やさしいママのヒミツ
さまざまな分野で活躍する多忙なママたちに「やさしいママ」でいるための秘訣を伺いました。また、手肌と地球にやさしいヤシノミシリーズの体験レポを楽しい漫画でもご紹介しています。
さまざまな分野で活躍する多忙なママたちに「やさしいママ」でいるための秘訣を伺いました。また、手肌と地球にやさしいヤシノミシリーズの体験レポを楽しい漫画でもご紹介しています。
子育て中は、自分が人生の主役になれるとき 肩肘張らない子育て #20 コミックライター まりげさん
ウーマンエキサイト
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今回の「やさしいママのヒミツ」は、人気コミックライターのまりげさん。昨年8月に三男を出産したばかりの3人の男の子ママです。
2年前にご主人の地元に移住し、農業と漁業をスタート。同時に日々の暮らしをインスタグラムに綴るようになり、昨年初の著書を出版。ウーマンエキサイトで連載中の「まりげのケセラセラ日記」も好評の超多忙ママです。
お子さんが3人いるだけでなく、3つの仕事をこなす忙しい日々のなかで、まりげさんが笑顔のママでいるために心がけていることは? たっぷりお話を伺いました。
早速、まりげさんの平日のスケジュールを見てみましょう。
6:30 : 全員起床
7:00 : 朝食、身支度
8:30 : 保育園へ登園
9:00 : 買い物
10:00 : 洗たく干し、掃除
12:00 : 昼食
13:30 : 授乳、お昼寝、お散歩
17:00 : お迎え
18:00 : 保育園から帰宅
18:30 : 夕食の準備、夕食
19:30 : お風呂
21:00 : 子どもたち就寝
22:00 : 絵日記や連載のマンガを描く
24:00 : お茶を飲んでラジオを聴きながら、皿洗い
25:00 : 就寝
三男を出産したばかりのまりげさん。現在は産休中ですが、普段は子どもたちが保育園から帰ってくるまでの間に農作業と漁業も加わるため、「自分の時間」は家族が寝ている深夜の時間だけなのだそう。
「昼間は赤ちゃんとの時間、子どもとの時間、仕事の時間、いろいろな時間軸があります。主人も徒歩圏内で仕事しているので、自分だけのスケジュールはないですね。本当は健全な時間にマンガを描いたほうがいいのはわかっていますが、いまは赤ちゃんもいて、中断するとストーリーを考えたりできなくなるので、子どもたちが寝た後の方が落ち着いて描けるんです。睡眠時間はどうしても細切れになりますが、お昼寝も含めて1日トータルで8時間は寝ているので、眠くて仕方がないということはないですね」
子どもたちを寝かしつけたあとに起きて、深夜にラジオを聴きながら家事をするのが、まりげさんの至福の時間なのだとか。
「子どもが生まれてから、視覚も聴覚も全部取られてしまうテレビはほとんど見なくなりました。ラジオは耳だけでいいから、子育て中は相性がいいと思います。洗いものは、使ったらすぐに片付けていたときもあったのですが、食べた後は子どもたちとおしゃべりして、ゆっくりしたいなと。最近は、夫がとりあえずシンクにお皿を下げてくれるので、水につけておいて夜にまとめて洗います。母親でもなく妻でもない、自分ひとりのこの時間が、一番心をリセットできるんです」
もともとは、まりげさんの地元・埼玉で母親と2人の息子と夫婦の5人暮らしでしたが、ご主人の地元・京都府舞鶴市に引っ越してから、がらりと生活が変わったのだそう。
「夫は木製雑貨のデザイナー、私はアパレルで販売員をしていました。夫は海好きだったので、いつかはこちらに引っ越すのかなとは思っていましたが、脱サラ宣言をしたのが次男が生まれて一ヶ月の頃だったので、“このタイミングで?!” という思いは正直ありました。でも年齢を重ねるごとに慎重になり、フットワークが重くなると思ったので、思い切って移住を決めたんです。川も山も海もある。多少不便なところもあるけれど、子育てをするにはとてもよい環境です」
移住とともに始めたのが、ご主人の祖母の家業である農業。まりげさんは、義祖母と二人で農作業を行っています。
