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以前児童館で、ある一人のお母さんを見かけたときのこと。ほとんどのお母さんたちは、遊んでいる我が子のそばで一緒に遊んでいたり、近くにいる他のお母さんと挨拶をしたり会話をしています。そんな中、そのお母さんは、子供から離れ、壁に寄りかかり一点を見つめながら元気のない様子。気になってはいたけれど、走り回る我が子から目が離せず、その時私は時々遠目から見ることしかできませんでした。しばらくすると、あるお母さんがそのお母さんに声をかけました。最初は挨拶をする程度だったのが、お互いの子供も交え、会話も弾んでいき、元気のなかったお母さんの顔がだんだん明るくなっていきました。私はそれを見て、ほっとしました。私にも一歳になる息子がいます。自分ももしかすると、自分では気づいていないだけで元気の無い顔をしている時があるのかもしれない。辛そう見えるときがあるのかもしれない。自分が育児でとても悩んでいた時期、児童館へ行って他のお母さんが挨拶をしてくれたり、ちょっとしたことを会話するだけで、帰る頃には気持ちが本当に軽くなりました。児童館だけでのことではありません。あらゆる場面で、同じように気持ちが救われたお母さんたちがたくさんいらっしゃると思います。そして救えると思います。声をかける。自分のことでもいい、小さなことでもいい、何でもいいから話を聞く、聞いてもらう。これは #わたしたちでもできること だと思います。TABATOVAInstagram :taba_____tova
2018年09月06日チームラボキッズ代表松本明耐さんチームラボの教育プロジェクト「学ぶ!未来の遊園地」の運営会社として2013年に設立されたチームラボキッズ株式会社の代表。プライベートでは3児(9歳、7歳、1歳)の父。世界各国で常設展や企画展を行っているチームラボ。1万㎡もの広大なスペースに約500台のプロジェクターとコンピューターが稼働し60を超える作品が展示されている「チームラボボーダレス」は、これまでにない新しいミュージアムとも評され見どころもたくさん。そこでチームラボとして子どもたちに伝えたいメッセージを、チームラボキッズ株式会社の代表であり自身も3人の子育て真っ最中でもある松本さんに聞いてきました。大切なのは世界を身体的にとらえ、共同で創造的な体験をすること子どもたちにとって「チームラボ ボーダーレス」はどういった場所なのか。企画に携わった松本さんから教えていただけますか?松本:これまでチームラボは「共同で創造的な体験をする場所として、学ぶ!未来の遊園地という教育プロジェクトを行って来ました。これは、「一人でやるよりも、他者とともに何かを創ることは素晴らしいよ」と子供に感じてもらうことを一つの目的にしています。そしてそれは、チームラボそのものでもあります。というのも、これまでチームラボの作品は様々な職種のプロフェッショナルが集まり、共同で創造的な作業をしていく中で生まれてきました。作品を1つ完成させるにあたっても、エンジニアや建築士、センサーエンジニア、デザイナーなど多くのメンバーの力を集結して作っているんです。今回の「チームラボボーダーレス」は、それらの作品群を擁する巨大なミュージアムです。「自分1人ではなく他者がいるからできること」の重要性を伝えたい、ということなんですね。松本:はい。でもそれは「チームラボだから」という特別なことではないと思います。誰しもが社会に出たら基本はチームで仕事をすることがほとんどで、どんな職種であっても1人で何かを解決するというシーンは少ないと思っています。チームの中で他者と互いに影響を与えあってプロジェクトを遂行し、そうして仕事を進めていく。かたや学校の教育現場で考えると、宿題や試験など個人でやることがものすごく多く、チームでやることは文化祭の出し物や部活など限られている。チームでものづくりをするという経験は社会に出た時に必ず力になるし役立つのに、かたや教育現場ではその体験が非常に少ない。そこに対する疑問だったり、チームラボの根幹にある「みんなで一緒に何かを作るのは楽しいし、素晴らしい」という考え方を、社会に対して提案できたらいいなと思っています。“共創の体験” が観るだけ、ではなく身体を使ったものという点も斬新でした。松本:「身体性」は重要なキーワードです。今の子どもたちってスマホが大好きですよね。でも、小さな子が1人で時間を忘れてスマホに没頭し続けている状況ってどうなんだろう?指と脳だけじゃなくて身体的に世界を感じていく機会が、もっとあったらいいと思いました。そうした背景があって、これまで以上に身体を通じた体験ができる空間を意識されているんですね。松本:「未来の遊園地」を4年ほどやり、新たなプロジェクトとして、「チームラボアスレチックス 運動の森(以下、運動の森)」を始めました。ここでは子どもたちに脳だけではなく “身体を通じて世界に触れ、理解してほしい” というテーマを掲げています。例えば現代の都市は圧倒的に平たい空間で作られていますよね。地面も平らで坂道など多少の凸凹はあっても大予想がつく範囲内です。知らない街に行ったとしても「次の角を曲がったらコンビニがありそうだ」と大体は想像がつくし、スマホを見ながらでも歩くこともできます。しかし、山や森など自然に足を踏み入れると地面は整備されていないし、丘の向こうには何があるかわからない。当然スマホを見ながら歩くなんて不可能です。でも実は、そうした複雑な環境に身を置いた方が脳と身体を使って処理しなければならない情報が増え、より高次元でものごとを捉えられるようになります。この “立体的に物事を考える能力” が、人間を強くしていくんだと僕らは考えています。確かにボーダレスは2mもの高低差があるエリアや、そもそも道順がないなど、「この先はどうなっているんだろう?」という好奇心を刺激されました。また、1つの作品が複数の部屋にまたがって存在しているという構成も斬新でした。松本:今回は、館全体が1つの作品という構成になっています。デジタル技術で壁に映し出された蝶やカラスは部屋をまたがって移動していくので、たとえ同じ部屋にずっと居たとしても、時間により目の前に現れる作品は異なります。なので、一つの部屋にとどまって色々な作品を見ても良いし、移動する生き物について行き色々な部屋に行っても良い。そして作品はその空間にいる私たちからも影響を受け変化していくので、二度と同じ世界は有りません。“鑑賞者の存在によって作品が変化していく” というのが面白いですね。松本:ボーダレスでの体験がきっかけで、他者の存在をポジティブに考えられたらと思っています。例えば、美術館で作品を鑑賞する時、混雑していると他人に対して「作品が見えないし邪魔だな」と思うのが普通だと思います。でも、僕らの場合は “他者がいる” と作品が豊かになる。例えば「花の部屋」では人が多ければ多いほどが花が咲き、あるいは散っていく。水の流れは割れ、書は世界を創っていく。そうやって、他者を肯定していく体験を通じて、実際の社会でも、他者をもっと理解し肯定していくきっかけになるのではないかと思っているんです。子育て中の親の希望として「子どもをアートに触れさせたい」と考える親も多いですが、何かアドバイスはありますか?松本:文化的教養に触れさせようとする親は多いと思いますが、子どもにとってみたら「それがアートかどうか」というのは関係ないとおもいます。純粋に面白い形や美しいものを見せたり、新しい体験をさせたり。だから頭でっかちに「アート!」と考えなくていいんじゃないかなと思います。「未来の社会では答えのないものを解決する力が重要」とよく言われています。そうした時代に生きる子供たちに、ボーダレスで体験したことで何かヒントが得られればいいなと思います。何を美しいと思うかはバラバラでいい。ボーダレスを体験して「正解は1つじゃなくていいんだな」と肯定されているように感じました。あらかじめ決められた正解が1つしかなかったり、勝ち負けの価値観しかない社会は少し息苦しいのかな、と思うので。松本:社会に出たら正解は一つじゃない。例えばひとくちに「書店」といっても、インターネットで本を売るのも正解だし、かっこいいカフェ付きのこだわりの本屋だって正解。チームワークでなにかをするといっても「何を美しいと思うか」はバラバラでいい。だってそれが他者を肯定的に捉えることに繋がっていきますから。松本さん個人のお話として、実際にパパになったことで仕事に生かされていると感じることはありますか?松本:めちゃめちゃ影響ありますよ。そもそもチームラボが「お絵かき水族館」のような教育事業をはじめたのは、メンバーに子を持つ親が増えたことも大きいですね。自分の子供の教育環境を見たりするなかで、身体性や創造性がある体験をさせたいと思う事が増えていった。また、かたやぼくらは世界中で展覧会を行っていて、海外で子供たちが美術館で走り回る姿を目撃して衝撃を受けたりした。そうした複合的な要素があわさって今に至っています。3人のお子さんたちへの教育として何か体験させていることはありますか?松本:まずは「子どもに何を体験させるか」ではなく「自分が子どもとどう向き合うか」が絶対先にくるべきですよね。意識として、子ども扱いせずに基本的には1人の人間として接するようにしています。だから、僕は子どもに対して仕事の話や自分の話もたくさんします。子どもが内容を100%理解していなくても根気よく話します。それも単に仕事の業務内容ではなく、「お父さんは何を考えて仕事をしているのか」「お父さんはこう思っている」と、自分の仕事を通じて自分の思想を伝えていく。仕事場に連れて行くことも多いです。僕が働く現場を見せることで、、どういった姿勢で問題に向き合っているのか、伝わることもあるはずですから。とはいっても僕は特殊な例で、親が働く現場を見せることが難しい場合がほとんどですよね。だからこそ、“自分が1番好きなことをやりつづけること、そしてその姿を子どもに見せること” が1番の教育なんじゃないかなと思っています。パパが楽しく働いている姿を見せることで、子にとっては社会に出ることが楽しみになるんじゃないかと。要は親の背中を見せる、ということですね。松本:幸いなことに、だんだんと自分が好きなことをやり続けることはそんなに難しい話ゃない時代になってきていますよね。例えば最初は本業じゃなかったとしても、自分だけの視点で100ているSNSが世界中の人に支持されればそれでご飯が食べられるようになるかもしれない。ある統計で目にしたのですが、勉強が好きな子どもの割合が高い親の職業は医者だそうです。所得が高い人の中でも、特に医者の子供は勉強が好きな割合が多い。なぜ医者かと言うと、親の所得ではなく、お父さんが常に勉強している姿を子どもに見せられるから、いう説があります。基本的に医者は新しいことを学ぶこと多く、学会や論文雑誌などで新しい医学情報が出るとそれを勉強する機会が多い。仕事場以外でも、家で論文を執筆したり机に向かって勉強しているという姿勢を子に見せることが、“知識をつけたり、何かを学ぶのは楽しい“ という子どもの知的好奇心へと繋がっていく。親はつい子どもに対して口うるさく「勉強しなさい」と注意してしまいがちですが、それよりも親が何かを学ぼうとしている姿勢を見せることの方が子に伝わる。それは先程の話にも通じることで、誰かに説明してもらうことではなく、自分で発見し想像していくことが何より大切だと信じています。Photo:Nanako HidakaText&Composition:Shiho Kodama▼体験するアート「チームラボ ボーダレス」
2018年09月06日『親は子を愛するのが当然』。これが世の中の大多数の共通認識だと思う。でも、今まさに子育てに行き詰っている親にとって、その認識がどれほどの苦痛だろう。「子供を叩く親の気持ちなんて全く理解できない」と、本当にすべての親が思っているだろうか?子供と一緒にいるのがすごく辛いとか、我が子を可愛いと思えないとか、そういう悩みを口に出してはいけない暗黙のルールがある社会で、健全な精神で子育てができるだろうか?社会や地域全体に「包容力」みたいなものがあれば、きっと多くの親が、我が子を叩くよりも自分が泣いて誰かに助けを求めることを選ぶ。育児が嫌になったときや、自分のやっていることが虐待ではないかと不安になったとき、迷わず誰かに相談できる社会だったらいいのに。そう考えたとき、一番頼りになるのは地域の力だと感じる。国民全員がほんの1%ずつでも勇気を出して「お節介なおっちゃんおばちゃん」になればいい。カフカ ヤマモトInstagram : cafca_yamamoto
2018年09月05日揺らぐ信頼と、増す苦しみ前回「つづく(正確には、続いちゃった)」と締めましたが……。続きません!本当は私たちの結婚式について書くつもりだったのですが、それどころではなくなってしまったのです。きっかけは、以前にも書いた、降って湧いたような “麻ちゃんの転職するかも騒動” でした。結局、転職話は立ち消えになったものの、「相談もしてもらえないなんて……」と思い、一気に落ち込んでしまったのです。そして、改めて身の回りを見れば、3人の子どもの育児に追われる生活は終わり(まだ1人、十分手のかかる子が残っていますが)、これまでのように “麻ちゃんと2人で協力して、なんとかしなきゃ” と気張る必要もないことに、気付いてしまいました。「これまでは、子どもがいたから家族っぽい感じだったけれど、そもそも夫婦でもないし、これからもずっと一緒にいると決まってもいない……」。そう思った途端、家の中の空気は冷え、自信を無くしていました。私って、信頼に値しない相手?長年かけて、獲得してきたと思っていた信頼は勘違い?相手にとって、自分がパートナーでいいのかなぁ?っていうか、面倒くさい女って思われてる?考えすぎて、麻ちゃんと “どう接していたか” も分からない有り様になりました。無駄な思考のループは勢いを増し、暴走を始め、ついには迷走し、ついでに瞑想し(ダジャレを言っている場合じゃないけど、やってみた)、さらにはヨガを始め、泳いでみたり、飲めない酒も飲んでみたり……したけど、スッキリしない!つまりこれは、3人の子どもたちを最優先にして、これまでパートナーとしっかり向き合った経験のなかった私たちに、“2人で生きていく” という課題が突き付けられた、ということなのです。“幸せは倍に、苦しみは半分に” なんてのは、2人の関係が良い時の話。噛み合わなくなった2人なんて、逃げ場がない分、苦しみが10倍に膨れ上がってしまいます。師匠に打ち明けた思いこうなったら、私が行くところはひとつ。パートナーシップの師匠、Taqさんこと大塚隆史さんが営む、新宿「タックスノット」というゲイバーです。Taqさんはアーティストであり、ゲイのパートナーシップについて、長年説いてこられた方です(伝説のラジオ番組「スネークマンショー」で、同性愛が全く理解されていなかった70年代から、ゲイのパーソナリティとして活躍されていました)。そして、私たちの結婚式を取り持ってくださった方でもあります。私がTaqさんを知ったのは、麻ちゃんと暮らすことになるか、ならないか、という頃。婚姻制度で結ばれない私たちが、パートナーシップをどう築けばよいのか、道しるべを探していた時に、Taqさんがミクシィで連載していた(元々はゲイ雑誌「Badi」で連載されていた内容だそうです)『トゥマン道場』に出会ったのでした。“トゥマン” というのは、万葉集で使われていた “つま” という言葉に由来するそうです。この “つま” は、妻ではありません。万葉の時代では、男女を問わずパートナーのことを “つま” と呼んでいたのだそうです。そして “つま” は、「とぅま」と発音されていたことから、Taqさんが同性同士のパートナーシップのことをトゥマンと命名し(ちょっとフレンチ!)、伝道されていたのです。Taqさんが『トゥマン道場』で語られていた言葉には甘えがなく、常にパートナーと共に生きていく覚悟を問うていました。「いつか王子様が病」から抜け出せない私には、電撃に打たれたような思いでした。幸せになりたいとか、愛されたいとか、パートナーシップってそんなことじゃ、全然ないんだ。自分が本当に望むものを見極めて、それ以外は切り捨て、主体性を持って選び取る。パートナーシップを築くということはどういうことなのか、初めて教わった私たちは、貪るように『トゥマン道場』を読みました。私は下戸なうえに、一応女性ですので、ゲイバーに一度も行ったことがありませんでした。同性カップルの迷子である私たちは、藁にもすがる思いでTaqさんと話をしたいと、3人の子どもを親に預け、麻ちゃんと緊張に震えながらゲイタウン新宿二丁目(正しくは、タックスノットは新宿二丁目と道を挟んですぐの新宿三丁目にあります)に向かい、タックスノットの扉を叩いたのです。ゲイバーという言葉からイメージされる、暗いバーカウンターの店を想像していた私たちの目に飛び込んできたのは、白い壁に煌々と眩しい電気。バーというには明るすぎる店内。そしてカウンターの向こうに、にこやかな笑顔のTaqさんがいました。ただただ「『トゥマン道場』の話をもっと聞きたい!」という、高ぶった気持ちでやって来た無知なヒヨッコレズビアンカップルを、温かく迎えてくれたうえに、私たちが子育てをしていることに、とても興味を持ってくださったのでした。当時、同性カップルで子育てをしていると言うと、LGBT当事者にさえギョッとされたり、「それって大丈夫なの?」と心配された時代です。なかなか言いにくかった子育てを、手放しに“良いこと”だと言ってもらえて、とても嬉しかったことを覚えています。それ以来、季節ごとに子どもを預けてタックスノットにお邪魔するようになり、カウンターに腰掛けては、たくさんのことをTaqさんや周りのお客さんから教えていただきました。私たちにとってはまさに師匠、迷った時の灯台のような存在です。だからこそ、パートナーシップに行き詰まったときは、ココ一択なのです。迷路の中の自分扉を開けるなり「どうしたの!暗い顔!」。初めて訪れた時と同じ、明るいTaqさんの声が飛んできました。「あぁ、みんなお見通しなんだなぁ」と、カウンターにつくなり、これこれこんなことがあり、あれが嫌だ、これが嫌だ、麻ちゃんから好かれているのか分からない、とブチまける私の話を、フンフンと聞いてくれていたTaqさん。「つまり小野ちゃんは、相談してもらえなかったことで、傷ついているのね」と言うと、「でもね……」と目を細めてこう続けたのです。「相手がこうしてくれない、ああしてくれないって言い出したら、それはもう終わりなんだけどね」終わり?その衝撃的な言葉に、目が覚めた思いでした。「そうか、終わることも、すぐそこにあるのか」、「いつのまに、こんなところにまで迷い込んでしまったのだろう」と、泣きたい気持ちでしたが、泣いている場合ではありません。大切にしてきたはずのパートナーシップを、私はいつのまにか、大切にしていなかったのです。私は話がしたくなるような相手だったでしょうか?話したい、聞いてほしいと思わせる態度じゃなかったと、初めて気が付きました。「パートナーシップは技術だ」と、Taqさんは言います。「自分を変えるとか、相手を変えるのではなく、お互いが心地良いと思えるような関係づくりの技術の獲得よ」というTaqさんの言葉が、くじけそうな自分の気持ちを、なんとか踏みとどまらせてくれました。そして、改めて気を引き締め直す日々が始まりました。Taqさんにも店のお客さんにも、「そこじゃない!」と言われたけれど、まずはダイエットから。2年前に大病をしてから「薬の副作用で太って、みっともなくなった」という思いがあったので、ここはまず、自分に気合を入れるため、痩せることに。そんなレベルなので、話したくなる相手になるには、まだまだ時間がかかりそうです。冷え切った空気は、なかなか回復しませんが、毎日が現在進行形で、試行錯誤中なのです。そんなある夜、狭い我が家の洗面所、洗濯機の前で麻ちゃんと話し合いました。お互いに泣いて、ともかく仲直りしました。根深い問題は、まだまだたくさんあるけれど、“1000回ケンカして、1000回大事なことを忘れかけても、1001回仲直りして” このまま続いていけるといいなぁ(これは、私の大好きな漫画『ハチミツとクローバー』の最終巻に収められている短編漫画『空の小鳥』に出てくるフレーズなのです)。それにしても、お互いが好きで、お互いに合わせるように努力してきたはずなのに、どこで食い違ったのか?その疑問だけは残っていました。そうしたところ、麻ちゃんがこんなことを言ったのです。「あのさ、ひとつ問題が起こった時、お互いのやり方に、お互いが合わせようとして、結局2人とも変えちゃうから、いつまで経っても距離が縮まらないんじゃない?」「な、なるほどー!そういうことだったのか!道理で、いつまでも近づけないな、と思っていました!」と、腑に落ちたのです。そして、この人のこういう頭の冴えわたったところが好きなんだよなあ、としみじみ思ったのでした。Composition:Yoshiyuki Shimazu
