ぴあがお届けする新着記事一覧 (876/925)
劇団俳優座の公演『雉はじめて鳴く』が1月10日(金)から19日(日)まで東京・俳優座劇場にて上演される。iakuの横山拓也が脚本を書き下ろし、俳優座の眞鍋卓嗣が演出を務める作品は今回が2作目となる。このタッグで2018年に行われた公演『首のないカマキリ』は、骨髄バンクや卵子の冷凍保存、献体などさまざまな形の命のつなぎかたを描き、「命の距離」を見つめる作品だった。横山は主宰する演劇ユニット・iakuのほか、幅広い脚本提供を行っている劇作家。病気や福祉、社会問題などを題材として取り上げることがたびたびあり、その部分が注目を集めがちだが、彼の真骨頂はその会話の細やかさにある。自然な会話が丁寧に積み重ねられるうち、登場人物それぞれの立場や気持ちが顕になって眼前に迫ってくる。今作の舞台は学校。県立高校に2学期からやってきたスクールカウンセラー、2年生の担任を務める教師、その教師とあるクラスメートとの関係を疑う生徒……。学校というコミュニティの中でのそれぞれの立ち位置と関係性が描き出される。「雉はじめて鳴く」とは季節を区分する二十四節気をさらに分けた七十二候のひとつ。雉のオスがメスを求めて鳴きはじめる頃を表し、ちょうど公演が行われている1月15〜19日頃をさす。10代の生徒たちが恋を自覚することと意味がかかっているのかどうか、劇場で確かめたい。文:釣木文恵
2020年01月10日日本のコンテンポラリーダンス・シーンをリードする振付家・ダンサーの山田うん。オペラや演劇の振付、そして世界各国のプロダンサー育成でも活躍する彼女が、初めて手がける演劇演出作品『NIPPON・CHA!CHA!CHA!』が1月10日(金)から19日(日)までKAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオにて上演される。物語の舞台は、高度経済成長期に入る少し前の日本。倒産寸前の小さな靴工場、天下一運動靴店では、社長をはじめ、娘のハナコ、職人たちが倒産を逃れようと試行錯誤している。そんな靴工場に、両親を飛行機事故で亡くしたヨシダ・カズオが姉のアキコに連れられ救世主の如く現れる。足の速いカズオは、靴工場や町の人々の期待を一身に背負い、天下一運動靴店の靴を履いて走り続ける。そして、カズオはついにオリンピック選手候補に。しかし、大事な大会を前に怪我をしてしまい……。本作は、1980~90年代に野田秀樹や渡辺えり、永井愛らに並び、日本の小劇場ブームを牽引し、2000年に44歳の若さで亡くなった如月小春の戯曲。詩情あふれる独自の言語感覚や身体性を重んじるスタイル、音楽の生演奏を取り入れるなど、多くの実験的舞台を生み出してきた如月が、テーマとして多く扱ったのが全体性としての“都市”とその中で孤立する“個”。今回は、繊細かつダイナミックなダンス作品を生み出す山田の特性を活かした演出で、高度経済成長期直前の日本で熱狂する群集と、周囲の期待に応えようとするばかりに孤独を深めていく主人公・カズオの姿が描かれる。さらに、この物語から着想を得て山田が創作する新作ダンスも同時上演。没後20年となる如月の作品世界が、より奥深く堪能できる構成になっている。主人公・カズオを演じるのは、お笑いコンビ・まえだまえだとして幼少期から活動する前田旺志郎。近年は是枝裕和監督作品や大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』などへの出演で俳優としても活躍の場を広げる彼が、本作の演劇版、ダンス版でどんな表現を見せてくれるのかにも注目したい。文:伊藤由紀子
2020年01月10日特定非営利活動法人映像産業振興機構が、文化庁委託事業「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2019」において、今年度完成した短編映画3作品を、2月4日(火)から関係者向け「合評上映会」として東京、京都、大阪、名古屋の4都市で実施。先着順で「一般モニター」を募集。さらに期間限定で同3作品が一般上映されることが分かった。中江和仁、藤村享平、松永大司、中野量太、文晟豪、ふくだももこなど、長編劇場公開を果たした映画監督を輩出した同事業。今回は2019年8月に行ったワークショップから選出され、製作実地研修に進んだ3人の若手監督が、講師による脚本指導を経て、各制作プロダクションの協力のもと、プロのスタッフ・キャストとともに35mmフィルム撮影による短編映画を制作した。今回上映されるのは、自主映画で注目を集めている川崎僚監督作『あなたみたいに、なりたくない。』、広告映像やPV、CGデザインなどを手がけている島田欣征監督作『Le Cerveau - セルヴォ -』、そして独学で撮った最初の作品『あみこ』が、第68回ベルリン国際映画祭に史上最年少で招待された山中瑶子監督作『魚座どうし』だ。フレッシュな才能によって生み出された新作短編に期待したい。◇合評上映会(業界関係者+一般モニター向け)▶「一般モニター」募集概要【応募方法】ndjc公式サイト合評上映会( )を確認の上応募。【応募資格】3作品全てを鑑賞いただき、全作品のアンケートにご回答いただける方※上映時間:約30分×3本【定員】各会場20名(先着順)東京 2020年2月4日(火)丸の内TOEI15:00~(17:40〜名刺交換会)京都 2020年2月12日(水)京都文化博物館フィルムシアター18:30~大阪 2020年2月13日(木)シネ・リーブル梅田18:30~名古屋 2020年2月14日(金)シネマスコーレ19:00~◇劇場公開(一般向け)<東京>期間▶2月 21日(金)~27日(木)連日18:30~場所▶角川シネマ有楽町舞台挨拶▶2月21日(金):映画パーソナリティの伊藤さとりと、ndjc2019監督3人とのトークセッション。2月22日(土):崔洋一監督を招き、ndjc2019監督3人とのトークセッション。2月23日(日):ndjc2008中野量太監督を招き、ndjc2019監督3人とのトークセッション。2月24日(月)~27日(木):ndjc2019監督他ゲストによるトークセッションを予定。<名古屋>期間▶3月6日(金)~12日(木)連日19:00~場所▶ミッドランドスクエア シネマ舞台挨拶▶3月7日(土):映画パーソナリティの松岡ひとみと、ndjc2019監督3人とのトークセッション。<大阪>期間▶3月13日(金)~19日(木)連日18:30~場所▶シネ・リーブル梅田舞台挨拶▶3月14日(土):映画パーソナリティの津田なおみと、ndjc2019監督3人とのトークセッション。
