ASD(自閉スペクトラム症)のミミが、運動会前に自ら練習をしだした!長男のミミは小学4年生、ASD(自閉スペクトラム症)があります。学校ではストレスが多いらしく、学校を嫌がりながらもなんとか登校している状態です。運動会が近づいたある日、運動会で踊る踊りを、家でも楽しそうに練習をし始めました。保育園の頃は、運動会が苦手でだったミミ。小学校では参加はできていましたが、コロナ禍で小規模だったため問題がでなかったところもあったと思います。タブレットでダンスの動画を見ながら日々練習しているミミを見て、私と次男ふーは拍手!楽しそうに踊る姿を嬉しく思いつつも、それまでの運動会について思い出したのでした。「周りの子は何でできるんだろう、うちの子は何でできないんだろう」保育園での最初の運動会で感じたこと初めての運動会は、ミミが3歳の時でした。親子で障害物を乗り越える競技では、歩くことすらできず泣いてしまったミミ。私が抱っこして、すべての障害物をスルーしました。保護者なしの演技では先生がミミ一人に付きっきり……。「周りの子は何でできるんだろう、うちの子は何でできないんだろう」と思いました。その時の心細いような悲しい、切ない気持ちは忘れられません。今思えば、ミミは保護者がたくさんいるいつもと違った状況で、緊張したんだろうなと思います。来年の運動会はどうなることかと思いましたが、ミミは毎年ちょっとずつ成長を見せてくれました。「参加できなくてもいい、期待しない」と思って臨んだ4歳の運動会。ミミが大好きな年長のお姉さんがミミと手を繋いでリードしてくれました。最後まで参加できた!私は嬉しくなりました。どうやら、運動会の練習の時から大好きなお姉さんの隣になるよう配慮してもらっていたようです。先生の対応に感謝しつつも、ミミも楽しそうでなによりでした。Upload By taeko私・パパ・ふーで見守った5歳の運動会。なんとこの年は一人で参加できたのです!一人でしっかりほかの子どもたちの中にいるミミに感動しました。ですが、途中でお友達とぶつかったようで、そこからケンカに!先生がお互いの気持ちを代弁してくれ、涙のミミをギュッと抱っこしてくれて気持ちを落ち着かせてくれました。すぐには収まらないので怒って涙顔だったけれど、なんとか最後まで参加できました。コロナ禍のため、小規模開催だった小学校の運動会小学校入学時はまさにコロナ禍真っ只中で、運動会自体開催されるのか危うい状況でした。結局小学1年生と小学2年生は学年毎に行う小規模開催となったのですが、自分の学年の分が終わったら各教室にすぐ戻るので、ミミにとっては負担も少なく良かったと思います。そして小学3年生の時新型コロナの落ち着きに伴い、ついに全学年参加になりました。Upload By taeko手袋をして踊るお遊戯だったのですが、ミミの演技は完璧。感激してしまいました。でも、その年の運動会は自分の出番が終わっても、ほかの学年の応援をするため校庭にいなければなりません。運動会のあとの感想は「暑くて嫌だった」。長時間校庭にいるのは確かに疲れますよね……。来年はもっと長時間、大規模になるかも……?と思うと私は少し心配でした。そして4年生の運動会、ミミは楽しく踊れるのでしょうか?練習の成果は?どうなった⁉今年の運動会そして今年の運動会!太鼓とバチを持ったお遊戯は練習の成果が出ていてバッチリ成功!真剣な表情を見せたり、時々笑顔で楽しそうに踊っていました。ミミ、よく頑張ったね。そして徒競走。ミミは小さい頃から常同運動があり、フワフワ動くことで落ち着くタイプ。独特の動きなので、遠くに居るミミを見つけやすいのですが、この時もミミはフワフワした走りで最下位。これは想定内でした。最下位でも最後まで走り切れてえらい!どうなるか心配だった運動会でしたが、ミミはすごく頑張っていたなと感心した私。私は運動会の片づけ係だったので、ミミは先に帰宅しました。私も片づけを終え、頑張ったミミをねぎらおうと帰りました。するとなんとそこには顔と目を真っ赤にして泣きはらしたミミがいたのです!どうして?誰かとケンカでもしたかな?と思って、パパに聞いてみると……。帰宅したミミは、パパを見てホッとしてしまったのか、それまで我慢していた気持ちが溢れてしまい、号泣してしまったのだそう……。Upload By taeko演技が終わったあとも待っているのが嫌だったこと、日差しが強いし暑くてつらかったこと、目の前にいた応援団の声が大きくてうるさかったこと……。どうやらたくさんたくさん我慢していたようでした。パパに、「ママが帰ってきたらこの顔(泣いた顔)を見せたい」と言ったそうです。こんなにつらくて悲しかったことを私に伝えたかったそうな……。私は(学校では怒らないで我慢していたんだね……)とミミの頑張りをほめたくなりました。3年生までは、お遊戯を撮影した動画を何度もみんなで見て楽しんでいたのですが、今年の動画は「見ないで、見るな!」と嫌がりました。つらかったことを思い出すからでしょうか。運動会では児童の席にテントもあったのですが、ミミの座席は最前列だったため直接日差しがあたっていましたし、応援団の声も届きやすい位置でした。もう大丈夫だと思っていた運動会ですが、成長や環境によっていろいろとトラブルが出てくるのだなと思いました。来年の運動会の時には、ミミも5年生になるので自分から担任の先生に話して席をうしろにしてもらうように交渉してみたら?と促してみようと思います。Upload By taeko執筆/taeko(監修:藤井先生より)診察室にて「運動会の時に、わが子がほかの子と同様のことができていなかった」というお話を伺うことがあります。その時に私が言うことは、「お子さんのペースがあるから大丈夫、きっと成長したなと笑える日が来るから大丈夫」ということです。ご長男のミミさんのコラムを読ませていただき、改めて、お子さんのペースで成長するのだなと思いました。成長や環境によってトラブルがあるかもしれませんが、対応策を一緒に考えて、提案して、少しずつできたという経験が、これからの成長の糧になると思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年12月02日無料の参加登録受付中!発達が気になるお子さまやご家族へ届けたい、オンラインセミナーが12/9(土)に開催決定Upload By 発達ナビアライアンス プログラム図鑑が大好きで飽きることなく眺めている。ゲームが大好きで自分でもプログラミングして楽しんでいる。難解な専門書も興味深く読む。一方で、興味のない勉強は一切やりたがらない。興味関心の幅が激しいお子さまへ、どう接したらいいのだろうか。もっと好きや得意を伸ばすにはどうしたらいいのだろうか。進路はどうなるのか……。関わり方に悩んでいる保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。発達ナビではこのようなお子さまとそのご家族に、ご自宅で情報を得られる機会をお届けするために「ギフテッドセミナー」を開催します。・日時:2023年12月9日(土)9:30~12:35(予定)・参加費:無料・形式:Zoomウェビナー配信・参加方法:事前申込必須。下記ボタンよりお申し込みください。・内容:専門家講演、すべてのお子さまを応援する企業によるセミナー※企画調整中のため、今後変更となる場合もございますオンラインセミナーの内容をご紹介Upload By 発達ナビアライアンス プログラム「ギフテッド」について関心のあるご家庭も多いのではないでしょうか。本セミナーでは、公認心理師で、LITALICOジュニアとLITALICO発達ナビのチーフスーパーバイザーも務める菅佐原洋先生が登壇、年齢別に見られる「ギフテッド」の特徴や、お子さまへの関わり方について分かりやすく解説します。さらに、セミナー後半では講演中チャットに寄せられた保護者の方の不安やお悩みについて先生がお答えします。講師:菅佐原洋氏公認心理師/臨床心理士/臨床発達心理士慶應義塾大学社会学研究科博士課程。博士(心理学)慶應義塾大学先導研究センター、常磐大学助教を経て、現在LITALICOジュニアとLITALICO発達ナビのチーフスーパーバイザーに。これまで、発達障害のあるお子さまへの直接支援、幼・小・中学校での特別支援アドバイザー、大学・教育センター・医療機関でのスーパーバイズなど発達臨床歴25年超。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムやり抜く力や自分らしく生きる力を育むために大切な、お子さまへの関わり方。 興味関心や発達段階はさまざまな中で、お子さまにどのように接したらいいか悩む方も多いのではないでしょうか。本セミナーでは、お子さまの主体性や自己肯定感を育む関わり方や探究学習の方法を具体的に解説。 さらに、その学習を実際に体験できるスクールについてもご紹介します。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム子どもが興味関心ある「好きなこと」から、得意を広げたり伸ばしたりするために、大人はどんな関わり方をすれば良いのでしょうか。200名以上の子どもたちの興味関心・探究に伴走してきた、探究型オンライン家庭教師「夢中教室」。その取り組みや事例を紹介しながら、興味関心の広げ方・深め方、その根底となる自己肯定感、そして家族以外の信頼できる「第三の大人」の大切さについて、解説していきます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム得意な科目がある一方、苦手な科目には取り組めない。学校には行けているけど、馴染めていない。このままでこの子に合った進路は見つかるの?安心できる少人数教育や対話型の探求学習を通して、個性をとことん伸ばせる学校があります。数学・歴史など好きな学問があるお子さま、広く学びながらも自分の得意も伸ばしていきたいお子さま、自分のペースで通学したいお子さま、大人数の環境が苦手なお子さまなど、一人ひとりの可能性を活かした進路と、それを実現する取り組みについてお伝えします。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム発達に特性があるお子さまの、特性や個性を活かした進路を考えたい。好きなことや得意なことを極めることで、子どもの将来を拓く可能性を選ぶには、どんな中学・高校の選択肢があるのか、専門家が分かりやすく解説します。・お子さまの「個性を伸ばす教育」とは?・理系、ものづくり、グローバル教育など、各分野での強みをもつ学校をご紹介・進学に向けた手立てや、準備しておくべきことなど、お子さまの個性を活かす志望校選びや中学・高校受験への準備について、進学事例を交えて具体的にお話しします。たくさんの方のご参加を、心よりお待ちしております。
2023年12月01日掃除中の引き出しから出てきたのは目を疑うようなアレでしたUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイわが家は私・ワッシーナを筆頭に、家族全員が個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。次男ウッシーヤは、幼い頃から成人した現在まで整理整頓が苦手です。日々工夫を重ねているので最近はずいぶんできるようになりましたが、小中学生の頃は、物の片づけや整理整頓がまったくできませんでした。そのため休みの日は、私が見守る中、ウッシーヤ本人が学習机とそのまわりの掃除をすることがよくありました。ウッシーヤが小学校高学年の頃の、ある休日のことです。いつものようにウッシーヤに声をかけながら、床の上に散らかった物の片づけや掃除機がけを済ませたところ、なんだかまだ臭いが気になったので、引き出しの中身をすべて出して掃除するように言いました。ウッシーヤは平静のようでしたが、かすかに動揺したようにも見えました。私は、ウッシーヤは心の状態が顔に出ないことを当時は理解していませんでした。ウッシーヤが引き出しを開けると、スパゲティーが私の目に飛び込んできました。私はわが目を疑いましたが、確かに食べかけのスパゲティーでした。スパゲティーはかなり長い間、引き出しの中に放置されていたようで、腐って悪臭を放っていました。夫ラクマは子どもらしい失敗だと笑って面白がっていましたが、私はとても笑えませんでした。どんなにきつく叱っても一向に、整理整頓や物の管理ができない状態は良くならなったからです。片づけだけでなく、忘れ物や失くし物、クラスメイトの物を間違えて持ち帰ることが非常に多かったのです。その直後、ウッシーヤが特別支援教育の専門家から「発達凸凹の傾向があるようだ」と指摘されたことを受けて、自分でもいろいろ調べて工夫するようになりました。勉強道具の所定の位置にラベルを貼って整理整頓を促したUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ特別支援教育の専門家のアドバイスで、ウッシーヤは療育を受けるようになりました。そして親である私たちも発達に関する文献や資料を読んで学ぶうちに、叱るのは逆効果だから工夫するほうが大事だと知るようになりました。私たちは工夫の一つとして、勉強机の上や引き出しの中にラベルを貼り、置き場所を決めるということをやってみました。机の上には「バッグだけ置く」と書いて貼り、バッグを置くエリアをテープで囲みました。4つある引き出しの取っ手にはそれぞれ「よく使うもの」「いっぱいになったら整理して捨てる」「普段使わないもの①」「普段使わないもの②」とラベルを貼り、使い分けるよう教えました。「よく使うもの」とは、文房具などです。「いっぱいになったら整理して捨てる」とは、学校からの宿題や行事などの連絡が書かれたプリント類です。「普段使わないもの①」とは、小物や雑貨類などです。「普段使わないもの②」とは、お出かけ用のバッグやポーチ、画材などです。この工夫のおかげで、毎週末になると、散らかった勉強机周りの整理整頓が手早くできるようになりました。でも目を離すとすぐに散らかったり忘れ物が増えたりするので、工夫したことがしっかり実行できているかの定期チェックは、とても大事だと感じていました。宿題などの忘れ物防止のため、教科ごとに色分けしたファイルをつくったUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ中学生になると、教科書などの勉強道具もますます増えてきたので、国語・数学・英語・理科・社会の主要5教科は、それぞれ異なる色のラベルを貼ったファイルを用意しました。日々の宿題や家庭学習などは、毎日ファイリングすることで、見分けやすく、かつ取り出しやすくしました。授業にはファイルごと持って行き、バッグを開けると、すぐにラベルが目に入るので、分かりやすくなりました。ちゃんと活用できているか、毎朝・毎晩、バッグとファイルの中身をチェックUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイこれらの工夫がきちんと活用されているか、私はバッグとファイルの中身をほぼ毎日チェックしました。ただ私自身も忘れ物が多いタイプなので、チェック漏れが心配でした。そのため毎週末には、夫ラクマと二人で一週間のふりかえりを行い、次男ウッシーヤの整理整頓のチェック漏れがないかを確認し合いました。このような学習の工夫はほかにもいろいろあります。当事者の家族会や講演会で、わが家の子どもたちの学習の工夫を紹介する機会が良くあるのですが、当事者家族ほど「こんな大変なことはできない」といった否定的な意見や感想が出てきます。確かに毎日工夫をしていくのは保護者の時間が取られるし、忍耐も必要です。しかし、私たちの経験上では、苦労するのは工夫をスタートした数ヶ月です。発達凸凹タイプの子どもたちは、習慣化できれば地道に継続できることが多いように感じます。もし、しばらく続けて効果が現れないようなら、別の方法に切り替えるとうまくいく場合が多かったです。親族や家族からは「過保護ではないか」という批判もよくありました。発達凸凹タイプが工夫することは、近視の人がメガネをかけるようなものです。そして、それは決して甘えでも怠けでもないのだと周囲に理解してもらうことは、工夫することと同じくらい大切なのです。でも、なかなか言葉だけでは周囲の人は理解してくれません。根気よく説明することに加えて、工夫で結果を出すことが大事だと思います。執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:新美先生より)次男さんの整理整頓の支援の工夫について、詳しく教えて下さりありがとうございます。整理整頓が苦手な方への対策をタイプ別に大きく分けると、「細かく区切って1対1対応でどこに何をしまうかを明確にする、ラベリング・ファイリングをするといった方法が有効なタイプ」と、逆に「細かく分けずに、ざっくり一つの袋・箱に全部なんでも入れる、定期的にチェックして不要なものは処分するといった方法がマッチするタイプ」があります。整理整頓が苦手なお子さんは、どういうやり方があるのかも分からないので、やり方を提示して、運用の仕方を大人(親や学校の先生など)と一緒に経験していき、中学生、高校生と年齢が大きくなるにつれて、段階的に自分でできるようにしていくという丁寧な支援が必要だと思います。これは過保護ではなく、自立のために必要な支援ですよね。整理整頓の仕方も、合う合わないがあります。親や先生とお子さんとでは、整理整頓のタイプが違うこともあります。記事にもコメントされているように、効果がないやり方にはおしつけずこだわらず、別のやり方を試みるというのも、よいかと思いました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年12月01日北海道放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報一人ひとりが主役になる個別支援でお子さん自身が小さな成功体験を積み重ね自信をつけていく。ビオトープでは、その姿を見守る保護者の方と一緒に「不安を安心・希望に変えていきたい」という想いから、個別支援を大切に考えています。大指導室のほかに3つの小指導室があり、スタッフとマンツーマン、もしくは1対2での小集団支援を実施。お子さん一人ひとりの状況に合わせた個別カリキュラムを策定し、自分に合ったカリキュラムで成長を応援する施設です。北海道の放課後等デイサービスをもっとみる北海道児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス桑園教室は児童発達支援、放課後等デイサービスを行っている多機能型事業所です。「子どもの可能性は無限大」をモットーに、お子さん一人ひとりの個性を大切し、通うのが「楽しい!」と思えるような発達支援を心がけているそうです。ご家族の気持ちに寄り添いながら、お子さんの成長をサポートすることを目指しています。1回のレッスンの中には毎回粗大運動の時間があり、毎月運動の内容を変えるなど工夫をし、スモールステップで少しずつ苦手なことも楽しみながら挑戦していきます。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス平岸教室は地下鉄「平岸」駅から徒歩約2分の好立地にあり、駐車場の用意もあるため車での送迎も可能です。1回のレッスン時間は1時間程度。個別レッスンと集団レッスンを行っています。個別レッスンでは、個室で指導員と一緒に机上の課題にじっくりと向き合います。2~6名程度の小集団で行うソーシャルレッスンでは、お友達と力を合わせる、話し合う、ゲームを楽しむといったグループ活動ができることも魅力の一つ。また、親子通所のため、保護者の方はマジックミラー越しにレッスン中のお子さんの姿を見ることができます。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス石狩教室では、瞳が輝くような楽しい発達支援を通して、自発的に取り組み、自ら能力を発揮していく姿をサポート。お子さんの発達過程の姿に寄り添い、個別または小集団のレッスンを提供し、「できないことをなくす」のではなく「できることを伸ばす」ことで、自分の個性を認め、何事にも前向きに取り組む姿を目指しています。楽しく遊びながら学ぶ中でできることを増やし、園や学校、家庭で自分らしく過ごしてしていくためのスキルを身に付けられるよう支援している教室です。Upload By 発達ナビ施設情報お子さん一人ひとりに合わせた、少人数ならではの手厚い支援を行うコペルプラス麻生教室では、楽しい遊びを通じて認知や言語、コミュニケーション力を育むレッスンを提供しています。また、親子通所型の教室のため、就園や就学の不安や、保護者の方の子育ての悩みなども気軽に相談がしやすいのも特徴です。月末にはお楽しみ会も実施。ブログでは日々の支援や空き状況なども案内していますので、ご興味のある方はご覧になってみてはいかがでしょうか。個別・集団どちらの支援も受け付けています。Upload By 発達ナビ施設情報地下鉄東西線『バスセンター駅前』徒歩5分の場所にあるコペルプラス札幌南4条教室。さらに教室の目の前には駐車場も3台分用意されており、車での送迎も可能です。聞く・話す・見る・やり取りなど、さまざまな教材を指導員と楽しく取り組んでいきます。机上でのレッスンだけでなく、5~10分ほど身体を動かす粗大運動の時間も用意されています。保護者の方はマジックミラー越しにお子さんの支援の様子を見ることができます。同教室では、お子さんはもちろん、保護者の方にとっても安心して楽しく通所できる教室を目指しています。北海道の児童発達支援をもっとみる福島県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス福島泉教室は未就学のお子さんを対象とした発達支援施設です。2000種類以上のオリジナル教材が用意されており、さまざまな感覚や幅広い認知を育てていきます。この多様な教材を通じて、お子さんの集中力を高め、豊かな学びの環境を提供。さらに個別レッスン以外にも、ソーシャルレッスン(お友達とレッスン)を実施。集団行動を学ぶことができ、人との関わり方が身に付きます。教室での発達支援のほかに「保育所等訪問支援」も行い、園や学校で困っていることがないか、状況の観察、報告、必要な場合は直接支援も行っています。福島県の児童発達支援をもっとみる神奈川県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報コペルプラスジュニア港南台教室では、3名までの小集団を基本としたレッスンを行っています。先生やお友達と楽しい時間を共有することで、お子さんのできることをさらに伸ばし、協調性や他者を理解する心を育てていきます。スタッフは、保育士や幼稚園教諭 児童指導員などの有資格者。お子さんの発達に関するさまざまな知識を使い、お子さん一人ひとりの成長や自己肯定感の育成を全力でサポート。場所は、『港南台駅』から徒歩約10分、『港南台入り口・清水橋(バス停)』から徒歩1分。無料体験レッスンの受付も実施中です。神奈川県の放課後等デイサービスをもっとみる神奈川県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報2022年10月にオープンした、コペルプラス仲町台教室は未就学のお子さんの発達支援施設です。コペルプラスが目指すのは「いまのままでもいいんだよ」から始めること。「できるようにする」ことを目指すのではなく、「そのままのあなたを愛しているよ」と、お子さんの今の姿を認めることを第一に考えているそうです。安心感をもらったお子さんたちは「成長したい」という本能的な欲求から、その子の持つ「学ぶ力」を最大限に発揮できるように。場所は『仲町台駅』から徒歩3分という好立地で、近隣に駐車場や駐輪場もあります。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス大船教室では、瞳が輝くような楽しい発達支援を通して、お子さんが自発的に取り組み、自ら能力を発揮していく姿をサポート。「できないことをなくす」のではなく「できることを伸ばす」ことで、自分の個性を認め、何事にも前向きに取り組む姿を目指しています。保護者の方はお子さんがレッスンに取り組む姿や表情をマジックミラー越しに見ることができるので、日々の成長を感じられるのではないでしょうか。在籍するスタッフは、研修を通して支援を届けるための理念を心に刻みながら、お子さんの成長をサポートするために必要なスキルを磨き続けています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス港南台教室では、お子さんや保護者の方のご要望やお困りのことに耳を傾け、一人ひとりに合った「個別支援計画」を作成しています。 レッスンでは、楽しく遊びながら学ぶ中で、できることを増やし、お子さんが園や学校、家庭で自分らしく過ごせるスキルを身に付けることを目指していきます。また、スタッフは全員が児童指導員の資格保有者で、発達に関するさまざまな知識を用いて、お子さん一人ひとりの成長や育成を全力でサポートしています。当教室では、体験レッスンも受付中。実際のレッスンの雰囲気を味わうことができるので、お子さんに合うかどうか体験してみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス京急豊岡教室は京浜急行電鉄『京急富岡駅』から徒歩2分の通いやすい場所にある教室です。全てのスタッフが精神保健福祉士、保育士や幼稚園教諭、児童指導員などの有資格者。朗らかな雰囲気のなか、2000種類以上のオリジナル教材を使って、お子さんのさまざまな感覚や幅広い認知を育てるサポートをしています。さらに、お子さんだけではなく保護者の方のご要望やお困り事にも寄り添い、「個別支援計画」を作成し、お子さん一人ひとりに合わせた発達支援を提供する教室です。Upload By 発達ナビ施設情報ワンダフルデイの発達支援は、感覚統合やモンテッソーリ教育の考え方をベースとし、主体性を尊重しながらお子さんの『やりたい』を引き出していきます。ことばの発信力を引き出すための一歩として、タッチング(感覚過敏の軽減)や眼球運動など、身体に刺激を入れるアプローチによってボディイメージを形成していきます。また、支援スタート前に保護者の方からのヒアリングを含めたきめ細やかなアセスメントを実施。そこから、お子さん一人ひとりのニーズに合わせたオーダーメイドプログラムを提案する施設です。Upload By 発達ナビ施設情報はるプラス港南では、言葉が遅れている、行動に困難さがあると感じるお子さんに対して、個別支援計画に基づいた遊びや課題を行うことで、集中して自発的に学ぶことを促しています。早期学習を推奨する同施設では、学習を通じて脳に刺激を与えることで、生活行動の改善にも繋げていきたいと考えているそうです。