思想家に学ぶ子育てのヒント<吉本隆明編>

目次

・思想家の吉本隆明に学ぶ
・実は日本だけ!? 母親に負担がかかりすぎる「日本型の子育て」
哲学者や思想家たちの名言、考え方に触れればきっと、毎日の自分の「頑張り」に意味を見出すことができるはず

© Martin Green - Fotolia.com


子育てと仕事の両立、夫との関係など、常にストレスフルな状況下にいるママたち。「なぜ自分はこんなに頑張らなきゃいけないの?」と、日々の自分の努力に、むなしさを感じてしまうときもありますよね。

そんなときはちょっと立ち止まって、哲学者や思想家たちの名言、考え方に触れてみましょう。きっと毎日の自分の「頑張り」に意味を見出すことができるはずです。

今回は、思想家であり人気作家・吉本ばななの父である、吉本隆明の言葉に学びます。

思想家の吉本隆明に学ぶ

『キッチン』『TUGUMI』などの作品でお馴染みの人気作家・吉本ばななの父親でもある思想家の吉本隆明(1924~2012)は生前、さまざまなことを論じていました。吉本は「子育て」や「家族」にまつわる著作も数多く残しています。

今回取り上げるのは、1988年に行われた講演会の中での言葉です。
吉本はその講演で、「乳児期の子育てはなぜ重要か」について話しています。昼も夜もなく常に世話をしなければならない乳児期の子ども。嫌になってしまうこともありますが、「乳児期」というものについて、改めて見つめ直すきっかけになるでしょう。

「乳児期というのを別の言葉で定義すれば、自分に責任がないにもかかわらず生涯自分にいちばん関係のある時期、それが乳児期なんだという定義もできるくらいの時期です」 

「人間と、チンパンジーと、どこが違うかっていうと、人間がはやく出てきちゃうってことが、人間の特徴なんです」

思想家・吉本隆明は、子育ての中でも特に、乳児期の子供と母親の関係を重視していました。吉本は人間と類人猿のもっとも異なる点として、人間の子どもには乳児期があるという点を挙げています。

たしかに乳児期の赤ちゃんは、母親から産まれてきたのはいいものの、自分では動くこともできないし、食事や排泄物の処理も手伝いなしではできません。ひとりではほぼ何もできない状態のまま、1年ほど過ごす時期があるのは、人間特有です。野生環境ではすぐに、ほかの動物の標的にされてしまいます。


この、誰かに頼らざるを得ない乳児期という発達段階こそが、子どもにとって大変重要になると吉本は考えています。


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