発達障害「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」誤解される本当の理由【子どもの発達障害 現場から伝えたい“本当のこと” 第1回】



■発達障害「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」

――では、発達障害の特性そのものだけであれば、もう少し順調に生きられると?

本田先生:もちろん、純粋な発達障害の人も、「多数派」向けに作られた社会で生きていこうとしたら多少は苦労しますよ。はじめにお話したように、「多数派」と「少数派」という割合の差があるからこそ、発達の特性である「少数派」の「選好性」は、「多数派」の理解を得ることが難しくなるので。
発達障害「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」誤解される本当の理由【子どもの発達障害 現場から伝えたい“本当のこと”  第1回】

イラスト:村山宇希/本田秀夫著『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』(SBクリエイティブ)より


また、知的障害や学習障害などがある場合は、能力の凸凹問題は残りますので、自信がないと感じることもありますし、一般の会社勤めが難しくて、就労支援に通っている方も大勢いらっしゃいます。

ですが、そうやって生活しながら、その人なりに楽しく暮らしている方も大勢いるわけです。

――自分に合った生き方や環境が選べれば良いのですね。

本田先生:発達障害の特性が、致命的な弱点になるのは、その特性を本人やまわりの人が理解できず、無理を重ねて失敗や衝突を繰り返し、本人の自尊心やまわりの人との人間関係などが傷ついてしまった時です。

ですから、発達障害の人は、いかに自分の特性を認めてもらえるような生き方や苦労しなくてすむ環境を選べるかが重要なのです。

――その生き方や環境を選べるようになるために、必要なことは何でしょう?

本田先生:自分の特性を知ることがすごく大事になってきます。
苦手なことは克服しようとせず、堂々と逃げた方がいいですよ。

苦手なことを努力で克服することを強いられて育つと、「ここまで努力してでもできない自分は人としておかしいのではないか?」という価値観を身につけて、二次障害になりやすいので。

いかにラクして人生を送るか、ということだけを考えて生き続けることが結局、一番成功するのですよ。

――そうなると、子どもの場合は、早期に親が特性を知っておくことが大事になりますね。

本田先生:非常に大事だと思います。ただ、よく「早期に発見して療育を受ければグレーが白になる(発達障害が治る)」と思っている親御さんもいるのですが、グレーというのは絶対に白にはなりません。

それを広めるために僕、川柳を作ったのですよ、「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」と。

――特性は一生消えないのですね?

本田先生:グレーならグレーな大人になればいいのです。
白にならないで生きていく方法を探せばよいのです。

中には、診断を下されるのを恐れる親御さんもいますが、これも受け取り方次第ではないでしょうか? 例えば、遠くの字が見えない人に「あなたは近視です」と診断したとしても、「まぁそうだよね」って思うだけですよね。

要するに、近視の人は、別に医者に診断されなくても、遠くの字が読めないことはわかっているわけです。そこに診断名がついたからといって、その日から何かが変わるわけではありません。


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