事業所は、静かな住宅街の一戸建てという環境にあり、戸外活動や各プログラムも集中力を高めながら安心して取り組むことができるのではないでしょうか。スタッフは、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、心理士、などの資格を持ち、経験も豊富。集団支援・個別活動、どちらも対応可能です。神奈川県の児童発達支援をもっとみる埼玉県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス川口市役所前教室では、発達に凸凹のあるお子さんへの発達支援や、子育てに悩みがある保護者の方へサポートを行っています。スタッフはお子さんの成長を間近でサポートできること、保護者の方と成長の喜びを分かち合えることにやりがいや喜びを感じているそう。そして、楽しいこと、できることを増やしながら、自信を育むレッスンを届けたいという想いを抱きながら日々の支援を行っています。同教室は親子通所のため、保護者の方はマジックミラー越しにお子さんがレッスンに取り組む姿や表情を確認できます。また、提携駐車場が完備されており、車での通所も可能です。埼玉県の児童発達支援をもっとみる千葉県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報コペルプラスジュニア千葉中央教室は『葭川公園駅』から徒歩5分、『千葉駅』『千葉中央駅』から徒歩10分の距離にある教室です。ジュニア千葉中央教室では、さまざまな着目点からのアプローチと、お子さんやご家族の皆さんからも力を添えてもらいながら、笑顔あふれる支援を心がけているそうです。また、お子さんの自律的行動を引き出していき、学習行動をたくさん褒め、認めることで、意欲を育てる関わりをしていきます。スタッフは保育士や幼稚園教諭、作業療法士など全員が有資格者。発達に関するさまざまな知識を持ち、お子さん一人ひとりの成長や自己肯定感の育成を全力でサポートしています。千葉県の放課後等デイサービスをもっとみる千葉県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報お友達と集団で過ごすことで得られるものを大切にしていきたいと考えるコアラキッズルーム。その一つが「マイペースからユアペースへ」。集団で活動をしていると周りのお友達に合わせる瞬間がどこかにあるはずです。それが「マイペース」から「ユアペース」に切り替わる時。その小さな経験をたくさん積み重ねられるのが集団の良さではないでしょうか。成長しやがて社会に出る時、お子さんにとってきっと必要な力になっていくことだと信じているそうです。お子さんの特徴は一人ひとりがオリジナルなものだという思いから、お子さんに合わせた教材を使用。得意なことを伸ばしたり、課題にチャレンジしながら、お子さんの成長を育んでいきます。千葉県の児童発達支援をもっとみる栃木県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報東武鉄道伊勢崎線『野州山辺駅』から徒歩7分、コペルプラス足利教室では、お子さんの「やりたい!」を引き出し、「できた!」を共に喜び合い、学ぶことが「楽しい!」と思える支援を行っています。歌、運動、多種多様な教材でお子さんが飽きずに楽しみながら学び、成長できるレッスンを実施。また、経験豊富なスタッフたちが、保護者の方の相談にも寄り添っているそうです。無料体験レッスンは随時受付中。ぜひ一度、足利教室に遊びに行ってみてはいかがでしょうか。栃木県の児童発達支援をもっとみる茨城県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス取手教室はJR常磐線『取手駅』東口から徒歩3分の通いやすい場所にある教室です。コペルプラスが目指す「今のままでいいんだよ」「そのままのあなたが大好きだよ」というモットーを軸に、お子さん一人ひとりの個性を尊重しながら、保護者の方の気持ちにも寄り添うような支援を提供しています。お子さん自身が持つ学習に対する意欲を引き出し、「やりたい」「楽しそう」「おもしろそう」と感じた時のキラキラした瞳が継続できるよう、豊富な教材を用意し、スタッフが明るく元気に日々のレッスンを行っています。随時無料体験レッスンを受け付けています。茨城県の児童発達支援をもっとみる愛知県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス春日井教室は、JR中央本線『春日井駅』からバスに乗り換え東野町経由桃花園行バス『浅山町停留所』より徒歩3分の立地にあり、さらに駐車場は3台分完備してあるので、車での通所も可能な教室です。同教室では、バラエティ豊かなオリジナル教材を使ってお子さまの「できる!」「楽しい!」を大切に、日々の発達支援を提供。保護者の方は、マジックミラー越しにお子さんがレッスンに取り組む姿を見守ることができます。無料体験レッスンもありますので、お子さんの発達に少しでも気になることがある方は、気軽に相談してみてはいかがでしょうか。愛知県の児童発達支援をもっとみる静岡県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報未就学のお子さんが通うコペルプラス草薙教室では、「できないことに対する訓練」ではなく、できないことの背景にある課題に焦点をあてることを大切にしています。そして、自分自身の個性を認め、何事にも前向きに取り組む姿を伸ばす「能力を引き出すための発達支援」実施。お子さんたちがたくさんの笑顔で輝ける場所となり、家族にとっても信頼できる場所になるよう、さまざまな資格を持つスタッフが全力でサポートしています。無料体験レッスンは、随時受付中。静岡県の児童発達支援をもっとみる大阪府児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報2023年12月1日にオープン予定の早期療育専門 ぱちぱちは、個別ABAセラピーと集団支援の両方を提供する1日預かり型の施設です。集団の中で見えた課題を個別で取り組んだり、個別で身に付けた力を集団の中で発揮したり、双方からのアプローチができる支援内容が用意されています。通所は自家用車でも可能で、また施設から送迎も予定されています。2023年11月1日より希望日時にて事前見学会を開催中(完全予約制)。お気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。大阪府の児童発達支援をもっとみる奈良県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報ぐりーん菅原支店では、ソーシャルスキルトレーニングや認知トレーニングなどを行っています。学校生活の質を上げていきたいお子さんには、5教科に加えて英会話やプログラミング、そろばんなどの学習サポートを実施。また、余暇の生活の質を上げていきたいお子さんには、ピアノやギター、ドラムなどの音楽や、各種スポーツや体操などの運動サポートも行っています。さらに、将来の就労に向けたパソコンの学習サポートなども提供している施設です。お子さんの生活に少しでも困り事や不安があれば、気軽に相談してみてはいかがでしょうか。奈良県の放課後等デイサービスをもっとみる奈良県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報ソーシャルスキルトレーニングや認知トレーニングなどを行うぐりーん菅原支店の理念は「自己実現を通じて人々を幸せに」。お子さんの思い描く将来をどうしたら実現できるのかを共に考え、そして共に成長するために、お子さんの生活の質の向上に向けた取り組みを行っています。体質の改善からマンツーマンでの支援までさまざまなプログラムを用意し、送迎も実施。未就学から高校生まで幅広い年齢の子どもたちが通う施設です。奈良県の児童発達支援をもっとみる福岡県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス那珂川教室は、西日本鉄道 博多南線『博多南』駅より徒歩19分、西鉄バス『福岡女子商業前』停留所より徒歩3分の場所にある教室です。「落ち着きがない」「集団行動が苦手」などの困り事に対し、お子さんそれぞれの発達に合わせた個別支援プログラムを作成し、マンツーマンで支援を行います。バラエティ豊かな教材を使用し、お子さんの「もっとやりたい!」を引き出しながら、楽しいレッスンを提供。スタッフは、お子さんや保護者の方の不安や悩みに寄り添いながら、お子さん自らが幸せになる姿を目指し、より良い発達支援を提供できるように心がけているとのことです。福岡県の児童発達支援をもっとみる大分県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス大分高城教室では、コペルプラスの「5つの柱」(1.バラエティに富んだ認知課題、2.コミュニケーションと連動した言葉のプログラム、3.ソーシャルトレーニング、4.感覚統合からのアプローチ、5.自ら行動するためのABA(応用行動分析学)理論に沿ったお子さんの支援を行っています。日々の支援では、お子さんをたくさん褒め、認めながら、意欲を育てることを心がけているそう。「できないことをなくす」のではなく「できることを伸ばす」ことで、自分の個性を認め、何事にも前向きに取り組む姿を目指しサポートしている教室です。大分県の児童発達支援をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、Webからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2023年11月30日2年生の次女と、4年生の長女に、次女の場面緘黙について伝えた現在小学6年生の次女は、2年生の3学期に場面緘黙(選択性緘黙)の診断を受けています。次女が場面緘黙と分かってから、次女と長女に場面緘黙について話をする機会を持ちました。Upload By まりまりまだ小学生なので、2人にはイラストが多めの本を使って説明しました。次女は「ほかにもこういう人っているんだね?」と、場面緘黙があるのは自分だけじゃないこと、また、本の説明から、話せない理由については少し理解してくれたかなという感じでした。長女のほうは「ふーん……」という感じで反応は薄かったですが、その後一人で興味深く本を読んでいる姿が見られました。その時、長女は4年生で、2年生の次女よりは状況を理解してくれているかな?とは思っていました。「わたしってなんでしゃべれないんだろう」と次女が落ち込んだ時…そんなある日、次女が2年生の学年遠足に行った時のことです。遠足から帰ってきた次女と話をしていると……Upload By まりまり「わたしってなんで話せないんだろう……」「わたしってダメだね」と言ってきたのです。日頃も学校では話せてはいないのですが、楽しいはずの遠足で、同じ班のお友達とコミュニケーションが取れなかったことや、そのせいで班のお友達に置いていかれてしまったことなどもあったようで、少し落ち込んでいる様子でした。もともと繊細な次女なので、あまり自分を責めることがないように、親としてはなるべくポジティブな声掛けを意識してきたものの、こうして次女が落ち込むことはもちろんありました。その時の長女の反応Upload By まりまりその時、一緒にいた長女が「次女ちゃんぜんぜんダメじゃないよ」と声をかけてくれました。以前、2人に場面緘黙について説明する時に使った本を良く読み込んでいたようで、不安が強いことや話せないことは、次女がダメなせいではないと説明してくれました。長女が思っていたより理解してくれていたので、うれしく思ったのを覚えています。次女の世話をする……?ただ、長女は理解が良くて、ついつい頼りたくなってしまうものの、それには注意深くしないといけないと思った出来事もありました。Upload By まりまり何事も取り組むまでに不安が強く、時間がかかる次女。以前、夫が「長女ちゃんが次女ちゃんのお世話をしてあげなくちゃ」と言っていたことがあります。自主的に手伝ってくれる分には良いものの、こうして強制されることに長女は「なんで私が」と反発していました。長女の気持ち当時、長女もまだ4年生。長女から、次女のために行動してくれることもあり、頼もしさを感じることもありました。ただ、次女のほうが手がかかる分、きっと我慢している部分も多い。自分のことを考えるだけで精一杯な子どもに、さらに姉妹のケアを無理にさせてはいけないと思いました。なので、長女には、無理に次女の助けにならなくて良いことや、自分のことを優先するように伝えています。Upload By まりまり今は中学2年生になった長女。きっと私が想像していることと、長女自身が感じていることが違っているところはたくさんあると思うので、今後もなるべく注意深く長女の話に耳を傾けていきたいと思います。執筆/まりまり(監修:森先生より)長女さんの次女さんへの接し方も、まりまりさんの姉妹2人共の気持ちをしっかりケアしているところも、とっても素晴らしいですね。「場面緘黙」のある方は、「家族とは問題なくコミュニケーションが取れるけれど、学校などの家の外ではうまく話せない」ということが多いですね。学校などで本人が困ってしまったときに、きょうだいがいる場合にはフォローする場面も多いでしょう。実際それでうまく切り抜けることができたり、本人が誤解を受けずに済むこともあるかもしれません。しかし、いくらきょうだいといっても、保護者ではないのですからフォロー役を常に期待されてしまうのは負担が大きいでしょう。また、本人にとっても、常にフォローされてしまうと家族以外の人との交流の機会が持てず、自信が持てないままになってしまう可能性もあります。あくまでも、「本人に安心感を与える」という意味で、家族の理解が大切なのですね。家族とのコミュニケーションで自信をつけて、少しずつ「安心できる範囲」を広げていけるといいのではないでしょうか。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年11月30日子どもの爪噛み、爪を噛む癖、原因は?子どもの爪を噛む癖を止めさせたいと思っている保護者の方は、たくさんいます。爪噛みをするようになるのは、6〜12歳が最も多く、男児よりも女児にやや多いといわれています。大半は、子どものうちに治りますが、大人になっても治らない人もいます。どうして爪噛みをするのでしょう?爪噛みには、さまざまな原因が考えられます。1つ目は、ストレスや緊張、不安があること。子どもは成長過程で、さまざまな変化に気持ちを対応させる必要があります。入園や入学など、環境が変わって寂しい思いをしたり、つまらないと感じていたりするかもしれません。先生や友だちとの人間関係が思いどおりにいかず、イライラしたり、悩んだりしていることもあります。家族や保護者との関係が、関わっていることもあります。家庭内での頻繁なケンカ、保護者からの愛情不足や過保護・過干渉などがストレスとなり、爪噛みなどの身体的サインとして表れることがあるといわれています。しかし、爪噛みの原因はストレスによるものばかりとは限りません。2つ目は、本人が几帳面だったり、デリケートな気質であること。爪の長さが気になったら、噛んででも短くしないと気が済まなかったり、指のささくれが気になって、噛んで取っているうちに、爪も噛んでしまっていたりすることもあります。3つ目は、手持ち無沙汰のときに刺激を得る行為のひとつであること。何もすることがなく暇なときに、爪を噛んで得る刺激によって、脳を覚醒させたり、情緒を保ったりしています。これを自己刺激といいますが、刺激への欲求が強くなると行為が過剰になり、指から出血することもあるので注意が必要です。ここにあげた原因はごく一部で、爪噛みがある人すべてにストレスがあったり、几帳面な気質だったりするわけではありません。まったく原因がないのに、爪噛みをする人も多くいます。爪噛みを続けていると、爪や指から出血して雑菌などが入ったり、爪の雑菌が口から体内に侵入したりして、感染症にかかるリスクがあります。また、爪や指の変形や、歯並びが悪くなる、あごの骨が変形するなどのリスクも考えられます。参考:新家庭教育手帳・家庭教育ビデオ 家庭教育手帳<ドキドキ子育て>3.しつけ 正しいしつけは子どもへの大切な贈り物。|文部科学省参考:一般小児科医のための子どもの心の診療テキスト|厚生労働省雇用均等・児童家庭局子どもの爪噛み、爪を噛む癖は治るの?対処法などはある?爪噛みがひどく困っている場合は、かかりつけ医に相談するのもひとつの方法です。爪噛み癖のことを「咬爪症」といい、爪と歯の形状で診断します。形状を調べることで、症状のレベルが分かるのです。爪や指から出血している場合は、塗り薬を塗布します。また、かかりつけ医から心療内科を紹介されることもあり、そこでは、より専門的な検査を行います。爪噛みは、大半が幼少期の一時的なもので、大人になると自然と治ることがほとんどです。「爪の形が変形してしまう」「痛みや炎症につながる」などの理由から心配する保護者の方も多くいると思いますが、本人は、爪を噛むことで心のバランスを保っていることがあるので、無理やりやめさせるのは、逆効果になる可能性があり、おすすめしません。子どもが爪を噛んでいるのを見たとき「やめなさい!」と叱ったり、逆に「爪を噛まなかったら〇〇していいよ」と、ご褒美でやめさせようとしている場合も注意が必要です。爪噛みや注意や叱咤、我慢の強要では治るとはかぎりません。家庭でできることのポイントは、次の4つです。1.刺激している部分をブロックするつねに爪を短く切り、物理的に噛めないようにします。それでも指先を噛んだりする場合は、手袋をしてもいいでしょう。爪噛み防止のための専用マニキュアも販売されています。安全性は高いですが、治療中の病気がある、常用している薬があるという場合は、主治医と相談してください。2.別の行動に促す手持ち無沙汰にしていて、爪噛みをしそうなタイミングが分かるときは、「〇〇ちゃん、お片付けのお手伝いしてほしいな」「△△くん、これ、運んでくれる?」などと声がけし、別の行動をするように促してみましょう。3.代わりの刺激に置きかえる勉強をしているときに爪噛みをするという子どももいます。そんなときは、トゲトゲのついたゴムボールを持たせたり、グミやガム、スルメイカを与えたりして、別の刺激に置きかえてみましょう。効果のある方法は一人ひとり異なるので、子どもにあった代替刺激を探してみるといいでしょう。4.リラックスできる環境をつくる不安や緊張感が爪噛みに表れていることがあります。笑える動画を見たり、思う存分好きなマンガを読んだりするのも、ひとつの方法です。ホッとできるぬいぐるみと一緒に寝たり、触り心地のいいタオルケットを使ったりすることで、心が安らぐこともあります。爪噛みは、ストレスや手持ち無沙汰が原因のことも。やめさせるのに、きつく叱ると逆効果爪噛みは、不安やストレスが原因のこともあれば、単に手持ち無沙汰で癖になっていることもあります。障害がある子どもの場合は、自己刺激行動のひとつのこともあります。どの場合も、きつく叱ったり、注意したりして、無理にやめさせることは控えましょう。さらにストレスがたまり、爪噛みがよりひどくなる場合も考えられます。本人が安心できる環境づくりを意識したり、ガムやスルメイカを噛むなど別の行動に置き換えたりして、爪噛み癖と上手に付き合っていくことが大切です。子どもの爪噛み、爪を噛む癖は発達障害と関係ある?爪噛みがやめられないのは、なにか障害が関係しているのでは?と考えることがあるかもしれません。発達障害などがある人にみられる、自己刺激行動の一つに爪噛みがあります。自己刺激行動とは、自ら刺激を求めにいく行動のことで、五感から受け取る刺激を過剰に感じてしまう「感覚過敏」や、反対に刺激を受け取りにくい「感覚鈍麻」があると、出ることがあります。また爪噛みは、チック症や強迫症の関連疾患である身体集中反復行動症がある場合も表れるといわれています。しかし、爪を噛むからといって、必ずしも障害や疾患があるわけではありません。単なる癖の場合も多く見られます。爪が変形するほど噛み続けたり、爪噛みがやめられなくて外出できない、など、日常生活に影響を及ぼしたりする場合は、かかりつけ医に相談してみましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年11月29日興味の偏り、言葉が遅かった3歳の頃……自閉スペクトラム症がある長男けんとは、現在、小学2年生です。まだ発達外来を受診する前、3歳の時に療育手帳を取得しました。コロナ禍の影響で更新が1年延び、6歳の更新の時に行われた発達検査の点数が基準点を超えたため、療育手帳は対象外となり返納。そして、同じ頃に精神障害者保健福祉手帳を取得しました。なぜ、3歳の時に療育手帳を取得することにしたのか。そして実際に取得してから、どのような時に利用していたのか……など、現在にいたるまでの療育手帳にまつわる、わが家の場合のお話を書かせていただきたいと思います。Upload By ゆきみけんとが3歳になったばかりの頃、興味があったのは、数字や文字、エレベーターなど。言葉がとても遅かったので、児童館や地域の子育てサロンなどで会う同じくらいの月齢のお子さんたちとの発達の違いを感じ、私は悩んでいました。私は市が主催する、子どもの発達に悩みがある人を対象とした親子教室に通っていましたが、それとは別に児童発達支援施設というものがあることを知りました。私はその施設にも通いたいと思い、市の発達相談の窓口に連絡をしました。そして、窓口で手続きを進めていく中で紹介を受けたのが「相談事業所」です。そこは、子どもの発達に関する悩みを相談したり、地域の発達支援施設の情報を提供してくれたりするところで、けんとも契約をすることにしました。相談事業所の相談員さんに、けんとの様子を実際に見てもらいながらいろいろな話しをしていると、療育手帳を取得することを薦められました。その理由は……わが家が「転勤族だから」です。相談員さんから薦められた療育手帳の取得Upload By ゆきみ相談員さんのお話しによると、療育を受けるにあたり、療育手帳は必要ではないとのこと。しかし、地域によって療育を受けられる基準や、受けるまでの道のりが違うらしいのです。違う地域へ引っ越し、そこで療育を受けたい場合、療育手帳があると手続きがとてもスムーズにいくとのことでした。そのお話しを聞いた時、私はけんとが療育手帳を取得できると思っていませんでした。苦手なことはたくさんあるけれど、数字やパズルがとても得意で、3歳で2桁の足し算を理解しながら解けるようになってきていたので、知的障害があると思っていなかったからです。聞き取りの間、けんとの様子を見てくれていた相談員さんに「療育手帳、取得できると思いますか?」と、私が質問すると、「軽度か中度で取得できるんじゃないかと私は思います」と言われました。正直なところ私は、相談員さんの話を半信半疑のまま療育手帳を申請しました。そして、実際に発達検査を受けてみると、中度に近い軽度で取得。3歳で足し算ができることや、記憶力がいいことは、発達検査の数値と関係はないようです。発達年齢と実年齢のひらきにショックを感じ、落ち込みましたが、発達検査で分かった得意、不得意を通して、「現状を理解できた」という安心感が少し入り混じる、何とも言えない気持ちになったのを覚えています。Upload By ゆきみ療育手帳のメリット!引っ越し先でスムーズだった受給者証の手続きUpload By ゆきみついに引っ越しをする時がきました。療育を受けるに当たり必要な受給者証を、新しい居住地域の市役所に申請することに。長男けんとは療育手帳を持っていたため、市役所で提示するとすぐに申請ができました。言葉が遅い2歳の次男ゆうきも、以前の地域で療育に通っていたので、新しい地域でも受給者証の申請を行おうとしました。しかし、診断を受けておらず、療育手帳がなかったため、すぐに申請することができませんでした。次男ゆうきの場合、新しい地域で受給者証を申請するには、発達外来を予約し受診。医師に療育の必要があるという「意見書」を書いていただいて、それを市の窓口に提出する必要があったのです。新生活に加え、知人もいない中、情報もなく、新たな発達外来を探すことや、その予約を入れることはとても大変でした。けんとは療育手帳を持っていたため、申請がスムーズ。早く療育に通うことができたので、療育手帳を薦めてくださった相談員さんのお話通り! とても助かり感謝しました。6歳で療育手帳を返納、そして精神障害者保健福祉手帳を取得Upload By ゆきみコロナ禍による影響で更新時期が1年延び、6歳の時に療育手帳の更新で再び発達検査をすることに。結果は基準点を超え、療育手帳は対象外。返納となりました。わが家では、経験を積むチャレンジの一環として、水族館や博物館、公営公園、テーマパークなどレジャー施設によく行きます。その時に療育手帳を提示しての料金割引や、サービスを利用させていただいていました。そして、次の転勤で引っ越した先でもいろいろな手続きがスムーズに行くかもしれないと考え、精神障害者保健福祉手帳を申請してみることにしました。提出資料をつくるに当たって発達外来へ。主治医の先生に「取得できるかは分からないですが、申請してみましょう」と言われました。そして申請が通り、取得。現在は自閉スペクトラム症という診断を受けているので、診断書を病院で書いていただいて持っていけば、引っ越しの際、各種手続きはスムーズにいくと思います。でも、診断書は有効期限などがあるので、やはり手帳があったほうが、何かがあったときにすぐに提示できてありがたいなと感じます。療育手帳は返納となりましたが、けんとはたくさんの特性をもっています。今のところ、わが家の場合は手帳を取得して、ありがたかった経験ばかり。「取得しなければ良かった。」と思ったことは一度もありません。転勤先の地域によっては精神障害者保健福祉手帳が対象外になることもあるかもしれませんが、それまでの間、更新を希望していこうと思っています。執筆/ゆきみ(監修:室伏先生より)けんとくんが療育手帳を取得された経緯や、そのメリットについて共有くださりありがとうございます。療育手帳や精神障害者保健福祉手帳は、診断を受けたからといって必ず取得しなければならないものではないため、どうすべきか悩まれている親御さんも多いことと思いますので、とても重要なメッセージと思います。手帳は、障害者枠で配慮を受けながらの雇用を望む場合には必要になりますが、幼児期や学童期に手帳がないから療育が受けられないということは基本的にはないため、取得されていないお子さんもたくさんいらっしゃいます。いっぽうで、今回共有してくださったように転居や各種手続きの際にスムーズになる、料金割引がある、周囲の理解を得やすいなどのメリットを感じられて取得されているお子さんもたくさんいらっしゃいます。