今回の「やさしいママのヒミツ」は、今年6月に発売した著書『家事なんて適当でいい!』(KADOKAWA)が話題になっている
ボンベイさん。5歳と2歳の双子の、
3人の女の子のママです。
インスタグラムなどを通して発信する独自の育児メソッドが、多くのママたちから共感を得ているボンベイさん。ご自身も子育て真っ最中だからこそ、子育てを応援して一緒に頑張ろうと言ってくれているような気がします。
そんなボンベイさんが実践する育児メソッドと、そこに行き着くまで、そしてやさしいママでいるために大切にしていることとは? お話をたっぷりと伺いました。
ほぼワンオペで3人の子育て
早速、ボンベイさんのスケジュールを教えていただきました。
5:30 : 起床、洗濯機と食洗機を回す
6:00 : 部屋をリセット
7:00 : 子どもたち起床。身支度
8:00 : 掃除機をセット。子どもたちを保育園へ
9:00 : 仕事に出かける/夫起床
10:00 : 夫出社
17:00: 退社。保育園にお迎え
18:00: 帰宅。夕食を作って食べる
19:00: 入浴/長女と二人の時間
20:00: 子どもたちと遊ぶ/就寝
00:00: 夫帰宅
ご主人が帰宅するのはいつも0時すぎ。ほぼワンオペで家事と3人の子育てをこなしているというボンベイさん。
「夫は私が仕事に出る時間に起きて、私たちが寝た後に帰宅するので、仕事の日はすれ違い。夫は平日がお休みなので私も平日に休みを取るようにして、2人で飲みに行ったりして、コミュニケーションを取っています。
寝る前には子どもたちと絵本を読んだり、ゆっくり時間を取りたいので、夜は家事をしないと決めて、朝に家事をするようにしています。そうするとその間にテレビを見せていても罪悪感がないですね。だから家がきれいな状態なんて少ないですよ(笑)」
3人の子どもを育てるだけでも大変なのに、ママたちのためにSNSで育児法を発信したり、自分の時間をしっかり作るようにしているというボンベイさん。最初から今のようにうまくいっていたわけではなかったと言います。
「東京で夫と出会って富山に来たので、こちらには知り合いはいない状況でした。長女一人を育てているときは義理の両親と同居していたこともあって、大変でしたね。家事をしてくれたり、『お手伝いもするよ』と言ってくれたり、とてもいい方なのですが苦しかった。
『なんでこんなに恵まれた状況なのに、幸せじゃないと感じるんだろう。自分は何が嫌なのかな?』と、紙に書きだして分析したら、自分のペースで家事や育児ができないことがストレスだったんですよね。プライベートの時間が少ないのが嫌なんだとわかって、夫に話をしました。
最初は『お前の甘えじゃないか』と言われたのですが、考えれば考えるほどそういうことではないと。私と家族が合わないのであれば、絶対に家を出るべきだと思って、離婚覚悟で家を出たんです」
同居から3年後に義理の両親と別居したことによって気持ちが安定し、関係も良くなったのだそう。
「紙に書きだしたことで、客観視できたことがよかったです。イライラしたり、うまくいかないときに書くことによって、問題点がクリアに見えてくる。おかげで双子が生まれてからは、辛いと思ったことは1度もないですね。でも
子育てルールを言語化できているのは、SNSをしていたおかげなんです」
長女との時間は意識的に作るように。「夜寝る前の30分がとても大切です」
小さな子どもを持つママの心に刺さるボンベイさんの言葉は、子育て中のママたちの心に刺さり、6月には書籍化もされました。そもそもSNSを始めたきっかけとは?