2020年01月09日アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(1920-1995)やマウリツィオ・ポリーニ(1942-)など、イタリアからは時折驚異的な天才ピアニストが出現する。その天才の系譜を受け継ぐ存在として注目されているのが、1979年トリノ生まれのジャンルカ・カシオーリだ。その才能の凄さは、1997年に発表されたデビュー・アルバムにもしっかりと刻まれている。18歳の無名の若者が世界最古のクラシックレーベルにして最高の権威を誇るドイツ・グラモフォンからデビューすること自体驚きである上にその内容が凄い。冒頭にベートーヴェンを置きながら、ヴェーベルン、シェーンベルク、リゲティ、ブーレーズと20世紀を代表する作曲家たちの作品をずらりと並べたプログラムはまさに圧巻。このメニューを手掛ける18歳のカシオーリも凄ければ、これを認めて発売に踏み切ったドイツ・グラモフォンも素晴らしい。そのカシオーリによるオールベートーヴェン・プログラムとなればこれは気になる。しかも前半はピアノ・ソロによる「6つのバガテル」&「ピアノソナタ第12番(葬送)」。後半はオーケストラのみによる劇付随音楽「シュテファン王」序曲に続いて「ピアノ協奏曲第2番」を披露するのだから、まさに“一粒で2度美味しい”カシオーリのステージが楽しめそうだ。●公演概要1月20日(月)すみだトリフォニーホール大ホール「ジャンルカ・カシオーリ&新日本フィルハーモニー交響楽団/トリフォニーホール・グレイト・ピアニスト・シリーズ」●ジャンルカ・カシオーリ(ピアノ)(C)silvia-lelli1979年、イタリアのトリノ生まれ。イモラのピアノ・アカデミーにおいてピアノをフランコ・スカラに、作曲と電子音楽をトリノのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院にて学んだ。94年、ルチアーノ・ベリオ、エリオット・カーター、マウリッツィオ・ポリーニ、チャールズ・ローゼンといった音楽界の重鎮が審査員を務めるウンベルト・ミケーリ国際ピアノ・コンクールで優勝後、ヨーロッパの主要オーケストラから共演依頼を受け、以来、ヨーロッパ、北米、日本の主要な音楽都市で公演を行い、多くの著名オーケストラ、名だたる指揮者との共演は数えきれない。CDは、3枚をドイツ・グラモフォンよりリリース。02年にマリオ・ヴェンツァーゴ指揮バーゼル交響楽団とシューマンの「ピアノとオーケストラのためのファンタジー」(ピアノ協奏曲イ短調作品54のオリジナル・バージョン)をレコーディング。05年にはショパンの4つのスケルツォをデッカよりリリースしている。2007/08シーズンはベルリン・ドイツ交響楽団、ベルリン交響楽団、フィルハーモニア管弦楽団などと共演。また、カシオーリは指揮者・作曲家としても目覚しい活躍をしており、カンマーオーケストラ・ベルリンではモーツァルトとシューベルトのプログラムを指揮。00年11月の日本ツアーでは彼自身が作曲した《ピアノ変奏曲》の世界初演を行い、01年にはヴァイオリン奏者ステファノ・モロと自作の《ヴァイオリンとピアノのためのソナタ》の初演を行った。自作の《ピアノフォルテのためのソナチネ(2004)》の初演は04年9月のハンブルク音楽祭で行われ、05年3月にはウィグモア・ホールでイギリス初演が行わている。
2020年01月09日「劇場」や、演劇が上演される“場”が近年、少しずつ変容しているように思う。若葉町ウォーフも、そんな場所のひとつではないだろうか?『会社の人事~歌なき平成の歌 / 令和アンダーグラウンド』が1月12日(日)から20日(月)まで横浜の若葉町ウォーフで上演される。若葉町ウォーフは、劇作家・演出家の佐藤信らを中心に運営される民間アートセンター。佐藤と言えば劇団黒テントでの活動で日本の演劇界を牽引してきただけでなく、世田谷パブリックシアターや東急文化村・オーチャードホールなどさまざまな大劇場の芸術監督・プロデューサーをつとめてきた人物だ。そんな彼が仲間たちと4人で2017年に立ち上げたこのスペースは築50年のビルを改築し、小劇場・稽古場・宿泊スペースを兼ね備えている。従来の民間の小劇場ではできなかった、施設の特徴を生かしたアーティスト・イン・レジデンスや、長期滞在型の国際ワークショップなども可能になる場所なのだ。大岡川と伊勢佐木モールの中間という、その立地も面白い。そんな個性的なアートセンターの新たな主催公演は、「平成を駆け抜けた“おっさん”たちの物語」。大岡川の川縁、時空の歪みに現れたバーに、会社を退く日を迎えた男が迷い込む……まさにこの若葉町ウォーフという場所と、この時代に合わせて書き下ろされた作品だ。作者の犬井邦益は、自分自身企業戦士として働いていた経験があるという。演出と美術は佐藤が担当、出演者には龍昇、塩野谷正幸(流山児★事務所)、大西一郎、丸山雄也(平泳ぎ本店)、服部容子、牧凌平という二世代の俳優が顔を揃えた。明けて「令和2年」がスタート。新元号にもようやく慣れてきた今日このごろに、改めて「平成」を振り返ってみるのも良いのでは?それも昭和と平成の匂いがしっかりと染み付いた場所で。そんな体験を叶えてくれる公演だ。文:川口有紀
2020年01月09日山田孝之を主演に迎えた、重松清原作の実写映画『ステップ』が、4月3日(金)より全国公開される。この度、本作の場面写真が公開された。本作の主人公は、妻に先立たれてから1年、娘の美紀と再出発を決意した健一(山田)。彼は、思い通りにならない仕事と育児の両立に悩みながらも、忙しい現代社会の中で、自分自身の大切なものを見失わないように、ゆっくりと成長していく。近年はエキセントリックな役柄のイメージが広く浸透している山田だが、今回は実年齢と重なる等身大の男性、しかも初のシングルファザー役だ。健一や美紀を見守る登場人物には、國村隼、余貴美子、広末涼子、伊藤沙莉、川栄李奈などの俳優陣が結集し、物語を彩る。監督は、『虹色デイズ』『笑う招き猫』『大人ドロップ』などを手がけた飯塚健。そして主題歌は、秦基博が本作のために書き下ろした新曲『在る』だ。この度公開された場面写真では、健一と美紀の姿を中心に、彼らを取り巻く人々との日常のワンシーンが写し出されている。健一と美紀との2ショットでは、2歳半の美紀をベビーカーに乗せて保育園を訪れる姿や、小学校低学年の美紀と笑顔で寄り添う姿、そして小学校高学年の美紀とキッチンでハンバーグをこねる姿など、父娘の10年間を切り取った、微笑ましいシーンが。一方で、同僚の奈々恵(広末)と残業に勤しむ場面や、保育士の“ケロ先生”(伊藤)の元にベビーカーで娘を送る場面など、シングルファザーとして仕事と育児の両立に奮闘する健一の姿も確認できる。そのほか、亡き妻の面影を持つ行きつけのカフェ店員(川栄)や、浴衣姿の美紀をいとおしそうに見つめる健一の義父(國村)と義母(余)のカットも見られる。原作者の重松は完成した映画を観て、「エンドロールの後も、出てきた人たちが生きていると感じられて、その先をまた書きたいと思った」と語っている。『ステップ』4月3日(金)より全国公開
2020年01月09日『ぴあ』がセレクトする今が旬♡なイケメンに、今ハマっていることや恋愛のこと、お仕事観を聞いちゃいます!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()
2020年01月09日ゴスペラーズが本日1月9日、兵庫県・神戸国際会館こくさいホールで「ゴスペラーズ坂ツアー2019~2020 "G25"」を開催する。ゴスペラーズは昨年「世界には、ハーモニーが足りない。」というテーマでデビュー25周年プロジェクトを行ってきた。25周年の記念日である12月21日には、デビューシングル『Promise』から最新作『VOXers』までのシングルコレクションとなる『G25 -Beautiful Harmony-』を発売。2020年以降もさらなる飛躍が期待される。「ゴスペラーズ坂ツアー2019~2020 "G25"」は前述した新作と同じく、記念日にスタートした全都道府県ツアーだ。東京・かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールを皮切りに、7月の大阪・フェスティバルホールまで全国をめぐる。本日は25周年の感謝を日本各地に届ける本ツアーの5日目。これまで発表してきた名曲の数々が円熟味あふれるハーモニーで堪能できるはずだ。この機会を見逃さないでほしい。■公演情報「ゴスペラーズ坂ツアー2019~2020 "G25"」日時:1月9日(木)開場17:45/開演18:30兵庫・神戸国際会館 こくさいホール