外来でご相談をお受けすることも多いのですが、「焦って取得する必要はないけれど、ご家族が心理的な抵抗などがないようであれば取得してデメリットはないと思います」とお伝えしています。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月29日フリーランス精神科医から勤務医へ三木崇弘先生は、2019年からフリーランス児童精神科医として、クリニック以外にも学校や児童相談所、児童養護施設や保健所などで勤務し、2022年7月から勤務医に転身されました。その後も、臨床と共に、漫画『リエゾン―こどものこころ診療所―』の医療監修を継続、さまざまな社会活動を通して、社会への問いかけや支援の在り方について提言をされています。――フリーランス児童精神科医として幅広く活躍されてきましたが、どのようなお気持ちの変化があったのでしょうか?三木先生:もともと「都市で学んで、地方に還元したい」という気持ちがあり、家庭の事情も重なったことから地元にUターンすることにしました。――有言実行されたということなのですね。ちょうど1年が過ぎた頃かと思いますが、見えてきた課題や現在注力していることを教えてください。三木先生:地方は首都圏に比べると圧倒的にリソースが少なく、特に県庁所在地でない都市はそれが顕著です。子どもが安全・健全に育つために必要なリソースや考え方が不足しているように感じます。そのため、さまざまな職種の仲間を募って勉強会をするなど、チームで連携して子どものためにできる支援は何かを模索しているところです。漫画『リエゾン』医療監修、エンターテイメントの力を感じて――『リエゾン―こどものこころ診療所―(以降、リエゾン)』について、最初に医療監修の依頼があった時は、どのように感じましたか?三木先生:「自分の人生に『講談社』という文字が出てくるとは思わなかった」です(笑)。それぐらい縁遠い世界だと思っていましたし、想像もしなかったです。ただ監修の依頼をいただいた頃、僕自身が「特殊なジャンルだと思われていることについて、専門家が専門家に対して、専門的な内容を伝えることの手応えのなさ」を感じていました。――漫画だと、伝えたい相手も伝え方も大きく違いますね。三木先生:そうですね。発達障害や不登校、虐待、非行などは教育や医療だけではなくて社会全体の問題ですから、こういったテーマを広く一般の方に知ってもらうためにエンターテインメントの力を借りる方法はとても素晴らしいと思いました。――漫画で描かれていることは、実際の臨床現場でも多くあるのでしょうか?三木先生:あります。もちろん漫画ですから多少は理想的に描かれていますが、『リエゾン』に関してはいろんな人たちの葛藤が丁寧に描かれるよう、編集部も力を入れてくれています。――話題作の監修を続けることは、プレッシャーも大きいのではと……!三木先生:忙しすぎてそこまで気にしていられない、というのが正直な感想です(笑)。ただ原作者、漫画家、編集部ともにかなり丁寧に議論を交わしていますから、概ね大丈夫だと自信を持っています。――マンガは累計120万部を突破、ドラマも放映されましたが、反響や臨床現場における変化はあるでしょうか?三木先生:僕はあくまで監修なので、部数については実感がないですねえ。ただ2023年1月からドラマ放映が始まり、「すごい共感しました」「おばあちゃんが優しくなりました」という声をたくさんいただくことがあって、発達障害のあるお子さん自身や、その保護者の方のつらさが周り人たちに分かりやすく伝わったのかなと思いました。引き続き、こういうジャンルに興味がない方にも、まずはエンターテイメントとして、ドラマであれば出演されている俳優の皆さんへの興味から『リエゾン』に触れていただけたらうれしいですね。著書『リエゾン-こどものこころ診療所- 凸凹のためのおとなのこころがまえ』『リエゾン-こどものこころ診療所- 凸凹のためのおとなのこころがまえ』は、漫画『リエゾン』で取り上げられている診療例のほか、三木崇弘先生の臨床事例を交えながら、凸凹がある子どもの子育てにおける「こころがまえ」について、「親はすごい」という言葉から始まるエールと共に小児科医・児童精神科医の視点で具体的に解説された一冊です。Upload By 発達ナビ編集部「親はすごい」僕が小児科医・児童精神科医としてキャリアを積むうちに感じた大切なことの一つです。(中略)「誰がやるのか」の答えは、主に親御さん(と学校の先生)です。でも皆さんは「専門家が専門知識を使ってアドバイスする」ことがすごいと思われているかもしれません。でも僕は、「実際にやる人が一番えらい」と思っています。まえがき第2章でも触れましたが、安定して65点の関わりを続けられることを目指してみましょう。特に凸凹のある子どもたちは、不安定さや見通しの立たなさが苦手です。「その日の機嫌によって、すごく熱烈で前向きな反応が返ってくるかもしれないけれど、氷のようにつめたい反応かもしれない大人」よりも、「何を言ってもそこそこ好意的な反応が返ってくる大人」のほうが、安心感は高いです。第4章「ほどほどを、ずっと」がいい――ドラマ放映に合わせて執筆された本書では、凸凹の意味や告知、環境のマッチングや保護者のアンガーマネジメント、特別支援教育、学校との付き合い方や不登校・受験のこころがまえなど、多岐にわたる解説がされています。「最後の最後までページ構成を変更した」とのことですが、執筆にあたりどのような思いから、どのような試行錯誤があったのかお聞きしたいです。三木先生:少しでも分かりやすく、前後の繋がりがスムーズになるようにと思っていました。読む人が頭をひねらなくてもスッと入っていくことを一番の目標にしたので、読み直して違和感があるたびに構成を変えることになりました。出版社の方には本当に粘り強く付き合っていただき感謝です。――どのような保護者の方に、本書を手にとってほしいとお考えでしょうか?三木先生:子育てに悩むすべての保護者の方ですね。発達障害のあるなしに関係なく、子どもと向き合う時のこころがまえを書いたつもりです。子育て全般について、不安に思っていることや自信がないことについて、後押ししてくれる本になっていると思います。――ありがとうございました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年11月28日集団行動が課題の長女:まゆみ長女のまゆみは自閉スペクトラム症と知的発達症(知的障害)の診断を受けており、1歳8ヶ月で療育に通い始めてからずっと「周りを見ることが課題」と言われ続けてきました。5歳半になった現在、ようやく人のまねをして踊る様子が見られるようになりましたが、まゆみのタイミングでふと表れる程度で、みんなと一緒に取り組むのはなかなか難しいのが現状です。そんな中、保育園の運動会がありました。年中から入園したのはクラスでまゆみだけ。保育園での運動会は初めてです。私も「周りについていくのは厳しいだろうから、今日はまゆみが楽しんでくれてたらいいや」なんて思いながらまゆみの出番を待っていました。Upload By にれ昨年、療育先で行われた運動会では次のような状態でした。Upload By にれ多動が激しくて片時もジッとしていないまゆみが、マイペースながらもほかの子どもたちと一緒に踊ったり列に並んだりしている姿が見られて感動したものですが、それから1年後となる保育園の運動会ではさらに大きな変化があったのです。保育園のお友達……つまり定型発達の子どもたちが大多数の中、一緒に何かを発表する機会は6月にあった保育参観以来です。その時のまゆみは大体どの場面を切り取っても、先生に抱っこされているか、床に大の字で寝そべっているか、教室を飛び出して事務室へ走っていってしまうかのどれかでした(このこと自体は、『その空間がイヤになったら、癇癪を起こすのではなく部屋を移動して自分から環境調整できるようになったんだな』と好意的に捉えました)。そんな調子なので、『一斉指示に従って集団行動をする』というのはまゆみにとって大きな大きな課題です。6月の時点ではまだ難しそうに思えましたが、4ヶ月後となる秋の運動会では信じられないほどの成長ぶりを見せてくれました。Upload By にれ恥ずかしながら、お遊戯が始まった直後の『みんなで一斉に指差しするシーン』から、私は涙が止まりませんでした。まゆみだけ左右の手の動きが間違っていて明後日の方向を指していましたが、『サポートの先生なしで集団行動するまゆみ』という衝撃の前にはささいなことです。人目をはばからずオイオイ泣きながらカメラを回しました。何よりもうれしかったのは、まゆみがずっとずっとニコニコしていたことです。楽しさと喜びが伝わってくる笑顔に、まゆみもみんなと一緒に演技ができてうれしいのだと思いました。閉会後、先生にお礼を言いに行くと、なんと先生も泣いていました。「まゆみちゃん、すごい!本番が一番頑張ってくれました……!!」聞くと、前日のリハーサルでは上手く参加できず、先生方も心配されていたのだそうです。思えば、療育を併用しているまゆみは週に3回しか保育園の利用がありません。練習時間もほかの子より短かったはずです。それなのに、周りをよく見て一生懸命頑張ってくれたんだと思うとまた涙があふれました。演技を見るまで、親の私すら「今日はまゆみが笑ってたらそれでいいや」と過小評価していたことを申し訳なく思いました。まゆみはかけっこもお遊戯も自分から参加していて、演目の待ち時間に多少ウロウロしていたものの騒ぐことは一度もありませんでした。いつの間にこんなに成長していたんだろう……?甲高い声を出しながら頬を寄せてくるいつもの仕草も、表情がどこか達成感にあふれているように見えました。成功の背景にあるのはお友達の存在?運動会の動画は、療育先のいつもお世話になっている先生と、去年まゆみの担当だった先生にも見ていただきました。お2人共、去年の療育先の運動会でのまゆみの様子を知っているので、そこからの成長ぶりや日頃の姿とのギャップに驚いて、こちらでも感涙の鑑賞会になったそうです。お友達のダンスを見ながらワンテンポ遅れて踊るまゆみの動きは、課題の一つ「周りを見ること」ができるようになってきていることの証です。6月の保育参観ではできなかったことが、この4ヶ月でできるようになった要因を私なりに考えてみると……、それはまゆみの中で『お友達』の存在が大きくなってきているからかな、と思いました。いつもクラスの子どもたちが寄ってきてくれても無視してばかりのまゆみですが、やりとりはできなくても一緒の空間にいられるのがうれしいのか、最近は家や療育先で保育園へ行きたいアピールをする際に「ホイクエ~ン!」だけでなく「オトモダチ~!」という単語が口から飛び出すようになりました。一見やりとりが成立せず、関心がないように見えてもまゆみの心にはお友達の姿があるんだとうれしくなります。運動会で感じたこと運動会の帰り道、一昨年の秋に療育先で言われた言葉をふと思い出しました。「まゆみちゃんは年少で保育園に入るよりも、もう一年みっちりと療育に通って親以外の大人と関係が構築できるようになってから年中での入園を目指すほうがいいと思います。一対一の関係ができてから、やっと周りが見えてくるでしょうから」入園を一年延期するのは苦渋の決断でしたが、運動会の様子を見ると「先生の言うとおりだったなぁ」と思えました。運動会はできるようになったことが目に見えて分かりやすいので、昨年と比べて「こんなこともできるようになっていたんだ!」というたくさんの小さな気づきがあるように思います。Upload By にれ大人である私には「早いなぁ」と感じる1年が、5歳半のまゆみにとってはきっととても長いのでしょう。毎日少しずつ大きくなる身体の成長に普段は気づかないように、心や精神面も毎日ほんの少しずつの積み重ねで発達しているのだと改めて実感しました。育児も家事も思うようにいかず「もう今日はこんなんでいいや」と適当にしてしまうことの多い私ですが、まゆみの一日一日をできる範囲で大事にしてあげたいと思います。執筆/にれ(監修:森先生より)「人のまねをすること」は、「見たものを頭の中でイメージして、相手の行動を自分に置き換えて再現する」という、実はとっても高度な能力です。 この能力を身につけると、「新たな能力を身につける力」が飛躍的に向上します。お子さんは、集団行動が苦手ということで、もともとは「人のまね」が苦手な部分もあったのかもしれません。療育プログラムで土壌がつくられたうえで、お友達と触れ合うことで、共感性が発達してきているのでしょうね。保護者の方が、しっかりと必要な支援をしながらも、「本人が楽しんでくれたらいい」とおおらかに構えながら見守ってくれているので、お子さんは安心して成長できているのでしょうね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月28日良くも悪くも周りに関心を持たないタイプの夫わが家には二卵性の双子がいます。息子も娘もASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)のグレーゾーンです。小さい頃は初めての育児で双子、さらにワンオペで育てづらさも相まって大変でした。夫は良くも悪くも周りに関心を持たない、あまり悩まないタイプです。子どもが生まれた頃は40代前半でした。夫婦二人のときは特に問題を感じていなかったのですが、出産から1歳半くらいまでは特につらかったです……。Upload By ユーザー体験談私の妊娠が分かり退職後も財布は別々のまま。私の貯金は0に……Upload By ユーザー体験談同棲期間が長くお互い仕事をしていたせいか、入籍後も財布は別々、個々の買い物もそれぞれが負担していました。それが、私が妊娠し仕事を辞めてからも続き、医療費、食費、光熱費についても私の分は貯金を崩して支払い続けたため、当然貯金も底がつきどうにもならなくなってしまいました。それまでも何度もお金について話し合いをしようと思っていたのですが、とても言いづらく……。ここでやっと夫に切り出しました。私が妊娠し退職している状態でも、働いている時と同じように経済面の負担を求められるのは難しいこと、今の状況なら、働いている夫が全て負担してもらわないと生活ができないことを伝えたところ、「そんなもんなの?」と聞き返されました。その時の夫の様子を見る限り『自分の負担が増えるということに気づきたくなかった』という感じでした。そして「あぁ、自由にお金が使えなくなるなぁ」とボソッといいましたが、それからはもろもろのお金が夫が負担するようになりました。動き回る息子、癇癪がある娘……育てづらさがある双子育児をワンオペ対応していたら、うつ状態に時は過ぎ、里帰り出産をして家に帰ると、待っていたのは双子ワンオペでした。出産後も夫は出張と残業ばかり。私は助けもない中での経験値ゼロからの2人育児に参っていました。2人とも首座りや歩くのも早く、目が離せませんでした。しかし、言葉はなかなか出なかったので私は1人で不安に感じていました。気分転換に外に行くにしても、息子はとにかく動き回るし落ち着きがなかったので、とてもではないですが1人で2人を見ることなんてできません。ずっと引きこももっていました。そして1歳3ヶ月になって2人ともお昼寝をしなくなると、それまでの生活リズムが大きく変わりました。明け方4時半頃からずっと起きているような日も出てきて、私の睡眠不足状態で、2人の世話だけをずーっとやっていました。娘は特に癇が強く、何かあるとひどく泣き喚き、その声にも精神的に追い詰められていきました。Upload By ユーザー体験談もうほぼうつ状態だった私。出張帰りの夫が空港に着いたというメールを見たとき、それまで張りつめていたものが切れてしまい、夫が帰宅するまでベビーベッドの前に座り込んで泣き崩れていました。夫から「何をしたらいい?」と聞かれた私の答えは帰宅した夫から最初にどう声をかけられたのは覚えていません。ただ「ごめん」と言われたような気がします。そのあとに「何をしたらいい?」と聞かれ私は「ただ手伝って欲しい」と答えました。すると夫は「何に手を出していいのか分からなかった。手を出したら私に怒られると思ってた」と。ここで私は「早く帰ってこられるならお風呂、無理なら夕食後の食器洗いと、私が対応できなくくらい疲れているときは、夜中の子どもの対応をやって」と具体的にお願いをしました。するとこの日から、ワンオペ育児が変わったのです。Upload By ユーザー体験談それからの夫は子どもたちのお風呂や後片づけ、汚れ物の下洗いをやってくれるようになり、私も昼間2人を連れて児童館に行けるくらいの余裕ができました。昼間は児童館で目一杯遊び、夕方帰る前に少し食べさせて汗を拭いて着替えまで済ませると、子どもたちは帰宅後すぐに寝てくれるようになり、私も休める時間が増えました。また、娘の癇癪の回数もほんの少しだけ減った気がしました。「話さなければ分からない=話せば分かる」ということ。今は積極的に夫に話していますその日から夫へは何でも伝えるようにしました。息子が多動ではないかということ、娘の人見知りや癇癪、切り替えの悪さが気になることなどもです。その話をずっとしていたので、子どもが9歳になり検査をしてグレーゾーンと言われたときは特に驚くこともなく、それ以降も変化はありませんでした。私たち夫婦が上手くやっていくために大事なことは、私が1人で抱え込まず、ともかく夫に話すこと、お願いしたいことは具体的に伝えることでした。お金のことも、子育てのことも話さなければ分からない夫ですが、話せば分かってくれることに気づいたので、今では積極的に話すようにしています。あと片づけや汚れ物の下洗いや子どもたちの靴洗いは、今もずっと続けてくれているのでとても助かっています。そんなこんなで、今もたまには衝突することもありますが、まあまあ良好に過ごせている私たち。子どもたちと一緒に私たち夫婦もさらなる成長をしていければいいな、と思います。イラスト/keikoエピソード提供/みゆねこ(監修:鈴木先生)妻が育児などで大変なことは通常は伝えなくても理解できるはずです。それも双子ということで倍忙しいわけですから。お父様にもASDの特性があるのかもしれません。その場合、空気を読むのが苦手で、具体的に言わないと気づけない傾向にあります。さらに視覚的に訴えることも重要です。当たり前の事でもやってくれたら褒めてあげることも必要です。外来でもよくお話しするのですが「優しく・丁寧に・具体的に・肯定文で」接することが重要です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月28日ひらがなへの関心は4歳頃から子どもが文字へ興味を持ち始めるのはだいたい4歳頃と言われています。よくある例としては、保護者や園の先生が読んでくれた絵本に興味を持つようになり、自分でも眺めるようになることが挙げられるでしょう。最初は絵などに関心を持ちますが、次第に文字へも関心を持つようになっていきます。また、5~6歳頃になると自ら「書く」子も出てきます。クレヨンや鉛筆で文字をまねたものを書き、お友達とお手紙ごっこなどの遊びをはじめる子もいます。この状態では絵や写真と違って文字は音を表すものである、という認識はあるようです。まだ理解が不十分なこともあって、鏡文字や間違った字を書くことも珍しくありません。しかし、この時期の文字の間違いはよくあることなので、そこまで気にする必要はないと言われています。参考:就学前教育カリキュラム|東京都教育委員会ひらがなが読めるようになるまでのステップ子どもがひらがなを読んだり書いたりするようになるまでのステップを、もう少し詳しく紹介していきます。大・小など大きさの概念や、色の識別ができるようになってきて、絵本などに描かれた絵や写真などに興味を持つようになり、保護者や先生に「これは何?」と尋ねたりすることが増えてくる時期です。その後は、絵本などを自分で持って読んでいる真似をするようにもなります。これはエマージェントリテラシーといって文字を取得する前段階に現れる状態です。文字への関心が芽生えて、文字の機能を何となく理解できているという証拠でもあります。4~5歳頃になると文字への関心が大きく、具体的になってきます。絵本などを通して文字を学んでいき、4歳頃には自分の名前や身近なものに書いてあるひらがなを読めるようになる子どもが増えてきます。また、5歳頃になると約8割以上の子どもがひらがなの大部分を読めるようになります。先ほど紹介した「お手紙ごっこ」など文字を取り入れた遊びをするようになってきます。これは、ひらがなに興味を持ち、コミュニケーションに使うものだという機能を理解しているためであり、後のひらがな習得に繋がっていきます。参考:吃音、チック症、読み書き障害、不器用 の特性に気づく「チェックリスト」 活用マニュアル|厚生労働省参考:幼児教育、幼小接続に関する現状について|文部科学省参考:ことばの発達について|横浜市ひらがなを教えるときの注意点やコツは?ひらがなを本格的に教える前に大切にしたいのは、文字に対して興味を持ってもらうことです。興味がない中で書き取りノートなどを与えられても、子どもは無理やりやらされているという気持ちになり、苦手意識を持つ可能性もあります。そのため、幼児期では土壌づくりを優先するといいでしょう。土壌づくりとして行えることは、・絵本の読み聞かせ・ことばを使った遊び・日常生活で文字に触れるようにするなどがあります。【絵本の読み聞かせ】絵本の読み聞かせは文字への関心に大きな意味があると言われています。読み聞かせをする際は、集団ではなく1対1で行う方が子どもの集中力があがります。絵本の読み聞かせをすることで、「先生は何を読んでいるんだろう?」「この形(文字)は前も見たことがある」など、文字取得につながる興味を持つことがあります。【ことばを使った遊び】ことばを使った遊びを取り入れることも大切なポイントです。1対1でも集団でもさまざまな遊びがあり、例えば「しりとり」や「カルタ」などを行うことで、子どもたちは楽しみながらことばに親しんでいくことができます。ほかにも「ことばを言いながら音の数だけジャンプする」など、ことばを発しながら身体を動かす遊びも取り入れていくといいでしょう。【日常生活で文字に触れるようにする】子どもと一緒に散歩をしている時に、目立つひらがなの看板があれば「あの文字は○○くんの名前と一緒じゃない?」など、日常生活でことばを意識する場面を増やしていくということも土壌作りの方法の一つです。ここで紹介したのは、一つの例です。子どもの発達には個人差がありますので、この時点でひらがなの習得がうまくいかなくても、あまり思いつめたり、叱責したりせずにチャレンジしたことを褒めるようにしていきましょう。参考:吃音、チック症、読み書き障害、不器用 の特性に気づく「チェックリスト」 活用マニュアル|厚生労働省ひらがなを読めない、書けない…LD・SLD(限局性学習症)の可能性は?チェックポイントひらがなの習得には個人差があります。しかし、それでも発達の目安や同年代の子どもと大きく違っていると心配になる方もいるでしょう。文字を書かない、または間違いが多い理由の一つとしてLD・SLD(限局性学習症)がある可能性があります。LDとは、読み、書き、計算など特定の分野の学習のみが非常に苦手な発達障害のことです。学習障害は現在、「SLD(限局性学習症)」という診断名となっていますが、最新版DSM-5-TR以前の診断名である「LD(学習障害)」といわれることが多くあるため、ここでは「LD・SLD(限局性学習症)」と表記します。LD・SLD(限局性学習症)の可能性があるかのチェックポイントをご紹介します。Upload By 発達障害のキホン【LD・SLD(限局性学習症)かも?チェックポイント】・文字に関心が薄い(例:絵本を見ていても、質問したり文字を追ったりしない)・単語の発音を正確に言えないことがある(例:「クリスマス→クスリマス、クスリスマス」のように、音の順番の変化や数の増減などが見られる)・「ことばを一音ずつに分解して一つの動作と対応させるような遊び」ができない(例:ことばを言いながら、一音ごとに一歩ずつ移動したり、手を叩いたり、すごろくのコマを進めたりといった遊び)・歌の歌詞がなかなか覚えられない・文字を書くことを嫌がる、または関心がないこのチェックは簡易なものなので、これだけでLD・SLD(限局性学習症)と判断することはできません。当てはまる項目があり、不安な方は以下の相談機関に問い合わせてみるとよいでしょう。・かかりつけの小児科・専門の医療機関(療育センター、児童精神科、小児神経科など)・市町村保健センター・子ども家庭支援センター・児童相談所・発達障害者支援センター・児童発達センターどの機関でも、専門的なスタッフが相談対応にあたり、アドバイスや状況に合わせた別の機関の紹介をしてもらえることもあります。電話での相談が可能な場所もあるため、ホームページを確認してみてください。参考:吃音、チック症、読み書き障害、不器用 の特性に気づく「チェックリスト」 活用マニュアル|厚生労働省参考:学習障害(限局性学習症)|厚生労働省e-ヘルスネットまとめ子どものひらがなへの興味は4歳頃から芽生えることが多いと言われています。興味が芽生えてもすぐに練習帳などを与えるのではなく、まずは土壌づくりとして絵本の読み聞かせやことばを使った遊びを多く取り入れていくとよいでしょう。また、ひらがなの読み書きができるようになる年齢には個人差が大きいと言われていますが、文字に全く興味を示さないなど気になる様子がある場合は、不安を抱えこまずに専門機関に相談してみましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年11月27日優しいお兄ちゃんと大人しい妹わが家の凸凹きょうだいは通常とても仲が良く、ケンカをしているところを見ることはほとんどありません。2人とももともと穏やかな性格で、特に兄のタケルは他人に向かって怒ることがなく、つらいことがあってもじっと耐えたり、一人で泣いたりする性格です。大抵はニコニコしていて、苦言を呈すときもウィットに富んだ上手な言葉遣いをするので、親の私が感心することもしばしば。しかし、そんなお兄ちゃんも、今までに2度だけ、妹、いっちゃんを激しくりつけたことがありました。叩いたりなどの暴力はなかったものの、双方のダメージが何日も尾を引きました。温厚なASDのお兄ちゃんを怒らせた原因とは?最初のケンカは兄のタケルが11歳、妹いっちゃんが5歳の時で、原因はゲームのことでした。いっちゃんが、兄のゲームのセーブデータを使って遊んでいたところ、保存してあった貴重なアイテムを失くしてしまったのです。このゲームでは冒険を繰り返しクリアしながら、武器や防具を強化していくというもので、いっちゃんが失くしたのは、兄タケルが80時間以上も費やしてつくった強化アイテムでした。この時ばかりはタケルも激怒!「おい! おい! おい! 何時間かかったと思ってるんだ!?」と腕を振り回して怒り、いっちゃんに謝らせていました。Upload By 寺島ヒロわざと失敗したのではないことは分かっていたので、やがてタケルもいっちゃんを解放したのですが、怒りは収まらず……!