排泄物は「自分のもの」!? 子どもがトイトレへ抱える思いとは
この夏、トイトレを始めたという家庭も多いのでは? なかなかトイトレが進まないと、親は後始末が大変でイライラしちゃいますよね。お漏らししても気にしなかったり、遊んでしまう子もいるでしょう。
大人は排泄物を汚いと感じますが、実は子どもは「自分のもの」と思い、愛着を感じていることをご存知ですか。児童精神科医の佐々木正美氏の著書『子どもへのまなざし』(福音館書店)から、子どもが排泄物に抱く想いをご紹介します。
排泄物で遊び、鼻くそを舐める子どもたち
お漏らししても気にしなかったり、ウンチを触ってしまうこともある子どもたち。それだけでなく、5歳くらいだと鼻くそを食べる子も少なくありません。大人としては「汚いからやめて!」と叫びたくなりますが、なぜ子どもは平気なのでしょうか。
佐々木氏は、子どもは排泄物を「たいせつな『僕のもの、私のもの』」と思っていると指摘します。
排泄物は自分から出るものですから、子どもは自分の一部と感じているよう。「愛着のある自分のものを捨てるのはいや」という感情さえ抱えているというのです。
愛着を感じている大切な自分のものは、大人だって捨てられませんよね。ましてや触ると嫌な顔をされれば、悲しくなることもあるでしょう。佐々木氏はその感覚を、「小さいときにだいじにしていたおもちゃが、もう遊ばないだろうと、あっという間に捨てられてしまったという感じににていると思います」と例えます。
進まなくても無理はないトイトレ
そうはいっても、やはり排泄物にはばい菌がいますから、衛生上「汚いものである」という感覚を持つことは必要です。ただ、子どもの感覚を知ると知らないでは、かける言葉も変わってきますよね。
子どもが自分のものと思っているのなら、トイトレが進まないのも無理はありません。
周囲と比べると焦ることもありますが、すぐにトイトレが完了しなくても当たり前ということを、頭に入れておきましょう。
あまりに汚いと過剰反応すると、子どもは傷付くこともあるでしょう。ばい菌がいることや、触ってはいけないことを、説明するようにしましょう。
親はトイトレのやり方を教えるものの、最終的にできるようになる時期は、子どもが決めるものだと佐々木氏は言います。自らトイレで排泄をすることを決めた子は、自分で自分を律する力が身につくのです。待っている親はヤキモキしてしまいますが、子どもの自律のためにも、その時期を見守ってあげましょう。
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