2018年09月04日秋のGUキッズはますますパワーアップして登場!特にガールズアイテムの注目はチェック柄です!今週のGUは特におすすめしたいチェック柄をコーディネート式で紹介します。GIRLSフェイクファーベレーBLACK¥1,290+税※一部店舗のみ販売GIRLSチェックキャミセットクールネックTBLACK¥1,690+税GIRLSウラキモウ デニムスカートBLUE¥1,490+税GIRLSフェイクファー ベルトスニーカーBLACK¥1,690+税定番の赤×ネイビーのタータンチェックは、黒ベースのコーデで大人っぽく着こなしてお出かけスタイルに。ファーやボンボンなど、秋らしい素材の小物は秋~冬で大活躍しそう。GIRLSフェイクファーキャミセットNATURAL¥1,690+税GIRLSチェックワイドパンツDARK GREEN¥1,690+税GIRLSウラキモウ デニムスカートBLUE¥1,490+税GIRLSバックリボンブーツBEIGE¥1,990+税今年注目のカラーチェックは広範囲で取り入れると一層かわいさが増します。ファーのキャミは取り外しできるので着回しも楽しくできそう。早めに手に入れたいブーツは要ちぇくです!GIRLSフリルスリーブ スウェットGRAY¥990+税GIRLSデニムオーバールBLUE¥1,990+税GIRLSチェックバレエシューズBLACK¥1,490+税動きやすさ重視のカジュアルな組み合わせ。足元のチェックのバレエシューズが大人っぽく仕上げて街着にも◎GIRLSリブフリルネックセーターRED¥990+税GIRLSサスペンダーツキワイドパンツDARK GRAY¥1,690+税GIRLSウラキモウ デニムスカートBLUE¥1,490+税GIRLSフェイクファー ベルトスニーカーGRAY¥1,690+税今年も引き続きグレンチェックに注目。赤のフリルつきニットが子供らしいあどけなさを演出してくれます。足元は一足あると使えるファーシューズがマスト。Composition:Kana MatsumotoPhoto:Makoto MutoDesign:Hisako Ninomiya
2018年09月03日0歳〜活躍ラクしてきちんと見え『韓国子ども服』の襟つきカットソー《 紹介者 》ライター小和野薫子さんViViをはじめ女性ファッション誌のライターとして活躍されている小和野薫子さん。5歳の男の子と3歳の女の子のママ。いいものを見つける感度の高さは、育児アイテムにも生かされています。ファッションライターとして活躍されていた小和野さん。子どものファッションにも並々ならぬこだわりが。そんな彼女が何枚も買い足すほど虜になった子ども服とは?インスタで芋づる式にショップ開拓子ども服がとにかく大好き。自分の服より高いヨーロッパブランドの服も買ったり。でも、ヘビーユースしているのは間違いなく韓国の子ども服です。無地で素材やカタチにこだわっている服が安く揃うので、長男が1歳になった頃からよく買うようになりました。ネットショップは入れ替わりが激しいので、いつもインスタでショップ開拓をしています。着まわし力はデニム並み!▼購入はこちらIpunia(イプニア)中でもこの襟つきカットソーは大ヒット!サイズアウトするたびに、色違いで何度も買い直しています。ヨーロッパブランドの主役級ワンピに合わせたり、フリフリのスカートでキュートに仕上げたり、ラルフローレンの正統派ワンピに合わせれば冠婚葬祭にも使えます。これからの季節は、カーディガンと合わせるのがおすすめ。価格もお手頃なので、保育園のお着替え用にも持たせています。コンフォータブルな着心地きちんと見えのアイテムって、伸縮性のないシャツだったり首元が窮屈だったり。子どもにとっては、動きづらくて着心地の悪いものが多いですが、このカットソーは伸縮素材なので娘も嫌がりません。見栄えだけではなく、子どもにとって快適かどうかということも、服選びでは大事ですよね。Text:Kyoko Isobe
2018年09月01日ママ向け自伝は究極の育児書『母脳』黒川伊保子著《 紹介者 》ライター小和野薫子さんViViをはじめ女性ファッション誌のライターとして活躍されている小和野薫子さん。5歳の男の子と3歳の女の子のママ。いいものを見つける感度の高さは、育児アイテムにも生かされています。ママが持てる読書タイムはごくわずか。有意義なものにしたいですよね。本の世界を楽しみつつ、育児にもいいインスピレーションを与えてくれる。そんな欲張りな願いを叶えてくれる本を紹介。カフェでつかの間の読書タイムもともと読書が大好きで、長男の出産前は毎日半身浴をしながら2時間くらい読書を楽しんでいたほど。妊娠で頭が育児モードになり、育児書を中心にいろいろと乱読していました。でも出産してからは読書の時間がなく、隙間時間にSNSの育児情報を見る程度に。子ども2人を幼稚園に通わせるようになったので、最近また読書を再開しました。近所のカフェで、美味しいコーヒーを片手に過ごす読書の時間は至福のひとときです。自伝から子育てのインスピレーションをハウツー本、タレント本、マンガ、「子どもを東大に」的な教育本まで、あらゆるジャンルの育児書を読んできました。最近は、ザ・育児書より自伝タイプの本から子育てのインスピレーションを得ています。「この人はどういう風に育てられたのか」。ちらっと、だけど濃厚に登場するお母さんの姿に注目しています。結婚式の両親への手紙みたいに、その人の半生から垣間見られる母親の姿ってリアルでとても刺激を受けます。おすすめはこの3冊ひとつは、人工知能研究者でエッセイストの黒川伊保子さん著の『母脳』。著者の息子への愛に満ち溢れた、とてもエモーショナルな一冊。母としての気持ちに共感し、憧れるのはもちろん、研究者としての視点が勉強にもなる。私は前書きの2ページで泣きました。2冊目は、瀧靖之さんの『「賢い子」は図鑑で育てる』。こちらも科学者の方が自分の子育てを書いた説得力のある1冊。手を離れた後も子どもが幸せな人生を歩んでいくにはどうしたらいいか、と考えさせられました。最後は、『テルマエ・ロマエ』の漫画家ヤマザキマリさんの体験的人生論、『国境のない生き方』。独自の生き方を貫いている人のご両親って、本当にスケールが大きくて育児が独創的。育児に正解はない、ということを改めて感じました。Text:Kyoko Isobe
2018年09月01日生後5ヶ月〜活躍離乳食拒否から救ってくれた『ののじ』のスプーン《 紹介者 》ライター小和野薫子さんViViをはじめ女性ファッション誌のライターとして活躍されている小和野薫子さん。5歳の男の子と3歳の女の子のママ。いいものを見つける感度の高さは、育児アイテムにも生かされています。離乳食といえば、たいていのママたちが何かしらの悩みを持つもの。なかなか離乳食を口にしない我が子。そんな育児の壁にぶつかった小和野さんが、あらゆる試みを経て辿り着いた逸品を紹介します。初めてぶつかった育児の壁育児に悩みはつきもの。私にとって最初の大きな壁は、長男の離乳食でした。食べる。この当たり前の行為がなんでできないのだろう。食べないと大きくならないかも。次々と押し寄せる焦りと不安。悩んだ私の頭の中は離乳食のことでいっぱい。食器やカトラリー、中でもスプーンをいろいろと試しました。お祝いで頂いたブランドのもの、当時流行っていたシリコンのもの、百均のものまで……。たかがスプーンですが、食べ方どころか口の開け方も分からない赤ちゃんが、抵抗なく口を開けてくれるものを探すのって本当に大変。悩みから解放してくれた神アイテム▼購入はこちら「ののじ」公式ショップそして、ようやく辿り着いたのが、この「ののじ」のスプーン。並んで座って離乳食をあげやすいよう、柄の部分がしなっていて無理なく子どもの口に運べてノンストレスです。この絶妙なカーブや薄くて滑らかな口当たりのおかげで、子どもも抵抗なく自然と口を開けてくれます。苦痛だった離乳食タイムを楽しい親子時間へと変えてくれたこのスプーンは、まさに神アイテム!私は計10本近くママ友に買って配りました。そして、みんな絶賛していました。思い出のスプーンは今でも朝食とともに安心の日本製で、無駄のないシンプルでスマートなデザイン。かつ、色や匂い移りもなし。本物志向のママも満足できるクオリティです。子どもが大きくなったいまは、深いビンに入ったジャム用スプーンとして大活躍!大きくなった子どもたちが、このスプーンでパンにジャムを塗っている姿をみると、赤ちゃんの頃の記憶が蘇ってきて幸せな気持ちになります。一瞬で使い終わるのではなく、思い出がつまった育児グッズをこうして別の用途で長く使っていける点でも魅力的だなと思います。Text:Kyoko Isobe
2018年09月01日この世から児童虐待がなくなるように、との願いから「#こどものいのちはこどものもの」というチームを組み、さまざまな活動をしているイラストエッセイストの犬山紙子さん。児童相談所で長年子どもの問題を扱ってきた元児童心理司で、『告発児童相談所が子供を殺す』などの著書もあるカウンセラーの山脇由貴子先生。児童虐待の根絶に向けた活動を続けているお二人に、“#わたしたちでもできること”というテーマで対談していただきました。※お二人の対談を3回に分けてお送りします。子どもの泣き声が大きすぎてもしも自分が通報されてしまったら……犬山:これまでの話とは逆なんですけど……イヤイヤ期で、毎日ギャン泣きするような子どもがいるお母さんの中には、自分が通報されやしないかとビクビクしている人も多いと思うんですよ。でも、もし通報されて、ちょっと様子を見に来られたとしても、別に堂々としていればいいんですよね。山脇:そうそう。通報されたくないからって、タオルで子どもの口を押さえちゃったりするお母さんも本当にいますけど。堂々としていればいいんです。そのあたりは、児童相談所の職員も慣れているので。「近所から通報があったので訪問しました。心当たりがありますか?」って聞かれたら「うちだと思います。いつか通報されるんじゃないかと思っていました。泣き声が大きくて困っているんです」と言って、子どもを見せればいいだけのこと。けっこういますよ、そういうお母さん。犬山:変に怖がりすぎないことですね。とはいえ、子どもがギャン泣きしているとき「うわ~、隣の家、どう思っているのかなぁ」っていうのは、頭をよぎりますよね。今日もうちの子の通う保育園のクラスメイトの女の子が、イヤイヤ期がすごすぎて、下着姿で登園してきたんですよ。お母さんも「どうしても着せられなかったんです」と言っていて。実際、保育園でも30分くらい着せられなかったみたい(笑)。それくらい大変な子は大変ですもんね。山脇:あと、中には近隣の人が、子どもの泣き声がうるさいから、児童相談所に通報して「なんとかしてくれ!」っていうケースもある。児童相談所が来ること自体は全然気にする必要はないです。「たぶん、またあると思います」くらいの対応で平気だと思います。犬山:あー、よかったー。心がラクになった~(笑)。山脇:児童相談所って通報するだけじゃなくて、もちろん相談することもできるんです。子どもがすごく泣いちゃって、バンバン通報されちゃうという人だったら「どうしたらいいんでしょう?」って、相談しちゃえばいいんですよ。虐待ではないんですから。自分も虐待してしまうかもしれないという不安カーッとなってしまった後はまず子どもにちゃんと謝ることが大切――自分が子どもを虐待してしまわないために、できることはありますか?山脇:子育ては大変だから、イラッとしますよね、絶対。イラッとして、子どもに何かひどいことを言ったり、たたいちゃったりしたら、それはもう子どもに謝るしかなくて。「ごめんね、イライラしちゃった……」って言って、ギュッてしてあげるしかない。犬山:そこで謝らずに正当化すると恐ろしいですよね。山脇:そう、「あんたが悪いからでしょ」っていうことになっちゃうので。基本は素直に謝ること。子どもにも「ごめんなさい」はちゃんと言いましょう。親が謝ってくれると、子どもは「自分が悪かったわけじゃないんだ」ということが分かるので。子どもにそれを分からせるということが大事。あとは、自分がどういうときにイライラしやすいかを知っておくことですよね。犬山:イラッとした後に、メモを取るといいかもしれないですね。おなかが空いていたとか、仕事をめちゃ抱えていたとか。山脇:カーッとなったときは、ちょっと子どもから離れられるといい。だから、やっぱり育児の協力者がいるのが一番いいですよね。どうしてもいない人は、自治体のサービスを使って。とにかくお母さんに余裕がないと、子育てがうまくいくはずがないから。あとは、カーッとなったときはどうするかを決めておく人もいます。シャワーを浴びるとか、お気に入りの服に着替えてみるとか、子どもを連れて外に出るとか。少し気分が変わることをやってみる。犬山:「イラッとした後メモ」とは別に、「今日よかったことメモ」みたいなのを残しておくのもいいかも。ダメなことばかり書いていると、最悪……って落ち込んじゃうから。毎日、客観的にいいところと悪いところが書けたら、いいところを伸ばせそうな気がする(笑)。山脇:私はいろんなご家族に「形容詞をたくさん共有できる家庭は明るい」という話をしているんですよ。一番分かりやすいのは「おいしい」ですね。家族で「おいしいね」って言いながら夕食が終わると、大体満足して一日終わります。だから、みんなで「楽しいね」「嬉しいね」っていうことがあった日は、メモしておくといいですね。それはみんなの思い出に残るものでもあるし。もちろん自分が今日よくできました、みたいなことでもいい。それを夫婦で探し合うというのも、私のクライアントにはやってもらっています。「今日あれがよかったよ」とか、「今日これをしてくれて、ありがとう」とか。挨拶が多い家、「ありがとう」や「ごめんなさい」が多い家は明るいんです。本にも書いているんですけど、とにかく“夫婦仲良く”ですよ。夫婦が仲良ければ、たいていのことはうまくいく(笑)。今も被害に遭っている子はたくさんいる虐待事件のニュースを風化させないためには――虐待の事件を他人事と思わず、身近に落とし込んで考えてみるということですね。山脇:虐待のニュースを聞いても「じゃあ、一般の人には何ができるかな?」っていうところには意外と話が行かないんですよね。それこそ児童相談所の批判とか、そういう方向に行っちゃって。一般の人とは常に遠いところにある。だから虐待の問題については、どうやったらみんなが活動したいという気持ちをキープしてくれるか、ですよね。犬山:そこは超課題ですよね。山脇:結愛ちゃんの事件は本当に悲しかったけど、でも、ああいうことは現在進行形でたくさん起こっているから。それが情報として報道されていないだけで。あんなにひどいケースは多くないにしても、このままだと結愛ちゃんみたいになっちゃう可能性のある家庭はきっと存在するから。実の親であってもね。犬山:気になったときに、ささいなことでもいいから、みんながまず一回、ちょっと動いてみることが大事なんですかね。それがひとつのフックになって、今後何かを見かけたときにアッとつながっていくのかなと思います。Text:Keiko IshizukaPROFILE山脇 由貴子Yukiko Yamawaki女性の生き方アドバイザー。家族問題カウンセラー。 東京都に心理職として入都し、都内児童相談所に心理の専門家として19年間勤務。2015年に退職後、「山脇由貴子心理オフィス」を立ち上げ、現職。『教室の悪魔』(ポプラ社)、『告発児童相談所が子供を殺す』(文春新書)、『思春期の処方せん』(海竜社)など。PROFILE犬山紙子Kamiko Inuyama1981年生まれ。コラムニスト、イラストエッセイスト。著書に『負け美女 ルックスが仇になる』(マガジンハウス)、『地雷手帖嫌われ女子50の秘密』(文春文庫)、『言ってはいけないクソバイス』(ポプラ社)ほか多数。2017年に女児を出産し、育児体験者への取材記録や自身の出産体験記を収録した『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)を刊行。現在は「SPA!」「anan」「steady.」「文學界」「読売新聞」などで連載中。▼第1回はこちら▼第2回はこちら
