現代のママはテンパって当たり前
夫は「ママの感性」を理解できない?
ママを「支えてくれる人がいない」という大問題の続きです
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ママが子どもを叱りすぎてしまうのは、子育ての負荷が集中して追いつめられているから。「それは、現代の社会構造としての問題である」と言うのは、花まる学習会代表の高濱正伸さん。私たちは「そういう時代に、ママをやっている」ということを、きちんと意識する必要がある。引き続き、お話を伺った。
■「心がけ」や「アドバイス」ではどうにもならない不安感
―ついつい不安で、子どもに過度な干渉をしてしまうんです。
高濱:「不安だ」と思っているのは、不安の方に気持ちが傾いている状態です。不安や恐れに気持ちがとらわれてしまっているときは、「心がけ」とか「アドバイス」などでは、どうにもならない心理状態になっているわけです。
そんな心理状態の中で、「でも、この中で上手にやらないと」と思っていても、なかなかうまくはいきません。
まずは、「不安だ」という気持ち自体を、何とかしないといけない。
―ズブズブと蟻地獄に足をとらわれていくような不安感があります。
高濱:いちばん効果があるのは、「いろんな人に支えられて、気遣ってもらっている」という感覚です。それがあれば、スッと「安心」の側に行ける。
■ママを取り巻く環境の問題
―支えてくれる、いろんな人…。そんな人間関係を持っていない人は、どうすればよいのでしょう?
高濱:そもそも、30年前に孤独なお母さんに育てられた人が、お母さんになっているから、頼り方を知らないし、人を支える支え方も知らない、というのも仕方ありません。そういう頼り、頼られるというネットワークが、なかなかできていかないということが、問題なんですよね。
大らかなボスママでもいればいいけれど、最近のボスママは、単に意地悪をするだけのような人もいます。
友達の家に遊びに行くのにアポイントをとって、手土産を持っていかないと、ママ同士の会話で、「あの人は手ぶらで来るのよね」と言われてしまう時代ですから。
―もはや、子どもの問題ではない気がしてきました。ママを取り巻く環境の問題?
高濱:そうですよ。僕は塾を始めた当初、女性のことはまったくわかりませんでした。たとえば、塾の人間として「お姉ちゃんに、キツく言いすぎですよ」と保護者にお伝えしたとします。そのときは、「わかっているんです。本当にそうですよね! 気をつけます」と、本気で言っているのに、毎回、毎回、毎回(←力を込めて)、会うと注意をしたくなる。内心、「(塾の最初の拠点である)埼玉県のママ、みんな大丈夫なのかな?」と、思っていました(笑)。
けれども、だんだん活動の範囲が広がっていき、「東京都のママもおかしい!?」「あれ? 神奈川県も!?」「日本全国!?」みたいになったときに、「これは現代の母の病なんだ」と今の日本全体が抱えている課題であることを悟りました。