【医師監修】子どもの食物アレルギー「今さら聞けない“4つの疑問”」
■近い将来、小児喘息が治る病気に?
ⓒbeeboys-stock.adobe.com
最後に、食物アレルギー以外の子どものアレルギーについても、最近の傾向や対策などもあわせてうかがいました。
――今年の春も花粉がひどかったですね。子どもの花粉症も増えている印象があります。
佐藤先生:確かに、花粉症に悩むお子さんは増えてきています。ダニやハウスダストに悩むお子さんも目立ちますね。学童期に特徴的なのが、花粉症を引き金に、果物を食べると口のかゆみや唇のはれをうったえる「口腔アレルギー症候群」を発症するお子さんもいることです。
――「口腔アレルギー症候群」は、どんなアレルギーなんですか?
佐藤先生:花粉症のお子さんが果物や野菜を食べた時に、唇や口の中がかゆくなったり、違和感を感じたり、唇がはれたりします。軽い症状の人が多いのですが、一部の人は呼吸困難や全身のじんましんなど、ひどい症状が出ることもあります。
口腔アレルギー症候群は一度発症すると、なかなか治りにくいのが特徴です。残念ながら今のところ予防策はありませんが、規則正しい生活やバランスのとれた食事を心がけ、免疫力を正常に保つことが大切ですね。
――現代に生きている限り、アレルギーは避けられそうもありませんね。
佐藤先生:否定はできません…。ただ、医療は急速に進歩していますので、良い治療法も出てきています。アレルギーの一種である喘息(ぜんそく)が、医療の進歩により優れた薬が開発され、ひどい症状にならずに生活できるようになってきていることです。
きちんと治療すれば、症状をコントロールできるようになるので、スポーツ選手にもなれるくらい運動しても大丈夫ですし、完治して薬をやめられるお子さんもいます。
免疫の誤作動によって突然起こる食物アレルギー。
いつ、誰が発症してもおかしくない病気だからこそ、基本的な知識は身につけておいた方が安心ですね。そして、万が一の時に備えて、小児のアレルギー疾患や食物アレルギーにくわしい医師が在籍している近くの病院を調べておきましょう。
たとえお子さんがアレルギーと診断されても、落ち込む必要はありません。適切な治療について信頼できる医師に相談し、前向きな姿勢でお子さんと一緒に過ごせるといいでしょう。
取材・文/長谷部美佐
幼稚園から発達支援施設への送迎に限界…。ママ友の「一人で頑張りすぎないで」の言葉が後押しに