■サトシとピカチュウの絆を描く「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」
――20作目となる「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」で、原点回帰した理由は?
20周年ということでいろんな議論があって、新シリーズ・サンムーンの劇場版に20周年の要素を入れようかとも思いましたが、そうすると過去のキャラが出てきた時にそれを説明しなきゃいけない。ずっと観ていた人は説明が邪魔だろうし、新しく観た人は説明がないとわからない。それではストレートに楽しめないんじゃないかなと思って、サトシとピカチュウはみんな知ってるよね?と。
原点に戻って、仲間と出会い、ポケモンを捕まえて、育てて、別れて…っていうところをちゃんと映画の中でやってみる。それが20周年らしい作品になるんじゃないかということで、
「コレにきめた!」って(笑)。
――いただきました~!(笑)。では、今作で一番伝えたいことを教えてください。
ポケモンの持っている楽しさとか良いところを凝縮したかったんです。
今までの劇場版では、テレビの流れがあるので、成長したり状況が変化するっていうことができなかったのですが、20周年ということでサトシをただポケモンが好きな10歳の少年に戻して出発することにしました。
普通の男の子だから、悪態つくこともあるだろうし、そういう体験を経て仲間ができて、励まされたりして成長していく姿を、ポケモンの世界の中で描けたらいいなと。
テレビシリーズの中では、サトシはある意味“ヒーロー”なので、喧嘩はするけど弱い部分を見せるということは20年間一切やっていないんです。
今回はゼロから描いていくので、いろいろな困難を乗り越えて、最終的に成長したサトシを見せられたらいいなと思いました。
――今作で特にこだわった部分はどこですか?
「こんなところを旅したいな、体験したいな」と思ってもらえるように、自然の風景をなるべく美しく魅せたいというのがあります。朝・昼・夕といった時間帯によって変わる風景の美しさも、ニュージーランドの取材を生かしつつ、気をつけながら取り組みました。
――新キャラのパートナーには、なぜポッチャマ、ルカリオ、ガオガエンというポケモンを選んだのでしょうか?
ポッチャマに関しては「出したいな」って言うのがあったんです。なので女の子(マコト)が連れているのにいいだろうって。で、ルカリオも「出したいな」と思って(笑)。そう、この2体はまさにキャスティングされたという感じです!
クロスが連れているガオガエンはアローラ地方のポケモンなので、彼はアローラから来ているんじゃないか!?っていう話もありますね。
(物語のキーとなる)エンテイは、その辺にいてもあまり不思議すぎず、会えたらすごいなぁぐらいのルックス。日常の延長線上にいる“ちょっとすごい動物”みたいな感覚があったので選びました。
――では、「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」に期待してほしいことは?
観る人のポケモン歴によって、いろんな見え方をする映画だと思います。
20年前から観ている人には「懐かしいけど新しい」と思ってもらえると思うし、ポケモンを観たことがない人にとっては入門編にもなっているので、幅広く観てもらいたいですね。
テーマであるサトシとピカチュウの絆がだんだん深まっていくっていうところを、ぜひ観ていただければと思います。
――最後に、ポケモンが大好きなパパ・ママ、子ども達へのメッセージをお願いします。
アニメが始まった初期にポケモンを観ていた子が親になり、その子ども達を劇場に連れて観に来てくれるようになると最高だなと思っていたのですが、今、そういう親子が増えて来ているところなんです。
ポケモンは、いろんな世代に向けてつくっています。親子で一緒に鑑賞して、そこから対話が生まれたり、感じたことを話し合ったりしてもらえたら嬉しいですね。
昔の子ども、今の子ども。