パパにもっと家事・育児に参加してほしい! という願うママは多いのですが、日本はいまだ
男性が働いて生活費を稼ぎ、女性が家事育児をするという役割分担意識が強く働き方改革などと叫ばれてはいるものの長時間労働から抜け出せていない人たちが多いのが現状。
ママからは「もう諦めた…」という声もたくさん届きます。
そこで、改めて「男性が家事育児に参加する」ことは、どんなメリットがあるのか? NPO法人ファザーリング・ジャパン主催のフォーラム「パパ育休は今度こそ本当に進むのか?」の取材で考えてきました!
「パパ育休は今度こそ本当に進むのか?」では、育休取得経験のある知事や議員、経営者、ジャーナリストが登壇し、
男性が家事育児に参加する最初のキッカケとして男性育休の必要性のプレゼンが行われました。
男性の仕事と家庭の両立には「イクボス」が必要
内閣府少子化危機突破タスクフォース委員の経験があり、2015年にはイクメン オブ ザ イヤーも授賞している三重県知事・鈴木英敬さんが登場。(
「WEラブ赤ちゃん」プロジェクトへも賛同いただいてます!)三重県は、特殊出生率(前年からの伸び幅)、育児休業取得率、育児参加休暇率1位の県です。こうなれた施策の1つが「イクボス」の普及・促進。
「イクボス」とは、部下の家庭と仕事の両立を応援し、成果を出しつつ自らも仕事と私生活を楽しむ上司のこと。上司が育児に協力的であることで、女性だけでなく
男性の仕事と家庭の両立が進み、それは子の心の安定や生き抜く強さ、女性の社会進出へもつながる大きな変化になっていくのです。
ちなみに、今では家庭を大切にしている夫で父というイメージが強い鈴木知事ですが、結婚前の通商産業省(現経済産業省)時代には、名刺に「年中無休24時間男」とキャッチコピーを入れていたとか。「人は変わります!」と本人の弁。
育休を取った経営者が語る、出社がマストではない働き方
3人の父でもあるサイボウズ 代表取締役社長・青野慶久さんは、第一子と第二子では2回育休を取り、第三子のときには半年の16時退社という時短勤務を実践したそうです。
会社としては、
「個性が違うことを前提に、100人100通りの働き方を導入しており、育休はもちろん、出社がマストではない働き方を推進することで、離職率が激減、採用も順調とのこと。
「そんなことをしたら、会社の生産性が落ちるのでは? というご心配の声もありますが、売上も株価も順調に伸びてます(笑)」と経営者の視点で男性育休のメリットが語られました。
男性育休は家族の幸せにつながる
ワーク・ライフバランス代表取締役社長・小室淑恵さんは「産後の妻の死因1位は自殺です」と衝撃的な事実を発表。産後のホルモンバランスの不安定さによって生じる産後うつ病が重症化して自殺してしまう、または子どもへの虐待につながってしまうこともあるそうです。そんなリスクを回避するためにも、男性が育児に参加すること、そしてそのきっかけとなる育児休暇の重要性を訴えました。
フランスは国家戦略として「父親休暇」がある
また、少子化専門ジャーナリストの白河桃子さんは、男性が育休を取得したのに家事育児にたいして参加していない「とるだけ育休」問題について、
子どもが産まれただけでは親になることができない人も多いので、レッスンが必要であることを訴え、フランスの取り組みについて紹介。
1人の女性が何人の子どもを産むかというという特殊合計出生率と女性の就業率の両方が高いことでも有名なフランスでは、「父親として赤ちゃんと知り合うこと」「夫婦の転換期をどう対応していくかを考えること」を目的に、国家戦略として2002年から「父親休暇」が設けられているそうです。
他にも、積極的に男性育休の取得を進めている積水ハウス、東京三菱UFJ、千葉銀行の担当者たちが口を揃えて「育休を取ることがいいことと捉えられるようになり、社内の雰囲気が良い方へ変わってきた」と話していたのが印象的でした。
男性育休は会社にも社会にもメリットがある!
FJ緊急フォーラム「パパ育休は今度こそ本当に進むのか?」資料より
FJ緊急フォーラム「パパ育休は今度こそ本当に進むのか?」資料より
このフォーラムを通して知ったことは、男性が家事育児に参加することで「少子化対策につながる」「児童虐待が減る」「働き方改革や女性の社会進出が進む」「会社の生産性もアップする」という、家庭にも会社にも社会にもメリットがあるということでした。
「育休を取ること」って、会社や社会に迷惑をかけるのでは…と思っていた考えがひっくり返りました。男性育休は、誰でも働きやすい社会を目指すきっかけのひとつのようです。
育休をとった小泉進次郎環境大臣からのメッセージ
最後に、現在育児休暇中(フォーラム開催時)の小泉進次郎環境大臣から届いたメッセージが発表されましたので、一部抜粋にてご紹介します。
「80%の人が育休を取りたいと思っているのに、6%の人しか取れていない」のは制度以上に空気が問題だと言いましたが、早速、野党にも男性議員の育休が波及し、自民党内のある議員からも私に育休をとる予定と伝えてくるなど、確実に空気は変わりつつあります。
育児を始めてまだ間もない立場ですが、睡眠不足を育児の楽しさとかけがいのない喜びで補い、育児と仕事に励みたいと思います。そして、育児のお陰で得た気づきや学びを政策を通じ、日本の将来に活かし、一人一人の生き方、働き方に合わせた選択肢がある社会を創っていきたいと思います。」
小泉大臣の育休が、より良い日本の将来につながるきっかけになりますように!