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夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に
モンスターワイフの影が見えるから…。
前回までは、ビジュアル系、メンタル系のモンスターワイフのリアル・ストーリーをご紹介してきました。いよいよ今回は、
セクシャル系モンスターの登場です。
セクシャル系モンスターワイフになるのは、実は
無自覚のケースが大半。ハッと気付けばモンスター化していた、というケースが多いのです。けれども、一度暴れだしたモンスターを退治するのは茨の道。
ご紹介するエピソードとチェックテストを参考に、セクシャル系モンスターの魔の手が自分に忍び寄りつつないか、確認してみてください。
■筋金入りのマグロ女、気づいてみたらセックスレス!?
「セクシャル系モンスター 遅咲き冷凍マグロ」代表:和枝(仮名)34歳の場合
「え…うちってマズイの?」
和枝は思わずつぶやいた。
テレビをつけると、セックスレス特集番組が目に飛び込んできたのだ。
夫の雅史と最後に抱き合ったのはいつだったか、和枝は思い出せなかった。1年くらい前…? 2年以上前ってことはないと思うけど…。不安感が、和枝の心をじわじわととらえ始めた。
「私たちが
セックスレス? 男はいつだって、セックスのことで頭がいっぱいなんじゃないの?」
和枝は性的に淡泊なタイプだった。ただ、男というのは誰でもセックスしたがるもの。そしてセックスさせてあげれば、男女の仲は安泰…それが、和枝のセックス観。
和枝はふくよかなボディだ。
豊満なバスト。ムッチリした太もも。バスタイムに鏡にうつる魅力的なボディを見つめて、笑みを浮かべていた。実際、黙ってセックスを「させてあげる」ことで、彼女は好条件の夫を手に入れた。同い年の雅史は真面目な働き者で、とても優しい。2人は28歳の時に結婚した。
結婚後、セックスに興味のない和枝には、定期的にお誘いがかかる夫との
セックスが、ただの面倒な作業にしか思えなかった。それでも仕方なく、4度に1度くらいは誘いに応じるようにしていた。
しかし…和枝はベッドの上では仰向けに寝そべったまま動かない。雅史が腰を振る時だけかろうじて背中に手を回すという動作しかしない。ましてや雅史をなでるとかなめるとかは一切ない。
和枝は筋金入りの
『冷凍マグロ』だった。
和枝にとってセックスは男に「させてあげるもの」。自分のほうから何か「してあげる」必要があるなどとは、夢にも思っていなかったのだ。冷凍マグロの和枝は、雅史の心まで冷まし始めた。雅史は次第に和枝を誘わなくなっていった。
そこに、テレビのセックスレス特集である。男というのは断られても、しぶとく誘ってくるものだと和枝は思っていた。それが今では、もう最後に誘われたのがいつだったか思い出せない…。
「なんで? どうして? まさか雅史、浮気してるの…??」
■浮気を疑って夫のパソコンを見たら、そこには驚きの…
和枝は夫の行動に目を光らせ始めた。夫のスマホを盗み見るまでした和枝だが、疑わしい点は何一つ見当たらない。
それでは夫の部屋にあるパソコンは? パソコンを使って浮気相手とやり取りしている可能性だってある。そう考えた和枝は、週末自室でパソコンを使っていた雅史がトイレに立ったスキに、夫の部屋に忍び込んだ。
「なにこれ…!!」
そこには、和枝が想像すらしていなかった光景が広がっていた。
アダルト動画のサイト…和枝の頭の半分は、衝撃でまひしている。けれど、残りの半分は妙に冷静だった。雅史はこれまでに、どんな動画を視聴してきたのだろう? マウスに置かれた手が勝手に動く。和枝の目の前に、雅史が購入ずみの動画一覧が表示された。
「…女子大生? …セーラー服?? …幼な妻???」
甘ったるい童顔、薄桃色のほっぺ、切りそろえた前髪、小柄で華奢(きゃしゃ)な体…これでもかと言わんばかりに若さを前面に押し出した女たちの裸体が、次々と目に飛び込んでくる。
「これは、私への当て付けなの?」
怒りに震えた。和枝はボディに自信があるし、雅史も彼女の女性らしい体つきが好きだと言っていた。
自分は「求められる女」なのだという自信が和枝にはある。
だからこそ、この現状に死ぬほど屈辱的な思いを感じてしまった。
「確かに私はもう30代だし、グラビアアイドルでもない。だけど、画面の向こうの誰かじゃなくて、雅史の目の前にいる生身の女なのよ。それなのに…それなのに私とはセックスレスで、こんな動画を見てるだなんて、許せない!!」
何が何でも雅史の目を、もう一度私のほうへ向けてやる。和枝は決心した。その夜の寝室。先にベッドに入り、車の雑誌を読んでいる夫に切り出した。
「ねえ雅史、そういえば私たち、もうずっとセックスしていないよね。
久しぶりにしない?」
雅史はきっと大喜びでこの申し出に乗ってくる。和枝は確信していた。昔はあんなに誘ってきた雅史だもの。一人で動画なんか見てるより、実際に私とセックスできたほうが、ずっといいに決まってるわ。
ところが、雅史の反応はまったく想定外のものだった。彼は居心地の悪いような、少し怒ったような顔をして、こう言ったのだ。
「何だよ、どうしたんだよ、今さら。和枝は
セックス嫌いだろ。いいよ無理しなくて。それじゃあ、おやすみ。」
雅史は雑誌をポンっとサイドテーブルに投げてスタンドの灯りを消した。和枝は二の句をつげない。その夜、彼女は一睡もできなかった。