2018年08月31日<#わたしたちでもできることベビモフ特別対談>この世から児童虐待がなくなるように、との願いから「♯こどものいのちはこどものもの」というチームを組み、さまざまな活動をしているイラストエッセイストの犬山紙子さん。児童相談所で長年子どもの問題を扱ってきた元児童心理司で、『告発児童相談所が子供を殺す』などの著書もあるカウンセラーの山脇由貴子先生。児童虐待の根絶に向けた活動を続けているお二人に、“#わたしたちでもできること”というテーマで対談していただきました。※お二人の対談を3回に分けてお送りします。自分も子育てや仕事でいっぱいいっぱい。そんなときに、児童虐待に対してできることってなに?犬山:はぁ……こうした虐待の実態を聞いているだけでも相当しんどいです。私たち、ベビモフを読んでいる人たちって、子育てしながら仕事をされている方も多いかな。とにかく毎日大変だと思うんですよ。なので、児童虐待に対して何かアクションを起こそうと思うと、すごくハードルを感じてしまう。マザー・テレサみたいな人じゃないと、やれないんじゃないかとか。私ひとりが動いたところで、とか。いや、そもそも今、自分の子育てでいっぱいいっぱいだから、そんな余裕ないわ、とか。私も今回、アクションを起こすまでは、そういうイメージが強くて。でも、そんな余裕がない人でも、何かワンアクションで、ちょっとは状況がよくなるんじゃないかと思うようになったんです。虐待を受けているかもしれないお子さんがいるとしたら、近所の人はどんなことができるんでしょうか?山脇:とにかく私が一般の方向けに講演するときに言っているのは、みなさんがおかしいなと感じたら、大抵の場合、きっとそのおうちに何かあるということです。児童相談所の職員のほうが、慣れすぎているせいで「これくらいなら、あんまりおかしくない」って思っちゃうので。犬山:でも、一般の方にはなかなか見抜けないことも多いと思うんですよ。何かこういうサインがあったときは、気をつけたほうがいいという例はありますか?山脇:たとえば、家に帰りたがらないとか。基本的に、幼児から小学校低学年くらいまでの子が、夕方以降ひとりでフラフラしているのは危険ですよね。これはまず間違いない。あと、これは他人には分からないかもしれないけれど、夜、親が家にいないっていうのは絶対にダメですよね。仕事柄もあるのかもしれない。朝の5時まで仕事していましたっていう人も職種によってはいますよね。でも面倒を見る大人が誰かいる必要はあります。犬山:夫や祖父母とか、誰かがいるんだったら、いいけれども。夜、子どものそばに大人が誰もいないっていうのはダメですよね。山脇:それに付随して、子どもひとりでコンビニに行く、みたいなことも出てくるので。コンビニでは、おなかが空いて万引きする子もいれば、親に万引きさせられる子もいますし。コンビニにそういう子が来たら、通報するという運動をやっている地域もあります。そういう運動も広がっていくといいですよね。犬山:すばらしい!コンビニで何かできないかな?っていう話、ちょうど先日していたんです。もう何かやるとしたら、民間なのかなって。街中にたくさんあるところ、コンビニとか、歯医者とか……。山脇:歯医者にはガイドラインがありますね。犬山:やっぱり虫歯だらけとか?山脇:虫歯が多いのは、虐待のサインですからね。過去の経験では、5歳と6歳の男の子の兄弟で、虫歯がひどくて離乳食しか食べられないというケースがあり、その日のうちに保護しました。あと、朝ごはんを食べてこないとか、やせすぎているとか。小学生だったら、給食をあまりにもガツガツ食べているとかね。「大食いの子なんです」って言われちゃうかもしれないけど。犬山:給食ドカ食いとセットで、不潔だとか……。山脇:保育園に通っている子で、いつもすごく不潔で、持ってくるタオルも汚くて、みんなと一緒にプールに入れられないというケースもありました。犬山:自分の家の前でポツンと立っているみたいな子は?山脇:家からの閉め出しは、もう絶対に110番。ためらわず。ベランダに出すのも、基本は110番だと私は思っています。やっぱり亡くなってしまう子がいるので。いきなり児童相談所に連絡する前にできることはたくさんある犬山:気になる子がいた場合、ハードル低めのできることって、何がありますか?山脇:ひとつは保育園や幼稚園、学校の先生とか、その子に関わる人に話をしてみるっていうことですね。先生は園や学校でしか子どもの姿を見ていないので。放課後はこんな様子なんですよね、っていう情報が入ると「放っておくわけにはいかないな」となる。そこから、先生たちが子ども家庭支援センターや児童相談所に連絡しようか、っていう流れができると思います。だから、気になる子を発見したら、まずは仲のいいママ同士でもいいので、ちょっと情報を集めてみて、その情報を集約したものを先生に持って行く。先生がママたちに言ってくれるかどうかは分からないけれど、もうすでに子ども家庭支援センターが関わっている、という子どももいるかもしれないですし。「あの子についてはすでに把握しているので大丈夫です」と先生に言われれば、これ以上心配しなくていいんだなって思えるじゃないですか。犬山:そうですね。いきなり自分が児童相談所に連絡するとなると、ハードルが高いと感じる人も多いと思います。なんか自分のせいで、あそこの家がバラバラになるのかな……?って思うと、ビクビクしてしまって。先生だったら「すみません。ちょっと匿名でお願いしたいんですけど」みたいな感じで、相談しやすいかな。山脇:ただ、先生によっては、相談した後、すぐにその子の親に連絡しちゃった、というケースもけっこうあるんですよ。だから、ママたちから「先生はどうされますか?」と聞いてみるといいですよね。先生に「まず、親に確認します」と言われたら「それは危険ではないですか?」って。先生が親にいきなり連絡しちゃったせいで、家に帰った子どもが親に責められたなんてことがあると困るので。犬山:まだ園にも入っていない乳児の場合は、どうしたらいいんですか?山脇:乳児の場合は保健所になりますね。保健師さんなどが新生児のいる家庭を訪問する“新生児訪問”のほか、生後4ヵ月までの乳児がいる家庭をスタッフが訪問し、産後のサポートをする“こんにちは赤ちゃん”事業なども各自治体でやっています。犬山:うちの子が生後1カ月のときに来てくれた保健師さん、すっごく優しい方でした。山脇:だから自分の子の健診のついでに「ちょっと気になる子がいて」っていう話をしてもいいわけですよ。歯科健診とかもありますし。あとは、各自治体の子ども家庭支援センターのほとんどが、0歳~3歳を中心として親子で遊べるような“子育てひろば”を開設しています。そこにはちゃんとプロがいますから。犬山:乳児のママたちって、児童館にもけっこう行っていますね。山脇:自分の子どもが児童館や学童を使っていたら、そこの職員の方にちょっと言ってみるというのもいいかもしれない。一番話しやすい人に。犬山:なるほど。この知識はシェアしたいですね。山脇:それに、子ども家庭支援センターって、子どもを預かってくれるショートステイやトワイライトステイの窓口など、働くお母さんにとって活用しやすいサービスがいっぱいあるんですよ。登録しなきゃいけないのが面倒くさいっていう人もいますけど。費用もそんなに高くないですしね。だから、住んでいる自治体の情報を一度しっかり調べてみるといいかもしれない。犬山:でも自治体のホームページって、見づらいんですよね……。山脇:役所や支援センターにはリーフレットがいっぱい置いてあるので、一度行ってもらってくるのもいいと思いますよ。緊急性のある場合はどこに連絡すればいい?児童相談所と子ども家庭支援センターの違いとは――厚生労働省が作った児童相談所全国共通ダイヤル189(いちはやく)はどうですか?山脇:“いちはやく”は電話しやすい反面、実はそんなに早いわけじゃないんですよね。相談員が電話を受けた後、担当の児童相談所に連絡を入れるという流れなので、むしろ時間がかかっちゃう。緊急性があるときは、地区の児童相談所に直接連絡したほうが確実です。児童相談所に直接来た連絡は、虐待通報として「このケースはどうしましょうか?」って、緊急受理会議をするので。そっちのほうが、よっぽど早いです。さっき、犬山さんは「自分が連絡したせいで、その家がバラバラになったら……」と心配していたけれど、通報があったからといって、すぐに児童相談所が子どもを保護することはないですよ。たくさん調査をして、それから預かるかどうかを会議で決めるので。もちろん、その子が全身傷だらけ、アザだらけだったら、すぐ保護しますけど。犬山:うん、たぶんそのことを知らないからハードルが高いと思うので。この知識があるといいですよね。山脇:その一方で、今どきは子ども本人が「家でお母さんに叩かれている」とか「家に帰りたくない」って連絡をして、即、保護になるケースもあるんです。親に何か嫌なことをされると「それ虐待だから!」って騒ぐ子もけっこう増えていて(苦笑)。軽い一言で、すごいことになっちゃうよ、というのを子どもにも知ってほしいですね。あと、児童相談所じゃなくて、子ども家庭支援センターに「気になる子がいる」って通報するのでもいいんです。支援センターには子どもを預かる機能がないので。そこにはどんどん情報を入れてもらって大丈夫。自分の子どもに「気になる子」のことを聞いてみる――というのも、ひとつの方法山脇:そのほかに、自分の子どもに「気になる子はいないか」を聞いてみてもいいかなと思っていて。犬山:あ、いいですね。例えば虐待のニュースがあったときに、子どもに「友達でしんどそうな子がいたりする?」って。それ、すぐできることだ。山脇:で、気になったら、お母さん同士で情報共有してみる。ただ、お母さんたちも忙しいですけどね。犬山:でも、虐待のニュースがあって、何かしたいけど、何もできない。そんなとき「じゃあ、一回ちょっと集まってみましょうか?」って、ママ会をやるだけでも、ひとつのアクションになるかもしれない。何もなかったら、お茶するだけでもいいし。山脇:そうそう。ただの雑談になってもOKなんですよ。雑談は平和の象徴なので。犬山:自分がPTA役員になったら、それを提案してみるとか。山脇:うん、PTA活動が活発な学校っていうのは、とにかく平和ですよ。子どもが明るい。友達のお父さんが会長をやっていたり、お父さんたちが学校の花壇の手入れをしていたり。それだけ大人の目があることになるので。犬山:PTAって、働く親からすると、うわ、めんどくさい!って思っちゃうイメージなんですけど。子どもを守るっていう気持ちだったら、私もがんばれそうな気がする(笑)。山脇:気になる子が、自分の子どもの同級生とか知っている子だったら、チャンスがあったときに、その子から直接話を聞くっていうのもいいと思う。例えば、いつも季節に合わない服を着ているとしても、それは本人のこだわりなのか、親がこれを着ろと言っているのか、服がないのか、理由はいろいろですよね。子どもって、わりと無防備に話してくれるので。そこから何か大きなことが出てきちゃったら、そこで学校の先生に言えばいいし。通報までしなくても地域の力で救われる子も必ずいる山脇:気になる子どもの“お母さん”に声をかけてみることもできますよね。犬山:その声のかけ方も、先生にぜひ教えていただきたくて。「あなた、虐待してるでしょ?」っていうのは絶対にダメじゃないですか。いい声のかけ方って、ありますか?山脇:まぁ、前提として、そのお母さんが話をしたがる人かどうか、っていう見極めが必要だけれど。「いやいや、放っておいてください」みたいな感じになっちゃう人だったら、やっぱり調査の段階から専門家が入らなきゃいけない。でも、そうじゃなかったら、まずふつうに仲良くなって「子育て、大変だよね」っていう話からでいいと思うんですよ。この人は何を大変だと感じているのか、っていうことからだと思うんですよね。困っていることが分かれば、「何か手伝えることがあったら、手伝うよ」って言える。世の中には通報しなきゃいけない人もいるけど、地域の仲間同士のサポートで助かる親、救われる子どもも絶対にいるんです。地域に期待できるのは、そっちでしょうね。どうやって発見して、どうやって手伝ってあげるか、という感じ。「ぜひお願い」と言う人も、きっといると思うので。第3回へと続く……Text:Keiko IshizukaPROFILE山脇 由貴子Yukiko Yamawaki女性の生き方アドバイザー。家族問題カウンセラー。 東京都に心理職として入都し、都内児童相談所に心理の専門家として19年間勤務。2015年に退職後、「山脇由貴子心理オフィス」を立ち上げ、現職。『教室の悪魔』(ポプラ社)、『告発児童相談所が子供を殺す』(文春新書)、『思春期の処方せん』(海竜社)など。PROFILE犬山紙子Kamiko Inuyama1981年生まれ。コラムニスト、イラストエッセイスト。著書に『負け美女 ルックスが仇になる』(マガジンハウス)、『地雷手帖嫌われ女子50の秘密』(文春文庫)、『言ってはいけないクソバイス』(ポプラ社)ほか多数。2017年に女児を出産し、育児体験者への取材記録や自身の出産体験記を収録した『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)を刊行。現在は「SPA!」「anan」「steady.」「文學界」「読売新聞」などで連載中。▼第1回はこちら
2018年08月30日エッセイストのしまおまほさんが、今を生きるバラエティに富んだ子どもたちに出会い、話を聞き、限られた時間で彼らの本音を引っ張り出す。コドモ連載の第16回が始まります~。第16回一柊くん(7歳)今回インタビューする小学生と待ち合わせたのは自宅近くにある大きな公園。夏休みに入ったばかりの子どもたちがジャブジャブ池で遊んでいる様子は、まさに芋洗い状態。池の周りには、我が子を見守る大人たち。子どもは水浸し、大人は炎天下で汗だく。自転車に乗ってお父さんとやってきたのは小学2年生のいっしゅうくん。今日のインタビューはピクニックスタイル。木陰を探し、敷物を広げます。すると、お父さんが籐籠から水筒とワインを出しました。いつの間にかアウトドアチェアーも広げられています。真夏ですが木々の間を吹き抜ける風が気持ちいい。まるで森のような公園の中でお昼からワインなんて……すごく贅沢な気分です。いっしゅうくん家族は休日をこうして公園で過ごすことが多いのだそう。植物大好き少年のたからものって?いっしゅう:あ~チクチクするぅ~父:どうした?いっしゅう:これを首にこうしたら……あ~チクチク~。いっしゅうくん、何か植物のような物を首にこすりつけていたようです。いっしゅう:う~。まほ:大丈夫?いっしゅう:これ、たしか種なんだよなあ。スズカケノキの。まほ:スズカケノキ?いっしゅう:うん。スズカケノキって、プラタナスのこと。首から生えてきたらどうしよ~。あ、でも傘の代わりになるからいっか。いや、養分吸われちゃうかもな~。あ~チクチクするよ~。チクチクが止まらない、いっしゅうくんはお父さんと公園のトイレに首を洗いに行きました。いっしゅうくん、植物が大好きな「植物博士」なんです。いっしゅう:ただいまー。まほ:どう?治った?いっしゅう:なおったー!父:どうも、すみません。まほ:子どもって、スタートと同時に何かしらの事件起こしたりしますよね。父:(苦笑)まほ:いや、チクチクとれてよかった。いっしゅう:今日ね、クリスタル持ってきたよ。まほ:クリスタル?いっしゅう:拾ったの。宝石とかね、いっぱいある場所で。まほ:どこ?いっしゅう:フランス。まほ:!!!フランス行ったんだ。父:去年、3ヵ月滞在したんです。まほ:3ヵ月も!フランスに!父:いや、フランスだけじゃなく……。いっしゅう:ドイツー、スイスー、イタリヤ……、あと……。父:フィンランドにオランダね。まほ:すごい!父:会社と2年ほど話して、やっともらえた長期休暇で。まほ:素敵……。いっしゅう:このクリスタルね、化石だと思うんだけどね……。ネコの。まほ:え!?ネコの化石!!?いっしゅう:ネッコ!まほ:ああ。根っこね。いっしゅう:他にもね、アメジストとかも落ちてるところで……。父:湖の近くに、そういう場所があったんだよな。まほ:石も好きなんだね。父:石、大好きだよな。まほ:宝物だね。いっしゅう:うん!たからもの。あと、これも。まほ:これは……泥団子?いっしゅう:そう。泥団子を焼いて作ったの。まほ:もしやこれもフランスで?いっしゅう:うん。まほ:フランス産の泥団子焼か~。なんだか有り難みを感じる……。何よりもヒマが嫌い。ずーっと遊んでいられます。わたしたちがワインを飲んだり、パンをつまんだりしている間、いっしゅうくんはずっとウロウロと歩き回って木の皮を拾ったり、落ち葉を観察したりしています。まほ:お父さんも小さい頃、こんな感じだったんですか?父:いや、僕は次男だったんで……こんな風に好きなものを見つけて、ひとりで遊ぶなんてしなかったですね。ずっと兄貴のしていることを追っかけているという感じで。まほ:いっしゅうくんはひとりで黙々と遊んでますよね。父:自分で興味のあるものを探して遊ぶんですよ。すごい。まほ:ねえねえ、いっしゅうくん。好きなもの見つけるの、なんでそんなに得意なの?いっしゅう:ヒマがいやだ!まほ:え!そうなんだ。いっしゅう:ヒマ、大嫌い。まほ:なんにもない時間をダラダラとか……。いっしゅう:ヤダ!30分が1年に感じる。まほ:いいな~その感覚。わたし、今その逆だもん。いっしゅう:ヒマすぎる時に、宿題する。ヒマじゃない時は、しない。まほ:(笑)。あーじゃあ、植物とか、石とか、遊びに夢中な時には宿題しないのね。いっしゅう: (元気よく)うん!そういう時はねー、こっち(右)に手が2本、こっち(左)にも手が2本あればいいなあって。まほ:遊びって、植物を観察して、どんなことするの?いっしゅう:これね、いっしゅうくんの作った本だよ。まほ:おお!いっしゅうくんが見せてくれたのは、ホッチキスで止めてつくった手作りの豆本。動物や植物に関するものから、絵本まで、何冊もあります。まほ:これはすごい!力作だねえ。いっしゅう:ふふ……(得意気)。まほ:「けいけんちのノート」……。これはどんな本かな?いっしゅう:これは、むじん島に行くけいかくの本。まほ:「やること1. バナナの木にのぼってバナナをとる2. バナナを食べる3. ねどこを作る」「夜の注意夜は暗くなるから」……なるほど。いっしゅう:そういう、やることとか、待ち合わせ場所とか、ほうほうが書いてあるノート。まほ:「目標生きてかえること」いいねえ!あとは……「パパとママのプレゼントをよういする」。いっしゅう:あっ!まほ:あ、ごめん!言っちゃダメだった?いっしゅう:あーうんーまーいいや。まほ:あ~ごめん~。申し訳ない……。父:知ってたよ(笑)。お父さんを植物に例えるなら……。まほ:他にもいろいろあるねえ。「カニのくらし」「とりの木」「つばめが日本にやってくる」……。素晴らしい。いっしゅうくんが一生懸命描いた絵と字を見てるとなんだか胸がいっぱいになってくる……。父:初めて描いたのがこの「大きな木」って絵本なんですけど、これを読み終わった奥さんが泣いてましたね。まほ:わかる気がします。本人にとってはヒマな時間の遊びなんだろうけど。その時間を創作活動に当てるって素敵ですね。「ムベとアケビのくらし」。……これは?いっしゅう:ムベとアケビが好きなの。まほ:ムベ……?ムベとは秋になると赤の実をつけるアケビ科の一種だそうです。まほ:どんなところが好きなの?いっしゅう:形がかっこよくてねー、ツルを編んだり、食べたりできて、役に立つから。まほ:その好きな理由がかっこいいなあ。じゃあ、一番キライな植物もあるの?いっしゅう:ドクウツギ。毒があるから。まほ:お父さんを植物に例えるとなんだろう。いっしゅう:メタセコイア!メタセコイアはヒノキ科の一種で、「生きた化石」とも呼ばれる落葉樹だそうです。まほ:どんな木なの?いっしゅう:かっこよくて、憧れの木。大好き!まほ:じゃあ、いっしゅうくん自身を植物に例えると?いっしゅう:大豆。まほ:え(笑)。いっしゅう:大豆はね、豆が種だから、土の上に落ちれば何年も生きられるし。まほ:落ちても何年も生きられるって、なんだかすごくたくましい。未来の植物博士の学校生活は?まほ:学校の授業はどう?好きな授業とかある?いっしゅう:えっとぉ……(急にテンション下がる)。まほ:あれ(笑)。父:基本的にいっしゅうくんは好きなもの以外……、興味持てないみたいで。まほ:好きなものに全部気持ちを注いでるんだね。さっきの絵本を見てると、それで充分って気もするけど。何が一番苦手?いっしゅう:え~う~んと~さんすうが~なんかヤなの。まほ:ヤなんだ。いっしゅう:大キライ。まほ:(笑)いっしゅう:授業がね~大キライ。まほ:算数の?いっしゅう:ぜんぶ。まほ:ぜんぶか!好きな授業ないの?いっしゅう:一番好きな授業は、休み時間。まほ:それ、授業じゃないよ(笑)。いっしゅうくんはなんでそんなに植物が好きなのかな?父:実は奥さんのお父さん……じいじが植物の研究者で。まほ:それで!仕事ぶりを見て?父:いや、自然に好きになってましたねえ。奥さんは4人姉妹なんですが、だれもその道には進まず。いっしゅうくんがその血筋を継いだようで。まほ:すごい。そして、植物博士に4人姉妹の娘がいるっていうのもなんだか素敵……。おじいちゃんも嬉しいですね。父:前に「お父さんとお母さんは田舎の自然の中で育って、ズルい」って泣かれたことがありますよ。まほ:それだけ自然が好きなんだ……。これは将来有望ですね……!いっしゅうくん、植物博士の夢にまっしぐらだね!いっしゅう:なりたい!つづくPROFILEしまおまほMaho Shimao1978 年生まれ。エッセイスト、イラストレーター。主な著書に『ガールフレンド』『マイ・リトル・世田谷』(共にスペースシャワーブックス)などがある。Text・Illustration:Maho ShimaoComposition:Tomoko OgawaDesign:Shinji Nemoto