「農業をすることになるとは、想像もしていなかったですね。でも、畑は放っておくと荒れてしまうし、おばあちゃんも一人でするのは難しくなってきた頃だったんです。規模はそれほど大きくないのですが、野菜やお米などを育てて、直売所や学校給食用に卸しています。おばあちゃんが実践する昔ながらの “機械に頼らない農業の仕方” を覚えておくことは、自分にとってもいいかなと。
例えば、作物を支柱に結びつけるのも、必要な材料はホームセンターですぐに揃うのですが、おばあちゃんは竹を切ってきて、それに古い服の裂布で結ぶんです。非効率かもしれないですが、ものに頼らずにあるものを使うということを直接学べるのは、とてもいい経験だなと思います」
農作業だけでも大変そうですが、ご主人の牡蠣の養殖の手伝いもしているというから驚きです。
「冬から春にかけては旬の真牡蠣を通販で販売しています。それ以外の時期はタコをとったりしています。真牡蠣やタコなどを使った加工食品も製造し、冊子やパッケージも自分達でつくり、ウェブショップや雑貨屋さんなどで販売しています。漁師が製造からデザイン、販売まで手掛けるのはめずらしいかなと思いますね(笑)。
『岡山八朗兵衛商店』のインスタグラムをまめに更新することで、“こういう人たちが、実直に育てている牡蠣を清潔な状態で届けている” という、安心感につながればいいなと。三男が保育園に入るまでは、SNSを更新したりお客様にコメントをお返ししたりと、家でできることでフォローをしています。いまはちょうど寒い季節で農作業がない分、負担は少ないです」
新しい環境のなかで、新しいことへの挑戦。そのなかで “楽しさ” を探し出せるまりげさんだからこそ、大変そうな暮らしも楽しそうに見えてきます。
「基本適当なんです(笑)。『しなやかで、たおやかに』というのが自分のなかでのテーマ。“3年後にこうなっていたい” とか、“こういう家族を作るんだ”、みたいな目標はあまりなくて、そのときどきで順応していけるのが一番ラクかなと思います。夫がリードしてくれているので、私はその流れに沿っているだけですね。
もしも私が、友だちと頻繁に飲みに行くような社交的な人だったら、こんなに毎日インスタグラムを更新できないです(笑)。家族といる時間が一番楽しいんです。いまは授乳中だから飲みにも行けないし、外食するのも遠いし、子どもが小さいからできない。じゃあ家でどんな風に過ごしたら楽しいだろう? って考えます。“ないから嫌” ではなく、作ればいいと。いかに自分が楽しく暮らせるように変えていくか、というのが大切ですね」
この日、子どもたちのおやつに用意されていたクッキーやスコーンは、まりげさんが子どもたちと一緒に作ったもの。
「母が譲ってくれたこのレシピブックは、簡単に作れてすごくおいしいんです。クッキーは手のひらで潰すだけでよくて、大きさも厚みもバラバラでOK。『こうしないといけない』と言わなくてもいいのが、子どもと作るのにぴったり。作りながら、むかし母が『冬は寒いからバターも溶けなくて、おかし作りにいいんだよ』と教えてくれたことを思い出します。寒いからこそ、家の中で過ごす “楽しみ” や、“上手くできること” もあると思いますね」
子どもたちと料理をすることも多いというまりげさん。野菜を好きな大きさに切ってもらったり、トンカツを揚げるときは “パン粉担当”、“小麦粉担当” と3人仲良く並んで作ったり。後片付けは大変なことになるけれど、それで楽しかったらよしと考えるのだそう。
「週末のおやつも、金曜日に子どもたちと一緒にレシピ本を読んで決めるんです。買ったおやつは5分しか時間がもたないけど、作るところから一緒にやると1時間、2時間の遊びになるんですよね」
そんな遊び方をしていると、おもちゃもあまり必要ないのだそう。
「おもちゃは遊び方のパターンが決まっているから、子どもたちも飽きるのが早いようです。『自然』は、何がそこにいるか、どういう表情を見せてくれるか、日々変化があるので飽きないみたいです。公園はないけれど、季節によって生えている草や花があるので、庭の一角でずっと遊んでいます。