2020年01月09日大阪の住吉大社で恒例の市戎大国社例祭が開催される。市戎大国社(いちえびすだいこくしゃ)は、“住吉のえべっさん”として人々が親しまれており、商売人から強く支持されている。“大阪最古のえびす祭り”とされる市戎大国社例祭「えべっさん」は毎年、1月9日と10日に行われ、福の餅まきや、願いごとが書かれた祈祷木の焚き上げが行われる。祈願する人だけでなく、福笹を求める人々、野菜の即売を目当ての人などが例年、多く足を運んでおり、今年も賑わいそうだ。市戎大国社例祭「えべっさん」1月9日(木)、10日(金)住吉大社
2020年01月09日国民的女優として愛された故・樹木希林を、多くの映像や写真、愛用品を通して振り返る展覧会『樹木希林 遊びをせんとや生まれけむ展 特別編』が、そごう美術館にて1月26日(日)まで開催されている。2018年9月に他界した俳優の樹木希林。同展は、生前の貴重な愛用品、写真や映像など約300点の展示を通して、もう一度「希林さん」に会えるというもの。渋谷・池袋・広島で好評を博した完全版5章に、「きものの部屋」「京都の部屋」を加えた全7賞によるそごう美術館だけの特別編だ。完全版5章では、唯一無二であり続けた女優としての日々を振り返る「日本アカデミー賞の部屋」「映画女優の部屋」、デビュー前の写真から、こだわり抜いた服・着物などを紹介する「一個人の部屋」、愛用品を展示する「日常の部屋」、多くのメディアで語られた言葉を集めた「言葉の道」で構成される。加えて、きもの愛と創意工夫にスポットを当て、愛用した着物約30点を展示する「きものの部屋」、長きに渡り通い続けた京都での足跡を写真で辿る「京都の部屋」が、そごう美術館限定で登場する。会場では、Tシャツやトートバッグ、自筆イラストを施しただるまなど、限定グッズの販売も。展覧会のタイトルになっている「遊びをせんとや生まれけむ」は、平安時代の歌謡集『梁塵秘抄』からの引用。樹木希林が生前に愛したその言葉どおり、遊び心を忘れず、生きることを楽しんだ「希林さん」の生き様を身近に感じとることができる展覧会だ。【開催情報】『樹木希林遊びをせんとや生まれけむ展特別編』1月26日(日)までそごう美術館にて開催【関連リンク】 そごう美術館()
2020年01月09日アクションと殺陣に定評ある劇団・30-DELUXと、殺陣を取り入れたダンスパフォーマンスが人気のジャニーズJr.の4人組ユニット・宇宙Six。2018年の『スクアッド』、2019年の『のべつまくなし』と続いてきた両者のコラボレーションの、第3弾となる『のべつまくなし・改』が1月10日(金)に開幕する。好評を博した第2弾以降、単独主演作を含む多くの舞台を経験してきた宇宙Sixの江田剛、山本亮太、松本幸大、原嘉孝。彼らが室龍太(関西ジャニーズJr.)、坂元健児ら新たなキャストと共に、『のべつまくなし』をバージョンアップして贈る作品だ。舞台は赤穂浪士の仇討ちに沸く江戸の町。脚本の米山和仁は、「この仇討は実は仕組まれた芝居だった!?」との新解釈に基づき、心中をプロデュースする謎の商人と劇作家が江戸の町を駆け巡る独自のストーリーを展開する。歌やダンス、そしてもちろんアクションや殺陣も取り入れて展開される本編のあとには、宇宙Sixによるレビューショーも。1月12日(日)まで池袋の新劇場、東京建物Brillia HALLで行われる東京公演を皮切りに、1月17日(金)に福岡市民会館 大ホール、1月24日(金)から26日(日)まで大阪・サンケイホールブリーゼ、1月28日(火)・29日(水)名古屋市芸術創造センターと計4都市を回り、“新感覚アクションプレイミュージカルの決定版”を全国に届ける。文:町田麻子
2020年01月09日三谷幸喜が劇団東京ヴォードヴィルショーのために書き下ろしたシチュエーションコメディが、装いも新たにお目見えだ。『「罪のない嘘」~毎日がエイプリルフール~』と題されたその舞台が、本日1月9日に開幕する。物語の舞台は、とあるマンションの一室。以前、この部屋に住んでいた男が、テレビの修理屋を装ってやってくる。離れて暮らす娘が婚約者を連れてくるため、4日前まで住んでいたこの部屋が留守になる日を調べあげ、ひと芝居打とうというのだ。しかし、今の居住者である夫婦が突然の帰宅。さらにはマンション自治会の副会長夫妻や不動産屋、娘の婚約者の両親までが、続々と部屋を訪れる……。同作が初めて上演されたのは1996年。『アパッチ砦の攻防』のタイトルで、喜劇通を大いに唸らせた。今回はモトイキシゲキの演出で、今までとは違った新味あふれる舞台となる。出演は片岡鶴太郎、鈴木杏樹、ふぉ〜ゆ〜の辰巳雄大(1・2月公演)、関西ジャニーズJr.の室龍太(3月公演)らバラエティ豊かな顔ぶれに加え、佐藤B作、あめくみちこ、佐渡稔ら、いつもの東京ヴォードヴィルショーのメンバーも大いに喜劇魂を炸裂させる。喜劇を知り尽くした作家が作った芝居を、喜劇を知り尽くした俳優たちが演じる。嘘をつけばつくほど、ピンチがどんどんふくらんでいく様はまさに圧巻。2020年の初笑いに、おすすめの一本である。1月19日(日)までヒューリックホール東京、1月23日(木)から25日(土)までCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホール、2月18日(火)に広島JMSアステールプラザ 大ホール、2月20日(木)に福岡市民会館 大ホール、2月22日(土)に北九州芸術劇場 大ホール、3月27日(金)から29日(日)まで愛知県産業労働センター ウインクあいちで上演される。文:小川志津子
2020年01月09日プロデューサー組合(PGA)が、ノミネーションを発表した。長編映画部門の候補は、『1917 命をかけた伝令』『フォードVSフェラーリ』『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』『アイリッシュマン』『ジョーカー』『パラサイト 半地下の家族』『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』『マリッジ・ストーリー』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』『ジョジョ・ラビット』。長編アニメ映画部門の候補は『アナと雪の女王2』『トイ・ストーリー4』『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』『Missing Link』『Adominable』だった。PGAの長編映画部門受賞作はオスカーの作品賞と重なることが多く、この賞は非常に注目される。昨年も、『グリーンブック』がこの両方を受賞した。授賞式は1月18日。文=猿渡由紀『パラサイト 半地下の家族』1月10日(金)全国公開