「最初から発信しようとして始めたわけではないんです。育児のとても辛い時期をなんとか抜けることができて、自分の心に余裕ができたところで双子妊娠がわかり、次は自分の金銭面や立場的な不安を覚えたんです。夫に経済的に依存している状態だったのと、社会的にもキャリアがないことが不安で、何かスキルを身につけてお金を稼がなければいけないと思ったんですね。
そこで手に職をつけたいと思って始めたのが、
プログラミングの勉強。パソコンさえあれば、時間と場所に縛られずに、双子が生まれても並行して仕事ができるかなと考えたんです。そのプログラミングを使って作ったのが、双子ママ専用の掲示板『HUTACHAN—ふたごちゃんねる』で、宣伝するためにツイッターを始めたんです」
情報の少ない双子育児に役立てるため、出産後2ヶ月で作った掲示板はすぐに話題に。
「評価をしていただけただけでなく、『なんで長女がいて、双子が生まれた直後に自分の好きなことができているの?』という質問がすごく多くて。もしかしたら自分が試行錯誤してたどり着いた、今の育児や考え方が、昔の自分のように困っている方の役に立つのかもしれないと思い、双子育児のリアルをツイートしたらそれもまた話題になって。そこから発信が面白くなって、のめり込んでいった感じなんです」
育児に悩むママたちの質問に答える形でスタートした、ボンベイさんのSNS。フォロワーはいまや9万人以上。
「子どもが増えた分やることも増えたのに、考え方が変わるだけで楽になると自分で実感しました。考え方を完全に切り替えようと思ったのは、双子を妊娠したことがきっかけ。双子育児って、だいたい自分か義理の両親と同居されている方が多くて、ワンオペで双子育児をしているという情報は、見たことがないんですよね。同居が辛かったから家を出たのに、また同じことを繰り返したくないと思ったんです。しかも夫は出張続きで、全然家にいなかったので、ほぼワンオペの状態で3人を育てるのにはどうしたらいいか、改めて考えました」
実体験から生み出した育児メソッド
ボンベイさんのメソッドの中で、大きかったと感じるのは「家事ができなくても死なない」と考えたこと。それが、ボンベイさんが最重要ミッションと掲げる「死なせない育児」の元になっているといいます。
料理を作っている間にあげるおやつはフルーツ。気持ちに余裕を持ってご飯を作ることができるそう。
「
自分の時間は意識的に作りました。それから睡眠時間も大切なので、隙あらば寝る。子どもが小さいとき、寝ている間に家事をするお母さんが多すぎるなと思います。『家事なんて、切羽詰まったときに必要な分だけやればいい』くらいに気持ちを切り替えて、とにかく寝るか自分の時間にして、家事は子どもが起きているときにやるようにしました。少しずつ意識的に、自分のストレスがかからないような時間の使い方をしたのは大きかったかもしれないです」
最初に
洗濯乾燥機を導入し、誰かに頼らない代わりに、とにかく家事を減らそうと考えたというボンベイさん。家の中は3人のお子さんがいるご家庭とは思えないほど、すっきりとしています。
「荷物は増えないようにしていますが、それでも多いと思うので整理しなきゃと常に思っています。荷物が少なくなると家事の負担も減るし、部屋も広く取れます。ものだらけになるのもストレスなんですよね。おもちゃも飽きたら定期的に捨てています。土日に行く児童館におもちゃが結構あったりするから、家にはあまりなくてもいいかなと。その代わり、
絵本と知育玩具だけは買ってもいいとしています」
また、心が軽くなったのは
「子どもは泣いてもいい」という言葉だといいます。
「長女が全然寝なくてめちゃくちゃ泣く子で、泣くことがいいものだとは思ってなかったんですよね。でも生活のリズムを整えてあげる『ねんねトレーニング』に出合い、解決してあげなきゃいけない泣く理由と、泣いてもいい泣く理由があるとわかったのが大きかったですね。気がすむまで泣いたらいいと思えたら
心に余裕ができました。
双子の睡眠のリズムを合わせるのも、『ねんねトレーニング』で学んだこと。たまたまかもしれないですが、一人が起きたらもう一人も起こして、ミルクも必ず同じ時間にあげるようにしたらだんだん整ってきました」
このようにボンベイさんの心を支えてくれたのが、たくさんの
育児書。ボンベイさんの育児メソッドはそこから裏付けされたものも多いといいます。
ボンベイさんが影響を受けた本と、いつも持ち歩いているというノート。絵本の読み聞かせの大切さを教えてくれた『ザ・ギフティッド』(大川翔著/扶桑社)、「ねんねトレーニング」の『赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』(清水悦子著/かんき出版)、やさしい語り口で心に寄り添ってくれる『ママの心がふわりと軽くなる 子育てサプリ』(佐々木正美著/主婦の友社)、自分の強みを分析するのに役立った『さあ才能に目覚めよう』(トム・ラス著/日本経済新聞出版社)は、最も影響を受けた本。
「たくさん本を読んで、心に響いたフレーズはすぐに忘れるので、ノートに書き留めています。自分も興味があるから、読んだらSNSでアウトプットしようというつもりで読んでいるところもあります」
また辛いとき、義理の両親に
ヘルプは出すと決めたことも大きかったそう。
「同居しているときよりも甘えるようになりました。長女のときは頑張ってやろうとしていたので、自分への負担がかかってきた。それを切り替えられたことも大きかったです。
頑張りすぎているときは、
自己犠牲の気持ちが強かったんですよね。『こんなに頑張っているのに報われない』とか、『私だけこんなにやって夫は何もしない』とか、不満が溜まっていた。子どもに求めるものも大きくなってしまって、『こんなに食事に気を使っているのに、なんでおっぱい飲まないの?』とか、理不尽な思いもぶつけていた。本にも書いたのですが、育児や夫婦生活で、自己犠牲の気持ちを持っていたら、何もうまくいかないなと思ったんです。相手に気持ちを押し付けるくらいなら、自分が楽になって幸せになれば、周りの人も幸せになれると考えたんです」
それでももちろんイライラすることもある、と笑うボンベイさん。
「それもあるから自戒を込めて、自分が忘れたくないことをSNSで発信をしています。頻繁に考えることで、自分の思考を整理する意味合いもある。自分のためにやっているところもあるんです。私は本当にただのいち母親なので、誰かに教えるなんて気はさらさらなく、自分の思いと経験で気づいたことを書いているだけというのは忘れないようにしています。私のフォロワーさんはうちの子たちと近い年齢のお子さんを持つ方が多いので、そのときどきに気がついたことを書いて、お互いに成長していけたらいいなと思います」