2018年11月8日 12:00
寡黙でツンデレ。三毛猫の密かな愛情表現とは…【猫カレ】
そして何より、どんな親御さんにも負けない声で
「がんばれえええええっ!!」とさけぶ、お前の声が聞こえるから。
剣道の道場とはいえ、交流試合で師範は戦わない。
だから師範である俺の試合は当然見られない。
公式の試合でもないから、座る席すら碌にない。
それなのにわざわざ見に来るなんて……。
よっぽどの変わり者だよ、お前は。
「声が大きすぎる。試合の邪魔をするな」
と、休憩時間にクギを刺したら
しおれた花のように、みるみる小さくなった。
――ム。
そういうつもりでは、ないんだが。
試合後半、静かになった会場で竹刀の音が響く。
だが、俺の耳にはしっかり届いた。
「がんばれ……!がんばれ……!」
こっそりと応援している、お前の声が。
なにせ猫だから、耳はいい。
ヒトの子どもは、大人より聞き取れる音域が広いそうだ。
だからきっと子どもたちにも、お前の声は届いているだろう。
「「どうーーーー!」」
見事な打突。
最後まで決めきる、みごとな動き。
最後の試合で、道場の子が勝ちをもぎとった。
「すごかったね、最後の試合!」
笑顔が止まらない、という様子でお前が飛び跳ねる。
「――ああ」