チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (118/342)
大地震により津波と原発事故が起きた町を舞台に、夫婦であるヘイゼルとロビン、そして夫婦の元同僚のローズが織りなすドラマ『チルドレン』。ロンドンはウエストエンドで注目を集めた本作の日本初演を前に、ヘイゼル役の高畑淳子とロビン役の鶴見辰吾に話を聞いた。【チケット情報はこちら】ふたりが口をそろえるのは、気鋭の劇作家ルーシー・カークウッドの戯曲の魅力だ。「登場する3人は皆、変な人達(笑)。ロビンは女好きだし、ヘイゼルは異常に几帳面だし、ローズはローズでかなり、おかしな人で。そうした俗物たちの日常が巧みに描かれると同時に、ふとした瞬間には詩的だったりハッとさせられたりするのが、素晴らしいんです」と言う高畑に、鶴見も「僕は劇の途中で登場するので、しばらく高畑さんのヘイゼルと若村(麻由美)さんのローズの会話を聞く時間があるのですが、本当に面白い。その後の僕ら夫婦のやりとりもリアルですよね。しかも、ただその場その場を楽しく盛り上げるだけでなく全てに意味があり、何かしらの伏線になり得るんです」とうなずく。高畑、鶴見ともに、栗山民也の演出は既に経験済み。信頼を寄せる演出家だ。「”栗山マジック”があるんですよ。『アドルフに告ぐ』(2015年)でご一緒した時には、”ある公演の稽古に来なくなったダンサーがいて、どうしたのかと思ったら、舞台に合わせて何日もご飯を食べないとどうなるのかを試すうちに倒れてしまい、保護された”という話をなさって我々を追い込んだ(笑)。栗山さんらしいなあと思いました」と鶴見。「ロジカルに攻めるかと思えば、意外とシンプルに”そこでエビ反りしてみようか”みたいなこともおっしゃるしね。実際にエビ反ってみるとそこがすんなり流れたりするんです。それでうまくいくなら、幾らでもエビ反りますよ!お客さんに届けるためならできることは全てしたいですから」と高畑。経験豊かなふたりにとっても、本作は大きな挑戦の場だという。「僕は60歳過ぎで孫もいる役は初めて。実年齢よりずっと上なので大丈夫だろうかと最初は不安だったんです。でも本を読んでみて、そうしたことはすっ飛ばして演じられると確信しました。本を読み直すたび、お稽古をするたび、発見が出てくるでしょうし、その発見のどこを淘汰するかという作業も必要になる。大変ではありますが、右往左往した時間が多ければ多いほど、豊かな芝居になると思うので、そこを楽しみにしたいですね」(鶴見)「私は普段、共演者の声も聞かないうちに台詞を覚えるのは、邪道だと思っているのですが、今回はそうもいかない!と早めに準備しました。読んでぱっとわかる芝居ではないから、どうなるんだろうという不安は正直あります。でも、大人3人がガチで日常を演じながら、作品の抱えているものをぶつけ合えたら、観たことのない芝居になる予感がする。そのためにも稽古場では、色々なことを探して試したいと思います」(高畑)公演は9月8日(土)埼玉・彩の国さいたま芸術劇場大ホールより。その後、 全国を周る。取材・文:高橋彩子
2018年09月04日10月29日(月)に東京・渋谷CLUB QUATTROにてワンマンライブ『We Are THE SPICY!』を行う「ザ・スパイシー(THE SPICY)」。6月に「スパイシーコウヤドウフ」から改名し、勢いを増す彼らの変化や今後の活動について、Vo.スパイシーナカーノとKey.スパイシーコウバヤシに話を聞いた。【チケット情報はこちら】結成当時からのバンド名を改名した理由について「去年コウバヤシ君も加入して、バンドの方向性が新しく定まってきて、バンド自体が変わったと思っていて。なので今度のワンマンがちょうど節目になると思い、心機一転、新しい名前にしました」とナカーノ。新しい「ザ・スパイシー」という名前は「もともとお客さんが“スパイシー”と呼んでくださっていたのと、“SPICY”という単語の意味が由来です。日本語だと味に対して使うイメージが強いですが、英語だと“生き生きした”とか“活発な”とかそういう意味もあるんですよ。僕らの“エンタメ要素”と“ロック”という、 “元気”と“刺激”の両面が入っているのではないかということで、この名前にしました」。最近は「ライブキッズだけじゃなく、ライブハウスに来たことない人や、ノるのとか苦手な人も含めた“みんな”に向けてやるっていう気持ちになった」(ナカーノ)、演奏面でも「“ひとまとまり”でやってるようなところがあったけど、楽器同士のすみわけやバランスを考えて話し合うようになってきた」(コウバヤシ)と、新たな段階を迎えている。そのタイミングで挑むワンマンライブ『We Are THE SPICY!』は、「ザ・スパイシーとはこういうものですよというのを、外に向けて、そして自分たちに向けても示すライブになるんじゃないかと感じています。もちろんバンドは試行錯誤するものだけど、ここで改めてその基盤をつくるような。これからもし迷いが生じたときには立ち返る、そんなライブになる気がしています」(コウバヤシ)。そのうえで「お客さんも含めた“We”でありたい」(ナカーノ)と、このタイトルがつけられた。スペシャルゲストは芸人のパーマ大佐という意外な人物。「“ミュージシャン”“お笑い”という垣根を超えたかった。どんな人にも楽しんでもらえるショーとして盛り上げたい」(ナカーノ)と話し、ここにも「ノるだけ、ずっとかかってるだけ、というのではなく、観てよかった、聴いてよかった、というバンドでいたい」(コウバヤシ)と彼らならではの考え方が反映される。「明日はライブだから今日をがんばれるとか、今日ライブを観たから明日からがちょっと晴れるとか、そういうバンドになりたい」(コウバヤシ)というザ・スパイシー。「ここからおもしろいことを始めていけたらいいな」(ナカーノ)というライブをぜひ目撃して!チケットは発売中。取材・文:中川實穗
2018年09月04日この夏、萩尾望都原作、野田秀樹共同脚本の名作舞台『半神』に主演した、乃木坂46キャプテン桜井玲香。中屋敷法仁のハイスピードな演出、コンドルズメンバーでもあるスズキ拓朗のユニークな振付にも食らいつき、美しい妹と腰でつながった醜い結合双生児の姉を好演。華やかな容姿に高い身体能力、滑舌の良さも際立ち、舞台女優としての可能性を強く印象づけた。そんな彼女がオーディションを経てゴシックロマン・ミュージカル『レベッカ』のヒロインに大抜擢。大塚千弘、平野綾とのトリプルキャストで東宝ミュージカルに初登場する。ミュージカル「レベッカ」チケット情報『レベッカ』は女流小説家ダフネ・デュ・モーリアの同名長編小説が原作。アルフレッド・ヒッチコックの映画版でも知られるスリリングな男女の愛憎劇だ。舞台版は『エリザベート』『モーツァルト!』の人気脚本家&音楽家コンビ、ミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイが2006年、ウィーンでミュージカル化。日本版の上演は8年ぶり3回目(大阪公演は2回目)。不遇な幼少期を過ごした「わたし」(桜井玲香)は年上の上流紳士マキシム(山口祐一郎)と運命的に出会い結婚、彼の邸宅で新婚生活を始める。しかし、事故死した先妻レベッカに長年仕えていた家政婦頭ダンヴァース夫人(涼風真世・保坂知寿)からの視線は冷たい。そんなある日、レベッカの死に関する新事実が浮上して……。昔から困難に立ち向かうヒロインが大好きで、ディズニーなら『シンデレラ』よりは『ポカホンタス』をよく見ていたという桜井。今回の「わたし」も「純粋でどんどん強くなっていく」憧れの役柄だ。「台本では暗く感じられたお話も、舞台になると衣装が華やか。音楽も柔らかく、明るい印象に変わりました」。トリプルキャストは先輩に学び、技を盗めるチャンスと捉える。「普段はアイドルとして活動しているので、そのときの音楽活動をひとつの武器と考え、自分らしいアプローチで役の個性を出せれば。この舞台はヒロインの歌から物語が始まるので、震えずに第一声を発することができるのか不安ですが、しっかりと期待に応えたい」。女優の現場は「ある意味リラックスして取り組める」という。「負の感情や醜い部分も隠さず、人間らしさを解放できるので。舞台は生き物みたいに毎日感情が変化するのが快感です」。将来はアイドルと並行して、映像も舞台もこなせる役者になるのが夢だ。「大舞台ですが、自分なりに頑張って楽しみたい。すばらしい初演を追いつつ、今回ならではの良さを上乗せしてお届けできればと思います」公演は、東京・THEATRE1010でのプレビュー公演を経て、12月20日(木)から28日(金)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、2019年1月5日(土)から2月5日(火)まで東京・シアタークリエにて上演。地方公演あり。チケットは順次一般発売開始。一般発売に先駆け、9月10日(月)11:00まで、大阪公演のプレイガイド最速先行を受付中。取材・文:石橋法子
