チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (131/342)
台詞を使わず身体表現とヒット曲で物語を紡ぐエンタテインメント集団「梅棒」の最新作8th SHOW『Shuttered Guy(シャッターガイ)』のプレビュー公演が3月28日(水)に開幕する。その稽古場に潜入した。【チケット情報はこちら】「踊りは気持ちだ!」をコンセプトに、ストーリー性のある演劇的な世界観をジャズダンスとJ-POPでつくりあげる梅棒。笑いと感動が一気に味わえるステージはエンタテインメント界でも注目度が高く、劇団☆新感線のいのうえひでのりやプロフィギュアスケーターの鈴木明子らも絶賛。今作は過去最大スケールで全国4都市5会場でのツアーとなる。その最新作『Shuttered Guy』は、寂れかけた商店街で巻き起こる家族や町の人との絆を描く“ドタバタ・ハートウォーミング・ホームコメディ”。出演者は梅棒メンバーに加え、俳優の大久保祥太郎や、アクション女優の佃井皆美、「本能寺の変」でお馴染みエグスプロージョンのまちゃあき、アップアップガールズ(仮)の古川小夏ら幅広いジャンルから集う。稽古場では、作・総合演出を務める梅棒のリーダー・伊藤今人が、10人以上で踊るシーンの微調整を行っていた。ダンスとしては既に揃っているように見えたが、伊藤は目線の持っていき方や間(ま)などを細かく細かく詰めていく。これによって梅棒ならではの、楽しいだけでなく感動するステージに研ぎ澄まされていくのだと感じた。また、複数人が登場する舞台上でも、台詞があれば話している人に自然と視線が集まるが、梅棒の“ダンス×演劇×J-POP”という表現では、演出によって視線を集める必要がある。稽古場ではそのアイデアをキャストが提示することも。梅棒メンバーだけでなく、ダンサー、俳優みんなでアイデアを出し合い、各ジャンルの知恵がひとつの動きに集結するのはこのカンパニーの魅力だ。とはいえメイン以外のメンバーも魅力的な動きをしているのでそこもぜひ注目して。次にキャストの前に立ったのは梅棒の鶴野輝一。梅棒では、曲ごとに振付と演出をメンバーで振り分けている。鶴野はまずキャストに「この場面はこういう雰囲気」と話し、キャストはそれを理解した動きをみせる。身体能力と表現力がものをいう瞬間だ。ほんの20秒ほどのシーンを何度も繰り返し、ときに爆笑しながら、ときにディスカッションしながらシーンをつくっていく時間は誰もが楽しそう。その間、メンバーが「自分もこのダンスに参加したい!」と伊藤に訴えていたり、そのシーンでは出番のない梅棒の遠山晶司と田中穂先(柿喰う客)も、別のシーンの振りを入念に確認していたり、梅棒作品同様、賑やかで熱量の高い現場。幕が開くのを楽しみに待ちたい。公演は3月28日(水)・29日(木)に東京・シアター1010にてプレビュー公演上演後、愛知、大阪、福岡、東京凱旋公演を巡演。取材・文:中川實穂
2018年03月28日マライア・キャリーが10月29日(月) に大阪・大阪市中央体育館、31日(水) に東京・日本武道館で来日公演を開催する事が決定した。マライア・キャリーは『Hero』『Fantasy』『We Belong Together』などのヒット曲で知られ、これまで18曲で全米No.1 を記録、2億枚以上のアルバムセールスを誇る世界を代表する歌姫。来日公演は東京では4年ぶり、大阪では12年ぶり。全米No.1となった楽曲の数々を中心としたまさに「ベスト盤」とも言えるセットリストでライブを行う。チケットの一般発売に先がけて、4月13日(金)昼12時よりH.I.P.会員抽選先行を実施。■Mariah Carey Live in Concert Japan Tour 201810月29日(月) 大阪市中央体育館(大阪府)開場 18:00 / 開演 19:0010月31日(水) 日本武道館(東京都)開場 18:00 / 開演 19:00★★以下のリンクより「マライア・キャリー」をお気に入り登録して、情報をゲット!
2018年03月27日歌舞伎など日本の伝統芸能に若い世代にも一定数のファンがいる現代ながら、日本舞踊には古典的で堅苦しいイメージが残っているといわざるを得ない。そうした固定概念を打破すべく、市川染五郎(現・松本幸四郎)らが「未来座SAIシリーズ」を立ち上げたのが昨年のこと。第2回日本舞踊 未来座 裁 チケット情報「SAI」とはSuccession And Innovation(=継承と革新)を指し、日本舞踊の未来を見据える上でも重要な活動といえそうだ。その第2回公演「裁(SAI)カルメン2018」が6月に上演される。まさに革新的な日本舞踊でホセ役として舞うのは、歌舞伎俳優・中村橋之助。「日本舞踊は小さいときから大好きです!」とハツラツと語る彼に、22歳の青年ならではの視点で日本舞踊の魅力を語ってもらった。歌舞伎の家系に生まれた者として自然に日本舞踊に触れ、幼い頃から稽古が楽しみだったそう。「1年に1回、運動会が終わった後にお稽古に行かなきゃならないときは『どうして僕だけ』なんて思いましたけど(笑)、行きたくないと思ったのはそれぐらい。稽古場に行っておやつを食べておしゃべりをして、お稽古をして帰ってくるっていうのが遊びみたいで楽しかったから、『楽しい』という感覚が今も続いているんだと思います。そして僕の踊りの師匠である梅彌の伯母(=中村梅彌。実の伯母でもある)の踊りがきれいでかっこよくて、あんな風に踊れるようになりたい憧れがずっとありました。日本舞踊は、踊る人の感情が最大限にあふれた表現。例えばドラマとかは、どんなにかっこいい人が出ていても筋が面白くないとつまらない。でも日本舞踊はやる側も観る側も単純に、その感情で自分をあふれさせられる楽しさ、心地よさがあるんです」「カルメン2018」はそんな、日本舞踊に親しんだ橋之助にとっても大きな挑戦だ。創作舞踊は未体験で、女性との舞台共演も初となる。「歌舞伎では、男性である女形さんを舞台上では本当に好きになりますが、いざ本当の女性相手の場合、それと同じなのか同じじゃないのか、僕自身もまだわかりません。ただ、遠慮せずにやりたいなと思います。ぼたんのお姉ちゃま(=市川ぼたん。カルメン役)は、きっとドンと受け止めてくださる。役のホセが一途ですから、あちらが恥ずかしくなるぐらい(笑)、思いっきり行きたいですね。ホセはカルメンがすごく好きなのに愛し方を知らなくて、いろんな事件を起こしてしまう。僕も結構やきもち焼きですし(笑)、初めて人を好きになったときの気持ちを思い出しながらやってみようと思っています」公演は6月22日(金)から24日(日)まで東京・国立劇場 小劇場にて。なお、本公演のカルメン役は市川ぼたんと水木佑歌、ホセ役は中村橋之助と花柳寿楽のWキャスト。取材・文:武田吏都
2018年03月26日花總まりが主演を務める「ミュージカル『Romale』~ロマを生き抜いた女 カルメン~」が、東京芸術劇場プレイハウスにて上演中だ。【チケット情報はこちら】本作は、オペラとしても有名なメリメの小説「カルメン」をベースに、次々と男性を翻弄し“魔性の女”と呼ばれるカルメンが、ロマ(ジプシー)として当時の社会でどのように生き抜いてきたかを演出・振付の謝珠栄の視点で描く作品。10年前に謝珠栄の演出・振付で上演された『Calli~炎の女カルメン~』をもとに台本・音楽を一新したもので、何もかもが違う白人男性への恋の苦しみや葛藤、そしてロマの女への差別など、カルメンの別の一面が描かれる。カルメンを演じるのは花總まり。カルメンによって人生が変わるドン・ホセを演じるのは松下優也。カルメンに翻弄される、ホセの上司スニーガを伊礼彼方、カルメンの夫ガルシアをKENTARO、イギリス貴族のローレンスを太田基裕が演じる。物語は、カルメンの真実を研究する社会人類学者ジャン(福井晶一)が、カルメンを知っているという老人(団時朗)と出会うことから始まる。「あの女と暮らしたジプシーから聞いた」と話し始める老人。そこで語られるのは、白人の衛兵ホセがロマの女カルメンと出会い始まった宿命の恋だった。カルメンに身も心も溺れ、「私って女はきっとあんたを不幸にする」と告げられながらも共に生きることを選んだホセ。だが、その狂おしいほどの想いはいつしか嫉妬で乱れ、カルメンが関わる別の男たちに手をかけるようになっていく――。カルメンをロマの女として“自分のもの”にしたがる男たちの中で、すべてを飛び越えひとりの女性として恋するホセ。松下の真っ直ぐに伸びる歌声や、わき目もふらず彼女を愛する芝居はホセという男の心情だけでなく、カルメンがこれまで男たちにどう扱われてきたのかをもあぶり出す。そんなホセを嫉妬させる男たちを演じる伊礼やKENTARO、太田は、傲慢さやしたたかさを感じさせながらも、それぞれが違うタイプの男性としての魅力や色気も漂わせる。そしてその中で踊るように自由にふるまう、花總のカルメン。男に取り入る姿や、情熱的なフラメンコダンス、自分を殺せとホセに迫る姿など、いわゆるカルメン像が描かれながらも、この作品ではその一歩奥へと踏み込んだ想いや視点が存在する。花總が演じるカルメンは、定番のカルメン像とリンクさせながらも本作ならではの魅力や美しさが鮮明に表現されていた。舞台となるスペインのテイストが取り込まれた音楽やダンス、華やかな殺陣も注目の公演は、4月8日(日)まで東京芸術劇場プレイハウスにて上演中。その後、4月11日(水)から21日(土)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。取材・文:中川實穂
