チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (175/342)
9月22日(木・祝)から映画『真田十勇士』が公開、そして関西では10月14日(金)~23日(日)まで兵庫県立芸術文化センターで2年ぶりの再演となる同名舞台が幕を開ける。“真田イヤー”と呼ばれる今年、小説×映画×舞台のメディアミックス展開で贈る一大プロジェクトは、いよいよクラマックスを迎える。舞台「真田十勇士」チケット情報映画、舞台とも主演の猿飛佐助を演じる中村勘九郎は、ハードだったという2014年の初演を振り返る。「舞台上を駆けまわり、動き回り、喋り続けて3時間半。1回の公演で体重が3~4キロ減るぐらいでした。十勇士メンバーも同様で、幕が開ける前にはいつも“とにかく怪我だけは気をつけて乗り切ろう”とみんなで掛け声をかけていました。上手くやろうとか、よく見せようという気持ちではなく、1回の公演を乗り切ろうという感じでしたね」。それだけに演出の堤幸彦から「再演」と聞いたときには、「またあのハードな舞台を…とちょっと落ち込みました(笑)」と笑う。だが、「3月に映画を撮り終えて、早くこの舞台版『真田十勇士』の稽古に入りたいと思いました。映画で得たことが今回の再演にも繋がるなと思って」と逸る気持ちを抑えられなくなったという。再演では新たに山口馬木也扮する久々津壮介との一騎打ちが用意されている。「最後のギリギリのところで馬木也さんと一緒にアクションをできるのが楽しみです」と期待を込める。先に公開される映画版では前半をアニメーションで見せるため、「映画をご覧になった方も、この舞台で第一幕を実際の空間で観ることでひとりひとりのキャラクターにさらに感情移入ができると思います。また、再演はさらにパワーアップしたものにしたいと堤さんがおっしゃっていて、舞台美術も増える予定です。今年の秋はとんでもないことになると思いますので、ぜひ楽しみに待っていてほしいです!」と意気込む。舞台『真田十勇士』は9月11日(日)~10月3日(月)の新国立劇場 中劇場での東京公演、10月8日(土)~10日(月・祝)のKAAT 神奈川芸術劇場での横浜公演を経て、10月14日(金)より兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホールに登場する。チケット発売中。ぴあ関西版WEB
2016年08月18日アメリカのヘヴィメタルバンド、DOKKEN(ドッケン)が10月5日(水)大阪・なんば HATCHより単独来日公演を開催する。ドッケンは10月8日(土)・9日(日)に埼玉・さいたまスーパーアリーナで行われる「LOUD PARK 16」の初日に出演が決まっていたが、今回新たに全国5つの会場で公演が決定した。【チケット情報はこちら】ドッケンは1970年代後半に結成され、1983年に発表した2ndアルバム『TOOTH AND NAIL』で世界的な人気を獲得。バンドのリーダーであるドン・ドッケンの透明感のあるヴォーカルと、当時のLAメタルシーンの中でも正統的かつテクニカルなプレイでギター・ヒーローとなったジョージ・リンチの2枚看板を擁し日本でも人気を博したが、1980年代後半にふたりの確執が深刻化し、解散。その後も再結成とメンバー交代を繰り返してきたが、2009年に行われた「LOUD PARK 09」でのドッケンのステージに、リンチ・モブで出演していたジョージ・リンチが1曲だけ参加。そのことをきっかけに現在は再び1980年代、ドッケンの黄金期と呼ばれる時代のメンバーで活動を行っている。チケットの一般発売は8月27日(土)午前10時より。なお、一般発売に先がけて先行抽選プレリザーブを実施中。東京公演の受付は8月23日(火)午前11時まで。■「DOKKEN(ドッケン) JAPAN TOUR 2016」10月5日(水)なんば HATCH(大阪府) 開場 18:00 / 開演 19:0010月6日(木)福岡市民会館(福岡県) 開場18:30 / 開演19:0010月10日(月)BLUELIVE HIROSHIMA(広島県) 開場17:00 / 開演 18:0010月11日(火)ZEPP NAGOYA(愛知県) 開場 18:00 / 開演 19:0010月12日(水)ZEPP DIVERCITY TOKYO(東京都) 開場 18:00 / 開演 19:00
