母の愛が生まれたワケが奥深い…NHKスペシャル『生命大躍進』
■子を身ごもる期間が、母親が我が子への愛情を育む期間そして、もうひとつ“母の愛”を一段と深めることになったのが、「胎盤の誕生」。この胎盤ですが、じつはこれも進化の中で突然生まれたものなのだそう。
いまから2億5000万年前に起きた天変地異。それにより、地球上の生物の96%が絶滅するという大事件が起こりました。そこを生き延びた末に現れた私たち哺乳類の祖先が、「ジュラマイア」。ネズミほどの小さな体に、胎盤を備えるようになったのだとか。
恐竜の時代には、敵に襲われた時に卵を置き去りにせざるを得ないこともあったはず。それがあるとき、思わぬことがきっかけで、胎盤をつくる新しい遺伝子を手に入れ、やがて体のつくりが劇的に変化。母親の免疫が抑えられ、体内にいるわが子を異物と認識して攻撃せず、身ごもることができるようになったそうです。そんな不思議な遺伝子を祖先はどうやって獲得したのか、その驚くべき理由が番組で明かされます。
自分以外の「別の生物」を体内にとどめ、育てていくことができるという、母子の奇跡ともいえるこの現象は、想像を絶する天変地異や絶滅の危機に襲われた末に私たちの祖先にもたらされた、大切な宝物だったというから驚きです。そのおかげで、大変ではありながら、深い愛情に満ちた私たち人間ならではの子育てが生み出されていくことになるのです。
■新垣結衣さんが、一人二役で姉妹を演じ、ユーモアたっぷりに番組をナビゲートこの興味深い進化の物語が満載の
NHKスペシャル「生命大躍進」は、2015年5月からスタートし、人間が誕生するまでの壮大なドラマを3回シリーズで描いています。
ナビゲーターは、女優の新垣結衣さん。生命進化を学んだ情熱的なアーティストの姉と、科学はちょっと苦手な妹の「一人二役」で番組を進行します。4K高精細CGで再現された超リアルな古代生物たちが出現するなど、映像技術の粋を集めて制作された、CGとは思えないシーンの数々も見どころです。
数億年にもわたる壮大な“母の愛”の物語。子育てがちょっと楽しく、なんだか神秘的なものに思えてきます。
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NHKスペシャル『生命大躍進 第2集 こうして“母の愛”が生まれた』
総合テレビ 2015年6月7日(日)午後9時