2018年09月03日9月24日(月・祝)に開催される音楽×ワークショップのイベント「OKAYAMA マチノブンカサイ2018」の全出演アーティストが決定した。今回で7回目の開催となる同イベント。舞台となるのは、2001年に近隣の小学校との統合に伴い廃校となった旧内山下小学校。”文化祭”をテーマに、体育館と校庭でのライブに加え、校舎では地元作家によるワークショップを展開。今年の出演者は、高野寛×宮沢和史×おおはた雄一のスペシャルユニットやバレーボウイズ、蓮沼執太&U-zhaanなど個性豊かなラインナップ。チケットは発売中。■OKAYAMAマチノブンカサイ2018日時:9月24日(月・祝)開場 10:30 / 開演 11:00/ 終演 21:00会場:旧内山下小学校(岡山県)料金:前売5,000円※中学生以下無料(要保護者同伴)、65歳以上無料※障がい者の方は「障がい者手帳」提示で入場料金の半額返金出演:<体育館ステージ>高野寛×宮沢和史×おおはた雄一 / 蓮沼執太&U-zhaan / バレーボウイズ / WUJA BIN BIN / キセル / Port of Notes<グラウンドステージ>トウヤマタケオと内山下ハイコー楽団 / 植田章敬シークレットタイムス / さとうもか&The Time Travelers / ジャマーズ / みをあわつばさ / The Po-Boys / mihoro*
2018年08月31日韓国の男性デュオ、MXMが10月6日(土)愛知・Zepp Nagoyaを皮切りに4都市で開催するツアー「MXM Japan 1st Zepp Tour 2018 MXM WORLD」。それぞれの会場でイベントや構成が異なるステージを披露する同ツアーの詳細が発表された。【チケット情報はこちら】10月6日(土)の愛知公演は先日リリースした初のフルアルバム『MORE THAN EVER』収録曲とSPステージで構成。8日(月・祝)の札幌公演では、「人数限定超プレミアム公演」を実施。愛知公演・札幌公演では彼らの魅力をカメラに収めるスペシャルフォトイベントも行われる。10月12日(金)の東京公演初日は、彼らのヒストリーを振り返る構成にするほか、レッドカーペットイベントも行われる。13日(土)の東京公演2日目は、楽しい曲を中心にセットリストを構成。参加者全員に“紫”のバンダナを持参するように呼びかけている。さらに2日目は公演中にスペシャルフォトタイムを実施。10月14日(日)の大阪公演では、ツアーで行った全てのスペシャルステージを一度に楽しめる特別な構成でライブを繰り広げる。さらに全公演で、先輩カリスマラッパー“KANTO”の特別友情出演が決定。チケットの一般発売に先駆けて、現在オフィシャル先行を実施中。受付は9月9日(日)午後11時59分まで。■MXM Japan 1st Zepp Tour 2018 MXM WORLD10月6日(土)Zepp Nagoya(愛知県)【1】開場13:00/開演14:00【2】開場18:00/開演19:0010月8日(月・祝) Zepp Sapporo(北海道)【1】開場13:00/開演14:00【2】開場18:00/開演19:0010月12日(金) Zepp DiverCity TOKYO(東京都)開場18:00/開演19:0010月13日(土) Zepp DiverCity TOKYO(東京都)【1】開場11:30/開演12:30 【2】開場16:30/開演17:3010月14日(日) Zepp Namba(OSAKA)(大阪府)【1】開場13:00/開演14:00【2】開場18:00/開演19:00
2018年08月31日映画音楽の作曲家として活躍する岩代太郎が、企画・原作・音楽を担当し、全編音楽を書き下ろした、奏劇「『ライフ・コンチェルト』ある教誨師の物語~死刑執行までのカウントダウン」が東京・紀伊國屋ホールにて8月29日に開幕した。プレビュー公演前のゲネプロに潜入した。【チケット情報はこちら】死刑囚たちが刑の執行までの残された日々と向き合い、死を語り合うという役目を担う教誨師(きょうかいし)。國村隼演じるベテラン教誨師(きょうかいし)の牧師・元村由紀夫が、自分の後任に、高田翔(ジャニーズJr.)演じる塩野智嗣を選ぶところからはじまる本作。最初こそ死刑囚とのやり取りもぎこちなかった塩野だが、大森博史演じる死刑囚・古戸健治、また長谷川京子演じる死刑囚・大島玲子との交流を重ねることで、教誨師という役割の難しさに気づいていく。そして元村、塩野が出会う、黒川智花演じる死刑囚・大島の娘である瑠璃。大島玲子と瑠璃が抱えるある秘密が、元村、そして塩野の人生についての根幹を揺るがしていく。國村演じる元村は終始静かな口調ながら、塩野、死刑囚ら、瑠璃に語りかけるセリフには、現行の死刑制度、そして自身の死生観までをも考えさせられる。その國村演じる元村から、教誨師の後任に選ばれる塩野という難しい役割を与えられた高田は、演出の深作健太から話し方やタイミング、目線についても細かい指導を受け、体を動かしながら確認し、自身が演じる塩野に落とし込もうとする姿が印象的だった。またこの日、原作の代弁者という立場の語り役を担ったのは、舞台を中心に多岐に活躍する染谷俊之。客席と舞台上をつなぐナビゲーターとしての役割に真摯に取り組んでいた。本作、「奏劇」は今までに無い舞台創造のかたちへの挑戦として岩代が提案する、演奏と演劇を合わせたスタイル。舞台上にはグランドピアノ、また東京フィルハーモニー交響楽団のメンバーによるカルテット(弦楽四重奏団)がシーンにあわせて豊かな音色を響かせるのも見所だ。公演は9月3日(月)まで、東京・紀伊國屋ホールにて。語り役は、8月30日、31日、9月3日(月)を染谷俊之、9月1日(土)13時30分、2日(日)13時30分を伊東健人、9月1日(土)17時30分を石川界人が務める。チケットぴあでは各公演の前日23時59分まで当日引換え券を発売中。
2018年08月31日ビクターエンタテインメントと毎日放送(MBS)が共催するロックフェスティバル『ビクターロック祭り大阪×MBS音祭2018 supported by uP!!!』が、10月7日(日)大阪城ホールにて開催される。「ビクターロック祭り大阪×MBS音祭 2018 supported by uP!!!」チケット情報9月2日(日)14:00よりLINE LIVEビクターエンタテインメントチャンネルにて『ビクターロック祭り大阪×MBS音祭2018』特番の生配信が決定、本日、発表となった。当日は、ビクター専属MCのダニエル小林がMCを務め、出演者のADAM at、四星球のメンバーをゲストに迎え、楽しいトークでイベントをナビゲートしていく。さらに、ADAM at、四星球のここでしか見られない、過去のロック祭り出演時の映像も初蔵出しするので、是非チェックいただきたい。『ビクターロック祭り大阪×MBS音祭2018 supported by uP!!!』は家入レオ、さだまさし、四星球、薬師丸ひろ子、ADAM at(オープニングアクト)、さらにはスペシャルゲストとしてナオト・インティライミの出演が既に発表されている。本日31日よりチケットぴあにて先行がスタートしているので、豪華共演に乞うご期待。今後も随時、出演アーティストなどイベント情報を発表していくので、『ビクターロック祭り大阪×MBS音祭2018 supported by uP!!!』オフィシャルサイトをチェックいただきたい。<LINE LIVE番組概要>「ビクターロック祭り大阪×MBS音祭2018」開催決定SP日時:2018年9月2日(日)14:00スタート配信URL:
2018年08月31日黒澤明 没後20年記念作品ミュージカル『生きる』が10月に上演される。本稽古に先駆け行われた鹿賀丈史チームのワークショップに潜入した。【チケット情報はこちら】本作は、黒澤明監督の代表作『生きる』を初めて舞台化した作品。市村正親と鹿賀丈史がWキャストで主演を務め、演出は宮本亜門、作曲・編曲はブロードウェイ・ミュージカル『若草物語』や『デスノート THE MUSICAL』のジェイソン・ハウランド、脚本と歌詞は『アナと雪の女王』などディズニー作品の訳詞でも知られる高橋知伽江が手掛ける。ワークショップでは1作通しての読み合わせ(歌唱含む)が行われ、鹿賀をはじめ市原隼人、新納慎也ら出演者が揃って参加した。市村チームは4月に実施済み。毎日同じように淡々と生きてきた主人公・渡辺に不治の病が発覚し、生まれて初めて自分の人生の意味を探し始める物語。どこか静かで重いイメージもある作品だが、読み合わせを見学していて感じたのは「生」の鮮やかさだった。その大きな要素のひとつが楽曲。予想外とも言えるメロディが揃っており、映画のモノクロの世界に音楽で色をつけるような印象を受けた。登場人物ひとりひとりの存在は映画以上に際立っており、なかでも父親の突然の変化に戸惑いぶつかる息子(市原)や、渡辺が1歩踏み出す背中を押す小説家(新納)は、主人公の物語をより深くみせる大切な役割を果たしている。そこに川口竜也が演じる組長や、公園建設を求める主婦たちがのびのびとした演技で笑いを起こし、絶妙なバランスで作品を軽やかにみせていた。そのなかで鹿賀は、死を前にして懸命に生き始める主人公を、繊細に、ときにお茶目に演じ抜き、ワークショップでありながらラストでは思わず涙をこぼすキャストやスタッフも多数。お披露目イベントでも宮本が「市村さんと鹿賀さんがすごい。なにあの歌!なにあの演技!と今の段階で言えます」と絶賛したように、歌声に台詞に、渡辺が背負う“生”そして“死”が滲み出る素晴らしい芝居で、ミュージカル『生きる』の世界を体現する。ワークショップ後、対象チケット購入者を招き行われたイベントには、新納慎也と小西遼生(市村バージョンに出演)、May’n、唯月ふうか、川口竜也、そして演出の宮本が登壇。プロデューサーと宮本による制作裏話や、キャストによる歌唱披露なども行われ、世界初上演のミュージカル『生きる』の一部が公開される貴重な時間となった。ミュージカル『生きる』は10月7日(日)にプレビュー公演、本公演は10月8日(月・祝)から28日(日)まで東京・TBS赤坂ACTシアターにて。取材・文:中川實穗