2018年08月30日今月のこありっぱー田中英子田中英子/セレクトショップディレクター・デザイナー大阪の人気セレクトショップ「クレオパトラ」のディレクターを務めながら、ブランド「ソロヴ」のデザインも手がける大阪一のモード番長。二男のママ。趣味はズバリ旅行で、訪れた国は約25カ国以上!Instagram:eiko_tanakaいざ、冬のヨーロッパへ!夫婦揃って旅行が趣味なので、幼い頃から色々なところに連れ回されている息子たちですが、冬のヨーロッパは初。2016年、兄が小5、弟が小2の冬休みに訪れました。最初はイタリアだけの予定だったのですが、友人から「子どもを満足させるなら、ウィーン(オーストリア)で本場のクリスマスを見せた方がいい!」と熱弁され、急遽旅程を変更。ウィーンからベネツィア、フィレンツェを列車で巡る旅に。「夜行列車なら行きたい!」と息子たち。「アルプスを列車で越えるんだよー」なんて話すと、大盛り上がり。ウィーンはオペラも見られるし、長男の好きな美術館も多いし、「いいね、いいね」と家族の意見はまとまったわけなんです。写真は、ヴェネツィアからフィレンツェへ向かう寝台列車。2段ベッドの上の段でテンションMAXな2人……。列車の旅、男子の食いつきは抜群でした(笑)。キラめくウィーンのクリスマスに感動!−15℃の極寒の中、クリスマスマーケットまでダッシュ!彼らはたきつけるとすぐに走り出します(笑)。ウィーンではこの時期、数々の広場でクリスマスマーケットが催されています。つまり、街中がクリスマス!私たちが訪れた市庁舎前広場のクリスマスマーケットは、それはそれはファンタジックな場所。電飾がキラキラと輝き、ろうそくが揺れ、幻想的。ホットワインを飲みつつ、うろうろしているだけで楽しい。ものすごーく寒いけれど(笑)。一周3000mものスケートリンクも。ここでスケートをするのも、今回の旅の目的の一つ。息子たちは延々とスケートを楽しんでいました。私は……とにかく寒かった!(笑)我が家の旅はサバイブ上等!我が家では、どこに行くかを最初に決めるのは主人。そこに家族のみんながアイディアを出し合い、旅程が決まっていきます。大抵はあれもこれもと詰め込みすぎて大変なことになるんですけど(笑)。詰め込むくせに下調べが甘く、とにかく移動の多い旅になるのが我が家(笑)。必然的にトラブルも増えてくる。お恥ずかしながら、飛行機や列車の乗り遅れ経験も数回あります。でも、そういう時こそ、家族の団結力が輝き始めるんです。なんとか乗り越えなくてはならない!という使命に家族全員が燃える。協力しながらミッションをクリアしていく。それもまた、旅の楽しみの一つだったりもします。そしてそのうちに、子どもはどんどんしっかりしてくるんですよね。長男は「乗り場は合ってる?」「次は何時の便?」なんて確認してくれるまでに成長しました(笑)。うちの男子たちのサバイブ能力、上がっていると思います。何事も前向きに解釈するのも、我が家の特徴かも(笑)。“自分のことはなんでも自分で”!旅の様子や旅程、行き先の気候や気温をメモするのが長男の定番。夏休みのたびに各国にホームステイしているせいか、気候には興味があるみたいで。でもそれも、親からすると計算どーり!(笑)我が家では、旅程や行き先の気温などを調べ、その気候に合った服を自分でパッキングするのがルールなんです。“自分の荷物は自分で”!どんな旅行でも自分でパッキングして、自分で荷物を運ぶのが我が家の決まり。忘れ物した時の悔しさも自分で消化。すべて自分で責任を取る!もちろん、パッキング前に行き先の説明はします。パソコンで天気予報サイトを見せながら、こういう気候のところに、こういう遊びをしに行くから考えて用意しなさいよと。このヨーロッパ旅行の際は、−10℃以下のところでスケートをすることを説明。レギンスを2枚重ね穿きしても寒いかもしれないと事前に伝えました。シチュエーションをイメージさせた上で、さあ君たちは何を用意するの?と。ポイントは、たとえ中身がぐちゃぐちゃでも怒らないこと。怒ると子どもたちのモチベーションは一気に下がるから、なにも言わないことが大切です。特に男子はおだてないと(笑)。彼らが幼い頃はすべて私がパッキングしていたのですが、それだけで一晩がかり。今はその負担がないだけでも、信じられないくらいラクです。私の負担が減った分、旅の内容も濃くなっている気が。一石二鳥です。最近の旅は、もっぱらAirbnb金額的にもお得だし、その土地の雰囲気がよくわかるので、宿泊には主にAirbnbを活用。食事も、スペシャルな時以外は現地の食材で自炊します。子どもたちとスーパーに行き、現地の習慣や旬の食材を発見するのはとても面白い。この時のヨーロッパ旅は、宿はすべて事前予約してありましたが(寒いので)、最初と最後の宿だけとって、あとはサバイバルしながら現地で宿を探すこともあります。子どもが大きくなってきたこともあり、ここ2年くらいは行き当たりばったりの旅が増えてきましたね。美術館&博物館巡りが大好きです♡初めての土地では、まずその国の大きい美術館や博物館に足を運びます。その国の歴史や成り立ちが何となくわかるから。ほぼ毎回、音声ガイドをレンタル。大きい都市の美術館だと、ほとんどの場合、日本語の音声ガイドも用意があるんです。社会科で勉強したことと照らし合わせつつ、母も交えてディスカッション。家族の誰より先に音声ガイドを借りに行くのが次男。メカをいじっている感覚も好きみたいです。とはいえ、半分くらいしかわかっていないとは思いますが……(笑)。読書家にして勉強家の長男は、旅を提案すると事前に色々調べて盛り上がってくれるいい相棒です。ウィーンでは「本場のオペラが見たい!」と熱望。オペラハウスの様子にも興味津々で、終始楽しんでいました。でも次男には……、オペラはまだ早かったみたい(笑)。眠い中、付き合ってくれてありがとう♡息子たち2人の希望が同時に満たされることばかりではないのも、家族旅の醍醐味。お互いのやりたいことを尊重、協調性も身につけてくれていると信じています。チップと一緒に折り鶴を♡次男は折り紙が大好き。成田空港でお土産用の折り紙をいつも欲しがります。松の柄だったり、日の丸柄だったり。日本らしさいっぱいの折り紙を旅先に持って行くんです。そして折り鶴を作り、出会った人にプレゼント。チップの隣にさりげなく置いたり……。次男の旅先での定番で、最高に可愛い一面!こういう姿を見ると、嬉しくなりますよね。旅が彼を成長させたりもしているんだろうなって。旅を通じて、“自分で生きて行く力”を身につけてね繰り返しになりますが、“自分のことは自分で” が我が家の家訓。それを徹底する場が旅なんです。行く前も、行ってからも、すべてが自己責任。自分のトラブルは自分で解決!飛行機で忘れ物をしても、自分で電話をしてなんとかする。財布を無くしても、警察に電話するのは自分の仕事。例えば日本でも、自転車を撤去されたら自分で取りに行かせます。絶対に頼らせません(笑)。そうしているうちに、「仕方ない」とか「諦める」とか、そういう感覚もわかってくる。どうしようもない出来事をどう楽しむか、とか。自分の心地いい過ごし方に気づいたりとか。自分で生きていく力を身につけて欲しい!そして1人でどこへでも行けるようになって欲しい。一刻も早く!(笑)とはいえ、しばらくは家族一緒の旅を楽しみたいと思っています。今、長男は中1。一緒に旅に出てくれるのも、きっとあと少しだから。次に狙っているのはアフリカの旅。アリゾナをキャンピングカーで回る旅もいいな。息子たちと一緒に、五大陸を制覇するのが夢なんです(笑)。Composition&Text:Urara Takahashi
2018年08月29日<#わたしたちでもできることベビモフ特別対談>この世から児童虐待がなくなるように、との願いから「♯こどものいのちはこどものもの」というチームを組み、さまざまな活動をしているイラストエッセイストの犬山紙子さん。児童相談所で長年子どもの問題を扱ってきた元児童心理司で、『告発児童相談所が子供を殺す』などの著書もあるカウンセラーの山脇由貴子先生。児童虐待の根絶に向けた活動を続けているお二人に、“#わたしたちでもできること”というテーマで対談していただきました。※お二人の対談を3回に分けてお送りします。目黒区の結愛ちゃん虐待死事件で、号泣。子どもに反省文を書かせる親の心理って……?犬山:目黒の虐待死事件のニュースを聞いたときは、本当にすごく苦しくなりました。山脇:犬山さん、亡くなった結愛ちゃんの書いた反省文を見て、号泣したって……。犬山:私、『スッキリ』というテレビ番組でコメンテーターをしているんですが、番組でアナウンサーの方が反省文を読み上げたんですよ。で、冷静にしゃべらなければいけないと思いつつも、やっぱり無理で……。今まで聞いてきた何人もの子の虐待事件がどんどん心の中にたまっていたのが、結愛ちゃんのニュースでついに決壊したというか。何もしないということが、もうできない状態になっちゃったんです。山脇:私はこの反省文、よく出してくれたなって思ったんですよね。あれで虐待をされている子の気持ちがみんなに理解された。子どもの苦しさがこんなにダイレクトに伝わって、よかったなと思いました。それこそ児童相談所の職員だって、子どものああいう気持ちまでは想像できないことがいっぱいあるので。まず、虐待する親って、けっこうな割合でああいう反省文を子どもに書かせるんです。自慢げに持ってくる人もいます。「うちの子、こんなに反省していますよ。自分が悪いって、認めているじゃないですか。私たちはこの子のために、しつけでやっているのだから、これ虐待じゃないでしょう?」っていう構図ができちゃうので。反省文を書かせることで、親のほうも虐待しているという意識が薄れるし、子どものほうも、自分が悪いからたたかれるんだと思い込んじゃう。どっちにとっても、それが本心になっちゃうんですよね。だからこそ、エスカレートしやすくて。殺す気はないんですよ、みんな。犬山:多いのですね……。山脇:きっと結愛ちゃんの家も「最低限の食事は与えている」と考えていたと思うんですよね。で、人間って慣れていくから。だんだんそれが日常になっていって、衰弱していく子どもの姿を見ても、まさか死ぬとは思わない。それで、どんどん自分の行動がエスカレートしているのに気づかないっていう感じですね。虐待する親ほど、子どもに執着する。依存という点で、虐待とDVはほぼ同じ構造。犬山:今までの私も含めて、虐待のニュースから目をそらしてしまう人って、本当に多いと思うんですよ。その一方で「自分も子どもをたたきそうになっちゃう」という声もすごく聞く。ワンオペの方なんかは特に。追いつめられて「子どもがかわいいと思えない」とか「子どもに怒った後、自己嫌悪で死にたくなっちゃう」とか。それでも、この事件のように、殺してしまう――という状況までは、一般的にはやっぱり想像できないんですかね。山脇:虐待する親って、子どもに対する執着がすごく激しいんです。だから「お子さんを預かりますよ」と言っても、絶対に預けないんですね。「憎くてやっているわけじゃない。この子のためにやっている」と。自分たちの責任で、しつけをしなきゃいけないと思っているんです。でも、実際は預けると虐待できなくなっちゃうのが嫌なんですよ。犬山:ということは、虐待って、完全に依存なんですね。預けちゃうと、自分の依存先がなくなる。山脇:そうそう。だから虐待って、DVみたいなものですよね。自分より弱者を作るっていう。一番弱い人間にすべての怒りが集中しちゃうっていうのが虐待の構造なので。DVも相手に執着するじゃないですか。いなくなったら困るので。そのへんがすごく似ている。――目黒の事件では、結愛ちゃんと父親は血縁関係ではなかったですよね。山脇:確かに虐待している親が、実の親ではないというケースは、割合としては多いとは思います。継母とか養母が虐待するっていうケースもあります。でも、実の親でも虐待はありますよ。結愛ちゃんの事件でも、お母さんは完全に加担していましたよね。母親が子どもじゃなくて、夫をとるという。虐待家庭って、夫が子どもに暴力をふるうから別れる、っていう決断を母親がしないケースが多いんです。性的虐待であってもそうです。あえて娘を犠牲にしたまま、離婚しないっていうのは、けっこうよくある構造ですね。犬山:それは、やっぱり依存しているからなんですか?虐待している夫に対して。山脇:そうですね。夫を失いたくないっていう。単純に女として生きちゃう。離婚をちゃんとできた人なんかは「後から考えると、相手は最初から娘が目当てだったかな」って言ったりもしますね。第2回へと続く……Text:Keiko IshizukaPROFILE山脇 由貴子Yukiko Yamawaki女性の生き方アドバイザー。家族問題カウンセラー。 東京都に心理職として入都し、都内児童相談所に心理の専門家として19年間勤務。2015年に退職後、「山脇由貴子心理オフィス」を立ち上げ、現職。『教室の悪魔』(ポプラ社)、『告発児童相談所が子供を殺す』(文春新書)、『思春期の処方せん』(海竜社)など。PROFILE犬山紙子Kamiko Inuyama1981年生まれ。コラムニスト、イラストエッセイスト。著書に『負け美女 ルックスが仇になる』(マガジンハウス)、『地雷手帖嫌われ女子50の秘密』(文春文庫)、『言ってはいけないクソバイス』(ポプラ社)ほか多数。2017年に女児を出産し、育児体験者への取材記録や自身の出産体験記を収録した『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)を刊行。現在は「SPA!」「anan」「steady.」「文學界」「読売新聞」などで連載中。
2018年08月29日今月の人。女優・モデル菊池亜希子さん1982年、岐阜県生まれ。数多くの女性誌でモデルとして活躍する一方、女優としても注目を集め、映画、ドラマ、舞台等で活動。主な出演作に映画『ぐるりのこと。』、『森崎書店の人々』、『グッド・ストライプス』、『海のふた』など。また、自身が編集長を務める雑誌『菊池亜希子 ムック マッシュ』、イラストと文章をすべて手がける『みちくさ』シリーズ、大好きな喫茶店の魅力を紹介する『好きよ、喫茶店』、『続・好きよ、喫茶店』など、さまざまな著書で独自の世界観を築き上げている。お母さんの存在の温かさ母と私の関係性とすごく近いきつねの親子の優しい物語『てぶくろをかいに』文・新美南吉絵・わかやまけん¥1000/ポプラ社きつねの親子が住んでいる森に寒い冬がやってきました。「おててがつめたい」と言う子ぎつねは、手ぶくろを買いに、生まれて初めて町までおつかいに行くことに。母さんぎつねは、人間にきつねだとばれないように、子ぎつねの片手を人間の手に変えて、「こっちの人間の手のほうを差し出すんだよ」と言い聞かせたのですが……。「新美南吉さんの『てぶくろをかいに』は、さまざまな画家の方の絵で出版されていますよね。でも私は、子どもの頃に家にあった、わかやまけんさんの絵のこの本に一番思い入れがあります。きつねの毛の柔らかいフカフカした感じとか、夜、家の窓からもれる光の描き方とか、いろんなシーンがとても印象的で。この絵本で見た風景は、今も私の心の中にずっと残っています」母が大好きだった絵本だから、読むと必ず母のことを思い出す「物心ついた頃から家にはたくさんの絵本があって、いつもいろんな絵本を母に読んでもらっていました」と話す菊池亜希子さんは、『絵本のはなし』という絵本エッセイ集も出しているほどの絵本好き(読書好き)で知られる。そんな彼女が、「好きな絵本は何か?」と聞かれたとき、最初に思い浮かべる一冊が、新美南吉の名作『てぶくろをかいに』だ。「母の大好きな絵本で、私に読み聞かせするときは必ず涙ぐんでいたくらい、感情の込め方が特別でした。内容的には、子ぎつねが初めてのおつかいに行くというシンプルなお話で。母のもとを離れて、心細くてさみしい反面、自分で新しい世界に踏み出していくときの子どもの高揚感がとてもよく表現されているなぁと思いました。私自身、まったく物おじしない子どもだったんですよ。それで、家に帰ってきたら、母のそばにへばりついて、その日あった出来事をバーッとしゃべって聞いてもらう。だから、子ぎつねが母さんぎつねのもとに帰ってきて、人間のことを得意気に語る様子にすごく共感していました。帰ってきたときに、自分を抱きとめてくれる腕があるという絶対的な安心感。それが私と母の関係性にとても近かったですね」幼い頃は、きっと子ぎつねの目線になって、絵本を見ていたのだろう。この絵本に描かれている数々の場面は、菊池さんにとって“原風景”になっている。「大人になってから、街を歩いていたり、海外を旅していたりするときも『てぶくろをかいに』の中に出てきた情景が重なるんです。外国で見かけるお店の看板とか、自分は外にいて、誰かの家の明かりから伝わる楽しそうな雰囲気や漂ってくる夕飯の匂いに『あ、私も早く家に帰らなきゃ』みたいになる気持ちとか。と同時に、もれなくお母さんが恋しくなる(笑)。いい大人になった今でも、この絵本で刷り込まれた記憶に影響を受けています」母から始まって、母に終わる。絵本のさりげないメッセージに感動昨年の秋に第1子となる女の子を出産した菊池さん。まだ「分かっているのかな?どうかな?」という感じだけれど、最近は少しずつ絵本の読み聞かせもしている。「『こぶたたんぽぽぽけっととんぼ』はシンプルでユーモアがあって、読み聞かせするときの語感もすごくいいですね。しりとりの絵本ですが、ただのしりとりじゃなくて、言葉を絵にしたときに、ストーリーとしてちゃんとつながっていくのがおもしろいんです。最初の見開きページに出てくるのは、ちょっとサザエさん的なレトロなファッションの(笑)、ぶた、たぬき、きつね、ねこのお母さんたち。その後に、こぶた、まめだぬき、こぎつね、こねこの主人公たちが登場して、一日中おもいっきり遊びます。で、最後の見開きページは、遊び疲れた子どもたちが、お母さんたちにおんぶされている場面。はじめは『これ、よくできているわ~』なんて思いながら読んでいたら、最後のおんぶのシーンで、うっかり泣きそうになっちゃいました。お母さんから始まって、最終的には、お母さんのところに戻るっていう展開にグッときましたね。本当に名作だと思います」作者の馬場のぼるさんの作品では、他にも『11ぴきのねこ』シリーズがお気に入り。「馬場のぼるさんの絵には不思議な魅力があって、ロングセラーの絵本でも、今の時代の絵本として、すごく新しく見える。子どもがいる、いないにかかわらず、大人のファンも多いですよね。実はうちの旦那が、『11ぴきのねこ』シリーズのねこと顔がちょっと似ているんですよ。あの目の細い感じとか(笑)。本人も似ていると自覚していて、絵本も好きだし、ぬいぐるみのグッズなどをよく買ってきます(笑)」子どもの頃に読んできた絵本が今の自分を形作っているのかもしれない菊池亜希子さんといえば、モデルや役者としての仕事だけでなく、イラストや文章でも才能を発揮。数々の著書には、幅広い世代のファンがたくさんいる。特に細い線で描き込まれた可愛いイラストと、味わい深い手書き文字のメッセージは、いつまで眺めていても飽きない魅力にあふれている。「絵本って、やっぱり絵が重要なので、好きな絵本の絵にはかなり影響を受けています。細い線で描かれた安野光雅さんの繊細な絵が好きで、『おおきな ものの すきな おうさま』や『旅の絵本』シリーズは、たぶん字が読めなかった頃から、ページの隅々までよく見ていました。見るたびに新しい発見があるという感じでしたね」子どもの頃に絵本をよく読んでいた人でも、小学生になると、いつしか読まなくなってしまうもの。その点、菊池さんは小学校に上がってから、図書室の低学年コーナーを定期的にチェックするなど、気になる絵本の発掘に余念がなかった。「私、小学生のとき、習い事をしていなかったんですよ。みんながピアノやそろばんの教室に行っている間、放課後、下校のギリギリの時間まで図書室にいました。小学校の中学年の頃、図書室で見つけて夢中になって、大人になってから買い直した絵本が『かぼちゃ人類学入門』。かぼちゃ島という架空の島に住む人々の生活と歴史を、ものすごく細かい絵で描き込んだマニアックな絵本で(笑)、そのリアリティに尊敬の念を覚えました」母になった今は「子どもの成長を絵に残したい」というシンプルな思いから、プライベートで絵日記をつけている。「毎日じゃないですけど、夜寝る前に何となく、今日おもしろかった光景とかを描いています。旦那はその絵日記をときどき見返しては笑っていますね(笑)。夫婦のちょっとした楽しみみたいな感じ。私自身、子どもの頃のアルバムの中に、母の手書きのメッセージがあると嬉しかったりしたから。写真ではなく、母の目線で描いて残しておきたいなと」お子さんは現在9ヵ月。これからどんどん成長して、一緒にいろいろな絵本を楽しめるようになるときのことを考えると、わくわくする。「小さい頃から読んできた絵本のストックが、自分の中にすごくいっぱいあって。