おもちゃのブロックとかで遊んでいると、思い通りにならなくてイライラしたり、なぜか喧嘩になったりしますよね。でも自然のなかで遊んでいるとそういったことも少ないようです。自然に囲まれた環境に引っ越したことが、子どもたちを怒らずに済んでいる理由のひとつかもしれないです」
「子どもたちが、“田舎で暮らす楽しみ” を増やしてくれています。木の実をたくさん拾ってきて一緒に図鑑で調べるのが面白かったり、そんなことを外でしていると近所の人が『それは椎の実だから、炒めると食べられるよ』と教えてくれて、味見してみたり。どんどん広がっていくんです。何もないところでも、子どもって面白いことを見つけてきますよね。子どもは喜んでくれる人、楽しんでくれる人代表じゃないですか。だから私も生活の張り合いがありますね」
インスタグラムへのマンガの投稿がきっかけで、初の著書も出版したまりげさん。でも、あくまでも主軸は牡蠣の養殖と農業でマンガは副産物だと話します。
「突出してイラストが得意なわけでもないですし、こんな生活をしている自分を描いているから皆さんに見てもらえているのかなと思います。マンガは移住が決まった後に書き始めました。美大を中退するとき、母には『自分の絵を好きだって言ってくれる人のために描き続けるよ』と言ったのですが、まさかこうなるとは思っていなかったですね(笑)」
まりげさんが描くのは、日記にも書かない程度の日常の小さな出来事。子どもと向き合っているこそ気がつくような変化や会話が、読んでいて愛おしく感じられます。
「最初は、埼玉にいる友達に “京都に行って、こういう風に暮らしているよ” って、近況報告のような感じで、毎日インスタグラムに投稿し始めました。マンガを描くようになって、さらに子どものことをよく見るようになりましたね。
3コマのマンガを描くのは1時間半くらい。ネタは一日中考えています。でも正直に言うと自分の心情の吐露にもなっているんです。実際には大変なこともいっぱいあるのですが、そのまま『辛い』と描くと、人に心配されたり励まされたりしてしまうので、それより笑ったほうが自分も楽しいし、読んでいる人にも負担にならないかなと思って描いています。人に発信するようになったら、自然と笑えるポイントを探し出すようになったところもありますね。
あと、遠くで暮らす母に “孫はこういう風に成長しているよ” って伝えたいというのもあるし、子どもたちが大きくなったときに、“お母さんって、僕たちが小さいときにこんなに一緒にいて、楽しいって思ってくれていたんだな” と伝わるといいなと思っています。私が大人になったときに、母が保育園の先生との連絡ノート一式をプレゼントしてくれたんです。それを見たら、おもらしに苦戦したり、食べてくれないものに頭を悩ませたりしてくれていたんだなとダイレクトに伝わってきたので、それに近いものになればいいなと。
今後は京都の媒体で、マンガを描けたら嬉しいですね。舞鶴に引っ越してきたことでエピソードが生まれて、出版したり取材を受けたりという機会をもらえているので、恩返しをしたい気持ちです。外からきた私たちの視点だからこその発見もあると思うので、京都の方にも私のマンガを通して “この場所の良さ” を再発見してもらえたら嬉しい。いま住んでいる場所への感謝を、すごく感じているんです」
2年前にご主人の地元に移住し、農業と漁業をスタート。同時に日々の暮らしをインスタグラムに綴るようになり、昨年初の著書を出版。ウーマンエキサイトで連載中の「まりげのケセラセラ日記」も好評の超多忙ママです。
@marige333 より
まりげ さん
息子さん:長男くん(4歳)、次男くん(3歳)、三ちゃん(5ヶ月)
埼玉県出身。京都府舞鶴市に移住、築100年の古民家をセルフリノベーションして暮らす。漁師に転職した夫と3人の息子と暮らす日々を綴った3コママンガをインスタグラムにて更新。夫が運営する「岡山八朗兵衛商店」を手伝いながら農業も行う。昨年、初の著書『たのしいことを拾って生きる。~まいにちいろいろ、家族ドロップス~』(大和書房)を上梓。ウーマンエキサイトで「まりげのケセラセラ日記」を連載中。
Instagram:@marige333、@okayamahachirobe