2018年08月31日登場するのは“私”と“彼”のふたりのみ。刺激を求めて犯罪に手を染めた少年たちの葛藤を、1台のピアノ演奏で綴っていく異色ミュージカル『スリル・ミー』がこの年末、再び幕を開ける。2005年にオフ・ブロードウェイで生まれ、世界各国で上演されている本作は、日本では栗山民也演出のもと、2011年に初演。その後4回も再演を重ねてきた人気の舞台だ。4年ぶり6回目の上演となる今回は、松下洸平(私)と柿澤勇人(彼)、そして成河(私)と福士誠治(彼)の2組が出演。そのうち、初演から3度ペアを組み、前回公演(2014年)ではそれぞれ別のパートナーと組んで出演を続けてきた松下と柿澤、ファン待望の“復縁”コンビに再演への思いを聞いた。【チケット情報はこちら】「また勇人が相手役だと知った時、嬉しさとともにワクワクしてきました。前々回ぶり、5年ぶりの共演なので、この間にお互いが経験してきたものを『スリル・ミー』にぶつけられることが本当に楽しみですね」(松下)。「いつか絶対にまたふたりでやれると信じていたので、ついに来たか!という感じです。僕たちがやってきた『スリル・ミー』は決して間違いじゃなかったと思っているので、とくに新しいものをやろうとは思っていません。でもお互い歳を重ね、わずかながら経験値も上がっていると思うので、結果的には新しいものが生まれるのでは」(柿澤)すでに閉館してしまった小劇場での、120席ほどの小空間で経験した初演の記憶は、ふたりともに鮮明だという。「演劇ってすごいパワーを持ってるな!と、心に火がついた作品。とにかく必死でした」と松下が言えば、柿澤は「僕らはオーディションから始まっているから思い入れがある。役者としてのひとつのターニングポイントだと感じたのが初演の思い出ですね」と振り返る。ミュージカルでありながら笑い声も拍手も封印し、目の前で展開するふたりの“罪深き行為”を息を潜めて目撃する…。我々観客にとっても衝撃的な作品との出会いだった。「実際に起きた事件をモチーフにした異色作だけれど、愛についてすごく考えさせられる作品です。今、日本でも不可解な事件が多いから、今現在のお客様にもきっと突き刺さるものはあると思います」(柿澤)。「そう、これは愛の物語なのでバイオレンスな部分がメインではないけど、人が人を殺めてしまう動機や葛藤、そこには人間として何が足りなかったのかを考えてもらい、当たり前のようにあるものをもう一度、大事に思うきっかけになるといいなと思いますね」(松下)厚い信頼を寄せる演出家、栗山との稽古が再び始まるのを、ふたりとも心待ちにしている様子。熟成の味わいと斬新なきらめき、その両方を併せ持つ最強コンビの復活が楽しみだ。「栗山さんが「これはストレート・ミュージカルだ」と。その言葉通り、質の高い演劇作品として残せるように、僕らの経験をすべてこの舞台に注ぎ込みます」(松下)。「日常でも、演劇の中でもなかなか体験できない特別の100分間を味わってほしい。こんなすごい作品があったんだ!と言わせてみせます」(柿澤)。公演は12月14日(金)より。取材・文:上野紀子
2018年08月31日トップスター・珠城(たまき)りょう率いる宝塚歌劇月組公演『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』が8月24日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。宝塚歌劇月組 三井住友VISAカード ミュージカル『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』チケット情報1992年にウィーンで誕生した本作は、オーストリア=ハンガリー帝国皇妃エリザベートの数奇な生涯を、彼女を愛する黄泉の帝王トート(死)との愛憎を軸に描いたミュージカル。観劇後も耳に残る楽曲の数々も魅力で、1996年に宝塚歌劇団雪組が日本初演し、宝塚歌劇では今回が10回目の上演となる人気作だ。“死”を擬人化した黄泉の帝王トートは、常にエリザベートの近くに存在する。父の自由な生き方に憧れを抱き、活発だった少女時代。綱渡りに挑戦しようとしたエリザベートは足を滑らせて落下し、意識不明の重体に陥る。その生と死の狭間で出会ったのが、黄泉の帝王トートだ。トートは死の口づけをしようとするが、エリザベートの生命力あふれる瞳に心を奪われ、愛されたいと願う。そして彼女がトート=“死”を求めるまで、どこまでも追い続けようと、元の世界へと帰すのだった…。歴代のトップが演じてきたトートは、それぞれで印象がまったく異なる。今回演じる珠城も、自身の持ち味を活かしながら表現。妖しく冷ややかなオーラを漂わせながら、時には不敵な笑みを浮かべ、時には内包する熱を激しくあらわにしてエリザベートの愛を求めるなど、繊細に作り上げている。作品世界を包み込むような存在感を感じられるのも、珠城トートならではだろう。エリザベートを演じるのはトップ娘役・愛希(まなき)れいか。無邪気な少女時代から、皇妃となった後の苦悩、孤独、もろさ、強さ、気品など、年老いていくまでを丁寧に表現している。1幕ラストから2幕前半にかけての、生きる意味を見出したエリザベートの自信に満ちた表情、凛とした美しさにも目を奪われる。トップ娘役就任から約6年半。集大成らしい円熟した演技、歌唱で魅せている。皇帝フランツ・ヨーゼフを演じるのは美弥(みや)るりか。終始感情を抑えた役ではあるが、エリザベートを真っ直ぐに愛する思い、見守る優しさ、皇帝としての葛藤などを滲ませながら演じている。エリザベート暗殺犯ルイジ・ルキーニ役の月城(つきしろ)かなとは、表情や眼差し、声色でルキーニの狂気を表しながら、狂言回しとして物語をリズムよく展開していく。皇太子ルドルフは暁千星(あかつき・ちせい)と風間柚乃(かざま・ゆの)の役替わり。この日演じた暁は儚げな雰囲気をまとい、ルドルフを好演。歌唱力も高く、『闇が広がる』でのトートとのハーモニーも美しく響いている。兵庫・宝塚大劇場公演は10月1日(月)まで。チケットぴあでは9月14日(金)13時公演のプレリザーブを9月3日(月)11:00まで受付中。東京宝塚劇場公演は10月19日(金)から11月18日(日)まで。9月16日(日)より一般発売開始。取材・文:黒石悦子
2018年08月31日9月5日(水)東京・渋谷区文化総合センター大和田伝承ホールで本番を迎える『ギャグマンガ日和 向かい風100%』の稽古場へお邪魔した。稽古場の扉を開けた瞬間から、次々と笑顔で挨拶する出演者やスタッフたち。風通しの良い稽古場では、この日、通し稽古が行われた。【チケット情報はこちら】本シリーズは一話完結型のシュールなギャグ漫画の舞台化。第四弾となる今作は、漫画家を目指す青年の青春物語だ。主人公・夢野カケラ(谷佳樹)と受手マモル(上田悠介)は、甲子園を目指す黄金のバッテリー。そして「三上を甲子園に連れてって」とふたりを応援するヒロイン・三上ドブ子(多田愛佳)。3人は全身でギャグを繰り出し、全顔面で百面相をし続け、青春真っ盛りの15歳を演じる。意気揚々と高校生活をスタートさせた彼らだが、カケラが目指したのは野球の甲子園ではなく『マンガ甲子園』だった!さらに地球侵略に来た宇宙人まで現れ、3人の高校生活、そして恋模様はどうなるのか……。何も考えずに笑える力技の脱力系ギャグは健在だが、舞台オリジナルキャラクターを何人も登場させ、まさかの涙を誘うダイナミックな青春物語に。磯貝龍虎、寺山武志、宮下雄也、南米仁らが体力とキレのあるぶっ飛び系キャラクターで物語を掻き回し、市川刺身、いーま、鈴木そぼくらが脱力系キャラクターで物語をさらに掻き回す。全員が場の空気を読まないトンチンカンな行動をとり、物語の中心となる三人を翻弄する。カケルとマモルそれぞれの家族を演じる服部ひろとし、小野由香、あまりかなり、堀越せな(天音みほとWキャスト)は、3人を案じながらも、その過剰さが結果的にカケルらをピンチに追い込んでしまうことも。舞台上のそれぞれが、笑わせようと全力を尽くす。スタッフからは時折、我慢が吹き出すような笑い声が上がる。演出のなるせゆうせいも、真剣な顔で舞台の隅まで目を走らせながら、時々こみ上げる笑いに口元を震わせていた。原作では、見た目から笑いを誘うキャラクターたちが登場する。しかしこの日は通し稽古なので、衣装も美術もない。それでも俳優たちの勢いと次々と起こるトンデモ展開に笑わされる。気づいた時には、3人の青春の日々に手に汗握っている。まるでギャグとスポ根を詰め合わせた青春少年漫画。原作ファンなら進化した『ギャグ漫画日和』に出会え、苦手な方も原作を好きになってしまいそうな、ギャグと情熱たっぷりの舞台だ。公演は9月9日(日)まで。チケットは発売中。取材・文:河野桃子