絵本をたくさん読む幼少期って、一番いろんなことを覚えたり、吸収したりする大切な時期だから。今、自分がものを選んだり、何かを判断したりする基準にも、絵本が大きく関わっているんです。あまり親のエゴになるのもよくないなぁと思いつつ、やっぱり自分が読んできて、本当に好きだった絵本は、さりげなく家に置いておこうかなって思っています」[ 菊池さん、これもオススメ ]テンポのよい絶妙なしりとりで、絵と物語がつながっていく愉快な絵本『こぶたたんぽぽぽけっととんぼ』作・馬場のぼる¥1100/こぐま社「ぶた」、「たぬき」、「きつね」、「ねこ」の子どもたちが、自然の中でのびのびと遊びます。しゃぼんだま、おにごっこ、めいろ……と、たくさん遊んだ後は、それぞれお母さんにおんぶされて帰ります。馬場のぼるさんの親しみやすい絵も好評のしりとり絵本。「もともと子どもの頃に、馬場のぼるさんのしりとり絵本『ぶたたぬききつねねこ』が好きで、よく読んでいました。シリーズになっていて、『こぶたたんぽぽぽけっととんぼ』でもおなじみのキャラが登場します。言葉がぜんぶしりとりなんですけど、出てくるアイテムも絶妙で、本当によくできているな~と感動します。馬場のぼるさん、天才ですね(笑)」季節ごとの果物の絵のみずみずしさアート作品として飾りたいくらいの完成度『くだもの』作・平山和子¥900/福音館書店すいか、もも、ぶどう、なし、りんごなど、日常、子どもたちが食べる果物を、まるで実物かと思わせるほど鮮やかに描いた、いわば果物の画集。洗って、皮をむいて「さあ、どうぞ」と差し出された美味しそうな果物の絵に、つい手を伸ばしてしまう人は多いはず。「この絵本は絵がどれも本当に美しく、大好きな一冊です。絵本って、子ども向けのものと思われがちですが、これは決して子どもに向けた絵じゃなくて、アート作品としての側面がすごく強い。手の入れ方や余白など、画角も完璧に考えられているんです。ちなみに最後のページに出てくる女の子、うちの子になんだか似ているんですよ(笑)」わがままな王様のキャラにいたく共感細かく描き込まれた絵にも影響を受けた『おおきな もののすきな おうさま』作・絵/安野光雅¥1600/講談社昔、あるところに、大きなものの好きな王さまがいました。食事に使うナイフやフォーク、好物のチョコレート、虫歯を抜くペンチ、鳥かご、池、植木鉢など、王さまは家来たちに命じて、次々と大きなものを作らせるのですが……。海外でも評価の高い著者のお話絵本。「私は末っ子で、菊池家の王様みたいなところがあったので、わがままな主人公が出てくるお話がすごく好きでした。だから、この絵本のラストは子ども心にも衝撃的でしたね。世の中には自然の命のように、人間の力では思うようにいかないものがある、という現実を教えてくれた作品です(笑)。安野光雅さんの線の細い絵は今でも大好きで、幼い頃は脇役の家来たちの服まで、ひとつひとつじっくりチェックしていた記憶があります」Illustration:Yuka HiiragiText:Keiko IshizukaComposition:Shiho Kodama
2018年08月27日第3回 [ 小川菜摘の子育て相談 ]「子育ては完璧じゃなくていい。毎日ご飯を作る余裕なんてないから、お惣菜や出前の日もある。でも、それでいいと思うんです。子どもたちが思っているほど親は立派じゃないということを見せることも大事。私はいつも “そのままの私” で体当たりしてきました」と語る小川菜摘さん。2人の息子さんもそれぞれ成人し、ようやく子育て一段落。改めて、駆け抜けた日々を振り返り子育てのお悩みに答えます。【読者からのお悩み】中学生になった息子の成績が急降下、反抗期も迎えてWパンチです。中学2年生の男の子の母です。(一人っ子です)息子には 小さな頃からいろんな習い事をさせてきて、小学校の時はまずまずの成績を保っていました。なのですが、中学校に入った頃から状況が暗転してきて、中2で成績が一気に下降。私から見たところ息子は 勉強をする気が起きないようです。問題はそれだけではありません。最近では教科書どおりの反抗期を迎え、毎日が本当にしんどく、何より息子の将来が不安です。主人に相談すると「放っておけ」といいますが、なかなか放っておけません。(※投稿内容を一部、読みやすいように編集させていただきました。)【 小川さんからのアドバイス 】なぜ勉強に興味が向かなくなってしまったのか?子供の本音を引出してみて私も息子二人にいろいろな習い事をさせました。英会話、水泳、サッカー、空手……。スポーツ少年になってほしいと期待していたんです。でも、本人はつまらなそうだった。その表情を見て、結局、親がいろいろなカードを与えても、そのカードを懐に入れる・入れないを決めるのは子ども自身だと気づきました。やりたくないことを続けても楽しくないし、お金の無駄だし、私も送り迎えがたいへんだし、途中で辞めることは悪いこととは思わない。結局、息子二人とも最終的に残ったものは、スポーツではなく音楽でした。勉強については、うちの場合は、私も旦那も勉強は苦手だったので、(笑)“いい成績”は望まなかったけれど、赤点を取らない程度にはできないと居残りで補習させられるので、「遊ぶ時間が削られてあなた自身が損するだけだよ」と言って聞かせました。次男は高校進学のときに自発的に留学しましたが、それも本人が自分にとって「必要だ」と思ったから。やはり、親があまり多くを望みすぎても仕方がない。子どもの人生は子どものものだと割り切ることも必要かな、と思います。お子さんは、そもそもなぜ勉強に興味がなくなったのでしょうか。もしかしたらいじめの問題や反抗期のフラストレーションを抱えている可能性があるかも。反抗期だと冷静に話をするのも難しいけれど、私は腫れ物に触るようにするのは嫌だったから、真正面から「お母さんはこう思っている」ということを伝えて、子どものイライラも受け止めるようにしていました。怒りながら、時に泣きながら応戦したこともあります。食事のときなど、ケンカになりにくいタイミングで、何が不満なのか聞いてみるとよいかも。それから、お母さん自身もおいしいものを食べたり映画を見たり、ちょっとしたことでいいので自分が楽しめる時間を持つといいと思いますよ。最近の小川さん自家製ピクルス漬けました‼️旨旨♡PROFILE26歳で結婚、28歳で第1子、31歳で第2子を出産。小川菜摘Natsumi Ogawa東京都出身。1978年『ゆうひが丘の総理大臣』でデビュー後、文学座演劇研究所入団。数々のテレビドラマや映画に出演。2012年舞台に復帰。2018年7月20日~22日、六本木スペース ビリオン(東京都)にて『リーディング ファム・ファタール! 運命の女 小川菜摘×青木さやか』出演。Photo:Reiko TohyamaText:Yukiko AnrakuComposition:Shiho Kodamaあなたのお悩み募集中!2人の男の子を育て、家事に、仕事にと奮闘した経験を持つ大先輩である小川菜摘さんに「親にも話せない悩みをこっそり相談したい」「自分では解決できない悶々とした感情を諌めることができない」などなど、心に引っかかっていることについて小川さんと一緒に考えてみませんか?※子どもの性別、年齢は問いません。※子どもが生まれてからの夫婦間のお悩みや、親との関係性など。※お母さんだけでなくお父さんからのお悩みも募集中です。お問い合わせありがとうございます。
2018年08月24日児童虐待のニュースを目にしては、涙を流すことしかできなかった…長男「どうしたの?お母さん」私「小さな女の子が虐待で亡くなったんだって」長男「かわいそうに…そんな酷いことされて…周りの人は気づかなかったの?お母さん、見て見ぬ振りをしてしまう社会を変えることがこれからの日本の課題だね…」長男の一言にハッとした…過去の辛い経験から、ずっと悩み抱えていた児童虐待問題。その姿をしっかりと見ていた子ども達。「虐待のない世の中になるように」未来を担うこの子達へ伝えていくこと。それが #わたしたちでもできること内田八重Instagram : kodakarakaruta
2018年08月22日子育ては24時間365日体制。心は安まる間も無く、常に張りつめている。漠然とした不安を抱えながらの子育ては時に判断力を奪い、張りつめた糸を一瞬で切ってしまうことも。張りつめた糸が切れぬよう、心が壊れてしまわぬよう、母親の心をほぐすということが、子供の命を守ることに繋がるのではないかと思う。さやかわさやこInstagram : futomomushi
2018年08月21日世の中に数あるSNSの中から『ママパパがおもしろい! 』 を基準に、赤ちゃん本部長でおなじみ㈱モアイの営業部3人組がインスタグラム、ツイッター、ブログから、気になるアカウントをピックアップ。子育ての役に立ったり、息抜きになったり、とにかく可愛かったり、面白かったり……。おすすめ子育てSNSをお届けします!坂井部長坂井です。こう見えて、アートやカルチャーなどに興味をもったりしております。手前味噌ではございますが、皆さまと共有したいものをご紹介できればと思っております!天野課長どうも天野です。「ぷぷぷ」と笑える、子育ての息抜きになれるようなアカウントを独断と偏見でご紹介します!西浦西浦です!本部長と娘のハルミの育児をする中で、僕自身参考にさせて頂いてるアカウントさんをご紹介できればなと、思っております!今週のBABYPICKSbabychancoInstagram : babychanco坂井部長ハッシュタグ「爆毛」を付けたお母さまのセンスもさながら、写真映えの破壊力バツグン!それでいて、ぬいぐるみのような愛らしさを纏う爆毛ベイビーちゃんの可愛らしさたるや。POST当時で6ヵ月。日々の成長から目が離せません!坂井部長の気になるPOSTあべあいこInstagram : tamago1030Blog : Fairy Button天野課長賑やかで、楽しい写真ばかりのあべ家。特に集合写真は、普通に撮らない主義のようです。中でも年賀状への力の入れ具合は、半端じゃないようです!キメッキメのあべ家が、かっこいい!!来年の年賀状も楽しみにしています~!天野課長の気になるPOSTニシハラハコTwitter : @nishiharahacoBlog: お茶漬けごはん天野課長一人娘のミョウガちゃんこと、ミョウちゃんのシュールで面白い感性を、そのまま切り取った日々の育児マンガ。毎回ミョウちゃんの返答に、「そうきたか!」と、クスッと笑ってしまいます。イラストレーターさんという事もあり、細かい描写まで可愛らしく描かれているとこも、見応えありです!天野課長の気になるPOSThhh_andmInstagram : hhh_andm坂井部長男子2人を育てるお母さまのアカウント。シンプルな写真に、言葉少なめで綴る日々の風景が、とても愛おしく、温かく感じてしまう、素敵な投稿ばかり。仲良し兄弟の成長も楽しみです!坂井部長の気になるPOST西浦今週も最後までお読み頂きありがとうございました!皆さまも気になるアカウントを見つけたら、㈱モアイ営業部までご一報ください!お待ちしてまーす!「気になるアカウント」募集中!あなたが日常で楽しみにみているアカウントを教えてください。気になるアカウントを教えて下さい。
2018年08月21日今回、虐待と育児について考える機会を頂きました。私は現在10ヶ月になる娘の母親をしております。バイバイやたっちをする事を覚え可愛い盛りです。ただ、私は知りませんでした。育児がこんなにも孤独で過酷で忍耐力のいる事だと。もちろん、そんな事を思わない方もいらっしゃると思います。私も娘を産む前は、毎日笑顔で完璧に家事をこなすスーパーお母さんになれるものだと当然のように思っていました。でも、思っていたよりも自分は強く無かったんですよね。私にはたまたま、同じ年に子供を産んだ姉が居ます。悩みや愚痴を言うと必ず共感し寄り添ってくれます。私は一人ではない、それだけで気持ちは晴れ余裕ができるのです。虐待をしてしまった親にも姉のように肩を抱いてくれる存在がいたならば、少しは違ったのではないでしょうか。子供はどんな事があっても親を求めます。抱きしめて欲しいと求めてきます。それならば、親である貴方の事は私が抱きしめよう。そんな気持ちを込めてイラストにさせて頂きました。それが私の考える#わたしたちでもできることです。芸子Instagram : geiko_tumu
2018年08月20日児童虐待のニュースを見るたびに心が辛くて、傷ついて、目を避けそうになります。「自分一人では何もできないんだから」と思ってその辛さから逃げようとしてしまいます。私はそうしていました。コメンテーターやりながら「辛い、悔しい」と思ってやり過ごしていました。自分の感じた辛さを虐待した親への憎悪に変えてやり過ごすのです。でもそんなことを思っていても虐待されている子が虐待されなくなるわけじゃありません。虐待してしまう親が、虐待しなくなるわけでもありません。そして、また新たに虐待されたこどものニュースを耳にするのです。そのたびに無力感にかられます。何もしていないのに無力感っておかしな話ですが。でも、じゃあ自分にできることがあるのかって問うと、何もできないんじゃないかと思ってしまいます。私たちそれぞれに生活があります。日々を過ごすだけで精一杯です。私も1歳の娘と仕事とプライベートとで日々忙しく、心に余裕すらなかなか持てない状態。そんな状態で自分の家族以外の人のことを気にかけて動く余裕は、正直なかなか持てないです。そういう方、たっくさんいるのではないでしょうか。みんないっぱいいっぱいなんですよね。それでも、目黒区5歳児虐待死の事件を聞いて、私はおかしくなりそうでした。やり過ごせなくなりました。なぜって、全然自己肯定できなくなったからです。こどものいのちは大人が守るしかないのに、大人である自分が何もしていない、そんな自分を肯定できず苦しさは大きくなったのです。「いっぱいいっぱいなりにやれることをやろう」そう思い私は #児童虐待問題に取り組まない議員を私は支持しません というハッシュタグを作りました。ハッシュタグを作るなら1分でできます。でもそこに集まった声は、大きな力になって議員さんに届いていたもようです。(様々な議員や党の方がいいねをしたりリツイートしてくれました)#こどものいのちはこどものもの というチームも作りました。坂本美雨さん、福田萌さん、ファンタジスタさくらださん、眞鍋かをりさんと一緒に自分達にできることをやっていこうと、これもハッシュタグをつけて意見を募り、厚労省にたくさん届いた意見を、届けました。ハッシュタグって届けられるものなんですね(笑)たくさんの人が「児童虐待をなくして欲しいと強く思っている」ということが国に届かないことにはなかなか動いてもらえませんから、こういったことはとても大切なことだと思うのです。そして、そのたっくさんの意見は、いっぱいいっぱいな中、インスタグラムやツイッターで書き込んでくれたことで成り立っているのです。いっぱいいっぱいでもやれること、あるんですね。こういう動きをする時、どこか自分の生活を犠牲にしなければいけないというイメージが付きまといます。でも、そんなことないと思うのです。自分達の生活も、自分の心も大切にしながら、やれる範囲でやる。じゃないとハードルが高くなっちゃって、心を痛めていてもつぶやくことすらしにくい空気になってしまう。(もちろんいろいろなことを犠牲にして動いている方には尊敬しかなく、頭があがりません)だから私は娘との時間しっかりとりますし、自分の仕事もしますし、夫とも一緒にランチもしますし、友達とも会って大好きなゲームもします。そうして、ハッシュタグ運動を始めてから、ほんのり自己肯定感は戻ってきました。こどもたちのために動いたら、自分を好きになれました。これを読んで、虐待がなくなって欲しいなあと思った方、よければ #わたしたちでもできること #こどものいのちはこどものもの をつけて、何か自分にできそうなことをつぶやいてみてもらえたら嬉しいです。赤ちゃん連れで大変そうな人に微笑みかけるとか育児で大変そうな友達の話を聞くとか近所のこどもってどんな子だったっけと考えてみるとか虐待に関する記事を読んでシェアしてみるとか自分の住んでる自治体で虐待問題に誰が取り組んでいるのか調べてみるとか……本当に簡単にできること。そのたくさんの知恵が集まって、みんながそれを目にしたら、優しい世界が少しずつ増えると思うのです。この記事をリツイートしてくれるだけでもいいです。いっぱいいっぱいなりに、無理しない範囲でできること。活動することでみなさんの、ニュースの度に傷ついた心やどこか不安になる気持ちもちょっぴり落ち着きます。どうぞどうぞよろしくお願い致します。犬山紙子Illustration・Text:Kamiko InuyamaPROFILE犬山紙子Kamiko Inuyama1981年生まれ。コラムニスト、イラストエッセイスト。著書に『負け美女 ルックスが仇になる』(マガジンハウス)、『地雷手帖嫌われ女子50の秘密』(文春文庫)、『言ってはいけないクソバイス』(ポプラ社)ほか多数。2017年に女児を出産し、育児体験者への取材記録や自身の出産体験記を収録した『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)を刊行。現在は「SPA!」「anan」「steady.」「文學界」「読売新聞」などで連載中。