2020年01月08日ロロの三浦直之は、演劇になじみのない若い世代に、今最も作品を届けられる作・演出家のひとりだと思う。新作『四角い2つのさみしい窓』は、解散公演に臨む劇団員たち、出産を控えた若い夫婦、そしてユビワとムオクと名乗る不思議な男女の3組が、海沿いの町に建てられたゴーストウォールという名の世界初の「透明な防潮堤」を目指して旅をする中で交差するロードームービー演劇だ。東日本大震災以降、被災した各地域では防潮堤の建設が進められている。その中で、景観に配慮して建てられたアクリル製の防潮堤から三浦が着想を得た。三浦直之は宮城県出身。小学3年生まで、特に被害の大きかった女川町で過ごした。震災時にはすでに東京で暮らしていた三浦は「宮城県の人間だから完全に非当事者ではないですけど、感覚的には非当事者側に近い」と震災との距離感を語った上で、今作に限らず「ずっと震災は僕の中で続いているモチーフ」と想いを込める。「今回もことさら震災を打ち出したいわけではないけれど、僕が生きていく中で、“分断”というのを強く感じていて。“分断”を超えていくのではなく、僕たちを“分断”しているその線を認識した上で共に生きることができないか、という問いは、この作品の中にも込められています」「透明な防潮堤」はそんな“分断”の象徴だ。震災のみならず、経済格差からジェンダーまで、近年、“分断”は社会を語る上で欠かせないワードとなっている。三浦直之の綴る作品は、非日常的な浮遊感とぬくもりを帯びながら、1987年生まれの三浦の社会観や家族観がダイレクトに反映されているところが面白い。たとえば、三浦がここ数年テーマとして取り組み続けている“集団”も、人とのつながりやコミュニティについて強い関心を寄せるミレニアル世代にとっては、共鳴しやすいトピックだ。「劇団って、どうしても主宰である僕が権力を握りやすい。そうしたいわゆる“家父長制”を乗り越えた集団をどうしたらつくれるかをずっと考えている」と構想の背景を明かす。今作でも家族という共同体が重点的に描かれているが、全体を通して浮かんでくるのは“関係性”というキーワードだ。「集団には役割というものがあって。たとえば劇団なら僕が演出家で、俳優たちには俳優という役割がある。でもその役割が固定化されず、状況によって変化したらどうなるだろうって。たとえば、ある場面では僕が父的ではあるけれど、別の場面では僕が子的になり、他の誰かが父的になったり母的になる。そんなふうに集団の中でコロコロと役割を組み替えていくようなコミュニティをつくれないかなということを考えながら作品を書いていきました」三浦直之撮影:三上ナツコロロも旗揚げから10周年を迎えた。メンバーの板橋駿谷が『なつぞら』で脚光を浴びるなど、取り巻く状況は変化期に差しかかっている。三浦もまた「俺はロロを続けなきゃいけないんだって、自分で自分に呪いをかけている部分があったことに、この作品をつくりながら気づいて。その思い自体はポジティブなものだと思っているんですけど、昔ほどそれに執着しなくなっているなとも感じはじめています」と心境の変化を見せる。「この先、ロロの作品で全員が揃うことってちょっとずつ少なくなっていくと思うんです。でも僕は、それでいいと思っていて。今回も駿谷さんはいないですけど、単にいないじゃなくて、“でも、いる”って感じられるような、今ここにいない人もどこかにいて、それも込みで集団って言えるようにしていけたら」何より三浦自身も外部の仕事が続いている。昨年は、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』『逃げるは恥だが役に立つ』と人気原作の朗読劇を手がけ、脚本を担当したドラマ『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』も高い評価を受けた。こうした原作ものを手がけたことで「他人が書いた言葉にどう向き合っていくか」に悩んだと言い、たとえば同性愛者の高校生の青春を描いた『腐女子〜』では「自分はゲイではないから、そこに対して変に感情移入した言葉を書くことは、むしろ原作に対して間違った行為なんじゃないか」と苦悩した。非当事者が、当事者の言葉を書く。それは、確かにある種の傲慢さを孕んだ行為だ。けれど、そんな傲慢さを敏感に察知し、真摯に向き合える繊細な感受性があるからこそ、三浦直之のつくる作品は人に優しいのだと思う。「自分は間違えるかもしれない、人を傷つけるかもしれないという怖さは今も続いています。でも、劇団は俳優と一緒につくるものだから。もし僕の言葉に対して違和感があるなら、必ず俳優が言ってくるだろうと信じて頑張って書くしかない」『四角い2つのさみしい窓』は1月19日(日)に阿南市情報文化センター コスモホールで徳島公演を行い、 1月30日(木)から2月16日(日)までこまばアゴラ劇場で東京公演を開催。その後、福島・三重をめぐる計4都市ツアーを予定している。取材・文:横川良明ロロ撮影:三上ナツコ
2020年01月08日2017年に日本初演され、熱狂的なファンを多数生んだ韓国産ミュージカル『フランケンシュタイン』が再演される。知らぬ者はいないゴシックロマンの名作を、大胆な脚色と、難解がゆえに癖になる音楽によって舞台化した作品。また、メインキャスト全員が一人二役を演じるというトリッキーな趣向も人気の秘密で、今回は中川晃教と柿澤勇人(Wキャスト)、加藤和樹と小西遼生(同)、音月桂、鈴木壮馬、相島一之が続投するほか、ミュージカル初挑戦の露崎春女がエレン/エヴァ役として新たに名を連ねる。舞台は19世紀のヨーロッパ。科学者のビクター・フランケンシュタイン(中川/柿澤)は、戦場でアンリ・デュプレ(加藤/小西)の命を救い、ふたりは固い友情で結ばれる。“生命創造”に挑むビクターに感銘を受け、研究を手伝うようになるアンリ。だが彼は、殺人事件に巻き込まれたビクターを救おうとして命を落としてしまう。自らの研究のすべてを注ぎ込み、アンリを生き返らせようとするビクター。だが誕生したのは、アンリの記憶を失った“怪物”だった……。人類の飽くなき探究心、そして愛と友情の物語がスピーディに繰り広げられるミュージカル『フランケンシュタイン』は、本日1月8日から30日(木)まで東京・日生劇場、2月14日(金)から16日(日)まで愛知県芸術劇場 大ホール、2月20日(木)から24日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演される。文:町田麻子
2020年01月08日20世紀以降の国内外のアンビルト/未完の建築に焦点を当てた展覧会『インポッシブル・アーキテクチャー ―建築家たちの夢』が、国立国際美術館で3月15日(日)まで開催されている。この展覧会は、これまで完成に至らなかった構想、提案に留まった刺激的なアイディア、技術的には可能であったものの、社会的条件や制約で実施できなかったプランなど、アンビルト/未完の建築を、約40人の建築家、美術家による図面、模型、関連資料を通して読み解いていくもの。展覧会のタイトルに使われている「インポッシブル」という言葉は、単なる「不可能」という意味ではない。ここでの不可能は、建築の可能性の境界を問い、不可能性に焦点をあてること。つまり、建築における極限の可能性や潜在力を浮かび上がらせようとすることが、この展覧会のねらいである。例えば、展示される《ウラジーミル・タトリン、第3 インターナショナル記念塔》のCG映像やヤーコフ・チェルニホフの書籍挿絵にあるように、1930年代のロシアでは、大胆な曲線を描いた建築を構想していた。実際つくるには相当の技術が必要であろうが、当時の社会的な制約により実現には至っていない。そのようにこの展覧会を見て行くと、完成や実現がなされなかった建築には、既存の制度に対して批評が込められていたり、作者の夢や思考がより直接的に表現されているのではないか、ということに気づくはずだ。なかなか見ることも考えることもできない、貴重な建築の側面が分かる、とても興味深い展覧会である。【関連リンク】 国立国際美術館( )映像制作:長倉威彦《ウラジーミル・タトリン、第3 インターナショナル記念塔》CG 映像 1998 年ヤーコフ・チェルニホフ 書籍『建築ファンタジー 101 のカラー・コンポジション、101 の建築小図』より 挿図 1933 年 個人蔵ブルーノ・タウト《生駒山嶺小都市計画、遠望図、1933 年12 月》1933 年 大和文華館蔵制作監修:瀧澤眞弓《瀧澤眞弓、山の家、模型》1986 年 個人蔵安藤忠雄《中之島プロジェクトⅡ―アーバンエッグ(計画案)公会堂、断面図》1988 年 ギャラリー ときの忘れもの蔵山口晃《都庁本案圖》(会田誠提案による)2018 年 個人蔵 撮影:宮島径