2018年08月31日2015年に『フランス芸術文化勲章』シュヴァリエを受勲し、フランスを中心に海外で精力的に活動するダンサー・伊藤郁女と、ダンサー、俳優の枠を越えて活動する森山未來による初クリエーションKAAT DANCE SERIES 2018『Is it worth to save us?』が10月に横浜・KAAT 神奈川芸術劇場にて世界初演される。演出も手掛ける伊藤に話を聞いた。【チケット情報はこちら】伊藤と森山の共演は初めてのこと。「KAATでこの企画を実施することになり、誰と一緒にやろうかという話になったとき、“未來くんと共演したい”と言いました。私は昔から“お人形さんみたいに踊りますね”と言われたりするのですが、未來くんも舞台では何を考えているかわからないような、お人形みたいな感じのところがあると思うんです。それに、いろんな想像ができる顔だちや身体を持っているとも思います。あとは、私が普段からあまり踊りや演劇の境のないところでやっているので、そういう人がいないかな、と頭の中を探ったときに未來くんがいました。踊れるだけでなく歌も歌えるし、台詞も言える人だから、そういう意味でもすごくいい。良いダンサーはいっぱいいるんですけど、光のあるダンサーはあまりいないですからね」。森山個人の印象は「繊細。いろんなことを考えて生きているし、いろんなことに疑問を持ってやっている人だと思います」作品のもとになるのは三島由紀夫のSF小説『美しい星』。自分たちを宇宙人だと思った家族が地球を救おうとする物語だ。だが、本作ではその物語を上演するのではない。「『Is it worth to save us?』は、“社会からはずされていきそうな自分の感情”を元につくっています。みんな、人と違うことをダメだとか怖いと思い、仲間外れにされないように生きていますよね。『美しい星』の中では、それを“宇宙人だから”と思うことで解消しているところがありますが、今回はポジティブに考えたらどうかという提案をする作品です」昨年の3月から始まった稽古は、今年の2月に日本でも行い、今後はフランスなど世界各地で断続的に続けていくという。「最終的なところは私がやっていますが、人とつくるのが好きですし、なにかを“しなさい”と言うのが嫌なんですよ。未來くんはそこに驚いてましたね。“へー、けっこう聞くんだ、人の話”とか言われて(笑)」。「まだ今は、話をしている段階で何も固まっていないです」と話すが、最終形は「笑ってほしいな、というのはあります。でもそれはハハハじゃなくて微笑んでしまうような感じ。“メッセージ”にはしたくないのですが、ふたりの人間的なものを出したいということがベースにあります」公演は10月31日(水)から11月4日(日)までKAAT神奈川芸術劇場大スタジオにて上演。チケットの一般発売は9月1日(土)より。なお、本日8月31日午後11時59分までチケットぴあにて先着先行受付中。取材・文:中川實穂
2018年08月31日1964年の東京オリンピックに出場したふたりのマラソンランナーの姿を描く舞台『光より前に~夜明けの走者たち~』が11月に上演される。稽古に先がけ作・演出を手掛ける谷賢一のワークショップが開かれ、主演の宮崎秋人、木村了、和田正人が参加。その後、マスコミに向けて合同取材会が行われた。【チケット情報はコチラ】本作は、東京オリンピックで共に走るも、「父上様母上様 三日とろろ美味しうございました」から始まる有名な遺書を残しこの世を去った銅メダリスト円谷幸吉と、東京での失敗を克服し次のメキシコオリンピックでは銀メダルを獲得、今も現役で走り続ける君原健二という、「走る」以外はすべて好対照・正反対なふたりを描く物語。円谷の終幕のショックからか、これまで1度も映像化も舞台化もされていないふたりのストーリー。けれど谷は「円谷幸吉の人生は悲劇だと思うんです。だけどその悲劇を上回る希望や光のようなものが、彼の物語の周りには付着している。そして、ある意味で円谷の悲劇を補填するようなカタチで君原健二という男はどう生きて走ったのか。ふたりの人生を並べてみることで見えてくることが増えると思いました」と語る。そんなふたりを演じるのは、宮崎と木村。円谷を演じる宮崎は、走るのが嫌いで部活動なども避けてきたそうだが「舞台上で実際に走る走らないに関わらず、極力走っている人の精神になれるように」と、現在初のランニングや体作りに取り組んでいるという。木村は自身の演じる君原についてすでにかなり調べており、そのうえで「僕は走るのは趣味ですが、競技者ではないので、その精神状態などは知り得ない部分が多い。だけどそこは(選手経験のある)和田くんにも聴けるし、谷さんとのセッションもできそう。先が楽しみになるワークショップでした」と手ごたえを語る。円谷のコーチ・畠野洋夫役を演じる和田は箱根駅伝にも出場経験を持つ経験者。「ランナーとして生きてきた、そして今俳優として生きている、それをひとつにまとめて、自分の中で大きな意味を見つけられる作品になりそうだと思っています」と、現役時代の経験をこの作品に注ぎ込む気概をみせる。「ランナーの人生を借りて、生きるということ、戦うということ、孤独を描いていく。それが現代のお客さんとなにかのカタチでうまく出会うことができればいいなと今、思っております」と谷が語る本作。スポーツファンに限らずどんな人にも“光”をもたらす作品になるべく動き出した。公演は11月14日(水)から25日(日)まで東京・紀伊國屋ホール(※11月14日(水)はプレビュー公演)、11月29日(木)から12月2日(日)まで大阪・ABCホールにて上演。取材・文:中川實穂
2018年08月31日落語家、柳家喬太郎による新作落語の舞台化『ハンバーグができるまで』が2019年3月20(水)から24日(日)まで東京・博品館劇場で上演される事が決定した。脚本・演出は本田誠人。原作である柳家喬太郎の新作落語「ハンバーグができるまで」は、うだつの上がらない、バツイチ中年の“マモル”が主人公。マモルは商店街でその日は珍しく出来合いの弁当や惣菜ではなく、食材を買い歩くことから、商店街の面々が突拍子も無い憶測を抱き、その憶測は商店街緊急連絡網でさらにエスカレートする。これらの食材の買い物は、かつての妻“サトミ”に頼まれたもので、サトミの最後の手料理とともに訪ねて来た理由を告げられ、マモルは途方に暮れる。この原作を本田は、登場人物それぞれが、地域(商店街)が、苦悩や挫折を経て、微速ながらも前進する“再生”のドラマへと昇華する。主演であるマモル役を渋川清彦、マモルの元妻サトミ役を馬渕英里何が務めるほか、柳家喬太郎も出演。今年で結成23年を迎える劇団ペテカンがその脇をかためる。チケットの一般発売は、10月13日(土)午前10時より。なお、一般発売に先駆けて、ぴあでは最速先行予約を実施。受付は9月8日(土)昼12時より。■舞台「ハンバーグができるまで」日程:2019年3月20日(水)~24日(日)会場:博品館劇場 (東京都)原作:柳家喬太郎脚本・演出:本田誠人主演:渋川清彦出演:馬渕英里何・柳家喬太郎ペテカン大治幸雄/齋田吾朗/濱田龍司/本田誠人/羽柴真希/長峰みのり/他
2018年08月30日吉村界人主演舞台「またここか」が9月28日(金)から10月8日(月・祝) まで、東京・DDD AOYAMA CROSS THEATERで上演される。ガソリンスタンドを舞台にした、異母兄弟を含む男女4人の危うい愛の会話劇だ。【チケット情報はこちら】2度目の演出となる豊原功補と、坂元裕二の脚本という、付き合い長く互いの魅力を知るタッグ。坂元はこれまでテレビドラマ『カルテット』『最高の離婚』『それでも生きてゆく』『anone』など数々のヒットドラマ作品を世に送り出しおり、今回は本舞台のための当て書き&書き下ろしとなる。脚本について豊原は「テレビドラマだと女性を主人公に描くことが多いですが、今回は男兄弟の話。かなり新しい気がする」と期待しているようだ。主演は、今回が初舞台の吉村界人。出演が決まった時には、緊張で逃げ出したかったそうだ。しかし同時にワクワクもしたと言う。「正念場。この舞台をクリアしないと役者としてやっていけない。自分をぶつけないといけない状況がきた」と力が入る。ガソリンスタンドで働く青年の役と知り、「ガソリンスタンドに行きバイトの相談をしました。「数時間になるのですが、見学だけでも」と頼みましたが、さすがにできなかった」と真顔で振り返る。これまで吉村は映画「モリのいる場所」や連続ドラマ「スモーキング」などで強い印象を残してきた。しかし役作りのために舞台の現場にまでリサーチしたことはなかったそうだ。初舞台に対する気合いの入りようが伺える。これを知った豊原は「嬉しいですね。俺も頑張ります」と笑顔を見せた。吉村が演じるのは、秘密を持ち、危うさのある青年・近杉。自らの妄想におびえるという役どころだが「やっちゃいけないことをやりたくなる衝動、わかります」と共感をつかんでいる。当て書きのため、稽古を重ねていくうちに役が変化し、吉村にしかできない舞台になるだろうことも楽しみだ。ほかの出演者は、舞台俳優として長年独特の存在感を放ってきた岡部たかし。映画『あゝ、荒野』で印象的なヒロインを演じた木下あかり。ナイロン100℃の小園茉奈。豊原は「負担はそれなりにあるだろうけれど、大丈夫でしょう」と信頼を見せる。取材の最後に豊原は、吉村について「異質感のある俳優で、一歩先へ行こうともがいている印象がいいなと思っていた。実際に会うと、役者に、芝居に、真剣に向き合ってる人だと言う印象。出っ張った感じが面白いですね」と期待が高まる様子だ。公演のチケットは発売中。取材・文:河野桃子
