天下無敵のマイペース!「一人っ子」の世界観を大切に、ほどよい距離を
と本心を隠し、親に合わせてしまいがちなのも特徴です。
一人っ子がそのように考える背景には、やはり親からの過保護、過干渉があります。きょうだいに労力を分散する必要がないため、一人っ子には親の関心がつねに注がれます。さらに、親は複数の子どもを育てないため「子どもにもいろいろな考えや性格がある」ということを身をもって体験できず、わが子も自分と同じように考えているだろう…などと安直に判断し、子どもの言葉をよく聞かないまま親の考えで物事を進めてしまうことも多いでしょう。
あるいは子どもの意見を聞いても、「それでは失敗するから、こうしなさい」と親が決めた方向に進ませようとします。
こうなると、子どもは自分に決定権が与えられないことや、親に本心を話さないことを当たり前と考えてしまうようになります。本心を話しても「どうせ否定され、親の都合のいい方に決まる」からです。反面、家の外に出れば人に相談しないことが当たり前ですから、自分一人の決定力だけを頼りにするようになります。
家ではつねに親の言うとおりにしているため、親からは「実に頼りない」と見えがちですが、家の外に出れば決定力もあり、リーダーシップを発揮できる一人っ子も数多く存在しています。
一人っ子を育てる時には、子どもの意志や考えを聞き、たとえ失敗するだろうと思っても、子どもの思うとおりにやらせてみることが重要。失敗をさせないのではなく、失敗をした後のわが子を支えてあげればよいだけのこと。
それができれば、一人っ子は親を信頼し、さらに失敗によって経験を積み重ね、同年代の他人との距離感やつき合い方を覚えて、人生をより味わい深いものとしていくことができるでしょう。
<文・写真:フリーランス記者あん茉莉安>