2020年01月08日令和初めてのお正月、こんな時代劇で芝居初めはいかがだろうか。人情味あふれるコメディの名手・鈴木聡が1994年に自らが率いる劇団・ラッパ屋に書き下ろした代表作『阿呆浪士(あほうろうし)』が、本日1月8日に開幕する。時は元禄。主人公は、しがない魚屋の八(はち)だ。ある日、ひょんな取り違いから、赤穂浪士の血判状を手にする。八は同じ長屋のマドンナ・お直の気を引きたい一心で、自分が本物の赤穂浪士だと嘘を付き始める。一方、大石内蔵助の娘のすずが、いつまでも討ち入りを果たさない父に業を煮やして、赤穂から江戸に乗り込んでくる。すずは、お調子者の八を利用して、ニセモノの赤穂浪士たちと討ち入りを決行しようとするが……。今回、演出するのはラサール石井。八に扮するのはA.B.C-Zのメンバーとしてジャンルを問わない活躍を見せる戸塚祥太だ。また、本当の赤穂浪士のひとり、田中貞四郎にふぉ~ゆ~の福田悠太、八が惹かれる相手・お直に南沢奈央、大石内蔵助の娘・すずに乃木坂46の伊藤純奈が扮する。ベテラン勢もバラエティ豊かだ。本作には欠かせない浪曲・三味線を担う浪曲師の玉川奈々福、唯一無二の存在感を見せる竹内都子、大石内蔵助には時代劇もコメディも硬軟自在に演じる小倉久寛がキャスティングされた。鈴木が得意とするのは、どうもうまくいかない、スマートに振る舞えない人々が繰り広げる悪戦苦闘コメディだ。スマートにはいかないけれど、でもそれぞれが、それぞれの人生に一生懸命で、その熱が舞台全体を照らす。本作もまさに、そういった作品群の代表格と言えよう。嘘から始まった討ち入りは、武士道でもなく意地でもなく、「阿呆の神様」に忠臣する者たちの所業だ。ダメダメだけど、愛おしい。かっこ悪いけど、かっこいい。そんな男たちの大奮闘で、心の底からポカポカにしてくれるはずだ。公演は1月24日(金)まで東京・新国立劇場 中劇場、1月31日(金)から2月2日(日)まで 大阪・森ノ宮ピロティホールで行われる。文:小川志津子
2020年01月08日眉村ちあきが本日1月8日、2ndアルバム『劇団オギャリズム』をリリースする。眉村は「弾き語りトラックメーカーアイドル」を自称するアーティストであると同時に社長でもある、という異色の活動を展開している。昨年5月にはメジャー初アルバム『めじゃめじゃもんじゃ』をリリースし、今年からはラジオのレギュラー番組『眉村ちあきのオギャなじかん』(文化放送)を持つなど活動の場を着々と広げてきた。8カ月ぶりの新作となる『劇団オギャリズム』には、ボーナストラックを含めた全14曲が収録。前作よりも制作に時間をかけられており、歌や作曲など音楽的な成長を感じられる内容になっている。眉村本人も「この1年間で学んだことは、良い曲作れても歌詞がヘンだともったいない!ってことでした。どっちでもいいんだけど、私は歌詞も曲も好きって思ってもらいたいので、歌詞を書くことへの姿勢が変わったと思います。そのせいでスランプっぽくもなった。そこら辺はマイブームなだけでまた変わるかもしれませんが、今の眉村はこんなだよって感じていただけると思います。あと、歌も上手くなってるの、わかるよ!! このアルバム担いでMステでるぞ!!」とコメントを寄せている。なお限定盤に付属するDVDには2019年6月に東京・新木場STUDIO COASTで行われた「眉村ちあき 3rdワンマンライブ~東京湾へダイビング!~」の模様が収められている。■リリース情報2nd New Album『劇団オギャリズム』発売:2020年1月8日(水)価格:[限定盤]CD+DVD¥5000(税込み)『2019.6.4 眉村ちあき3rd ワンマンライブ~東京湾へダイビング!~』[通常盤]CD¥3000(税込み)『劇団オギャリズム』CDショップ購入者特典TOWER RECORDS / TOWER RECORDS ONLINE※一部店舗を除く特典CD:『ピッコロ虫 from 20191107 Shibuya WWW』TOWER RECORDS以外のショップ※一部店舗を除く劇団オギャリズム オリジナルB5クリアファイル<CD収録曲>1.DEKI☆NAI2.壁みてる3.夏のラーメンワルツ4.おばあちゃんがサイドスロー5.タイムスリッパー6.あたかもガガ7.緑のハイヒール8.チャーリー9.スクワットブンブン10.私についてこいよ11.スーパードッグ・レオン12.顔面ファラウェイ13.ぬBonus Track:アハハハハチャーリー(レコーディング前日までこれになる予定だったVersion)<限定盤DVD収録内容>24曲入り・収録時間:123分2019年6月4日(火)東京・新木場Studio Coast『眉村ちあき3rd ワンマンライブ~東京湾へダイビング!~』1.東京留守番電話ップ2.ブラボー3.メソ・ポタ・ミア4.Queeeeeeeeeen5.ほめられてる!6.ナックルセンス7.スクワットブンブン8.MCマユムラ9.コカコ○ラのスリッパ壊れた10.おじさん11.ピッコロ虫12.荻窪選手権13.I was born in Australia.14.おばあちゃんがサイドスロー15.スーパーウーマンになったんだからな!16.開国だ17.ツクツクボウシ18.奇跡・神の子・天才犬!19.代々木公園20.書き下ろし主題歌21.緑のハイヒール22.大丈夫23.本気のラブソング24.ビバ☆青春☆カメ☆トマト
2020年01月08日脚本家組合(WGA)が、ノミネーションを発表した。長編映画の脚本部門の候補は、『1917 命をかけた伝令』『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』『マリッジ・ストーリー』『パラサイト 半地下の家族』『Booksmart』。長編映画の脚色部門の候補は、『ジョーカー』『ジョジョ・ラビット』『アイリッシュマン』『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』『A Beautiful Day in the Neighborhood』。WGAは、賞の資格に特有のルールを設けていることから、オスカーの候補と必ずしも一致しないことが多い。今年も、クエンティン・タランティーノの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』とペドロ・アルモドバルの『Pain and Glory』が対象外となっている。授賞式は2月1日。文=猿渡由紀『ジョーカー』全国公開中
2020年01月07日EPOCH MAN 新春ひとり芝居『鶴かもしれない2020』が1月9日(木)から13日(月・祝)まで東京・下北沢の駅前劇場にて上演される。EPOCH MANは、鴻上尚史率いる虚構の劇団の一員であり、近年は新感線☆RS『メタルマクベス』や別冊「根本宗子」第7号『墓場、女子高生』などで存在感を示す俳優・小沢道成が、自らのやりたい演劇を探求するために立ち上げたソロプロジェクト。脚本・演出はもちろん、舞台美術や制作面までほぼひとりで手がけ、寡作ながら毎回ユニークで良質な作品を生み出し続けている。童話『人魚姫』をモチーフに本気の恋に溺れた人魚の痛みと祈りをパワフルかつロマンティックに描いた『Brand new OZAWA mermaid!』や、上京以来ずっと同じ部屋で暮らし続ける独身女性の孤独と暴走をハイテンションかつアイロニックに描いた『みんなの宅配便』など、女性の心理を描かせたら天下一品の小沢。その代表作と言えるのが、この『鶴かもしれない』だ。2014年の初演、2016年の再演に続き、今回が3度目の上演。愛する男のために、どんどん泥沼に嵌りこんでいく女の末路を、小沢がたったひとりで演じあげる。