2016年08月18日2011年1月、ロンドンに留学中の阿佐ヶ谷スパイダース主宰・長塚圭史が手にし、号泣しながら読んだという三好十郎作の戯曲『浮標(ぶい)』。「万葉の時代から続く日本人の思想が全体に表現され、それでいて古臭くなくてセリフがモダン。そして知的。これを是非上演したいと強く思った」と語る長塚。帰国後、自身のソロプロジェクト葛河思潮社の第1回公演として2011年に上演。その後に起こった東日本大震災で日本が大きく揺らぐ中、翌2012年に東京、仙台で上演。こちらも大きな反響を呼んだ。3度めとなる今年は、神奈川を皮切りに西日本を中心に回り、三好十郎の出身地・佐賀での公演も実現。葛河思潮社『浮標』チケット情報「上演したら4時間になるらしいと聞いてたので、まずは自分が本読みで“久我五郎”をやったんですが、そこでも大泣きして(笑)。どれだけ好きなんだって話ですけど。それで自分の中でイメージが一番近かった田中哲司に台本を送りつけて。そしたら『これ、もし演るのだったらギャラなんていらない』と言われて。俺は何ていい人に声をかけたんだと(笑)。でも実際にやりだしたら、彼がみるみる痩せていったんですよ。初演は特に地獄だったみたいですね」日中戦争の影が忍び寄る時代を舞台に、自己の芸術を信じる洋画家・久我五郎(田中哲司)が、肺を病む妻の美緒(原田夏希)を看護しながら貧困と闘う姿を描く本作。 セットは木枠に敷き詰められた砂のみ。そのシンプルな舞台で繰り広げられるのは「生と死」だ。「生きる事とは?というテーマを徹底的に解剖する約4時間(1幕75分、2幕55分、3幕90分)。一瞬に人が死んでいく戦争というものを背景にしながら、美しい言葉を感じながら生と死に対する思考ができる。こんな豊かな時間はないと思います。久我夫妻と対峙する、市井の人々の生き方やセリフも素晴らしくて。4時間というと長く感じられるかもしれませんが、実際観てくださった方からは『あっという間だった』という感想を多く頂き、戯曲の力、そして役者の力も実感しましたね。こんな劇があるんだ、という事を知ってもらえたら嬉しいです」。劇作家としても、この三好十郎作品との出会いを大きかったと語る。「これまでの自分の作品に対する愛はもちろんありますが、劇作に対する考え方が大きく変わったかもしれないですね。これからまた、阿佐ヶ谷スパイダースの以前の作品を上演したりするのですが、そこにも影響があるかも。こんな風に後世に残せる作品を書きたい気持ちが強くなったと思います」今回で田中哲司の出演は最後になるらしく、長塚本人が寂しくて仕方ない、と嘆く。「ああ、あと何回だなあと終わる度に切なくなってます(笑)。今回3回めにして、よりよく熟成されたというか、言葉の輪郭みたいなものがより深く出せるようになりました。是非、新たな感動を味わって欲しいですね」公演は今後、三重、福岡、佐賀、東京で上演。チケットは発売中。
2016年08月17日日本のメロコアバンドCOUNTRY YARDより、ドラムのTaihei Sakagamiの脱退が発表された。Taiheiは現在開催中のツアー「COLORS TOUR」のファイナルとなる10月9日(日)東京・TSUTAYA O-EAST公演をもって脱退する。【チケット情報はこちら】オフィシャルサイトでTaiheiは脱退の理由について「僕がバンドではなく、新たに「やりたい事、目標」ができた事で、これ以上この気持ちを抱えながらCOUNTRY YARDに在籍する事、バンドをやっていく事が難しくなったからです」と説明。また「ファイナルは最高の空間を絶対作ってみせますので皆様、是非遊びに来てください!!」とコメントを寄せている。COUNTRY YARDは2007年に結成。これまで2作のフルアルバムを発表。今年の6月にはシングル『COLORS』をリリースしている。ツアーファイナルのチケット一般発売は、8月20日(土)午前10時より。■COUNTRY YARD “COLORS TOUR FINAL BROTHERHOOD ONEMAN”日時:10月9日(日)開場17:00 / 開演18:00会場:TSUTAYA O-EAST(東京都)料金:スタンディング 2800円 ※ドリンク代別途必要