それから数日の間、何かにつけては「楽しくない」「気分が悪い」と仏頂面になっていました。タケルはASDの特性もあり、一度嫌なことがあると、例え解決しても、何日もその気分を引きずるようなことがあります。その兄の様子を見ては、いっちゃんも「しつこい……!」と不機嫌になるのでした。2度目のきょうだいゲンカは「あるある」な連絡ミス2度目のケンカは、ぐんと年齢が上がってタケルが19歳、いっちゃんが13歳の時です。2人が出入りしているインターネットのSNSグループの仲間でオフ会をすることになり、いっちゃんのところにその連絡が届きました。しかし、いっちゃんは誘われたのは自分だけだと思って、タケルには伝えなかったのです。主催者の方は、当然妹が兄に伝えて2人で来ると思って用意していたので、結局お兄ちゃんのタケルが約束を破った感じになってしまったんですね。「(主催者の方から)お兄ちゃんに伝えてとは言われなかったよ?」「参加したかったんなら、お兄ちゃんが主催者に言えばよかったじゃない!」今回はいっちゃんも生意気盛りの年齢。一度は謝ったのですが、ついつい抗弁してしまったことで、兄をさらに怒らせてしまいました。のちのち聞いてみると、明らかに「流れ」は2人で参加する感じだったのですが、「いっちゃんを連絡の窓口にする」「主催者からの伝言はタケルにも伝える」ということが明言化されていませんでした。そして、ASDの特性があるいっちゃんにとっては「言われてないことは、ないこと」なのです。この時も数日間、家の中の雰囲気がギスギスして大変でした。怒りをぶつけられてASD娘が学んだことさて、先日のこと、娘がやっているゲームのレベル上げを頼まれた私。ゲーム中にひとつしか手に入らない貴重アイテムを「使わないでね」と言われていたのに、うっかり使ってしまいました。ショックを受ける娘に、平謝りする私……。Upload By 寺島ヒロしかし、しばし後にいっちゃんは言いました。娘「イインダヨ……こういう事ってあるヨネ……。私もお兄ちゃんのゲームでアイテム失くしたことあるモン……。」私「え……?それもしかして5歳の時のやつ?」あんな幼かった頃のことを覚えていたんだ!と驚きました。そしてまた、あの時に怒られた経験で、いっちゃんが人を許すことができるようになったのかと、そのことにも驚かされました。怒ることの効能?私はあまり怒らないお母さんです。子どもたちがそうであるように、私自身も元々あまり他人に怒りをぶつけることがない性格なのです(コツコツ小言は言います)。怒らないなら怒らないで別にいいんじゃないかと思っていましたが、強い感情は記憶の強化に効くとも聞きますし、場合によっては、怒られたりする経験も悪くないのかもしれないなと思いました。執筆/寺島ヒロ(監修:室伏先生より)ヒロさん、きょうだいげんかのエピソードを詳しく共有いただき、ありがとうございます。タケルくんといっちゃんの可愛らしいご様子に、何度もくすっと笑ってしまいました。きょうだいげんかやお友達とのけんか、親御さんからするととても大変だけれど、ネガティブな感情をぶつけてしまった側、ぶつけられてしまった側どちらにとっても、人間関係を学んでいく上でとっても貴重な経験ですよね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月27日自家中毒とは?原因、症状など嘔吐は幼い子どもによく見られる症状です。しかし、子どもが頻繁に嘔吐するケースでは、何か疾患が隠れているのではないかと心配になることもあるでしょう。子どもの嘔吐の原因はさまざまですが、その原因の一つとして「自家中毒」が挙げられます。自家中毒とは、アセトン血性嘔吐症(周期性嘔吐症)、ケトン血性嘔吐症とも呼ばれており、嘔吐や腹痛、頭痛、全身の倦怠感、脱力などの症状があります。重症になると、血が混じったものを嘔吐することもあります。冷や汗が出たり、意識障害を起こしたりする場合もあり、てんかんと間違われることもあります。自家中毒の場合の嘔吐は、ピーク時には1時間に中央値で10回、最大30回ともいわれています。自家中毒の嘔吐以外の症状は下記の通りに報告されています。・嘔気(吐き気)(90%)・腹痛(74%)・頭痛(58%)・発熱(55%)・顔面蒼白(45%)・食欲不振(39%)・発作時の無気力(35%)・下痢(32%)・血性嘔吐(28%)・胆汁性嘔吐(16%)・よだれ(16%)・めまい(12%)・羞明(まぶしく感じる)(9.8%)・音声恐怖(3.2%)一般的に、自家中毒を初期症状や前兆などから予期することは難しいといわれています。例えば、風邪などの発熱時や、遠足や発表会などのあとに嘔吐を繰り返したことがあるという子どもは、同じような状況の際に、自家中毒の症状を起こす可能性があるので、保護者が注意深く見守るとよいでしょう。多くの症状を伴う自家中毒は、ほかの疾患と区別することが難しい病気です。気になることがある場合は、受診をして、医師の指示を仰ぐのがよいでしょう。参考:間欠的な嘔吐発作から診断された 周期性嘔吐症候群の16歳男性例(岩永 光巨, 亀崎 秀宏, 黒杉 茜, 妹尾 純一, 坂本 大) | 日本内科学会雑誌/111 巻 (2022) 2 号自家中毒の原因は、精神的なストレスなどの刺激に反応して吐き気やその他の症状が起こることといわれています。例えば、運動会や学芸会などの学校の特別な行事や習い事の発表会、試合の前などに感じる緊張、また遠足や旅行などの前に感じる興奮などが自家中毒を引き起こす「ストレス」に当たります。また、寝不足や空腹、食べ過ぎ、遊び過ぎ、チョコレートやチーズのとり過ぎも自家中毒の原因の可能性があるといわれています。緊張や興奮、寝不足、食べ過ぎ、遊び過ぎなどのあとに嘔吐などがある場合には自家中毒が疾患の候補になるかもしれません。しかし、自家中毒の原因は現代の医学をもってしてもはっきりしないという側面もあります。医学的なメカニズムとしては子どもは肝臓で糖を貯蔵する機能が発達していないためだと考えられています。その分脂肪を分解することが増えるので、その結果、ケトン体という代謝物が増え、吐き気などの症状として出てきます。自家中毒になりやすい子どもの特徴は?子どもの発症が多いと言われている自家中毒ですが、最近では成人の発症例も報告されており、最高齢は73歳で発症した例もあります。とはいえ、やはり症例は子どもに多く、発症年齢の中央値は4~5歳くらいといわれています。子どもの中でもかかりやすいタイプには、痩せ型、心理的ストレスがかかりやすい、興奮しやすいなどの特徴があります。ストレスが原因となると育て方に問題があったのでは、愛情不足だったのでは……など心配される保護者の方もいますが、自家中毒とこれらの関連はありません。また、自家中毒の患者には、偏頭痛の家族歴が多いとされているほか、本人も偏頭痛に移行しやすいといわれています。偏頭痛のある家族がいるケースなどは自家中毒になりやすいと心に留めておくとよいかもしれません。自家中毒と発達障害の関係は?一般的に、子どもの中枢神経は未成熟なので、いろいろなことからストレスを受け、身体症状が発生します。それに加え、発達障害のある子どもの中には「ストレスを上手く処理できない」などの特性から不快な感情が嘔吐中枢を刺激し、より自家中毒が起きやすいといわれています。自家中毒は治るの?治療方法など自家中毒を発症した際、軽症の場合だと吐き気を抑える座薬や飲み薬などを処方されることがほとんどです。吐き気が治るまでは原則として絶食となります。糖質が含まれたイオン飲料や果物を絞ったものなどをごく少量ずつ与え、安静に過ごします。それでも改善せずに嘔吐が続く場合は、点滴で糖分や水分を投与が必要になりますが、排尿とともにケトンが体外に排泄されれば症状は快方にむかっていきます。吐き気が治ったあとは、食事をとれますが、脂質が高いものは避け、うどんやおかゆなど消化のよい炭水化物を少量ずつとるようにします。油を使ったお菓子や料理、牛乳などは避けましょう。繰り返しますが、ほとんどの子どもは10歳を過ぎると症状は落ち着く傾向にあります。また、一般的に後遺症などはなく、予後も良好といわれているので、動揺せずに対応することが大切です。「わが子が自家中毒かも?」と感じたら?「自家中毒」は、精神的なストレスなどの刺激に反応して吐き気、腹痛、頭痛や倦怠感などが表れる病気です。多くの症状を伴うため判断がつきづらいといえます。「わが子が自家中毒かも?」と感じていたら、家庭の中だけで抱え込まず、医療機関を受診して医師の診察、判断を仰ぎましょう。ほとんどの場合は成長後に症状が落ち着くといわれていますので、子どものストレスやつらい気持ちに寄り添いながら治療を進めていきましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年11月26日3歳長男の発達に悩んでいた頃、子育てひろばで受けた衝撃ASD(自閉スペクトラム症)のある長男あーは、現在12歳の小学6年生です。あーがまだ幼稚園に就園する前、「なんだか育てにくい……もしかしてあーは発達に何かあるのでは……」と悩んでいた時期に、地域の子育てひろばに連れて行ったことがありました。当時あーは3歳で、就園前の子どもを対象にしている子育てひろばでは比較的大きい年齢のほうでした。3歳のあーといえば、例えば、母親のカバンがあったら必ず中を漁り、その後中身をばらまく・本があったら破く・手の届く棚に物があったら落とす、という行動を平気で取るので、母親の私は、カバンはあーの手の届かない高い所に置く・本は片づける・手の届く棚に物は置かない、という措置を取るのが日常になっていました。なので、子育てひろばでも、あーの破きそうな紙の柔らかい本は片づける・飾っているおもちゃを避ける・そもそも近づかせないようにする、などしていたら、そこの先生にこう言われたんです。「あーくんはもう言ったら分かる年齢だから、言い聞かせてみて」と!!!脳天を直撃するようなお言葉でした。だって……あーに言い聞かせるなんて考えたこともなかったんです(今思えば、日々の暮らしの中で「あーには言い聞かせが通じない」と、ひしひしと感じ取っていたからこそなんですが)。言い聞かせて、聞くもんなのか!?同時に大反省もしました。「言い聞かせることなんかできないと思ってた私のバカバカ!あーはもうそういう『年齢』なんだ!」と……!Upload By よいこ「もう言い聞かせれば分かる年齢」。この言葉に追い詰められて…ということでここから私とあーの「言い聞かせ」地獄が始まります……。優しく言っても、分かりやすく言っても、強く言っても、あーは本があったら破きました。カバンは漁りました。私は……追い詰められました。だって……言い聞かせたら分かる「年齢」なのに、分かってくれないのです。Upload By よいこどうにかして分からせなければ。私の言い方が、しつけが悪いんだ。Upload By よいこなんで分かってくれないの!と感情的にりつけてしまうこともありました。あーは泣いたけど、すぐにけろっと機嫌を戻して私のところに来てくれました。本当に泣いたのは、私のほうでした。あーへの申し訳ない気持ちと、自分の不甲斐なさと、してはいけないことをしているという罪悪感に涙は止まりませんでした。「お母さん、なんで泣いてるの?」と言うあーに謝った後、「あーくん、お母さんのこと抱っこして」と言うと、あーは小さな手と体でわたしをぎゅうっと抱きしめてくれました。この子はこんなにも優しい気持ちと純粋な愛を持った子なのに、私は何をやっているんだろう……と、余計に泣けてきたのを覚えています。Upload By よいこ子どものしつけに必死だった当時を思い返して今なら、一般的な年齢の発達段階に子どもを当てはめて、勝手に厳しくしたって全く意味なんかないことくらい分かるんですが、当時はただただ必死で……(そしてそれはあー12歳の今も葛藤し続けている永遠の課題です)。しつけってなんなんでしょうね。結局親が何か教えようと必死な時ほど何も身につかず、知らぬ間にさらりといろんなことを習得して成長していっている気がします……。特に発達障害のある子どもの育児は、子の成長に並走してあげることくらいしか親がしてあげられることってないのかもしれないなー。……なんて、達観できたらいいんですけどね、なんなら今も絶賛戦ってますよ(片づけしない、忘れ物、口答え、とにかく全部、身の回りの森羅万象に反抗してくるなど)!発達凸凹育児界隈のみんな……ファイトだー!執筆/よいこ(監修:初川先生より)あーくん3歳頃の子育てひろばでのアドバイスをきっかけとしたエピソードをありがとうございます。アドバイスされたスタッフの方も、お子さんの成長発達に良かれと思って、保護者が手をかけているのを減らすべく、その発言をなされたのでしょう。ただ、“言って聞かせる”が効くのは、なかなか狭き門ではあります。年齢や発達段階もそうですが、定型発達のお子さんであっても、発達にばらつきのあるお子さんであっても、気分や性格、得意不得意によって、うまくいくかどうか難しいところです。よいこさんは、これまであーくんを育ててこられた経験から、まずは環境調整(物の位置を手の届かないところに置く)だと感じ取られてそうされてきていたのですよね。おそらく、言って伝わる子だと感じ取られていたらそうされていたのではと思いますし、そこまで物を移動せずとも大丈夫そうだと感じ始めたら環境調整の手を緩めたのではとも思います。一緒にいる保護者の方の感じたこと(勘も含め)は実はとても理に適っていることが多いです。「子の成長に並走する」、まさにそうで、子どもをしつけるというのは、保護者が“こうあるべし”“こうしなさい”というルールを身につけさせていくというよりも、そこ(理想とする姿)に至るために、現状のお子さんの様子と、“こうなってほしい”“これを身につけてほしい”との間の接点を見つけて(つまりだいぶお子さんの現状に寄ったところから)少しずつ「一緒ならできる」「手伝えばできる」を増やしていくことだと思います。本を破かない、カバンを漁らないはなかなか声かけだけでやるのは難しいと思いますが、一緒に本を(破らずに)大切に扱えたら褒める、カバンを(漁らないという「○○しない」目標は扱いにくいので、例えばカバンが置いてあったらお母さんに「はいどうぞ」と届けるなどに変えるなどして目標設定し)ルールにのっとって扱えたら褒める、というあたりをスモールステップで身につけたいところではあります。その第一段階はおそらく、あーくんが不用意に触って怒られる・トラブルになるのを避けるところから始まるので、やれることとしては環境調整です。よいこさんのされてきたこと、よかったんだろうなと思います。発達的にばらつきのあるお子さんを育てていると、良かれと思って定型発達のお子さん向けのアドバイスなどがいろんなところから飛んでくるだろうなと思います。そんなときに、「いや、うちの子ちょっとそれだとうまくいかなくて」とか「やってみたけど、通用しなくて困ってるんですよねー」ということを話せる相手がいるといいなぁと思います。子育てひろばのスタッフの方も、もしかしたらそういうお相手になりえたかもしれません。子育てをしていると年長者や支援者の助言を受け入れなければならないとお感じになる真面目で一生懸命な保護者の方が多いと思いますが、うまくいかないという声はとても大切なものです。そこにこそ、改善や工夫のヒントがあると思います。お子さんが悪いのでも、保護者の方が悪いのでもありません。その助言が通用しない、どうしようというところから、“わが子”のプロたる保護者と、支援者や相談できそうな諸先輩方との“プロ”同士の対話が始まってほしいなぁと願っています。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月26日「作業療法士(OT)が教える発達障害との向き合い方~子どもの発達を促す子育てのヒント~」2023年9月21日(木)文京学院大学 本郷キャンパスにてメディア向けセミナー「作業療法士(OT)が教える発達障害との向き合い方~子どもの発達を促す子育てのヒント~」が開催されました。発達障害領域がご専門で作業療法士(OT)として現在も現場で活躍されている文京学院大学 保健医療技術学部学部長 神作一実教授が登壇し、作業療法士(OT)の役割や発達障害のあるお子さんへアプローチ法、また子育てのヒントについて解説、セミナーの内容を抜粋して発達ナビ読者のみなさまへお届けします。作業療法とは「心と体」を分けず、その人そのものにアプローチするリハビリ神作一実先生(以下神作先生):作業療法士というと、日本では一般の人が関わる機会があまりなく、どんなことを行うのかについて知っている人は限られるかもしれません。ここでは私が考えている作業療法とはこういう感じのことだよというものを図にさせていただきました。Upload By 発達ナビ編集部みなさんも、「楽しいことをしていたら知らないうちにできるようになった」ということがたくさんあると思います。例えば、お友達に「テニスコートが取れたから、テニスに行かない?」と誘われて「行く行く!」となったとき、テニスをすることで心肺機能を上げようとか、筋力強化をしようとか、運動の協調性を高めようと考える方は少ないですよね。ただ「テニスをして楽しむこと」を想像して「行く行く!」と答える方が多いのではないでしょうか。でも、実際にテニスを楽しんでいたら、知らないうちに筋力が強化され心肺機能は鍛えられ、運動の協調性も高くなるでしょう。これが「楽しいことしていたら、知らないうちにできるようになった」ということです。実は作業療法というのは、この「楽しいことしていたら、知らないうちにできるようになった」を治療に応用したものと言えるのではないかなと思っています。私たちは、対象者の方のやりたいことを通して今ある障害を改善すること、そして、その人が持っている障害を受けてない部分を使いながらパフォーマンスを上げることを目指してサイエンスを使いながらアプローチしています。作業療法は心と体を分けずにその人そのものにアプローチをするリハビリテーションと言えるのではないかと考えています。作業療法の対象領域は大きく分けて4つあります。1、身体障害領域:脳卒中、脊髄損傷、骨折、やけどなどを対象2、高齢期領域:認知症、フレイルなどを対象3、精神障害領域:統合失調症、うつ病、アルコール依存症などを対象4、発達期領域:発達障害(ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、LD・SLD(限局性学習症))、脳性麻痺、知的障害、筋ジストロフィーなどを対象この領域をまたがって障害が複数ある場合ももちろんあります。ただ、作業療法は人に対して、「その人がどうなりたいのか、その人が何をやりたいのか」を視点にしていますので、療育をまたがる場合でも同時にアプローチが可能です。発達障害と深い関係性がある「感覚調整障害」神作先生:発達障害のある方たちには「感覚調整障害」というものがしばしば起きてきます。感覚過敏をはじめ、刺激が入りすぎてどの刺激に反応したらいいのか分からなかったり、 反対に刺激が入らなすぎて必要な情報がキャッチできないということ。また、LD・SLD(限局性学習症)のお子さんたちの場合は、眼球運動のコントロールが悪いため読み飛ばしたてしまったりといった体の使い方、いわゆる、体や指先が不器用な状態です。感覚調整障害があると、以下のようなさまざまな困りごとがでてしまいます。Upload By 発達ナビ編集部生活への影響がとても大きいため、作業療法ではこの感覚機能に対してアプローチして感覚統合機能の問題を改善し、生活のしづらさの解消を目指します。激しい偏食があるお子さんへ作業療法士はどうアプローチする?神作先生:では、発達障害のあるお子さんに対して作業療法士がどのようにアプローチをするのかお話しさせていただきます。基本的には、お子さんの状態の確認と問題の把握をし、感覚統合機能を促すための治療プログラムを作成し実施をいたします。治療プログラムは「Just right challenge」、つまりそのお子さんにとってちょうどいい挑戦になっているかを確認しています。偏食のように一見遊びとは関係ないようなことも、実は感覚統合機能が十分発達していないという、共通の背景がある場合があります。例えば、食べられるものが5食品しかない激しい偏食がある発達障害の4歳のお子さんに対しては以下のようにアプローチを行いました。・砂遊び、絵具、のりに触れること、水遊びも嫌い・跳躍器具、ブランコは大好きだが、姿勢が保てないためすぐ降りる・ハンモックのように姿勢を保つ必要がないものであれば30分以上乗り続ける・ハンモックやブランコに乗っていると目が合う。それ以外の場面では目が合わない・一人遊びを好む・母親の膝へは自分から乗るが、大人から抱っこすることは好まない〈食事場面〉・唇に牛乳がつかないようにコップで飲む・うどん、パン、豆腐も上唇につかないように食べている・手が汚れるとすぐにおしぼりや洋服で拭く1、触覚の過敏さがある。そのため食べ物からの感覚情報が十分にキャッチできておらず、新しい食品にチャレンジすることが困難2、前庭系(ゆれの刺激)は求めている状態1、ブランコに乗りながらアイコンタクトを取る(遊んでいる人と遊びの共有)2、ブランコ、跳躍器具、ハンモックに乗り対象物を視覚的にとらえながら自分から対象物に触れる(揺れながらパンチをする、いろいろなものを握る、的当てする)3、屋外の遊具やアスレチックで遊ぶ(楽しいことをしながらいろいろなものに触れる機会をつくる)少しずつ食べられるものが増えると共に、自分から母親以外の人の手を引いて遊びに誘うことが増えてきている。このように作業療法士は介入し治療を進めました。このお子さんの場合は、感覚情報の処理状況に着目し以下を取り入れたアプローチを行っています。・大好きなゆれ刺激を楽しみながら能動的に対象物に触れる機会を作る・感覚を媒体としたコミュニケーション・大人と一緒に遊ぶことの楽しさを伝える・大人に「やってほしい」ことを伝える機会を作る感覚情報機能の改善が進んでくると、食べ物からの感覚情報をしっかりキャッチすることができるようになりますので、遊びの広がりと共に、偏食が良くなったというケースです。子どもの発達を促す子育てのヒント神作先生:作業療法士は、お子さんに対する治療的な介入もしていますが、大人が子どもにとってどんな環境となればいいのか、 どうすると子どもの発達を促す環境になり得るのかという視点でもアドバイスを行っています。そこで最後にお子さんの発達を促すヒントについてお話しさせていただきます。作業療法士はお子さんが困っている状況、親御さんが困っている状況に対しても、アプローチを行っています。ただ、「大人が困っていること=子どもが困っていること」というように本来は一致しているといいのですが、なかなかそうではなく、大人が困っていることが子どもの問題点にされてしまうこともたくさんあります。そこの見極めも、作業療法士の大事な仕事です。発達障害のお子さんたちの場合、どうしたらいいのか分からない、 人にどう接したらいいか分からない、ものをどうやって扱ったらいいか分からない、いつ終わるのか分からない……こういった状況が多々あります。当然混乱しますよね。ですので、そのお子さんは「安心できるもの」だけをやろうとするわけですが、そうするとやれる幅が狭いので「こだわり」と言われてしまったりします。ただそのようなお子さんの行動に「こだわり」というラベルを貼るだけでは問題は解決しないと私は思っています。その「こだわり」と思えるような行動の背景には、必ず何らかの理由があると思うからです。困りごとをもつお子さんに対して、日常生活の中で慣れさせる、我慢させるとか、「あなたの頑張りが足りないからいけないのよ」と言うのはナンセンスだと思っています。感覚調整障害が背景にあったとすると、そのお子さんはかなりつらい思いをしながら不快な環境の中で生活をしていることが多いです。不快な環境の中に身を置き続けたら不安も高くなりますよね。ではお子さんの困りごとに対して大人ができることはなにかというと、以下の6つがあげられると思います。Upload By 発達ナビ編集部この図は、作業療法士が保護者支援としてよく行っている内容です。お子さんにとって「人」は環境の一部でもあります。周りの大人がいい方向に変化すると、お子さんにもいい環境を提供することができると思っています。子育ての大前提として大事なのは、どんなお子さんも独立した人格を持っていて、今は発達途上で、過去から現在の積み重ねの先に未来があると捉えることだと思います。そして以下の4つを心がけることがいいのではないかなと思います。1、できないことにあまりフォーカスしない。できることに注目し、子どものできること探しの達人になる2、他の子どもとあまり比較しない。比べられても子どもはなにかできるようになるわけではない3、困っているときに子どもからSOSを出せる関係をつくる。子どもが安心してチャレンジするための安全基地に4、自己肯定感を育む。自己肯定感が高いこどもは幸せを感じやすく、問題解決の工夫ができるまずは、お子さんのことを一番知っている親御さんが自信を持っていくことが大事です。一人で頑張らなくていいですし、子育てはみんなでやればいいですし、しんどいときにはもう頑張らない、そんなことも大切だと思っています。定型発達のお子さんであっても、障害のあるお子さんであっても、親御さんの不安はずっとつきまといます。残念ながら、なくなることはありません。だからと言って、否定的に捉える必要はなくて、ありのままの今のお子さんの姿を受け入れてみるといいと思います。お子さんたちは親御さんに、「ねえねえ、見て見て」とよく言ってきますよね。そのときにきちんと共感をして、すごいね、かっこいいね、やったね、面白かったね、見せてくれてありがとうね、というようなこと言ってみてはどうでしょうか。 きっと楽しい親子関係になれるのではないかと思います。困ったときは作業療法士に相談してください神作先生:大変なことはみんなで分担して楽しいことはみんなで喜ぶ、そんなことが作業療法士が考えている子育てでもあります。何か困ったことがあったら、ぜひ作業療法士を尋ねていただければと思います。地域の保健師さんにご相談いただいて作業療法士がいるところを探してほしいとお伝えいただければ、そこから発達支援センターなどを紹介してもらえます。また、児童発達支援事業所でもどのような職種の方がいるのかホームページで調べられるところが多いです。一人で頑張らず、一緒に成長していきましょう。Upload By 発達ナビ編集部日本作業療法士協会、埼玉県作業療法士会、摂食・嚥下リハビリテーション学会(評議員)、小児保健学会、障害者歯科学会、昭和歯学会に所属。作業療法士としても数多くの経験を持ち、作業療法士や作業療法士を目指す学生のみならず、保育園や幼稚園、小中学校の教諭、保護者に対してのセミナーも多数実施。「受け入れることで自律を促す子育て」を提唱し、発達障害との向き合い方について発信を続けている。