無期懲役じゃ足りナイ? 日弁連の“死刑廃止宣言”に関する意識調査
●被害者感情に配慮すべきとの意見も
『家族が犯罪に巻き込まれたら復讐したいと思うけど、それは許されない。それなら国がきちんと報復すべき。そうじゃなければ復讐のための犯罪が増えることになる』(40代男性/不動産)
『身内を傷つけた犯罪者がどこかで生きているというのは耐えられないでしょう。少なくとも私はこの世からいなくなることを望むと思います』(30代女性/主婦)
犯罪者に対する報復行為は許されておらず、被害者やその遺族の怒り・悲しみを解消させるためには、死刑という極刑 が必要なこともあるかもしれません。
受けた被害と同じか、もしくはそれ以上の苦しみを犯罪者に与えてほしいと考えるのもおかしなことではありません。
しかし、死刑を存続させればそれで被害者が救われるのかは疑問です。
実際の運用では死刑が確定してから執行されるまで時間を要することが多く、長ければ数十年を拘置所で過ごす死刑囚が存在する など運用上の問題もあると言えます。
復讐が被害者感情を癒すとするのも、果たして正しいことなのでしょうか。
●終身刑の導入を求める声が2割
『いまの無期懲役は問題がある。死刑よりも、本当の意味で死ぬまで自由を奪われる終身刑の方がつらいと思います』(20代男性/大学生)
『死んでしまったらそこで終わり。罪を償うというのは、きちんと生きて死ぬまで反省させることではないでしょうか』(30代女性/編集者)
死刑囚は死をもって罪を償うという考えから、懲役囚と比べて普段は自由に過ごすことができると言われています。
また、死刑に次ぐ重罰とされる無期懲役刑ですが、これは仮釈放の制度により十数年で社会に出ることが可能になる ものとなっています。
ただしこの仮釈放までの期間は徐々に長くなっており、2000年までは20年ほどであった期間が、2014年では31年へと延びています。
もし死刑制度が廃止されれば、最も重い刑罰は無期懲役となり、どんな犯罪者も社会に出てくることが可能になるのです。
死刑制度を廃止するのであれば、その代わりに仮釈放の可能性を排除した絶対的な終身刑 を求めるという声も多い様子。
凶悪犯が世に出てくる可能性を残した刑罰は不十分と考えるのは、当然と言えるのかもしれません。
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正解がない以上、被害者感情や犯罪者の人権など、総合的な判断が求められる死刑制度の廃止問題。