本作の下敷きとなっているのは、昔話の『鶴の恩返し』。命を救ってくれた男のために、自分の羽をむしってまで美しい機(はた)を織り上げた鶴の物語と、現代の東京で出会った若い男女のすれ違いをオーバーラップさせながら、物語が進んでいく。3台のラジカセを使った独特の演出スタイルや、いくつものギミックが仕掛けられた舞台美術など、見どころはさまざまだが、最大の魅力は切れ味鋭い小沢のセリフ術。愛する男に喜んでほしい。ただそれだけなのに、不器用な女はつい方法を間違えてしまう。女がとった行動は確かにアンモラルかもしれない。だけど、そんなふうにしか愛を表現できない気持ちは、きっと多くの人が共感できるはず。いびつで、過剰で、痛々しい女の愛し方と、それに戸惑う男の本音を炙り出す小沢の生々しいセリフは、大なり小なり修羅場を経験してきた大人たちにはまるで自分に浴びせかけられているようで、つい耳を塞ぎたくなりながらも、どうしようもなく哀れでまっすぐな女に心がシンクロしてしまう。どれだけ年を重ねても、愛し方だけは上手くならない。そんな愛することが下手で不器用なすべての人たちに観てほしい会心の1本だ。文:横川良明
2020年01月07日印象派・ポスト印象派の巨匠たちの作品が並ぶ展覧会『コートールド美術館展魅惑の印象派』が愛知県美術館で1月3日(金)から3月15日(日)まで開催される。コートールド美術館は、ロンドン大学に付属するコートールド美術研究所の美術館として、1932年に開館した。実業家サミュエル・コートールドが収集した印象派・ポスト印象派のコレクションが核となっている。この展覧会では、美術史研究や科学的調査の結果などを取り入れながら、選りすぐりの絵画、彫刻約60点が並ぶ。会場は3章で構成される。第1章「画家の言葉から読み解く」では、ホイッスラー、モネ、セザンヌ、ファン・ゴッホらの作品とともに、彼らが書いた手紙などの言葉を紹介。そこからどのような思いで風景を見つめ、何を考えながら筆をとったのか、思いを巡らせることができよう。第2章「時代背景から読み解く」では、作品に描かれたものや人の細部に注目することで、産業化が進んだ19世紀という時代を見て行く。第3章「素材・技法から読み解く」は、X線や赤外線を用いた科学的な調査・研究を元に、緻密な色彩や画面に残された筆跡を解き明かし、画家の工夫や試行錯誤を明らかにする。さらに、マネ最晩年の傑作中の傑作と言われる《フォリー=ベルジェールのバー》が約20年ぶりに来日。また、ルノワール、ゴーガンの傑作や世界有数のセザンヌ・コレクションから10作品が展示されるなど、見どころの多い展覧会だ。【関連リンク】 『コートールド美術館展魅惑の印象派』()エドガー・ドガ《舞台上の二人の踊り子》1874年油彩、カンヴァス61.5×46cm コートールド美術館(c) Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)ポール・ゴーガン《ネヴァーモア》1897年油彩、カンヴァス60.5×116cmコートールド美術館(c) Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)フィンセント・ファン・ゴッホ《花咲く桃の木々》1889年油彩、カンヴァス 65×81cmコートールド美術館(c) Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)クロード・モネ《アンティーブ》1888年油彩、カンヴァス65.5×92.4cmコートールド美術館(c) Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)アメデオ・モディリアーニ《裸婦》1916年頃油彩、カンヴァス92.4×59.8cmコートールド美術館(c) Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
2020年01月07日主演を務めるミュージカル界のプリンス、井上芳雄をして「日本のオリジナルミュージカルの最高傑作だとずっと思い続けてきました」と言わしめる『シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ』が、本日1月7日より東京・シアタークリエにて上演される。良質なオリジナル作品を多数生み出してきた音楽座が、1988年に旗揚げ公演として初演し、その後もたびたび上演しては客席を感動の涙で包んできた名作だ。主人公はシャイで少し頼りない青年、悠介(井上)。作曲家として身を立てるという夢に向かって懸命に努力していた彼はある日、スリを生業としている少女・佳代(咲妃みゆ)と出会う。身寄りがなくひねくれて生きていた佳代だが、「いつの日か夢は叶う」と語る悠介を見て、忘れていた素直な気持ちを思い出していく。やがて作曲家として認められ始めた悠介と、小さな幸せを大切に過ごせるようになった佳代。だが佳代には本人も知らない秘密があり、それがふたりと周りの運命を大きく動かしていくのだった……。出演はほかに、畠中洋、吉野圭吾(Wキャスト)、濱田めぐみ、上原理生、仙名彩世、福井晶一(Wキャスト)、土居裕子ら。佳代役オリジナルキャストの土居をはじめとする元音楽座のメンバーと、この作品がきっかけでミュージカルの道を志したと語る俳優が多く含まれていることも話題となっている。作品を大切に思う豪華キャスト陣、そして進境著しい小林香の演出によって、名作にまた新たな命が吹き込まれることだろう。2月2日(日)までシアタークリエ、2月7日(金)から9日(日)まで福岡市民会館 大ホール、2月12日(水)から15日(土)まで大阪・新歌舞伎座にて上演。文:町田麻子
2020年01月07日日本との関わりも深い、イタリアを中心に活動してきた陶芸家ニーノ・カルーソの回顧展『記憶と空間の造形 イタリア現代陶芸の巨匠ニーノ・カルーソ』が、京都国立近代美術館で1月4日(土)から2月16日(日)まで開催される。2017年にニーノ・カルーソが亡くなってから、この展覧会が世界初の回顧展となる。1950年代から制作を始めて以降、晩年までの92点の代表作、デザインワーク、スケッチなどを紹介する。カルーソの作品は、素材が陶磁に留まらず、鉄やセメント、グラスファイバーなどを用いて、神話性や象徴性をテーマの一つにしてきた。この展覧会は、5つのコーナーで構成される。「アルカイックシリーズ」は、紐作りで成型してざらついた質感の釉薬、人体を思わせるフォルムと装飾が特徴で、1960年代中ごろまで手掛けていた。また、「鉄の彫刻」は、50年代から60年代にかけて意欲的に制作した、切り取られた鉄板の断片で構成される作品だ。続いて、発泡スチロールでつくった複数のパーツを構成したものを原型とし、鋳込み技法で制作した「デザイン」、発泡スチロールの雄型・雌型を上下左右に組み合わせた「モジュラー彫刻」、「夢の記憶」ではカルーソ自身が見た夢が元となった手捻りによる家型の彫刻作品が並ぶ。こうしたニーノ・カルーソの足跡をたどることで、地中海地方の神話や風土、建築物に着想を得た作品群、作品とその空間との関係性、技術や素材、アイデアなどを垣間見ることができるだろう。【関連リンク】 京都国立近代美術館( )ニーノ・カルーソ《抱擁》1957年ニーノ・カルーソ《鷺》1958年ニーノ・カルーソ《把手付壺》1983-84年ニーノ・カルーソ《エトルリア人》1985年ニーノ・カルーソ《シチリアの記憶》1999-2004年
