連載記事:パパ小児科医の子ども健康事典
【医師監修】高熱が5日以上…「カゼではないかも?」子どもがかかる川崎病とは?<パパ小児科医の子ども健康事典 第14話>
イラスト:ぺぷり
一般的に、カゼは数日間の発熱で改善しますが、それ以上続く場合はどうすればいいのでしょうか?
小児で発熱が長く続く病気として、「川崎病」があります。あまり聞きなれない病名かと思いますが、高熱が出たりとカゼに似た症状をもつ病気です。
川崎病とは一体どんな病気なのでしょうか。くわしく解説していきましょう。
■川崎病とはどんな病気? 重い合併症も…
まず、川崎病には以下の6つの診断基準があります。
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1. 5日以上続く発熱
2. 両側の眼球結膜(白目の部分)の充血
3. 唇が赤くなる、またはいちご舌(いちごのように赤くなりぶつぶつが出る)
4. 発疹が出現
5.四肢末端の変化(むくんではれたり、赤くなる
6. 首のリンパ節のはれ
[川崎病診断の手引き(厚生労働省川崎病研究班作成改訂5版)から一部抜粋、改変]
発熱するだけではなく、目が赤くなったり、発疹がでてきたりと、だんだん症状が増えていき、6個の基準のうち5つ以上を満たせば川崎病という診断になります。上記の診断基準には含まれませんが、BCGを接種した部分が赤くはれることもあります。
発症すると、熱が続いて体力を消耗しますし、首のリンパ節のはれが痛くて、首を横に向けることができなくなったり、赤くはれた唇が切れて痛み、食事がとりにくくもなります。ぐったり感が強く、だんだんとしんどさも増す病気です。
この病気は約50年前に日本人の医師、川崎富作先生が発見したものですが、いまだに何が原因かははっきりしていません。ただ感染症とは異なるということはわかっていて、抗菌薬の効果はなく、体には「血管炎」とよばれる状態が起こっています。
血管炎とは、全身の血管が炎症を起こしている状態。例えば、目の血管で炎症が起きると充血し、手の血管で炎症が起きると赤くなったりはれたりという具合です。
この時、最も注意すべきことが心臓の血管です。心臓の血管で炎症が起きると、そこには冠動脈瘤(かんどうみゃくりゅう)というコブができてしまいます。
すると、コブがあるところは血管がつまりやすく、子どもでも心筋梗塞が起こってしまうのです。そのため、昔は川崎病によって子どもが突然死することがしばしばありましたが、現在は治療法が確立し、そういうことはほとんどなくなりました。