをオープンしたりするのも面白そう」 今ではそんなことを、夫婦で話すこともあるそうです。 この世には手に入るものもあれば、手に入らないものもある。自分が持っているもの、自分が手に入れられたものの中に喜びを見いだすことが、 自分の芝生に満足できるポイント なのではないでしょうか。 自分の芝生に満足している妻の心には、モンスターもつけ入ることはできません。
2018年10月14日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に モンスターワイフの影が見える から…。 まずは「就活」に勤しみ、その後「婚活」も闘い抜いた女性たちの次なる闘いは 「妊活」 …。 社会に、世間に、次から次へと「○○活動」を押し付けられているような気がして、息がつまるような思いをしている女性も少なくないのではないでしょうか。 ある行動が「○活」と呼び名を持つようになると、それは「みんながしていること」と認識されるようになります。するとメディアによる情報提供が増え、個人間で体験や意見を交換し合う場も一気に増加。SNS全盛時代の今、その傾向は強まる一方です。 スマホひとつあれば24時間、いつでもどこでも、あらゆる情報が流入してくる時代。もちろん、情報というものは、うまく活用できればとても有益なものです。けれど、世間に氾濫する情報に流され、溺れ、 SNSにあふれる「体験談」と自分の現状を比較して苦しむ… そんな女性が増えている気がしてなりません。 特に「妊活」中の女性は、そんな情報社会の犠牲者にならないよう、ご自分の身を守ってほしいと思います。今回は、そんな思いをこめて、麻子さんのケースをご紹介しましょう。 ■妊活のはてに…「なにもかも、どうでもいい」 「妊活系モンスター 専業ベビ待ち」代表:麻子(仮名)36歳の場合 「あぁ、またソファで寝ちゃった…」 午後3時。リビングのソファで目覚めた麻子は、ぼんやりつぶやいた。おかしな姿勢で長時間寝ていたせいで、体のあちこちが痛い。 そうでなくても、最近の麻子は全身が絶不調だ。いつも だるくて気分が悪く、体が重くて 仕方がない。 眠い目を開けると、目に入って来たのは散らかり放題の部屋。床にはビールや酎ハイの空き缶と、いかにも体に悪そうなおつまみの空袋が転がっている。 ダイニングチェアには、洗ったままの洗濯物…いや、あのトレーナーはまだ洗濯してなかったっけ。ゴミ箱もいっぱいで、今にも中身があふれそうだ。 でももう、 なにもかもどうでもいい 、と麻子は思った。 眼前のカオスをこれ以上見ていたくなくて、目をつむる。そして、窮屈な姿勢のまま、彼女は再び眠りについた。 ■学業、就職、結婚…「努力さえすれば夢はかなう」 麻子はこれまで、ずっと 優等生 だった。 大人にやりなさいと言われたことには疑問を抱くこともなく、いつでも素直に従う子ども。おとなしく真面目で勉強もできたから、親や教師の覚えもめでたいタイプだ。そして、そこそこのレベルの公立大学に進学する。 料理自慢の母に似て、趣味は料理とお菓子作り。周囲からはいつも 「いいお嫁さんになりそう」 と言われていた。そして麻子本人も、「私は特別、興味のある仕事なんてないけれど、家事は苦にならないタイプ。 子どもが大好き だし、早く結婚して幸せな家庭を築きたい」と思っていた。 ところが大学入学後、ほどなくして出会ったあるアクセサリーブランドが、麻子の 人生を大きく変えた 。若い女性を対象としたそのブランドのアイテムは、どれも繊細でかわいらしい。お値段的にも、アルバイトを頑張れば学生でも手が届く価格だ。 麻子は家庭教師のアルバイトに励むかたわら、暇さえあればこのアクセサリーショップに通いつめ、バイト代がたまるたびに1つずつお気に入りを増やしていった。