2020年01月07日『フォードvsフェラーリ』で描かれるのは、1960年代のモータースポーツ界だ。その頂点に君臨し、ル・マン24時間耐久レース6連覇の絶対王者でもあるイタリアのフェラーリに対し、アメリカのフォード・モーター社のフォード会長は、代表同士の衝突をきっかけに、王者の座を奪い取ることを決意する。主人公は、マット・デイモンが演じる、元レーサーのカーデザイナー、キャロル・シェルビー。彼はフォードから、フェラーリに勝てるレースカー開発を依頼される。しかし、当時のフェラーリとフォードの差は歴然。どう考えても無謀な計画に思える。だが、シェルビーにはまだレーサーとしての熱い心が残っていた。途方もない依頼を引き受けてしまったシェルビーは、次のル・マンまでは90日しかないという状況で、勝利のために破天荒なイギリス人ドライバー、ケン・マイルズをチームに加え、改良テストを重ねることで最高のマシンを作ろうとする。そのマイルズを演じるのが、クリスチャン・ベイルだ。マイルズのストレートすぎる物言いは、フォード社の上層部の反感を買うことになってしまう。勝利を目指すシェルビーは、マイルズと会社の間に立ち、なんとか彼をつなぎとめるように奮闘。いつしかシェルビーとマイルズは熱い友情で結ばれていく。破天荒なことをなしとげるには、破天荒な改革をするしかない。そして、破天荒な試みを助けるには、細心のサポートが必要になる。シェルビーとマイルズの役割は異なるが、共通するのは、レースへの熱い想いだ。役柄では助け合う関係だが、デイモンとベイルは、ハリウッドきっての演技派スターである。果たしてどちらが、より“アツい”男を表現できるのか。レース界で強力なライバルが競うからこそ発展するように、デイモンとベイルのぶつかり合いによって、さらにヒートアップした彼らの演技に要注目だ。『フォードvsフェラーリ』1月10日(金)全国公開
2020年01月07日「ぴあ」調査による2019年12月27日、2020年1月2日、3日公開のぴあ映画初日満足度ランキングは、韓国で大ヒットしたアクション・コメディ『エクストリーム・ジョブ』が第1位になった。本作は、捜査のためになぜかフライドチキン店を営業することになってしまう麻薬捜査チーム5人の奮闘を描いた作品で、韓国では1600万人を動員するヒットを飛ばし、歴代興行収入ランキング第1位になった。日本では1月3日に封切られた。上映後のアンケート調査では「後味がよくて初笑いにピッタリ」「みんなが笑っていたので気にせずに大笑いできた」「楽しくて人情味あふれる映画だった」「アクションシーンもよかったし、たくさん笑わせてもらった」「5人の人柄が見どころ。ひとりひとり個性があって、そこに魅力が詰まってる」などの声が寄せられ、高い満足度をつける人が続出。中には評判を聞いて足を運んだという人もおり、「韓国の映画ってこんなにギャグをぶっ込んじゃうんだっていう驚きと面白さにやられた。韓国で大ヒットした理由が観てわかった」「韓国映画を観たことがなかったけれど、これは本当におもしろかった!」などの声も。また「老若男女楽しめる映画なので、上映をもっと拡大してほしい!観れないなんてもったいない!」と熱く語る人もいた。1位『エクストリーム・ジョブ』93.3点2位『男はつらいよお帰り 寅さん』93.0点3位『新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のALFA-X』92.6点4位『FOR REAL-戻らない瞬間、残されるもの。-』92.1点5位『だれもが愛しいチャンピオン』91.9点6位『さよならテレビ』86.2点7位『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』85.3点8位『尾崎豊を探して』83.0点9位『マニカルニカ ジャーンシーの女王』82.1点10位『燃えよスーリヤ!!』67.9点(本ランキングは、12/27(金)、1/2(木)、1/3(金)に公開された新作映画10本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)
2020年01月06日1月4日、5日の全国映画動員ランキングは、『アナと雪の女王2』(全国382館)が公開7週目で再び首位に返り咲いた。公開3週目の『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(全国378館)は2位。人気シリーズ22年ぶりの新作『男はつらいよお帰り 寅さん』(全国353館)は公開2週目は3位になった。(※公開1週目は初登場4位。)公開3週目の『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』(全国313館)は4位に。同じく公開3週目の『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』(全国329館)は5位につけている。そのほか公開4週目の『屍人荘の殺人』(全国311館)が順位をあげて先週9位から7位に。公開4週目の『ジュマンジ/ネクスト・レベル』(全国341館)は先週10位から9位に。公開5週目の『ルパン三世THE FIRST』(全国349館)は先週11位から10位になった。話題を集めた人気テレビアニメの劇場版『新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のALFA-X』(全国190館)は11位につけている。(※公開1週目は初登場8位。)次週は『音楽』『カイジ ファイナルゲーム』『劇場版れっしゃだいこうしん2020ドキドキすごろくツアー』『シライサン』『ダウントン・アビー』『ティーンスピリット』『フォードvsフェラーリ』などが封切られる。全国映画動員ランキングトップ10(興行通信社調べ)1位『アナと雪の女王2』2位『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』3位『男はつらいよお帰り 寅さん』4位『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』5位『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』6位『映画 妖怪学園Y 猫はHEROになれるか』7位『屍人荘の殺人』8位『午前0時、キスしに来てよ』9位『ジュマンジ/ネクスト・レベル』10位『ルパン三世THE FIRST』
2020年01月06日『アナと雪の女王2』が、アニメーション映画の世界興収新記録を達成した。現在までの数字は13億2,500万ドル。これまでの歴代1位だった『アナと雪の女王』の成績は12億8,100万ドルだ。現在もまだ全世界にて大ヒット上映中で、これからまだ数字を伸ばしそうである。現段階での北米興収トータルは4億5,000ドル。北米外の1位は中国で1億1,800万ドル。2位は日本の1億380万ドル、3位は韓国の9,600万ドル。4位はイギリス、5位はドイツ。1作目のトップ5は、日本、韓国、イギリス、ドイツ、中国の順だった。文=猿渡由紀『アナと雪の女王2』全国公開中