2018年03月26日日本が誇るエンターテイナー・玉野和紀が若い才能とつくりあげるSHOW HOUSE『GEM CLUBⅡ』のプレビュー公演が東京・シアター1010にて開幕。3月24日より東京・日比谷シアタークリエで上演中だ。【チケット情報はこちら】本作は、玉野が立ち上げたエンターテインメント・ショー『CLUB SEVEN』シリーズのDNAを受け継ぐ“新世代”のショー・ステージ『GEM CLUB』シリーズ第二弾。出演は、作・演出・振付も手がける玉野に加え、メンバーの中河内雅貴、東山光明、原田優一、壮一帆のベテランキャストと、木戸邑弥、多和田秀弥、本田礼生、松田岳、古田一紀とWキャストの三森すずこ・新垣里沙(取材時・三森出演)という若手キャスト。才能の原石(=GEM)たちが集うショーハウス「GEM CLUB」を舞台に、夢を追い求め、ぶつかり合いながらも切磋琢磨する彼らの姿を描く。内容は、スケッチミュージカル(一幕)とショー(二幕)の二部形式。一幕では、伝説的なSHOW HOUSE「GEM CLUB」の総支配人・玉野や新オーナーの壮、中河内、原田が新人をスカウトしに街に出かけるところからスタート。弾き語りしている歌手、ショップ店員、ダンス芸人、メイドカフェで働く者、映画のエキストラ…そんなGEMたちと玉野らが出会うさまざまな状況を描く中で、歌やダンス、アクションなど、彼らの魅力を見せていく。もちろん玉野ならではの楽しい演出も数多く盛り込まれており、笑いどころもたっぷり。高い身体能力を持ったメンバーがみせるコミカルなシーンの数々は、見た目と動きのギャップに心を掴まれる。二幕は、そうやって集ったメンバーたちによる「GEM CLUB」でのショー。ベテランキャストと若手キャストが入り乱れ、あらゆるジャンルのパフォーマンスをギュギュッと詰め込んだステージになっている。ベテラン&若手、ベテランのみ、若手のみなど、いろいろな組み合わせで披露されるパフォーマンスは、ベテランの存在によって若手の熱量やがむしゃらな姿勢が浮かび上がり、原石だった彼らがひときわ輝く瞬間が目に飛び込んでくるようだった。と同時にベテランメンバーの“背中の大きさ”も自然と感じられ、若いからこその魅力、経験を重ねたからこその魅力、世代を超えて一緒にやるから生まれる魅力など、生のエンターテインメント・ショーの醍醐味でもある“今この瞬間”の貴重な輝きを実感できる。今しかない「GEM CLUB」をぜひ堪能して!公演は、4月5日(木)まで東京・日比谷シアタークリエ、4月14日(土)・15日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼ、4月18日(水)に愛知・日本特殊陶業市民会館にて上演。取材・文:中川實穂
2018年03月26日ディズニーと、『レ・ミゼラブル』『オペラ座の怪人』などを手掛けたプロデューサー、キャメロン・マッキントッシュが作った大型ミュージカル『メリー・ポピンズ』の待望の日本公演が、プレビュー公演を経て3月25日、東京・東急シアターオーブで開幕した。長期オーディションを経て決まったキャストは、主人公のメリー役に濱田めぐみ・平原綾香、煙突掃除屋のバート役に大貫勇輔・柿澤勇人ら。3月23日には報道陣に作中の3シーンが公開されるとともに、キャスト、スタッフが意気込みを語った。ミュージカル「メリー・ポピンズ」チケット情報物語は1910年のロンドン、なかなか子守が居つかないバンクス家が舞台。忙しい銀行家の父を中心に、少しずつ心がすれ違っているこの一家に家庭教師メリー・ポピンズが舞い降りてくる。魔法で部屋を片付けたりと不思議な力を持つメリーに子どもたちも大喜び。やがてメリーが教える大切なことを素直に受け入れるようになった一家は、家族としての幸せを取り戻していく……。まず披露されたのはメリーが子どもたちに「何を言うかじゃなく、どう言うかが大切」と教えるナンバー『スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス』。ダンサブルで軽快な、劇中を代表するビッグナンバーだ。続けて名曲『チム・チム・チェリー』をメリーとバートがロマンチックに歌い、『ステップ・イン・タイム(リプライズ)』では幸せの象徴である煙突掃除夫たちがバンクス家になだれ込み、陽気にタップダンスを踏んだ。本編ではフライングなど様々なマジックが仕掛けられている本作だが、披露された3シーンだけでも、観る者を笑顔にする魔法がかけられているような幸福感があった。会見では、オリジナル演出家リチャード・エアが「メリーは魔法を使えるけれど、魔法で皆を幸せにするわけではない。お互いに優しくできるということを教えてくれる、そこが大切なところ」と作品の魅力を語り、さらに「日本版はファンタスティックに素晴らしいものになっている。キャストも魅力のある方ばかりで、皆さんが愛情を持って作ってくださっている」と賛辞を贈った。また平原は「世界的な名作で、誰の心にもメリーがいるからこそ難しいのですが、信頼するスタッフとともに、細かく、大事にこの世界を創った。とにかく、どこもが見どころ」とアピール。また目玉であるメリーのフライングは日本公演が最長飛行距離とのことで、濱田は「かなり長く魔法で飛んでいます(笑)。通常は舞台と客席に(見えない)境があるのが、舞台上で動いているキャラクターが客席の方にやってくる。立体的だし、客席の方に飛んでくる躍動感、ワクワク感は実際に見るとすごい衝撃。どの席からも楽しんで欲しい」と話した。東京公演は5月7日(月)まで。その後5月19日(土)から6月5日(火)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールでも上演される。
2018年03月26日アートファンの注目を集める絹谷幸二 天空美術館で、3月28日(水)より特別展示『平和へのメッセージ~情熱・元気・祈り~』が開催される。日本の洋画界をリードし続ける絹谷幸二は、留学先のイタリアでアフレスコ(壁画の古典技法)による色彩豊かな画風を確立。生きる喜びを高らかに謳いあげるようなエネルギッシュな作品は、多くの者を魅了し続けている。絹谷幸二 天空美術館チケット情報同館では、絵画や立体作品のほか、幅約14m、高さ約3mの大型スクリーンに絹谷ワールドを再構築した3D映像体験ができるのも大きな魅力。入館時に渡される3Dメガネをかけてスクリーンを眺めると、音楽とともに絵画の中に入り込むバーチャルツアーがスタート。体をくねらせ空を舞う龍、迫りくる風神雷神、舞い散る桜吹雪や紅葉が、まさに眼前に飛び込んでくる。まるでテーマパークのアトラクションのようなワクワクを、心ゆくまで体験してほしい。イタリアの陽光溢れる情景、天へ向かってそそり立つ富士、水面をボートで疾駆する七福神など、古代神話から現代社会の諸相まで、ひとつにとらわれない様々なイメージ世界を描く絹谷。その信念は「美術はどんな武器よりも強い力を持つ!」。異なる言語や宗教、環境や歴史など人間を隔てるすべての壁を美術によって包み込み、争いを越えて人々の信頼と輝かしい未来を高らかに歌いあげる……ここには平和への祈りが込められている。特別展示『平和へのメッセージ~情熱・元気・祈り~』では、社会、平和、環境などに関する諸問題に板挟みとなった人間の苦悩を描き出し、大きな反響を巻き起こした1990年代初期の代表作『涙色の部屋Ⅱ』などを展示。怒りや悲しみを越えたところにある、生きることへの夢と希望、そして愛することの喜びが、独特のタッチで表現される。鮮やかな色使いに心引き込まれる絹谷作品で、生きる喜びを再確認してほしい。お得な割引入館引換券はチケットぴあにて発売中。休館日は火曜日(祝日の場合は開館、翌平日が休館)。展示替え期間は特別休館。■絹谷幸二 天空美術館 特別展示『平和へのメッセージ~情熱・元気・祈り~』【開催期間】3月28日(水)~6月25日(月)【開館時間】10:00~18:00※金曜日・土曜日・祝前日は10:00~20:00(入館は閉館の30分前まで)【会場】絹谷幸二 天空美術館【休館日】火曜日(ただし、祝日の場合は開館し、翌平日が休館)、12月30日から1月3日、展示替え期間【入館料】一般1000円、大学・高校・中学生 600円、小学生以下無料、団体・障がい者割引あり【HP】〒531-0076大阪市北区大淀中1-1-30梅田スカイビル タワーウエスト27階文:上田亜矢