大学3年生になる頃には、ショップの店員全員と顔見知りになるほどだった。 そんなある日、麻子は、このショップが販売員を募集していることを耳にする。大好きなアイテムに囲まれて働くことができたら、どんなに幸せだろう。 麻子は、早速ショップの責任者に懇願したが、「うちでは学生のアルバイトは採用していない」という回答。それでも麻子はあきらめられなかった。 自分がどれほどこのブランドに夢中か、どれほどブランドのコンセプトを熟知しているか、もしも採用してもらえたら、どれほど骨身を惜しまずに働くかを熱弁した。 すでに麻子と何度も顔を合わせており、麻子のブランドへの熱烈な愛着を理解していたこの責任者は、麻子の希望を本社にかけ合ってくれた。「この子はうちの商品のことは、もう社員並みに熟知している」という責任者の推薦のおかげで、麻子は例外として学生ながらアルバイト採用されることになる。 採用時に誓った通り、麻子は本当によく働いた。大好きなブランドのショップで働くのが、楽しくて仕方なかった。彼女の熱心な働きぶりは本社にもたびたび伝わり、麻子は 大学卒業後、正社員 としてこのブランドで働けることになった。 麻子にはさらに 大きな夢 が芽生える。 今は販売部にいるけれど、いつかは デザイン部で働きたい 。そんな思いを胸に、24歳の麻子は新たな目標に向かって走り出した。忙しく働きながら、アクセサリーのデザインの勉強を始めたのだ。 そして27歳の時に、ついにデザイン部へ異動。 すべてが思い通り に運び、麻子は有頂天になってしまう。 「私の人生、なにもかもうまくいっている。努力してるから当然よ。頑張ればなんだってできるの。 努力さえ惜しまなければ、どんなことだって達成できるんだから 」 麻子は充実感でいっぱいだった。 デザイン部でも人一倍努力し、成果を認められた麻子。「いいお嫁さん」という以前のゴールを忘れたわけではなかったが、仕事に没頭して気づけば29歳。 しかし、人生が充実している時には、忙しく過ごしていても 良縁が転がりこむ ものだ。麻子に人一倍目をかけていたデザイン部の先輩が、夫の大学時代の後輩を紹介してくれたのだ。 麻子より2歳年上の俊は、小さな雑貨輸入会社勤務。こだわりを持つ大人を対象とした文具の輸入を担当しており、自分の仕事や扱う商品に誇りを持って生き生きと働いていた。 仕事に情熱を傾ける2人は、あっという間に意気投合。精力的に仕事を楽しみつつ、料理上手で家事もテキパキこなす麻子に、俊がプロポーズするまでに時間はかからなかった。やさしく思いやりにあふれ、自分のことも自分の仕事も尊重してくれる 俊からのプロポーズに、麻子は「はい!」と即答 した。 30歳の秋だった。 ■「妊娠しない…」結婚3年目の不安 仕事と結婚生活の両立もうまくいった。 ブランドの新作発表前になると、麻子はオフィスに泊まりこみ徹夜で働くこともあったが、俊は麻子を応援してくれた。学生時代から一人暮らしをしていた俊は、家事も自分でこなせる。多忙な麻子が家事に手が回らない時にも、2人が衝突するようなことは皆無だった。 そして、互いに仕事が落ち着いている時期には、一緒に旅行へ出かけ、おしゃれなショップやカフェを回ったりして、楽しい時間を過ごした。 ところが、結婚3年目。麻子はある 不安を抱き始めた 。 夫婦生活は普通にある。そして子どもが欲しい麻子は、避妊をしていない。それなのに、 3年たっても妊娠しない 。危機感を抱いた麻子は、ネットで「タイミング法」や「妊娠しやすい体の作り方」について調べ、実践し始めた。 「妊活」と銘打ったサイトが、山のように見つかる。「私はこうして妊娠した」といった成功者のアドバイスを、あれこれ試す日々。けれど 1年続けても、効果はあらわれなかった 。 病院嫌いの麻子だったが、さすがに専門のクリニックにかけこんだ。