主な研究テーマとして、自食時の捕食機能に関与している口唇および上肢機能の解明を専門とする。文京学院大学(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年11月25日子どもの便秘(便秘症)とは?症状のチェックポイント、なりやすい年齢はある?便秘とは、便が長い時間出ないか、出にくいことを言います。便秘のために、治療が必要な状態を「便秘症」と言い、便秘症が1~2ヶ月以上続いた場合を「慢性便秘症」と言います。どのような症状で、どのくらい便が出ないと「便秘」なのでしょうか。・週に3回より少なかったり、5日以上出ない日が続く・毎日出ていても、出す時に痛がって泣いたり、肛門が切れて血が出る・小さいコロコロの便や、軟らかい便が少しずつ、1日に何回も出る上記のような症状や状態が見られる場合、便秘と考えられます。子どもの便秘症状が気になりだした時期について、全国の1~3歳の子どもを持つ保護者1500名に対して行った調査によると、0歳が5割と一番多く、1歳、2歳、3歳と続いています。実際に便秘になりやすい時期は、・乳児期:母乳からミルクに移行したとき・6ヶ月頃~1歳頃:離乳食開始時期・2歳頃~:トイレトレーニングの時期・3歳頃~:就園・就学のタイミングと言われています。参考:日本小児栄養消化器肝臓学会|小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン[2013]参考:特定非営利活動法人 日本トイレ研究所|「全国の1~3歳の子どもを持つ母親(20~59歳)1500名に調査」 母子の排便実態に関する実態調査結果便秘の原因は?放っておくとどうなる?排便機能は誕生時に完成しているものではなく、成長するにつれて発達していくものです。便秘症になると日常生活のQOLに支障をきたすこともあり、放置すると徐々に悪化する可能性もある疾患です。適切な治療をすれば排便コントロールがしやすくなります。子どもの便秘の95%は「食事の問題」と「行動面の問題」で起こる機能性便秘であると言われています。「食事の問題」としては、水分の摂取不足や繊維質の少ない食事を摂る傾向にあることが挙げられます。「行動面の問題」としては、ストレスやトイレトレーニングへの抵抗などが挙げられます。遊びを中断したくない、以前の排便で痛い思いをしたから出したくないなど、便意を催しているのに排便しないこともあります。自然な便意に従って排便しないと、やがて直腸に便が貯留した状態に慣れてしまい、便意を感じづらくなります。すると、ますます便が溜まって硬くなっていくため、始めは軽かった便秘が悪化する、という悪循環も起こりかねません。また、まれに他の疾患や薬などによって便秘が起こる場合もありますが、腹痛や嘔吐などの便秘以外に目立つ症状が出るため、排便回数が減少する前に保護者が子どもを受診させているのが一般的です。参考:小児の便秘 - 23. 小児の健康上の問題 - MSDマニュアル家庭版便秘症を放置し、だんだん悪くなっていくと排便機能が育たず、大人になっても改善しない場合もあります。さらに悪化してしまうと、肛門疾患や結腸癌などのリスクが増加するケースもあります。早期診断と積極的治療が重要です。参考:「排便と健康」(順天堂医事雑誌)子どもの便秘のお悩みQ&A「薬を飲んでくれない」「促しても排便につながらない」など、子どもの便秘は保護者の悩みの種でもあります。ここでは、小児科医の室伏佑香先生がQ&A方式で分かりやすく「子どもの便秘のお悩み」に答えてくださいました。(質問)便秘の薬を飲みたがらないので、ジュースで飲ませてもいいですか?虫歯が心配です。(回答)虫歯、気になりますよね。夜寝る前やお昼寝前に歯磨きをしっかりすること、ジュースを飲んだ後に少量の水を飲む、またはうがいして流すことで、虫歯についてはリスクを減らすことができます。便秘を治すには処方された薬をしっかり飲むことが大切です。薬は便を軟らかく保つものや、腸の動きを活発にするものがありますが、便が詰まってから飲むよりも、溜まらないように毎日飲むほうが効果的です。ただし、水以外の飲み物との飲み合わせに気をつける必要のある薬もあるので、かかりつけ医に相談してください。Upload By 発達障害のキホン(質問)トイレを怖がって入れずウンチができません。トイレトレーニングもうまくいかず、便秘気味になってしまっています。(回答)無理強いは禁物です。便秘症発症のピークは 2~4歳のトイレトレーニングの時期とされます。排便時の痛みや、不適切なトイレトレーニングなどによる不快な排泄を繰り返すことで、意識的にあるいは無意識的に排便を避けるようになる可能性があります。トイレでできないお子さんは、はじめは着衣のまま便座やオマルに座らせてもかまいません。排便しなくても5~10分座っていることができたら褒めてあげたり、ご褒美をあげましょう。Upload By 発達障害のキホン(質問)現在6歳(年長)の娘がいます。未就園児の頃から3年ほど便秘の治療をしています。治療はいつまで続くのでしょうか?いつ治るのでしょうか?(回答)適切に治療を行えば、数日~2ヶ月で「週に3回以上快適に便が出る」状態になることが多いです。その状態を続けていると1~2年の間に便秘症が治ることも少なくありません。大人になるまで治療を続ける必要がある場合もありますが、生活や食事に気をつけたり、正しく薬を飲んでいれば、日常生活を問題なく過ごせます。治療を継続していても便の回数が週に2回以下だったり、出すときに痛みや出血があったりするようなら、薬の量が足りない可能性があります。軟らかすぎる便が続く時は量が多いかもしれません。そのような場合でも、自分の判断で量を調節せず、排便日誌をつけて、医師に相談してください。Upload By 発達障害のキホン家庭でできる便秘解消法や薬での治療はどんなものがあるの?便秘解消のために、家庭でできる対策は以下のようなものが挙げられます。・睡眠早寝早起きをし、規則正しい生活を送ることが大切です。・食事バランスのとれた食事を3食きちんと摂り、決められたおやつの時間以外には間食を避ける、こまめに水分を摂る、「野菜、海藻、 果物、芋類、豆類」など食物繊維を多く含む食材を取り入れる、などが大切です。・運動身体を動かすことで、腸の運動が活発になり、便通をよくすると言われています。・決まった時間にトイレに行くただし、無理強いや長い時間かけることは避けます。便が出たら大いに褒めてあげましょう。便意を感じたら、トイレに行くことも大切です。なお、赤ちゃんの場合、哺乳不足(水分不足)の場合もあるので、体重を測るなどで確認してみましょう。綿棒での肛門刺激や薄めた果汁を飲ませるなども、便秘改善の助けになります。生活習慣や食事で便秘の症状がなくならない場合には、内服薬を使用することもあります。かかりつけ医の指示に従い、用法用量を守ってしっかり飲ませることが大切です。子どもの便秘によく使われる薬(かっこ内は製品名)として、下記のものが挙げられます。・浸透圧性下剤【糖類】・マルトース(マルツエキス)・ラクツロース(モニラックなど)【塩類】・酸化マグネシウム(カマ、カマグ、マグミットなど)・水酸化マグネシウム(ミルマグ)・刺激性下剤・ピコスルファートナトリウム(ラキソベロン)・センノシド(プルセニドなど)・坐薬・ビサコジル(テレミンソフト)・炭酸水素ナトリウム+無水リン酸二水素ナトリウム(新レシカルボン)内服薬以外には浣腸を行うこともあります。すぐに効果が得られるという利点がありますが、硬い便を排泄する際に肛門が切れて痛みを伴うこともあります。週に3回以上、苦しくなく、痛くなく排便できることが治療の目標とされています。お子さんによっては、治療後2~3日に1回の排便で良好な排便習慣と判断することもあります。参考:日本小児栄養消化器肝臓学会|小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン[2013]参考:小児の便秘 - 23. 小児の健康上の問題 - MSDマニュアル家庭版まとめ便秘は子どもに起きる疾患として頻度の高いものですが、「たかが便秘」と甘く見て放置してしまうと、悪化する可能性があります。「ウンチが出ない」「出すたびに痛い」状態が続くとそれがストレスになったり、園や学校生活にも支障をきたすことになりかねません。診断・治療を早くスタートすれば、のちの経過も良くなります。深刻になりすぎたり、心配しすぎる必要はありませんが、できるだけ早めにかかりつけ医に相談しましょう。
2023年11月24日在胎27週930グラムで産まれた息子のねこ太Upload By 鳥野とり子在胎27週930グラムで産まれた息子のねこ太。NICU(新生児集中治療室)・GCU(回復治療室)での約3ヶ月間の入院を終え、待ちに待った家での生活が始まりました。入院中から、先生や看護師さんたちからは「自宅の雰囲気に慣れるまではなかなか寝ないかも」「最初は直母が下手だけど、だんだん飲めるようになりますよ」と言われていたけれど、いつまで経っても寝ない・飲まない・ずっと泣く、そんなわが子に違和感を感じるようになりました。抱っこしていないとひたすら泣く、泣き続けるとチアノーゼUpload By 鳥野とり子「息子が退院したらドタバタするだろうな」と予想はしていました……が、私の想像をはるかに上回る大変さが待っていたのです。息子はとにかくよく泣く子で、抱っこしていないとひたすら泣き続け、放置するとチアノーゼ(顔色の変化)を起こすほどの激しい泣き声をときにはあげていました。最初は「家の雰囲気に慣れていないからかな?」と思っていましたが、いつまで経ってもこの状態は落ち着かず、「ちょっとおかしくない?」と思い始めました。赤ちゃんってよく寝るんだと思っていたのに、とにかく寝ない息子Upload By 鳥野とり子息子はとにかく寝ない子でした。昼も夜もまとまった睡眠をとることがほとんどないのです。さすがにそろそろ眠くなるだろうという状況でも全く寝る気配なし。赤ちゃんなのに、こんなに寝なくて睡眠不足にならないのか心配になるくらい寝ませんでした。当然私も睡眠不足になり、なんとか寝てほしくて赤ちゃんが寝る方法を調べていろいろ試したのですが、息子にはどれも効果がなく疲弊するいっぽうでした。そしていつまで経っても上手に直母できない事に違和感を覚え……Upload By 鳥野とり子そしてさらに大変だったのが授乳です。早産児は母乳を飲むのが下手な子が多いのですが、徐々に上手になるよと看護師さんから言われていました。しかし息子はいつまで経っても上手に直母できない。飲んでもすぐにやめてしまったり、飲み始めると寝てしまうのです。それでなくても早産児で体重が軽かったので、どうしてもしっかり飲んで大きくなってほしくて、私は搾乳をしてその母乳を哺乳瓶に入れて授乳していました。哺乳瓶なら比較的よく飲んでくれるので助かりましたが、このやり方は手間も労力もかかるのでこの頃は私の疲労がピークを迎えていました。母の勘? 頭をよぎる【発達障害】の文字Upload By 鳥野とり子私たち夫婦にとって息子は第一子なので、私が育児を経験したのは息子が初めてでした。なので育児に関する比較対象がなく、「赤ちゃんってこんなものなのかな?」「個人差あるしこういう子もいるのかも」と思っていました。でも、ここまで来るとさすがに息子の行動に違和感を感じ始め、「息子と同じような子はほかにもいるのか」「こういう場合どうするのが正解なのか」「何か障害が隠されていないか」を知りたくて私はインターネットで検索をしまくるようになったのです。実は、息子の退院直前にインターネット検索で【30週未満で産まれたり、超低体重で産まれた子は発達障害リスクが高い】という記事を目にしていたのですが、「わが子が発達障害になるわけないよね」「なんだかんだで比較的順調に退院できたから大丈夫」と思い、当時はあまり気に留めていませんでした。しかし、自宅での育児が始まり、次第に息子の行動に違和感を感じるようになった私の頭に『発達障害』という文字が浮かぶようになりました。「まだまだ赤ちゃんだし不安定な事もたくさんあるだろうから神経質になりすぎないように」と思いつつも、母親特有の勘のようなものが働いたのかもしれません。不安を払拭したくて検索魔になった私Upload By 鳥野とり子インターネットで検索しすぎるのは良くないと病院の先生や看護師さんから言われていましたが、私は自分の不安を拭う為にも検索を止められませんでした。検索で、息子の「母乳を上手く飲めない」「よく泣く」「寝ない」という行動は、発達障害がある子の乳児期にあったという体験談も複数みかけました。しかし、乳児期ということもありまだまだ発達障害かどうかを判断するには早すぎて、結局自分がスッキリできる答えはインターネット上には見つからなかったのです。この頃の私は、この状況をどうすれば良いのか知りたいというよりは「息子は発達障害じゃない」という確信を持てる情報が欲しかったんだろうなと思います。この後、2歳3ヶ月で療育につながるまでは「もしかして発達障害かも?」「いやいや発達障害じゃないよね?」という不毛な自問自答を繰り返し、とてもしんどい時期を過ごしました。執筆/鳥野とり子(監修:初川先生)ねこ太くんの乳児期の苦労、不安のエピソードのシェアをありがとうございます。生まれたばかりの時期、特に第一子だと分からないことがいっぱいで、ただでさえこれで大丈夫かと不安で、かつ母体も疲れているし、ホルモンバランス的にも不安定な時期なので本当に大変だったとお察しします。早く小さく生まれたこと、なかなか寝ないこと、母乳をなかなか上手に直接飲めないこと。不安でいっぱいになるのも自然なことだろうと思いますし、そこへ来て、「発達障害」という気配が入ってくるとますます不安になられたかと思います。いわゆる産後うつになりやすい時期でもあり、これまでよりも一層ネガティブな情報を取り込みやすくなっている状態でもあります。不安に駆られて検索し続けてしまうこともよくあることですが、いくら検索してもさまざまな情報が錯そうしていることもあり結局のところ安心する情報には出合えないものです。また、医師や看護師に相談したところで、その月齢だとはっきりしたお答えには出合えない時期でもありますね。発達障害かもしれない、いやいや違うかもしれない……というはっきりしない曖昧な状況、しかし確実に育てづらさと違和感がある気がするというご自身の感覚。それを抱えたまましばらくはお子さんの成長を見守るしかない時はあります。そうしたしんどい時期について、とりこさんは「不毛な自問自答を繰り返し」と書かれていましたが、答えの出ない疑問がどうしても頭から離れないのは本当につらいですね。何の気休めにもならないことを言いますが、それでもお子さんにとっての乳児期は二度と戻ってこない時期であり、その時期にしか見せないそのお子さんのかわいらしさや成長もあるのも本当だと思います。大変な子育て、不安な中での子育てでも、ときにはそうした面にも目が向くよう、お母さん側がどうしたら安心して子育てできそうかについて、(検索のみならず)実際の支援者につながる(子ども家庭支援センターなど子育て相談窓口経由でヘルパーさんを利用できるかなど検討したいところです)、家族で分担しお母さんが少し子育てから離れる時間を取るなど調整しながら、その時期を過ごすことができたら、と願います。2歳3歳頃になると、健診や相談をきっかけにお子さんに対しての支援機関につながりやすくなります。とりこさんは2歳3ヶ月で療育につながったとのことですが、不安なまま子育てを続けている方もいらっしゃると思います。ぜひ健診時やあるいは相談窓口に問い合わせるなどして、お子さんについての心配なことなどをお伝えいただければと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月24日なぜ平日だけでなく、土曜日も利用するのか?Upload By べっこうあめアマミ私は当初、息子の放課後等デイサービス利用は平日だけを考えていました。なぜなら放課後等デイサービスの利用日数には限りがあるからです。私は在宅ですが仕事をしていますし、平日、息子が学校のあとに過ごす場所があることが最も助かると思っていました。しかし、息子の特別支援学校入学前、夫と放課後等デイサービスの利用日を話し合った時のことです。夫から、「土曜日を入れたほうがいいんじゃないか」という提案がありました。わが家には、息子より4歳年下の娘がいます。「娘には息子の事で我慢させてしまうこともあるかもしれないから、土曜日は娘だけのチートデイにしてはどうか」というのが夫の意見でした。それを聞いて、私も「確かに」と思ったのです。娘は毎日保育園に通っているので、平日の放課後等デイサービスがない日は、娘より息子のほうが早く家に帰ってくることになります。平日の放課後等デイサービスがない日は息子の日、そして土曜日は娘の日、そうやってそれぞれに向き合う時間をつくるのもいいのではないかと思ったのです。きょうだい児の娘にも、やりたいことを我慢してほしくないUpload By べっこうあめアマミ娘は今5歳。女の子向けのアニメにもハマっていて、映画やキャラクターイベントにも行きたいと言い出すお年頃です。そして、活発な娘は思いきり体を動かす公園や、動物と触れ合える場所なども大好きです。しかし、そういう場所に休日に行くと、どうしても混雑はまぬがれません。息子を連れて行ったらぐずってしまわないか、動きづらくならないかと不安もあります。しかも、息子は娘とは逆であまり動きたがらない性格なので、公園遊びなどのアクティブなことはあまりしないのです。そうなると、娘と息子、2人とも楽しめる場所というのはなかなか難しいものでした。しかし、土曜日に息子が放課後等デイサービスに通うようになってからは、娘が行きたい場所は、土曜日に心置きなく行けるようになりました。娘はきょうだい児だけど、できる限り好きなことをさせてあげたいし、息子がいるから……と、やりたいことを我慢させたくない。私にはそんな強い思いがあったので、土曜日は重要な意味のある日になったと思っています。親としても、混雑する場所やアクティブな遊びの場へ行く際に、子どもを2人連れていくよりも負担が減るので、助かっています。息子にもメリット、土曜日だからこそできる活動もUpload By べっこうあめアマミ土曜日の放課後等デイサービスは、息子にとってもメリットがあると感じています。土曜日は平日よりも時間が長いので、平日はできないようなプログラムが組まれることもあるのです。学校がある平日では行けない、ちょっと遠い所へのお出かけなどに連れて行ってもらえることもあります。お昼ごはんやおやつをみんなでつくる日もあります。このように、息子は息子で土曜日を楽しめているのではないかと思うのです。息子としても、妹につき合って苦手な場所に行くよりも、大好きな先生やお友達とのんびり過ごすほうがいいことだってあるかもしれません。日曜日は家族でのんびり過ごす日Upload By べっこうあめアマミ土曜日は娘のチートデイとして、娘がしたいことをする日にしているわが家ですが、日曜日はだいたい家族で一日のんびり過ごします。息子も行けそうな場所なら家族4人でお出かけすることもありますし、特に何もせず、家でゆっくりすることも多いです。そうして昼下がりに家族で夕飯の買い物に行って、近所のショッピングモールをぶらぶらしたり、または外食をしたり。そんな、家族水入らずの過ごし方をしています。放課後等デイサービスのおかげで、バランスのとれた一週間にわが家が放課後等デイサービスの利用を始めてから3年が経ちますが、一週間がうまい具合にバランスがとれて回っていると感じています。息子は小学1年生の頃より成長し、今ではそれほど苦手な外出先もないかもしれません。しかし、それでも娘は今後成長していくと共に、きょうだいと一緒の外出しかできないことに不満を感じたり、親も気がつかないうちに我慢をさせてしまうことがあるかもしれないと思うのです。今後も土曜日という娘のための日を維持していくことで、娘の発散になってほしいと思いますし、何かあれば普段は言えない気持ちを聞ける日になるといいなと思います。私たち家族の生活は、平日も土曜日も放課後等デイサービスに支えられており、先生方にはいつも感謝の気持ちでいっぱいです。これからも、放課後等デイサービスのお世話になりながら、子どもたちそれぞれに向き合っていきたいと思います。執筆/べっこうあめアマミ(監修:鈴木先生より)土曜日を娘さんの日にして、お子さんそれぞれに向き合う時間をつくったとのこと、とても良いアイディアだと思います。曜日が固定されていることは、こだわりのあるASDのお子さんにとってもいいことだと思います。外来で爪を噛んでいるお子さんにも「毎週土曜日は爪を切る日にしようね」とお話ししています。病気や障がいを持ったお子さんのきょうだいには、どうしてもストレスや負担がかかりがちです。特に入院されているお子さんの場合は、付き添いなどで保護者の手が取られてしまうので、きょうだいは甘えたい時に甘えることができません。その結果、きょうだいが腹痛や頭痛など心身症の症状を呈する場合もあります。子どもだけでなく、ご家族の一人が病気になった時も同じです。アマミさんのご家庭のように、放課後等デイサービスなども利用しつつ、家族みんなで協力してやっていくことが大切なのではないでしょうか。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月23日アフタヌーンWeb増刊「&sofa」第1話掲載からSNSで大反響、60万人が読み共感、涙したマンガ『君と宇宙を歩くために』。ヤンキーの小林と変わり者の転校生宇野、いわゆる〝普通〟ができない正反対の高校生の友情物語は、多くの人の心の琴線に触れ、励ましてくれる一冊です。発達ナビでは、『君と宇宙を歩くために』第1巻発売を記念して、作者の泥ノ田犬彦先生からお話を伺いました。先生に伺ったおすすめの場面もたくさんご紹介いたします!Upload By 発達ナビ編集部勉強もバイトも続かないヤンキーの小林。ある日彼のクラスに変わり者の宇野が転校してくる。小林が先輩から怪しいバイトに誘われているところを宇野に助けられ、その出来事をきっかけに2人は仲良くなる。宇野のことを知れば知るほど彼の生き方にひかれ、自分も変わろうと行動する小林でしたが……。どうしていいか分からずあきらめがちだった小林と、できないことは工夫をして乗り越えようとしてきた宇野、正反対の2人がそれぞれ壁にぶつかりながらも楽しく生きるために奮闘する友情物語。自分の「できない」を解決する方法を駆使する宇野、それに感化される小林、2人の友情物語LITALICO発達ナビ編集部(以下――)本作品を描かれたいと思ったきっかけをおしえてください。例えば、周りの人やご自身が体験されたことなどが含まれているのでしょうか?泥ノ田犬彦 先生(以下泥ノ田先生):プライベートなことになるので詳しい言及は避けますが、基本的には自分で体験した感情、感覚、または身近にあった出来事がベースになっていて、宇野みたいな子が日常を歩み続けている作品があったらいいな〜と思ったことが執筆のきっかけの一つです。その対になる形で小林というキャラクターを作りました。像としては宇野が先に、感情としては小林が先に、という形で発生しています。突出したキャラクター性を持つ子たちは同時に秀でた才能も付与されていることを期待されがちな気がするのですが、この作品内ではあんまりそういう風にはしたくなくて。あくまで隣のクラスにいそうな雰囲気を保ちながら描けたらいいなと思っています。――学校でもバイトでもドロップアウト気味だけれど優しい心を持ったヤンキー小林大和と、まっすぐな努力家で、なにか特性もありそうな、小林にとっては変わった転校生・宇野啓介。2人のキャラクターについて、詳しく教えていただけますか。泥ノ田先生: 元々サスペンスを描こうかなと思っていたのですが、担当さんから「感動する話ではなくてもいいので、人の心が動くお話を描くことはできますか?」というオーダーを受けました。自分の中の「心が動く」とはなんだろう?と考えた時にできたのが宇野と小林のキャラクターでした。Upload By 発達ナビ編集部宇野は明るくて努力家で、自分の「できない」を解決する方法を駆使して自立した生活をしようとしています。空気を読むのが苦手なためいつも少し笑っているのですが、一方で高校2年生として年齢相応のプライドも持っており、からかわれて傷ついたり凹むこともあります。そんな宇野に興味を持ち影響を受けていくキャラクターが小林です。小林は体が大きくビジュアルも派手で、一見近寄りがたくて不機嫌そうな雰囲気を醸し出していますが、内面はナイーブで自分の「できない」を認めることをダサい・怖いと感じており直視することを避けています。1話の中で最初に浮かんだのは、自分の苦手を認め工夫をしながらも頑張る宇野の姿と、そんな宇野に感化され努力を始める小林のシーン。それに付け加える感じで、小林の友達の朔が宇野に感化された小林を茶化した際に「ダサくていいんだそれでそのあと良くなるなら」と告げるシーンでした。“自分の大きさを認めて一歩踏み出す瞬間”が描きたかったんだと思います。そのきっかけになる出来事や結果が世間から見てどれだけ小さなことでも、「やるぜ!」と決める時の心の動きは偉大な一歩だなあと考えています。Upload By 発達ナビ編集部片方が完璧なタイプのストーリーにしても良かったのですが、どちらも同じような悩みを持っている人同士がお互いに相手を「すごい」「かっこいい」とリスペクトし合えるのってすごく素敵なことではないかと思い、この設定になりました。絶対に描きたかった「でも僕は宇宙を歩きたい!」 ――1巻の中でこれを描きたかったというシーンやセリフを教えていただけますか?泥ノ田先生: 宇野「でも僕は宇宙を歩きたい!」と小林「宇野だってそれ乗り越えてきてんだろ」「じゃあ泣くのは今じゃねえよな」のあたりは絶対描きたかったです。2人にそれぞれ希望とプライドがあることを分かってもらえたらいいなと思って描きました。宇野のセリフは、最初「まっすぐ歩きたい」とか「楽しく歩きたい」とかと迷っていたんですが、別にまっすぐじゃなくても楽しくなくても歩いていいよなと思い、出版社の担当さんとも相談してその部分は削りました。Upload By 発達ナビ編集部あとは冒頭でも触れた「ダサくていいんだ」のシーン。自分のために積極的に何かをするということが恥ずかしいと感じることもあると思います。でも、例え過程がダサくても「できるなら、いつかできるようになるなら、そのために頑張ってもいいじゃん」と言える人もかっこいいよね、という考え方があってもいいよなと思って描きました。強要するつもりは全くないのですが、今頑張りたいけどダサいかも……と悩んでる人がいたらそんなことないぜ!かっこいいぜ!とエールを送りたいなと思っています。Upload By 発達ナビ編集部またセリフとは離れますが、1話で小林が怖い先輩に声をかけられるシーンとそこで宇野に遭遇するシーンは絶対に描きたかったです。