2018年03月26日2017年度の芸術選奨文部科学大臣賞(大衆芸能部門)を受賞した石川さゆり。1973年3月25日に『かくれんぼ』でデビュー、1977年には今なお歌い継がれる『津軽海峡・冬景色』が大ヒット。以降も数々のヒット曲に恵まれ、紅組のトリを務めた2017年のNHK『紅白歌合戦』では女性歌手としては初の出場回数40回を記録するなど、今や国民的歌手として多くの人に愛される存在となった。ここ数年は矢野顕子や大江千里、コブクロなどジャンルを超えたアーティストとのコラボレーション『X-Cross-』シリーズを手掛け、歌手・石川さゆりのさらなる可能性と魅力を追求している。「石川さゆり」チケット情報大阪では新しくなったフェスティバルホールで毎年、コンサートを開催。石川さゆりの音楽を多角度的にじっくりと魅せる演出や、和太鼓や邦楽を取り入れるなど、フェスティバルホールならではのステージを展開している。「フェスティバルホールは本当に、気持ちのいいホールで、私の大好きなアバンギャルド系の大阪のお客様がおしゃれをしてホールに集ってくださって、それがとてもいい塩梅なんです。音もすごくよくて。大阪の方のエネルギーと音の良さが歌い手をその気にさせて歌わせてくださるのがフェスティバルホールかなと思います」。関西、特に大阪のファンの特徴を尋ねると「大阪の皆さんは“来た分は持って帰らんとな。絶対に楽しいんやろうな!?”という気持ちで来てくださいます。それがたまらなく好きです。お客様が“儲かったで!”とおっしゃると、今見てくださったステージはちゃんと楽しんでいただけたんだなと安心しますね」デビュー45周年のメモリアルイヤーだった2017年はいつに増して精力的に活動した。「やりすぎたかも」と笑いながらも、歌を聴いてもらえる幸せをかみしめた。「皆様に歌をお届けして、楽しんでいただいて、石川さゆりを皆様に聴いていただける。エンタテインメントのステージを皆様に楽しんでいただけることは幸せなことだと思います」。『X-Cross-』シリーズの効果もあって、コンサート会場では若いファンも見かけるように。これからの展望を尋ねると「奇をてらうことなく、今、自分が何をやりたいのかということに向き合い、歌を作っていきたい」と石川。とはいえ、持ち前の探求心はその歩みを止めることを知らない。スタンダードでありながら、最も新しい石川をフェスティバルホールで堪能してほしい。公演は、6月10日(日)大阪・フェスティバルホールにて。チケットは発売中。取材・文:岩本和子
2018年03月26日四世鶴屋南北原作の『東海道四谷怪談』が3月17日より、東京・よみうり大手町ホールで上演中。同公演は砂岡事務所が手掛ける歌舞伎狂言シリーズ第2弾。花組芝居の加納幸和が脚本、劇団鹿殺しの丸尾丸一郎が演出を担当し、単なる怪談にとどまらない、人の業が絡み合う群像劇として見せている。【チケット情報はこちら】塩冶浪士の民谷伊右衛門(平野良)は、同じ浪士で義父の四谷左門に娘・お岩(田渕法明)との復縁を迫るが、伊右衛門の公金横領という過去を知る左門は復縁を許さない。一方、お岩の妹・お袖(白瀬裕大)は訳あって離れた夫・佐藤与茂七(白又敦)と、生活のために勤めた按摩宅悦(植本純米)の地獄宿で再会。しかし、お袖に横恋慕する直助権兵衛(桑野晃輔)は与茂七を、伊右衛門は左門をそれぞれ殺してしまう。親・夫を殺した仇とも知らずお岩は伊右衛門と復縁、お袖は直助と仮の夫婦となる。お岩は、産後の肥立ちが悪く、伊右衛門はそんなお岩を疎ましく思い始める。隣家の高師直家臣・伊藤喜兵衛(なだぎ武)からもらった血の道の薬を飲んだお岩はたちまち形相が変わって…という物語だ。歌舞伎に造詣が深い脚本の加納が、普通に上演すれば1日がかりになる大作のエッセンスをたった2時間に凝縮。現行では上演されることの少ない5幕目の「夢の場」を含めての劇化となる。出演者は全員男性で、女性役も男性が挑戦するほか、セリフも現代口語より原典通りの言い回しが多い。花道を多用し、ケレン味ある「戸板流し」の演出も挟むなど、歌舞伎の手法を積極的に取り入れているが、古典作品とはこれまで縁遠かった若手俳優たちが正面から本作に取り組む姿が1番の見所かもしれない。本公演は和装と洋装、ふたつのバージョンが上演されている。洋装で『東海道四谷怪談』を見てみると、独特の新鮮さがあった。『四谷怪談』と聞けば「お岩さんの幽霊が出てくるおどろおどろしくて怖い話」というイメージを持つ人も多いと思うが、当作品を通してみると、また違った印象を受けることと思う。演出の丸尾は「キャストが精一杯生きて、泣いて、怒って、死んでいく姿を観て、お客様に少しでも共感、共有してもらえたら。自分たちの責任で愛と悲しみの物語を作っていけたらいいなと思います」とコメントしている。そのほか、北村健人、今川碧海、水貴智哉、土倉有貴が出演。公演は3月25日(日)まで。取材・文:五月女菜穂
2018年03月26日現在、東京・日生劇場にて上演中の『ラ・カージュ・オ・フォール 籠の中の道化たち』。本作は、鹿賀丈史と市村正親が最強の夫婦愛で導く"家族の絆"を描いたミュージカルコメディで、鹿賀と市村は2008年の初タッグから4度目の夫婦役。さらに愛原実花、真島茂樹、新納慎也、香寿たつき、今井清隆、森公美子が続投で、新キャストとして夫婦の息子役に木村達成が出演する。演出は山田和也。【チケット情報はこちら】開幕に際しての囲み取材には鹿賀と市村が揃って登場。夫婦役10周年を迎えるふたりだが、女装した市村が「みんなに化け物って言われるんじゃないかと思って」と心配すると鹿賀が「大丈夫、きれいよ」と答え、変わらぬ仲を披露。そんなジョルジュ(鹿賀)とアルバン(市村)の夫婦について鹿賀は理想の夫婦像と重ね「アルバンがワガママを言ったりするのですが、ジョルジュはそれを半分聞き流してるというか。そういうところで、よくできた愛し合ってる夫婦だなと実感します。言いたいことは言ったほうがいいですよね」と語った。ふたりの付き合いは劇団四季以来45年。鹿賀は「いっちゃん(市村)がまたパワーアップしてるなと思いました。その力がどこから湧き出てくるかわからない。歌ってるときも、芝居してるときも、随所ですごいパワーを感じます。尊敬します」と語る。市村が「20代前半から一緒にやってますからね。いろんな作品で丈史の目を見てきていますが、今回は特にずーっと見る役なのでね。彼も45年、僕を見ているだろうし。20年連れ添った夫婦を演じるうえで、45年間知ってるというのは大きな強みだなと思っています」と語ると、鹿賀も「本当にそう」と頷き、「芝居も安心してできます。球を投げれば、それにちゃんと答えが返ってくるという関係ですので。毎日非常に新鮮で面白いですし、そういう相手役はなかなかいないと感じます」と感慨深そう。再演を重ね続投キャストも多い本作だが進化は止まらず、市村は「再演を重ねるごとに演出家もいろんなことに気づくので、それをどんどん増やして深めていく感じかな。でも、(ブラッシュアップは)日々のことです。今日発見があったら明日それをやってみるとかね」と話した。アルバンとジョルジュの倦怠期ながらも愛が滲み出る甘くかわいい姿や、そんな彼らに愛情たっぷりで育てられたジャン(木村)による騒動の顛末、そして彼らを取り巻く人々の温かで賑やかな愛と、さまざまな愛のカタチに心揺さぶられる本作。胸の奥まで沁みる歌唱、華やかで賑やかなショー、そして素晴らしい芝居と、演劇の楽しさが十二分に味わえる作品だ。ぜひ劇場に足を運んで!公演は3月31日(土)まで東京・日生劇場にて上演後、福岡、静岡、大阪を巡演。取材・文:中川實穂
