花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。
最近よく耳にする “AI時代の子育て” というフレーズ。AI(人工知能)の発展によって、将来的にいまある仕事がほとんどなくなる時代が到来し、従来のような詰め込み型の教育では立ち行かなくなる、ということなのですが…。 親としては経験則が通用しないため、家庭で何にどう取り組めばいいのか、戸惑うばかり。正解のない子育てだからこそよほどの軸がない限り、周囲の情報に流されてしまう状況ではないでしょうか。中学受験が過熱しているのも、不透明な未来だからこそ、早いうちに何か身に付けさせたいという焦りのように見えます。 しかし、最終的には “どんな時代であっても子どもがたくましく生きてくれたらそれでいい” というのが親心。そのためにいまどんな力が求められ、親は何を心がけたらいいのか−−。 「将来“メシが食える大人”そして“魅力的な人”を育てる」 という理念を掲げる学習塾「 花まる学習会 」の代表・ 高濱正伸 さんが 「AI時代を生き抜くために必要な“最高の頭脳”の育て方」 について講演会をされるというので、お話を伺ってきました。 高濱正伸さん 花まる学習会代表、NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。算数オリンピック作問委員。日本棋院理事。ニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカー。武蔵野美術大学客員教授。環太平洋大学(IPU)特任教授。 1959年熊本県人吉市生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年「花まる学習会」を設立、会員数は23年目で20,000人を超す。 将来しあわせに生きるための “最高の頭脳”とは? 「会場にいるみなさんは、いま好きなことをして生きていますか? お年頃になったから結婚、出産、子育てと流されている人が大半。何回生まれ変わってもいまと同じ仕事をしたいという大人ってほとんどいないですよね」と、いきなりドキッとするような質問を投げかける高濱さん。 そして、「 最高の頭脳というのはズバリ、どんな時代でも自分の生きたいように生きていける“実力”を持っていること 。起業家になろうと思えばなれるし、公務員になろうと思えばなれる。自由自在という言葉とイコールです」と続けます。 それは、たとえAIなどに仕事を奪われても、ほかのたくさんの選択肢の中から自分がやりたい仕事を選べる状態にあるということ。もしなかったとしても自ら作り出す力があれば、好きな仕事をしてしあわせに生きていけます。 「何をやりたいかは、自分の心が決めるものなので騙せない。答えは自分の中にしかありません。しかし、自分の好きなことに忠実でいないと、少しでもランキングが高いところ、少しでも偏差値が高いところと目の前の数値に惑わされ、大人になったときに確かなものが何もなくなってしまいます。 だから、まずは 子どものすぐ側にいる大人が生き生きと、自分の好きなことに没頭している姿を見せることが大切 ですよ」と高濱さん。保護者に対しても温かなアドバイスを送ります。 ちなみに、花まる学習会では毎回の授業で子どもたちが作文を書いているのですが、これは文章力をつけるためではなく、自分の心を見失わないため。作文を書くことで自分と向き合い、内面をモニターしつづけることで自分の道を迷わず選ぶことができるようになるのだとか。 もしお子さんが自分のことをなかなか決められないという場合は、選択肢を2つくらいに絞ってどちらがいいのか決めさせることからスタートするといいそうですよ。 AI時代に必要な3つの実力とは? では、最高の頭脳である“自分の生きたいように生きていける実力”とは何なのでしょうか。子どもたちが生きていく未来は、変化の連続。昨年、生成AIやチャットGPTが流行語にノミネートされたとおり、AI時代はもう目の前です。 「これからは いかに“問いを立てられるか”が重要 。企業側も与えられた問題に対処するだけでなく、社会のニーズからどんどん新しい問題を見いだし、仕事を生み出せる人を求めています。そのためには、 ・基礎力 ・思考力(or べき力) ・心 の3つが必要。なかでも 重視すべきなのは“思考力” です」(高濱さん) じつは、高濱さんが花まる学習会をつくった理由も、この思考力を育むため。予備校で講師をしているときに、従来の機械的な教育で子どもたちは自立して生きていけるのか、という不安を感じたことに端を発します。 「計算や文字を書くといった“基礎力”はもちろん大事。とくに子どもが小さいうちは、掛け算が人より早くできた! とか、基礎力の部分ができるとうれしくなる気持ちもわかります。 でも、大人になるまでにはだれでもできるようになることなので焦る必要はなし。あくまで これは基礎だとわかったうえでやることが重要 です。答えを早く出すということをやりすぎて、証明問題から伸び悩む子もいます。 それよりもこれからの時代を生き抜くためには、だれも思い浮かばなかったような問いを立てられる、世界を変えるような博士の力=思考力が求められています」(高濱さん) 余談ですが、図形や証明問題が苦手・嫌いという子は、やらなくていい理由を作っているだけ。小学校を卒業するまでは苦手・嫌いを作らせないことも大切なのだとか。 そして、子どもが苦手・嫌いを作る原因となっているのが「うちの子、図形が苦手で…」というような母親同士の何気ない会話であることも多いそう。お母さんは肝に銘じて注意するようにしましょう。 思考力を養うためにいまから家庭でできること 思考力=博士の力と聞くと、“親自身がそんなタイプじゃないのに、どうやって子どもに教えればいいの⁉︎”とか“家庭で育むのは難しそう…”と思いますよね。でも、高濱さんは極めてシンプルな方法を提示します。 「 思考力を育てるには、何もない自然の中に子どもを放り込む、野外体験が一番! 心配しなくてもゼロイチの環境に身を置けば、子どもたちは自然と“ここに基地を作ろう!”とか“どの枝が武器になるか”など、工夫して遊びはじめます。外遊びは親が思っている以上の財産になりますよ」(高濱さん) 外遊びは親が意識的に連れて行く必要があります。でも都市暮らしで忙しいとなかなか難しいことも。それならいっそ自然が多い地域に移住するという手もありますが、それも現実的ではないという場合は「花まる学習会の野外体験プログラムのような信頼できるどこかに預けるなど、プロに任せてしまっていい」と高濱さんはいいます。 さらに、野外体験以外にも思考力を鍛える方法があるのだとか。それがスポーツやボードゲームです。 「 スポーツの中でもとくにサッカーはパスを出すときに無数の補助線が描ける 。相手のパスを見極めることも必要ですし、じつは思考力がどんどん伸びるんです。 将棋や囲碁といったボードゲームは、終わったあとに感想戦をやるといい ですよ。これはお父さんの方が相手に向いていることが多いです。なぜなら理屈っぽいから(笑)。親子で将棋をやっている子は、このときなぜこうしたかということを口頭言語で論理的に簡潔に説明できるようになるのでとてもいいです。 迷路やパズルに没頭して、マイペースに遊び込むことも大切 。問題を作らせるのもおすすめです」(高濱さん) 30年以上教育の現場に立ち、算数オリンピックの作問委員でもある高濱さんによると、 最高の頭脳を持つ子は、かならず自ら問題を作りはじめる のだとか。 5~6歳位の男の子でよくものすごく緻密な迷路を作る子がいますが、あれはいい芽が出ている証拠なのだそう。これを聞いて内心ガッツポーズをしている方もいるのではないでしょうか。 入試に強い“べき力”も武器になる! ちなみに、思考力と並んで“べき力”というのも必要な力ということですが、これは高濱さんが考えた造語で“やるべきことをやる力”のこと。入試に合格するためには思考力よりもこちらの方が有効ともいわれているそう。 「 与えられたことを正確にきちんとこなす力は、公務員や医師になるためには必要。こちらの能力も十分武器 になります。どちらが得意か見極めて、選択していけばいい」と高濱さん。 そのためには世間のやり方に合わせていくのではなく、 日頃から我が子をよく観察する必要 があります。 そして、自分の生きたいように生きるためにもうひとつ欠かせないのが、心。この心を育むためにも、子どもをよく見ることが大切だと高濱さんはいいます。 「花まる学習会が続いた理由は、子どもの“心”に焦点を当てつづけたから。子どもが飽きずに楽しめることを追求してやってきたからです。いまはいろいろな教育メソッドがあるので飛びつきたくなりますが、何かをやらせたときに “我が子の目が輝いているかどうか”で判断していけば、大幅に間違うことはない はずです」(高濱さん) さらに子どもの心を育むためには、絶対的な愛情や自己肯定感、強さが必要ということですが、そのために親ができることについては、高濱さんの別の講演会でくわしくお話しされているそうです。 5月19日に東京都北区で開催される高濱さんの講演会「父親だからできること(午前・男性限定)」/「生き抜く力をつけるほめ方叱り方(午後)」でも、子どもとの関わり方についてお話しされるそうなので、興味のある方はぜひ参加されてみてはいかがでしょうか。 AI時代という未知なワードに右往左往してしまいがちですが、今回の講演会で、まずは身近な外遊びやスポーツ、ボードゲームや迷路などをつうじて、目の前の子どもが好きなこと、夢中になれること、得意なことを、プロの手を借りながら探究していけばいいのかもしれないと少し気持ちが軽くなりました。 【先着順】だれでも参加できる!高濱さんの講演会申込受付中 「父親だからできること(男性限定)」 日時:2024年5月19日(日)10:30~12:00 会場:赤羽会館 参加費:1名2,000円(税込) 定員:646名(先着順) 申込締切:2024年5月13日(月)19:00 詳細&お申し込み: ※男性限定の講演会です 「生き抜く力をつける ほめ方叱り方(午後)」 日時:2024年5月19日(日)14:00~15:30 会場:赤羽会館 参加費:1名500円(税込) 定員:646名(先着順) 申込締切:2024年5月13日(月)19:00 詳細&お申し込み:
2024年04月22日今回は、編集部に寄せられたお悩み、「わが子が他の子をいじめていた。その時、母親がすべきことは?」について、花まる学習会の高濱正伸さんにお話を伺いました。 ■いじめはなくならない ――わが子が他の子をいじめていた。母親にとっては衝撃的です。どう考えればいいんでしょうか? この話は、脳の進化の過程、とりわけ 「原始脳」 についての知識があると、理解が早いです。人間は、理性だけで割り切れるほど、単純な生き物ではありません。 【原始脳】 大脳辺縁系とも呼ばれ、動物として生きるための必要な機能を担う。感情が生まれる中枢であり、情動と密接に関係する部位と言われています ――「いじめの話」と脳の話はどう結びつくんですか? 人間を理解する前提として、「原始脳が司っている『人間らしい感情』は、全員が持っているものなんだ」と、知っておくことが大切です。 お母さんが、子どもを「心の底から愛している!」と感じるのも、この部分の脳です。一方で、怒ったら「自分でもどうしてここまでオーバーヒートしてしまうんだろう?」と、理性で制御がきかない状態になってしまう。それも、「原始脳だから」と捉えれば、納得できるわけです。 ――感情は「原始脳に由来する」ということですか? はい。それで私が言いたいのは、 「いじめはなくなりません」 ということです。なぜなら動物としての人間は、 残酷な生き物 だからです。 そこを「ないこと」にせずに、 まずは認める 。その上で、心のバランスをコントロールする。この二段階のステップが必要です。 つまり、いじめについては「絶対にあってはならないものだ」と言い出す人がいますが、「いや、いや。普通にあるでしょ」という話です。 「絶対にいじめちゃいけないのはわかっているけれど、どうしてだか腹が立つ」とか、「言っていることはわかるんだけど、なんかイラッとする」とか…。 「生きていればそういうことの連続で、それが自然なことである」 という人間理解が必要です。 ――「『いじめたい』」いう感情があることは人間としては自然だ」ということですか? こういった負の感情を飼い慣らしながら生きていくのは、大人だって難しいですよね…。だからこそ、お母さん方に考えて欲しいのは、 「いじめている側の子の根底にあるのは何か?」 ということです。 ――いじめている側の根底にあるのは、何なんですか? 不足や不安です。 「自分が認められていない」「欲求が満たされていない」 という時に、人は他者をいじめたくなります。 世の中に、満たされてる人、満たされない人がいるのは、当然です。お金持ちの人、そうではない人がいるのと同じで、必ずアンバランスになっています。 不満に思っている側は中傷したくなるし、いじめたくなるし、満足している人を嫌な目に遭わせたくなってしまうのです。 「社会で生きていく」 というのは、そういったことをどうかいくぐっていくのか? という話なんです。 ■もし子どもがいじめをしている側だったら? ――いじめている側の親になった時は、どうすればいいのでしょうか? 「わが子が加害者である」 という事実は、とてもショックです。けれども、その勢いのまま子どもを叱ってしまわずに、一呼吸置いて考えてみて欲しいのです。 「この子に何が足りていなかったのかな?」 と。親御さん自身で、問いを持って欲しいと思います。 ――「この子に何が足りていなかったのかな?」という問いとはどうすればいいですか? 特効薬は、 「1対1で、親が向き合うこと」 です。親も忙しいですから、子どもを理解する時間が少なくなってしまっていたのかもしれません。 子どもが本当に欲しいのは、ぎゅーっと抱きしめて、「あなたさえいれば、お母さんは何もいらない」と言ってもらう時間です。もしくは、「うん、うん、そうだよね、お母さんもそう思うよ」と、親にしっかりと話を聴いてもらう時間です。