「きゃーさま」って何!?兄が幼少期に呼んでいた謎の存在⇒私の息子も突然、同じことを言い始めて!?
私がまだ独身だったころ、母から育児中のホラー実体験を聞いたことがありました。それは、兄が幼少期に何もないところを指さして、「きゃーさま! きゃーさま!」と何度も言っていたという話です。「子どもにしか見えない、何か神様のような存在が見えていたのかもね」と当時は話していたのですが……。
何もないところを何度も指さす息子
私の双子の娘と息子が1歳半のときのお話です。そのころは少しずつ、いろいろなものを指さして、知らないものの名前を大人に聞くようになりました。しかし、息子のほうだけが時折、何もないところを見つめることが多くありました。
ある日、息子は家の天井付近を指さして、いつものように私に名前を聞いてきました。そこには照明や家具などがあり、他に何かあるわけでもないので困惑した私。「何を指さしているの?」と、何度もどこを指さしているのか確認したのですが、息子はずっと同じ所を指さしたまま。繰り返し「うっ、うっ」と言って名前を尋ねてくるのです。
私はその様子を不思議に思いましたが、息子はまだほとんど単語を言えず、じょうずに話すことができないので、何を言いたいのかわかりませんでした。
その日以来、あるときはスーパーの天井を指さし、またあるときは公園の何もない木と木の間を指さしするのです。
幼いころの兄と同じものが見えている!?
近場の大きい公園へ出かけたときのこと。息子は再び何もないところを指さしして、「うっ、うっ」と聞いてきました。私は、またかと思い、少し面倒にも感じ始めていたので「何かいるね~。逆に聞くけど、何だと思う?」と何も見えないのに適当なことを言って息子を誤魔化そうとしました。
すると、息子は「きゃーさま! きゃーさま!」と答えたのです。
「きゃーさま」という単語を聞いた瞬間、私は全身に鳥肌が立ちました。兄が幼いころに言っていた言葉を、教えてもいないのに息子が口にしたからです。
大人になった兄は、きゃーさまについて何も覚えていませんでした。しかし、「きゃーさま」という、幼子にしか見ることができない何かが、確かに存在しているのではないかと私は思っています。
著者:長谷川 なぎ
イラスト制作者:マンガ家・イラストレーター うちここ