■ディスレクシアの子どもが学校生活を乗り越える処世術
ディスレクシアであることを悲観せず、親友や家族に助けられながら学校生活を送るハンクですが、ちょっとだけ愚痴が出ることも。
「成績はいつもビリだから、いじめられる。ディスレクシアだけど頑張ってるのに…。みんな結果しか見ないんだ」
発達障害の子どもは、ときにいじめられたり、不登校になったりするとよく耳にします。これを
「二次障害」と呼ぶのですが、まさにハンクも同じ。でも、彼はへこたれません! “成績ビリ”という自分のイメージを変えるためには、「
何か得意なことをみんなに見せればいいんだ!」と考えることのできる強さがあります。
ハンクの姿を見てハッとさせられるのは、そんな発想の転換。
ディスレクシアの自分を受け入れ、ほかのことでカバーしたり名誉挽回を目指したり。とくに読み書きや計算についてはみんなと同じようにできないけれど、自分なりの方法でならゴールにたどり着くことができる。それがハンクの学校生活を乗り切る処世術であり、二次障害を深刻にしない助けになっているようです。
■発達障害児子育てのヒントがいっぱいあった!
© unguryanu - stock.adobe.com
筆者にも、発達障害の疑いのある息子3歳がいます(診断待ちの状態です)。まだ私自身も発達障害について初心者で、毎日迷いながら子育てをしています。
療育や幼稚園、児童館など、ほかのお子さんたちと活動をする場所に行くと、つい
「みんなと同じように」やらせたいと思ってしまいます。でも息子には「できること」と「できないこと」があって、それが息子にとって大きな負担になってしまっていると感じることも多くあります。そして私は、あとから反省することばかり…。
また、同じような境遇のママたちと会話して思うのは、自分も含めみなさん
真面目だということ。
病院や療育の先生のアドバイスひとつ取っても、まっすぐ受け止めすぎてしまいます。子どものことを考えて、「少しでもできることを増やしたい」という必死な思いが、いつの間にか「アドバイスどおりにしなければならない」という強迫観念にも近いものに変わってしまい、そこから外れるものを許容できなくなってしまうのです。
どんなことをするにも、答えはひとつではないし、手段もひとつではありません。ハンクの行動は、それを証明しているように思えます。ママの考え方にしてもきっと同じではないでしょうか。みんなと同じようにできなくてもいい。いろんなやり方を試して、
生きる力を身に着けることの方がきっと大事なはず。
ステレオタイプにとらわれず、柔軟な考え方・受け止め方ができれば、発達障害児の育児の窮屈さが少しでもやわらぐのではないでしょうか。
そんな、ちょっとしたヒントを、ハンクから教えてもらった気がしました。
TVドラマ「ハンク―ちょっと特別なボクの日常―」
第4回は、NHKにて9月23日(土)23:25より、
第5回は、NHKにて9月30日(土)23:35より放映。
<NHK発達障害プロジェクト 今後の放送予定>
・2017年9月24日(日)午後11:00~11:50 NHK「深夜の保護者会」
「発達障害 子育ての悩みSP」
・2017年9月26日(火)午後8:00~8:29 Eテレ「ハートネットTV」
「自閉症アバターの世界 ①」
・2017年9月27日(水)午後8:00~8:29 Eテレ「ハートネットTV」
「自閉症アバターの世界 ②」
・2017年9月27日(水)午前8:15~9:54 NHK「あさイチ」
「シリーズ発達障害 どう乗り越える? コミュニケーションの困りごと」
※内容は変更になる場合があります
NHK 発達障害プロジェクト
http://www1.nhk.or.jp/asaichi/hattatsu/
【発達障害についての記事一覧】
▼大変だけど、不幸じゃない。発達障害の豊かな世界(全4回)
▼「うちの子、発達障害かも!?」と思ったら(全9回)
子どもの発達障害を知ろう、考えよう