いじめている子は、結局、 根本的なところの愛が足りない だけなんです。 ――「根本的なところの愛」ですか? はい。その前段として、 「母親である自分自身が、大丈夫なのかな?」 というモニタリングがすごく大切です。 お母さんは、わが子がいじめっ子だと聞けば「子どものいじめを止めなければ!」と思いますが、 「その根本は、あなたの不安から始まっています」 と、言いたい時もあります。 ――何だか、耳が痛くなってきました。親はいつも不安なので… 大丈夫です。完璧な人なんていませんから。ただ、周囲に対して、 「これ以上は、言っちゃいけない」「ここは、引かなきゃいけない」 とコントロールができる程度には、自分をモニタリングできる余力は残しておいたほうがいいですね。 ――正直言えば「余力なんて、ありません!」という場合も多いと思いますが、どうすればいいでしょうか? 働くお母さんからの相談で一番多いのは、 「時間がない」 ということです。「子育ても仕事も、どっちつかずで中途半端になってしまい、自己嫌悪を感じている」という声もよく聞きます。 そんな時、私がよくお伝えするのは、 「(1)人との比較」「(2)やらされ感」「(3)コンプレックス」 は、3悪なんですよということです。 ――働くお母さんが持ってしまう自己嫌悪をどうすればいいですか? 働くお母さんは、自分を専業主婦のお母さんと無意識に比較していませんか? そんなお母さんたちに言いたいのは、「専業主婦と働く主婦は、スポーツの種別が違うんだ」ということです。 サッカーをやっている人が、「あっちは野球バットがあっていいな!」なんて言っても、意味がないでしょう? 「あなたは、サッカーをやっているんですよね?」と。「共働き」という種目でベストを尽くせばいいだけです。専業主婦のお母さんや自分の母親世代と比較してもしょうがない。 ――「仕事と家庭の両立」は幻想だと私も思います。でもどうモニタリングすればいいでしょうか? 働くお母さんなりの「安心できる自分」をどうモニタリングするかは、「今日の私、何だかイライラしている。どうしてかな?」と、あくまで 「自分の安心」 を中心に考えることです。 うまくやれているように見える人と比較をしない 。自分自身をちゃんと見る。それがもっとも大切なポイントです。 また、仮に他者から嫌なことを言われたら、「この人、心に穴があるのだろうな、可哀そうに」と思いながら、こなしていく力を持つ。嫌な上司に対しても「哀れだな」と思えば、腹も立たなくなるじゃないですか。 ――「お母さんを楽にするには、どうしたらいいんだろう?」と、記事を書きながら、いつも思います。お母さんが大変だから、子どもに「とばっちり」が行ってしまうのではないかと… 解決の基本は、シンプルです。 子どもと話をたくさんする 。その子との二人の時間を楽しむだけで充分です。それだけで、子どもは動物的に嬉しいのです。「解決策をちゃんと出そう」などと思うと、苦しくなります。 もし、「子どもと会話ができない」と思うのであれば、 「指示命令だけになっていないかな? 対話やコミュニケーションできていたかな?」 と振り返ればいいんです。 ――「子どもと話をたくさんする」でいいんですか? 自分の心持ちだけの話なんです。そして、今、子どもと対話やコミュニケーションができていない大人が多いのは、 あなた自身の問題でもない のです。 正直なところ、 教育の仕組みに大きな穴がある と思っています。端的にいえば、評価基準にさらされ続けている教育です。偏差値、いい大学、いい会社、高い年収といった数値指標ばかりを見せられているのです。 ――「教育の評価基準がそもそもおかしい」ということですか? そうです。他人の尺度で評価するのではなく、自分の軸を持つ。 自分の選んだ道が正解です 。子どもたちには、 自分の幸せを自分の心で決められる人 になって欲しいです。 そのためには、親がそういう メンタリティを獲得する必要があるんです。だからこそ、まずは 大人が自分の決めた場所で面白がる ことから始めてみませんか? いかがでしたか? 筆者は、高濱先生の取材を「高濱先生浴」と呼んでいます。高濱先生の肯定的で前向きな言葉や思考を浴びると、ものすごく元気になります。私自身、「自分の決めた場所で面白がること」から始めてみようと思います! ■今回お話を伺った高濱 正伸先生の著書 『どんな時代でも幸せをつかめる大人にする つぶさない子育て』 高濱 正伸 (著)/ PHP研究所(1,540円(税込)) 子どもの人生の選択肢を増やしてあげたい。あの時、子どもに「あれをやらせておけばよかった」と後悔したくない。そんな深い親の愛が時に暴走してしまうことがある…。 「どうしてできない!?」と子どもを責めたり、「そんな点数じゃ、○○中学なんて入れないぞ!」と脅してしまったり…。それで、子どもがつぶれては本末転倒です。 そんなお母さん、お父さんたちに意識して欲しいのが「伸ばすよりも、つぶさない子育て」。子どもとの適切な距離感がわかり、子育て不安が軽くなる1冊です。 高濱 正伸(たかはま まさのぶ)先生 1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒。 花まる学習会代表、NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。算数オリンピック作問委員。日本棋院理事。 武蔵野美術大学客員教授。環太平洋大学(IPU)特任教授。
2024年01月17日前回、「『心を強くする経験』は、これからの子育てを考える時、一番のキーワードになります」と、花まる学習会の高濱正伸さんに教えていただきました。 そのためには、「『そういうこともある!』と、『事件にしない』という形で、親が子どもに状況を提示してあげる必要があります」とも。 では、最近増えている不登校は、どのように考えればいいですか? 引き続きお話しを伺いました。 ■不登校と言っても実態はさまざまある ――最近、不登校が増えていることについては、どうお考えですか? 「不登校」と一言で言っても、その実態はさまざまです。じつは、「 学校が『つまらない場所』 だから行きたくない」という子も一定数います。そういった子は、 大人になって自立さえできれば、不登校でも問題はない と思います。 ――「不登校だからダメ」と一概には言えない? もちろんです。ただ、長期の引きこもりの人たちの履歴を見ると、不登校からスタートしている場合も多いので、「入口の対応」という意味では「不登校であるという状態」をどう扱うかは大切です。長期化すると、「外に出るのが怖い」とか「朝晩逆転」といったことに繋がることもありますから。 ――不登校については、何から考え始めたらいいのでしょうか。 一言で言えば、 愛 です。ラポールです。 【ラポール】 ラポールとは、フランス語で「橋を架ける」という意味。心が通い合い、互いに信頼し合い、相手を受け入れている状態のこと。 今の学校の先生の中には、 子どもとの信頼関係が築けていない人 もいます。そんな先生のことを、子どもはどう見ているのか? 「この人は、授業をやらないとお給料がもらえない人。この人が困るから、黙って授業を聞くしかない」といった目で見ている可能性もあります。 先生に悪気がないのはわかります。でも、「そこに、【ラポール】~子どもとの信頼関係~があるのか?」という話です。 ■今の学校は古い⁉ ――先生と信頼関係が築けないお子さんにはどんな特徴がありますか? 知能が高かったり、才能がある子ほど、ラポールに敏感です。今、そういった子たちが、 学校の中に居場所を見つけられない という現実があります。 ――学校に居場所がない子どもはどうすればいいんでしょうか? 私は、この現実を受けて、花まるエレメンタリースクールというフリースクールをつくりました。昨年が一年目で、今は二年目なんですが、手ごたえを感じています。 ――フリースクルーでの手ごたえとは? 昨年からいる(1年目からいる)24人が、先輩面するんです。「俺も暴れていたから、わかるよ」みたいなことを言う(笑)。大人に言われるより、 「自分もそうだった」という先輩 (そう言っても子どもですが…)の言葉を届けることができることが大きいんです。 そういった仕組みを作ることが大事だったんです。 「現状の学校に収まりきらないタイプの不登校」に対しては、花まるエレメンタリースクールの教育実践を通して、ひとつの答えが出ました。 ――どんな答えですか? 子どもが心から安心できる居場所 を作ればいいのです。要は、 「仕組み」の問題 なんです。この話も何度もしていますが、 今の学校がもう古い んです。先生一人一人には、絶対に悪い人はいないんです。 ■日本の教育は、何が問題か? 高濱先生は、いまの日本の教育の問題点として、「粒のそろった兵隊を作る教育」なところと挙げています。そして高濱さんは、「上の言うことを忠実に聞く兵隊を作るのではなく、これからの教育では『自走する人間』を育てていく必要があるんです」と、言います。 ■居場所を見つけられない子どもに届く言葉とは ――居場所に辿り着けてないご家庭は、どうしたらいいでしょうか? 「子どもを癒やすのは何か?」という話です。それは、 「大丈夫。あなたは、私の子どもなんだから、絶対に大丈夫」 という 親の言葉 です。この言葉が、効きます。私は本当に、たくさんのいろいろなタイプの親子を見てきました。だからこそ、言えるのです。「あなたは、大丈夫。母さんの子どもだから、大丈夫」という言葉が、もっとも子どもの心に響くのです。 子どもは親から「大丈夫!」と言われたい し、その言葉を信じたいのです。毎日、家庭でしっかりと愛情を与えていれば、少々、外でつらいこと、嫌なことがあっても耐えることができます。 前話の話にも通じますが、多少の試練は、心の免疫をつけるために必要です。親元にいる時に、心の免疫をつけてあげる、と考えてみてはどうでしょうか? ■子どもが不登校になったとき母親がしてはいけないこと ――お母さん自身が、子どもに対して「あなたは、大丈夫」と言い切れるエネルギーがない場合もあると思うのです。その時は、どうすれば良いですか? そんな時は、お母さんが孤立しているのです。 「孤立した母」 というのは、現代の社会が抱える問題です。この問題の解決策として言えることは、「繋がりを持ちましょう」ということです。 子育てとまったく関係のない、趣味のサークルに入るのでもいいし、パートに出るのでもいいし、大学時代の友達に会うのでもいい…。繋がりをいくつか作ったなかで、誰か一人でいいから、心を開いて話ができる人、居場所を、お母さん自身が確保するのがもっとも大事です。 お母さん自身も、正解が欲しいわけではないでしょう? 「うん、うん、そうだよね」と話を聞いてもらって、安心したいのです。 ――お母さん自身の居場所を、まずは確保するのですね そうです。昔は、隣近所にそういう人がいたかもしれません。けれども、今は 「自分で意識して、居場所を確保しないとならない時代なんだ」 と、お母さんがしっかりと踏まえておくことが大切です。 子どもが不登校の時、「私がちゃんとしなければ!」と、一人で抱え込んでしまう人がいます。大切なのは、 一人で頑張ることではありません 。人と繋がり、自分自身の居場所をまずは見つけて欲しいです。 ――キーワードは「繋がり」ですね はい。居場所は、専門的な相談場所でもいいし、気のおけない友だちとカフェで喋るといった時間(心の置き場)でもいいのです。とにかく、 誰かと繋がって、孤立をしないようにする 。 子どもは、そんな母を見て、安心するのです。「お母さん、楽しそう!」と思うと、子どもも、なんとかなりそうな気がしてくるものですよ。 ――子どもが、「なんとかなりそうな気がしてくる」って大事ですね 私の経験から言わせてもらえば、 14歳までに自己肯定感に穴ぼこ ができなければ、大体のことは大丈夫です。14歳は、昔の元服です。人が育つ本質は、そう変わらないのです。 不登校で多少、勉強が遅れていたとしても、自己肯定感さえあって、「やっぱり俺、ちゃんとやるわ!」と本人が言い出せば、大丈夫です。 ――高濱先生に「大丈夫」と言っていただけると、何だか安心します。 「あの問題児が!?」と、いい意味で裏切られる子とたくさん出会ってきました。別人になりますからね(笑)。嘆き悩んでいたお母さん方が、「本当に『大丈夫』でした」とおっしゃる例も、たくさん見てきました。大学に入るのが1~2年遅れたとしても、そんなのたいした話ではありません。 ■高濱先生は三浪四留!? 高濱先生は、東京大学に入るまでに三浪していて、大学に入ってからは四回留年しています。二浪した人からは、「自分が、『人生、回り道した』などと言っていて、お恥ずかしい限りです。すいませんでした」と、謝られるとか…。 高濱先生のお話を聞いていると、自分の悩みが小さく感じられます……。 次回は、編集部に寄せられたお悩み、「わが子が他の子をいじめていた。その時、母親がすべきことは?」について、高濱先生にお話しして頂きます。 ■今回お話を伺った高濱 正伸先生の著書 『どんな時代でも幸せをつかめる大人にする つぶさない子育て』 高濱 正伸 (著)/ PHP研究所(1,540円(税込)) 子どもの人生の選択肢を増やしてあげたい。あの時、子どもに「あれをやらせておけばよかった」と後悔したくない。そんな深い親の愛が時に暴走してしまうことがある…。 「どうしてできない!?」と子どもを責めたり、「そんな点数じゃ、○○中学なんて入れないぞ!」と脅してしまったり…。それで、子どもがつぶれては本末転倒です。 そんなお母さん、お父さんたちに意識して欲しいのが「伸ばすよりも、つぶさない子育て」。子どもとの適切な距離感がわかり、子育て不安が軽くなる1冊です。 高濱 正伸(たかはま まさのぶ)先生 1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒。 花まる学習会代表、NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。算数オリンピック作問委員。日本棋院理事。 武蔵野美術大学客員教授。環太平洋大学(IPU)特任教授。