2018年08月30日ピンクのドレスを身にまとい、漫才、コント、コーラスといったネタで楽しませる阿佐ヶ谷姉妹。今年は『キングオブコント2018』準決勝に進出。7月には初のエッセイ本『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』も出版し、ふたりの“別居”も話題になった。10月、大阪・味園ユニバースと神戸・クラブ月世界で単独ライブ3『ドアーを開けて』を開く。「阿佐ヶ谷姉妹 単独ライブ3」チケット情報大阪、神戸とも昭和のナイトクラブの趣を残す会場だ。「どちらもとても雰囲気のある会場を借りることができました。あの中で、お客様と一緒に新たな扉を開く覚悟でライブをできたら」と“姉”の渡辺江里子(以下、えりこ)。今回はドリンク片手にステージを楽しめる。また、ファンは同世代が多く、年齢層も高めなことから、「お手洗い休憩はちゃんと設けますので、安心して来ていただけると思います」(えりこ)といざなう。ライブは漫才・コントのネタと歌のコーナーを予定している。今年は特にコントに力を注ぐ。「今年は『キングオブコント』の準決勝にギリギリ滑りこむことができました。切磋琢磨して、もう1段階、2段階パワーアップしたコントをお見せしたい」とえりこ。また、“妹”の木村美穂(以下、みほ)も「等身大のおばさんのコントがひとつ、できました。それもブラッシュアップして皆様にもお披露目できたら」と意気込む。歌は生演奏だ。「前回の大阪公演は3ピースバンドでしたが、今回はおそらくそれ以上になると思います。会場の雰囲気に合う形で演奏も豪華にできたらなと思っています」とえりこ。衣装も考え中で、「七変化をお楽しみください」と本人たちも嬉しそうだ。「おばさんのおばさんによるおばさんのためのライブを開きたい」とえりこ。そして「まだまだおばさんも奥深いので、おばさんの多様性も掘り下げてネタを作れたら。ふたりの関係性も、同居からお隣同士になって変わってきているところもあると思うので、漫才にも生かせたらと思います」とみほ。続けて「新しく“みほコーナー”ができるかもしれません!」と新提案も。この時初耳だったえりこも「“みほコーナー”、いいわね!」と意欲を見せた。公演は、10月3日(水)・4日(木)東京キネマ倶楽部、9日(火)愛知・ボトムライン、11日(木)・12日(金)大阪・味園 ユニバース、14日(日)兵庫・Live Hall クラブ月世界にて。チケットは発売中。取材・文:岩本和子
2018年08月29日バンドや音楽の魅力をフィーチャーしたゲーム・アニメファン向けのサンリオキャラクターであり、スマートフォン向けソーシャル音ゲーアプリは350万ダウンロードを突破、いま大注目の『SHOW BY ROCK!!』。そのミュージカルプロジェクト〈Live Musical「SHOW BY ROCK!!」〉も、昨年10月の舞台化第1弾『―深淵のCross Ambivalence―』と、今年6月の『~THE FES 2018~』を経て、ますます盛り上がりを見せている。そしていよいよ舞台化第2弾である『-狂騒のBloodyLabyrinth-』が、8月30日(木)より東京・天王洲 銀河劇場にて開幕。8月中旬、都内のスタジオで行われた公開稽古に足を運んだ。【チケット情報はコチラ】音楽を制する者が王として君臨できる “MIDI CITY”。弱小音楽事務所BRRに所属する中二病全開V系ロックバンド〈シンガンクリムゾンズ〉(通称シンガン)のフロントマン、クロウ(米原幸佑)は、夢と現実の狭間で揺れていた。夢銀河☆アイドルバンド〈トライクロニカ〉(通称トラクロ)や、お金持ちの新人NAMAIKIバンド〈アルカレアファクト〉(通称アルカレ)らが所属する大手レーベル、ジューダス主催のライヴに出演できたものの、新たなバンド〈フカシギミック〉の接近により、物語はおかしな方向に……。公開稽古は第8場、売れ始めた“シンガン”のクロウ(米原)とアイオーン(輝馬)、ヤイバ(鳥越裕貴)が、BRRの社長・有栖川メイプル(今 拓哉)に、浮かれた態度をとる場面から。真面目なロム(郷本直也)にいさめられるものの、米原や鳥越らのアドリブが炸裂し、スタッフ席からも笑いが漏れる。演出を担当する斎藤栄作は、ロムとクロウのすれ違いなどシリアスなシーンでは何度も稽古を繰り返す一方で、笑いのシーンでは細かな部分をキャストに一任。「なにかやってくれる?(笑)」という斎藤の言葉に、輝馬が焦った顔で「なにかって!?」と返し、周りが吹き出してしまうひと幕も。次は第9場、フカシギミックのメンバーであるマロ(健人)とゲ・フロッチ(畠山 遼)、シャッキー(吉村駿作)が、ある計画を話す場面だ。畠山と吉村は楽器を持ったまま話していたが、会話と動きのテンポをスムーズにするために、斎藤が楽器を持たないことを提案。すぐに対応してみせる3人の姿に、本作への意気込みが伝わってくる。続くLIVEパートでもリアルなプレイが展開され、アップテンポな曲調もあいまって、いつのまにかライヴ会場にいる気持ちに。対して先ほどの第8場のラストでは、クロウの心情が“トラクロ”や“アルカレ”と共にエモーショナルに歌われ、ミュージカルとしての魅力も発揮。バンドとミュージカル、両方の楽しさを見せてくれるキャストたちに、本番への期待がますます高まった。公演は9月9日(日)まで、東京・天王洲銀河劇場にて。その後、9月14日(金)から17日(月・祝)まで、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。取材・文/佐藤さくら
2018年08月29日大竹しのぶ、多部未華子、段田安則が出演する舞台『出口なし』が、8月25日、東京・新国立劇場 小劇場にて開幕した。本作は、哲学者ジャン=ポール・サルトルが手がけた代表作で、密室に集められたワケありの過去を背負った男女3人が繰り広げる濃密な会話劇。今作では上演台本と演出を小川絵梨子が手がけている。「出口なし」チケット情報窓もなくドアも開かない密室に案内されたガルサン、イネス、エステル。3人は初対面だが、次第に互いの素性や過去を語りだす。それぞれがここに来るまでの話はするものの、特に理解し合う気もない3人は、互いに挑発し、傷つけるような言葉をぶつけ合う。この出口のない密室で、お互いを苦しめることでしか自分の存在を確認する術もない3人。なぜ彼らはここに集められたのか、ここで彼らは何かの救いを見出せるのだろうか…?公演に向けて大竹、多部、段田のコメントが到着した。大竹「いつもは台本で読んでいるときよりも、立ち稽古に入ってからのほうがわかってくるものなのですが、今回の作品は立ってから、稽古が進めば進むほど考えることが多かったですね。“お~い、サルトル!”とか言いながら、稽古場で皆で笑っていました。演じる側にとっては、とても課題が大きい作品なのですが、皆で集中してしっかりと稽古を重ねてきました。お客様には“何が起こるの?”というワクワクした気持ちでご覧いただけたら嬉しいです」。多部「やってみたかった少人数の濃密なお芝居で、しかも大竹さん、段田さんとご一緒!そして、初めての小川絵梨子さん演出という、私にとっては初めて経験することがいっぱい詰まった作品です。実は、稽古でここまで追い詰められた気分になったのも初めてです。それでも、その余裕のなさや苦しさを前向きに味わって楽しんでいる自分がいます。小川さんの鋭利な視点、大先輩のおふたりの芝居への真摯な姿勢など、刺激的で得がたい感覚を毎日味わっています」。段田「実はサルトルが戯曲を書いていたことも知らず、小川さんの演出で、大竹さん、多部さんと芝居ができることが楽しみで出演を決めました。お芝居好きの皆さんにとっても“観たい!面白そう!”と思っていただける組み合わせだと思うんです。僕も含まれているとうれしいですが(笑)。初めてのサルトル戯曲は、とても手ごわいものだったのですが、劇中で起こることを自分でも楽しみ、それをお客様と分かち合えればと思っています。ぜひご覧ください」。演劇界屈指の顔ぶれが繰り広げる、密室空間でのスリリングな演劇バトルをお見逃しなく!東京公演は9月24日(月・休)まで。当日券は開演1時間前より販売。大阪公演は9月27日(木)から30日(日)、サンケイホールブリーゼにて上演。大阪公演のチケットは発売中。
2018年08月29日9月24日(月・祝)に東京・東京文化会館大ホール、30日(日)に兵庫・兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホールで開催されるポップス×オーケストラ音楽の祭典、「ビルボードクラシックス・フェスティバル2018」。同公演の演奏曲の一部が決定した。【チケット情報はコチラ】現代のJ-POPシーンを彩る”音色のヴィーナス”たちが名門、東京フィルハーモニー交響楽団&クワイア(合唱)総勢100名あまりと出演、ジャンルを越えた音楽界注目の豪華舞台が誕生する。日本のAORの女王・八神純子は『みずいろの雨』、『パープルタウン』ほかを歌唱。NOKKOはREBECCAとソロから『フレンズ』、『人魚』を、そのほか不朽の名作『卒業写真』では児童合唱団と共演が実現。そして東京では辛島美登里が『サイレント・イヴ』、『愛すること』、兵庫では元ちとせが『ワダツミの木』を初めてフルオーケストラと披露する。福原美穂は『Thank You』、『Oh Happy Day』ほかを大迫力のクワイアとともに歌い上げる。続く手嶌葵の『テルーの唄』、『東京』では、その独特の歌声が管弦楽との繊細な調和を導く。さらに、Crystal Kayは『恋におちたら』、『Kiss』などの新オーケストラ版編曲に挑戦。ヴァイオリン界の女王、川井郁子はタンゴ舞曲『エル・チョクロ』を演奏。会場を耽美の別世界に染める珠玉の名曲20作品余がオーケストラの華麗な旋律とともに続々と披露される。チケットは発売中。演奏曲:八神純子『みずいろの雨』『パープルタウン』『明日の風』NOKKO『フレンズ』『人魚』『卒業写真』辛島美登里(東京)『サイレント・イヴ』『愛すること』ほか元ちとせ(兵庫)『ワダツミの木』ほかCrystal Kay 『恋におちたら』『Kiss』『Forever Young』福原美穂『Thank You』『Oh Happy Day』『LOVE~Winter Song~』手嶌葵『テルーの唄』『東京』『La Vie En Rose』川井郁子『チャールダーシュ』『エル・チョクロ』(予定)ビルボード・クラシックス・フェスティバル20189月24日(月・祝)東京文化会館 大ホール(東京都)9月30日(日)兵庫県立芸術文化センター 大ホール(兵庫県)出演:八神純子/NOKKO/辛島美登里(東京)/元ちとせ(西宮)/Crystal kay/福原美穂/手嶌葵/川井郁子指揮:栗田博文(東京)、柴田真郁(西宮)管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団(東京)、大阪交響楽団(西宮)合唱:浦和児童合唱団(東京)、宝塚少年少女合唱団(西宮)、ソウルバードクワイアチケット価格:6,800円ペアチケット12,000円(税込・全席指定)※特製プログラム付、未就学児入場不可