さまざまな検査の結果、ホルモンのバランスが原因で、麻子は 妊娠しづらい体質 であることが判明。目の前が真っ暗になった。 結婚して、子どもを生んで、温かい家庭を築く。それはもう、ずっと昔から当たり前に実現されるべき幸せの形として、いつも麻子の心の中にあった。 全力で情熱を傾けられる仕事に出会って、優先順位が2番目になっていただけのこと。忘れたわけでも、あきらめたわけでもない。 けれど、私ももうすぐ34歳。「第1子は35歳までに」と、みんなが言っている。仕事は相変わらず最高に面白いけれど、そろそろ「妊活」にも時間を割くべきではないのか。そうしなければ、きっと後悔する…。 そう考えた麻子は、 ホルモン治療 を受け始めることにした。夫の俊は「子どもは好きだけれど、授からなければそれでも構わない」という考え方だが、麻子の願いを知っていたため、「2人で治療を頑張っていこう」と言ってくれた。翌週から、麻子のホルモン療法が始まった。 ■不妊治療「仕事と子ども、どっちをとる?」 副作用に関する説明は受けていた。受けてはいたのだが…。いざ治療が始まると、麻子は 想像以上の苦痛 にさいなまれることになった。 頭痛と吐き気に悩まされ、体が重くて仕方がない。そんな体調不良のせいなのか、それとも精神面への副作用なのかわからないが、気分もひたすら重く、鬱々としてしまう。 そんな状態なので、なかなか仕事に集中できない。ただでさえクリニック通いで、以前より職場に迷惑をかけているのに…。麻子は 肉体的にも精神的にも追いつめられ 、ギリギリと歯を食いしばりながら毎日仕事に通っていた。 そんなある日。新作発表前の怒涛(どとう)のスケジュールについて行けなくなった麻子は、とうとうオフィスで倒れてしまう。 連絡を受けて、あわててかけつけた俊の車の助手席で目を覚ました麻子は、消え入りそうな声で「ごめんなさい」とつぶやいた。涙が流れて止まらない。 普段ならすぐにやさしい言葉をかけてくれるであろう俊が、この日はいつになく強張った顔のまま、麻子のほうを見ずに黙って運転を続ける。そして重苦しい沈黙の後、思い切ったように俊は口を開いた。 「麻子にとって仕事がどれだけ大切か、俺も分かってるつもりだよ。でも、最近の麻子はあまりにしんどそうで、俺、見てられなくて…。こんなこと、本当は言いたくないけど…」 「待って」 苦しそうに、慎重に言葉を選びながら話す夫を麻子がさえぎる。 「分かってるの、私も。 仕事も子どもも、本当は両方あきらめたくない のよ。でも、両方同時には手に入らないんだとしたら、タイムリミットが迫ってる妊活のほうを優先しないといけないのよね…」 麻子の顔は、涙でグチャグチャになっていた。俊は人気のない場所に車をとめると、麻子にハンカチを渡し、彼女の手を握った。 「麻子、ずっと忙しかっただろ。いくら楽しんで働いていたとはいえ、やっぱり激務は体にこたえたと思うし、ストレスもあったと思う。 一緒に見た妊活サイトにも『ストレスは大敵』とか、『リラックスできるライフスタイルになった途端、妊娠』とかって話が載ってただろ。麻子もあっさり、そんなことになるかもよ。 それに麻子、『時間に余裕があれば、もっと気合いを入れて料理したいのに』っていつもボヤいてたじゃないか。そういうことを、のんびり楽しんだらいいんじゃないかな。俺も豪華な料理が食べられるようになるの、楽しみだなぁ」 努めておどけたようにそう言う俊のやさしさに、麻子は泣き笑いの顔で応えた。 こんなにやさしい人が夫で、本当によかった。今まで仕事を全力で頑張ってきた分、 これからは妊活を全力で頑張ろう 。大丈夫。きっとうまくいく。これまでずっとそうやって、なにもかもうまくいってきたんだから…。 夫の手を握り返しながら、麻子はそう心に誓った。そして、その翌日には、会社に退職届を提出する。 ■結果が出ない妊活「好きだった仕事まで辞めたのに…」 その3カ月後に退職して、麻子は 生まれて初めて専業主婦 になった。 それまで朝から晩までオフィスで働いてきたため、最初の1週間は戸惑いがあまりにも大きく、なにもできないまま終わってしまった。が、翌週からは気を取り直して、 妊活成功のためのスケジュール を練り始めた。 ネットで妊活情報をリサーチしていてしょっちゅう見かけた「温活」スタジオや、ヨガ教室。 「これまでは時間がなくて無理だったけど、これからは行けるのよね」 妊活に効果的なメニューも毎日用意するのは難しかったけれど、これからはレシピを検索する時間も、買い物に行く時間も、料理する時間もいくらでも取れる。 「あ、お野菜はできるだけ、農薬が使われていないものを選ぶべきなんだった。有機野菜のお取り寄せサービスも、契約しちゃおうかな」 こうしてあっという間に、長い長い 「妊活To Doリスト」 が出来上がった。これを一つ一つきちんとこなしていけば、必ず妊娠というゴールにたどり着けるはず。ただの大学生だった私が大好きなブランドの正社員になって、デザイン部にまでたどり着けたように…。 麻子は再び、自分の中にやる気とエネルギーが満ちあふれるのを感じた。 ところが、やる気が大きければ大きいほど、費やした労力や金額が大きければ大きいほど、それが 報われなかった時の絶望感 も大きい。なんの成果も得られないまま、妊活に専念する生活が半年も過ぎると、麻子は仕事を辞めたことを激しく後悔するようになった。 あんなに大好きだった仕事をあきらめて…今の私は毎日毎日、温活のために退屈で死にそうになりながらよもぎ蒸しに通って、授かりヨガに通って。大好きなお酒もコーヒーもダメ、お料理だって塩分ひかえめじゃなくちゃダメ、苦手な発酵食品も食べなくちゃいけない。 仕事を辞めればストレスがなくなって妊娠しやすくなるなんて、大ウソよ。ネットの「妊活成功体験談」なんて、信じるんじゃなかった。働いていた頃よりこの妊活生活のほうが、私にとってはよっぽどストレスだわ。 ストレスと欲求不満と後悔 で、麻子は頭がおかしくなりそうだった。それでも必ず赤ちゃんを授かれるというのなら我慢できる。でも、そんな保証はどこにもないのだ。 仕事の繁忙期はキツかったが、いつでも終わりが見えていた。けれども 妊活はいつ終わるのか 、いつ終えることができるのか、誰にも分からない…。 でも大事な、大好きな仕事をあきらめてまで妊活を選んだのだ。なにがなんでも、絶対に成功させなければならない。いや、絶対に成功させてみせる。 「これまでずっと、そうやって欲しいものを手に入れてきたんだから。もっと頑張らなくちゃ。 頑張れば、必ず道は開ける んだから」 麻子はそう思い、より強力なホルモン療法を希望した。医師には「あなたは副作用が強く出るタイプだから、あせらないほうがいい」と言われたが、麻子は譲らなかった。 治療の副作用が以前にも増してひどくなってからも、麻子は日々熱心に妊活に励んだ。毎日何時間もネットサーフィンを続け、「コレで妊娠!」といった情報を見つけては、サプリメントであれエクササイズであれ、なんでもとり入れた。 それでも妊娠できないまま1年が過ぎると、麻子は精神的にひどく追いつめられていった。 日々の努力もむなしく無情にも生理が来てしまうたびに、麻子は荒れるようになる。普段「健康的なライフスタイル」「健康的な食生活」を徹底している反動で、まるで 体を傷めつけるかのような暴挙 に出るようになったのだ。 生理が来たその日にはお酒を浴びるように飲み、塩辛いおつまみや油分でギトギトのファストフードを、気分が悪くなるまで胃につめこむ。よもぎ蒸しもエクササイズも当然すっぽかして、ひたすら飲み食いしながらテレビの前でボンヤリ…。 