2018年03月23日2018年10月、北海道から九州まで日本を縦断する壮大なオペラ・プロジェクトが始動する。札幌文化芸術劇場hitaru、神奈川県民ホール、兵庫県立芸術文化センター、iichiko総合文化センター(大分)と、東京二期会、東京フィルハーモニー交響楽団、札幌交響楽団の7団体が提携して、ヴェルディのグランド・オペラ『アイーダ』の上演が決まった。指揮はイタリアの若手マエストロ、アンドレア・バッティストーニ。アイーダには国際的プリマの木下美穂子、ラダメスには日本を代表するテノールの福井敬、アムネリスには活躍目覚ましいメゾ・ソプラノの清水華澄らがキャスティングされ、オリジナル演出(ジュリオ・チャバッティ)でのツアーが行われる。「この『アイーダ』は札幌文化芸術劇場hitaruのこけら落し公演となります。新しい劇場が世界から愛されるようにつとめたい」(札幌文化芸術劇場hitaru 専務理事畠山茂房氏)バッティストーニは2016年から東京フィルハーモニー交響楽団の首席指揮者を務めているが、昨年の9月には札幌交響楽団との共演も果たしている。「新しい劇場のこけら落し公演に出演することは大きな名誉です。劇場とは、単なるエンターテイメントの場ではなく、人々の内面を教育し、感情を分かち合い、お互いをリスペクトしあう場で、札幌市民のみなさんにとって新しい劇場は大きな贈り物です。私自身にとっては、日本で友情を育んできた二期会、東京フィルというプロフェッショナルとの大きな達成を聴いていただく機会になると思います。『アイーダ』は規模の大きな歴史劇であると同時に、人間の内面を深く描いた名作で、私自身も故郷のヴェローナで初めてこのオペラを見たとき、大きな感動に包まれました」(アンドレア・バッティストーニ)「ヴェルディは『イル・トロヴァトーレ』もそうですが、中期のオペラで戦闘シーンをほとんど描いていないのです。『アイーダ』は、これぞイタリア・オペラ、というグランド・オペラですが、本質にあるのは「人間は究極的には愛に生きる」という深い真理なのではないかと思います」(テノール福井敬)「2011年に震災が起こった時、私は自宅でアムネリスの稽古をしていました。テレビで津波の映像を見て、何もできない自分の無力さに打ちひしがれ、その日から公演を行えること自体が奇跡なのだと思うようになりました。オーケストラの響きを愛しているので、札幌交響楽団さんとの初共演が楽しみでなりません。全身全霊で演じて、お客様に喜びを与えられればと思います」(メゾソプラノ清水華澄)日本中にアイーダの嵐が吹き荒れる10月になりそうだ。取材・文:小田島久恵
2018年03月23日国際交流基金アジアセンターと株式会社パルコが2014年に立ち上げた「ダンス・ダンス・アジア~クロッシング・ザ・ムーヴメンツ~」。3月23日の東京公演開始に先立ち、3月15日にはダンス関係者へ向けた公開リハーサルが行われた。DANCE DANCE ASIA チケット情報集まったのはフィリピン、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、そして日本のダンサーたち。シアターで展開される彼らのダンスは、そのテクニックはストリートダンスをベースとしながらも、コンテンポラリーや演劇など他のアート分野と驚くべき幸せな邂逅を経て、新たな地平を切り開いている。まさに世界のムーブメントの“今”を感じられるステージとなっている。ラコステ、ディーゼルなどのショーやMV、CMなどの振付を多数手がけるヴィンス・メンドーザの作品は『Hilatas<君を導く光>』。2016年の東京初演以降、海外公演を経て、同名作品を長編化。今回は振付・演出補佐、ドラマトゥルクとしてピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団出身のファビアン・プリオヴィルが参加。リハーサルでは、印象的なリズムラインに導かれ、コンテンポラリー・アート作品としてのヒップホップの可能性を予感させるダンスが展開されていた。ユニクロのTVCMで、世界三大広告賞を含めた23タイトル受賞という快挙を成し遂げた気鋭のクリエイター黄帝心仙人の作品は『宇宙 -Space-』。舞台に設置された透明なドーム型の“宇宙船”の中で繰り広げられる船員達のドラマだ。音楽とダンスの驚くべき雄弁さによって、まるで台詞が聞こえてくるようだ。ストリートダンスのテクニックによって表現されながら、まさに演劇としてのパフォーマンスとなっている。インドネシアのダンス・アイコンとして名高いハムディ・ファバスの作品名は『Soul Train』。ストリートダンスの変遷を辿るショーケース的な構成は、さながらダンス番組『ソウル・トレイン』の“いいとこ取り”。多用されるダイナミックなブレイキングは、まるで舞台を彩る華のように咲き乱れる。ハムディ・ファバスによるストリートダンスの“今”の表現にも注目だ。公演は3月23日(金)から25日(日)の3日間、東京芸術劇場 シアターイーストにて合計4回開催される。各回、3作品全てが上演される。24日(土)、25日(日)の公演終了後には演出家・クリエイターによるアフタートークが決定しており、各回登壇する演出家は異なる。取材・文:yokano
2018年03月22日遊佐未森がデビュー30周年を記念してベスト・アルバムをリリースし、4月からシリーズ・ライブを行うことが決定した。【チケット情報はこちら】1988年、アルバム『瞳水晶』でデビュー。以来、透明感あふれるボーカルと独創的な楽曲で唯一無二の存在感を発揮し続けてきた遊佐未森。3月21日(水)にリリースされるデビュー30周年記念ベストアルバム『P E A C H T R E E』では、これまでの活動の中で“ターニングポイントになった曲”という観点で選曲された17曲が収録されている。なかでも2004年にNHK「天才てれびくんMAX」に提供した『水玉』という楽曲は、そのとき歌っていたホワイトクローバーのひとり 岩井七瀬が、昨年遊佐が担当したCM音楽の映像に出演しており13年振りに再会を果たしたという縁もあって今回新録されたという。さらに遊佐が大学時代に過ごした場所、国立にある小学校から楽曲依頼を受けた「国立市立国立第八小学校校歌」を自身で歌唱して収録。2000年リリースのシングル「ココア」のカップリング曲「see you in spring」など、他にも実にこだわりのあるナンバーがぎっしりと集められている。初回生産限定盤にはピアノ演奏を中心とした未発表音源を含む6曲入りの特典CDが付いているからファンなら見逃せない。そして春恒例のシリーズライブ「cafe mimo Vol.18~春爛漫茶会~」も開催される。楠均(perc)、西海孝(g)とトリオ編成で4月7日(土)大阪・大丸心斎橋劇場を皮切りに、5月12日(土)仙台・福聚山 慈眼寺まで全国7公演を予定、草月ホールで行われる東京2days公演では4月14日(土)に杉真理、4月15日(日)には檀れいをゲストに迎えて、楽しいひとときを届けてくれそうだ。艶のある安らぎに満ちた遊佐の歌声をぜひとも生で体感してみよう。文:浅野保志(ぴあ)
2018年03月22日X JAPANのhideが永眠して20年となる節目の今年、4月4日(水)より浮世絵木版画シリーズ「浮世絵木版画 hide 桜の景」が数量限定で販売される事が決定した。【チケット情報はこちら】これまで、The Rolling Stones、初音ミクなどとコラボレーションし、大きな話題を呼んだ浮世絵木版画シリーズ。今回はX JAPANのhideとコラボ。絵師、彫師、摺師ともに、江戸時代よりその技術を継承してきた日本を代表する一級の職人たちの手により制作され、人間国宝9代岩野市兵衛氏による越前生漉奉書和紙を使用し、伝統技術を極めた作品に仕上がっている。4月28日(土)29日(日・祝)には、メモリアルライブ「hide 20th memorial SUPER LIVE「SPIRITS」」が東京・お台場野外特設ステージJ地区で開催。hide with Spread Beaverが両日に出演するほか、ゲストにPATA(X JAPAN)が登場。さらに初日にはBUCK-TICK、MUCC、2日目には氣志團、布袋寅泰が出演。没後20年を迎え、このほかにも様々なメモリアルイベントが行われる予定。浮世絵木版画シリーズ「浮世絵木版画 hide 桜の景」は4月4日(水)午前10時より、ぴあ特別サイトにて販売開始。■浮世絵木版画 hide 桜の景※サイズ:紙 寸 法 40×27.5 版画寸法37×25紙:越前生漉奉書紙(人間国宝九代岩野市兵衛漉元)絵師:冬奇彫師:北村昇一摺師:中山誠人22版47度摺販売価格:86,400円(税込)初版:200枚限定■hide 20th memorial SUPER LIVE「SPIRITS」日時:4月28日(土)29日(日・祝)開場10:00/開演11:30(終演予定/19:00)会場:お台場野外特設ステージJ地区(東京都)出演:【4月28日(土)29日(日祝)両日出演】hide with Spread Beaver/Guest:PATA(X JAPAN)【4月28日(土)】OBLIVION DUST / ZEPPET STORE / D’ERLANGER / BUCK-TICK / MUCC【4月29日(日・祝)】氣志團 / J / ZIGGY / defspiral / 布袋寅泰