どのタイミングで誰と出会うか、というのが人生の大きな分岐点になると思っているので、神様がルートを捻じ曲げるようなイメージでパワーを込めて描きました。Upload By 発達ナビ編集部「地球のどこかに同じような悩みを持って生きている人が自分以外にもいる」と思うと、少しだけ気持ちの角度が変わる――小林くん、宇野くん、宇野くんのお姉さん、朔、井ノ上先生たち周りの人々が関わり合うことによって、世界が広がっていくところに胸が熱くなります。社会では特性がある人はもちろん、“普通”と言われる人も大なり小なりの困りごとを抱えていると思いますが、それを一人で抱えこんでしまうことが生きづらさに繋がっているのではと感じました。先生はご自身が困った状況にある場合、どのように解決されようとしますか?泥ノ田先生:私が答えていいものか分かりませんが……!個人的には“人に聞く”“人と話す”が一番していることだと思います。自分の頭だけではどうしても行ける範囲が決まっているように感じるので、信頼できる人や経験を積んでいる人に話を聞いてもらって別の方法を探ったり、そもそもこれは悩むべきものなのか?と原因を複数の視点から見つめたりすると、その悩みがどのくらいの大きさなのか少し冷静に判断できるような気がします。実際にはその冷静に判断のゾーンに行くまでものすごく時間をかけますが……。一人だと延々同じところでぐるぐる悩み込んでしまう性質なので、人に聞いて解決をし、解決したことは「これは解決しました!理由はこうです!」とメモしておきます。 解決したことを忘れてまた悩まないようにしますね。またこれは解決方法ではない場合もあるのですが、同じ悩みを持っている人を見つけるというのも大切かなと思っています。一人で抱えてしまうと孤独で胸がいっぱいになってしまいますが、地球のどこかに同じような悩みを持って生きている人が自分以外にもいるんだなと思うと、少しだけ気持ちの角度が変わるような感覚になります。自分が言えなかった「助けて〜」を誰かが言ってくれているかもしれないし、運が良ければその先で解決策が見つかっている可能性もあるので。――今後の作品の展開を教えていただけますか?当分は宇野&小林の日常生活がメインになるかと思いますが、宇野のお姉ちゃんや小林の友達の朔の話も描けたらいいなと思っています。どこまで描くことができるか分からないのですが、それぞれの立場でそれぞれの悩みや葛藤があると思うので、丁寧に物語を進めることができたらうれしいです。――最後に発達ナビの読者のみなさまへメッセージをお願いいたします。『君と宇宙を歩くために』は学校、仕事、社会の中で「何かうまくいかないなあ」と思いながら日々過ごしているキャラクターたちが出てきます。めちゃくちゃ活躍したり、彼らが世界を大きく変えるなんてことはないかもしれないですが、自分の歩く道を見つめて進んでいこうと奮闘していく姿を等身大で描けたらいいなと思っています。何気ない日常を、一緒に見守っていただけたらうれしいです。頑張って描きます!――ありがとうございました。 Upload By 発達ナビ編集部アフタヌーン四季賞2022年秋のコンテストにて『東京人魚(トーキョー・マーメイド)』が準入選。『君と宇宙を歩くために』はアフタヌーンWeb増刊「&sofa」にて毎月第4月曜日連載中。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年11月23日人見知りはいつから始まる?人見知りの原因とは?赤ちゃんが普段接している養育者以外と接するときに、ぐずったり泣き出したりと人見知りが激しくて困っている方もいらっしゃると思います。人見知りは子どもが発達していく過程で、人を区別できるようになってくると起こると言われています。目安としては生後6~9ヶ月頃から始まり、2~3歳頃になるとおさまってくることが多いようです。ただ、子どもの発達には個人差が大きいため、下記の月齢はあくまで目安としてください。赤ちゃんは、生まれた頃はまだ視力も発達しておらず、身近な大人の姿もよく認識できていません。生後6ヶ月頃になってくると、養育者など身近な人の顔を判別できるようになってきます。あやしてもらうと喜んだり、養育者にしがみついたり、あとを追うようになったり、大人とのやり取りを楽しむ様子が見られるようになります。子どもと養育者は、このようにして愛着を築いていきますが、特定の大人との愛着関係が強まっていくことで、それ以外の慣れていない人と接すると、不安が高まり接触を避けたり泣いたりといった様子を見せることがあります。8~9ヶ月頃になると、多くの子どもが人見知りをするようになります。人見知りの激しさは子どもによって差があり、目をそらすといった消極的な場合から、泣き叫ぶなど激しい様相を呈する場合もあります。また、初対面ではなくても、あまり会う機会のない祖父母などの大人に対して、それまでは人見知りしなかったのに、急に人見知りをするようになる場合もあります。このように、人見知りは子どもが人を識別できるようになったことと、特定の大人との愛着関係ができたからこそ生じる状態と言えます。それまでいろいろな人と接していたのに、急に人見知りが始まると戸惑うかもしれませんが、子どもの発達の自然な過程なのであまり心配しないようにするといいでしょう。人見知りはおおよそ10ヶ月~1歳半頃が最も激しく、2~3歳頃になる頃には落ち着いてくると言われています。これは、10ヶ月~1歳半頃は愛着の対象である人(多くは養育者)が離れることに不安が強くなる時期だからです。そのため、慣れない人と接する場面では不安感からより人見知りが激しくなることが考えられます。その後、子どもがさまざまなコミュニケーション手段を獲得し、他者と関わる機会が増えていくことで次第に人見知りもおさまってくるようになります。参考:お母さんと子どものコミュニケーションのために|厚生労働省参考:保育所保育指針解説書|厚生労働省参考:分離不安および人見知り|MSDマニュアル家庭版人見知りが激しい子に特徴はある?人見知りの程度や行動は個人差が大きく、まったく人見知りしないという子どももいれば、激しい子どももいます。人見知りが激しい場合、「話しかけられただけで泣き叫ぶ」「養育者以外が抱っこをすると泣く」「ほかの人の顔を見ただけで「怖い」と養育者に抱き着く」「養育者の陰から出てこない」など、比較的ささいなことでも大きく反応します。また、泣いている時間も子どもによって差があり、一度泣き出すとなかなか泣き止まず、養育者が困ってしまうということもあります。このように人見知りが激しく、外で泣き叫んでいるときなどは「何とかしなくては」と焦ってしまうこともあるでしょう。そのときに叱責するなど無理に泣き止ませるのは逆効果になることがあります。人見知りは養育者との関係がうまくいっているからこそ起きるものです。泣き続けている場合は、子どもが普段触れ合うことの多い人が抱っこをするなどをして、安心感を感じられるようにするといいでしょう。参考:親子の関係|東京都生涯学習情報人見知りが激しい場合、発達障害などの可能性がある?人見知りは子どもの発達の過程で生じるものと分かっていても、程度によっては「何かほかに原因があるのでは」「発達障害の影響かも」と感じることがあると思います。ですが、発達障害があるから人見知りが激しくなるというわけではありません。しかし、発達障害があることで不安が強く、そのことが人見知りの程度に影響を与えることは考えられます。人見知りが激しい以外にも、気になる行動や特性が見られた場合は専門機関へ相談してみるといいでしょう。発達障害のある子どもに見られる特徴例・癇癪が激しい・自分のことに夢中になり友達と遊ぶことが少ない・慣れない状況や急な変更に不安が強い・感覚過敏がある(著しい偏食、特定の音を過剰に嫌がる、ある洋服の素材を嫌がったり洋服のタグを嫌がったりする)・歯磨き、着替えなどの身辺自立が遅れがちここで挙げた特徴はあくまで一例です。人見知り以外にも発達で気になる様子がある場合は以下の機関に相談してみるといいでしょう。発達の気になる子どもの相談先・かかりつけの小児科・専門の医療機関(療育センター、児童精神科、小児神経科など)・市町村保健センター・児童相談所・子ども家庭支援センター・発達障害者支援センター対面だけでなく電話やインターネットを通じて相談できる場合もあります。WEBサイトなどで確認してみるといいでしょう。参考:支援者のための地域連携ハンドブック~発達障害のある子供への対応~|東京都保健医療局まとめ慣れていない人と接するときに、避けたり泣き叫んだりといった人見知り。子どもの人見知りは6ヶ月頃から現われて、2~3歳頃まで続くと言われています。いつまでも泣いていたり、それまで仲良くしていた人にも人見知りするようになると「困ったな」と感じるかもしれません。しかし、人見知りは養育者と愛着を形成できているからこそ起こる状態で、子どものコミュニケーション手段が増えることで自然とおさまってきます。しかし、人見知りの程度や期間が気になったり、ほかにも発達で気になる様子がある場合は、背景に障害などが隠れていることも考えられます。心配な方はかかりつけの小児科や保健センターなど専門機関に相談してみるといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年11月22日発達凸凹兄妹を育てるわが家。夫は短気で高圧的で……わが家は二人兄妹、息子は20歳の大学生、娘は17歳の高校生で二人ともADHD(注意欠如多動症)の診断を6歳の時に受けました。私自身診断はありませんがADHD(注意欠如多動症)グレーだと感じています。現在59歳の夫は性格はまじめで短気、そして高圧的な面があります。特にお酒が入ると難癖をつけてきます。今は子どもも大きくなったため、昔より関係は良好ですが、二人が小さい頃はぶつかることもよくありました。息子の幼稚園トラブル、娘の1歳半健診での指摘。その時夫は……息子は幼稚園に入ってからトラブルが目立つようになってきたタイプで、3歳の時、園で他害をしてしまい、園長先生からやんわり退園を促されました。まだ発達障害について何も知らなかった私は、園に言われるまま発達検査を受けたあと、支援センターの方に「幼稚園は辞めるべきなんでしょうか?」と質問。職員の方からは「いや、そこまでしなくてもいいのでは?」と言われたため、それを園にそのまま伝えたところ「じゃあ様子見ましょうか」となり、卒園まで通い続けることができました。その後、園で細かに対応していただいたため、息子は療育に通わず、小学校からは放課後等デイサービスを利用するようになりました。この時の夫はというと、特に何か手伝ってくれるわけでもなく、ただ私の報告を受けるのみという対応でした。「幼稚園内のトラブル」くらいにしかとらえていなかったのかもしれません。Upload By ユーザー体験談そして娘。娘はとにかく気に入ったものを手に入れないと気がすまず、欲しいものを買わないと大癇癪になってしまうので、買い物に出るのが怖かったほどでした。1歳半健診で相談したところ、「療育に行ったほうがいいかもしれませんね」と言われ見学。幼稚園入園まで療育に通うことになりました。この時、夫は単身赴任中でした。私は同居していた義母には相談をしたのですが、夫には相談しないまま療育に通うことを決めました。言うと「行く必要ない!」と反対されると思ったからです。しかし、私が怪我をして療育に送迎できなくなってしまったことで、娘が療育に行っていることが夫に知られてしまいました。そこからは「なんで黙っていたんだ」と大喧嘩になってしまいました。「そんなところ行っても意味がない」やら「幼稚園で十分」やら夫は感情的に怒ってきます。私はたいていは夫のこうした批判は、受け流すようにしていました。意見を言ってもさらに怒らせてしまうだけだと感じていたからです。ですが、この療育通いは譲れなかった。ほかは譲っても反対されても、療育だけは絶対に通うと強く主張しました。その剣幕に夫も強く言えなくなってしまったのでしょう。療育について文句を言うことはなくなりました。Upload By ユーザー体験談その後夫は発達障害について勉強してくれたみたいです。手は貸してくれませんでしたが、子どもの障害や療育についてなにか口を挟むことはなくなりました。兄が放課後等デイサービスに行くことになった時も反対することはありませんでした。これはとてもありがたいことでした。私の磨きのかかった夫対応と、父を「世に放つのはヤバい」という息子夫はお酒が入ると「お前はバカだ」「気が利かない」「だめなんだ」と難癖をつけてきます。こんな言葉を頻繁に言われるのはいやですよね。こんなときの私の対応のコツは「のまれないこと」です。夫の言い分に、私自身の気持ちが持っていかれないようにするのです。自分は間違っていないと思っていれば大丈夫でした。Upload By ユーザー体験談今も「イヤイヤ、その言葉そのままお返ししますよ」と内心思うことも多々ありますが、いさかいにならないよう適当に相槌をうちながら話を聞くようにしています。それは理不尽だと思うようなことを言われていても、自分まで気持ちを高ぶらせて言い返してもしょうがないんだからと客観的に見ている感じです。ですから、夫に「ごめんなさいね」と頭を下げることも、苦ではありません。ただそんな姿を見ている息子は、高校3年生の頃「(父親を)世の中に放つのはヤバい」と言っていました。また「なんで別れないの?」とも……。Upload By ユーザー体験談もちろん子どもの進学費用など現実的な面もありますが、今は私も夫との関わり方に慣れてきたので、昔よりはずいぶん良好な関係になっています。夫も少しずつ変わってきていて、「言わなくていいこと」を言う頻度が明らかに下がってきました。あとはもうちょっと変わってくれて、大きくなった子どもたちから「お父さんにもいい面がある」と思ってもらえたらいいのですが。子育ても終わりに近づいて、今思っていること子どもも大きくなり、子育ても終わりに近いてきたと実感しています。ですが、大人になってからも、子どもたちがそれを許せないと思うのも仕方のないことなのでしょう。夫は障害を差別することはないのですが、一方で別の面で人を下げたり馬鹿にして満足する面があるため、子どもたちがそれを許せないと思うのは仕方ありません。ただせっかくの家族ですので、うまくつき合っていけたらと思います。イラスト/星河ぱよエピソード提供/きつねうどん(監修:鈴木先生より)ADHDとASDはカードの裏表のように併存している場合が多いのです。自分の思い通りいかないとイライラして高圧的になるのは、ASDに併存する易刺激性による場合もあります。私の外来には、親御さんのうち一方がADHDでもう一方がASDという夫婦の組み合わせが多いです。その子どもたちも父派と母派に分かれる傾向にあります。ADHDの診断はチェックリストなどでも可能ですが、ASDの診断は難しく、なかなか認知もされていません。療育だけでなく、診察でさえも無駄だと、外来に1度も付き添わない親御さんもいます。ASDの濃さ・グラデーションの差によって易刺激性には差が出ます。さほど濃くなければ加齢とともに学んでいき「言わなくていいこと」も減っていくのです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月22日子どもの気持ちを想像してみる発達障害やグレーゾーンのお子さんといっても十人十色、それぞれの思いを持って日々を送っています。そうした子どもたちの気持ちに近づくには、前回のコラムで、個々の脳のタイプを理解して、便利に生活できるための具体的で適切な関わりにより生活が安定すると書きました。でもそれが、保護者にとってはどうにも難しいということも僕は承知しています。分かっていても、常に平常心で向き合えない。分かるからこそ、そこをもう少し、なんとかならないかなぁと、ついつい思ってしまうものです。保護者であればこその思いと言ってもよいかもしれません。昔、家族会のような集まりで、ある家族が「家族だって、家族だから、時には逃げ出したくなることもあります。でも逃げることはできないんです」と話されたとき、改めて「家族の強さとつらさ」を学びました。「子どものために頑張る」の前に今回監修させていただいた『発達障害・グレーゾーンの子どもが見ている世界』のchapter2では、保護者の方に意識してほしい8つのヒントが並んでいます。でもその前に、扉に書かれている「親の心の余裕」こそがもっとも大切なことなのです。ヒント1から読む前に、保護者の方には自分の「心の余裕」にどう気遣えばよいかをまず考えてほしいと思います。これもはるか昔に、ペアレントトレーニングの紹介をしたとき、参加された保護者(すべて母親)の方に「皆さんが自分の気持ちを安定させる方法ってなんですか?」と尋ねたことがありました。Aさんは、家族全員が寝静まったあとに窓辺に座って、こっそりと隠していた高級チョコレートとウィスキーを飲みながら夜空を見ることと話しました。Bさんは、これも家族全員が寝静まったあとで、当時流行っていた韓流ドラマを見続けることと語りました。Cさんは、月に1回、小さい部屋に閉じこもり「今日は1日一切の家事をしません」宣言すると言いました。「天の岩戸」と呼ぶこの作戦は、結果父親が子どもと一緒に三度の食事をつくり、母の部屋の前に運び、洗濯と掃除を分担するという一大行事となっていると言いました。皆さんが、こうした話をされた瞬間、「自分が主役」になったような表情で晴れ晴れと語っていたのが印象的でした。子どものために頑張る前に、自分自身にささやかなご褒美を贈ることが、実は一番大切なことなのかもしれないと学びました。どうか保護者の皆さんも、この8つのヒントを読む前に、自分自身にささやかなご褒美を贈ることを考えてあげてください。なにを贈りますか?8つのヒントを別の角度からUpload By 田中 康雄さて、本書で述べている8つのヒントについて、ちょっと別の角度で綴ってみます。1.注意や小言は少なめにして、褒めポイントを見つける普段の生活で「すごいね」「ありがとうね」「えらいなぁ」という敬意を込めた言葉を口癖にすると、これは楽になります。「褒めよう」と気張ってしまうと、どこか無理やり感があり、とってつけたような言い方になります。特別に意識しないで言葉が出るように心がけてみるとうまくいくこともあります。2.成長スピードやできないことを周りの子と比べない僕はけっこうできないことが多く、注意叱責の子ども時代を送っていました。なので、目の前に来てくれた子どもの様子をみると、同じ年頃の僕には到底できないことがこの子にできる、と思って、本当に感心してしまうのです。心底たいしたものだと思ってしまいます。ひょっとすると、これは単に僕が歳をとり、とても寛容になったのかもしれません。わが子より孫を可愛がる祖父の心境なのかもしれません。それでも1年1年関わっていると、背が伸びた、口が達者になっただけで、すごいなぁと思います。3.子どもの一番の味方で、安心できる居場所になるこれは、僕のような医療者は絶対できないことで、おそらく保護者の専売特許です。どんなに怒り、あきれても、保護者は最後に「でも放っておけない」「でもかわいいと思ってしまう」と口にするときがあります。保護者にとっても、わが子といる瞬間に「安心」という喜びをもらっているのかもしれません。4.言うことを聞いてくれなくても、感情的にならないこれは、とても難しく、無理といってもよいでしょう。僕は逆に、保護者は、感情的になったときに、あとで振り返り次回はそうならないような工夫を、対応策を、検討し続けることしかできないと思っています。こうした失敗をうやむやにしないで向き合い続けることで、自分自身が他者に、わが子に優しくなれるような気がしています。5.子どもの困った行動をあらかじめ「回避」することも大切保護者はわが子が陥りやすい状況、場面を実はだれよりも熟知しています。きっとこうなる、ほらやっぱりとなりやすいものです。その予想が外れる時は、その子が保護者の思いを超えて「成長した」ためで、喜んでよいことです。でも多くの場面では、想定内にことが運ばれます。意外な展開は少ないのが現実です。結果が予測できるのであれば、それを回避することもできるはずです。それがなぜ難しいかは、僕たちはどうしても挑戦してステップアップしてほしいという「願い」があるからにほかありません。回避することは、逃げることは、いけないことではありません。「逃げるは恥だが役に立つ」というテレビドラマのタイトル(これはハンガリーのことわざからきているそうです)ではありませんが、子どもに想定内で失敗体験を積ませるよりも、ほんの少しでも成功体験を積ませる。そのために、転ばぬ先の杖よりも、転ばせないための手段を優先するわけです。でも、もし、子どもがやりたい、頑張ってみたいとしたら、その時はハラハラしながら見守りましょう。うまくいかなかったとしてもその決心に、うまくいけばその努力を、褒めることができます。6.一人で抱えこまず、周りの人を頼るこれも頼ることは抵抗があるかもしれませんが、役立ちます。昔から三人寄れば文殊の知恵というように、一人よりもよい知恵が、対策が生まれるものです。一人で抱えこむと、とても寂しくなります。遠慮なく周囲にSOSを出しましょう。7.がむしゃらに頑張るだけでなく、息抜きや休息を大切にこれこそ「天の岩戸」作戦です。保護者が倒れたら誰がこの子を支えるのかと考えると、保護者に心身の安定、健康こそが大切なことです。8.園や学校に行きたがらないなら、無理に行かせないこれは、行きたくないといったらすべて撤退するということではありません。行きたくないと語る、態度を示すわが子のつらさを保護者がどう感知するか、生活状況から推測して判断することになります。実はその判断は日々揺れるはずです。「無理に行かせない」といってもちょっと押したほうがよいかな、静観したほうがよいかな、と日々保護者の思いは揺れ続けます。そんな時、未来に対してこの子の成長を信じ、周囲の信頼できる方々と相談し、家族で話し合いをし、それでも悩み続けるなかで日々苦渋の選択をするものです。子どもたちの成長は、日々付き合っていると大変な思いもあるのですが、振り返るとあっという間の時だったなぁと思うようなこともあります。そんな必ず来ることを信じて、関わり続けてほしいと思います。僕も応援し続けています。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年11月21日わが家の少数派?おそらく定型発達の夫ですUpload By 丸山さとこわが家は夫と息子と私の3人暮らしです。息子と私が神経発達症(発達障害)のため、おそらく定型発達である夫は、この家では少数派な存在です。息子や私に比べて一般的とされる感覚を持っているはずの夫ですが、わが家ではその「一般的な感覚・普通の感覚」があるがゆえに苦労をすることが多いそうです。今回は、そんな夫に「息子が発達障害だと告げられた時、どう感じていたか」「どんなところに苦労しているか」などいろいろとインタビューしつつ、わが家の子育てを振り返りました。息子のコウは3歳児健診の際に発達検査を受けるように提案され、「ASD(自閉症スペクトラム症)の可能性が高い」として療育園を勧められました。夫は私からその説明を受けた際、「うすうす感じてたけど、やっぱりそうか」と思ったそうです。ショックや不安は特になかったと言います。「ASDであろう妻が普通に暮らしているのだから、息子も本人なりに工夫をしていけば何とかなるだろう」と考えて特にショックは受けなかったそうです。(当時の私はまだ未診断でしたが、夫は私のことをASDだろうなと思っていたのだそうです)Upload By 丸山さとこただ、発達検査の結果には納得したものの、療育園に行くのは「わざわざ?家では一応意思の疎通がとれているし、行かなくてもいいのでは?」と思っていたそうです。私の説明を受けて『なら行くのもいいかな』とは考えたものの、必要性はそこまで感じていなかったとのことでした。私はこれらの話を聞いて、「それくらい、コウが就学するまで夫は大きく困っていなかったのだろうな」と思いました。これは、当時夫がとても忙しく、コウとゆっくり接する時間が少なかったことも影響したかもしれません。また、実際に未就学児の頃までは大きな問題が出にくかったことからも、「夫がコウの障害を感じる機会は少なかっただろうな」と思いました。未就学児の間は周囲の子どもも幼いため関わる大人の手も厚く、コウの苦手なところが目立ちにくい時期でした。コウの特性ゆえの言動に振り回されるようになった小学校時代その後コウが小学校に入学し、未就学児までの周囲のフォローの手厚さがなくなってからは、夫も『コウと周囲の子どもたちとのズレ』を感じるようになったそうです。小学1年生の時にはすでにハッキリとズレを感じていたと夫が言うので、私は意外に思いました。未就学児の頃ほど手厚くないとはいえ、1年生は『まだ小学校生活に不慣れな学年』として学校からのフォローが多い時期だったため、大きなトラブルは目立っていなかったからです。夫は、トラブルの有無だけではなく、普段の学校生活でもコウの様子を丁寧に見ていたのだなと感じました。Upload By 丸山さとこ「コウに関して、今までで一番大変だったと感じた時期はいつ?」と夫に聞くと、「小2の後半から小5の辺りかな~」と言うので、「分かる分かる。私も同じ」とうなずきました。小学2年生以降は周囲の子どもがルールや集団行動に慣れはじめる時期です。大人のフォローが減ってくることもあり、コウにも大小さまざまなトラブルが起きるようになりました。その頃からは、夫も生活の中でコウに対して「話が通じないのは困る」と感じることが増え、ストレスが強くなっていったそうです。小学校6年生から少しずつ落ち着いてきたコウは、中学生の今、話が通じずに思い込みでパニックになることがグッと減ったと感じます。夫も「今のコウと接するのは、あの頃(小2~5)よりもずっとマシ」としつつ、今でもイライラすることは多いと言います。「分かってることなんだから、毎日のことなんだからやろうよ! となってイライラしてくる。障害だからとは分かってるがムカッとしてしまう」と夫が言うのを聞いて、今、それを素直に口にできる家族関係でいられたことは良いことなのだろうなと感じました。ムカっとするとは言っても、夫は息子に毎日キーキー怒ることはありません。私は毎日ギャーギャー怒っては、ときどき夫に止められています。そのため、今回のインタビューで夫が「さとこがコウと接しているのを見て『ああいう関わり方をできたらコウも自分も楽だろうな』と思う」と言ったのは意外に感じました。Upload By 丸山さとこ「私からコウへのどういう関わり方をよいと感じるの?」とさらに聞くと、夫はウンウン悩みながら答えてくれました。「やれ!と言って強要するのではなく、コウが自分で選んだと感じるような関わり方をしてるよね。選択肢はこれだ、今の状況はこうだっていうのを根気よく話してる」「コウの『何で』に応えてるからすごいなと思う。俺は『何でじゃないよ、やれよ!』ってイライラしてくる」とのことでした。それらの夫の言葉を聞いていた私は、「いやもうその気持ちめちゃくちゃ分かりますけど!?」