2018年08月28日ロックバンドLEGO BIG MORLが、全国ツアー“LEGO BIG MORL ~Acoustic & Rock~ TOUR 2018 『月と太陽』”の追加公演を8月5日、恵比寿ガーデンホールにて開催。本公演は、7月に同会場でおこなった初のホールライブが即日完売したことを受けて決定した、全国ツアーの実質的なファイナル公演だ。LEGO BIG MORL チケット情報今年3月の結成記念日に、アコースティックとロックの2デイズライブに挑戦した彼らが、このふたつの世界観を2部構成にして全国各地を行脚。5月に名古屋からスタートし、札幌、福岡、仙台などを回り、大盛況となった。ライブは、カナタタケヒロ(Vo&G)の実家にメンバーが集まるという設定で、和やかなトークから始まる。文字通りアットホームな雰囲気から、まずはアコースティックライブがスタートした。初期の名曲「moonwalk for a week」で幕を開け、ミディアムナンバー「素晴らしき世界」などを演奏。タナカヒロキ(G)は「ライブハウスの拍手よりホールのほうが気持ちいいですね」と2度目のホールライブに感慨深げに話した。ライブ中盤の「Strike a Bell」からは、観客が総立ちとなってヒートアップ。「RAINBOW」では観客もともに歌い、会場はひとつになった。アコースティックライブのラストは、カナタのアコースティックギター弾き語りによる「最終回は透明」。ギターをかき鳴らしながら歌い上げ、ファンへの思いをしっかりと届けた。そして、ここからはロックライブへ。SEに乗ってメンバーが再び登場し、「楽しむ準備はできてるか?」というカナタの合図でスタート。真っ赤な照明の中「Wait?」で始まると、一気に激しさを増していった。楽器と機材しかないシンプルなステージに巨大な映像が映し出される中、「Fo(u)r rockstars」や「シェイカー」などロックナンバーを次々と披露。会場は大きく揺れ続け、10曲を一気に駆け抜けた。アンコールには、「今の僕らの思いが詰まった曲」とタナカが紹介した最新曲「命短し挑めよ己」を演奏。このままでは終われない、さらなる高みを目指そうというメッセージを届けた。「本数は少ないツアーでしたが、新しいことに挑戦できたツアーでした。この世界観を伝えることができて嬉しいです」とカナタはツアーの感想を語った。今年の夏は、9月22日(土)に“KANSAI LOVERS 2018”、23日(日・祝)に“中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2018”など、ライブイベントにも出演する。チケット発売中。また、11月1日(木)には大阪・ 心斎橋JANUS で”LEGO BIG MORL “Thanks Giving” vol.12”の開催も決定。8月30日(木)昼12時よりオフィシャルHP先行(抽選)の受付開始。詳細はオフィシャルHPまで。取材・文:門 宏
2018年08月28日伊坂幸太郎の小説が原作の舞台『死神の精度 ~7 Days Judgement』が8月30日(木)に開幕する。その稽古場に潜入した。【チケット情報はこちら】伊坂作品初の舞台化でもある『7Days Judgement ─死神の精度─』(2009年)の再演。死神である千葉が、自身が「死」を実行すべきか判断するやくざ・藤田と、藤田を慕う阿久津と共に過ごす時間を描く。今回は死神を萩原聖人、藤田を初演に続きラサール石井、阿久津を植田圭輔、死神や藤田と敵対する男など複数役を細見大輔が演じる。脚本・演出は初演に続き和田憲明。この日は稽古が始まって3週間という頃。稽古場に入ってみると演出の和田と俳優が、段取りから心情の変化までじっくりと話し合っていた。隣に座り、かなり細かいところまで意見を交換する姿から、開幕に向けかなり丁寧に詰めている段階であることがわかる。和田自身が稽古場を歩き回り、俳優からスタッフまで修正点や確認点を伝えた後は、芝居の稽古に。物語の冒頭から始まった。真っ黒な傘を差し、登場する死神役の萩原。死の対象であるやくざ役の石井に気付き、みせる表情には、死を悲しむような存在ではないはずなのにいくつもの色を感じ、そこで一気にこの世界に引き込まれる感覚があった。細見が演じる死神は千葉とはまた違ったタイプ。死神にも色々いることや彼らのスタンスそのものを、CDショップでのわずかなやり取りで感じさせる鮮やかさはさすが。同様に、石井と植田の演じるやくざも、植田が石井演じる藤田の懐の大きさを、石井が植田演じる阿久津の粗暴だが憎めない感じを互いに引き立て合っており、さらに藤田と阿久津の間に流れる愛情が感じられる。ひとつのシーンを終えると和田からは確認とダメ出しがある。それは例えば「今までは布団を2回持ち上げていたが、なぜ今回は3回だったのか」や「あの言い方はなぜ変わったのか」など細かいもの。一挙手一投足のすべてに意味があることを改めて感じるダメ出しだ。実際見ていてこちらが引っかかることは、それが回収される瞬間が必ず訪れる。その緻密さは和田ならではのもの。このように積み重ねられ迎える本番で見られる世界が楽しみだ。また、伊坂作品の特徴のひとつでもあるが、随所に散りばめられた音楽も印象的。ストーリーに絡む楽曲はもちろん、CDショップで死神たちが聴いている楽曲など、ぜひ注目して聴いてみてほしい。公演は8月30日(木)から9月9日(日)まで東京・あうるすぽっとにて上演後、岡山、愛知、兵庫、山形、宮城、岩手を巡演。
2018年08月28日世界中で人気を博している少女漫画『美少女戦士セーラームーン』のパフォーマンスショー“Pretty Guardian Sailor Moom”The Super Liveが、8月末に東京プレビュー公演を迎える。トリプルキャストで、ほぼダンスと歌で繰り広げられるステージ。8月31日(金)から9月9日(日)まで、東京・AiiA 2.5 Theater Tokyoで上演後、11月3日(土)・4日(日)にはジャポニスム2018公式企画としてフランスのパレ・デ・コングレ・ド・パリ劇場で上演される。セーラームーン/月野うさぎ役の3名を筆頭に、かなり個性の違う3チームになりそうだ。【そのほかの画像はコチラ】『♪(音符)チーム』の河西智美は「年齢層が少し高くて大人っぽい。安心感はあると思います」と笑う。『セーラームーン』の長年の大ファンであり、小学校低学年の頃にひとりで山梨から高速バスに乗り『セーラームーン』の舞台を観に東京へきたことがあると言う。最年少で二十歳の古賀なつきは『◆(ダイヤ)チーム』。「年齢層が低いので“フレッシュだなー”と言われる」そうだ。選ばれた時は「嬉しさと不安の両方がありました。それから、お月様に毎晩語りかけています」と、月の守護を受けるセーラームーンらしく月の存在を身近に感じるようになったと語る。夢宮加菜枝は、オーディション合格が信じられなかったそうで「絶対に落ちたと思っていたので、嬉しすぎました!」。河西と古賀に「『●(ハート)チーム』はスタイルがいいよね」と言われると「いえいえそんな!」と謙遜し、「3チーム全然違います。ひとりひとりの個性が違うので、チームごとだけでなく3チーム一緒に支え合っています」と答えた。「チームごとに色や雰囲気が違う。5人の戦士が揃ったそれぞれのチームを見ると、“ああ”としっくり来るんです」と河西。パフォーマンスショーであることが、大きな見どころだ。「戦士だからアクションがあり、それにダンスが加わる」(古賀)、「パフォーマンスパートと、歌と踊りのライブパートが分かれている構成。お客さんも一緒に歌って踊って盛り上がってもらえたら」(河西)、「3チームのダンスの雰囲気が全然違うんです!」(夢宮)構成・演出・振付を欅坂46 の振付などで人気のTAKAHIRO(上野隆博)、音楽をヒャダインが手がけているのにも、期待が高まる。3人は口を揃えて「見るところがたくさんあって目が足りないですよねー!」と盛り上がった。取材・文:河野桃子
