ある日突然、我が子が「学校に行きたくない」と言ってそのまま不登校になってしまった…。「なぜ行けないの?」「このまま社会に出られなくなったら?」…親の頭にはさまざまな疑問や不安、心配が渦巻くのではないでしょうか。

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約40年に渡り不登校の子どもたちとその親への相談支援を行ってきた西野博之さんが書き下ろした
「マンガでわかる! 学校に行かない子どもが見ている世界」(KADOKAWA)。本書には、マンガで不登校をめぐる親と子、双方の心の内を解き明かし、不登校の子が再び歩き出すために親ができることは何か? のヒントが詰まっています。

そこで今回は、親と子どもの想いを交互に描いたマンガと共に、親はどう受け止めたらよいかについて西野さんのアドバイスを紹介します。
■西野博之(にしの ひろゆき)さんプロフィール

認定NPO法人フリースペースたまりば理事長/精神保健福祉士/神奈川大学非常勤講師
1986年より学校に行かない子どもや高校中退した若者の居場所作りをスタート。川崎市子ども権利条例調査研究委員会世話人、文部科学省「フリースクール等に関する検討会議」委員などの公職を歴任しながら、約40年間不登校の子どもとその親に寄り添ってきた第一人者。
facebookアカウント:
西野博之
■【親から見た世界】行かないのには理由があるはず!

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我が子に「学校に行きたくない」と言われてまず親が思うのは「なぜ?」ということではないでしょうか。学校で何か嫌なことがあるならば助けたい。そのためにも原因を突き止めなくては…。まずはそんな親の心の動きをマンガから見ていきましょう。


原因を聞かれた時に子どもが
「わからない」と答えることはごく一般的で、西野さんが出会ってきた不登校の子の多くもそうだったと言います。それでも原因を探したいのが親心。「原因がわかれば学校に行けるようになる」と信じて本を読んだり、ネット検索をしたり、答えとなるものを探そうと必死になる親も多いのだそうです。
▼原因を聞けば聞くほど長引く…?

しかし西野さんは、たとえ原因を探し出したとしても登校できるようになるとは限らないと言います。そもそも学校へ行けなくなった時点で子どもは
心身ともに疲れきっていて「学校に行けない自分はダメなんだ」と自分を責めているそうです。
そこに親から何度も原因を聞かれたり「ズル休み」と決めつけられたら…? また、学校へ行くことのストレスから身体症状が出た時に、ウソではないかと疑われたり、逃げ癖と指摘されたら…? 親の行動を受けて子どもはさらに「自分はダメなんだ」という思いを強め、
結果的に問題が長引くというのです。

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では、どうしたらいいか。
「まずは子どもを休ませてほしい」と西野さんは言います。安心できる居場所を作り、自己肯定感が下がって自分の気持ちをうまく言葉にできない子どもに寄り添うこと。それこそが我が子の心を回復させる第一歩なのです。