と全力で同意しました。Upload By 丸山さとこ私も毎日『何でじゃないよ、やるんだよ』『何でかについては100万回説明しましたが?』と思いながらコウと接しています。そしてそれを夫に愚痴ったりもしています。夫はそれらの私のもがき方を知った上で「いい関わり方をしている」と思ってくれているのだなとありがたく感じました。理想と現実の間をアクロバット飛行している感じの毎日です最後に、「コウとの接し方について本など読んだことはある?」と改めて夫に尋ねてみると「発達障害(神経発達症)については本やインターネットで多少勉強したが(コウのことは)よく分からない」と言いました。「全然分からないわけじゃないし、ASDやADHDの特性やあるあるに関しては『コウもそうだな』と思うことはたくさん書いてある」「けれど、生活の上で困ったことに対して、本やインターネットに書いてあるようなことは既にやっていて、それでも解決していないわけで。そこを補う情報はないなと感じる」これらの夫の発言を聞いて、現役の保護者としての重みのある言葉だなと思いました。私自身も日々、同じように感じています。Upload By 丸山さとこ私の場合は、SNSなどで支援者の方のお話を聞いて「私が保護者としてブレない対応をできてないのが良くないのだろうな~!」と思うこともしばしばあります。ですが、夫と私のかわいい子どもはこの『ASDとADHDがある話が通じにくいコウ』であり、そのコウの親は夫と私のほかにはないわけで……。『話がスッと通じる息子』という幻想を追いかけても仕方がないように、『上手いこと子どもに対処できる安定した親』という幻想を追いかけても、現実的ではないのだろうなと思います。ヒートアップするお互いを「どうどう」と制しつつ、「助け合って子育てをしていきたいな」と改めて感じさせられた夫へのインタビューでした。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:初川先生)夫さんにここまでの子育てを振り返ってのインタビューをしてみたエピソードをありがとうございます。さとこさん、夫さんそれぞれお互いへのリスペクトもありつつ、そしてお互いに共感する苦労もありつつ、素敵なパートナーシップだなと感じました。日々の子育て、そしてそこに関わる自分たちという状況から一歩引いて、俯瞰して振り返る・語り合うことができているのがいいですね。発達障害(神経発達症)がある子どもへの対応のコツなど、本やインターネットに出ている情報は助かる面もありますが、しかしいまひとつフィットしない面もあると思います。それは、同じ障害があったとしても、誰一人として同じ人がいないからです。そして、さとこさんも書かれているように、お子さんや保護者の側にうまくできる時とできない時があるなど、コンディションによる面もありますし、理想や幻想を追ってしまって実際の様子とは違うのにぐいぐい強行してしまう時もあると思います。対応のコツに関した情報などは使えそうな面は取り入れつつ、わが子のために少しカスタマイズしたり、そのような試行錯誤のプロセスごと子育てのパートナーや支援者などとまた話し合うなどを通して、ときどき冷静になって振り返りの時間を取れるとよいでしょう。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月20日意見や性格が違うから、分かり合えた時の発見や喜びがひときわ大きいUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ夫ラクマです。私から見た妻ワッシーナをひとことで言うと「家庭内時限爆弾」です。結婚したばかりの頃は、ほぼ毎晩のように夫婦ゲンカをしていました。妻ワッシーナの激しい言動がまるで攻撃されているように感じていたからです。ワッシーナは、ふだんは優しくて家庭的な人なのですが、機嫌よく過ごしていたのに急に激しく怒りだすのです。まるで時限爆弾みたいに予告も前兆もなく爆発します。その爆発が朝まで続くことがしばしばあって、私は徹夜で話を聞いて仮眠を取らずに仕事に行くこともありました。子どもが次々と産まれたので、マタニティブルーなのか?とか、はたまた二重人格なのか?とも疑いましたが、いろいろ調べても納得がいかず思い悩んでいました。結婚前に二人で「ケンカしても、その日のうちに相手を許そう」というルールを決めたせいで、何度も歯を食いしばって妻を許しました。今となっては、仲直りルールを決めておいてよかったと心から思います。14年前に子どもたちが専門家から発達凸凹ではないかと指摘を受け、療育のトレーニングを受けるようになってから、私たち自身にも発達凸凹があることを自覚しました。それを機に夫婦生活が激変。毎日が発見の連続で、工夫すると効果がすぐ現れたので、おもしろくて楽しくなってきました。自分の苦しさをうまく表現できず、誤解を与えていることに気づけなかったが、工夫で乗りきれた妻ワッシーナです。私から見た夫の役割は「地球人と火星人の通訳者」です。私は、いわゆる発達凸凹タイプの人たちと定型発達タイプの人たちとは、日本人と外国人以上に個性が異なると感じています。なので、発達凸凹タイプを「火星人」、定型発達タイプを「地球人」と表現してきました。夫ラクマには、そんな火星人(発達凸凹タイプ)の言動や個性を分類して整理し、地球人(定型発達タイプ)に分かりやすく表現する能力があるという意味です。または「ワッシーナ専用ゴーストライター」です。私の書きたいことや表したい映像などをカタチにしてくれます。ラクマは私のことを「家庭内時限爆弾」とか言っていますけど、表現がおもしろくて光栄ですね。まるで攻撃しているかのように見えるかもしれませんが、爆発しているのは、実は苦しいからなのです。わが家が発達凸凹な火星人タイプだということが分かる前は、とにかく苦しくて困っていました。一番困っていたのは、なぜ私が苦しんでいるのか、その原因は何なのか、解決するにはどうすればいいのかということが、まるで分からなかったことです。それどころか自分が苦しんでいる、パニックになっているということを認めることすらできませんでした。だから夫ラクマにも、とにかく分かってほしいという苦しい感情をぶつけるばかりでした。発達凸凹だと分かってからは、このつらさの原因は脳神経のはたらきの違いによるものだということがはっきりして、とても楽になりました。今は、夫とも新婚時代に逆戻りした感じで、とてもうれしいです。とことん調べて妻を説得し、子どもたちそれぞれに社会体験を行うUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ夫ラクマです。私は家族全員が発達凸凹と分かり、たくさんの資料を読み、療育センターでトレーニングを受け、定期的に相談を受けてもらううちに、発達凸凹当事者の子どもほど、より早いタイミングで社会体験が必要だと切実に感じるようになりました。ところが妻はあまり乗り気ではありませんでした。彼女は一般的な考え方から抜け出せず、まずは学校やクラスメイトたちと仲良くさせたい、友だちを増やしたいと考えているようでした。ワッシーナは、あまり納得していませんでしたが、私はやや強引に社会体験を進めました。長女ニャーイにはナレーター研修、長男ウルフーにはコマーシャル撮影の助手、次女リスミーにはファッションモデル体験、次男ウッシーヤは農業体験などです。体験させる内容は本人が幼い時から興味のある分野に限りました。体験後はワッシーナと一緒に振り返りをして、今後の行動を考えていきました。ある程度、成果が出てくるとワッシーナも子どもたちの社会体験を積極的に応援するように変わってきました。今現在は、4人の子どもたち全員が社会人になっていますが、子どもの頃の社会体験が活かされているようです。それぞれが子ども時代の社会体験と同じ職業や同じ趣味を持っています。子どもたちの社会体験には反対。夫に押し切られて進めたが結果は良好!Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ妻ワッシーナです。療育センターのアドバイスを受けた夫から、「子どもたちに早いうちから社会体験をさせたい」と聞いた時、つい拒否反応が出てしまいました。それより、学校で友だちを増やす工夫が大切だと感じたからです。まだまだ幼さが残る思春期の子どもたちに無理に社会体験させると、ますます学校やクラスの雰囲気についていけなくなるのでは、と心配したのです。私としてはクラスメイトたちと普通に買い物や映画に行ってほしかったのです。クリスマスにゴスペルコーラス隊に子どもたちが参加したいと言いだした時も、私は反対でした。というのも、ゴスペルコーラス隊のメンバーは、女性は20代以上、男性は40代以上の方々ばかりで、中学生だった次男と同世代の子どもは一人もいなかったからです。夫は子どもたちの社会活動に大喜びでした。「大人になれば年齢差なんか関係ないから、早くいい仲間をつくったほうがいい」と言うのです。その後、子どもたちが参加するコーラス隊の練習風景を見て、ますます私は拒否反応を見せてしまいました。ところが子どもたちはコーラスをとても楽しみ、社会人になるまで続けるほどでした。当時のコーラス仲間は20歳以上も年齢が離れていますが、今でもいい関係が続いているようです。普通が一番という「普通病」に侵されていたが、考え方と行動を変えてハッピーに!Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ今振り返ると、当時の私は偏った考え方に縛られていたように思います。本来の私は一般的な常識よりも、おもしろいことが好きなタイプです。しかし当時の私は「普通病」に侵されていたため、本心では願っていないのに、なんでも普通がいい、普通が一番、子どもたちも普通の人間関係を築いてほしい……と、子どもたちや夫に理想を押しつけてしまいました。4人の子どもたちの中で一番友達がいなくて心配したのが次男ウッシーヤです。でも今、彼は社会人になってからフラワーアレンジメントの資格を取って、花を通じたボランティア活動を続けています。花を通してつながった知人や友人は、そのほとんどがかなり年齢の離れた女性たちです。私は今、人の社会活動は近いところからしか始まらないのではなく、好きな活動であれば年齢・性別は関係ないと分かりました。意見の合わなかった夫の考えも、ひとまず受けいれて実行してみてよかったと思います。私は発達凸凹の特性ゆえに、今現在の子どもたちしか見えておらず、子どもたちの将来像をうまく描ききれませんでした。発達凸凹の理解が進んで、私自身もずいぶん子育てが楽になりました。夫婦で意見が違うということは、話し合いのいいチャンスだと思います。時間をかけて話し合い、決めたことを実行し、その結果をまた話し合うことで、これまで知らなかった相手の考え方が少しずつ分かってきます。今では、毎週土曜日の午前中に、夫婦の振り返りを行なっています。私は何年経っても、振り返りがあることをすぐ忘れてしまうのですが、ラクマはしっかり覚えていて、毎週彼から声かけをしてくれます。執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:森先生より)お子さんが療育に通われている方の中には、「自分自身の生活がとっても楽になった」とおっしゃる方は多いですね。 発達障害についての理解が進むと、「子供との関わり方」だけでなく、「配偶者との関わり方」や「自分自身の扱い方」も上手にできるようになるためではないかと考えられます。 夫婦はもともとが他人ですし、性格も違えば育った環境も違うので、「お互いに違って当然」ということを念頭に置いていないと、協力し合うことは難しいのです。相手と自分の考え方が違うことを理解していないと、期待し過ぎてしまったり、誤解や争いが生まれてしまいますよね。 ラクマさん・ワッシーナさんご夫婦のように、「話し合いのルール」や「仲直りルール」を決めておくといいですね。また、社会体験に早いうちから参加していたことも結果的に良い方向に作用したようですね。同世代との付き合い方を学ぶのも必要ではありますが、学校の同級生という狭く閉じたコミュニティの中だけだとコミュニケーションをうまく取れないことにコンプレックスを抱いてしまったりすることもあり得ます。 社会体験をすることで、お子さんは普段接している範囲よりもずっと広い世界があることを知って大人になってからの生活をイメージしやすくなったり、保護者自身もわが子の将来をイメージしやすくなりますよね。療育はお子さんだけでなく、保護者の方にとっても理解を深める良い機会になるのではないでしょうか。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年11月20日乗り物酔い(車酔い、電車酔いなど)が起こる理由は?乗り物酔いとは、車、電車、船、飛行機などの乗り物で移動中に吐き気やめまいなどの不快な症状が生じる状態のことを言います。ほとんどの方は一度は経験したことがあるのではないでしょうか。乗り物酔いの症状には吐き気や嘔吐、冷や汗、めまい、頭痛、呼吸の乱れ、腹部の不快感などさまざまなものがあります。基本的には乗り物から下りれば徐々に治まってきますが、嘔吐を繰り返すと血圧低下や脱水状態につながることもあるため、適切に対処することが大事です。参考:乗り物酔い|MSDマニュアル家庭版参考:動揺病|MSDマニュアルプロフェッショナル版参考:乗り物酔い|一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会乗り物酔いが起こる理由として、人間の平衡感覚を制御している内耳の三半規管への刺激が多すぎることが考えられています。車などの乗り物に乗っているときは、発進、停止などのスピードの変化や前後左右、あるいは上下の揺れなどの刺激が内耳から脳へ伝えられます。その際に慣れない刺激が多く繰り返されることで脳が処理しきれないと 、自律神経へ誤った信号を送ります。そのために、吐き気やめまいなどの乗り物酔いの症状が現れてきます。また、慣れない刺激だけでなく目などから入る情報と、実際の状況が異なっている場合にも乗り物酔いが起こると言われています。例えば、船に乗っているときに、船自体は波で上下しているのに目では静止している壁を見ているといったときに、脳が矛盾を感じて乗り物酔いの症状が生じることがあります。乗り物酔い(車酔い、電車酔いなど)は治るの?小児科QA(質問)小学生と高校生の子どもがいます。家族で車に乗るときに小学生の子どもが毎回乗り物酔いをします。高校生の子どもは以前は乗り物酔いをしていたのですが、現在は平気なようです。乗り物酔いになりやすい年齢というのがあるのでしょうか?(回答)一般的には2歳から12歳ごろの子どもが乗り物酔いになりやすいと言われています。また、性別では女児の方が乗り物酔いになりやすい傾向があります。年齢だけでなく、内耳炎や片頭痛がある人もなりやすいと言われています。さらに、乗り物酔いを繰り返すことで、乗り物に乗ること自体に不安感がある場合にもなりやすくなるので注意が必要です。Upload By 発達障害のキホン(質問)小学生の子どもがいるのですが、乗り物酔いが激しくバスや電車に乗るのも嫌がります。今後遠出をする学校の行事もあるのでなんとかしたいと思っているのですが、どうすれば乗り物酔いは治りますか?(回答)乗り物酔いの克服のポイントは「慣れる」ことです。乗り物酔いの原因となる揺れなどの刺激を感じる機会が多いほど、その刺激に対する反応も治まっていきます。乗り物に乗るのを避けるよりも、予防薬を飲み短い距離から試すなど対策をしながら乗ることで成功体験を重ねていくことが大事です。対策についても一人ひとり合う方法が違うので、いろいろと試してお子さんに合うものを見つけていくとよいでしょう。Upload By 発達障害のキホン車や電車などの乗り物酔いを防ぐために乗り物酔いは酔い止め薬を飲むことや、ポイントを抑えることで予防することも可能です。代表的なものを紹介しますので、乗り物酔いで悩んでいる場合は試してみてください。乗り物酔いの予防薬として抗ヒスタミン薬や、制吐薬としてオンダンセトロンなどが用いられます。酔い止め薬はドラッグストアなどで購入できるほか、医師に相談して処方してもらうこともできます。・車で揺れを感じにくい席を選ぶ(シートベルトやチャイルドシートを適切に利用し、体の揺れを軽減させる)・前を向いてゆったりとした姿勢を保つ・遠くの景色を見るようにする・頭と体をなるべく動かさないようにする・本やスマートフォンの画面などを見ないようにする・乗り物に乗ったら寝てしまう・車などでは窓を開けて換気をする・船では甲板に出るなど新鮮な空気を吸う・乗る前に匂いや味の強いものを食べない・乗っている最中もなるべく飲食をしないようにする・前日はよく寝るようにする乗り物酔いが起こってしまったら対策をしていても乗り物酔いを起こすことはあります。そういったときに症状の悪化を防ぐ方法を紹介します。・可能であれば乗り物から降りる・乗り物内の換気をする・ベルトなど締め付けるものを外す・腹式呼吸をする・頭を冷やすようにする・クラッカーなどのさっぱりしたものを食べる・炭酸飲料を飲むなどが乗り物酔いの悪化を防ぐ方法としてあります。こちらも人によって効果は異なるため、合う方法を探していくことが大切です。また、乗り物酔いの薬の中には、酔った後にも効果があるものもあります。薬局などで購入できますので用意しておくといいでしょう。障害と乗り物酔いの関係先ほどは乗り物酔いになりやすい年齢などの傾向を紹介しましたが、障害と関連して乗り物酔いが起こる場合もあります。起立性調節障害があると、乗り物酔いもしやすいという調査があります。起立性調節障害とは、自律神経の乱れにより起立時に身体や脳への血流が低下する疾患で、起床困難、動悸、失神、頭痛などの症状が現れます。思春期の子どもが発症することが多く、小学生の5%、中学生の10%で見られると言われています。厚生労働省の調査によると、この起立性調節障害のある子どもの中で、乗り物に酔いやすいと答えた人が41.5%いるという結果が出ています。乗り物酔いの原因として起立性調節障害がある場合は、そちらの治療も行っていく必要性があります。乗り物酔いの他に、日常的に起床困難や立ちくらみなどの症状が見られる際はかかりつけの小児科や保健センターなどに相談してみるとよいでしょう。参考:起立性調節障害対応ガイドライン|岡山県教育委員会参考:起立性調節障害症状について|厚生労働省感覚過敏がある場合も、乗り物酔いにつながりやすい可能性があります。発達障害のある方の中には感覚過敏がある方も多くいて、予測できない動きや匂い、温度、湿度などへの敏感さが乗り物酔いを起こす要因とも重なっています。そのため、他の人よりも乗り物酔いが生じやすいことが考えられます。子どもに発達障害がある場合は、その特性も考慮したうえで乗り物酔いの対策をしていくとよいでしょう。参考:発達障害の理解|厚生労働省子どもの乗り物酔い、もしかして動揺病かも?乗り物酔いとは別に「動揺病」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。動揺病とは医学の分野などで使われる言葉で、基本的に乗り物酔いと同じ状態を指しています。乗り物に乗った際に吐き気やめまいなどの症状が現れ、中枢神経系出血や脳梗塞など別の疾患が原因ではない場合などに診断されます。治療では予防薬として抗ヒスタミン薬などが処方されることがあるほか、吐き気を抑えるオンダンセトロンなどの制吐薬が処方されることもあります。薬以外の治療方法としては、乗り物酔いの要因となる刺激に慣れる「適応」が効果が高いとされています。また、動揺病と同じようにめまいなどが現れる疾患に「メニエール病」があります。メニエール病も内耳の異常が要因となって発症すると言われています。ただ、メニエール病のめまいは乗り物に乗っていない状態でも起こるという点が動揺病とは異なっています。メニエール病にはめまいに加えて耳鳴りや難聴が伴うことが多くあり、手術をすることもあるなど動揺病とは治療方法にも違いがあります。乗り物酔いではなく、メニエール病の症状が見られる場合には、耳鼻咽喉科などを受診するようにしましょう。参考:メニエール病|MSDマニュアル家庭版乗り物酔いまとめ乗り物酔いとは、車や電車などに乗っている際に吐き気やめまい、嘔吐などの症状が現れている状態のことです。医学的には動揺病とも呼ばれています。乗り物酔いの要因は、加速や揺れなどによって平衡感覚を制御する内耳に過剰な刺激が加わることや、目から入る情報と実際の動きの矛盾などがあります。12歳ごろまでの子どもに多く見られますが、予防薬の服用や酔いにくくする対策をすることで抑えることができ、刺激に慣れていくことによって治まっていくと言われています。ただ、乗り物酔いの背景に他の障害がある場合や、別の疾患の症状が現れていることもあるため、気になる場合は医療機関の受診を検討するといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年11月19日聴覚より視覚優位のタイプの息子。動画サイトやアニメが大好き!わが家の息子は現在7歳の小学2年生。特別支援学級の情緒障害クラスに在籍しています。小さい頃から切り替えが苦手で、こだわりが強く、癇癪を起こすことも多かった息子ですが、支援者の方々のサポートもあり、学校や放課後等デイサービスに楽しく通っています。一方、家庭内では、父親は仕事の関係で息子が小さい頃から海外にいて、育児にはほとんどノータッチ。母である私は実家の両親の助けを借りながら、何とか育児をこなしているという状況です。息子は聴覚より視覚優位のタイプで、動画サイトやアニメを見るのが大好き。加えて、赤ちゃんの頃から多動で、スマホで動画を見せて長男の動きを止めている間にしかオムツ替えができないくらい、私にとっても動画は「育児の必需品」でした。Upload By ユーザー体験談動画サイトが見たくて号泣!苦労は多く……やがて息子が3歳頃になると、インターネット接続できるスマートテレビのリモコン操作を覚えてしまったので、幼稚園時代はとても大変でした。リモコンを手の届かない高いところに隠しても、目ざとく見つけてはよじ登って取ろうとしたり、オモチャを投げて打ち落とそうとしたり、危ないことを平気で繰り返しました「あと1つ動画を見たらおしまいだよ」「タイマーが鳴ったら、やめてお風呂に入ろうね」などと言っても全く通じません(残り時間が分かりやすいかな?と思い砂時計も試しましたが、やっぱり駄目でした……。当時はまだ時間の感覚が理解できていなかったんだと思います)。動画見たさに1時間ぐらい泣き続けるようなこともザラだったので、動画との付き合い方には苦労しました。Upload By ユーザー体験談小学生になった今では、動画のために癇癪を起こして泣き叫ぶようなことはしなくなり、切り替えも昔より早くなってきた息子ですが、次に私が恐れていたのは「ゲーム」でした。幼稚園の頃からゲーム機を持つお友達も多い中、「動画の時の二の舞にはしたくない……!」と思い、息子には小学生になってもゲーム機を買い与えていませんでした。「もう少し自分の気持ちのコントロールができるようになってから、買ってあげよう」と慎重に考えていたのです。海外にいる夫、まさかのサプライズ!?ところが、です!コロナ禍での海外渡航の制限もようやく緩和されたので、息子を連れて夫の滞在する国に遊びに行った時のことです。長時間の子連れフライトでぐったりしている私に、想定外の事態が待っていました。なんと夫は、私になんの相談もなく、息子のためにゲーム機を用意してしまっていたのです!当然息子は大喜び、そんな息子も見て、夫も「サプライズ大成功!」とご満悦です。「ゲームはまだ買わないでおこうね」と話していたはずなのに……日本に帰って管理をするのは私なんですけど!Upload By ユーザー体験談思えば、夫のわが子への「サプライズ」は今回が初めてではありませんでした。普段一緒に遊べない罪滅ぼし(?)のつもりなのかもしれませんが、誕生日やクリスマスでもないのに高価なプレゼントを買ったり、アイスを好きなだけ食べさせたり……息子が「これはパパがいる時だけの特別なこと」だと理解できるならまだいいのですが、残念ながら「時と場合による」という考えが通じないので、日本に帰ってからがいつも大変でした。そして、いくら訴えても、私の大変さは夫にはイマイチ伝わってないようでした。帰国後、予想を超える出来事がなので、この時も「またか……」と、半ばあきらめの気持ちでいたのですが、帰国後またしても、私の予想を超える出来事がありました。息子は棚からぼた餅で手に入れたゲームを、絶対にママに取り上げられたくない!と思ったのか、1日1時間というルールをきっちり守って遊んでいるのです。ゲームのプレイ中、画面上に残り時間が表示されるという仕組みがあることも大きいと思うのですが、「おしまい」の声かけやタイマーを見せられるだけで大パニックになっていた頃と比べ、こんなに自分の気持ちをコントロールできるようになってきたんだと驚きました(なんだか夫にいいところばかり取られているような気持ちになって、面白くはなかったですが……)。思わぬ形で息子の成長を目にして、たまにはこんなサプライズも悪くはないなと思ったのでした。Upload By ユーザー体験談イラスト/ネコ山エピソード提供/あかクレヨン(監修:森先生)発達障害の傾向にある方は、一般には「刺激に弱い」「依存をしてしまいやすい」といった方もいらっしゃいます。 我慢をして得られる報酬よりも、目先の報酬の方に魅力を感じてしまうといった特性からであると言われています。 そのため、例えば「動画を観ないで勉強したら褒められる(我慢して得られる報酬)」よりも「今動画を観続ける(目先の報酬)」を選んでしまいがちなのです。 ママとしては、ゲームを買い与えることに慎重になるのはもっともですね。ところが今回は、はっきりと残り時間がわかりやすいということ、取り上げられてなるものかという強い思いがうまく働いたことも助けとなり、結果的に自分で時間を管理できるという思わぬ効果がありました。 「時間を意識してもらおう」という、これまでのママの努力の積み重ねがあったからこそ、このタイミングで自己管理が出来るようになったのでしょう。パパは、「ゲームを買っても問題なかったじゃないか、ママは心配性だな」と簡単に考えるのではなく、お子さんとママのこれまでの努力を理解して労いの言葉をかけましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年11月19日楽しく読み書き計算の基礎づくりをーー『ワーキングメモリがぐんぐんのびる 単語メモリカードゲーム』「ワーキングメモリ」とは、目や耳から入ってくる情報を限られた時間で記憶し、統合しながら意味を理解する脳の働きのことです。ワーキングメモリに弱さがあると、学習の基礎である文字の読み書きや数の理解がスムーズに進まず、つまずきを感じやすくなります。