翌日は、強烈な二日酔いと 自己嫌悪に襲われて、無気力感でいっぱい になり、なにもできずに1日が終わる。そしてこの「なにもできない日」の日数が、毎月次第に増えていく。気づけば生理が来てから1週間は病的な無気力感に襲われて、妊活もまったく再開できないような状態になっていた。 そして「魔の1週間」が終わっても、体や心は常に重い。麻子の頭にはもう、妊活以外のことはなにひとつ思い浮かばなくなっていた。妊活をしている時以外は、空気が抜けた風船のように、常にソファに寝そべっているような状態。 基本的な家事も手につかず、洗濯物、洗い物、ゴミがどんどんたまっていく。 この頃になると、麻子は自分の 感情をコントロールすることができなくなっていた 。 毎日欠かさずチェックしている妊活ブログで妊娠の報告を目にして、手にしていたマウスを壁に投げつけて壊してしまったことがある。麻子の現状を知らない友人からメールで妊娠を知らされた時には、ベッドに潜りこんで金切り声を上げて怒り狂い、メールにはとうとう返信せずじまいになってしまった。 献身的に麻子を支えてきた夫の俊も、急激に変わっていく 妻をもてあます ようになっていった。俊は基本的に残業や出張が少なく、また多くの夫が苦手とする 「排卵日セックス」 にもいつも協力的だったはずなのに…。 ■ついに夫から「排卵日セックス」拒否 「今日は絶対に早く帰ってきてね」と麻子が念を押していたある日、俊から電話が入る。 「麻子、本当にごめん! イタリアから来た新しい仕入先のお偉いさんのフライトが、急にキャンセルになっちゃって。彼、日本は初めてだし、日本語も全然分からないし、俺がアテンドしないといけないんだ。本当に申し訳ないけど、今夜は…」 俊が言い終わる前に、麻子はものすごいけんまくで怒鳴り始めた。 「冗談じゃないわ! こっちは 年にたったの12回しかチャンスがない のよ! そのたった12回のために、私が毎日どれだけつらい思いをしてるか、俊は全然分かってない。そんな外国人なんかほっといて、とっとと帰って来なさいよ!」 その時「イタリア人のお偉いさん」は、俊の隣にいたらしい。低い声で短く「悪いけど」と一言告げて、俊は電話を切ってしまった。 麻子は背中を震わせ、しゃくりあげながら泣いた。 事の重大さを、夫はまったく分かっていない。チャンスは月に1度だけ。そして私は、刻一刻と年を取っている。妊娠できる可能性は、どんどん低くなっていく。 だから少しでも 早く結果を出すべく、私は最大限の努力 をしているのだ。それなのに夫はなぜ、私の全身全霊をかけた努力を無にするようなことができるのか…。 気づけばクッションカバーが破れ、写真立ては倒れ、コップも床で粉々になって、リビングは惨憺(さんたん)たる状態。麻子はソファに倒れこみ、涙でぬれた顔のまま目をつむる。 毎日毎日、つらいだけ。楽しいことなんて、なにひとつない。妊活のための運動、妊活のための料理…私はまるで、 妊活のためだけに生きながらえているゾンビ みたい。 それでも…それでも努力が実るその日まで、なんとか、どうにか、頑張り続けなければ…。 麻子はスマホを手に取り、毎日何度となくチェックしている 『ベビ待ちコミュニティ』 のページを開いた。そして無表情のまま、深夜まで妊活情報を探し続けた。スマホはもはや、 地獄の入り口 に化していた。 順風満帆な仕事を楽しみ、幸せな結婚も果たした麻子さん。真面目な努力家で家庭的な奥さんです。 そんな麻子さんが、突如、妊活モンスターに変身。妊活というのは重大なテーマだけに、事がうまく運ばないと、それまで「いい奥さん」だった妻まで一気にモンスターワイフと化してしまう恐れがあります。 あなたも麻子さんのように、 妊活モンスターの泥沼 に引きずり込まれないように。次回の後編をチェックして、注意点を確認してください。
2018年10月13日