2024年01月16日世の中がすごいスピードで変化している今、「何を道標にして、子育てをすればいいのかな?」と、悩むことはありませんか? 「子育ての最終的な目的は、たったひとつ。経済的、社会的、精神的に自立した『自分でメシを食っていける大人』にすること」と、30年言い続けている花まる学習会の高濱正伸さんにお話を伺いました。 高濱 正伸(たかはま まさのぶ)さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ■攻撃的な子どもが増えている⁉ ――高濱先生のご著書『つぶさない子育て』というタイトル、衝撃的でした。高濱先生は、最近は、どんなことに関心をお持ちですか? 先日、『傷つきやすいアメリカの大学生たち 大学と若者をダメにする「善意」と「誤った信念」の正体』(グレッグ・ルキアノフ著 ジョナサン・ハイト著/西川由紀子 訳)という本を読みました。本の内容は、ざっくりとこんな感じです。 ■『傷つきやすいアメリカの大学生たち: 大学と若者をダメにする「善意」と「誤った信念」の正体』とは アメリカの20代で、自殺、うつ病、精神疾患が増えている。一方で、大学教授のちょっとした発言に対して、言葉狩りのような吊るし上げをした挙句に辞職に追い込んだりする、攻撃的で他罰的な子が量産されてる……。このような 状況が、なぜ起こっているのか? それを学術的に調べた本 ――一体、子育ての現場で何が起きているのでしょう? 一言で言えば、 「トラブル回避に重きを置く子育ては危険だ」 ということです。母親は、 「心配する生き物」 です。母親一人「だけ」が子育てのすべてを担うと、トラブル回避の子育てになってしまうのは当たり前のことです。 ――「心配する生き物」である母親は何が危険なのですか? 私は30年間ずっとこの話を講演でし続けています。 「怪我をしないように」「傷つかないように」「喧嘩をして欲しくない」 というような子育てをしていると、本当に危険です。 ――トラブル回避は、そこまで危険なことなのですか? はい。保育園、幼稚園、小学校では、さまざまな人間関係を築きます。もちろん、仲良しの友だちとの楽しい時間も大切です。けれども、「嫌な目にあった」とか「ちょっと価値観が合わない人がいる」といった時にどうするのか? この本の言葉を借りれば、 「心の免疫」 をつけるために保育園、幼稚園、小学校に通っているという時期は非常に重要です。トラブルを回避することで、大切な時代に心の免疫がつかないまま大人になってしまう子がいるのです。 ――心の免疫がつかないとはどういうことですか? 要するに、 無菌主義、除菌主義、喧嘩をさせない、いじめは絶対にあってはいけない …そのように考え始めることが、危ないんです。 たとえば、雪合戦で投げられた雪玉の中に石が入っていて、子どもが怪我をしたとします。その子の親御さんが学校に申し立てをすると、校長は保護者を一同に集めて、「今後、子どもたちには雪を一切触らせないと会議で決めました」と報告をするということが起こります。 たしかに、そうすれば「雪合戦での怪我」はなくなります。けれども重要なことは「雪合戦で怪我をしないこと」なのでしょうか? 私が危惧しているのは、「怪我をしないように」とトラブル回避をすることで、「雪合戦をすることで得るさまざまな経験」がすべて除去されてしまうことです。 ――確かに今の日本の教育現場では、そういう話が起こりえそうですね こうして話すと、あたかも笑い話のように聞こえますが、 日本でもずっと前からこのような状態 なんです。私は、「教育の目的はそこなんですか?」と、講演会で訴えているのです。 ■社会全体がトラブル回避の思考回路に陥っている ――このご時世、「子どもを預かる立場」だと慎重にならざるを得ないのではないでしょうか? 預かる側に悪気はありません。「何かあったら、訴えられてしまう」という思考回路に陥るのは当然です。ただ、 「トラブルが起こらないこと」が最優先項目になった教育の先 に何があるのか? ということを、一度考えてみて欲しいのです。 日本だけではなくアメリカでもそうなら、 世界全体がトラブル回避の思考回路 に陥っている可能性も考えられます。 ――そんな時代、保護者はどうしたらいいですか? まず、「今の世の中は、トラブル回避に進みがちだ」と知っておくことです。そんな時代に子育てをしているのだから、 「子どもの心を強くする経験をさせる」 ということを、保護者は強く意識していかないといけません。 「心を強くする経験」は、これからの子育てを考える時、一番のキーワードになります。もう少し具体的に言えば、 「事件化しない」 ということです。 ――「事件化しない」とは? 何か困ったこと、嫌なことがあったとしても、「そういうこともある!」と「事件にしない」という形で、親が子どもに状況を提示してあげる必要があります。 周りを見渡してみても、強くてめげない人の基礎には、「いちいち事件化しない姿勢」「いろいろなことがあるけれど、乗り越えてきた」という経験が必ずあるものなのです。 初っ端から高濱先生のお話は、心に響きます……。 次回は、母親にとっては事件中の事件、最近、増えている不登校についてお話ししていただきます。 ■今回お話を伺った高濱 正伸先生の著書 『どんな時代でも幸せをつかめる大人にする つぶさない子育て』 高濱 正伸 (著)/ PHP研究所(1,540円(税込)) 子どもの人生の選択肢を増やしてあげたい。あの時、子どもに「あれをやらせておけばよかった」と後悔したくない。そんな深い親の愛が時に暴走してしまうことがある…。 「どうしてできない!?」と子どもを責めたり、「そんな点数じゃ、○○中学なんて入れないぞ!」と脅してしまったり…。それで、子どもがつぶれては本末転倒です。 そんなお母さん、お父さんたちに意識して欲しいのが「伸ばすよりも、つぶさない子育て」。子どもとの適切な距離感がわかり、子育て不安が軽くなる1冊です。 高濱 正伸(たかはま まさのぶ)先生 1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒。 花まる学習会代表、NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。算数オリンピック作問委員。日本棋院理事。 武蔵野美術大学客員教授。環太平洋大学(IPU)特任教授。
2024年01月15日■前回のあらすじ 「『良いお母さんをやろう』と思うから辛くなる。自分は、自分でいればいいんです。良いお母さんである前に、自分自身を大切にできていますか?」と問う高濱先生。 良いお母さんである前に、「あなたは人として、自分を大切にできていますか?」…そんな問い、考えたことあるママはいるでしょうか? どうしても「良いママ像」に縛られがちなママたちに高濱先生は、「自分は、何をしている時が楽しいか?」をママには絶対考えて欲しいと話します。 ■「自分は何をしている時が一番楽しいか?」を考える ――「良いお母さんであらねばならない」みたいな呪縛は強いと思います わかります。ママ友の目だってあるだろうし、住んでいる地域によっては、お姑さんや、御近所の目がうるさいということもあるでしょう。「あのお母さん、子どもを放っているよね」みたいなね。でも、やっぱり、そこでも「人目」を気にしている…。 もう、そういう時代じゃないんですけれどね。「誰に何を言われようと気にしない」みたいな人たちの時代が来ているというか。いま、勢いがある企業のトップの方というのは、そういう人々が多いですよね。 ――でも思い切るのは、なかなか難しいと思います でもね、 お母さん自身が「自分でいること」に焦点を当てられるように なりさえすれば、「何が起こっても、人生、楽しんだけどな!」みたいな感覚は得られるんです。まぁたしかに、かなり勇気が必要です。 やっぱり周りに言われちゃうから。「本当は働きたい」と思ったから、実際に働いてみたら、じつのお母さんに、「子どもがかわいそうじゃない」と言われてしまったりしてね。 ――言われちゃったら、どうしたらいいんですか? 言わせておけばいいんですよ。「そういうことを言う人も、いる」ということですよね。でも一方で、働くことへの理解者や仲間もたくさんいますよね。 やっぱり、お母さん自身が、 「自分は、何をしている時が楽しいか?」を考えてみる ことが、こんな時期だからこそ、本当に、本当に、大切なんです。 ■子どものために、ママ自身が自分を楽しく生きればいい ――「自分は、何をしている時が楽しいか?」を考える…。それ、難しい!! 難しいけれど、ママたちには絶対に考えて欲しいんです。では、私の場合をお話ししましょうか。私の出身は熊本です。父は医者で私は長男なので、「当然、親父の後を継ぐもの」と周りは思っていたんです。 でも、私はその環境から逃れたかった。「東大だったら、文句は言われないだろう」と東京に出てきて、さきほどお話ししたとおり、本当にいろいろなことをやった挙句、「やっぱり、俺は子どもが好きだ」という結論が出たんです。 映画が好きでたくさん見ましたが、子どもが主人公の映画に5つ星をつけている自分がいる。バックパッカーをやった時も、タージマハルに行って、建物ではなく、その横にいた子どもたちと遊んだことを10ページくらいノートに書き綴っていました。 「俺は間違いなく子どもがすごい好きで、子どもと一緒にいるとワクワクするんだな」ということを自分自身で捉えることができたので、「子どものことを仕事にすれば、一生楽しめるな」と、思ったんです。 ――お母さんが好きなことをしていれば、その姿を見て子どもは育つんですものね お母さん自身が輝いて生きていれば、子どもはそれが一番うれしいものなんです。お母さんが、仕事が大好きで、仕事を頑張っていれば、きっと、「私も早く働きたいな!」と思うんです。 子どもは学校で嫌なことがあったとしても、家に帰ってきてニコニコしたお母さんを見ると、 「世界には、いいものがある」みたいな気持ちになるもの です。嫌なことなんて、浜辺に書いた文字のように、波ですうっと消える感じですよ。 だからこそ、 お母さんたちには、好きなことを主軸に生きて欲しい のです。子どものために、自分が楽しく生きればいいんです。それが、もっとも子どもに良い影響がある「良い母親像」です。 私が「子どもを放っておけ」と言ったとしても気にかけてしまう母親が多いと思います。だったら、「今日、私、何が楽しかったかな?」ということを、まずは自分に聞いてみてあげてください。 ■「今日、楽しかったこと」を子供と会話してみる ――そんな質問、自分にしてみたことないかもしれません じゃあ、もう一つお伝えしておきます。自分の人生観として、最近、「確信」が出てきたことがあるので。 ――どんなことでしょう? 私は、人から感謝された時が、一番いい「ポカポカ」を感じるんです。「誰かの役に立つ」ということが、人間にとってもっとも幸せだということです。そしてそれは誰にでも同じことが起こるんだ、ということを確信したんです。 2021年の前半の今は、まだ「外付けの枠組み」で生きている人も多いでしょう。でも、 今こそ自分の心だけ見るべき だと思いますね。私は、社会で活躍している人たちにお会いする機会も多いですが、みなさん、そこの部分がシンプルに整理できています。 ――「今日、お母さん、こんなこと楽しかったんだ」などと、子どもと会話するのはどうでしょう? すごくいいですね。実際に、それをやっている人もいます。寝る前など、布団に入った時に、みんなで「今日、良かったこと」を言い合うみたいなね。 ■コロナ渦での学習の遅れは? ――最後に、「コロナでの学習の遅れ」についてのご意見をお願いします 「コロナでの学習の遅れが心配」という声は、たしかにあります。けれども、コロナだっていつかは収束するでしょう。そうしたら、何だかんだと追いつきますよ。コロナの間の学習の遅れは、 ちょっと「やる気」になれば取り戻せるレベル です。そんなに深刻に悩まなくても大丈夫です。 それよりも、コロナ禍だからこそ、「発見できること」がたくさんあると思うのです。夏目漱石が、「眺めて楽しむ」と言っていましたが、目の前で起こっている事象のすべてを面白がることができる気持ちが持てるかどうかが大切です。 危機の時にこそ、そういう気持ちが大切です。同じ事象でも、認知の仕方でまったく違ってきますよね。たとえば、「コップに半分水が入っている」というニュートラルな状態も、捉え方次第でまったく異なった見方になります。 コップに半分「も」水がある。コップに半分「しか」水がない 今の時期は、どうしてもネガティブな方向に気持ちが持って行かれてしまうから、ここは大人たちの頑張りどころだなと思うんです。 親がガックリしていれば、子どもは不安になります から。勉強の遅れは、コツコツやれば取り戻せます。それよりも、「今の危機にしかないこと」をキャッチして、「経験値貯金」にしておけば面白いと思います。 ――オンライン授業については、どうお考えですか? オンラインで困るのは、やっぱり低学年ですよね。私たちもやってみて、1年生までは、正直、お母さんが横にいないと厳しいかなとは思うんですよね。 低学年のお子さんがいる方には、「基盤力に絞ってください。簡単に言えば、 字の練習と計算 です。そこだけは、学年相応のことをやっておく。それぐらいで十分です」とお伝えしています。 字の練習と計算は反復練習なので、保護者でも対応できると思うんです。その際、多少声を荒げるようなことがあっても、大丈夫です。子どもは、お母さんたちが心配しているほど、傷つかないものです。 でも、お母さんが少し欲を出して文章題を教え始めると、危ないです。お母さんが魔物に変身して行きますからね(笑)。文章題は、(教えることの素人である)お母さんたちが指導しない方が良いエリアかもしれません。 大丈夫ですよ。たとえば1、2年生でまったく文章題をやらなくても、4年生で4年生の文章題をやるようになれば、できるようになります。「1、2年生の頃、しっかり文章題をやったから」という理由で、高学年で伸びるというものでもないんですよね。 ――高濱先生にそう言っていただけると、ホッとするママもいると思います ただ、これからの保護者は、ざっくり大きな見通しとして、 「授業がオンラインになることもある」 ということは、視野にいれておいた方が良いですよね。今までだってインフルエンザで学級閉鎖などはしていましたが、これからは「インフルエンザ期間は、2週間オンライン授業です」ということがあるかもしれません。そうなること前提の準備は、しておいた方が良いというのはありますね。だからといって、「学校的なもの」がなくなるということは、ないと思います。子どもは、他の子どもの声を聞きたい生き物ですからね。 いかがでしたか? 取材で高濱先生とお会いすると、「元気をいただく」という気持ちになります。なかなか難しいですが、「自分は、自分でいればいい」にトライしてみようと原稿を書きながら思いました。自分を尊重することで、子供に寄り添うといった気持ちの余裕が生まれる予感がします。 高濱先生のメッセージが、一人でも多くのママたちに届くことを心より願っています! ■今回、取材を受けてくださった高濱正伸先生の書籍 花まるな人生 はみ出しても、回り道しても大丈夫! (高濱 正伸/幻冬舎(¥1,320(税込))) 花まる学習会代表・高濱正伸が自身の幼少時代を紐解きながら、はみ出し、回り道しながらたどり着いた「花まるな人生」について語ります。逆境を楽しみ乗り越える強さ、自分で学べる賢さ、誰とでも仲間になり人を幸せにできるしなやかさ…。これからの時代に必要とされる力を育むために、親が子どもにしてあげられることとは? 高濱 正伸(たかはま まさのぶ)さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 『情熱大陸』(毎日放送)など、数多くのテレビ番組や『AERA with Kids』(朝日新聞出版)などの雑誌にも登場。『メシが食える大人になる! よのなかルールブック』(日本図書センター)など、著書多数。