2018年08月18日赤ちゃん本部長がさまざまな企業の本部長を訪問する「それいけ! うちの本部長」。今回武田本部長が訪れたのは、『ガンダム』シリーズや『パックマン』で知られるバンダイナムコグループの、オンラインゲームを開発・運営するバンダイナムコオンライン。事業本部長・里見陽祐さんにお会いするため、東京・三田にあるオフィス「バンダイナムコ未来研究所」を訪れた本部長。大きなビジョンやゲームが並ぶエントランスに、本部長もかつて夢中になったゲームの思い出が蘇ってきたようです。きっかけは『欽ちゃんの仮装大賞』!?里見:はじめまして、里見です。武田:はじめまして、武田です。いや〜ゲーム会社はワクワクしますね〜。受付にガンダムがいて興奮しました!でもフロアは静かなんですね……。里見:弊社はゲームプロデュースだけでなく開発も行っているのでちょっとユニークなんです。なのでフロアは意外と静かなんですよ。武田:確かに皆さん個々に作業に集中されてますね。うちの営業部はいつも騒がしいので雰囲気がまるで違います。里見さんは、昨年バンダイナムコオンラインの事業本部本部長に就任されたそうで。里見:はい。弊社の事業本部は126名。派遣や業務委託の社員を含めると160名ほどいます。事業本部には、ゲーム開発、運営、プロデュースを行う事業部門が4つと品質管理部門、各部門を支えるマーケティング、インフラ、海外営業部門がありますが、僕の仕事は4つの事業部門と品質管理部門を統括し、会社や社員が目指すべき方向へ導いていくことです。ただ、弊社はトップダウンの会社ではないので、5年後、10年後をイメージしながら、各事業部門と一緒に成長を考えていくという感じです。武田:大きなチームで職種も多岐にわたるんですね。部下をまとめるのは大変でしょう。里見:人に言えるほど大変だと感じるところはありませんが、うまくいっている時は勢いを止めないように+αのチャレンジを促し、問題があるときは解決の方針とステップを指示します。この業界はすべてがすべてうまくいくことはなかなかないので、常にポジティブな思考とネガティブな思考を持ち続けて方向を定めていくというというところが大変ですかね。武田:なるほど。小さい頃からゲームが好きだったんですか?里見:そうですね。大好きでした。武田:ゲーム業界に入ったのは、ゲームが好きだからですか?里見:それもありますし、就職活動で企業を探しているときに「遊び」というワードが自分の中にしっくりきたんですよね。大学の卒論も江戸時代の「遊び」をテーマにしていたので、「遊び」からゲームに発想がつながっていった感じです。大学卒業後はバンダイと統合前のナムコへ入社したのですが、ナムコの選考過程の中でも、気楽な社風でおもしろいことを真剣に取り組む会社の考え方がしっくりくる感じがありました。そもそも、エンタメ業界を志したきっかけは『欽ちゃんの仮装大賞』なんですがね。制作スタッフの面白いことを本気でつくりあげる姿に刺激を受けたんです。武田:え!出場したんですか!?里見:そうですね。2回出場しました。武田:2回!?里見:3回応募して、2回出場しました。1回目はひとりで出ています。たまにひとりで出場している人がいるじゃないですか。あれが僕です(笑)。武田:(笑)ちなみにどういう作品で出場したんですか?里見:1回目は黒の全身タイツを着て、顔を赤く塗って、手にけん玉の柄の部分を持って、アクロバティックな動きでけん玉を見せるというシュールな作品です。テレビ映えはしなかったですけど、身内には相当ウケました(笑)。武田:そのときの欽ちゃんのリアクション見てみたいですね〜(笑)。出ようと思ったきっかけは?里見:いまでも鮮明に覚えているのですが、大学入学後にキャンパスでたまたま高校の同級生の女性に会ったんですよ。ふとすれ違ったときに、「里見くん、大学生になったら目立たなくなったね」と言われて。高校のときは応援団長をしたりなにかしら目立つことやっていたのですが、その時期は大学入学後の燃え尽きていた時期で。なにかに打ち込むことを失っていたときだったんです。その言葉で強迫観念にかられ、「目立たなきゃ!」と。それで、「よし、テレビに出る!」と決めたんです(笑)。『笑っていいとも!』か『欽ちゃんの仮装大賞』かの2択で、『欽ちゃんの仮装大賞』に応募したんですよ。……あれ以上の緊張はないですよ。最初、しゃがんでいるところからスタートするんですけど、本番はしゃがんでいるにもかかわらず、足の震えが止まらなかった。その経験があるので、その後緊張しなくなりましたね。武田:なかなかない経験ですね。就職活動のアピールポイントにもなったのでは?里見:なりましたね。面接では、この話で大体8〜9割は終わりました(笑)。容赦ない言葉を言われるようになってからが一人前武田:里見さんの子どもの頃だと、ファミコン世代でしょうか。里見:はい。記憶に残っているのは『スーパーマリオブラザーズ』『ゴルフ』などですね。めちゃくちゃやったのは野球ゲームの『ファミスタ』。兄や兄の友達とよくゲームをやっていたのですが、お兄さんたちがえげつない投球をしてくるわけですよ。小さい子を相手にボコボコにするという(笑)。武田:よくある光景ですね(笑)。里見さんは、かつてプロデューサーとして『ファミスタ』シリーズに携わったんですよね。こどもの頃に熱中していたゲームの制作に関われるなんて、さぞうれしかったでしょう。里見:そうですね。でも、僕はナムコに入社後、8年間くらいはゲームセンターの勤務だったんですよ。ゲームセンターは風営法の規制で営業時間に制限があるので、24時間のゲームセンターがあったらいいなと思っていたときに、日本でもオンラインゲームが流行り始めたんですよ。ちょうどその時期に、バンダイナムコグループの研修課題で、後の事業を役員にプレゼンする機会があって。そこで、PCオンラインゲーム事業をバンダイナムコグループの事業の柱として育てたいと提案をしたこともきっかけになり、オンラインゲーム事業部門にグループ内出向したというのがこれまでの経緯です。ちょうどそのときに担当したのが『ファミスタ』シリーズ。『ファミスタ』は思い入れの深いコンテンツですし、バンダイとナムコが統合して大好きな『ガンダム』シリーズに関わることができるというのも魅力的でしたね。でも一番大きかったのは、当時開発や運営で関わったメンバーが今でも一緒に仕事をしているなどいい出会いがあった。なので、思い入れはすごく強いんですよ。武田:アーケードゲームの営業から制作への転向は大きな変化ですね。里見:そうですね。いまは、スマホアプリでもそうですが、ゲームをリリースしてからお客様に長く遊んでもらうためのビジネスモデルが主流になってきていますよね。ゲームの運営、ゲームサービスを提供する人が必要になってきている。サービス業をやってきた人がネットゲームに関われる可能性を感じていたので、それを突き詰めてみようと思ったんです。ゲームセンターのいい点は、ゲームで遊んでいるお客さんの表情を見ることができるところ。けれど、ネットを介すると見えないわけですよね。SNSや掲示板に辛辣な言葉を書き込む人もいますし。けれど、ゲームセンターでプレイしているお客さんの顔を見ていたので、ネットに書き込まれたことからお客さんが楽しんでいるのか怒っているのかをなんとなく想像できるんです。それは利点だなと思いますね。武田:容赦のない言葉を耳にするのは辛いですね……。里見:僕はあまり言われる立場ではないですけど、開発のみんなは「それを体験してからが一人前」だとよく言っていますね(笑)。武田:確かに。ゲームをお客さんに知られてプレイされている上でのことですからね。里見:そうですよね。ゲームを作っている会社とお客さんの距離が近いという証拠でもあると思うんです。だから、ゲームを作る人は感謝の声も厳しい声も真摯に受け止めていますよ。ポジティブであれネガティブであれ、リアクションをしてくれることが重要ですよね。もしネガティブなご意見を頂いたら、もっとよくなる可能性だと捉えると気持ちが楽なんじゃないですかね。僕がそう思える理由ははっきりしていて、ゲームセンターでお客さんに面と向かって言われていたんです。例えば、ビデオゲームのレバーの反応や椅子に苦情が来たりね(笑)。やはり面と向かって言われるほうがキツいんですよ。でも、お客さんが目の前にいるしその場で答えを出さないといけないので、すぐに答えを出してお客さんにスッキリしてもらって帰ってもらう。でもネットではそれができないので一長一短ですよね。表情で想像できる経験があるのであまりストレスは感じないんでしょうね。子どものゲーム時間は自分で決めること武田:里見さんには、小学4年生の娘さんと年長の息子さんがいらっしゃるそうですが、お子さんもゲームが好きなんですか?里見:はい、もちろんゲーム好きです。最近はNintendo Switchで『スプラトゥーン2』をよくやってるんですが……めちゃくちゃうまいんですよ。僕よりうまい(笑)。武田さんはゲームはされますか?武田:昔はやっていましたよ。ただ、私がやっていた頃はマルチプレイなんて機能はなかったので、みんなで家に集まって誰が一番強いか競っていましたね。里見:やってましたね〜。いまは基本ネット対戦なので、『スプラトゥーン2』も対戦相手に困らずにゲームしていますね。武田:うらやましいですよね。いまはスマホ、PC、コンシューマーゲームなどいろいろなデバイスがありますしね。里見さんの家では、例えば「1日1時間」など、お子さんがゲームをやる上での決まりはありますか?里見:特にありません。僕はわりと寛容だし、そもそも僕がゲームをやっているので「好きなだけやったら?」という考えなんですよ。多くのお母さんは、子どもがゲームをやる際に「ちゃんと時間を決めましょう」と言うと思うんですけど、うちの場合は基本的に子どもが時間を決めています。大体30分くらいです。息子はまだ時計の読み方があまりわからないので、「長い針がここにくるまで」という言い方になります。なので、必然的に長くはならないんですよ。武田:ちなみに、里見さんが小さい頃は決められていましたか?里見:全くないです。両親はゲームを全然しないのですが寛容でしたね。多くの親はゲーム自体が必ずしも育児や成長に悪影響を及ぼすとは考えていないけれど、子どもは時間のマネージメントができないというのが悩みの種だと思うんですよ。うちの場合は、子どもが時間を決めることによってそれをうまくコントロールできているような気がします。子どものほうがゲームをよく知っているので、30分あれば何戦できるってわかりますよね。いまのゲームは、きりのいいところが設定されていて、それがどこかは子どものほうがよくわかっているので、子どもがコントロールしてもいいと思います。ただ、あとちょっと経験値を積むとレベルが上がるのに……という場合は、レベルが上がるところまではやらせる。延長戦はOKというようにしています。武田:そうか、昔みたいにセーブポイントが全然ないダンジョンで中断できずに親とケンカになることも、今はないんですね。いいなぁ…。里見:(笑)子どもにとっては、そのほうがすっきりするじゃないですか。例えば、30分や1時間やった後に勉強しなさいと言われても、心残りになるものがあっても集中できないですよね。レベルアップして勉強するか、途中で止めて勉強するかでは気持ちの持ちようが違う。何のためにゲームをやっているかというと、子どもにとってもストレス発散という側面はあるはずなので、悶々とした状態にさせないで子どもが納得できるところでやめるというのは大事だと思います。それはきりよく物事をやるという習慣にもつながると思うんですよ。いまのゲームはちゃんといいところで設定されているので大丈夫ですよ。武田:子どもとゲームとの付き合い方に頭を悩ませる親にとって、とても参考になるお話ですね。私はいま赤ちゃんの姿をしていますが、ゲームを知っている親に育てられたいですね(笑)。参考になります。里見さんが子育てで一番大切にしていることはなんでしょう?里見:お父さんが育児、子育てに向き合える時間は限られているので、その時間の中で一緒に楽しく時間を過ごしたいと考えています。娘はちょっと親離れし始めているので、むしろ「もっとパパと遊んでよ」って思うようになってきてますが(笑)。武田:部下に育児のアドバイスをしたりもしますか?里見:しますよ。お父さんも育児に悩むことはあると思うので、相談されたりします。そういうときは「母親に従っておけ」とアドバイスします。私もそうですが、奥さんが大半の時間育児・子育てをしているという家庭も少なくないですよね。その分奥さんは日々ストレスを感じながら育児をしている。奥さんも人間だし趣味や一人で過ごしたい時間もあるので、奥さんの時間を尊重してあげるというところでしょうか。我が家は奥さんから行きたいライブの予定を数ヵ月前からLINE通知で予定をロックされるので、私はただただそれを優先するように時間を空けるだけですが(笑)。月何日かは奥さんに自由な時間を取ってもらうように意識はしています。そのほうが家庭もうまくいくケースのほうが多いのではないでしょうか。PROFILE里見陽祐Yousuke Satomi大学卒業後、株式会社ナムコ(現:バンダイナムコアミューズメント)入社。入社後、店舗営業職として西日本中心に複数のアミューズ施設の店長を経験。2008年より株式会社バンダイナムコゲームス(現:バンダイナムコエンターテインメント)にグループ内異動しPCオンラインゲーム事業に携わり、野球ゲームなどのプロデューサー職を経験。2009年10月株式会社バンダイナムコオンライン設立よりマネージャー、ゼネラルマネージャーを歴任し現職。バンダイナムコオンライン取材・構成/岡崎咲子写真/柏原力
2018年08月17日一人一人、好きな食べ物や個性が異なるように、妊娠や出産の仕方、子育てだってみんなと同じじゃなくてもいい。親子の数だけ子育ての仕方もあっていいはず。子どもと向き合う時間は限られているからこそ、子どもの成長を感じて笑い、ときに悩み、ときに泣き。無我夢中で子を育ててきた。毎回、子育てを経験したパパとママに話を聞く「子育て、私の場合」。今回話を伺ったのは日本人で2人目の宇宙飛行士として任務を果たした山崎直子さん。2010年、スペースシャトル・ディスカバリー号に搭乗するまで訓練に費やした年月はざっと11年。その間、結婚、妊娠、第一子の出産といくつかの節目を迎え、生後まもない赤ちゃんと共にアメリカで生活をし、その後は単身ロシアに渡っての訓練……。とその都度、優先順位を考え決断をしながら “宇宙” を目指す日々をおくってきた。周囲の人に協力してもらいながら子育てに奮闘し、自身の夢に邁進してきた山崎さんの信条とは。▼前編はこちら宇宙飛行士に正式認定された後、初めての子どもを妊娠、出産宇宙飛行士を目指すからといって、結婚や出産をあきらめる気持ちは山崎さんにはなかった。宇宙飛行士候補の選抜の面接でも、将来の家族設計について質問された山崎さんは「将来、子どもは欲しいと思っています。子どもを背負いながら、訓練を続けていきます」と即答。宇宙飛行士になることと、家族を持つことの両方とも、当時から人生において同じくらい大事なことだったのだ。「アメリカのNASAでは、すでに宇宙飛行士と家庭を両立している女性が何人かいると聞いていたのは大きかったですね。でも、それ以上に、宇宙飛行士の選抜人数はすごく少なくて、人事を尽くしたら天命を待つしかないので、受かるか、受からないかというのは、正直あんまり気にしていなかったんです。それより、試験でこんなことやるんだ~!と、ひとつひとつが新鮮でおもしろかったです。選抜試験そのものを楽しむようにしていました(笑)」2002年8月、正式に宇宙飛行士に認定されてから約1年後、長女を出産。働く女性のひとりとして、妊娠・出産のタイミングにはかなり悩んだ。「極力、周囲に迷惑がかからず、なおかつ自分も両立しやすいタイミングはいつか?このときがいいよ、とは誰も教えてくれない。だから自分で状況を見ながら考えていくしかない。答えはないんですよね。さらに自分で望んでも、そのタイミングで授かるかどうかもまた別問題なので。ただ、宇宙飛行士の場合だと、最初の2~3年間はとにかく100%訓練で、体力を使うことも多いし、場所も転々とします。だから、この間はちょっと難しいだろうなぁと、正直感じていました。まだ候補生ですし。でも基礎訓練が終わり、正式に宇宙飛行士になると、あとは訓練が3~4割、残りは地上でのサポート業務になるんです。訓練計画も、宇宙飛行士それぞれによって変わってくるので、出産するならその時期かなと」出産の6週間前まで訓練を継続し、2ヵ月の産後休暇を経て、訓練を再開。最初に当時の夫が3ヵ月の育児休暇をとり、その後は山崎さんが交代で3ヵ月の育児休暇をとった。とはいえ、その育児休暇の間も、完全に仕事を休むのではなく「週に1回曜日を決めて、継続した方がいい語学のレッスンを受けたり、組織内の定例会議に出席したり」といったスタンスで仕事を続けていたという。「スケジュール調整とか、まわりにご迷惑をかけたことももちろんあったのですが、いろいろと相談させてもらえたことに感謝しています。今は、働き方のスタイルがよりフレキシブルになっているのかもしれません。逆に言えば、もっと前だと、もっと苦労している方がたくさんいたので、先人たちの努力にも感謝しなければいけないなと思います。振り返ってみれば、結局、家族のことは家族で抱えざるを得なかった点もたくさんあり、反省点も多いですが、試行錯誤の中、人一倍がんばってきた娘の存在、その都度何がいいかを一緒に考えてきた当時の夫の存在、困ったとき、娘の面倒を見てくれてサポートしてくれた両親の存在は本当に大きな支えでした。保育園の先生方、職場の同僚や上司、親戚の皆さん、子どものお友達家族にも、とてもお世話になりました」人生における優先順位はその都度、状況によって判断していく4月からは、生後8ヵ月の長女を保育園に入園させて、周囲のサポートを得ながら、家庭と子育て、それぞれの仕事を両立すべく奮闘。しかし、長女が生後11ヵ月のときに、山崎さんが訓練のために単身でロシアに行くことになり、以降、ロシアやアメリカなど、家族の拠点が定まらない生活が長く続いた。「自分一人だったら平気でも、家族がいると、やっぱりみんなを巻き込んでしまう。ロシアに行くとき、子どもはどうする?アメリカに行くときはどうする?その都度、考えなければいけないので、その様々なマネジメントと判断が一番の悩みでした。単身で外国にいるときは、子どもと離れているため、何かあっても自分では何もできないという怖さと後ろめたさがあります。でもだからこそ、そのぶん、訓練をしっかりやろうと思っていました」断続的に合計約7年の長期滞在となったアメリカのヒューストンでは、近くに頼れる家族や親戚は誰もいない。当初、英語はおろか、まだ日本語もままならなかった長女は、朝の6時半から子どもを預かってくれる現地の保育園に入園することになった。「朝、娘に『保育園に行きたくない。ママ、今日は会社休んで』と言って泣かれると、もうどうしよう……ですよね。泣いちゃいますもん、こっちも。そういうときは『ごめんね、ママも一緒にいたいけど、会社に怖い鬼がいて、今日は仕事に行かないと、鬼に追いかけられちゃうんだよ』とか言って。毎朝、出かける前に何があるか分からないので、常に30分~1時間は時間に余裕を持たせるようにしていました。職場に行けば、気持ちを切り替えて仕事をしているので、こっちは朝のことはすっかり忘れてしまうんですよね。だから、帰りのお迎えのときに娘から『今日、会社で鬼に怒られなかった?』って聞かれると、ずっと心配してくれていたんだ……と胸がじーんとしました」それから何年も経ってからのこと、長女の優しい心遣いに、山崎さんがまたもや泣いてしまった出来事がある。「打ち上げの1ヵ月ちょっと前、当時、小学校低学年だった娘が熱を出したんです。私が看病しようとしたら、ベッドで寝ている娘に『ママ、あっちに行ってて。ママにうつったら、宇宙に行けなくなるから』と言われて……。大人が思う以上に、子どもは子どもなりにいろいろ考えてくれているんだなぁと、しみじみ思いましたね」サイエンス・フェアをきっかけに生まれた娘のちょっとした仮説に宇宙から証明もちろんアメリカでの生活は大変なことばかりではなく、小さな頃から多彩なアメリカ文化に触れ、日本とはまた違う経験ができるというメリットもあった。「アメリカで娘が通った学校では年長から小学校まで、毎年 “サイエンス・フェア” という自由研究をして、みんなの前で発表するという親子参加のイベントが行われていました。題材は自由に選び、『仮説、調べるのに必要なもの、調べる方法、実験結果、考察』と論理的にまとめる点がアメリカならでは。こういう取り組みがあると、子どもが小さいうちから、科学的な考え方を培えるようになって、とてもいいですよね。当時、幼稚園に通っていた長女が、『シャボン玉に色をつけられるか?』というテーマで、『つけられる』という仮説のもとに自由研究をしたことがあります。シャボン玉は一見、透明ですが、一番下のしずくには色がついています。これは地球の引力が色素を下に引っ張っているからではないか?宇宙のように重さがないところだったら、色素がシャボン玉全体にまわり、色つきのシャボン玉になるのでは?と考えたんですね。この実験は後に私が宇宙に行ったときに、ISS(国際宇宙ステーション)の中で実際にやり、娘の予想どおりに色つきのシャボン玉になったことをTV会議で、娘に見せてあげることができました」宇宙から帰還後、40代で第二子を出産子育てでは〝安心感〟を与えることを大切に2001年9月に山崎さんが宇宙飛行士に認定されてから、2010年4月に宇宙に行くまで、実に9年近く。宇宙から帰還した翌年2011年8月、山崎さんは第二子の妊娠を契機に、JAXAを退職。その2ヵ月後、次女を出産した。「授かれるのなら、2人目がほしいなぁという気持ちはずっとありました。結果的に、思っていたより間が空いてしまい、高齢出産でもあったので、大丈夫かな?と、ちょっと勇気は要りましたが、出産することに迷いはなかったですね」山崎さんが宇宙に行ったとき、7歳だった長女は今、高校生。次女は小学生になった。「長女はまわりに気を遣う優しいタイプで、次女は自分の好みにこだわりがあるタイプ。それぞれマイペースで、好きなことには熱中する点は共通していますね。家で宇宙の話をすることもありますし、一緒に宇宙に関するイベントに参加したり、科学館に行ったりすることもあります。家には宇宙の絵本がたくさんあるので、下の子は宇宙に自然に興味を持っているみたいですね。一時期、飛行機の模型をたくさん置いていたときは、飛行機が好きになっていたこともあって。やっぱり身近にいろんなものを置いてみると、子どもの好奇心を刺激するいいきっかけになるんじゃないかなぁと思います」独立心が旺盛で、どんなに大変なときも、自分の力で道を切り拓いてきた山崎さんが自身の子どもの頃を振り返ったときに、何よりも思い出すのが両親のくれた “安心感” だ。駅から家まで徒歩15分の夜道を娘がひとりで歩くことを心配し、高校、大学時代は毎日のように、雨の日も寒い日も、父か母のどちらかが必ず駅まで迎えに来てくれた。「私の母は専業主婦だったこともあり、いつも見守ってもらっているという安心感がありました。そのおかげで自分のやりたいことを、のびのびできたのだと思います。今の私が子育てにかけられる時間は、母とはどうしても違いますが、別の形でも娘たちに安心感を与えてあげられたら、と思っています。夜寝る前には『生まれてきてくれて、ありがとう』と言うことと、1日に1度はギュッとハグすることが毎日の習慣です。将来、娘たちには自立して、自分の軸をしっかり持って生きていってほしい。明確な答えがない時代環境の中、自分で考えられることが大切だと思っています」現在、山崎さんは、大学の先生として教壇に立ったり、科学館で宇宙の授業をするなど、多忙な毎日を送っている。「時間がなく、子どもの習い事や宿題などに丁寧に付き添ってあげられないことが悩みですね。今は自分の時間はほとんどありません。時間があれば、子どもと遊んであげたいというのが願いです。ただ、その中でも自分の好きな公園や科学館に行ったりして、自分の希望もちゃんと取り入れています(笑)。もう少し落ち着いたら、自分の時間を持って、ゆっくり映画鑑賞や読書をしたいですね。仕事では、子どもの頃に思っていた先生の形とはまた違うんですけど、学校で宇宙の話をしたり、科学館で宇宙教室を開いたりと、宇宙教育に携われているのは本当に嬉しいなぁと思っています。日本ではまだ理系に進む女性が少なくて、理系が条件となっている宇宙飛行士の応募も、男女比が9対1だったりするんです。でも、別に宇宙工学じゃなくても、医学でも農学でも、いろんな宇宙飛行士の方がいるので、まずはみなさんに興味を持っていただいて、どんどん挑戦してほしい。そして、いつの日か、理系でなくても宇宙に行けるような時代になってほしいですね」PROFILE山崎直子Naoko Yamazaki1970年、千葉県松戸市生まれ。東京大学工学部航空学科卒業。同大学航空宇宙工学専攻修士課程修了後、1996年から宇宙開発事業団(現・JAXA)に勤務。’99年2月に宇宙飛行士候補者に選ばれ、2001年に宇宙飛行士として認定。2010年4月、スペースシャトル「ディスカバリー」に搭乗、宇宙へ。ISS(国際宇宙ステーション)に110日間滞在する。’11年、JAXAを退職。現在、内閣府宇宙政策委員会委員、女子美術大学客員教授などを務める。Photo:Reiko TohyamaText:Keiko IshizukaComposition:Shiho Kodama