息子さん:長男くん(4歳)、次男くん(3歳)、三ちゃん(5ヶ月)
埼玉県出身。京都府舞鶴市に移住、築100年の古民家をセルフリノベーションして暮らす。漁師に転職した夫と3人の息子と暮らす日々を綴った3コママンガをインスタグラムにて更新。夫が運営する「岡山八朗兵衛商店」を手伝いながら農業も行う。昨年、初の著書『たのしいことを拾って生きる。~まいにちいろいろ、家族ドロップス~』(大和書房)を上梓。ウーマンエキサイトで「まりげのケセラセラ日記」を連載中。
Instagram:@marige333、@okayamahachirobe
お子さんが3人いるだけでなく、3つの仕事をこなす忙しい日々のなかで、まりげさんが笑顔のママでいるために心がけていることは? たっぷりお話を伺いました。
移住とともに、新たな仕事を3つスタート
早速、まりげさんの平日のスケジュールを見てみましょう。
6:30 : 全員起床
7:00 : 朝食、身支度
8:30 : 保育園へ登園
9:00 : 買い物
10:00 : 洗たく干し、掃除
12:00 : 昼食
13:30 : 授乳、お昼寝、お散歩
17:00 : お迎え
18:00 : 保育園から帰宅
18:30 : 夕食の準備、夕食
19:30 : お風呂
21:00 : 子どもたち就寝
22:00 : 絵日記や連載のマンガを描く
24:00 : お茶を飲んでラジオを聴きながら、皿洗い
25:00 : 就寝
三男を出産したばかりのまりげさん。現在は産休中ですが、普段は子どもたちが保育園から帰ってくるまでの間に農作業と漁業も加わるため、「自分の時間」は家族が寝ている深夜の時間だけなのだそう。
「昼間は赤ちゃんとの時間、子どもとの時間、仕事の時間、いろいろな時間軸があります。主人も徒歩圏内で仕事しているので、自分だけのスケジュールはないですね。本当は健全な時間にマンガを描いたほうがいいのはわかっていますが、いまは赤ちゃんもいて、中断するとストーリーを考えたりできなくなるので、子どもたちが寝た後の方が落ち着いて描けるんです。睡眠時間はどうしても細切れになりますが、お昼寝も含めて1日トータルで8時間は寝ているので、眠くて仕方がないということはないですね」
子どもたちを寝かしつけたあとに起きて、深夜にラジオを聴きながら家事をするのが、まりげさんの至福の時間なのだとか。
「子どもが生まれてから、視覚も聴覚も全部取られてしまうテレビはほとんど見なくなりました。ラジオは耳だけでいいから、子育て中は相性がいいと思います。洗いものは、使ったらすぐに片付けていたときもあったのですが、食べた後は子どもたちとおしゃべりして、ゆっくりしたいなと。最近は、夫がとりあえずシンクにお皿を下げてくれるので、水につけておいて夜にまとめて洗います。母親でもなく妻でもない、自分ひとりのこの時間が、一番心をリセットできるんです」
三男が生まれて3人の男の子ママになったまりげさん。長男だけのときよりも、次男が生まれてからの方が子育てがラクになったそう。「親たちが付き合いきれないほどの体力で、ふたりでめいっぱい遊んでくれています」
もともとは、まりげさんの地元・埼玉で母親と2人の息子と夫婦の5人暮らしでしたが、ご主人の地元・京都府舞鶴市に引っ越してから、がらりと生活が変わったのだそう。
「夫は木製雑貨のデザイナー、私はアパレルで販売員をしていました。夫は海好きだったので、いつかはこちらに引っ越すのかなとは思っていましたが、脱サラ宣言をしたのが次男が生まれて一ヶ月の頃だったので、“このタイミングで?!” という思いは正直ありました。でも年齢を重ねるごとに慎重になり、フットワークが重くなると思ったので、思い切って移住を決めたんです。川も山も海もある。多少不便なところもあるけれど、子育てをするにはとてもよい環境です」
移住とともに始めたのが、ご主人の祖母の家業である農業。まりげさんは、義祖母と二人で農作業を行っています。
「農業をすることになるとは、想像もしていなかったですね。でも、畑は放っておくと荒れてしまうし、おばあちゃんも一人でするのは難しくなってきた頃だったんです。規模はそれほど大きくないのですが、野菜やお米などを育てて、直売所や学校給食用に卸しています。おばあちゃんが実践する昔ながらの “機械に頼らない農業の仕方” を覚えておくことは、自分にとってもいいかなと。