本書は、カードゲーム方式で無理なく・楽しくワーキングメモリを伸ばすことを目的とし、ワーキングメモリ理論に基づいた教育支援の第一人者である広島大学大学院 人間社会科学研究科教授の湯澤正道先生が考案した5歳から大人までを対象としたカード教材です。カードは、本書の『音韻意識を高める単語メモリカードゲーム』に加え、『算数の基礎をそだてる数字マッチングカードゲーム』『特殊音をすばやく読む単語マッチングカードゲーム』と、全部で3つのシリーズで構成されています。カード毎に記憶機能を高める3つのゲームが収録され、親子や友達同士、支援者と遊びながら、楽しく読み書き計算の基礎づくりができるよう工夫されています。ワーキングメモリは国語や算数などすべての学習の基礎になるものですが、いったん学習が遅れてしまうと机に向かって勉強をすることに苦手意識を持ってしまうことも……。ワークシートのような勉強方式ではハードルが高いと感じている子どもも、カードゲーム方式の学習であれば取り組みやすいのではないでしょうか。家庭学習はもちろん、特別支援教育や放課後等デイサービスなど学校や支援の現場にもおすすめの教材です。理由が分かれば優しく寄り添えるーー『発達障害・グレーゾーンの子どもが見ている世界』本書は、発達障害・グレーゾーンの子どもが見ている世界をマンガで分かりやすく解説し、子どもの視点から行動の理由を探り、接し方のヒントやアドバイスがまとめられた一冊です。すぐに走り出してしまう、ルールや順番が守れない、友達を叩いてしまうなど、子どもの行動は大人からしてみれば不可解なことが多く、どう対応したらいいのか悩む保護者の方も多いのではないでしょうか。本書では、「不可解な行動にも、その子なりの理由が必ずある」と伝えています。前半では、主に3~8歳の子育てで保護者が戸惑いがちな「ナゾの行動」をいくつか取りあげ、それぞれ2つのケースを紹介。発達障害・グレーゾーンと言われている子どもも十人十色です。同じような行動であっても、その理由は子どもにとって異なることを感じられるように工夫がされています。監修は、北海道大学名誉教授であり児童精神科医の田中康夫先生。発達障害の特性を持つ子どもやその家族、さらに関係者たちと繋がり、支え認め合うことを大切にした治療で支持されている発達障害のエキスパートです。本書の後半では、行動を理解したうえで、発達障害がある子どもと向き合うときに保護者が意識したいことについても記されています。親子で優しい絵本の時間をーー『たれみみうさぎのリッキ』本書は、ヨーロッパで人気の絵本作家ヒド・ファン・ヘネヒテンが手がけた全世界でシリーズ累計300万部発行のベストセラー絵本です。25年前に刊行された本書が、この秋復刊されました。うさぎのリッキの耳は、みんなの耳とは違います。なぜかいつも右の耳だけ、ダラーンと垂れ下がっているんです。みんなが「たれみみ」と笑うので、ピーンと立った2本の耳がほしくてたまらないリッキ。いろいろな方法で耳をのばそうとしますが、うまくいきません。でも、みんなと違うことは本当におかしなことなのでしょうか?時には泣きじゃくって、時には笑い転げて、「見た目も、性格も、考え方も、それぞれ違っていいんだよ」と、うさぎたちが教えてくれる絵本です。本書の対象年齢は3歳から。親子で過ごす絵本の時間を通じて「君は君のままですばらしい」と、お子さんに伝えてみてはいかがでしょうか。エリートなのに仕事ができない、当事者の葛藤ーー『ルポ高学歴発達障害』「ケアレスミスが多い」「人間関係がうまくいかない」など、生活や仕事上で問題を抱えることもある大人の発達障害。その中には、世の中で「高学歴」と言われる人も少なからず存在しています。世間一般の「エリート」のイメージと「障害」の実情の狭間で理解が得られず、周囲と自分を比べては落ち込み、悩みを抱えている当事者は多いと言われています。本書は、自身も発達障害当事者である著者の姫野桂さんが、高学歴の発達障害にフォーカスし「理解が得られにくい不条理」に迫った一冊です。本文では10人の発達障害当事者のインタビューを掲載。実態の見えにくい当事者の声を拾いあげると共に、大学の教壇に立つ側の視点として現役の大学教授に、医療側の視点として精神科医の取材も。大学における学習支援や、就労支援を行っている企業の取り組みも紹介されています。「高学歴」ということで、周囲から期待されるボーダーラインが上がり、理解を得られない人がいる現状を伝える本書は、今まさに苦しい思いをしている当事者にとって一助となるのではないでしょうか。それと同時に、発達障害が取りざたされる背景にある「異質であること」「非効率的であること」に不寛容な社会の姿を浮かびあがらせているようです。『自閉症児のことばを育てる発達アプローチ~ことばの6ステージ・特徴の理解と逆転の支援~』本書は、自閉スペクトラム症がある子どもの「ことばの発達とコミュニケーション」に焦点を当て、家庭でできることばの療育方法を紹介した一冊です。第1部では、「自閉症児のことばを引き出す方法」を、第2部では、自閉症児のことばの成長段階を6つのステージに分け、各ステージの特徴と支援方法に加え、逆転の発想のアプローチも紹介。6つのステージに分けられていることで、個々の成長に適したアプローチや、次に実践することなどが分かりやすく、療育の見通しがつきやすい内容となっています。著者は、自閉スペクトラム症がある娘の父親でもあり、発達支援教室で指導員を務める臨床心理士の矢幡洋先生。これまで40冊以上の著作を出版し、『数字と踊るエリ』(講談社)は第33回講談社ノンフィクション賞の最終候補にも。本書は、著者が自身の子育てを基に、子どもが興味を示し、家庭の日常の中で実践しやすい楽しいアプローチ方法がピックアップされています。子どもの発達で悩む保護者のヒントになると共に、家庭で行うことばの療育の楽しさも感じることができる一冊ではないでしょうか。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年11月18日三角食べができなかった理由私はいわゆる「三角食べ」ができませんでした。三角食べとは、私が子どもだった数十年前に推奨されていた食事のしかたです。おかず→ごはん→汁物 のように、順序よく代わるがわる食べていって、すべてのお皿をほぼ同時に食べ終わるのがマナーがよく、身体にもいい、というように言われていました。三角食べができなかった理由を自分なりに思い返すと、「食べ物の味や食感が混ざるのが嫌だった」「それぞれのお皿が『未完了』であることが気持ち悪かった」ことが思い当たります。ごはんはごはんだけ、おかずはおかずだけを口に入れて、それぞれのシンプルな味を楽しみたかったし、ひとつのお皿に手をつけたらそれを食べ終わってお皿を空にするまで、何か中途半端なようで落ち着きませんでした。ASDの感覚過敏やこだわりからくるものだったのだろうと思います。家では「ごはんをおかずにごはんを食べる」「コース料理のように食べる」などと揶揄され、学校ではお行儀が悪いとして叱責されました。三角食べには、食べ残した際にもそれぞれの品が少しずつ残るので比較的栄養バランスが保てるなど、メリットもあるようですが、最近では「管理教育ではないか」という指摘もあり、下火になっているようですね。楽しく食べることができなかった学校給食私は学校での給食の時間を楽しめませんでした。三角食べができないことだけがその原因だったわけではありません。戦後すぐの、栄養補給目的での脱脂粉乳が名残と思われる、給食に毎日ついてくる牛乳。これが私は嫌でしかたなかった……牛乳自体は好きなのですが、食事についてくるのが牛乳だけで、和食にも牛乳がついてくるので、味覚が敏感な私は、味覚上のミスマッチが許せなかったのです……。今はメニューのほかの部分で栄養補給ができるようになったこともあり、和食にはお茶がついてきたりするようですね。私が小学生だった当時、私の地域では厳しい完食指導がなされていました。ともかく全て食べ終わるまで席を立ってはいけない。給食のあとは掃除の時間なのですが、掃除で埃が立ち込める中で担任がびったりと机に張りついて、児童が食べ終わるまで監視したり、ひどい場合は無理やり口に入れて顎をつかんで噛ませたりと、まるで苦行のようでした。当時、私はクラスメートからいじめられておりバイキン扱いされていたため、私が給食当番でよそったものを受け取ってもらえなかったり、私にだけ給食が配ってもらえなかったりも……。そんなわけで、学校給食のことを思い返すと、いつもちょっと苦しくなります。大人になって知った食事の楽しさ今の私は、食事を存分に楽しんでいます。特に、うちでは夫が食事当番なので、夫が愛情込めてつくってくれる食事を、会話を楽しみながらゆっくり食べるのが何より幸せです。食事とは、「行儀のよい、なんでもよく食べる立派な大人になる」ためのものではなく、そこに込められた愛や世界の美しさによって本人の心と身体を養い、人生を楽しませるためのものだと、今は思っています。子どもが偏食が激しくて、白いものしか食べられないとか、特定のお菓子やチョコレートバーしか食べないとかだったりすると、保護者の方は本当に心配でしょうし、「甘やかしているのではないか」などといった周囲からの指摘にも苦しんでいるかもしれません。でも、偏食はあるとき突然治ったり、年齢を重ねるごとにだんだん治っていくケースが多いとも聞きます。チョコレートバーだけでちゃんと大人になるまで成長したという偏食の子の例も知っています。身体の栄養が心配ならば、今は良い栄養剤やサプリ、栄養バランスに工夫をしたお菓子などの代替手段もありますし、心の栄養であれば、一緒に楽しくおしゃべりしながらテーブルを共にする時間があればそれで十分なのではないかと思います。学校の先生や近所の人も含め、世の中にはいろいろな考えの人がいますが、わが子はかけがえのないわが子です。他人の意見に左右されたとて、残念ながらその誰かが結果に責任を負ってくれるわけでも、保護者さん以上にその子を思ってくれるわけでもありません。今ある環境の中で、保護者さんの思うベストを尽くしていければそれだけで素晴らしいことだと思います。文/宇樹義子(監修・鈴木先生より)食育は教育の一環として日本では扱われています。給食の楽しさを追求するならアメリカのランチのように外で自由に何でも食べられる工夫も必要です。教室ではなく廊下にシートを敷いてみんなでワイワイと食べるのが楽しい食事なのかもしれません。ただ、自閉スペクトラム症のお子さんは一人が好きな場合も多くみられ、そういう場合、孤立してしまう傾向があります。その時には担任を囲んで食べるという工夫もあります。お弁当なら自分の好きなものを持ってきて食べることができます。親御さんは大変ですが食事を自由に選べる配慮も必要です。完食の強制ではなく、食べられるものが選択できるという時代に来たのではないでしょうか。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月18日子どもの肥満とは?原因は?現在の日本では食事の変化や運動量の低下などにより、肥満の人が増えていると言われています。肥満は糖尿病や高血圧症、心血管疾患などの生活習慣病につながるリスクが高まることから、健康管理において肥満防止は重要な要素となっています。肥満と聞くと体重が重い人という連想をする方が多いかもしれません。しかし、肥満とはただ体重が重いだけではなく、人の身体に過剰に体脂肪が蓄積している状態のことを言います。肥満度は体重と身長の数値から求められるBMI(Body Mass Index)という数値を使って判定されていますが、同じBMIでも実際に体内のどこに脂肪がついているかでリスクが異なってきます。筋肉の内側に脂肪のつく「内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)」と、皮下脂肪が多く内臓脂肪が少ない「皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満)」の2つのタイプがあり、内臓脂肪型肥満のほうが糖尿病や高血圧、脂質代謝異常といった疾患を発症する可能性が高いとされています。参考:肥満と健康|厚生労働省e-ヘルスネット先ほどのBMIは成人に使われる指標で、6歳から18歳の学童期の子どもの肥満度には別の指標が用いられます。子どもの肥満度は「100 × (現在の体重‐標準体重)÷標準体重」で求められます。Upload By 発達障害のキホン「小児肥満症診療ガイドライン2017」では、「肥満度が+20%以上、かつ体脂肪率が有意に増加した状態(有意な体脂肪率増加とは、男児:年齢を問わず25%以上、女児:11歳未満は30%以上、11歳以上は35%以上)」を肥満と定義づけています。引用:e-ヘルスネット|肥満と健康上記を満たす場合に「小児肥満」だと定義しています。子どもの肥満の場合も、高血圧や睡眠時無呼吸症候群、糖尿病などの発症リスクがあると言われています。こういった肥満に伴う健康リスクが高い状態を「メタボリックシンドローム」と呼んでいて、子ども(6歳から15歳)の場合は腹囲が80cm以上などの目安が設けられています。実際には腹囲だけでなく血圧などの数値も加味して判断するため、子どものメタボリックシンドロームが気になる方は一度医療機関で検査を受けるようにしましょう。乳幼児や小学生など子どもの肥満のほとんどは、単純性肥満と呼ばれるものです。つまり、食べ物などによって摂取したエネルギーが、運動などにより消費されたエネルギーを上回っていることで生じる肥満のことです。子どもが普段摂っている食事のバランスや悪いことや、お菓子、清涼飲料水の過剰摂取によって摂取エネルギーが高くなる反面、運動不足などで消費エネルギーが少ない状態が続くことによって肥満へとつながっていきます。日本では1970年代からライフスタイルの大きな変化があり、子どもの肥満が増加しました。現在は増加傾向は収まっているものの、それでも全体の10%以上の子どもが肥満と判定されると言われています。このような原因から「子どもの肥満は親のせい?」と悩む方もいるかもしれません。しかし、きょうだいなど同じような食事内容やライフスタイルであっても、肥満になるかどうかには個人差があります。もちろん、養育者や近くの人だからできる肥満対策もありますので、後ほど紹介します。また、子どもの肥満は単純性肥満が多いですが、症候性肥満と呼ばれる何らかの病気が原因で肥満になっている場合もあります。その際は身長の伸びも遅れるのが特徴と言われています。参考:肥満|一般社団法人 日本小児内分泌学会子どもの肥満が原因で起こるさまざまな病気子どもの肥満のリスクには、成人の肥満へつながる可能性や多くの合併症のリスクなどがあります。子どもの頃、特に年長児の肥満はそのまま成人の肥満に移行しやすいと言われています。また、思春期の肥満だと体格が形成されることや肥満になりやすいライフスタイルが定着することで、さらに肥満の解消が難しくなることも指摘されています。肥満は合併症のリスクも高まると言われていますが、合併症がない場合でも体重の増加により膝や腰など身体に大きな負担がかかります。子どもの肥満には合併症のリスクがあると紹介しましたが、具体的には生活習慣病として知られる2型糖尿病や脂質異常症、高血圧などにつながる可能性があると言われています。そして、このような生活習慣病は動脈硬化を促進していき、成人してからの脳卒中のリスクを高めることも指摘されています。その他の合併症としては睡眠時無呼吸症候群や脂肪肝など、さまざまな疾患につながる可能性があります。子どもの肥満であってもこのようにさまざまな病気のリスクが高まるため、できるだけ早く肥満を解消することが大切となります。子どもの肥満と発達障害の関連性ここでは、子どもに発達障害がある場合の肥満との関連性を紹介します。発達障害のある子どもは、感覚過敏や衝動性などの特性の影響で偏食が激しいことや食事量が多すぎることがあると言われており、そのことが肥満につながっている場合もあります。アメリカの調査ですが、自閉スペクトラム症(ASD)のある子どものうち22.2%が肥満であり、定型発達の子どもに比べて肥満となるリスクが41.1%高かったという結果も出ています。別の調査によると注意欠如・多動症(ADHD)の子どもは衝動性の特性の影響により過食になる傾向があるほか、不注意の特性の影響で規則正しい食生活が難しく、そのことが肥満につながる場合があるとされています。また、発達性協調運動症(DCD)のある子どもも肥満のリスクが高い可能性があります。発達性協調運動症とは、手足や身体の動きをコントロールすることに困難がある発達障害の一つです。子ども同士の遊びやスポーツへの参加が少ないため運動量が低下することなどにより、ほかの子どもに比べて肥満のリスクが高いとされています。このように、肥満の背景に発達障害の影響が隠れていることもあるため、肥満以外にも気になる様子があるときはかかりつけの小児科や保健センターなど専門家への相談も視野に入れるといいでしょう。参考:発達障害の理解|厚生労働省参考:自閉スペクトラム症児の偏食に対する食物同時提示法の適用参考:発達障害児の肥満|京都女子大学生活福祉学科紀要第 16 号参考:DCD 支援マニュアル|厚生労働省子どもの肥満を解決するために家庭でできること子どもに肥満が見られる場合に家庭でできることを紹介します。まず、子どもは体重を維持するだけで身長の成長と共に肥満が解消されることもあります。肥満を気にして栄養を制限し過ぎることは子どもの正常な成長を妨げることにもなるため、子どもの肥満解消には摂取エネルギーを減らすのではなく、規則正しい食生活や運動によるエネルギー消費を増やすことが大事になります。まず乳児期は成長が最も著しい時期のため、多少の肥満は気にする必要がないと言われています。ハイハイや歩き始めるなど運動ができるようになると肥満も解消されていくことがほとんどです。幼児期になると、先述したように成人後の肥満へつながることも考えられるため、対策が必要になってきます。この頃の生活習慣が後にも影響するため、三食決まった時間に食べることや間食を計画的にするなど食生活を安定させ、外での運動遊びも積極的に行ってきましょう。食事は不足しがちな野菜、魚介類、豆類などを出すようにするといいでしょう。運動は子どもにさせるだけでなく、家族で一緒に遊ぶなど工夫しながら取り入れていくと効果的です。学童期の肥満は幼児期よりも成人後の肥満につながりやすいため、注意が必要です。この頃になると子ども自身も肥満対策の重要性を理解できるようになってくるため、食生活や運動について納得いくように説明することも大事です。運動もエネルギー消費の激しいものではなく、あくまで子ども本人が楽しいと感じるものにして、身体を動かす習慣をつけるようにしましょう。肥満の解消は家庭だけではなく、必要なら医療機関に頼ることも大切です。家庭ごとに事情があると思いますし、子どもにも成長の個人差や肥満の背景に障害が隠れていることもあるなど複雑な要素が絡まっていることもあります。医療機関で検査をすることで、家庭や子どもの状態に合ったアドバイスをもらえることもあります。抱え込まずにかかりつけの小児科や保健センターなどへ相談してみるとよりよい方法が見つかるかもしれません。参考:子どものメタボリックシンドローム|香川県肥満予防はなるべく早く対策をしていくことが大事肥満はさまざまな生活習慣病のリスクを高めることで知られています。子どものころに肥満だと、成人後も肥満となる可能性も高いため、なるべく早く対策をしていくことが大事です。家庭では規則的な食生活や運動の習慣をつけるなどの対策があります。ただ、肥満の背景に他の障害の影響がある場合も考えられます。つらいと感じたときは家庭だけで抱え込まずに、医療機関への相談も検討してみるといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月17日特別支援学級?通常学級?悩んだ就学問題現在6歳の息子は、4歳でADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。幼稚園へは楽しく通っていたものの、切り替えの苦手さ、こだわり、癇癪、見通し不安など問題が盛りだくさんだった息子。小学校入学にあたっては進学先に頭を悩ませていました。最初は小人数で指導してもらえる特別支援学級の方が息子も落ち着いて過ごせるのでは?と思っていましたが、住んでいる自治体には情緒学級がなかったため療育の先生、かかりつけ医の先生に相談しました。すると、息子は新しいことを学ぶのに喜びを感じるタイプであること、学校でみんなと学びたいという気持ちが強いことから、通常学級が好ましいとみなさん同意見でした。そこで通常学級に席を置きつつ通級指導教室で感情のコントロール方法を学ぶほうが合っているのではないかということになり、わが家の希望は通常学級+通級指導教室に決定しました。そして、年長の9月就学相談へ臨んだのですが……。Upload By ユーザー体験談「通級指導教室は必要ない」就学相談でこちらの希望は聞いてもらえず就学相談は自治体の就学科の担当者1名と私(母)、2名で行いました。最初に私が通常学級に所属しながら通級指導教室に通いたいと希望したところ、以前受けた知能検査結果を見ながら「知的な問題がないので、通級指導教室は必要ないと思います」とバッサリ。そして今では通常学級でもある程度配慮が受けられるからと熱く説明されました。・声かけ・座席配慮・答案用紙にバツをつけない・癇癪の時に別室などで対応するその他の要望もできる範囲で聞いてもらえるとのこと。私が圧倒されていると、さらに続けて特別支援学級や通級指導教室には予算に限りがあると説明され、あまり人数を増やしたくない……という雰囲気をひしひしと感じてしまった私。その後も「まだ入学まで半年あるから成長するかもしれませんよ?」「就学前健診で学校側から言われたら通級指導教室を考えればいいのでは?」などと言われたため、こちらの話す時間もほぼ取れず終了してしまいました。これで通常学級に通うことが決定してしまったのです。Upload By ユーザー体験談本当にこれでよかったの?悩んだ母は電話をとった!本当にこれでよかったのか……とても悩みました。就学前健診の時に再度学校側に相談することも考えましたが、今回の就学相談で療育の先生、かかりつけ医の先生から勧められていたことがちゃんと伝わっていたのかも自信がありませんでした。このままモヤモヤしていても仕方がありません。やっぱりもう一度伝えなければと思った私は、勇気を出して電話をすることにしました。緊張しながら「先日の就学相談では通常学級を進められたのですが、やはり通級指導教室にも入りたいと思っておりまして……。就学相談をもう一度お願いしたいのですが」と話したところ、「では二次面接をしましょう」とあっさり二次面接を受けられることになりました。今度はきちんと自分の思っていることを伝えようと面接に行くと、前回とは別の方が担当でした。面接ではすでに通級指導教室に行くことを決めていたかのように話がスムーズに進み、通級指導教室が無事決定。力んでいたので拍子抜けしましたが、電話をしてよかったと本当にほっとしました。楽しみにしていた小学校。でも入学式では奇声と大癇癪を起こしてしまい……入学までは学校生活に関する絵本を読み聞かせたり、幼稚園と学校の違いを話したり、小学校がどういうところかイメージがつくようにしていました。幼稚園のようにいつも先生がついてくれるわけではないこと、自分で自分のことをしたり、みんなと同じように行動することが増えること、遊べるのは休み時間だけ、授業中は席に座って話を聞くなど息子には難しいことが多い状況だと話していましたが、その時は「できるよ」「勉強楽しみ」など前向きな発言が多くありました。また学校を見学し、学校内の雰囲気も味わってもらいました。そして迎えた入学式当日。学校を楽しみにしていた息子でしたが、初めてのことへの不安から学校に着いた途端に不機嫌になってしまいました。受付が終わると親はホールへ、子どもは教室へと離れ離れになったためその後どうしていたかはわかりませんが、入場は泣きながら先生につき添われて入場、席に着きしばらくすると奇声を上げて癇癪を起こしてしまいました。初めて見るくらいの癇癪と奇声で、私もビックリするほどでした。Upload By ユーザー体験談先生がホールの外へ連れ出してくれたので私も外に出てつき添いましたが、癇癪は全くおさまりません。支援コーディネーターの方が居たので一緒に校内を散歩させてもらい、式が終わる頃ようやく落ち着きました。この時の私は疲労困憊。もう疲れと悲しみでいっぱいでした。不安にならないようにといろいろ準備をしましたが、息子には事前の対策は効果なかったようです。もし今就学前に戻れるなら、入学式のイメージや大勢の人の中に入るということをもっともっと具体的に本人に伝えてあげたりイメージできるように考えてあげればよかった……と思っています。困りごとが多い息子が楽しく過ごせる居場所へ入学後、通常学級で実際に受けられた配慮は、座席を1番前にしてもらうこと、支援員にほぼ専属でついてもらうこと、見通しを立てられるよう予定を伝えてもらうなどでした。それでも息子は勝敗や順番にこだわって泣きわめいたり、プリントを破いたり、ときには全く関係のない子を叩いてしまうことも……。そんな息子の行動のため、授業も度々止まってしまっていたようです。Upload By ユーザー体験談学ぶことは好きだけれど、息子に集団行動は難しかったようでした。本人はみんなと勉強したいと頑張ってはいましたが、それ以上の配慮を求められる状況ではなかったため、1年生の2学期から情緒学級のある学校へ転校しました。問題行動はまだありますが、幸いにも癇癪の頻度は減り、癇癪になっても自分で切り替えができるようになってきています。勉強はゆっくりになってしまい不満もあるようですが、一方で楽しいことも増えたようで、母としてはホッとしています。就学前は就学先について悩みましたが、入った後も引き続き試行錯誤中です。今は息子が楽しいと思うことが少しでも増えていってくれればと思い、これからも息子の学校生活をサポートしていけたらと思っています。イラスト/taeko※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:鈴木先生より)残念なことに、自治体や教育委員会は子どもファーストではなく定員・予算ファーストとなってしまう場合があるようです。神経発達症を診断できる小児科医が増えてきたためか、診断が増えると特別支援学級のニーズが高まり、受け皿が限られていることからこういう事例が増えています。しかし、あくまでも子どもファーストで教育する必要があるのではないでしょうか。理解のある市町村では特別支援学級の教室を増室して対応しています。残念ながら、その市町村の教育に関わる予算次第ということです。教員数も含めて市議会で議論する必要があります。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月17日