2018年08月16日サイズも豊富なGUのキッズ服は、お値段が手頃なだけでなく、ちゃんと可愛くてちゃんと使える!そんなアイテムが揃っています。今回は、今から買うなら秋をちょっと先取りしたアイテムを買う方が長持ちできる、はず!ということで、今すぐ着れるちょっぴり大人な秋アイテムをご紹介します。左:GIRLSスカラップショートパンツPURPLE¥1,490+税※大型店舗のみ販売右:GIRLSウエストリボンスカートOLIVE¥1,690+税※大型店舗のみ販売秋色のボトムスは今すぐにでも着れて、秋まで長く履ける上に、シチュエーションを選ばないのでおすすめです。素材やディテールにもこだわった優秀なボトムスたちです。GIRLSフロントボタンワイドパンツ左:LIGHT BLUE右:NAVY¥1,690+税※大型店舗のみ販売マリンな雰囲気のワイドパンツは、トップスをインさせてボタンを見せれば高見えです。ウエストは後ろがゴムになっているので着脱も簡単です。GIRLSフェイクファーサンダルBLACK¥1,490+税※大型店舗のみ販売子供が喜びそうな大きなボンボンがかわいいサンダルは、夏~秋のおでかけシーンで活躍しそう。左:GIRLSリブスクエアネックボーダーT(5分袖)NAVY¥990+税右:GIRLSリブスクエアネックTOFF WHITE¥990+税表情のあるリブ素材は、どんなアイテムとも相性抜群。スクエアネックなので、上品に見せてくれます。Composition:Kana MatsumotoPhoto:Makoto MutoDesign:Hisako Ninomiya
2018年08月15日世の中に数あるSNSの中から『ママパパがおもしろい! 』 を基準に、赤ちゃん本部長でおなじみ㈱モアイの営業部3人組がインスタグラム、ツイッター、ブログから、気になるアカウントをピックアップ。子育ての役に立ったり、息抜きになったり、とにかく可愛かったり、面白かったり……。おすすめ子育てSNSをお届けします!坂井部長坂井です。こう見えて、アートやカルチャーなどに興味をもったりしております。手前味噌ではございますが、皆さまと共有したいものをご紹介できればと思っております!天野課長どうも天野です。「ぷぷぷ」と笑える、子育ての息抜きになれるようなアカウントを独断と偏見でご紹介します!西浦西浦です!本部長と娘のハルミの育児をする中で、僕自身参考にさせて頂いてるアカウントさんをご紹介できればなと、思っております!今週のBABYPICKSAkiInstagram : aki9505坂井部長お弁当の蓋を開けると、昼食メンバーがもう一人増えたかのように、今にも喋りそう。ちょっと不気味?(笑)で、愛くるしい表情がたまりません。おかずの種類も豊富で、栄養も愛情もたっぷりの素敵なキモ弁を食べれる息子くん、君は幸せ者だぞ!坂井部長の気になるPOST物件ファンTwitter : @bukkenfanBlog : bukkenfan.jpInstagram : bukkenfan西浦「住む、住まない、にかかわらず、物件をたしなむサイト」のコンセプト通り、元牛乳屋さんだった物件や、ロフトにお風呂がある間取りなど、クセのあるものから、オシャレなものまで、魅力的な物件の数々。もしこの部屋に住んだら……!の想像が止まらないアカウントです。POSTに添えられた、味のある一言コメントも注目です!西浦の気になるPOSTかねもとTwitter : @kanemotonomukuuInstagram : kanemotonomukuu天野課長子育てに限らず、日常の一コマを、ひとクセもふたクセもあるつぶやきは、センスの塊。ブレないかねもとさん目線のツイートに目が離せません!僕がつらい時は、「新作カップめん食べたいぃぃい!」ってことでいいでしょうか?(笑)天野課長の気になるPOSTyaecoInstagram : kodakarakaruta天野課長5人の息子さんを育てるお母さま。反抗期なんて言葉は出てこなそうなくらい、いい息子さんたち!上の子は下の子の面倒を見る、という素晴らしい環境もできあがり、yaecoさんの子育ての前向きさをとても感じました。ユーモア溢れるコダカラカルタ、子育て中の親御さんには心強いアカウントだと思います!天野課長の気になるPOST西浦今週も最後までお読み頂きありがとうございました!皆さまも気になるアカウントを見つけたら、㈱モアイ営業部までご一報ください!お待ちしてまーす!「気になるアカウント」募集中!あなたが日常で楽しみにみているアカウントを教えてください。気になるアカウントを教えて下さい。
2018年08月14日第2回 [ 小川菜摘の子育て相談 ]「子育ては完璧じゃなくていい。毎日ご飯を作る余裕なんてないから、お惣菜や出前の日もある。でも、それでいいと思うんです。子どもたちが思っているほど親は立派じゃないということを見せることも大事。私はいつも “そのままの私” で体当たりしてきました」と語る小川菜摘さん。2人の息子さんもそれぞれ成人し、ようやく子育て一段落。改めて、駆け抜けた日々を振り返り子育てのお悩みに答えます。【読者からのお悩み】空気が読めないママ友との関係に困っています。《 お悩みその1》こんにちは、小川さん。私の悩みを聞いてください。相談にのってほしいのは“ママ友”についてです。知り合いに話が長いママ友がいて困っています。彼女的には悪気はなさそうなので途中で話を止めにくい。でも正直、彼女の話ばかりでつまらないし、時間がもったいないんです。子どもの世話や家事など時間はいくらあっても足りず、彼女の話にずっと付き合っていられるほど私も暇ではないので……。この状況、小川さんならどうしますか?《 お悩みその2》子どものお友達ファミリーから毎週のように遊びや食事に誘われます。そのお誘いを断ると、今度は次の週末ならどう?とまた誘われます。以前、4週続けて断ったことがあるのですが、そのときも5週目にまた誘われました。彼女が苦手、ということではなく、パパ同士、ママ同士は平日には会ったりします。ただ、平日ならいいのですが週末までは少し困ります。子供同士は会えば遊ぶけど……くらいの仲なので。私としては、家族全員がゆっくり過ごせるのは週末ぐらいなので、貴重な土日は家族時間がほしいんです。こんなことを考えるのはダメなのでしょうか?主人は「せっかく誘ってくれてるから」と言いますが。(※投稿内容を一部、読みやすいように編集させていただきました。)【 小川さんからのアドバイス 】あえて「ママ友は広く浅く」話が長いママ友、いますね!しかも、話し始めて30秒くらいでオチがわかるんですよね(笑)。たびたびそういうことがあったから、私は先にオチを言っちゃっていました。「それ、こういう話でしょ!?」って。相手も笑えるような感じでね。ママ友とのお付き合いって難しいですよね。もちろん助かることもあるんですよ。仕事のとき、子どもを預かってくれたり。その一方で、陰口を言われていたというトラブルに遭ったことも。幼稚園、小学校低学年のうちは、親も一緒に行動する機会が多いから「うまくやっていきたい」とどうしても思ってしまいますよね。でも、あえて私は「ママ友は広く浅く」と考えていました。この関係はずっとは続かない。だから言うべきことは言ったほうがいいと思うんです。お誘いをお断りすると「カドが立つかしら」と心配になると思うけど、子どものことを考えれば、親は笑って楽しくしているのがイチバン。だから、ママ友、パパ友付き合いも楽しいことが基本。「子どものために我慢したほうがいいかな」というのは、結局は子どものためにならないんじゃないかな。「いつもお誘いありがたいけれど、主人も私も週末しか休みが合わないからごめんね」とやんわり断れば、相手も嫌な気持ちになることはないはず。毎週行きたくなければ、毎週お誘いがあって「ごめんね、今週も予定が入っちゃってるの」と断っちゃって構わない。それで「感じ悪いわね」と言うような人なら、むしろ離れたほうがいい。私の場合、今もお付き合いが続いているママ友は、たった一人だけ。次男が4歳のときに知り合って20年。今では親友です。そんな友人と出会えたことは幸運でした。広くたくさんお付き合いしたなかのたった一人ですから。長い目で見れば、それくらいのもの。今の狭い世界のなかだけで「うまくお付き合いしなきゃ」なんて考えなくていいと思いますよ。最近の小川さんスタイリストさわちゃん、その娘ちゃんと三人で温泉旅行してきました。プリクラって本当に盛り盛りだね(笑)PROFILE26歳で結婚、28歳で第1子、31歳で第2子を出産。小川菜摘Natsumi Ogawa東京都出身。1978年『ゆうひが丘の総理大臣』でデビュー後、文学座演劇研究所入団。数々のテレビドラマや映画に出演。2012年舞台に復帰。2018年7月20日~22日、六本木スペース ビリオン(東京都)にて『リーディング ファム・ファタール! 運命の女 小川菜摘×青木さやか』出演。Photo:Reiko TohyamaText:Yukiko AnrakuComposition:Shiho Kodamaあなたのお悩み募集中!2人の男の子を育て、家事に、仕事にと奮闘した経験を持つ大先輩である小川菜摘さんに「親にも話せない悩みをこっそり相談したい」「自分では解決できない悶々とした感情を諌めることができない」などなど、心に引っかかっていることについて小川さんと一緒に考えてみませんか?※子どもの性別、年齢は問いません。※子どもが生まれてからの夫婦間のお悩みや、親との関係性など。※お母さんだけでなくお父さんからのお悩みも募集中です。お問い合わせありがとうございます。
2018年08月13日Nintendo Laboの「おうち」で可愛い生き物と一緒に遊ぼう。プリンセスラボPrincess Labo ☆おうち編☆今年4月に発売されるや、たちまち子どもたちに大人気となったNintendo Labo。同じく任天堂のWiiなど、身体を動かして遊ぶゲーム機はこれまでにもあったものの、Laboがさらに画期的なのは、コントローラーを自分で作るという “ものづくりの楽しさ” まで体験できるところ。また段ボール素材なので、自分の好きな色や柄にカスタムできるのも魅力です。Nintendo Laboを実際に作り、その様子を体験レポートする今企画。前回の「ピアノ編」に続いて今回は「おうち編」を公開。さらに、女の子がきっと喜ぶ、可愛くておしゃれなカスタム法もご紹介します!▼ピアノ編はこちらくるくるブロック、ネジネジブロック、ぷすぷすブロック。3つのブロックの組み合わせで、可愛い生き物と遊ぼう!今回作るのは『バラエティ キット』の中の「おうち」Toy-Con。ゲームを起動するとこのToy-Conが、リスのようなネズミのような、ナゾだけど可愛らしい “ある生き物” のおうちに変身します。例えば、Toy-Conを傾けると生き物がよろめいたり、ネジのブロックを差し込むとそのおうちの中に大きな蛇口が現れて、ネジをまわすと蛇口から水が出ておうちの中に溜まっていく、といったように。またボウリングや縄跳びなど、生き物が “プレーヤー” となって遊べるミニゲームも。餌や水をあげて育てるペット育成ゲームはよくありますが、とくにこのLaboは、中の生き物と “一緒に遊ぶ” という側面が強いので、よりお子さん向きかも知れません。オリジナル動画今回、編集部がカスタムしたNintendo laboはこちら。シンプルなNintendo Laboがどんどんポップにアレンジされていき最後は世界にひとつだけのプリンセスラボが完成。実際のピアノのカスタムを動画でおさらい!【 組み立て法 】おうちToy-Conもピアノと同様、Switchにカートリッジを差し込み、始まる動画に沿って組み立てていけばOK。とくにこのおうちは、箱状の本体+付属パーツ4つと、『バラエティキット』に入っている5種類の中でも比較的シンプルな構造なので、初めて&お子さん主導で作る場合にもおすすめです。完成までの所要時間は2時間〜3時間ほど。各ブロックの組み立てと輪ゴムの取り付けがやや複雑なので、お子さん主導で作る場合は、ここだけ大人の方が手伝ってあげるといいでしょう。1.おうちの本体と附属のパーツを切り取るおうちでは段ボール、反射材シートのほか、ヒモ(ブルー)と輪ゴムを使います。ヒモと輪ゴムは他のToy-Conの部品と一緒に入っているので、使う分だけ取り分けておくと◎。2.おうちの本体をセットするおうちの本体部分から組み立てていきます。左右対称のパーツにはツメと差し込み口の部分に「L」「R」の印があるので、これもしっかり確認を。3.Joy-Conの差し込み部分を作ります煙突部分の取り付けも向きを間違えないように。遊ぶ時はここにJoy-Conを差し込みます。壁部分を取り付けると、一気におうちっぽくなってきた!4.いよいよおうちの本体が完成Switchの画面を置くための外枠、屋根を取り付けたら、おうちの本体部分が完成!作業量は、ここまでで全体の半分くらい。5.ここで細かなパーツに着手します各ブロックの組み立てはパーツの向きを間違えやすいので、手順ごとに確認を。小さなパーツほど丁寧に折りグセをつけておくと、組み立てやすく仕上がりもキレイです。6.いよいよ完成。ブロックを回してその感触を楽しんで完成したら動作確認をしてみましょう。ブロックを回すとカチカチと音がしたり、押すとバネで戻ってきたり、段ボールが立派な道具になっていることに驚くはず!Toy-Conをセットしたあとは3種のブロックを差し込むことで、Toy-Conの中にいる可愛生き物とゲームをしたりと色々遊べるように。今回のカスタムも、アクセサリー作家の鷲巣萌さんにお願いしました。イメージは前回のピアノ同様、ポップでキュートな “アメリカのティーンの女の子”。ただし今回は、コラージュの部分をシールでのデコレーションに。そして今回も“子どもっぽくしすぎない”のが、おしゃれに仕上げる重要なポイントのようです!「メインになる猫のシールは、あえて大人っぽいものをチョイスしました。シールをたくさん貼るとどうしても子どもっぽくなりがちですし、いかにも子ども向けのデザインだと “子どもがただ好きなシールを貼っただけ” のように見えてしまうので(笑)。なので選ぶ際は、“ちょっとおしゃれすぎるかな……” と思うくらいがちょうどいいと思います。前回のピアノでは黒い部分をピンクに塗り変えましたが、おうちはもともとの白が可愛いので、チェック&ドット柄で地の色を生かしたデザインに」今回使った材料がこちら。アクリル絵の具は同じパステルトーンのものを2色用意。シールは、デザインのメインになるもの、サブになるものと大小で揃えると◎。1.屋根にチェック柄を描いてみよう屋根は一度取り外し、平らな状態にしたほうが柄を描きやすい。チェック柄は描きたい線よりも細めの筆を使うと、線がよれてしまった時も修正が簡単に。2.次はドット柄に挑戦ドット柄のピンクはうすい色で。一方の色みはあえて控えめにするのが、2つの柄が仲良く同居させるポイント!柄を描く幅のない細いパーツは塗りつぶせば、ピンクがしっかり際立ちます。3.色を塗った部分にシールでさらにデコる面が広い部分や、色を塗った部分にシールを貼っていきます。それぞれの面で主役となるシールを決めておくと、たくさん貼っても散らかった印象にならず、バランスよく仕上がります。4.シールのバランスを見て完成とびきりおしゃれなおうちが完成!画面を入れてゲームを起動させるとこんな感じに。これなら、遊ばない時はそのまま飾っておいても可愛いですよね。自分だけのカスタムで、より愛着を持ってもらえそうです♡DESIGNER’S PROFILE鷲巣萌さん「Tiny Twee Accessory joy!」のブランド名で、プラバンを使ったアクセサリーを中心に制作。2歳の女の子のママ。大人にも似合うポップ&ガーリーな世界観は、ぜひカスタムの参考に。instagrm : moe_miilaお問い合わせNintendoLaboは任天堂HP、またはamazon、百貨店のおもちゃ売り場などで購入可能です。ほかにも公式のデコセットや、ロボットキットなども販売中。Video director:Kengo YagawaText:Megumi YamazakiPropStyling:Moe WashizuComposition:Shiho Kodama