例えば、作物を支柱に結びつけるのも、必要な材料はホームセンターですぐに揃うのですが、おばあちゃんは竹を切ってきて、それに古い服の裂布で結ぶんです。非効率かもしれないですが、ものに頼らずにあるものを使うということを直接学べるのは、とてもいい経験だなと思います」
農作業だけでも大変そうですが、ご主人の牡蠣の養殖の手伝いもしているというから驚きです。
「冬から春にかけては旬の真牡蠣を通販で販売しています。それ以外の時期はタコをとったりしています。真牡蠣やタコなどを使った加工食品も製造し、冊子やパッケージも自分達でつくり、ウェブショップや雑貨屋さんなどで販売しています。漁師が製造からデザイン、販売まで手掛けるのはめずらしいかなと思いますね(笑)。
『岡山八朗兵衛商店』のインスタグラムをまめに更新することで、“こういう人たちが、実直に育てている牡蠣を清潔な状態で届けている” という、安心感につながればいいなと。三男が保育園に入るまでは、SNSを更新したりお客様にコメントをお返ししたりと、家でできることでフォローをしています。いまはちょうど寒い季節で農作業がない分、負担は少ないです」
「岡山八朗兵衛商店」の天然真蛸やムール貝、真牡蠣の燻製オリーブオイル漬。ボトルにはまりげさんが描いたイラストのラベルが。
「たのしいことを拾って生きる」生活
新しい環境のなかで、新しいことへの挑戦。そのなかで “楽しさ” を探し出せるまりげさんだからこそ、大変そうな暮らしも楽しそうに見えてきます。
「基本適当なんです(笑)。『しなやかで、たおやかに』というのが自分のなかでのテーマ。“3年後にこうなっていたい” とか、“こういう家族を作るんだ”、みたいな目標はあまりなくて、そのときどきで順応していけるのが一番ラクかなと思います。夫がリードしてくれているので、私はその流れに沿っているだけですね。
築100年の古民家をセルフリノベーション。インテリアは、アパレル時代はディスプレイを手がけていたというまりげさんの担当。手作りのドライフラワーやかごが並ぶ。
もしも私が、友だちと頻繁に飲みに行くような社交的な人だったら、こんなに毎日インスタグラムを更新できないです(笑)。家族といる時間が一番楽しいんです。いまは授乳中だから飲みにも行けないし、外食するのも遠いし、子どもが小さいからできない。じゃあ家でどんな風に過ごしたら楽しいだろう? って考えます。“ないから嫌” ではなく、作ればいいと。いかに自分が楽しく暮らせるように変えていくか、というのが大切ですね」
この日、子どもたちのおやつに用意されていたクッキーやスコーンは、まりげさんが子どもたちと一緒に作ったもの。
スコーンはもちろん、ジャムもクロテッドクリームも手作り。「買えるところがないので、作るという発想に切り替わります」とまりげさん。
「母が譲ってくれたこのレシピブックは、簡単に作れてすごくおいしいんです。クッキーは手のひらで潰すだけでよくて、大きさも厚みもバラバラでOK。『こうしないといけない』と言わなくてもいいのが、子どもと作るのにぴったり。作りながら、むかし母が『冬は寒いからバターも溶けなくて、おかし作りにいいんだよ』と教えてくれたことを思い出します。寒いからこそ、家の中で過ごす “楽しみ” や、“上手くできること” もあると思いますね」
子どもたちと料理をすることも多いというまりげさん。野菜を好きな大きさに切ってもらったり、トンカツを揚げるときは “パン粉担当”、“小麦粉担当” と3人仲良く並んで作ったり。後片付けは大変なことになるけれど、それで楽しかったらよしと考えるのだそう。
「週末のおやつも、金曜日に子どもたちと一緒にレシピ本を読んで決めるんです。買ったおやつは5分しか時間がもたないけど、作るところから一緒にやると1時間、2時間の遊びになるんですよね」
そんな遊び方をしていると、おもちゃもあまり必要ないのだそう。