2020年01月06日日本を代表するチェロ奏者で指揮者の鈴木秀美率いる“オリジナル楽器集団”オーケストラ・リベラ・クラシカによるシリーズ7回目の公演テーマは「古典派の弦」。プログラムには、モーツァルトの「ディヴェルティメント」&メンデルスゾーンの「弦楽のためのシンフォニア」といった弦楽アンサンブルの名曲中の名曲が並び、作曲家が生きた時代の音色を味わう素敵な時間が披露される。2001年に鈴木秀美の主宰によって結成された同オーケストラは、オリジナル楽器演奏とその研究を旨とするプロフェッショナル集団だ。普段聞き慣れた音楽が、彼らの演奏によってガラリと趣を変えた姿で浮かび上がる様はまさに目からウロコの連続。作品本来の旨味を味わう絶好のチャンスがここにある。●公演概要1月11日(土)パルテノン多摩小ホール「鈴木秀美KLASSIKの世界vol.7」●鈴木秀美(チェロ)神戸生まれ。「18世紀オーケストラ」「ラ・プティット・バンド」等のメンバー及び首席奏者として活躍した。鈴木雅明の主宰する「バッハ・コレギウム・ ジャパン」では創立から2014年まで首席チェロ奏者として、J.S.バッハの全宗教曲の演奏及び録音で通奏低音を務めた。ヨーロッパ各地、オーストラリア、中国、韓国、ベトナム等で演奏する他各地の講習会で講師を務め、94年に新設されたブリュッセル王立音楽院バロック・ チェロ科に教授として招聘され、2000年に日本へ帰国するまで務めた。 91年9月《バッハ/無伴奏チェロ組曲全曲》日本全国ツアーの好評により同年度の村松賞大賞を受賞。99年より2008年まで、水戸芸術館専属の弦楽四重奏団「ミト・デラルコ」としても活動した。「ガット・サロン」「ガット・ストリーム」等の室内楽シリーズを行うほか、楽遊会(らくゆうかい)弦楽四重奏団としても活動している。録音では、バロック~初期ロマン派までのソロ・室内楽を多数録音し、数多くの独奏者と通奏低音として共演。95年には日本人としては 初めてのオリジナル楽器による《バッハ/無伴奏チェロ組曲全曲》を録音し (DHM、現ソニー)平成7年度文化庁芸術作品賞を受賞、05年に 新録音をリリース(レコード芸術誌特選)。以降同レーベルで日本人初の専属アーティストとして 《シューベルト/アルペジオーネ・ソナタ》《ベートーヴェン/チェロ作品全集》《ロマンス》(ピアノ小島芳子)などのCDを発表し、《ハイドン/チェロ協奏曲集》では1998年、 第36回レコード・アカデミー賞(協奏曲部門)を、また2000年にはベートーヴェンの初期作品のCDでフランスのディアパゾン金賞を受賞した。平井千絵との「メンデルスゾーン: チェロとピアノのための作品集」で06年文化庁芸術祭優秀賞受賞。08年秋には同じく平井千絵と「ショパン・チェロ作品集」をリリースした。2001年に古典派を専門とするオーケストラ・リベラ・クラシカを結成、ハイドンを中心としたプログラムで年に2~3回の公演を行い、《アルテ・デラルコ》レーベルよりそのライヴ録音を続々とリリース。同レーベルにはソロや室内楽のほか声楽アンサンブル《ラ・フォンテヴェルデ》の録音も含まれ、既に50タイトルを超える。指揮活動も活発になりつつあり、オーストラリア、ポーランド、ベトナム等に招かれるほか、日本各地のシンフォニー・オーケストラへの客演指揮・チェロ独奏も好評を博している。山形交響楽団首席客演指揮者。著書に「『古楽器』よ、さらば!」とその改訂版(音楽之友社)、「ガット・カフェ」、「無伴奏チェロ組曲」(東京書籍)、「通奏低音弾きの言葉では」(アルテス・パブリッシング)がある。第37回サントリー音楽賞、第10回斎藤秀雄メモリアル基金賞を受賞。東京音楽大学チェロ科客員教授、東京藝術大学古楽科非常勤講師。雑司谷拝鈍亭終身楽長。●オーケストラ・リベラ・クラシカオリジナル楽器で古典派音楽を専門に演奏するオーケストラ。 チェロ奏者・指揮者の鈴木秀美が主宰・音楽監督をつとめ、2002年5月に旗揚げ公演を開催。 高いレベルのアーティスト三十数名が国内外から集結、表現力の高さと楽曲への斬新なアプローチが話題になっている。 決して広く知られてはいないハイドンの初・中期の交響曲に新たな光を当て、 また《パリ交響曲集》やモーツァルトの名交響曲・セレナーデ等を今までに演奏、現在はハイドンの後期作品、さらにベートーヴェンの交響曲も演奏している。鈴木自身のチェロをはじめ、若松夏美のヴァイオリン、S. ホッホランドやK. ベゼイデンホウトのフォルテピアノ他、 多数の奏者を独奏(唱)に招いて協奏曲や歌曲を演奏した。浜離宮朝日ホールなどでの定期公演はライヴ収録され、アルテ・デラルコ・レーベルからリリース、演奏会とあわせて好評を博している。定期公演は浜離宮朝日ホールから東京文化会館を経て、2011年10月からは上野学園 石橋メモリアルホールで行われる。
2020年01月06日2010年にスタートし、6シーズンが製作され、全世界で人気を集めた傑作ドラマ初の劇場版『ダウントン・アビー』が10日(金)から公開になる。映画もシリーズに引き続き、ジュリアン・フェローズが脚本を担当。彼は撮影現場でキャストの演技を目にし、登場人物が成長を遂げていくのを見守りながら本シリーズの物語を紡いでいったという。フェローズは俳優や小説家などの顔も持つ才人で、ロバート・アルトマン監督作『ゴスフォード・パーク』の脚本を手がけ、英国郊外の豪邸で起こる群像劇を巧みに描き、アカデミー脚本賞に輝いた。そんな彼がイギリス・ヨークシャーにあるカントリーハウス(貴族などが暮らす豪華な邸宅)で起こる人間ドラマを描いたのが『ダウントン・アビー』だ。ドラマでは邸宅やその資産を先代から引継ぎ、次の代に渡そうとしているクローリー家の当主ロバートをはじめ、彼の三人の娘たち、家族、邸宅で働く人々の激動の人生が、20世紀の実際の事件や戦争の影響を受けつつ描き出された。通常、映画や舞台ではキャストが決定する前に脚本が執筆されるが、本作ではドラマの最初の数話の脚本が書かれ、配役が決まり、撮影に入るところからシリーズがスタートした。「第1シーズンの4話目を書いている頃には撮影した映像を観ていた。だから登場人物を知ることができたし、俳優がどんな演技をするかもわかった」とフェローズは振り返る。ドラマは数年に渡って創作されたので、その過程ではキャストが卒業したり、新しいキャラクターが参入したりと様々な出来事が起こったが、フェローズと脚本家チームは外的要因を巧みにドラマづくりに活かしていったようだ。しかし、映画版に与えられた時間は2時間ほど。フェローズは「映画化するためにはある種の統一感と(登場人物の)上階と下階の全員が関わるような一大事に全員で向き合い、力を合わせる話がいいと感じていて、最終的に王室来訪というアイデアに落ち着いた」と説明する。映画版の舞台はドラマの完結から2年後の1927年。英国国王夫妻がダウントン・アビーを訪問することになり、長女メアリーや執事のカーソンは準備を進めるが、またもや邸宅内でトラブルが続出。メアリーは窮地に追い込まれる。フェローズはドラマでも登場人物を“紋切型”に描くことを好まず、物語の中でキャラクターが成長したり、大きく変化したりする様を描いてきた。「パットモアは最初は単なる料理長だったけど、ドラマを通じて素晴らしい変化を見せたと感じている。彼女は自身の主張をしっかり持っている。彼女の身の丈にあったユーモアのセンス、人生観は実際に当時の多くの労働者階級のものだ」。本シリーズでは観客の予想を華麗に裏切るハプニングや陰謀が次々に描かれ、おなじみのキャラクターの知られざる一面が明らかになり、事件を通じて大きな変化を遂げる。つまり、観客は最後の最後まで油断できない!長いドラマシリーズの作り手が2時間の映画をつくることに不安を感じている人もいるかもしれないが、彼らはドラマ放送時に何度か“クリスマススペシャル”と題した特別版を製作しており、限定された尺の中で様々な要素を凝縮して描くことも経験済み。映画は、すでに公開された国々ではファンから支持を集め、興行的にも成功をおさめている。「また、このシリーズを撮れるなんて本当に素晴らしい」と語るフェローズたちがスクリーンでどんなドラマを見せてくれるのか楽しみだ。『ダウントン・アビー』1月10日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
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