2018年03月22日NHK「みんなのうた」のイメージ画などで知られ、“風の画家”と呼ばれる中島潔の展覧会「“今”を生きる-そして伝えたいこと京都六道珍皇寺“心音図”奉納記念」が3月17日(土)より5月20日(日)まで、大阪文化館・天保山にて開催される。それに先立ち、3月16日(金)に開会式が行われ、中島潔が来場した。「中島潔展 “今”を生きる -そして伝えたいこと 京都六道珍皇寺“心音図”奉納記念」チケット情報開会式で挨拶に立った中島は、「大阪に来るのも久しぶりですし、大阪の皆さまに見てもらう機会をいただけて興奮しています。この展覧会のメインは「心音図」です。今まで、故郷や女性の絵を描いてまいりましたが、70歳になりまして、東日本大震災が起こって、色々なニュースを見聞きするうちにふと思ったんです。どうして悪いことをするんだろうか、と。そこで、私もそんなに残された人生が長くもないですから、最後に私が唯一描かなかった世界、地獄を描いてみようと思いました。地獄絵は決して怖いだけの絵ではなくて、実は、天国も地獄もどちらも大切なんです。両方の心を私たち人間は持っているんです。その証拠にどちらも作ったのは仏様なんです。だから地獄にも優しさや親しみを感じるんです。皆さん、地獄に行きたいとは思わないと思いますが、地獄の絵を見つめることで、今自分がどういう状況にあるのか理解できるんです。ですから、一緒にご覧になる方と絵を見た後で色々な話をして、楽しんでください」と語った。内覧会では3年の歳月をかけて完成させた、平成の地獄絵とも言うべき5点の「地獄心音図」の前でギャラリートークが行われた。中島は、「東日本大震災が起こった後、苦しんでいる人をさらに苦しめる人がいることに腹が立ったんです。そこで「悪いことをすればお天道様が見ていますよ」という母親の言葉がよみがえってきたんです。悪いことをすれば、ただじゃすまない、それが地獄絵を描くきっかけでした」と話していた。その後5点の絵に描かれている8つの地獄について「これは右の絵からどんどんひどくなって、最後は蟻地獄、無限地獄です。でもそこには菩薩が描かれているんです。悪いことをしても反省して心を入れ替えれば救われるんです。地獄の絵を見てぜひ自分自身を見つめ直していただきたいです」と語った。本展覧会では、「地獄心音図」を含む連作「心音図」以外にも、初期の作品や「新しい風」と題した四季折々の風景を描いた連作、そして大阪をテーマにした最新作「こいさん」なども展示されている。『中島潔展“今”を生きる-そして伝えたいこと京都六道珍皇寺“心音図”奉納記念』は5月20日(日)まで開催中。取材・文:華崎陽子
2018年03月22日あるメジャーリーグチームのロッカールームを舞台に巻き起こるさまざまな出来事を描いた「Take Me Out 2018」が3月30日(金)に開幕する。その稽古場に潜入した。【チケット情報はこちら】本作は2003年のトニー賞で演劇作品賞など2部門受賞した作品で、日本では2016年12月に初演され、今回はその再演。前作に引き続き、翻訳は小川絵梨子、演出は藤田俊太郎が手掛けるほか、栗原類、味方良介、小柳心、Spi、章平、吉田健悟、竪山隼太、田中茂弘が出演。さらに今作から玉置玲央、浜中文一、陳内将が参加する。立ち稽古が始まって2日目というこの日の稽古は、オープニングからスタート。今回も舞台は中央に設置され、両側に客席があるというつくり。ロッカールームをイメージした可動式のセットも健在で、パズルのように動かすことでさまざまな表現に活用される。“再演”と銘打たれてはいるが、芝居や音楽も一変していた。稽古中、例えば陳内の動きを見て藤田が「今のいいね!」とすぐに取り入れるなど、キャストと演出家の間で積極的にアイデアをやり取りしながら、シーンがどんどんブラッシュアップされていく。そうやって全員で新しい「Take Me Out 2018」をつくりあげようとしていることが伝わってくる。この日は稽古の最初に藤田から「“言葉の演劇”にしたい」という話があり、稽古中も、台詞の奥にあるものや台詞の表現の意味を丁寧に確認し合う姿、台詞をきちんと伝えるために動きを工夫する姿などが見られた。アメリカのメジャーリーグという日本とはどこか違う環境の物語だからこそ、そこがくっきり伝わると印象や理解度は大きく変わってくる。また、両側にある客席から選手のロッカールームを覗き見しているような感覚になる構造は、この作品の魅力のひとつ。ただ、そのロッカールームでキャスト達は着替えなども行うため、舞台上でさまざまなことが同時に起きることになり、そこは本作の面白さでもあるのだが、ともすれば中心で起きている出来事を見逃しかねない。しかし藤田が、ストーリーを進める俳優以外に“今求める動き”を丁寧に解説し、俳優たちもそれに高い能力で応えるため、シーンを重ねる度に出来事がよりクリアに浮かび上がってくる印象を受けた。稽古中、藤田の口から何度か「お客さんを当事者にしたい」という言葉が俳優たちにも伝えられ、そのための演出もつけられていた。思想や宗教、見た目も違うさまざまな人種が、野球をするために集まっているロッカールーム。スター選手のある告白を機に巻き起こる出来事は遠い世界のはずだったのに、覗き見しているうちにいつの間にか自分自身がそこにいた…そんな感覚をぜひ劇場で体感してほしい。公演は、3月30日(金)から5月1日(火)まで、東京・DDD青山クロスシアターにて。取材・文:中川實穂
2018年03月20日昨年は全国13都市ツアーを開催、飛翔し続けることをやめないダンスボーカルグループ、DEAR KISS。4月17日(火)にリリースするニューシングル『ため息の世界はいらない』と、4月29日(日・祝)に東京・TSUTAYA O-WESTで開催する3rdワンマンライブ「DEAREST DREAM」を記念し、東京・渋谷マルイにてコラボカフェ&ショップを期間限定でオープンすることが明らかになった。DEAR KISS チケット情報「DEAR KISS × 渋谷OIOI コラボカフェ&ショップ」と銘打った今回の企画では、マルイ限定のDEAR KISSオリジナルグッズ展開に加え、メンバーをイメージした全4種のオリジナルドリンクの販売も予定されている。このオリジナルグッズは後日行われるワンマンライブでも数量限定で販売を予定している。なおメンバーがカフェスタッフとして来店するイベントも実施予定で、詳細は後日アナウンス。また渋谷マルイでのリリースイベントは3月27日(火)を皮切りに5回行われる。今回の情報に合わせて『ため息の世界はいらない』の3タイプのジャケットアートワーク、およびCDの収録内容も公開。シングルには3つのカップリング曲が3形態に分かれて収録されており、TypeAには『シェキナ』、TypeBには『インディビジュアル「A」』、TypeCには『REIMEI』がそれぞれ収められる。また公開されたジャケットビジュアルの世界観を立体的に表現した大型ショーウィンドウが渋谷マルイ1階のショーウィンドウにて3月下旬より展開される。■DEAR KISS × 渋谷OIOI コラボカフェ&ショップ4月1日(日)~4月17日(火) 東京都 渋谷マルイ※カフェショップ営業時間・詳細は後日発表予定■『ため息の世界はいらない』TypeA1000円【Mカード封入】01. ため息の世界はいらない02. シェキナ03. ため息の世界はいらない(Inst)04. シェキナ(Inst)TypeB1000円【Mカード封入】01. ため息の世界はいらない02. インディビジュアル「A」03. ため息の世界はいらない(Inst)04. インディビジュアル「A」(Inst)TypeC1500円【Mカード封入】01. ため息の世界はいらない02. REIMEI03. ため息の世界はいらない(Inst)04. REIMEI(Inst)Mカード:「ため息の世界はいらない」ミュージックビデオ
2018年03月19日『ジキル博士とハイド氏』に着想を得て、三谷幸喜が書き下ろしたコメディ『酒と涙とジキルとハイド』。その4年ぶりの再演が決定。初演に引き続き藤井隆が、ジキル博士との“ふたりひと役”をさせられる、役者のビクター役に挑む。【チケット情報はこちら】体力的にとにかくきつかったと語る藤井だが、彼が大切にしていたのが、三谷のあるひと言だ。「稽古初日に『何も残らないものにしたいんです』とおっしゃったんですよね。それってすごく難しいことだなと。本番中はお客さまに笑っていただき、非常に幸せな気分になれるのですが、やはり立ち戻るのは三谷さんのあの言葉。ちょっとでも自分がよれてしまったり、せりふを間違ってしまったりすると、何も残らなかったことにはならない気がして…。かといって毎回ベストを尽くせたとしても、また何かが残ってしまう気がして。これは本当に難しいことだなと思いました」再演が決まり、初めて初演時のDVDを見た藤井は、あることに気づいたという。「笑いました。ほんとに何も残らなかったから!(笑) 改めて三谷さんって面白いなと、すごいなと思いましたね。僕、自分を商品として客観的に見た時に、『君って何なの?』と自問自答ばかりしていたんです。芸がないから芸人でもないし、俳優でも、歌手でも、タレントでもない。自分自身の肩書きに悩まされてしまった事があったのですが、初演の時に三谷さんが、『藤井さんはコメディアンですよ』って言ってくださったんですよね。いまだに芸人とコメディアンの違いは正直わからないですけど、三谷さんにそう言っていただけたことですごく救われた気がして。そういう人に対する接し方と同じく、三谷さんって作品に対してもすごく真摯な方だと思います」藤井以外にも、片岡愛之助、優香、迫田孝也と初演時のキャストが再び集結。中でも藤井は、本作で初舞台を踏んだ優香の魅力を強く推す。「この舞台って、すごく優香さんの魅力にあふれた作品だと思うんです。もちろん愛之助さんも、迫田さんも面白い瞬間はいっぱいあります!加えて 優香さんがとにかくチャーミングなんですよね。しかも初舞台だったにも関わらず、幕開きでいきなり独白って!僕だったら絶対に嫌ですもん(笑)。でもそこを軽やかに、大奮闘なさっていた優香さんとまたご一緒出来るのがすごく嬉しくて。ぜひ読者の皆さんにも、優香さんのチャーミングな姿を劇場で、生でご覧いただきたいなと思います!」公演は4月27日(金)から5月26日(土)まで、東京・東京芸術劇場プレイハウスにて。チケット発売中。取材・文:野上瑠美子