2018年08月10日今月のこありっぱー佐藤 研二佐藤 研二/エグゼクティブプロデューサー「TOKYO ACT Ⅱ」「SATO agency」代表。パリ生まれ。愛称はケニー。モデル、MCとしても活動する傍ら、グローバルなコミュニケーションスキルを活かし、制作&プロデュースの会社を運営。1女1男の父。Instagram:kenykillaきっかけは、とある中国人男性のブログです2016年にスタートした「父娘2人旅」は、北京の男性が書いたブログを読んだのがきっかけです。その方が2歳の娘を連れて5日間も旅をしたというブログに感動して、自分も是非やりたい!と思って。当時、娘のろびんがちょうど2歳だったこともあり、TRYすることを即決しました。即決の理由としては、自分が娘と2人で楽しめることを証明したかったのもあるけど、妻に1人の時間をプレゼントしたいという気持ちの方が実は大きいかもしれません。彼女は、出産以来ずっと子育てに奮闘し続けてくれているので……。僕は息抜きが得意だし、お父さんは1人でも出かけやすいけど、それはお母さんにとっては難しいこと。とにかくホッとできる時間をあげたかったんですよね。ブログを読んだその日の夜、妻と娘が寝静まった後、早速、旅先探しをスタートさせました。海外はちょっと早い。自然がたくさんあるところで、海もプールも欲しいけど、沖縄は行ったことがあるから却下。行ったことのない場所で、条件に合う場所……ということでネットサーフィンしながら辿り着いたのが奄美大島。すぐにホテルを予約しました。「父娘旅」は我が家の定番に初めて決行したのが2016年、2歳の時。2017年にも行きました。この時は3歳です。2人だけの秘密や思い出を持てたことで、関係性も深まった感覚があります。パパと娘が2人きりの時間ってそうはないから、すべてが新鮮で、すべてが学び。僕もかなり勉強になりました。「また行こうね」「いつ行く?」って本人から持ちかけてくれるようになったのもすごく嬉しい。2人で計画して、2人で実行する。僕と娘だけのプロジェクトです。2歳のろびんとの旅は最高でした。コミュニケーションスキルをぐんぐん伸ばしていた彼女との旅は、想像よりもはるかに快適で、きちんと一緒に楽しめたという感じ。彼女は「次は何をしたい」「どこに行きたい」ときちんと希望を伝えてくれます。そのことによって、僕を自由にしてくれる感覚がありました。僕が頭を悩ませなくても、次に楽しむべきことを自分で見つけてくるというか。まるで、協力し合いながら旅を楽しむことを知っているかのようでした。ママとの別れ際は大泣きしたけれど……勝ち気で陽気で、すべてに前向きタイプの娘ですが、成田空港でママと別れる時は突然大泣き。寂しさを爆発させるような泣き方に、僕も思わずハラハラしたのですが……。15分後にはケロッとしていました(笑)。さっきの涙は演技ですか?という感じ。3歳児、なかなか大人です(笑)。ママと娘もたまには距離を置くべき、というのが僕の持論。その方が愛情も深まると思うから。夫婦やカップルもそうですよね、離れているからこそ気付ける愛情ってある。そういう時間も大事。だから、旅の最中は妻とはあまり頻繁には連絡を取らないようにしていました。奄美大島ではアットホームなリゾートを選択泊まったのは「奄美リゾート ばしゃ山村」。海も近くて、プールやレストラン、雰囲気のいいカフェも併設、ちょっとした遊具や体験施設などもあって、このリゾート内にいればたっぷり楽しめる。子連れには最適な場所です。父と娘の旅・初級編としてもパーフェクト。奄美大島に昔から伝わる “ケンムン” という妖怪。そのキャラクターがろびんにそっくり(笑)。それを伝えるとすごく喜んで、それによって彼女自身もこの場所に愛着を持てたみたい。いい作用でした。施設内の小さな祠には、よく足を運びたがりました。毎回決まってお願いするのは、サンタさんからのプレゼント(笑)。子どものこういうところが可愛くてたまりません。自由に、心の向くままに。できることはなんでも自分でこだわり派の彼女は、洋服のコーディネートは自分で決めます。つまり、お気に入りのドレスをずっと着続けることになるのですが(笑)、多少汚れていても僕も全然気にしない。彼女のしたいようにさせています。髪の毛に挿しているグリーンのお花はガチャガチャでGETしたもので、この旅での彼女のお気に入り。とんでもない刺さり方をしているように見えますが、危険ではないのでスルー(笑)。旅先では必ず防水のデジカメを持たせます。心に残ったものを自由に撮影するようにと伝えて。僕とのツーショット写真は、娘によるセルフィーです。もちろん食べるものも好き放題!かき氷にジュースにアイスにケーキ。普段は “ごはんを全部食べないとアイスはなし” などの決まりがあるのですが、ここでは無視。そう、この旅は何もかもがスペシャルで、基本的にNOはなし。彼女のしたいことを最優先するというルールを設けていました。そのおかげか、特にワガママを言うこともなく穏やかに過ごせた。日常の中で “なんでも自由” は難しいですが、“たまに自由” はきっと必要なこと。娘の心も解放されたみたいです。子どもにも、旅って大切なんです。今、子どもたちとできることを全部やりきりたい旅先では、泣いたら必ず写真を撮るようにしていました。たまに唐突に寂しくなって泣いたりもする娘。そういう瞬間こそ、愛おしい思い出になるだろうなと感じていて。特に娘との2人旅は、彼女が大きくなるにつれて難しくなっていくだろうから、幼いうちは毎年やりたい。今を精一杯噛み締めたいんです。さあ今年はどこに行こうかなって考えるだけでワクワクします。次は海外に出かけたいな。狙っているのはオーストラリアです。こありっぷ(=子連れ旅)、お父さんにこそ実践して欲しい!と僕は思っています。驚きと感動だらけだし、意外とちっとも大変じゃない!ママがいる状況よりも、子どもは言うことを聞いてくれるんです、不思議と。そして、お母さんに1人の時間をプレゼントしましょう!実は、それこそが一番大事なことのような気もしています。それによって家族が円満になるわけですから、イイことだらけ。旅は人を、家族を救うもの僕の親父はヒッピーで、世界中をヒッチハイクで旅した人。「人生は旅だ」が口癖でした。悩んだり行き詰まった時は旅に出ろ、環境を変えろといつも言っていましたし、僕もそう思っています。誰でもない自分になれて、生きる大切さが身にしみてくる。それが旅。その感覚は子どもにも伝えていきたいと思っています。だから僕は可能な限り旅に出る。思い立ったらすぐGOです。まだ0歳の息子とも、きっといつか2人旅に出かけるんだろうな。Composition&Text:Urara Takahashi
2018年08月08日GUの子ども服がすごいってご存知ですか?定番のアイテムからトレンドのアイテムまで、豊富なラインナップと充実の色バリ。お財布にも優しくて嬉しい事づくしなんです。そして、お値段が安いとは思えないデザインの充実ぶり!そんなGUで見つけたキッズの男の子の服をご紹介します。BOYS プリントシャツ左:NAVY左:OFF WHITE¥1490+税※大型店舗のみ販売車のプリントが、いかにも男の子なシャツは、しっかりした素材だからお洗濯にも強そう!BOYS スウェットイージーパンツOLIVE¥1490+税ジャージーなパンツはよく動く男の子にはもってこい。サイドに入ったレタリングがアクセントになってます。BOYS カーゴイージーハーフパンツBEIGE¥1290+税※大型店舗のみ販売チノ素材のハーフパンツは落ち着いた色味を選べば、トップスを選ばない万能アイテムに。ポケットが多くてデザイン的にも実用性的にも◎上:BOYS グラフィックT(RIDE)OFF WHITE¥790+税左:BOYS ビッグT(USA)GRAY¥990+税右:BOYS グラフィックT(66)BLACK¥790+税※大型店舗のみ販売汗をたくさんかく夏は、やっぱりTシャツを着る機会が多いから、この価格と豊富なバリエーションは嬉しい。たくさん揃えちゃいましょう!BOYS ハイカットスニーカー左:BLACK右:OFF WHITE¥1990+税※大型店舗のみ販売洒落っ気の強いハイカットスニーカーは一足あると、ちょっとおでかけの時にも重宝しそう。BOYS サファリハット左:BLACK右:OLIVE¥990+税熱中症対策に必須な帽子は、オトナ色のサファリハットを選べば長期間使えます。サイドのボタンをつけ外しして2パターン楽しめるのも優秀です。Composition:Kana MatsumotoPhoto:Makoto MutoDesign:Hisako Ninomiya
2018年08月06日ド直球と爆弾の沸点さて、前回は麻ちゃんとの出会いのお話でしたが、その後すぐに “どうにかなった” わけではなく、しばらく “それきり” でした。会いたい気持ちと、会うのが怖い気持ち。もし麻ちゃんを好きになってしまったら?私は、自分のセクシャリティと本格的に向き合わなければなりません。それは果たして“正しいこと”なのか?そして自分が“乗り越えられること”なのか?判断を迫られるのです。そもそも “ありのままの自分なんてものが、存在するのか?” という問い。みんな多かれ少なかれ、世の中に合わせて生きているのだから、“我慢すべきことじゃないのか?” という問いも……。そんな思いが胸の中でぐるぐる回っていました。麻ちゃんと、何度かのメールのやり取りの後、軽くお茶でもしましょう、という話になりました。絶賛 “孤育て” 中だった私は、もちろん子ども連れ。その日は大雨で、ベビーカーにレインカバーを掛け、ビショビショになりながらの外出でした。子どもが生まれてから、ついぞ行くことのなかったカフェで待っていると、ツートンカラーが進行し、毛先だけが銀髪の麻ちゃんが現れました。照れ臭いやら、緊張するやらで、ぎこちなく話し始めたものの、子どもがいては雰囲気も何もあったものじゃありません。でも、子ども好きな麻ちゃんは、苦にしないどころか、むしろ子どもに夢中。私など眼中にない様子で、「子連れは嫌がられるかな……」と思っていただけに、逆に救われた思いでした。これって、どういうことなの?私は基本的に鈍く、不粋なもので、色恋の駆け引きというものができません。はっきりと言われないと分からない女なのです。そこで「ココは聞くしかない!」と、こんな球を投げてみました。「私、あなたのことが好きなんだけど、私のこと、好き?付き合ってもいいと思う?」ド直球、ストレート!こんな聞き方、普通はないですよね。アホでしょうか?しかし、それに対する麻ちゃんの回答は、極めて殺傷力の高い “爆弾” でした。「うーん、好きかと言われたら、まだ好きじゃないかなー」そう淡々と言いました。さらに続けて、こう言ったのです。「あと、ついでに “好き” とか言うのはさ、一生に3回くらいなものだよ。最初と、死ぬ時と、あともう1回くらい」なんなのでしょうか?“脈アリ?” と期待する女心を瞬間冷凍して、なんなら釘でも打とうか、というご回答。いっそ清々しいほどです。つーか「好きとか言うのは一生で3回」って!?「あの~、今、21世紀なんスけど。アンタ、武士ですか?いつの時代からタイムスリップを?」。一体、なんの悪い冗談なのか?覚悟を決めて聞いてみた私の、この見事な吹き飛びぶりを分かっていただけますでしょうか?その後もペースを乱されたまま、私たちはプラトニックな関係を続けていました。「まあ、それはそれでいいのかもしれない……」などと思っていた時でした。麻ちゃんが次なる爆弾を炸裂させました!「そろそろ、してみてさ、それによって付き合うかどうか決めたいなー」まるで、いいことを言ったかのようなさわやかな笑顔で、そう言ったのです。1970年代生まれの女性としては、さすがに「婚前交渉は……」などとは言いませんが、男性ともお付き合いしましょうという前にベッドインしたこともないし、当然女性とそういう関係になった経験もありません。そもそも、それって、“いいことかどうか、分からないなあ……” とすら思っている私にですよ、付き合うかどうかも分からないお試しセックスを!しようと!え?服の試着をするような気軽な調子で持ちかけていらっしゃる!アナタ!!ちょっと!!!ま、そんなことを言いながら、結局そこで、私は話にのったわけです。だって「もしかしたら、女の子も好きなのかも?」と、ずっと悩んできた私に巡ってきた、千載一遇のチャンスです。「ここを逃したら、もうこんな機会は一生来ないかも!」。そんなわけで、乙女ぶりたい気持ちはグッと堪えて、清水の舞台から飛び降りました。この時、罪の意識やら常識やらは吹き飛び、完全に “のるかそるか” の度胸試しでした。ついでにもう、この際ぶっちゃけますけど、それもですよ、私、女性は未経験だって言っているのに、先攻を譲られたわけですよ!やり方、知らねぇわ!光はどこだ?初体験を経て納得したのか、麻ちゃんはようやく付き合おう、と言ってくれました。ところがウキウキとお付き合いを始めたものの、徐々に関係性が曇ってきました。原因は私の罪悪感。この頃、まだホモフォビア(同性愛嫌悪)の気持ちを、根強く持っていたからです。例えば、誰かを好きになる時、その人を好きになろうとして好きになれるでしょうか?恋愛においては、まぁ滅多にないですよね。また「なぜ異性を好きになるか」なんて考えますか?考えませんよね。それは私も同じです。私はたまたま男性だけでなく、男性のような女性も好きになりますが(女性らしい女性を好きになったことは、まだありません)、「女を好きになろう」とか「男を好きになろう」とか思っているわけではなく、たまたまいいなあと思う人が、男だったり、(一応)女だったりするのです。セクシャリティは、人が選び取れるものではない。この頃の私は、まだそのことには気づいていませんでした。同性愛は禁忌だと考える家で育った私の “ホモフォビアの大嵐” と、麻ちゃんが時折投げつけてくる爆弾による “火炎地獄” 。それは戦いの連続でした。ストレスはやがて身体に出るようになり、疲労も重なって目眩がひどく、平衡感覚を保てなくなりました。気がつくとビルの屋上から下を眺めていることもありました。「子どもがいるのだから、なんとしても生きなくては」と思い、この頃は「生きてかないと」が口癖でした。そうして何度も何度も考えるなかで、「私は麻ちゃんが好きで、麻ちゃんも私が好き。なのになぜ、これほど苦しまなければいけないのだろう」と思ったのです。まぁ、麻ちゃんが “爆弾魔” なのは置いておくとして、“ホモフォビアの大嵐” を起こしているのは、少なくとも私です。本当に同性愛とは “正しくない” ものなのか、少しずつ考えたのです。そして死ぬくらいなら真正面から向き合ってみよう、そんなやぶれかぶれな気持ちに至りました。この時期、周りにいてくれた友だちには、感謝してもし尽くせません。相談や議論に何度も付き合ってくれて、時に堂々巡りを続ける私を、放り出さずにいてくれた友だちのおかげで、三歩進んでは二歩下がりながらも、理解を深められました。長い長い時間をかけて、光射す方へ進み始めたのです。やがて麻ちゃんの娘も、時折わが家に遊びに来るようになりました。子ども同士すっかり仲良くなって、「なんで今日帰っちゃうの?」というやり取りが繰り返され、麻ちゃんもまた、ファンヒーターの石油も買いに行けない私の生活力の無さに、半ば呆れて同居を申し出てくれました。なのにまだ “ホモフォビアの大嵐” から抜け出せていない私は、「ご近所の目が!」とか、「学校に言えない!」とか、心配性を爆発させて同居の申し出を断る始末。でも同時に、いつのまにか麻ちゃんと娘がいない家の中は、静かで物足りないと感じるようになっていました。お泊まりが増えていき、1泊が2泊になり、やがて同居となったわけですが、暮らし始めてみると、今度はステップファミリーとしての悩みが次々に浮上し、それからの人生、いつも大騒ぎでした。こじれにこじれた娘との関係、2人の息子、麻ちゃんの元旦那や両親、そして私の両親……。その経緯はこれまでに書いてきたとおりです。そんな大騒ぎの生活を始めて3年ほどが経った頃、私は思いついてしまったのです。「なにか、この暮らしを始めたというケジメのようなものが欲しい」。その思いは日増しに強くなっていきました。(続いちゃった)Composition:Yoshiyuki Shimazu
2018年08月04日ベビモニスタによるスナップ連載。これまで素敵なコーデを披露してくれたベビモニスタたちに、おしゃれの極意を伺いました。おしゃれに関する情報やものが溢れるいま、自分たちのスタイル3カ条をしっかり決めることが大事だとか。ぜひ参考にしてください。※着用アイテムはすべて私物です。name: riccarinage:7歳WEAR : riccarin (@riccarin)Instagram : riccarin_☆わたしのスタイル3カ条☆・黒ベース・ひとくせデザインがマスト・コーデは足元から決めるモードなスタイルで一線を画すおしゃれが人気TOPS / SOCKS No BrandSHORT PANTS UNIONINISHOES ZARANECKLACE TAKATORI MEGUMI[ MOM’s comment ]TPPOに合わせて、靴からコーデを決めます。洋服に比べて靴は数が少ないので必然的に履くものが決まり、洋服も選びやすくなります。色は黒をメインにすることが多いので、その分デザインで遊びます。[ STAFF’s comment ]“子どもらしさ”の概念を覆してくれたriccarinちゃん。大胆なデザインのアイテムを使ったモードなスタイルに身を包んだriccarinちゃんは、まるでアート作品のようで毎月、見惚れてしまいました。name: UTAage:6歳WEAR : バニージョイ☆(@mai19791220)Instagram : bunnyjoy.moto.k.m☆わたしのスタイル3カ条☆・プチプラブランドを取り入れる・BOYS MIX・動きやすい動きやすくて可愛さも引き立つBOYS MIXは無敵でしょ!TOPS UNIQLOSKIRT DickiesSHOES CONVERSECAP ZARABAG ARCH&LINE[ MOM’s comment ]ユニクロのシンプルアイテムやH&Mの小物など、プチプラブランドは毎シーズンチェックしています。鉄板のBOYS MIXスタイルは、動きやすいだけでなく、女の子ならではの可愛さが引き立つ気が![ STAFF’s comment ]定番アイテムを使ったコーデが得意なUTAちゃん。サイズ感やアクセントのつけ方、ヘアアレンジなど細部にまで行き届いたコーデはお見事!子どもの魅力を誰よりも分かっているママだからこそ、なせる技ですね!name: LIO & LUKAage:5歳WEAR : kanako0304(@riorukana)Instagram : kanakokko_34_☆わたしのスタイル3カ条☆・双子コーデ・遊び心を忘れない・ゆるピタコーデ周りのみんなを笑顔にするおしゃれパワー恐るべしTOPS blaou.LEGGINGS SISLEYSANDALS GLOBAL WORKCAP BERNSTOCK SPEIRS[ MOM’s comment ]せっかくの双子だから、小さいうちは思いきり双子コーデを楽しもうと思っています。難しそうな柄×柄コーデも、二人一緒だと不思議としっくりまとまるんです。トップスは1サイズ大きめ、ボトムスはジャストで、ゆるピタなシルエットにするのが定番です。[ STAFF’s comment ]元気あふれるLIO&LUKAくんのコーデは、見ているこちらまで元気になれる!そんな魅力がありますよね。柄コーデにシックな黒のアイテムを差し込むテク。柄物を苦手としていた私もとても参考になり、この夏は挑戦しています。name: yuuunaage:7歳WEAR : yuuuna(@moemoe5863)Instagram : ynmk___☆わたしのスタイル3カ条☆・天然素材のアイテム・子どもが着たいアイテムを1点入れる・黒やベージュなどのベーシックカラー鉄棒に一輪車……思いきり遊べるショートパンツにハマり中TOPS No Brand.SHORT PANTS b.ROOMSANDALS havaianasCAP POLO RALPH LAUREN[ MOM’s comment ]肌が弱いので、トップスは天然素材100%のものを選ぶようにしています。小学生になってからは、娘が好きなアイテムを1点取り入れてコーデを組むように。最近は、動きやすいショートパンツに夢中です。[ STAFF’s comment ]ママ自身のコーデの参考にもなるとの声が多かったyuuunaちゃんのスタイリング。じわじわと人気再燃のショートパンツを早速選ぶだなんて!yuuunaちゃんのファッションセンスの今後が楽しみですね。Illustration:HannaText:Kyoko Isobe
2018年08月03日