2021年04月02日■前回のあらすじ 「コロナ禍、イライラするのは当たり前。でも煮詰まってしまうママには特徴がある」と話す高濱先生。子どもにも悪気なく「親が、価値があるものだと思っているもの」を押し付けてしまうママたちはどうすればいいのか? 消しゴムのカスを集めている子どもに対して、「そんなの集めていて、何になるの? そんな意味のないことをしていないで、勉強をしなさい」と、親が無自覚に自分の価値観を押し付けていることが、子どもの自己肯定感の低さに繋がっていると、高濱先生に指摘を受けました。そう言われても…。 ■誰にでも心が疲れてしまう時はある ――おっしゃっていること、頭では理解できます。でも、消しゴムのカスを集める子どもを見守る境地にたどり着くには、まだ遠いです 私は東京大学に入るまでに三浪していて、大学に入ってからは四年留年しています。三浪四留、まだ誰にも負けたことはないです。 二浪した奴からは、「自分が、『人生、回り道した』などと言っていて、お恥ずかしい限りです。すいませんでした」と、謝られます。 ――三浪四留! 四留って、大学に在学できる、ギリギリラインなのでは? そうです(即答)。三留までは、自分の中で、「そこまでは自由にやろう」と計算して、映画や恋愛、落語など、思いっきり楽しんでいました。四留目は1単位のためだけに留年したんです。 ――なんか、すごいんですね…(絶句) 私だって、「褒められる側」に回ろうとしたこともあります。25、26歳の頃でしょうか、「遊ぶだけ遊んだので、そろそろ人がやれないくらい勉強しよう」と思って、いきなり十ヶ国語を勉強し始めたんです。そうしたら、2ヶ月くらいで調子が悪くなりました。 いまでいうところの、パニック障害のような症状が出たんです。ドキドキするからトイレに行って鏡を見てみたら、自分の顔が土気色になっていました。高校の同級生だった西郡(※)に「俺、本気でヤバイかも」と下宿先に来てもらって、二人で精神科医になりたての友だちに電話しました。そうしたら、そいつから「それは、心身症の一種だと思う」みたいなことを言われたんです。 そこから2年半~3年ぐらいは電車に乗れず、「すべてが怖い」という状態です。精神的に病んでしまった時は、人からの声かけや元気づけでどうにかなるほど甘くないんだ、ということを学びました。 精神的な病のことは、書きづらいこともあるかと思います。私のこの話、もしかしたらメディアに載るのは初めてなんじゃないかな? ただ、今の時期だからこそ、私は書いてもらった方が良いと思っているんです。元気なイメージが強い私でも、精神を病んでしまった経験はあるんです。だから、 すごく毎日を頑張っていても、ある日いきなり心が疲れ切ってしまうことは誰にでも起こりうる ことなんですよね。 ■「良いお母さんをやろう」と思うから、不幸せになる ――ママが精神的に、一杯一杯になってしまった時、どうしたら良いのでしょうか? そういう状態になってしまっている時は、自分しか見えていないんです。「私だけが、ダメなお母さんになっている」「私だけが、子どもが可愛くなくなってしまっている」みたいな…。 まず、強く言いたいことは、「それ、全然違います」ということです。そんなことは誰も思ってなくて、自分が思っているだけなんです。「良いお母さん像から離れてしまっいてる」「子どもを邪険に思ってしまっている」「自分がいけない」みたいなね。 それは、 「良いお母さん像」に引きづられてるだけ なんです。「一人になりたいから、子どもにあっちに行っててもらいたい」と思う自分がいても、全然、構わないと思うんです。 「良いお母さんをやろう」と思うから、不幸せになってしまうんです。自分は、自分でいればいいんです。良いお母さんである前に、「あなたは人として、自分を大切にできていますか?」と、まずは自分に聞いてあげて欲しいんです。 「まずは自分に聞いてあげて欲しい」という高濱先生の言葉に、緊張で張りつめていた心が、ふっと緩みます。そうか、そういうことをしても良いんですね。 次回に続く! ※西郡文啓(にしごおり ふみひろ)さん 花まるグループ「西郡学習道場」代表を務める西郡さんは、高濱さんの高校の同級生。創成期から二人三脚でやってきた二人は、大学時代に一緒に牛乳配達をしながらひたすら哲学をした時期もあったそう。 ■今回、取材を受けてくださった高濱正伸先生の書籍 花まるな人生 はみ出しても、回り道しても大丈夫! (高濱 正伸/幻冬舎(¥1,320(税込))) 花まる学習会代表・高濱正伸が自身の幼少時代を紐解きながら、はみ出し、回り道しながらたどり着いた「花まるな人生」について語ります。逆境を楽しみ乗り越える強さ、自分で学べる賢さ、誰とでも仲間になり人を幸せにできるしなやかさ…。これからの時代に必要とされる力を育むために、親が子どもにしてあげられることとは? 高濱 正伸(たかはま まさのぶ)さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 『情熱大陸』(毎日放送)など、数多くのテレビ番組や『AERA with Kids』(朝日新聞出版)などの雑誌にも登場。『メシが食える大人になる! よのなかルールブック』(日本図書センター)など、著書多数。
2021年04月01日「コロナ禍で『母親』をやっていれば、イライラするのは当たり前」、そんな風に話すのは、花まる学習会の高濱先生。 ママは感染に気を使い、家で過ごすことが多い毎日のなか、家事や育児に日々頑張っています。でも口にはなかなか出せないけれど、「コロナ禍、そろそろ本当に疲れてきた…」そう思っている人も多いのではないでしょうか。 そこでこんな逆境の時代でもママが笑顔で暮らせるように、背中を押す言葉を花まる学習会の高濱先生にお聞きしました。 高濱 正伸(たかはま まさのぶ)さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ■イライラするママが悪いわけではない ――コロナ禍でお疲れ気味のママたちに、高濱先生からメッセージをお願いします! コロナ禍で、夫婦のこと、子どものこと、この2つの問題で悩んでいる人は多いと思います。「潜在的な問題がコロナ禍で表面化した」などと言う人もいますが、あまり深刻に考える必要はないと思うんです。 人間は、距離が近くなりすぎると、相手に対して苛立ちの感情が出てくる「生き物」なんです。どんなに大切に思っていても、 一緒にいる時間が長くなれば、疲れが出て、イライラするのは当たり前 です。私は、自分の経験からそう考えるようになりました。 ――どんな経験なのでしょうか? 私が大学1年生の時のことです。仲が良かった友だち5人で、南アルプス登頂に挑戦しました。私だけ山登りの初心者で、他の4人は山登りの経験値が高かったせいもあり、「ついていけるかなぁ」と心配で、事前に山の専門家に注意点などを質問しに行きました。 専門家の方からは、「体力的な面では、高濱くんはずっと野球をやっていたから大丈夫だよ。でも、必ず喧嘩になるだろうから、そこだけは気をつけて!」と、言われたんです。そう言われても、「南アルプス登頂に挑戦しよう」と思うほど仲が良い仲間だっただけに、「喧嘩なんか絶対にしないのにな…」と不思議でした。 ところが、やっぱり喧嘩になったんです。人間は、長い時間、一緒にいることを強いられると、関係性が絶対におかしくなるものなんです。当時、私は日記をつけていたのですが、「俺のカレーだけ肉が少ない。他の奴には多めに肉をいれているのに、どうしてだ」とか、そのレベルで本気で苛立っているんです。 ――コロナ禍、ささいなことでイライラするのは、私だけではないと? そりゃ、そうですよ。母子の愛は崇高ですが、長い時間、一緒にいれば疲れます。そこで、「問題が表面化した」などと深刻になるより、「そういうものだから」と思っておいた方が、気が楽じゃないですか。 ――高濱先生に「そういうものだから」と言わると、何だかホッとします 何回でも言いますよ。あなたが悪いんじゃなくて、 「コロナ禍で『母親』をやっていれば、イライラするのは当たり前だ」 ということです。 そんなの、絶対に当たり前です。そもそも、「お母さんになる」ということだけでも、ものすごいパワーの要ることなんですよ。皆さん、突然「お母さんになる」わけでしょう? いままでとまったく違う状況に、突然、放り出される感じじゃないですか。不安になってあたり前だし、不安な自分を受容するにはパワーが必要なんです。 ■「行き詰まってしまうママ」には、特徴がある ――でも、先ほど、高濱先生は「母子の愛は崇高」と、おっしゃっていました お母さんが子どもを想う愛は、崇高だと思います。それは事実として、あります。一方で、「立派な母であろう!」みたいになると、あっという間に行き詰ってしまいますよね。じつはね、「行き詰まってしまうママ」というのは、特徴があるんです。 ――どんな特徴ですか? 人の評価を気にしたり、人と自分を比較したり…。とにかく 自分の意識が、「人の目」の方向にいってしまうと危ない です。もっとも、日本人の大半は、「人の目」の方向に意識がいってしまっているんです。それが、「日本の子どもたちの自己肯定感の低さ」に繋がっていると、私は考えています。 ――どうして人の目を気にすると自己肯定感が低くなるんですか? 人生は、 「自分で決めたこと」が、一番面白い んです。だから、もっとも大切にするべきは、「自分は、何に関心があるのか?」です。言い換えれば、「どれだけ、自分の心に焦点を当てることができるのか?」が、勝負なんです。 けれども、親は何かと口を出してしまいます。小さい頃から、「これをやれば、いい」とか、「この点数を取れば、合格できるよ」「ここの中学に行ったら、すごい」みたいな感じで、日本の子どもは、「外付けの価値」を与えられて育つことが多いんです。 本当は、その子は、「私は、消しゴムのカスを集めたかったんだ!」と思っているかもしれないですよね。はたから見たら、「ただのゴミじゃん」と、思われるようなものでも、「あなたたちはゴミと思うかもしれないけれども、私にとっては、これが大切なんです」という気持ちを持つことが大切なんです。 「自分が本当に関心を持っているもの」を見失わないでいられれば、人間は大丈夫 なんです。「自分が、何にワクワクするか?」を見失わずにいられれば、どんなことがおきたって、大したことではないんです。すべて、楽しいんです。 ――消しゴムのカス、ですか? 高濱先生節が炸裂していますね… 私は、もう、こういう子どものワクワクする価値観の大切さを話したいんです! たとえば、「友だちの夫はお金持ちなのに、うちの夫は出世しない」といったように、比較ばかりしてしまうからつらくなるんです。子どもたちも同様に「他者と比較して、自分はこうだ」とか、小さい頃から植え付けられて、それを価値基準に置いてしまう。 そうではなくて、「私は(僕は)、これをやりたいんだ!」ということを、繰り返して成長していかれれば、人間は幸せになれるものなんです。 子どもがワクワクしている「消しゴムのカス」に対して「そんなの集めていて、何になるの? そんな意味のないことをしていないで、勉強をしなさい」みたいに、 「親が、価値があるものだと思っているもの」を押し付けられるところから、子どもの自己肯定感の低さが生まれる と私は考えています。 もちろん、親の方にはまったく悪気がなくて、心の底から子どものためを思って言っているのはわかっていますよ。だからこそ、余計に危ない。親の価値観自体が、「外付けの枠組み」をもとにしてしまっているのです。 アイタタ! 高濱先生の言葉、思い当たりすぎて、胸が痛くなります…。でも、だからって、私はどうすればいいのでしょうか? 次回に続く! ■今回、取材を受けてくださった高濱正伸先生の書籍 花まるな人生 はみ出しても、回り道しても大丈夫! (高濱 正伸/幻冬舎(¥1,320(税込))) 花まる学習会代表・高濱正伸が自身の幼少時代を紐解きながら、はみ出し、回り道しながらたどり着いた「花まるな人生」について語ります。逆境を楽しみ乗り越える強さ、自分で学べる賢さ、誰とでも仲間になり人を幸せにできるしなやかさ…。これからの時代に必要とされる力を育むために、親が子どもにしてあげられることとは?
