連載記事:実録・ポジティブな離婚
【実録・ポジティブな離婚 】 「あなたがいなければ離婚してた」と言われたHさん
最後にご紹介するのは、非常に不幸な結婚生活を送ってきたにもかかわらず、「子どものために…」と離婚に踏み切れなかった女性のケースです。子ども側の意見を聞き出しました。
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H美さん:子どもの存在を理由に離婚に踏み切ることができなかった女性の娘
どれほど切望していても離婚を決断できない理由として、多くの女性が挙げるのが「子どもがかわいそうだから」というもの。
けれど望まない結婚生活を続けることが、果たして本当にお子さんのためになるのでしょうか?
「子どものために」と離婚を選択しなかった女性のお嬢さんからお話を聞くことができました。
「あなたがいなければ離婚してたのに」と言われた子どもの苦しみ
H美さんはいわゆる結婚適齢期の女性。整った顔立ちにスラリとした長身、仕事もできる素敵な女性です。
彼女の父親は大企業で重要な役職に就き、いつも忙しい方だったそうです。母親はというと、夫は滅多に家にいないし娘も優秀で手がかからないからと、長い間趣味の世界に生きていました。
ところが父親の役職が変わって長期出張や単身赴任がなくなり、家で過ごす時間が急に長くなり母親にとって非常に大きなストレスになりました。
週末、あまりに露骨にイライラしているので、父親は身の置きどころに困り、好きでもない散歩にできるだけ出かけ、近所をブラブラしては申し訳なさそうに帰って来るようになります。
そんな家庭の雰囲気がとてもイヤだったというH美さん。一番イヤだったのは母親が娘であるH美さんに、結婚生活に関する愚痴をこぼし始めたことだと。
「パパが家にいるようになって、憂鬱で仕方がないわ」、「また単身赴任してくれたらいいのに」。「顔もみたくない」そしてH美さんにとって聞くのが最もつらかった言葉はこれです。
「あなたがいなければ、パパとなんてとっくに離婚してるのに」
親が子どもを愛するのと同じくらい子どもも親を愛しています。大好きなママが自分のせいで不幸な生活に甘んじていると知ったら、子どもはどれほどつらい思いをするでしょう。