「おもちゃは遊び方のパターンが決まっているから、子どもたちも飽きるのが早いようです。『自然』は、何がそこにいるか、どういう表情を見せてくれるか、日々変化があるので飽きないみたいです。公園はないけれど、季節によって生えている草や花があるので、庭の一角でずっと遊んでいます。
おもちゃのブロックとかで遊んでいると、思い通りにならなくてイライラしたり、なぜか喧嘩になったりしますよね。でも自然のなかで遊んでいるとそういったことも少ないようです。自然に囲まれた環境に引っ越したことが、子どもたちを怒らずに済んでいる理由のひとつかもしれないです」
「子どもたちが、“田舎で暮らす楽しみ” を増やしてくれています。木の実をたくさん拾ってきて一緒に図鑑で調べるのが面白かったり、そんなことを外でしていると近所の人が『それは椎の実だから、炒めると食べられるよ』と教えてくれて、味見してみたり。どんどん広がっていくんです。何もないところでも、子どもって面白いことを見つけてきますよね。子どもは喜んでくれる人、楽しんでくれる人代表じゃないですか。だから私も生活の張り合いがありますね」
マンガは遠くに暮らす母、そして子どもたちへの手紙
インスタグラムへのマンガの投稿がきっかけで、初の著書も出版したまりげさん。でも、あくまでも主軸は牡蠣の養殖と農業でマンガは副産物だと話します。
「突出してイラストが得意なわけでもないですし、こんな生活をしている自分を描いているから皆さんに見てもらえているのかなと思います。マンガは移住が決まった後に書き始めました。美大を中退するとき、母には『自分の絵を好きだって言ってくれる人のために描き続けるよ』と言ったのですが、まさかこうなるとは思っていなかったですね(笑)」
A4用紙に細かく描き込まれた原画。紙に鉛筆で下書きして、ミリペンを使って描いて、マーカーで色をつけて。インスタグラムを始めた頃、まだ複数枚投稿できる機能がなかったので、3コマを1枚に詰め込む形に。「小さい枠に描いているので色を塗るのも早い。原画をスキャナーで取り込んでアップしています。私にはこのアナログなやり方があっていますね」
まりげさんが描くのは、日記にも書かない程度の日常の小さな出来事。子どもと向き合っているこそ気がつくような変化や会話が、読んでいて愛おしく感じられます。
「最初は、埼玉にいる友達に “京都に行って、こういう風に暮らしているよ” って、近況報告のような感じで、毎日インスタグラムに投稿し始めました。マンガを描くようになって、さらに子どものことをよく見るようになりましたね。
3コマのマンガを描くのは1時間半くらい。ネタは一日中考えています。でも正直に言うと自分の心情の吐露にもなっているんです。実際には大変なこともいっぱいあるのですが、そのまま『辛い』と描くと、人に心配されたり励まされたりしてしまうので、それより笑ったほうが自分も楽しいし、読んでいる人にも負担にならないかなと思って描いています。人に発信するようになったら、自然と笑えるポイントを探し出すようになったところもありますね。
@marige333 より
あと、遠くで暮らす母に “孫はこういう風に成長しているよ” って伝えたいというのもあるし、子どもたちが大きくなったときに、“お母さんって、僕たちが小さいときにこんなに一緒にいて、楽しいって思ってくれていたんだな” と伝わるといいなと思っています。私が大人になったときに、母が保育園の先生との連絡ノート一式をプレゼントしてくれたんです。それを見たら、おもらしに苦戦したり、食べてくれないものに頭を悩ませたりしてくれていたんだなとダイレクトに伝わってきたので、それに近いものになればいいなと。
今後は京都の媒体で、マンガを描けたら嬉しいですね。舞鶴に引っ越してきたことでエピソードが生まれて、出版したり取材を受けたりという機会をもらえているので、恩返しをしたい気持ちです。外からきた私たちの視点だからこその発見もあると思うので、京都の方にも私のマンガを通して “この場所の良さ” を再発見してもらえたら嬉しい。いま住んでいる場所への感謝を、すごく感じているんです」
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