2021年03月31日「このままでは、日本は将来 メシが食えない大人 を量産してしまうのでは?」という危機感から花まる学習会を始めた高濱正伸さん。 息子を「メシが食えない大人」にしないための方法を教えていただきます。今回は「男の子ならでは!」の、とりわけ身につけさせたい生活習慣についてお話を伺います。 ■子育ての最終目標とは 突然ですが、子育ての最終目標とは、何でしょうか? それは、親元から離れ、ひとりで 自立して生きていく手段 (=仕事に就く能力)を身につけさせてあげることでしょう。ゆくゆくは自分の力で仕事を見つけ、自立してほしい、というのが親の共通した願いのはずです。 そのために、今回は、「子ども時代にどんな習慣を身につけさせ、どんな経験をさせることが必要か」について考えてみます。「子どもに必要な生活習慣」のベーシックな部分は、次のとおりです。 ※高濱さんの考える「自分の力で生きていくために必要な 幼児期からの習慣 」 その1 休みの日も「遅起き」しない その2 「休まない体力」が必要 その3 「なにくそ」と思える根性 その4 「やったぁ!」という達成感 その5 「これだけは負けない」ものをひとつ身に着ける これに加えて、男の子なら身に着けてほしい「プラスαの力」を高濱さんに教えていただきました。 ■男の子の「運動コンプレックス」は危険!? 「幼少期における運動コンプレックスを、甘くみてはいけません」(高濱さん)。とくに男の子が、このコンプレックスを持ってしまうのは危険です。「 ひきこもってしまった子 たちのなかで、『運動が苦手でした』というケースはたしかに多かったからです」(高濱さん)。 【息子の運動嫌いを克服させるコツ】 運動コンプレックスは、運動でこそ克服できます。たとえば、水泳は、太っている、やせているということは関係ありませんし、何といっても「級システム」がいいのです。細かく級が上がるので、「五級に上がったよ」と、ひとつひとつをお母さんに報告できます。 また、作法がはっきりある「武道」系はすべてよいでしょう。とくに、察してもらいたがるタイプが多い、 長男の悩み には効きます。武道系は、声を出すことで、はっきり発言できるようになるので、目を見て言いたいことを言う能力を養うのに最適です。 ■ケンカを回避しすぎると、社会で渡り合えない? 男の子は、 「何回ガツガツと他人とぶつかり合えたか」で、「人としての 幅の広さ 」が決まってくる ところがあります。 「目の前のケンカを回避・除菌したくなるのが、ママとしての気持ちでしょうが、それを避けすぎても健全ではありません。男の子は、本能として オス同士で張り合うもの なのです」(高濱さん)。 【自信のある男の子を育てるコツ】 息子が、友だちとケンカをしているのを「傍観」するのは、ママにとって身を引きちぎられるような気持ちです。でも、高濱さんは言います。「ママには、『あとあと、この子は魅力的になるぞ~』というおおらかな視点が、ある意味必要なのです」 ●ケンカもあるけれど、でも、「みんなと一緒にいたほうが楽しい」という経験 ●つらかったし悲しかったけど、「いまはもう大丈夫」という経験 ●ちょっと厳しい課題だったけれど、「自分で乗り越えたもんね」という体験 「僕は、社会と渡りあえる」と思わせてくれるひとつひとつの経験が、幅の広い、分厚い自信をつくりあげていくのです。 ■失敗に「めげない子」を育てるには 逆境、失敗、敗北、がんばったけれどうまくいかない…。人生には、何度もそういう場面が訪れます。「そういう場面での、自分のイヤな気持ちを プラスへコントロール するためには、経験値が必要でしょう」(高濱さん)。 事あるごとにいちいち、めげたりしょげたりしていては、生きていけません。また、逃げ癖や負け癖が身についてしまって、何事もあきらめて、投げ出してばかりの人は魅力的ではありませんよね。 【簡単にめげない男の子を育てるコツ】 「簡単にめげない子を育てる秘訣(ひけつ)は、物事を 『事件化しないこと』 だと思います」(高濱さん)。 子どもがめげてしまう裏には、かわいいわが子だからこそ「事件化して、親がしょげたり、怒ったりしている」という背景があるのかもしれません。 逆説的にいえば、「めげない子」をつくるためには、「そういうこともある!」と、ひとつひとつの出来事をいちいち事件化しないという形で親が子どもに状況を提示してあげる必要があります。 「見渡してみても、強くてめげない人の基礎には、『いちいち事件化しない姿勢』『いろいろなことがあるけれど、乗り越えてきた』という経験が必ずあるものなのです」(高濱先生) ■優秀な男の子には落とし穴があった! 「思いやり」は、なまじっか「優秀」と称賛されて生きてきた男に多い 落とし穴 のひとつです。自分ではちっとも思いやりがないとは思っていない。とくに、男子校でずっと育った場合は、必要に迫られないのでわからない部分かもしれません。 「頭だけよくて論理的に優れていても、それは 「嫌みな人」 というだけで、世の中ではまったく通用しないのです」(高濱さん) 【思いやりのある男の子に育てるコツ】 「『思いやり』というのは、思いやり体験をたくさんしていないと、育たない部分です」(高濱さん)。 思いやり体験とは、「他者性」と言い換えてもいいでしょう。思いやりを持てる人になるためには、自分とは違う 立場の人たち 、感性の異なる人たちへの想像力が必要なのです。 幼児期においては、違う主張や考えを持った、異学年や異性や立場の異なる子どもたちとたくさん遊び、交流する経験こそが重要です。 「女はすぐ泣くんだもん」などと言いながらも一緒に遊ぶことが大切ですし、女の子が捕まえられずにいた虫をさっと捕まえられた、などの小さなことでも、女子から「えーすごい!」と本気で言われたり、心から「ありがとう」と言われたりすることを体験していくことで、だれかにまた「思いやり」を届けることができるようになります。 このような 「ミニもて経験」 こそ、大人になったときに、魅力として出てくる部分です。 いかがでしたか? 記事を書きながら筆者が思ったことは、「『息子を育てること』が、to doリスト化していたなぁ」ということです。毎日の生活を回すために、「コレ、して」「アレ、して」と、to doリストを消すかのごとく、息子に接していました。 でも、高濱さんに男の子の「特性」を教えていただいたことで、その接し方が、息子の「男の子としての本質」からいかにずれていたか! それをつくづく実感しました。 これからは、「いまの困った」は、「将来、有望男子になる芽」であることをイメージして、ゆったりした気持ちで子育てしていきたいです。 【自立できる男の子の育てるため まとめ】 ● 運動コンプレックス を甘く見ない ひきこもってしまった子たちの多くは、「運動が苦手」だった。 ●ママはケンカを回避・除菌しすぎない 社会と渡りあえる大人に育てるには、 ケンカの経験 も必要。それが、幅の広い、分厚い自信をつくりあげる。 ●ママは物事を 事件化しない 事あるごとにいちいち、めげたりしょげたりしていては、生きていけない。 ■今回のお話を伺った高濱正伸さんのご著書 『お母さんのための『男の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) ●こちらもあわせてどうぞ! 『お母さんのための『女の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。 花まる学習会公式サイト: <Google Play Awards 2017>のKids部門ファイナリストに選出された 思考センス育成教材アプリ 「Think!Think!」 (iOS/Android対応/無料) 「Think!Think!」は、空間認識・平面図形などの問題をとおして、思考センスを育む教材アプリです。子どものヤル気スイッチ! をONにする「わかった!」という成功体験を引き出すゲームが満載。開発したのは、世界算数・算数オリンピックの問題作成を行う東大卒問題作成チーム、「花まる学習会」のグループ会社「花まるラボ」です。 Think!Think!とは:
2017年12月07日男の子は、「ママとはまったく違う生き物」。男の子の特徴を知ることで、「何で!?」「どうして?」というママたちの気持ちを、「これは男の子の特徴なんだ」と納得モードに切り替えることができます。 ママから見ると、ため息をつきたくなる行動ばかりだけれど、そんな男の子の特徴を知って、接し方を少し工夫するだけで、ママは随分と楽になることでしょう。お話を伺ったのは、花まる学習会代表の 高濱正伸さん です。 ■行動が遅い男の子は「個性」で認めない 男の子の「行動が遅い」というパターンには、2種類の意味があります。それぞれ別問題なので、別個の話としていくつかの事例を使ってご紹介しましょう。 ①「ひとつひとつの行動が遅い」場合 例)朝、洋服を着替えるのに時間がかかるという男の子 【ママの接し方のコツ】 「個性」だと認めず 、根気よく声かけを 「ひとつひとつの行動スピードは、ある程度までは上げないといけません。美意識からではなくて、『現代の厳しさ』という意味からです」(高濱さん)。 高濱さんは言います。「近年の教育で間違っていたことのひとつは、なんでも『個性』で認めすぎてしまったところです」。 たとえば、「ごはんを食べるのが遅い子もいます」と多少認めることは問題ありませんが、それも程度問題。あんまり遅いと、その子が社会に出たときに苦労します。 現代の日本社会で働いていくためには、「トロい人は正直困る」というのが、みんなの共通感覚でしょう。基本的に、子どもに対しては 「 テキパキできる のがカッコいいよね」というスタンスで、根気強く声掛けをしてあげることが大切です。 ②動作への「取りかかりが遅い」場合 例)朝起きて、洋服に着替えるのになかなか取りかからない男の子 【ママの接し方のコツ】 言葉だけでなく、体をさわりながら指示を 「早く、洋服着替えてね」と言っているのに、「は~い」と返事をするもののパジャマのままブロック遊びをしている…。これが 「取りかかりが遅い」 ということです。 「やっていることがおもしろいとやめられないのが、男の子の特徴です。男の子には、何歳になってもそういう側面があります」(高濱さん)。高濱さんの経験では、口だけの指示でなく、肩でも頭でも さわりながら指示 すると、声かけが体に入っていきやすいようです。 ■「字をきちんと書く病」の男の子は伸び悩む!? 「平均して、男の子のほうが字は汚くなりがちです」(高濱さん)。でも、低学年時代にママが「この子、字が汚いんです」と言うときは、「常にいつもきれいに書いてほしい」というママの想いが強すぎる、という事例がほとんどだそう。 学校に入ってしまうと、学校の様子をママが垣間見るのは、連絡帳やノートからだけ。だからとくに低学年時代は、子どもにガミガミ言ってしまいがちなのだとか。 【ママの接し方のコツ】 ママの意識こそ変えるべき 「男の子に対しては、字は書くべきときに書ければよいと割り切ってください」(高濱さん)。 たとえば、年賀状や硬筆の時間などの、ちゃんと書くべきときにきれいに書くことができていれば充分。かえって高濱さんが 「きちんと病」 と呼んでいる状態に陥ってしまう方が怖いそうです。 「きちんと病」とは、ノートをきれいに書くことばかりに神経を使ってしまい伸び悩みに繋がること。これは、「最初の子」かつ「男の子」の場合に多くあるそう。 もちろん、汚い字が良いということではないですが、「字がきれいでもまったく頭に入っていないのでは本末転倒。 「必要なときにきれいな字を書ける、頭の回転が速い子」 に育てたいもの。「ここは、 お母さんの意識 こそを変えるべき項目です」(高濱さん)。 ■男の子が「汚いこと」に悲鳴をあげるママへ 「信じられない!」。ママの悲鳴が聞こえるほど、男の子は「 ママが汚い と思うこと」をまったく気にしません。上着に泥がついていても平気。膝が破けたズボンを次の日も学校にはいていこうとする。これは、「男の子ある、ある」なのでは?! 【ママの接し方のコツ】 思春期までは目くじらを立てずに見守る 男の子は、「危ないから!」と思うようなことも平気でやります。男の子にとっては、怪我は挑戦の勲章なのです。 『風邪をひくから、汗をかいたら着替えなさい』の感覚もわからないのです。「俺、風邪なんてひかないし」と思っています。一説には、男の子は女の子より皮膚感覚が鈍感ということもあるようです。 思春期に入って、「「身だしなみ」という言葉がわかるようになるまでは、あまり目くじら立てずに、大らかでいてください」(高濱さん)。 ここまで書いてきて、「男の子を育てるには、やっぱり度量が求められるのねぇ」と、筆者はため息のひとつもつきたくなりました(涙)。でも、次はステキな話ですよ! ■男の子は「お母さんのことが世界で一番好き」 男の子は、ママたちが自分で意識している以上に、 「母への忠誠心」 を持っています。「お母さんが喜ぶならなんでもしたい」と思っているのです。つまり、お母さんは、男の子にとっての 「女神」 なのです。 「女神を崇拝している、その中心には『ご飯』があります」(高濱さん)。 昔から言われていることですが、男の子(男)は「胃袋をつかむ」ことが大切なのです。また、いつでも自分の身の回りのことを心配してくれている人という意味でも、ママは男の子にとって一番大切な存在。どんなときでも「おなか空いてないかな? 寒くないかな?」と、息子のことをイメージできるママは男の子にとって、 唯一無二の味方 なのです。 この記事を書いている筆者の実感として、男の子と女の子、両方の性別の子どもがいるママ友たちは口をそろえて、「男の子の方が、かわいい!」と、言います。 子どもが全員男の子の私は、「男子の子育て、これだけ大変なのに?」と、そんなママたちの意見が長らく謎でした。けれども、「お母さんは、男の子にとっての『女神』なのです」という一言で、謎が少し解明された気分になりました。 男の子を育てることは、かなり大変! でも、男の子の「ママへの想いは世界一!」そう思えたら、「がんばろう!」という気持ちになれそうです。 次回は、「ママの『いま困った』が、将来“自立できる男の子”の芽となる?」です。小学校3年生までに身につけたい生活習慣(男の子編)を教わります。 【男の子を育てる上でママの意識改革が必要なこと】 ●行動が遅い 「ひとつひとつの行動が遅い」場合と動作への「取りかかりが遅い」場合では 対応方法が異なる 。 ●字が汚い ノートをきれいに書くことばかりに神経を使う子は 伸び悩み に繋がる。必要なときにきれいな字を書けるればいいと、ママの意識こそ変えるべき。 ●汚いことを気にしない ケガもなく無事なら、ママは目くじらを立てない ●お母さんのことが世界で一番好き 男の子は、「お母さんが喜ぶならなんでもしたい」と思っている。ママは男の子にとっての「女神」だった。 ■今回のお話を伺った高濱正伸さんのご著書 『お母さんのための『男の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) ●こちらもあわせてどうぞ! 『お母さんのための『女の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。 花まる学習会公式サイト: <Google Play Awards 2017>のKids部門ファイナリストに選出された 思考センス育成教材アプリ 「Think!Think!」 (iOS/Android対応/無料) 「Think!Think!」は、空間認識・平面図形などの問題をとおして、思考センスを育む教材アプリです。子どものヤル気スイッチ! をONにする「わかった!」という成功体験を引き出すゲームが満載。開発したのは、世界算数・算数オリンピックの問題作成を行う東大卒問題作成チーム、「花まる学習会」のグループ会社「花まるラボ」です。 Think!Think!とは:
2017年12月06日息子を 「メシが食える大人」 に育てるために大切なことは、「男の子は、自分とはまったく違う生き物だと思うこと」。そうすることで、「男であることの芽」を摘まずにすみます。では、男の子の特徴って、何ですか? 花まる学習会代表の 高濱正伸さん に、子育てで大切な時期にあたる 3歳から10歳まで の「男の子」の特徴を5つ教えてもらいました。 ■男の子は「何度言っても片付けができない」 「『脱いだ靴下は、ここ』と、男の子に何度言っても無駄なんです」と、高濱さん。ママたちにまず知って欲しいことは、幼児期の大きな特徴は、 振り返りが苦手 だということ。 そもそも、自分の行動を振り返ることや反省という概念そのものが、幼児にはありません。いま、いま、いま、と「いま」を生きていて、次々と新しくて面白いことをやりたいのが幼児なのです。 【ママの接し方のコツ】 どんなことでも 「新しいゲーム」 として提示しよう 片付けを「ゲーム」にしてしまいます。「さぁ、これから時計の長い針が6にいくまでに、どれだけきれいになるでしょう? よーい、スタート!」 「ママが洗濯物をいれるのと、まーちゃんが全部おもちゃを片付けるの、どっちが早いか競争ね!」 こんなふうに、どんなことでも「新しいゲーム」であり、 「前向きなもの」 として提示します。 ■男の子とは「好きなことしかやらない生き物」 「子どもが一生懸命やることは、二つしかありません」(高濱さん)。それは「生活のなかで 必然性 があること」か、「 おもしろい こと」です。 「おもしろいこと」を一生懸命やるのはわかりますが、“必然性”というのはどういう意味なのでしょうか? たとえば「自分がこのお茶わんを運ばないと、家族みんなが食事をはじめられないと思うと、手伝いたい気持ちになるし、一生懸命やります」(高濱さん) 【ママの接し方のコツ】 ママは女優になって、ワクワクする声かけを このとき、の接し方の一番のポイントは、 “強制”のニオイ がしないこと。少しでも強制のニオイがしたら、もうNGです。「でも、それだったらお茶わん運びなんてお手伝い、うちの子は絶対にやらないです」という声が聞こえてきそう。 じつは、これは大人側の力量・芸風の問題でもあります。前述の片付けと同じように、遊びとして提案すると成功する可能性は大! 「子どもがワクワクするような声かけ」を極めるのは、ママの技量。「どう声がけすれば、この子は動くかな?」。そう考える「間」が、「何で片付けられないの!?」と、キーっとなっているママのテンションを少し下げてくれるかもしれませね。それだけでも十分、意味があるのかも…(笑)。 ■男の子にとって、冒険やスリルは「カッコいい」 「うちの子は、何をしでかすか、わからない」。男の子のママの中には、そんな不安と隣合わせで毎日を送っている人も多いでしょう。(じつは筆者もそうです)。 「男の子同士では、危険なことをした人間は“株が上がる”のです」(高濱さん)。男の子は「冒険」というだけで、大概、なんでも好きになるし、わくわくするものです。なぜかはわかりませんが、 リスクやスリルは 「カッコいい」 という気がする のです。「危ないことが、『何でこんなに好きなのかなぁ』と、女性ならだれもが不思議に思うくらい好きなものなのです」(高濱さん)。 【ママの接し方のコツ】 これが「男」という生き物だと受け入れるべし ママは、男の子とは理由もなく 危険を愛する「生き物」 と、受け入れるしかなさそうです。 なぜなら高濱さん(現在、50代後半)ですら、たとえば、いま、座っている椅子を座りながらどこまで傾けたら倒れるか、試したい気持ちが常に「ある」そう。「笑ってしまうと思いますが、これが男の子(男)なんです」(高濱さん) ■勝ち負けにこだわる男の子の将来は? 「家族でトランプをしていても、負けると最後は泣き出すので困る、というママもいるでしょう」(高濱さん)。「はい、それは、うちの息子です!」と思わず筆者も手を挙げたくなりました。 わが家の3人の息子は、毎日が「勝った」「負けた」のケンカで明け暮れています。女親の私は、「よく、毎日、勝ち負けにこだわれますね」と思ってしまいます。でも、本人たちにとっては、「勝ち負け=プライドの問題」のようなのです。 【ママの接し方のコツ】 将来有望?! ドンと構えて見守ろう じつは、「勝負事に負けて泣けるような子、また、この負けず嫌いの傾向は、将来有望な証でもあります。勉強面で、 『自分がわかったか、わからなかったか』や『目の前の一問』にこだわれる子が多いので、 伸びる可能性 が高い のです」(高濱さん)。 こちらも将来をイメージしながら、ゆったりした気持ち(諦め?)で見てあげるのが良さそうですね ■男の子は「品のないことが大好き」 高濱さんが、花まる学習会のサマースクールで、小学校1~3年生の班を担当したときのこと。「男の子たちは、1日の9割は、品のないことを言っていました」(高濱さん)。1日の9割ですか! 【ママの接し方のコツ】 それが男という生き物、と傍観せよ 「『下ネタ』だったり『笑われること』を言えたり、やったりする方が勝ちというのは、まさに 男の文化 です」(高濱さん)。 これまた、ママたちにはまったくわからない領域の話ですね。「 男には『カッコつけないほうがカッコいい』『どっちが恥ずかしいことを言えるか』」というように、 『品の悪さ』で勝負 しているところがある んです」(高濱さん)。 「へぇ、そうなんですね」と、ママはへぇボタンを押しつつ、心のメモ帳にメモしておきましょうか。 次回は、「ママ泣かせの『男の子あるある』。でもママの意識こそ変えるべきだった!?」です。「ダラダラ」「グズグズ」と、行動が遅い男子への接し方のコツです。 【男の子の特徴】 ●何度言っても忘れる 片付けができない “いま”を生きる男の子 は、新しくて面白いことをやりたい。 ●好きなことしかやらない 男の子がやるのは、「生活のなかで 必然性 があること」か、「 おもしろい こと」。 ●冒険やスリルが好き 男の子とは理由もなく 危険を愛する「生き物」 。ママは、そうなんだ、と受け入れるしかない。 ●勝ち負けにこだわる 勝負事に負けて泣けるような子は、 将来有望 。 ●品のないこと好き 男の子は、「 カッコつけない ほうがカッコいい」で勝負している。 ■今回のお話を伺った高濱正伸さんのご著書 『お母さんのための『男の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) ●こちらもあわせてどうぞ! 『お母さんのための『女の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。 花まる学習会公式サイト: <Google Play Awards 2017>のKids部門ファイナリストに選出された 思考センス育成教材アプリ 「Think!Think!」 (iOS/Android対応/無料) 「Think!Think!」は、空間認識・平面図形などの問題をとおして、思考センスを育む教材アプリです。子どものヤル気スイッチ! をONにする「わかった!」という成功体験を引き出すゲームが満載。開発したのは、世界算数・算数オリンピックの問題作成を行う東大卒問題作成チーム、「花まる学習会」のグループ会社「花まるラボ」です。 Think!Think!とは:
2017年12月05日「どうして、うちの子はこうなの?」。男子を3人育てている筆者は、毎日、そんな気分で暮らしています。そんな「少しあせり気味のママたちに、聞いて欲しい話がある」というのは、花まる学習会代表の 高濱正伸さん 。3歳児から10歳まで、大事な時期の 「男の子」の育て方 について、じっくりお話を伺いました。 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ■「メシが食えない大人」が量産されている 「この国は 『メシが食えない大人』 を量産しているのではないか?」そんな痛切な問題意識が花まる学習会の出発点だったと高濱さんは言います。20年以上前、高濱さんは予備校の先生として18、19歳の大学受験生を教えていて、「はたしてこの子たちは、将来、メシが食えるのか?」と、本気で心配になったそうです。 高濱さんは、企業の人事担当者と話すことも多く、その人たちは異口同音に「いいと思う子は、みんな女の子なんですよ」と言っているそう。ムムム! これは男子母としては聞き捨てならないセリフです。 男子の何がいけないのでしょうか? 「 男の子はたたかれると、ボキっと折れてすぐに会社を辞めてしまう 子が多いんですよ」(高濱さん)。そうなんですか! 息子が将来、社会で食いっぱぐれてしまっては困ります。 ■折れやすい男子に共通していること 「何かあるとポキッと折れてしまう男子に共通しているのは、 『鍛えられていない』 こと。ガツンと言ってくれる大人に出会えずに育ってしまったというのが問題です」(高濱さん)。 ノウハウ重視で、表面上はわかったふりをしているけれども、本質的な厳しさや我慢を知らず、根性が身についていないそうです。 「いる、いる」「ある、ある」。わが子を棚に上げて(しまいこんで!?)、社会で見かけた、あの人、この人の顔を思い浮かべるママも多いのでは? 息子が将来そうならないために、いま、ママができることは何なのでしょうか? 「もともと男の子というのは、自分とは まったく違う生き物 であり、さっぱりわからないし、ママの女性らしい感覚は共有できない。これを共通認識として持っていて欲しいのです」(高濱さん)。つまりは、「ママの理解の範疇」で息子を育てようとすると、それは、真綿でくるまれた「ヤワな男の始まり」だということなのですね! ■ママには息子は理解できない? 「男の子ってわからない!」。これは高濱さんが教室や講演会場で、お母さんたちからよく聞くセリフだそうです。男の子を育てている筆者にしても、「男の子のことなんて、ちっとも、わかりたくもない!」という気分になる日が多々あります。 「そもそも『男と女』は物事の考え方に大きな違いがあって、根本のところではわかりあえないもの。くわえて、男の子は『子ども』でもあるので、 『異性&子ども』 のダブルパンチです。ママは、わからなさすぎて、イライラしてしまうことも多いのでしょう」(高濱さん) ママの感覚で息子を理解しようするから、「何で?」「どうして!」という怒りばかりが沸いてくるけれど、「自分とはまったく違う生き物である」。そう思うことができれば、気持ちの距離ができて、少しは心の余裕が生まれるのかもしれません。 それでは、男の子とは、どんな「生き物」なのでしょうか? 高濱さんに、より具体的に教えていただきましょう。 ■男の子に「じっとして!」は絶対無理 高濱さんは、「子育てに悩むママたちにこれはぜひ教えてあげたい!」と思うことがあるそうです。たとえば、 「高校生以降伸びるタイプの子は、小さい頃は 生命エネルギー にあふれていて、落ち着きがなかった」 ということ。 「男の子に対して、『いい加減に じっとしていて! 』は絶対無理! と肝に銘じるべきです。何かおもしろいことをしたいし、興味のままに動く」のが男の子。身体が大きくなって、ママと体格が同じくらいになれば、うそのように落ち着くものです。「たいていの男の子は、『振り返ったら同じところにもういないもの』と思って育ててください」(高濱さん)。 高濱さんに、男の子に「じっとして!」は絶対無理と言われると、「うちの子だけじゃないんだ!」と、筆者はものすごくホッとしました。 次回は、「息子が『何をしでかすかわからない!』不安と隣り合わせのママへ」です。「男の子の特徴」をあげてもらいつつ、それに対しての対応策を教えていただきます。 【男の子とは?】 ●ママとは まったく違う生き物 ママの女性らしい感覚は共有できない。 ●男の子に「 じっとして!」は絶対無理 男の子は、「振り返ったら同じところにもういないもの」。 ■今回のお話を伺った高濱正伸さんのご著書 『お母さんのための『男の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) ●こちらもあわせてどうぞ! 『お母さんのための『女の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。 花まる学習会公式サイト: <Google Play Awards 2017>のKids部門ファイナリストに選出された 思考センス育成教材アプリ 「Think!Think!」 (iOS/Android対応/無料) 「Think!Think!」は、空間認識・平面図形などの問題をとおして、思考センスを育む教材アプリです。子どものヤル気スイッチ! をONにする「わかった!」という成功体験を引き出すゲームが満載。開発したのは、世界算数・算数オリンピックの問題作成を行う東大卒問題作成チーム、「花まる学習会」のグループ会社「花まるラボ」です。 Think!Think!とは:
2017年12月04日娘にはすてきなパートナーと出会い、幸せな家庭を築いてほしいと思うママは多いことでしょう。「仕事でも家庭生活でもキーワードとなるのが、 『魅力』 です。魅力的であることは、『自立』(※)の次のステップとして重要なのです」と言うのは、花まる学習会代表の高濱正伸さん。 では、魅力とは何なのでしょうか? かわいがられる女性の魅力について、お話を伺いました。 ※高濱さんの考える「自分の力で生きていくために必要な幼児期からの習慣」 その1 休みの日も「遅起き」しない その2 女の子だって「休まない体力」が必要 その3 女の子にも「なにくそ」と思える根性 その4 「やったぁ!」という達成感 その5 「これだけは負けない」ものをひとつ身に着ける ■魅力があるからこそ、次のステップにいける 高濱さんが使っている「魅力」という言葉は、「まわりから好かれる=かわいがられる」という意味です。この場合の「かわいがられる」とは見た目の「かわいさ」ではなく、 「この人と仕事がしたい」 と思ってもらったり、「あの子、こっちの部に異動して欲しいな」などと、自分より年長で責任ある人から認められて、引っ張られる、引きたてられるという意味です。 「 人と人とのつながり で人は生きていて、社会が構成されている以上、『目上の人が引きたてて認めてくれて』のくり返しで、人は成長していくのです」 (高濱さん) ■魅力のベースは、「愛されてきた自信」 「魅力にはたくさんの項目がありますが、まず、魅力論のベースに来るのは、 『愛されて育った人』 に共通する、伸びやかなオーラです」(高濱さん) 「お母さん・お父さんは、私のこと、大好きだもんね」という、愛されてきた自信は、 絶対の自己肯定感 を育んでくれると高濱さんはいいます。 この自信は、人生を生き抜くうえで、そして人と対峙していくうえで、どんなに助けになってくれることでしょう。逆にこのベースがない女性は、本当にちょっとしたことでやる気や自身を失いがちになります。 ポイントは、「その子その子の成長を、 認めてあげること 」。そのための親の態度として幼少期に大切なことをひとつあげると、「比較して評価しない」ことだといいます。次の「OKワード」「NGワード」を参考に、声がけを具体的に変えていくことから始めてみてもいいですね。 <高濱さんの考えるOKワード・NGワード> ●OKワード 「あなたのいいところは〇〇ね」 「前より〇〇ができるようになったね」 そして、ほほえみやうなずき。 (ほめるのが苦手なママは、ちょっとしたほほえみやうなずきだけでもOKです。子どもは認められたことを敏感に感じとります) ●NGワード 「弟ができているのに、なんであなたはできないの!」 「隣のAちゃんはもう字が書けるんだって」 「うちの子、まだ〇〇ができないのよ(世間話で)」 ■うまくいかないことを人のせいにしない 「品というのは、育ちから生まれるものなのでしょう」と、高濱さん。立ち居振る舞いや、節目、節目のちょっとした行動に、品のよさは現れます。高濱さんが一緒に働いている女性は、みな品のよい方たちだそうです。 「そんな女性たちの共通項は、 愚痴と人の悪口は言わない ことです」(高濱さん)。 彼女たちは、人の落ち度を責める態度は一切見せないそうです。何かあった際も、あくまで自分の落ち度として報告してくるといいます。 人間とは不完全な生き物です。そういう 自分の弱さを直視 できるからこそ、人の至らなさや弱さも許し、最終的には「自分が至らなかったんだ」という考えをもてるのでしょう。 人生において、うまくいかない局面は多くあります。そのうまくいかないことを人のせいにすること自体を、恥ずかしいと思う矜持があるということです。こういう女性は、絶対的に信頼できます。 「 人のせいにした瞬間に失うもの があるのです。それが『品』なのです」 (高濱さん) ■素直な気持ちが伸びていく秘訣(ひけつ) 高濱さんは、「他人からの指摘に対して、『そうかな』と思って、素直に受け入れることができる人は伸びます」といいます。人からの指摘というのは、基本的には苦いものです。でもそれを受け止めて、自分を変えられるかどうかが重要なのです。 素直さを別の言葉でいうと、「 世界に対する肯定的な見方 を身につけていること」ともいえます。「これを子育てに置き換えて何が大事かというと、幼少期には、 ポジティブな言葉 をまわりが言い続けていることが重要なのです」(高濱さん)。 子どもは、周囲を見て育ちます。素直な姿勢も、人への敬意も、親の態度から学びます。ここで気をつけたいのは、ママが陥りやすい落とし穴。それは、「愚痴」です。女性同士では愚痴の言いあいが、世間話のひとつのようになっている場合もあります。「せめて、子どもの前では愚痴を言わないでください」(高濱さん)。 ■「漏れなく、きちんと」は最強の女の武器 「女性と一緒に仕事をしていくなかで、大きな魅力のひとつとして感じるのは、 『漏れのなさ』 や 『きちんと全部やる』 という能力です」(高濱さん) いわゆる清楚(せいそ)な良妻賢母に求められる「きちんと」ではなく、女性本来の性質としての「きちんと」を母娘間で継承していくと、社会に出てからも重宝されます。 「ときどきいるお姫様体質の子や天才型の女の子はさておき、女の子が10人いれば、7人は『きちんと』ができる芽があると思います」(高濱さん)。 女の子の子育てにおいては、 「きちんと」できたこと を認めてほめてあげましょう。「その『きちんと』は将来、全部同時にやり遂げる 『マルチタスク能力』 として、わが子の大きな武器になります」(高濱さん)。 ■「おしゃれ」は気持ちの負け組にならない 「おしゃれ」と言うと、「なんだ、そんな表面的なこと」と思うかもしれません。もちろん、娘がおしゃればかりにかまけていたら、ママとしては心配でしょうから、何事もバランスが必要ではあります。ですが高濱さんは、 「幼児期から思春期にかけて、外見に関して、気持ちの面で 負け組 にまわらないでほしいと思います」 といいます。 高濱さんによると、「不思議なことに、外見の服のセンスは、その家の文化が母娘間で伝承することが多いように感じます。身なりに興味がないママは、娘がオシャレをしはじめると、得てして非難したりしますが、それは確実に コンプレックスを植え付ける ことになります」。 「娘さんの魅力をぜひ口に出してほめてほしいあげてください」(高濱さん)。「あなたは目がいいよね」「髪の毛がサラサラですてき」というように。どんな子にも魅力的なところがあるはずですから! いかがでしたでしょうか? 高濱さんが教育現場での20年を経て、ご自身の目で見て実感していることをお伝えいただきました。「『そうそう』もしくは、『そうかなぁ?』と、いろんな感想があるかと思います。 この記事を書きながら、「女の子には、多くのプラスの言葉がけが大事なんだな」と感じました。筆者には、3人の男の子がいますが、日頃、「女の子のママたちは、まじめでがんばり屋の方が多いなぁ」と感じています。反対に言えば、プラスの言葉がけを意識していれば、少し抜けていても大丈夫なのかもしれません。女の子のママたちが少しでも肩の力を抜けるキッカケに本連載がなれたらうれしいです。 ママがいきいきと日々を過ごすことこそが、子どもにとって何よりも人生の指針となることを信じて! 【娘を愛され女子に育てるコツ】 ● 「ママに愛されている」 が自信になる お母さん・お父さんは、私のこと、大好きだもんね」という、愛されてきた自信は、絶対の自己肯定感を育んでくれる。 ●「 他人のせい にするのは恥ずかしい」と思う矜持 品のある女性たちの共通項は、愚痴と人の悪口は言わないこと。 ● 素直な気持ち が伸びていく秘訣 素直さを別の言葉でいうと、「世界に対する肯定的な見方を身につけていること」。幼少期には、ポジティブな言葉をまわりが言い続けていることが重要となる。 ● 「漏れなく、きちんと」 は最強の女の武器 女性本来の性質としての「きちんと」を母娘間で継承していくと、社会に出てからも重宝される。 ●見た目で負けないように応援する 幼児期から思春期にかけて、外見に関して、気持ちの面で負け組にまわらない。 娘の魅力は口に出して ほめる。 ■今回のお話を伺った高濱正伸さんのご著書 『お母さんのための『女の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) ●こちらもあわせてどうぞ! 『お母さんのための『男の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。 <Google Play Awards 2017>のKids部門ファイナリストに選出された 思考センス育成教材アプリ 「Think!Think!」 (iOS/Android対応/無料) 「Think!Think!」は、空間認識・平面図形などの問題をとおして、思考センスを育む教材アプリです。子どものヤル気スイッチ! をONにする「わかった!」という成功体験を引き出すゲームが満載。開発したのは、世界算数・算数オリンピックの問題作成を行う東大卒問題作成チーム、「花まる学習会」のグループ会社「花まるラボ」です。
2017年11月30日「これからの時代、たとえ女の子であろうとも自力で 『一生メシを食える』 大人に育てる必要があります」。そう語るのは、花まる学習会代表の 高濱正伸さん 。 将来、仕事を持ち、自分の力で生きていくためには、幼児期にどんな習慣を身につけさせる必要があるのでしょうか? 小学校3年生までに 育てたい力 について、高濱先生に伺いました。 ■休みの日も「遅起き」は許さない 幼児期に身につけさせたい生活習慣とは、何なのでしょうか? 「生活習慣の一番目の項目は、 『早寝早起き』 です。精神的な強さにつながる一歩目です。社会人だったら毎日、早起きし続けられる人は信頼できます」(高濱さん) 「そんな当たり前のこと!?」そう拍子抜けした方も、いらっしゃるかもしれませんね。けれども、不登校やひきこもりの子たちも多く預かったことがある高濱さんにとって、ここは「まずお伝えしたい最初の要」なのだといいます。 ネットやゲームなどで昼夜逆転の生活を送るようになると、子どもたちは、ちょっと頭が痛いとか、眠いとかで「今日、無理かも。学校を休もう」という発想をしてしまいがちになります。 「 幼少期において、親が気をつけるべきは、『休みのときくらい』という軽い気持ちで 『遅起き』を許さない ということです」(高濱さん) ■女の子だって「休まない体力」が必要 「私が知るかぎり、社会で活躍している女性で、休みが多い人は見たことがありません」(高濱さん)。体力といってもプロのアスリートのような最大級の体力ではなく、 「基本的に休まない」 という基礎体力のことです。 さらに具体的に言うと、「脚力」が基礎となります。たとえば、東大生は意外と1500m走のタイムが良いとか。これは何につながるかというと、 「粘り強さ」 です。頭がいいといわれる人でも、基礎体力、粘り強さという意味での体力は必須項目なのです。 とりわけ都会で育つ子は要注意! 「意識して、外遊び、体を動かす機会を設ける必要があります」(高濱さん) ■いじめられても、女の子にも「なにくそ」根性を 高濱さんは、「 『なにくそ』と思える子 を育てないといけない」といいます。働くうえでは、この精神的な力があるかないかで、任された仕事をやり遂げられるかが決まります。つらくても、そんな自分をコントロールできる力が必要なのです。「やってらんないわよ」と逃げ続けていても、何にもなりません。 「試練や逆境などの 『もめごと』経験 が、どれほど子どもの『こやし』になるかを、私たち大人は考え直さなければなりません」 (高濱さん)。 つらい経験があり、それを克服した経験こそが、子どもが社会に巣立ったときに必要なのです。学校や近所でも、トラブルは日常茶飯事であり、それに対処していくことが、生きていくということです。 「子どもには、いじめられないようにと教えるのではなく、 いじめられてもはねのける精神力 を身につけられるよう、支えたいものです。支えるという意味では、たくさんの成功体験で自己像を大きくしておくことが重要です」(高濱さん)。 どんなにつらい状況に陥っても、「私は、大丈夫! がんばれる!」と思える子どもに育てることが、親にできる最大の“支え”なのかもしれませんね。 ■「遊び尽くす」で得られる達成感が自信につながる 「『遊び尽くしたこと』と『がまんの経験をしたこと』。幼少期におけるこのふたつの経験が、 『達成感の経験値』 を上げます。」 (高濱さん) まずは「遊び」について。熱中して「遊び尽くす」ことは、幼児期にこそできる貴重な体験です。「逆に言えば、没頭して熱中する経験は、幼児期では、『遊び』以外では絶対にないでしょう」(高濱さん) たとえば、積み木で「どの高さまで積もう?」と考えたなら、自分で何度も挑戦する時間が必要です。「自分で決めるから、やり遂げようと思うのです。ここに『遊びの原点』『情熱の原点』があります。『いつまでやっているの!』と怒られるくらい没頭するのが良いのです」(高濱さん) ただし、いわゆる電子ゲームはNGです。一方で、「がまんの経験」も、「達成感を得る経験」としては必須だと高濱さんはいいます。 人生においては、何度も苦しいときがやってきます。そのときにがまんしてそれを自分の力で乗り越える経験が足りないと、人は折れやすくなってしまいます。 「『あのときがんばって乗り越えられたから、いま、苦しくても、きっとこの先にはまた新しい世界があるんだろう』と思えることが重要です」(高濱さん) ■「これだけは負けない」ものをひとつ持たせる 「これは、親御さんにとって大きな課題です。子育ての中で、わが子に 『これだけは負けない』 と思えるものを、たったひとつでもいいので身につけさせてあげること。それができれば、子どもは自分の人生を活き活きと生きていけるでしょう」(高濱さん) 得意技は中学・高校で変わっても大丈夫! そして、簡単なことで良いのです。マンガやイラストを描くのが上手、話が面白い、水泳が得意…。「クラスのなかで一番」というレベルで構いません。 「足場があることが重要なのです。子ども同士の関係で 『すごいね』と称賛される瞬間 があることこそが重要なのです」(高濱さん) 親が幼少期にできることは、子どもが興味を持ったことを 否定しないこと です。もしかしたら、それは将来につながるダイヤモンドの原石かもしれないのだから。 いかがでしたか? 子どもが男の子であっても、女の子であっても、子育ての基本方針として再度、確認したいことばかりだったのではないでしょうか。 【小学校3年生までに育てたい5つの力】 ①休みのときも 「早寝早起き」 。「遅起き」は許さない。 「早起き」ができない人は、社会人になっても、どこかで「つらい」「無理」と言い出す。 ②女の子だって 「休まない体力」 は必要 女性だからといって仕事をしていれば甘えは許されない。「いざ」というときに乗り切る体力を。 ③女の子にも 「なにくそ」根性 を。 この精神力があれば、任された仕事をやり遂げることができる。 ④ 「やったぁ!」の達成感 が自信を生む 遊び尽くすことで最後までやり遂げる経験を味わえる。 ⑤ 「ここだけは負けない」 ものをひとつ身につけさせる それができれば、自分の人生を活き活きと生きていける 次回は、「娘を「愛され女子」に育てるためにママができること」です。 女の子がすてきなパートナーと出会い、幸せな家庭を築くために必要な「魅力」について考えます。 ■今回のお話を伺った高濱正伸さんのご著書 『お母さんのための『女の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) ●こちらもあわせてどうぞ! 『お母さんのための『男の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。 花まる学習会公式サイト: <Google Play Awards 2017>のKids部門ファイナリストに選出された 思考センス育成教材アプリ 「Think!Think!」 (iOS/Android対応/無料) 「Think!Think!」は、空間認識・平面図形などの問題をとおして、思考センスを育む教材アプリです。子どものヤル気スイッチ! をONにする「わかった!」という成功体験を引き出すゲームが満載。開発したのは、世界算数・算数オリンピックの問題作成を行う東大卒問題作成チーム、「花まる学習会」のグループ会社「花まるラボ」です。 Think!Think!とは:
2017年11月29日ママにとって、娘は同性。「だから、わかる!」という思い込みを、いったん横に置いておいて、 「女の子という生き物」 について知ってみませんか? 「『娘にイライラしてしまう』というママは、すごく多いんです」とおっしゃるのは、花まる学習会代表の高濱正伸さん。娘に対して客観的な視点を持つことが、母娘関係の風穴になるかもしれません。 前回、女の子の特徴として「ママがモデル(お手本)」と伺いました。引き続き、女子の特徴について、高濱先生に解説していただきましょう。 ■女の子はナンバーワンよりオンリーワン 「男の子が群れの一番をめざす生き物であるのに比べて、女の子はだれかにとって 自分がオンリーワン であれば満足する生き物なのだと思います」(高濱さん)。 たとえば、花まる学習会のサマースクールという野外体験では、夕飯時や寝るときに、ホームシックになる子がいます。男子は、やせがまんで何とか乗り切るか、ポロポロ泣いて、疲れ果てたら眠る。 一方、女の子は、同じホームシックになっても、そのおさまり方がまったく違うそう。「リーダーに 『特別扱い』 されると、あっという間に落ち着いてしまうのです」(高濱さん) 【ママの接し方のコツ】 女の子はお姫様扱いせよ! 野外体験のホームシック対策で、高濱さんがよくするのは、「お姫様作戦」。 まず、「ねぇ、星空を見に行かない?」と、ほかの子がいない空間に誘い出します。そして、「ほら見てごらん、星がきれいだね」「○○ちゃん、がんばれって、応援しているんだよ」とお姫様を扱うかのように言うと、あっという間に泣き止むのだそうです。 「目の前の人が『自分の気持ちをくんでくれて』 『自分のためだけに』 何かをしてくれたら、女の子は、それで心が満たされるのです」(高濱さん)。 お姉ちゃんが下の子に嫉妬していじわるをする…なんていうパターンでは、この「特別扱い」は効きそうですね。 ■女の子は「あなたのことを思っている」で納得する 高濱さんが受け持っている教室で、先日、「作文が書けない」「絶対に書かない」と泣き叫ぶ小学校2年生のSちゃんという女の子がいました。キーっとヒステリックになり、廊下まで響き渡るほどの声で、意地になって泣いています。 そんなときは、高濱さんの出番です。高濱さんは、こんなとき、慌てず「今日は勝負だな」と覚悟を決めて、徹底して時間をかけます。「女の子は 『とことん心配してくれる』 という、相手の熱い気持ちに反応するからです」(高濱さん) 【ママの接し方のコツ】 ヒステリーには感情で納得させよ 「作文なんて書かない。もう帰る!」と泣きさけぶSちゃんに対して、高濱さんは静かに語りかけました。 「Sの将来のことを考えたら、とてもこのままでは帰せない。「書かない」ということは簡単だけれど、この先、「もういやだな」と思うことはもっとたくさんある。それを全部「やりたくない」って逃げてしまったら、「Sさんはいつもすぐ諦めるから」って言われてしまうよ。先生、がんばり屋さんのSがそんなふうに言われちゃうのは我慢できないんだ」 こんなふうに「いかにあなたのことを思っているのか」ということをラブコールのように伝えると、だんだん泣き止みはじめ、しばらくすると、Sちゃんはカリカリと作文を書き始めたそうです。 男の子が「理屈で説得」すれば納得するのに比べて、女の子は 「感情」 で納得します。「『感情』が納得し、満足すれば、力を発揮し、目の前のことに取り組めるのが女の子です」。(高濱さん) ■女の子は「いじわるして、いじわるされて」しぶとく育つ 「女の子のいじめは小さな頃から 精神的な圧迫合戦 です」(高濱さん)。男の子は精神的な圧迫をかけるという発想もなければ、そんな考え方に触れることもないまま、一生を終えるのではないかと思います。基本的に、男の子はケンカ、女の子はイジメになりやすいようです。 人生を語っている本には、みな一様に「人間は何がきついかというと、みんなに無視されることである」と書いてあります。学校へ行っても、グループのみんなに無視されるなど、自分が存在していないかのように振る舞われることほど、つらいものはないのです。女の子は、人にとって何が一番きついか、幼くして知っているから神経戦をしかけて、だれかを孤立させようとするのでしょう。 【ママの接し方のコツ】 いじわるされたら「生き抜く練習」と思え! 「いじわるで しぶとく育つ 女かな」 という句は、女の子独特の特性をまさに言いえています。 女の子のいじめは、グループ内で順繰りに回ったりします。これは、男の子にはあまりありません。「次は私にいじめが回ってくるかも」と思いながら、同調圧力をかけあう女子たち。「これを小さいころから経験しているからこそ、社会人になってからも、ちょっとやそっとのことには負けず、本当に しぶとく生き抜ける のは女の子なのです」(高濱さん)。 娘がいじわるをされているとなれば、ママとしては生きた心地がしません。でも、そんなとき、「しぶとく生き抜く練習をしている」と思えたら、ママの胆力につながるかもしれません。 ■女の子は「これ、かわいいね」で友だちができる 男の子の判断基準が「おもしろい」「カッコいい」であることに対して、女の子の判断基準は、何歳になっても、「かわいい」「きれい」「わかる」だとか。「 『共感そのもの』 を食して生きているのが女の子、女性なのでしょう」(高濱さん)。 男の高濱さんからすれば、「よくそんなことを共感できるな」と思うことを共感しあっていて、それこそが「女性ワールドなんだなぁ」と思っているそうです。 【ママの接し方のコツ】 ほめると仲良くなれる基本をマスターせよ 高濱さんは小学校1年生の女の子から教えてもらった、あるひと言が忘れられません。それは、「あのね、 『これ、かわいいね』とほめると、友達ができる んだよ」。ほとんど金言に近い言葉だったと高濱さんは感慨深げに言います。 「女の子同士の仲良くなる基本が『見せて~』であり、『かわいい!』であり、『きれ~い!』であり、『わかるぅ~』なのでしょう」(高濱さん)。 娘といえども、女同士。こんな「ミニ知識」をママが意識的に使えると、「いざ!」というときに威力を発揮するかもしれません。 ■女の子の「よい子でありたい」美学を理解する 「女の子は、いわゆる『よい子』を演じようとします。「『しっかりとした美学』があり、 『恥』という概念 を獲得するのが早いのでしょう」(高濱さん)。 男の子のように下品なことを言って笑いを取ろうとしたり、枠をはずしてみせたりすることはほとんどしません。「あの子は変だ」、「あの子は馬鹿だ」と思われるのがイヤなのです。 だから、たとえば、「マルつけのときにこっそり間違いを消して書き直す子」「ほかの子の方が先に解けるとなると『やらない』と言い出す子」「間違っても『わかりません』とは言わない子」などが出てくるそうです。 【ママの接し方のコツ】 繰り返し問題意識を改善せよ 親としては「たくさん間違うから頭がよくなるんだよ」「できなかったことをできるようにするのが勉強だよ」など繰り返し指導して意識改善をしていく必要があります。 けれども、「恥をさらせる男の子に比べて、『よい子でありたい』という気持ちは、女の子特有だなぁと日々感じています」(高濱さん)。 「「なんでかな よい子でいたい 私なの」 という句は、まさに女の子の心情を表しています。「女の子は、そういう生き物なんだ」という気持ちの余裕を持てるといいですね。 いかがでしたか? 高濱さんに「女の子という生き物」を解説してもらうと、「たしかに、それってあるなぁ」と、筆者自身もわが身を省みて思うことだらけでした。この知識は、娘との関係の上ではもちろん、ママ友、そして、自分自身と付き合う上で役に立ちそうです。 【女の子ってこんな生き物】 ●女の子にとって ママはモデル (お手本) 娘の口調がママと同じになっている。 ●ナンバーワンより オンリーワン 目の前の人が『自分のために』何かしてくれたら心が満たされる。 ● 感情 で納得する 女の子は「とことんまで心配してくれる」相手の熱い気持ちに反応する。 ●いじわるをする/いじめが神経戦 いじわるな世界を生き抜いてきた分、女の子は社会人になってからも、 しぶとく生き抜ける 。 ●「かわいい」「きれい」「わかる」が基準 「これ、かわいいね」 で友達をつくっていくのが女の子。 ● 「よい子」 であろうとする 「あの子は変、馬鹿だ」と思われるのが女の子はイヤ。 次回は、「将来を生き抜くために、小3までに身につけたい5つの力」です。 これからの時代、たとえ女の子であろうとも自力で『一生メシを食える』大人に育てるために必要なことについて伺います。 ■今回のお話を伺った高濱正伸さんのご著書 『お母さんのための『女の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) ●こちらもあわせてどうぞ! 『お母さんのための『男の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。 花まる学習会公式サイト: <Google Play Awards 2017>のKids部門ファイナリストに選出された 思考センス育成教材アプリ 「Think!Think!」 (iOS/Android対応/無料) 「Think!Think!」は、空間認識・平面図形などの問題をとおして、思考センスを育む教材アプリです。子どものヤル気スイッチ! をONにする「わかった!」という成功体験を引き出すゲームが満載。開発したのは、世界算数・算数オリンピックの問題作成を行う東大卒問題作成チーム、「花まる学習会」のグループ会社「花まるラボ」です。 Think!Think!とは:
2017年11月28日「娘にイライラしてしまう」 。「花まる学習会」代表の 高濱正伸さん に寄せられる相談でもっとも多いのは、母と娘の関係性の悩みだそうです。そこには、もしかしたら同性同士だからこそ気がつかない落とし穴があるのかもしれません。 そんな「イライラしてしまうママたちに聞いて欲しい話がある」と高濱さんはおっしゃいます。 女の子とは一体どんな生き物なのでしょう? ママたちも知っているようで知らなかった 女の子の特徴 と、小学校3年生までの 「女の子」の育て方 についてお話を伺いました。 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ■娘とうまくいっていない母の特徴とは? 「自分とうまくいっていない娘のことを話すママは、一様に顔の相が悪いんです。ため息まじりに、はき捨てるように娘のことを話す様子は、息子のことを語るママにはまったくない特徴です」(高濱さん)。 娘の方もわざわざ母親がイライラするようなことを言うのです。たとえば、 「お母さんだって、口だけじゃん」 「その服、似合わないね」「買い物、失敗したんじゃない」 いったいなぜ、こんな関係になってしまうのでしょうか? ●ママも知らない!? 「女の子という生き物」 自分と同性である娘は、ママにとって「自分と同じ」だから「わかる」と思いがち。でも、その思い込み、距離感こそが、問題なのかもしれません。 まずは、高濱さんに「女の子とは、こんな生き物だ!」ということを教えてもらいます。娘を少し客観的に見ることで、母子の関係性の「風通し」が良くなることでしょう。また、ママの中の 「女の子」を客観視 することで、ママ自身を知ることにも繋がるのではないでしょうか? ■女の子にとって母は「お手本」 「男の子にとって、母は『女神』であり、その愛が自信の源であるのに比べて、女の子にとっての母は『 モデル(お手本) だなぁ』とつくづく思います」(高濱さん) ある朝のこと。高濱さんは家の近くで小学校へ向かう、登校班を見かけました。班長は女の子だったのですが、ふざけて歩いている男の子に向かって口をすっぱくして言っていたのが、このセリフ。 「何回言えばわかるの?」 「白線をはみださないでって、言っているでしょ!」 まるで、その子のお母さんのような口ぶり。「きっとこの子のママも、まったく同じ言い方をするのだろうなぁと思いました」(高濱さん) 娘の口調が、「怒っているときの自分」にそっくりでヒヤっとしたこと、ありませんか? それこそが、女の子にとってママが「モデル=お手本」という証明なのだと思います。 ■母の時代とは異なる「いい男」観 「いくらとり繕おうとしても、わが子の前では隠せません。子育ての場面では、 ママのいままでの 人生観 がすべて出てしまうのです 」(高濱さん) 娘にとって、ママが「モデル=お手本」だと言われてしまうと、相当プレッシャーですよね。さらに、時代が激変しているいま、ママ世代の価値観だけで娘を育てていて本当に大丈夫なのかな? という不安もあるでしょう。 たとえば大きな流れとして、今後は当然のように、女性も一生仕事を続ける時代がやってきます。産休後の仕事復帰タイミングも、どんどん早まっていくかもしれません。 また、 「いい男」観 もどんどん変化しています。ママたちの時代は、「いい男=経済力のある男」でしたが、これからの女性が男性に求めているのは、経済力だけでない+αの「思いやり」「共感力」「会話力」…。 「この連載を通じて、どんな潮流にもわが子が対応できるように『 一生メシが食える 』かつ『 いいパートナー を見つけられる』女性に育てる方法を考えてみましょう」(高濱さん) 次回は、「女の子特有の『いじわる』。娘がされたら、ママはどうすればいい?」です。 ■今回のお話を伺った高濱正伸さんのご著書 『お母さんのための『女の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) ●こちらもあわせてどうぞ! 『お母さんのための『男の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。 花まる学習会公式サイト: <Google Play Awards 2017>のKids部門ファイナリストに選出された 思考センス育成教材アプリ 「Think!Think!」 (iOS/Android対応/無料) 「Think!Think!」は、空間認識・平面図形などの問題をとおして、思考センスを育む教材アプリです。子どものヤル気スイッチ! をONにする「わかった!」という成功体験を引き出すゲームが満載。開発したのは、世界算数・算数オリンピックの問題作成を行う東大卒問題作成チーム、「花まる学習会」のグループ会社「花まるラボ」です。 Think!Think!とは:
2017年11月27日