2018年08月28日奏劇「ライフ・コンチェルト」ある教誨師の物語~死刑執行までのカウントダウンが8月29日(水)に開幕する。その稽古初日に潜入した。【チケット情報はこちら】映画音楽の作曲家として国内外で活躍する岩代太郎が企画・原作・音楽を手掛ける舞台。稽古にあたり岩代は「舞台における音楽のあり方にもう一歩挑戦したい。今回、“演奏”と“演劇”で『奏劇(そうげき)』という言葉をつくりました。新たな可能性を探ります」と挨拶した。書き下ろしの音楽と生演奏、そして俳優たちが紡ぐ言葉で構成される本作。描かれるのは、教誨師(きょうかいし)の物語だ。教誨師とは、死刑囚が執行までの日々で、向き合い語り合う役割を担う人物。本作では、國村隼がベテラン教誨師、高田翔(ジャニーズJr.)が新人教誨師、黒川智花が死刑囚を母に持つ大学生、大森博史が高田演じる教誨師が初めて担当する死刑囚、長谷川京子が黒川演じる女性の母親でマスコミでも大きく取り上げられた猟奇的な殺人事件を起こした死刑囚を演じる。そして“語り”として染谷俊之、伊東健人、石川界人が日替わりで出演する。脚本は土城温美、演出は深作健太、演奏は岩代と東京フィルハーモニー交響楽団のメンバー。舞台でまず口を開くのは“語り”(この日は染谷が演じた)。“語り”はいわばナビゲーター的な存在なのだが、すべてが説明台詞で長台詞となる。内容を観客に届くように読むだけでも大変そうだが、深作から「ドラマを見つめる作家が語るイメージで」とのリクエストを受け、染谷は距離感を調整しながらつくりあげていく。本編に入ると、國村の最初の台詞で一気に物語に引き込まれる。彼が演じる教誨師は、我々にはあまり馴染みのない存在。しかし、國村の深い声、包み込むような語りに、どのようなことを行っている人物かが自然と理解できる。そこに新人として登場する高田は、國村とはまた違う存在感。座って読んでいるのに目の前で動いているかのような鮮やかな生命力に、役柄の持つ希望を感じられた。死刑囚を演じる大森と長谷川は、心に抱えたものを大森はストレートに、長谷川は厚いフィルターを通し、台詞に滲ませる。特に長谷川の役柄が抱えるものは難解で、ひとつひとつの言葉を深作と理解を共有しながら進めていた。さらにその娘である女子大生(黒川)もまた複雑。黒川は、時が止まったような幼い語り口のなかに、ふと背筋が冷たくなるようなねじれを見せつけた。初日でこれだけの完成度を見せたカンパニー。これから稽古が進み、さらに音楽が加わるとどうなるのだろうかと、期待が高まる稽古初日だった。公演は、8月29日(水)から9月3日(月)まで東京・紀伊國屋ホールにて上演。取材・文:中川實穗
2018年08月27日舞台『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』が8月24日東京・TBS赤坂ACTシアターで開幕した。公演初日前、ゲネプロが公開され、出演するアイドルグループ「けやき坂46」のメンバー10人による取材が行われた。【そのほかの画像はコチラ】本作は、人気アニメ『魔法少女まどか☆マギカ外伝』の世界観を体感できるスマートフォンゲーム『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』の舞台版。主人公の環いろは(柿崎芽実)が、姿を消した妹・うい(國分亜沙妃)を追って新興都市の神浜市にて手がかりを探し始める。そこへ見滝原市の魔法少女・鹿目まどか(丹生明里)もやってきて…というストーリー。けやき坂46のメンバー10人が、芝居・歌・ダンスはもちろん、殺陣にも初挑戦し、メインキャラクターとなる魔法少女たちを演じている。環いろは役を演じる、けやき坂46の柿崎は「私はアニメの『魔法少女まどか☆マギカ外伝』が大好きだったので、今回『マギアレコード』のいろは役を演じるということはとても嬉しくあり、同時に不安もありながらの稽古でした。ゲームファンの皆様からも支持していただけるよう、いろはになりきって演じたいと思います」と意気込む。七海やちよ役の佐々木美玲は「素晴らしい作品に関わらせていただき、すごく光栄です。やちよ役は、いつもの私と真逆なのですが、千秋楽まで一生懸命演じられたらいいなと思います」とコメントした。けやき坂46のメンバーたちは、本物そっくりな本格的な衣装に身を包み、キャラクターの特徴を思い思いに体現。更に、実力派の出演者が脇を固めており、2.5次元ミュージカルとしてしっかりと成立していた。また、映像技術を多用した演出も斬新で、特に戦闘シーンは迫力があった。けやき坂46のファンはもちろん、原作ファンも満足出来る作品に仕上がっている。柿崎、佐々木のほか、富田鈴花(由比鶴乃役)、潮紗理菜(二葉さな役)、渡邉美穂(深月フェリシア役)、丹生明里(鹿目まどか役)、河田陽菜(暁美ほむら役)、齊藤京子(佐倉杏子役)、金村美玖(美樹さやか役)、加藤史帆(巴マミ役)らが出演。9月9日(日)まで。チケット発売中。文:五月女菜穂
2018年08月27日劇作家・末満健一が展開する「TRUMP」シリーズ、その最新作であるミュージカル「マリーゴールド」が、8月25日、東京・サンシャイン劇場にて初日を迎えた。2019年に10周年を迎える本シリーズは、ヴァンプ=吸血種の始祖TRUMP(TRUE OF VAMP)の伝説を軸に、「永遠の命」に翻弄されるキャラクターたちの悲哀を描くゴシックファンタジー。作品を超えてリンクする伏線、綿密に練られた脚本で、熱狂的なファンを生み続けている。【チケット情報はこちら】10周年アニバーサリー企画の第一弾でもある本作「マリーゴールド」は、母・アナベル(壮 一帆)と娘・ガーベラ(田村芽実)を中心に展開する。小説家であるアナベルは、娘ガーベラに「外に出てはならない」と言い聞かせて、マリーゴールドの花に囲まれた屋敷でふたりきりで暮らしている。屋敷を訪ねるのは、アナベルの妹エリカ(愛加あゆ)、担当編集者コリウス(東 啓介)、そしてガーベラの主治医ヘンルーダ(吉野圭吾)だけ。だが、ある日、アナベルの熱狂的なファンである少年ソフィ(三津谷亮)とウル(土屋神葉)が街にやってきたことから、運命の歯車が回りだす――。初日を迎え、主演の壮は「カンパニーの力が凝縮された最高の舞台を皆様にお届けいたします!」と完成度の高さをアピール。また本作が4作目のシリーズ出演となる田村は「今回も世界観に圧倒されました。これぞ、≪圧倒的美演劇≫だと思っています。皆様の心をえぐります」と意気込みを語った。また、作・演出の末満は「稽古をしながら思ったことは、愛には即効性と遅行性のものがあり、また致死量があるということ。壮一帆さんと田村芽実さんの演じる母と娘が、その致死量の愛の物語を身震いするような震度で体現してくれています。どうか、死ににきてください」とコメントした。10周年を前に、アニバーサリー企画がつぎつぎ展開していく「TRUMP」シリーズから目が離せない。東京公演は、8月25日(土)から9月2日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて、9月7日(金)から9月9日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。8月28日(火)にはライブビューイングの上演も全国映画館にて実施。
2018年08月27日8月下旬、舞台『新・6週間のダンスレッスン』の製作発表会見が行われた。2006年の初演以来、通算194回上演されてきた人気のふたり芝居が、新演出で蘇る。まず、音楽監督、ギター&ヴォーカルを務める大嶋吾郎が、劇中のナンバー「God Only Knows」を披露。会場を豊かなメロディで染めた。【チケット情報はこちら】演出の鈴木勝秀は「草笛さんが新たな形での上演を提案。よりエンターテイメント性の高い作品にしたいという気合いに押され、お引き受けしました。誰もが経験する老いへの不安、孤独な個人同士がどう結びついていくのか。今、日本が直面するテーマをはらんだ作品です。今回、音楽は生演奏、衣裳と美術も一新。伝統を守りつつ、新たな切り口で現代に通用する作品に仕上げたい」と意気込みを語った。2006年の初演以来、未亡人リリー・ハリソンを演じてきた草笛光子は、「初演のように、心配しています(笑)。前からの残像を払拭して、新しく生まれ変わりたい。あと何年女優生活ができるのかわからないですが、死んでもいいから頑張っちゃおう!という気持ちです」。新たに14歳のダンス・インストラクターであるマイケル役に挑む松岡は「今までのマイケルを忘れさせて、俺色に染めてみせます」と意気込んだ。今回の松岡の出演は、草笛からのラブコールだったそう。草笛は「『ロスト・イン・ヨンカーズ』で共演した際、松岡君が私の息子役。あ!ここにマイケルがいた!と思いましたが、気持ちを隠しておりました。前回、観ていただいたら、楽屋で「俺に観せた意味がわかった。俺にやれという意味だろう?」と、自信満々(笑)。本当にマイケルそのものですね」と松岡に太鼓判。その話を聞いた松岡は「馴れ初めではないので」と笑わせた後、「プレイヤーとしては舞台を拝見すると、自分だったらこう演じると考えるもの。楽屋で感想を聞かれて、“僕ならこう演じたい”と話しまして。それからママと何度かデート重ね、“本当にできる?”と聞かれ、即答しました」と語る。すると草笛は、「私のこと、ママと呼ぶので困るんです。リリーとマイケルと呼び合って!喧嘩するところは情け容赦なく」と、宣言した。劇中では6種類のダンスを披露するが、好きなダンスを問われ、草笛は「ワルツ。曲線を描く体の動きは、易しいように見えて難しい」、松岡は「どれも踊ったことがなくて。ダンス自体、25年踊っていない(笑)。でもふたりで呼吸を合わせるのは楽しい」と稽古を楽しんでいる様子。草笛が、「ダンスにもアドリブが出たりする。そんなライブ感を狙いたいの!」と言うと、松岡が「ほら、急にスイッチが入った!」とツッコミを入れる松岡。草笛の心を掴む方法を聞かれて、「顔じゃないですか!」とドヤ顔。草笛も「もう掴まれています」と、息の合ったところをみせた。公演は9月29日(土)から10月21日(日)まで、東京・よみうり大手町ホールにて。その後、石川、福岡、大阪を巡演。取材・文:三浦真紀
