■憧れの住まいは、「アアルト」の自邸
ただ「シンプルに、すっきりと」では、家族の住まいは、心地よいものになりません。
“洗濯物はたたんでタンスの引き出しへ”“ヘアゴムは洗面所へ”定番のことを「当たり前」にせず、「家族みんなが使いやすく」「みんなに負担がないように」と、改良していくholonさん。
それは決して手抜きではなく、暮らしの無駄をそぎ落とし、バージョンアップをしていくための「工夫」にほかなりません。
長くとっておきたいと思う本以外は、電子書籍の「Kindle」で。「本や漫画はどうしても生活感が出ますし、これなら増えても『処分しなくちゃ』『売らなくちゃ』と思うこともありません。データなら、手放す必要もないんです」
「理想は、フィンランドにある、アアルトの自邸※のような家。きちんと選ばれたお気に入りのものだけがある、洗練された空間です」
※一般公開されているフィンランドの国民的建築家、アルヴァ・アアルトの自宅。
「アルテック」の半円テーブルは、小ぶりなので気軽に配置換えができ、新鮮な気分で使いづづけている家具のひとつ。座面がカラフルなスツールや、季節ごとにお気に入りを並べて楽しんでいるシェルフも「アルテック」のもの。下段左に飾っているのは、こぼれ落ちる砂が、ゆっくりと幻想的な景色を描く「サンドピクチャー」
子育てを言い訳にせず、住まいを快適に整え続けるholonさん。最後に、「今、欲しいものはありますか?」と尋ねてみました。
「欲しいもの…、そうですね、今は特に見つかりません。家具も一通り揃いましたし、しいて言えば、「もの」が増えない趣味でしょうか。趣味のものって、道具や材料がどんどん増えてしまうから…今、模索中です(笑)」
「ものを減らす」「シンプルなインテリア」。表面上の美しさを通して、より家族が暮らしやすく、快適に過ごせる場所づくり。
シンプルな空間は、無機質さではなく、豊かな人間味と家族への愛情の現れにもつながっていました。
取材/文:藤沢あかり 撮影:有本真大
家族がいちばん心地いい インテリアB面ストーリー