2018年03月19日演劇集団キャラメルボックスの最新公演『夏への扉』が、3月14日、東京・サンシャイン劇場で開幕した。キャラメルボックス『夏への扉』チケット情報ロバート・A・ハインラインの同名SF小説の舞台化。初演は2011年、権利関係の困難を乗り越え“世界初の舞台化”となったことでも話題を呼んだ。今回はキャストの大半が変わり、フレッシュな座組での再演となる。1970年のアメリカから物語は始まる。大学で機械工学を学び、親友とふたりで会社を設立したダニエル・デイヴィス(畑中智行)は、婚約者と親友に裏切られ会社も、開発したロボット「ハイヤードガール」の権利も、全てを失ってしまう。彼に残されたのは飼い猫のピート(筒井俊作)だけ……。ダニエルは裏切り者ふたりへの復讐を誓うが、逆に彼らの手にかかり30年間コールドスリープで眠り続けることに。再び目覚めたのは2000年、憎きふたりの消息はわからないどころか、不可解な出来事が次々に起こり……。原作を知らずこの舞台を観たなら、最初はディテールのはしばしに「あれ、この感じどこかで知っているかも?」となるかもしれない。『夏への扉』が発表されたのは1956年、今から60年以上前だ。つまりこの作品こそが“SFにおける古典”であり、“元祖”というわけなのだ。しかし、この作品が名作たるゆえんは「挫折したひとりの青年がいかに再起するか、しかも起死回生の一手で」というストーリーの面白さだろう。スピーディーに展開されるリベンジの鮮やかさ、時空を越えて成功させる伏線回収の見事さは、まさに“爽快”のひと言!初演からの続投でダニエルを演じる畑中は、どん底まで落ちながらも周囲の支えもあり、見事に復活を果たす主人公を好演。物語が進むにつれ、ダニエルの復讐は「人」へ向かうのではなく、彼がリベンジを果たすのは、“自分自身の人生”であったことがわかる。畑中の繊細な演技により、ダニエルの成長譚でもあることを改めて気付かされた。愛猫・ピートをユーモラスに演じた筒井とのコンビネーションも絶妙で、ふたりでストーリーテリングを巧みに担ってゆく。ダニエルに好意を持ち彼の味方となるリッキイを演じたのは木村玲衣。11歳から21歳まで、少女から大人の女性への演じ分けを見事にこなす。ダニエルを裏切る婚約者ベルを演じた原田樹里は、バービー人形のようなビジュアルや今までにない“悪女”っぷりで存在感を放つ。初演時は公演中に東日本大震災が発生。劇団としても満を持しての再演であり、“リベンジ”でもある。新たな一歩を踏み出すことが多いこの季節に、前へと向かう原動力を貰えるような作品だった。東京公演は3月25日(日)までサンシャイン劇場、関西公演は3月28日(水)・29日(木)に兵庫・明石市民会館大ホール アワーズホールにて上演。取材・文:川口有紀
2018年03月16日演出家で映画監督としても名高い堤幸彦がプロデュースするガールズユニット「上野パンダ島ビキニーズ」らが出演する舞台『マイナス2.5』が3月15日、東京・品川プリンスホテル クラブeXで開幕した。上野パンダ島ビキニーズ『マイナス2.5』チケット情報メンバーは、暁島朱里(西川美咲)、紫岡スミレ(矢萩春菜)、柿次橙子(小瀬田麻由)、雛菊りん(水原ゆき)、蒼井雫久(石原千尋)、桃山つき乃(松岡里英)、金平もえぎ(小田切瑠衣)の7人。昨年3月に行われた公演を皮切りとして、漫画化やCDデビューなどコツコツと活動を続けてきたビキニーズだが、とあるメンバーの突然の“解散”宣言をきっかけに、溜め込んでいた日頃の不満が爆発するところから舞台は始まる。「30才を過ぎたのにアイドル」「歌が下手なのにアイドル」……。タイトルの『マイナス2.5』は、2.5次元アイドルになれてないという自虐的な意味を込めている。さらにAKB48 Team8太田奈緒を中心としたライバルユニットの出現で、果たしてビキニーズは存続できるのか!?虚構と現実が上手く混じり合うストーリー展開だ。初演時に引き続き、堤自ら演出、劇団□字ック(ロジック)主宰の山田佳奈が脚本を担当。いま注目されている政治関連の時事ネタや、昭和生まれの心をくすぐる一発ギャグが散りばめられ、全体的にコメディー劇として楽しめる。ビキニでのダンスと歌披露、セクシー生着替え、コスプレなど、アイドルとしての“定番”もきちんと要素として取り入れながら、セリフの端々でアイドルであることの葛藤や不安、覚悟、揺らぎ、努力といった内面も描いている。単なるビキニ姿のアイドルショーとは訳が違うのでご注意を。アイドルとはどうあるべきか、なぜアイドルとして活動しているのか、これからどう向き合っていくのか。舞台を通じて観客も考えさせられるが、出演者自らもきっと十分すぎるほどに考えてきただろう。彼女たちそれぞれが辿り着いた答えをぜひ劇場でご覧いただきたい。ビキニーズとAKB48太田のほか、しらほしなつみ、真城まゆ(YOANI1年C組)、知念紗耶、中島由貴、minan(lyrical school)、小野寺ずる、野添義弘といった個性豊かなメンバーが出演。上演時間は1時間55分(休憩なし)。公演は3月18日(日)まで。取材・文:五月女菜穂
2018年03月16日魔夜峰央の人気ギャグマンガを原作にした舞台「パタリロ!」★スターダスト計画★が3月15日に開幕。それに先がけ初日会見と公開ゲネプロが行われ、会見には主演の加藤諒、青木玄徳、佐奈宏紀、脚本の池田テツヒロ、演出の小林顕作、そして魔夜峰央が登壇した。【チケット情報はこちら】舞台「パタリロ!」シリーズ第2弾となる本作。会見では、原作者である魔夜が「前作がとにかくむちゃくちゃ面白かったですから。今作それを上回ることは間違いない」と太鼓判を押す。今作で描かれる、原作でも人気の高いエピソードについて池田は「かなり泣けるお話ですし、原作を知らない方でも楽しんでもらえるはず」と自信をのぞかせた。初演に引き続きギャグマンガである原作の独特の世界観を見事に再現した小林は「1番稽古しているのは“間”。どうでもいいようなギャグばかり稽古してみんなを困らせています(笑)」とエピソードを披露した。初演から主人公・パタリロを演じ、魔夜にも「パタリロを演じられるのは諒くんしかいない」と言われた加藤は「いろんな人たちを巻き込んでいくお芝居を顕作さんから伝授していただきました。キャストも観客も巻き込むようなお芝居ができたら」、バンコラン役の青木は「2作目ということで少しのプレッシャーはあったのですが、稽古場でいつものメンツとさらに増えたキャストやスタッフの皆さんと、力を合わせて面白いものがつくれたと思います」、マライヒ役の佐奈は「今作はストーリーが動くのですが、そんなの全然どうでもいいっていうか、関係ないって感じで、僕はただただバンコランのためだけに生きようと思っています!」とそれぞれコメント。さらに会見後は、この秋の映画化が発表され、タマネギ部隊らと共ににぎやかにお祝いした。抜群のギャグセンスとダンス、歌でみせる耽美な世界はそのままに、今作はよりストーリー性の高い内容に。ロビー少尉(三津谷亮)がやさしく「♪Fly me to the Moon」と口ずさむシーンから始まる物語は、ときに切ないエピソードも描かれ、初めてみせるパタリロの姿も。それと同時にビョルン&アンドレセン(小林亮太)の強烈なキャラに、前作から一歩進んだバンコランとマライヒの関係性、タマネギ部隊11号(石田隼)がロビー少尉の前でみせるオフの一面、今回も大活躍の魔夜メンズ、突然挟まれる白泉社(原作の出版社)ネタ、そして本作ならではの楽曲&ダンスの数々と、ギャグとシリアスを高速移動するように展開し、あっという間にラストまで連れていかれる。このとにかく濃厚な時間をぜひ体感して!公演は、3月25日(日)まで東京・天王洲銀河劇場、3月30日(金)から4月1日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。(C)魔夜峰央/白泉社取材・文:中川實穂