2018年08月27日昨年、音楽活動45周年を迎えた谷村新司が、フルオーケストラとともに作り上げるコンサート“TANIMURA CLASSIC”を11月12日(月)に東京文化会館にて開催する。本公演の見どころについて話を伺った。谷村新司 チケット情報谷村が初めてオーケストラをバックにコンサートをおこなったのは約30年前。「1988年からのヨーロッパ三部作でロンドン交響楽団、国立パリ・オペラ座交響楽団、ウィーン交響楽団プロジェクト(V.S.O.P)と共演し、その頃からクラシックの心地よさやスケール感が大好きになりました」と振り返る。10年ほど前からタイトルを“TANIMURA CLASSIC”とし、上野の東京文化会館でスタートしました。今回は、昨年に引き続き、指揮・千住明、演奏・東京ニューシティ管弦楽団でお届けする。千住との交流は長いそうで、「出会いは2005年の“愛知万博”。NHKテーマソング『ココロツタエ』の作詞作曲をしたときに、千住さんがアレンジをしてくださった。そこから意気投合して、奈良東大寺の大仏殿で開催した“NATURE LIVE”に参加していただいたり、僕が上海音楽学院で先生をしていたときには学生たちの演奏会をわざわざ観に来て下さったり、長いお付き合いをしていて 今も大切な友人です」ととても深い間柄のようだ。だからこそ、制作は他の所謂オーケストラ公演と異なるようで、「千住さんは指揮をするのみでなくアレンジも手がけ、世界に通用するスコアに仕上げてくれています。完成されたものをただ渡してくれるのではなく、楽曲に対しての想いや成り立ちを丁寧に聞いてもらい、それをくみ取り 制作過程においても確認を取りながら進めてくれています。だから一緒にコンサートを作り上げているという感じがすごく強いですね」という。今年のTANIMURA CLASSICでも「谷村スタンダードをしっかりと聴いていただきたい」とのこと。「生の楽器の重なりでお届けする谷村作品というのはまた違った響き方をするので、その音に包まれてもらうことが一番の贅沢。季節も秋だし一番合うよね(笑)。世界の名だたる音楽家達が称賛するクラシックの殿堂である上野の東京文化会館で秋の定期コンサートとして、みなさんに喜んでもらえるものになればいいなと思います」とニッコリ。名曲の数々を彩りも鮮やかに堪能できそうだ。現在、谷村は全国ツアーのまっさい中。9月2日(日)岡山市民会館で再開し、10月27日(土)神戸国際会館 こくさいホールまでおこなう。ツアータイトルは“38年目の昴”。「『昴』が生まれたのが1980年。生きることに真剣に向き合っていた当時の熱さや不安や夢をコンサートに詰め込んでいます」と語った。6月6日にリリースした最新アルバム『ステージ・セレクション・アルバム「EARLY TIMES」~38年目の昴~』はツアーと同じバンドメンバーで思いを込めて新録。新しい息吹を吹き込んだ懐かしい曲たちとともに思い出がよみがえる全国ツアーになっている。チケットは、チケットぴあにて公演毎に順次発売。取材・文:門 宏
2018年08月27日『だいすけお兄さんの世界迷作劇場2018-19』は、7月21日の大阪・エブノ泉の森ホールを皮切りにサマーツアーがスタート。近畿・中国・四国・九州・北陸・東北と日本各地で公演をし、8月23日に東海ブロックの愛知公演にて入場者数が累計5万人を達成。「だいすけお兄さんの世界迷作劇場2018-19」チケット情報当日12:30の公演のカーテンコールでは横山だいすけによるくす玉割りの後に、金太郎に扮したよしもと芸人、堀川絵美が登場し横山に花束贈呈。また、横山より11月に福井・岐阜公演の開催決定などもあらたに発表され会場を沸かせた。サマーツアーはこの後、8月28日(火)から9月1日(土)まで茨城・新宿・鎌倉・群馬・八王子の5会場を周り一旦終了。夏以降は9月30日(日)の富山公演、11月24日(土)の福井公演、11月25日(日)の岐阜公演が発表されている。それ以降も2019年6月まで全国各地で開催予定。
2018年08月24日9月8日(土)大阪・阿倍野ROCKTOWNで『ぴあアイドルフェスタ“熱”(heat)~40min×3マン~』が開催される。今回は3組に絞っての熱量高40分ライブ!!「ぴあアイドルフェスタ“熱”(heat)~40min×3マン~」チケット情報東京からは、「絶対直球女子!プレイボールズ」が参戦。メンバー全員が野球に携わった経験を持つ野球好きアイドルグループ。野球振興を念頭に置き、楽曲やパフォーマンスを通して発信し活動をする、野球好きにもアイドル好きにも堪らないグループ。この夏「真夏の死のロード第四章~ブロックサインで伝えたい~」ツアーを開催中。昨年9月をもって活動休止していた、ステージを共に盛り上げるボールボーイも復活している。夜には同会場にてツアーファイナルとなるワンマンライブを開催する。因みに特別SSチケットは既に完売している。山口からは「Yamakatsu(旧山口活性学園)」が参戦。山口県のご当地アイドルとして活動している彼女たち。人生への応援歌といった楽曲や140分ノンストップライブを行うなど熱量高いパフォーマンスが特徴。今年11月には山口県在住のアーティストでの成功事例がない山口県内最大級ホール周南市文化会館(収容人員:1800人)でのワンマンライブを開催予定。前人未到の挑戦をし続け、限界という壁を蹴り上げていく彼女たちの音楽を是非とも体感してほしい。大阪からは「KissBeeWEST」が参戦。東京を活動拠点とする「KissBee」の関西メンバーを中心に結成された派生ユニット。関西アイドルリーグ初代王者にして、『SUMMER SONIC 2017』に出演。ESAKA MUSE、amHALL、HEP HALL、なんばHatchと関西屈指の会場でワンマンライブを次々開催するなど、その実力はお墨付き。さらに来年5月3日にも、今年同様なんばhatch(収容人員:1300人)でワンマンライブの開催が決定している。加えてオープニングアクトを「feelNEO」が務める。『TOKYO IDOL FESTIVAL 2017』全国予選中四国代表、ご当地アイドルNO.1決定戦『U.M.U AWARD 2017』では準優勝。今年11月には岡山県内指折りのホール、岡山市民文化ホールでのワンマンライブを開催する岡山NO.1アイドル。オープニングアクトにはもったいなさ過ぎる!!チケットは発売中。9月8日(土)は、阿倍野ROCKTOWNで熱く燃え上がれ!!
2018年08月24日9月6日(木)より東京・池袋 サンシャイン劇場で本番を迎える『おおきく振りかぶって 夏の大会編』、舞台初日を3週間後に控えた稽古場を取材した。【チケット情報はコチラ】今作は、2月に上演した『おおきく振りかぶって』の第二弾。甲子園を目指す高校野球部を舞台にした原作マンガは、これまでのスポ根ものとは違い、気弱で卑屈な少年ピッチャーを主人公にし大ヒットしている。脚本・演出は前作に続き演劇集団キャラメルボックスの成井豊。長年、小説原作の舞台化に力を入れてきた成井が得意とする、演劇的な感動あふれる舞台になりそうだ。この日は前半の山場の稽古。野球の試合シーンでは、同時に20人以上が登場する。実際の試合を早回しにしたように、次々と選手がバッターボックスに立ち攻守交代していく。舞台に人が入り乱れめまぐるしいが、そんな中でもそれぞれの人物にドラマがある。誰が誰を意識しているのか、誰の台詞を観客に届けるかなど、整理していく。成井は気になる俳優をひとりひとり呼び「今、君の役の盛り上がりが作れていないのがわかる?」「ここは君の役にとってはこんな意味があるシーンだよね。調節できるかな?」と穏やかに問いかける。中でも前半の鍵となる役を演じる白又敦や大村わたるは、真剣に頷く。俳優それぞれに自分の役の全体像を理解させ、組み立てさせていく。同時に、ほかの俳優も自主的に円陣を組み「あのシーンはこうしてみないか?」と相談する。主人公・三橋役の西銘駿は、気弱で自信がないがみんなが目を離せないエースを演じている。震えながらも高くまっすぐな声が、芯の強さを感じさせる。前回よりも役が馴染み、より体温のある三橋となるのではと期待させる。バディでもある阿部役は今回ふたり。この日の稽古では大橋典之が演じ、精悍な顔立ちと直情的な表現が西銘と良いバランスだ。Wキャストの猪野広樹との違いも楽しみ。ほか、初参加の一色洋平は抜群の運動神経で、チーム一の実力者という説得力を持たせる。また各自、短いシーンでそれぞれのキャラクターを見せる。野球部を支える役どころとして、成井の演出を知るキャラメルボックスの劇団員らが出演。監督役の渡邊安理は今シリーズ初参戦ながら、強い声と安定した立ち姿でチームの土台となる。多田直人は場の空気に合ったアドリブを連発し、その自然さに周囲の俳優たちの笑いがこぼれ、目が輝く。成井らしい青春の音楽に彩られ、まもなく、青い夏の幕が開く。東京公演は9月17日(月・祝)まで。その後、28日(金)・29日(土)・30日(日)には大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ で上演。取材・文:河野桃子
2018年08月24日