連載記事:パパ小児科医の子ども健康事典
【医師監修】溶連菌感染症「抗菌薬が効かない、熱が下がらない…」もしかして?<パパ小児科医の子ども健康事典 第16話>
■抗菌薬が効かない! 別の病気が潜んでいるかも…
抗菌薬を服用しても熱が下がらない場合は、どうすればいいのでしょうか?
原因のひとつに、化のう性合併症が考えられます。うみをつくっている場合、飲み薬では十分治療できないので、必ず病院で相談してください。
もしくは、別の病気にかかっている可能性もあります。溶連菌陽性の結果が、前述の「健康保菌者」を示しているだけで、実は発熱の原因がほかにあるのかもしれません。
イラスト:ぺぷり
例えば、インフルエンザ+溶連菌の健康保菌者だった場合、抗菌薬を飲んでもメインのインフルエンザが改善しない限り熱は下がりません。
また、溶連菌は川崎病に症状が似ているところがあります(
【医師監修】高熱が5日以上…「カゼではないかも?」子どもがかかる川崎病とは?<パパ小児科医の子ども健康事典 第14話>参照)。
発熱、リンパ節腫脹、発疹、イチゴ舌など共通する症状があるので、川崎病+溶連菌の健康保菌者という場合もありうるのです。この場合、溶連菌治療の抗菌薬内服を続けていても改善はせず、川崎病の適切な治療時期を逃してしまう危険性があります。
溶連菌の診断で抗菌薬を内服しても改善しない場合は、見直す必要があるので必ず受診してください。
発熱の原因が溶連菌と確定できれば、抗生剤がよく効くすっきりとした病気です。
しかし、大事なのは、溶連菌と診断されているのに、抗生剤を飲んでも熱が下がらないときです。何か合併症はないか、実はほかの病気ではないのか? さまざまなことが考えられますので、再度受診して診察をうけてください。
参考資料
※1:「小児感染症マニュアル2012」(東京医学社)
※2:学校保健安全法「登校停止基準」