2018年03月16日Kバレエカンパニーのプリンシパル、浅川紫織が今年11月の『ロミオとジュリエット』を最後に引退することになり、芸術監督の熊川哲也と浅川による記者会見と、その浅川も主演する今月末の『白鳥の湖』の公開リハーサルが開かれた。【チケット情報はこちら】浅川は引退のタイミングについて「いつ決意した、ということではなく、6年前に大きな怪我をした時から、明日歩けなくなるかもしれない、踊れなくなるかもしれない、という状況でした。カンパニーのプリンシパルとしては、自分だけが歩けなくなるまで踊ればいいという考えにはなれません。責任がある中でこの流れになりました」と語る。生え抜きのプリンシパルの退団に、熊川は「(引退は)ダンサーには必ず訪れる、避けられないことですが、これからさらに成熟して素晴らしい演技が期待できる時期だけに、切ない気持ち、複雑な思いがあります」と悲しみを隠さない。「本人が葛藤して決めたことなので、親心として、11月までの公演を成功させて大きな花束をあげたい」。その熊川から「『白鳥の湖』初演(2003年)の前、ダンサーを求めてイングリッシュ・ナショナル・バレエのスタジオに視察に行き、浅川という、17歳の輝く成熟したダンサーに出会ったことは今も脳裏に焼きついています。容姿、脚、精神など、トップバレリーナに必要不可欠な条件を備えたダンサーだった。バレエは過酷なアートで、崩れた形も魅力的な絵画や彫刻などと違い、美しく夢を与えなければならない。加えてアジア人というハードルもある。それらをいとも簡単に超えたのが浅川。僕にとって誇りであり芸術活動の結晶です。全ての芸術のモデルに当てはまってもおかしくない存在だと思う」と絶賛され、浅川が涙ぐむひとコマも。16年間の在籍での忘れられない瞬間を問われ、「たくさんあるのですが、1番は入団して初めて立った『白鳥の湖』初日の拍手。その場に自分がいるというあの感動を忘れることは一生ありません」と答えた浅川。その思い出の『白鳥の湖』で浅川が主役のオデット/オディールを踊るのも、今月末が最後となる。「オデットとオディールは私が大切に踊ってきた役。この舞台を去る時期に踊れることは幸せです。自分の全てを投じるにふさわしい作品とキャラクターなので、できることをお見せして感動を届けたいと思います」。公開リハーサルでは、オデット役の浅川紫織とジークフリート王子役の宮尾俊太郎、そしてロットバルト役の石橋奨也が、第2幕冒頭を披露。王子とオデットの、驚きと戸惑いに満ちた出会いから、次第に心を通わせていくまでが、しっとりと描かれる。中でも浅川の落ち着いた気品あふれる踊りが印象的。指先から足先まで神経の行き届いたその動きは、残された時間を慈しんでいるようにも見えた。Kバレエカンパニーによる『白鳥の湖』は東京・オーチャードホールで3月21日(水・祝) から25日(日)まで上演。チケットは発売中。取材・文:高橋彩子
2018年03月16日高校1年生だった2016年に、国内最高峰「日本音楽コンクール」に最年少15歳で優勝した戸澤采紀(とざわ・さき)。昨年はスイスのティボール・ヴァルガ国際ヴァイオリン・コンクールでも海外初挑戦で見事最高位(1位なしの2位)に輝き、その現在進行形の躍進に音楽ファンが注目する期待の新人音楽家だ。9月21日(金)に行われる東京・浜離宮朝日ホールでのリサイタルは、その実績を携えての本格プロ・デビューと言ってよいだろう。【チケット情報はこちら】モーツァルト、ベートーヴェンから、イザイ、プーランクに至るヴァラエティ豊かなプログラムを組んだ。フランスの名手ジェラール・プーレに師事していることもあり、プーランクなどのフランス音楽は得意のレパートリー。「プーランクのヴァイオリン・ソナタは、日本音楽コンクールの課題曲の一曲でした。スペイン内戦で殺された詩人ガルシア・ロルカに捧げた、ものすごく重い内容の、力のある曲なので、意味のない歌い回しやニュアンスがあってはなりません。感じたことを音楽にできるだけ直結させて、自分の中で消化して発展させたものを、コンクールからの2年分の成長としてお客さんに届けられたら」取材中、彼女はこの「意味」という言葉を繰り返した。「意味のある演奏」「意味のある表現」。これ見よがしで表面的な技術の誇示ではない、ニュアンスひとつひとつに理由のある表現と言えばよいだろうか。「他人の真似をしようと思わない」というが、「すごい」と感じるのが、気鋭レオニダス・カヴァコスだそう。「彼の音楽には無駄がありません。音楽の組み立て方が立体的で、ものすごく考えられている。どんなに長い時間聴いていても飽きません」。かといって、いつも理屈を考えて弾くのをよしとするのではない。「意味」は練習で作り上げて身体に染み込ませ、本番では共演者の息づかいや客席の雰囲気を感じながら弾く。そのバランスが大事だと語る。両親ともヴァイオリニスト。父親は東京シティ・フィルの現コンサートマスター。最初ピアノを習ったが、家庭にはいつもオーケストラ音楽があった。6歳の時、両親が出演したマーラーの交響曲第7番《夜の歌》に震えた。「ピアノではあそこに入れない!」。だから今も、ヴァイオリンを弾いているのはオーケストラに入るためだと言い切る。「日本だと、ソリストがオーケストラを?と少し意外に思われるかもしれないですが、私が考える一流演奏家は、オケもソロも室内楽もできる人。それを目指しています」「意味」へのこだわりとともに、2月に17歳になったばかりの少女の、ぶれない音楽観がなんともまぶしく、頼もしい。今後数年間はコンクール挑戦を続けるというから、近いうちに私たちは、いくつかの大きな成果を知らされることになるのだろう。まずはその洋洋たる前途を確信させられるはずの9月のリサイタル。待ち遠しい。取材・文:宮本明
2018年03月16日“風の画家”と呼ばれる中島潔が、3月17日(土)より、大阪文化館・天保山にて展覧会『中島潔展 “今”を生きる -そして伝えたいこと 京都六道珍皇寺“心音図”奉納記念』を開催する。「中島潔展 “今”を生きる -そして伝えたいこと 京都六道珍皇寺“心音図”奉納記念」チケット情報ふるさとの佐賀や日本各地の豊かな自然を、優しいまなざしと温かなタッチで描き、幅広いファンに支持されている中島。2010年に大病を患ってからは、生きることを改めて見つめ直したという。そして、「生きているうちに地獄を見て、感じてほしい。そのことで生きること、命の大切さを伝えたい」という思いから、「平成の地獄絵図」という新境地にも挑み、74歳とは思えない精力的な活動を続けている。本展では、故郷の情景を描いた初期作品から、一躍売れっ子となったNHK「みんなのうた」のイメージ画、清水寺に奉納された襖絵の試作を作品にしたもの、話題の地獄絵、さらに大阪をテーマにした最新作までを展示している。<大阪展に向けて描いた新作「こいさん」へのコメントが到着>「こいさん」すごくきれいな言葉だと思っていた。意味を知って、損得の計算のない、浪速の人情のあるそういう女性を描きたかった。今回あまり使わない華やかな色も使った。それはこの「こいさん」への僕の思い入れ。見る人に、ふと感じてもらえたらと思う。『中島潔展 “今”を生きる -そして伝えたいこと 京都六道珍皇寺“心音図”奉納記念』は、3月17日(土)から5月20日(日)まで、大阪文化館・天保山にて開催。チケットは発売中。
2018年03月15日5月19日(土)・20日(日)に大阪・METROCK大阪特設会場(大阪府堺市・海とのふれあい広場)、5月26日(土)・27日(日)に東京・新木場・若洲公園で開催される野外フェスティバル「METROCK2018」。同フェスのタイムテーブルが発表された。【チケット情報はこちら】トリを務めるのは大阪初日はback number、東京初日はエレファントカシマシ。2日目は大阪、東京両会場ともサカナクションが務める。チケットの一般発売に先がけて、1日券の先行予約を実施。受付は3月16日(金)昼12時より。■OSAKA METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2018日時:5月19日(土)・20日(日)開場9:00 / 開演 11:00(予定)会場:METROCK大阪特設会場(大阪府堺市・海とのふれあい広場)■TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2018日時:5月26日(土)・27日(日)開場9:30 / 開演11:30(予定)会場:新木場・若洲公園(東京都)★★以下のリンクより「METROCK」をお気に入り登録して、情報をゲット!
2018年03月15日4月14日 (土)に東京・渋谷クラブクアトロで開催される5人組エンターテイメントロックバンド「スパイシーコウヤドウフ」のライブ『飛びだせ、スパイシー!!』。同公演のスペシャルゲストとして平成ムード歌謡ダンスユニット「純烈」が出演する。スパイシーコウヤドウフ(以下、スパイシー)のリーダー・スパイシーナカーノ(以下、ナカーノ)と、純烈のリーダー・酒井一圭に話を聞いた。【チケット情報はこちら】昨年は『僕たち私たち』のMVが「青山フィルメイト2017」ミュージック・ビデオ部門大賞を受賞するなど、年々注目度が高まるスパイシー。「スパイシーコウヤドウフとしては今回の渋谷クアトロは今までで1番大きい会場になるのですが、だからといって集大成とは思ってなくて。ここがスタートというか、最初のライブくらいの気持ち、新しいものをつくっていくんだっていう意気込みで、このワクワク感を伝えていければいいなと思っています。純烈の皆さんをゲストでお招きするのも今までやったことがないことなので、新しい、フレッシュな、そしてスパイシーなワクワクをつくりたいです」と意気込む。ゲストの純烈は、『百獣戦隊ガオレンジャー』でガオブラックを演じた酒井をはじめとする、仮面ライダーや戦隊ヒーロー出身俳優中心のメンバー5人で構成されたグループ。今回のゲスト出演について酒井は「今、お話を聞く中でも自分の中で沸き立つものがあります。音を出し始めたらもうおじさん泣きながら歌っちゃうかも。そういう謎のライブになりかねないくらい(笑)、感じるものがありますね。客席も、(ファン層が)娘と母みたいな状況になると思うんですけど、どんなふうになるのか今から楽しみです」と異色のコラボを楽しみにしている様子。音楽のジャンルは違うが「根底ではかなり通じているものがある。歌謡曲を歌われているけど、どこかでロックミュージックのスピリットみたいなものを感じるも」(ナカーノ)と頷き合い、「お互いに今までになかったような、皆さんに楽しんでいただけるショーがつくっていけたら」(酒井)と意気込むふたり。スパイシーは純烈のメンバーが『仮面ライダーアギト』や『忍風戦隊ハリケンジャー』に出演していた頃の“ちびっ子”たち世代であり、もちろん見ていたそうで、ナカーノが「感情的にならざるを得ない。エモーショナルなコラボになるのでは」と語れば、酒井も「当時のちびっこと対バンできるんですね!そういう想いが音になって弾けられたら最高」と笑顔だ。酒井の想いは「お客さんが喜んでくれるのが1番うれしい」とシンプル。今回の新たな試みがどのようなカタチとして届けられるか、ぜひ会場で目撃してほしい!取材・文:中川 實穗
2018年03月15日浜崎なおこのスケール感あふれるソウルフルなボーカルと、躍動感に満ちたバンド・サウンドが魅力の5人組、Replicaが今年デビュー30周年を迎える。6月1日(金)に東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREで「Replica 30th Anniversary~Flowers never end 2018~」と題したワンマンライブが決定した。【チケット情報はこちら】1984年に広島で結成、1988年6月にシングル『SUGAR BABY’S GROWIN’』でメジャー・デビューを果たし、その激しくも切ないライブ・パフォーマンスで人気を集めるが、1996年に惜しまれつつも解散。2013年に復活を果たすと、ゆったりとしたペースで活動を展開している彼ら。現在のメンバーは、浜崎なおこ(vo)、田中龍也(g)、山中真一(b)、浅田昌也(key)、座間博喜(ds)という布陣。1980~1990年代にかけて発表した彼らの楽曲は、時代を超えて今の世界、日本を取り巻く事象にもフィットし聴く者の心に響く、普遍的な力をもっている。再結成後に新曲も制作しライブでも披露している彼ら。30年という歴史を一望できるステージが期待できる。3月31日(土)のチケット一般発売に先駆けて、プレリザーブを実施。受付は3月15日(木)から28日(水)11:00まで。彼らの情熱的で心に染みるパフォーマンスを少しでも間近で体感したい方はこちらを申し込んでみては。文:浅野保志(ぴあ)■「Replica 30th Anniversary~Flowers never end 2018~」日時:6月1日(金)開演19:00会場:Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE(東京都)料金:全席指定-6000円(ドリンク代別途必要)
2018年03月15日イギリス出身、UK ハウスシーンの代表的 DJ/プロデューサーであるジャックス・ジョーンズが初来日公演を4月19日(木)に大阪、21 日(土)に東京で開催する事が決定した。【チケット情報はこちら】ジャックス・ジョーンズは2014年にデューク・デュモンと共作した『アイ・ゴット・ユー feat. ジャックス・ジョーンズ』が全英チャート1位、USダンスチャート1位を記録。さらにその年の第57回グラミー賞において『最優秀ダンス・レコーディング賞』にノミネート。現在配信中のニューシングル『ブリーズ feat. イナ・ロードセン』は、世界9か国のiTunesで1位を獲得、世界35か国でトップ10入りを果たしている。チケットの一般発売は3月24日(土)より。なお、一般発売に先駆けてLive Nation Japan先行を実施中。受付は3月16日(金)23時59分まで。■ジャックス・ジョーンズ / Jax Jones4月19日(木)梅田クラブクアトロ(大阪府)開場19:45 / 開演 20:304月21日(土)WWW X(東京都)開場19:45 / 開演 20:30料金:オールスタンディング6,800 円(税込・ドリンク代別) ※未就学児入場不可
2018年03月14日KAAT神奈川芸術劇場の若手舞踊公演「SUGATA」の最終公演が行われる。『二人三番叟』『雙生隅田川』チケット情報中村鷹之資、中村玉太郎ら若手歌舞伎俳優の研鑽の場として、衣裳も化粧もなしの“素踊り”での新作舞踊劇を上演してきたこの企画も、今回が最終回。『二人三番叟』と、勘十郎作・演出・振付『雙生隅田川(ふたごすみだがわ)』を上演する。公演を前に、記者懇親会が開かれ、勘十郎、鷹之資、玉太郎、種之助が出席した。勘十郎は、「今回は“卒業公演”として、新たな課題に取り組んでもらいます。舞踊で『二人三番叟』が踊れるのは一人前の証拠。今後の課題をみつけるためにもしっかりと踊ってもらいます。『雙生隅田川』は三代目市川猿之助さん、今の猿翁さんが復活上演なさった演目で、今回は舞踊劇として上演します。どこの劇場でみたものよりも面白かった、と言われるような舞台を目指したい」と語る。鷹之資は「この3年間、色々な踊りや立ち回り、押し戻し等を経験させていただき、『新説西遊記』シリーズの猪八戒ではお客様に笑っていただく難しさも学びました。資料や先輩方の舞台を拝見して勉強するのとは違い、実際に舞台に出て演じてみないとわからないことは多いので、貴重な経験となりました。三番叟は大変難しい曲ですし、『雙生隅田川』では、今回は初めて早替りにも挑戦させていただきます。瞬時に主従の役柄を演じ分けるという大きな課題に全力で向き合いたいと思います」玉太郎は「『新説西遊記』シリーズでは沙悟浄としてお客様の笑いも誘うという、普段経験できないことをさせていただきました。そして今回は三番叟という大役と、吉田少将行房の家来である小布施主税役。(後者は)侍なので、品もあるようにしたいです。義太夫のところも演技力が問われるので、力を入れて取り組みたいです。このSUGATAのシリーズで、お芝居のことを自発的に考えるようになりました。3年間で学んだことを、いつか本興行で活かせる日がくるとよいなと思います」初参加の種之助は、「大人になる前の時期に出演させていただいたのが、ご宗家演出の『趣向の華』という公演。長い立ち回りや、ちょうど先月やった切腹も、最初に経験させていただいたのがその公演でした。おこがましいようですがその恩返しの気持ちもあり、また僕自身としては、女方にも挑戦させていただくので一緒に勉強する気持ちで臨みます。鯉魚の精は宗家の演出に出来る限り応えたいと思います。お客様に、この公演を観たことを誇りに思ってもらえるような舞台にしたいです」研鑽の場とは言いながら、純粋に楽しめるスペクタクルが展開するのも「SUGATA」の魅力。勘十郎や尾上菊之丞ら名手の踊りも観られるほか、口上や早替り、宙乗りも。白熱の舞台に期待しよう。公演は3月24(土)から27日(火)までKAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオにて。取材・文:高橋彩子
2018年03月14日中村屋一門による恒例の巡業公演が、今年は春に開催。『中村勘九郎中村七之助春暁特別公演2018』として、全国12か所を回る。そこで勘九郎、七之助の父・十八代目中村勘三郎に、「3人目の倅」として目をかけられてきた中村鶴松に話を聞く。中村勘九郎中村七之助春暁特別公演2018 チケット情報「日ごろ歌舞伎を観る機会の少ない地方のお客さまにも歌舞伎に親しんでもらいたい」との趣旨のもと、2005年から毎年行われている巡業公演。鶴松は、地方ならではの触れ合いや食事を楽しみにしつつ、実は最も重責を感じる公演でもあるという。「普段あまり歌舞伎を観ない分、地方のお客さまにとってはその1回が本当に大事だと思います。そこで歌舞伎って難しいな、面白くないなと思われてしまったら、二度と足を運んでいただけないかもしれませんから。それだけに1回1回、本当に気が抜けないですね」今回予定されている演目は、『鶴亀』、『浦島』、『枕獅子』の3作品。「『鶴亀』はおめでたい踊りです。本興行ではなかなか出来ない、お弟子さんだけの演目ということで、今みんな必死に稽古に取り組んでいます。『浦島』は青年から老人への早変わりが見どころ。勘九郎さんがどう演じ分けるかにも注目していただきたいです。勘九郎さんと七之助さんの踊りの違いは、もちろん立役と女形の違いはありますが、勘九郎さんが非常にダイナミックで体のすべてに神経を行き渡らせるような感じだとすれば、七之助さんはしなやかで流れるような感じ。『枕獅子』では、傾城(=遊女)演じる七之助さんの美しい踊りを堪能していただけると思います。また僕は久しぶりの禿(=少女)役なので、どうすればかわいく見えるか(笑)、日々研究しているところです」鶴松にとって憧れの存在である勘九郎と七之助。『芸談』では、そんなふたりの素顔、仲のよさを垣間見ることが出来る。「歌舞伎役者の赤裸々なトークを聞くことってあまりないと思いますし、またお兄さんたちが話上手ですからね。これは貴重な機会になるのではないかなと。公演によってはお弟子さんに一発芸をやらせることもありますし(笑)。えっ、僕ですか!?いやいや、絶対出ないですよ!」中村屋ならではの、アットホームな雰囲気も魅力の本公演。どの演目も観やすく、歌舞伎初心者にもおすすめの内容だ。「とりあえず観てもらわないと始まらないですからね。歌舞伎ってどんなものか。まず一歩足を踏み入れて、あの迫力、感動を体験して欲しいなと思います」公演は3/17(土)の埼玉公演を皮切りに、東京、北海道、青森、山形、福島、鳥取、島根、岡山、広島、大分、神奈川と各地を巡る。チケットは発売中。取材・文:野上瑠美子
2018年03月13日