2016年08月17日中村勘九郎、中村七之助の兄弟を中心とする中村屋一門が、時期に応じて「新緑」「錦秋」と銘打ち、2005年以来、毎年行っている巡業公演が今秋も開催。今回の上演は、「歌舞伎塾」、七之助『汐汲』、勘九郎『女伊達』の3演目。「歌舞伎塾」は新たな試みで、立役と女方ができるまでの化粧の様子や実演を、勘九郎と七之助の解説と共に見せていくもの。全国14か所を巡る今年の「錦秋特別公演」を前に、七之助が抱負を語った。【チケット情報はこちら】「歌舞伎塾では、『草摺引』の曽我五郎役の中村いてう、舞鶴役の中村鶴松が化粧をする過程をスクリーンも使ってリアルタイムでお見せし、その後『草摺引』の一部を実際に上演します。これは、鎧を持って出かけようとする曽我五郎を舞鶴が引き止めようとして草摺(鎧の一部)を引っぱる、という単純な舞踊劇。派手だし、むきみ(隈どりの一種)だし、台詞もあるし、歌舞伎らしさを楽しんでもらえると思います」七之助が踊る『汐汲』は、須磨に暮らす海女の姉妹、松風と村雨が、在原行平から寵愛を受けたという伝説に基づく能『松風』の趣向を取り入れた、長唄の舞踊だ。「『汐汲』は、日本舞踊で初めのころに教わる、基礎中の基礎。お能の格式を表現したかと思えば、行平が残した烏帽子と狩衣を着て、恋しい人への切ない思いを表すなど、様々な要素が詰まった踊りです。僕自身もかなり前に習いましたが、舞台で踊ったのは(坂東)玉三郎のおじさまと共演した『村松風二人汐汲』(2014年)が初めて。おじさまには“型と型の間こそが踊りになる”ということを丁寧に教えていただきました。型と型の間というのは、呼吸や間合い、目線、動きなど、ちょっとしたことで変わります。今回はひとりなので、玉三郎のおじさまの踊りを思いながら、最初は格式高く、やがて情愛たっぷりに踊りたいですね」最後は勘九郎の『女伊達』。桜が満開の新吉原を舞台に、尺八を差した美しい女伊達(女侠客)が、男伊達たちを相手に踊る作品だ。「男伊達ふたりとの立ち廻りもある華やかな踊りです。兄の女方は久しぶりですが、もともとは女方だったんですよ。きびきびとしてすっきりとした、江戸っ子の女方になるのではないでしょうか」多忙の中、10年以上欠かさず続けて来た巡業公演への思いは強い。「とにかく、色々な人に観てほしいです。歌舞伎というと難しいイメージがあるけれど、本当はそんなことないですから。僕たちが地方を回ることで、普段は歌舞伎をご覧にならない方にも気軽に来ていただき、“意外と面白いな”と思ってもらえたら嬉しいし、つまらなくても、それは人それぞれ。まずはふらっと歌舞伎を観に来てもらえるようにしたい。錦秋公演は、歌舞伎が好きな方はもちろん、初心者の方にもわくわくしてもらえるよう、敷居を一生懸命削ってお届けする公演です」11月7日(月)の東京・オリンパスホール八王子での公演を皮切りに各地を巡る。チケットは発売中。取材・文:高橋彩子
2016年08月17日8月25日(木)から梅田芸術劇場メインホールでブロードウェイミュージカル『シカゴ』宝塚歌劇OGバージョンが幕を開ける。ブロードウェイミュージカル「シカゴ」宝塚歌劇OGバージョン2014年に上演された本作。今年7月には夏の演劇の祭典として世界的に知られる『リンカーン・センター・フェスティバル』の一環として、ニューヨークのデビット・H・コーク・シアターでも上演されるなど、初演から2年の時を経て待望のニューヨーク公演も実現した。宝塚大劇場と梅田芸術劇場では、ニューヨーク公演で特別に上演されたレビュー・ショー『タカラヅカ・アンコール』のためだけに作られたオリジナル衣裳および舞台写真の展示会が開催。宝塚大劇場では8月30日(火)まで、梅田芸術劇場メインホールでは『シカゴ』上演期間中の8月25日(木)から31日(水)まで実施。その他、『タカラヅカ・アンコール』の映像を含めたニューヨーク公演特別映像上映会やニューヨークでのエピソードが聞ける『CHICAGO ニューヨークトークショー』も行われる。詳細は公演サイトまで。ブロードウェイミュージカル『シカゴ』宝塚歌劇OGバージョンは8月25日(木)から31日(水)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。
2016年08月16日2013年のトニー賞で作品賞をはじめとする6部門を受賞した大ヒットブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』。そのオリジナルスタッフ陣が集結し、小池徹平、三浦春馬のW主演で贈る日本版の大阪公演が8月13日、大阪・オリックス劇場で開幕した。ブロードウェイ・ミュージカル「キンキーブーツ」(日本版)チケット情報本作の舞台は、田舎町の老舗靴工場「プライス&サン」。跡取り息子チャーリーは、父親の意に反して田舎町からロンドンへと飛び出したが、父が亡くなり、結局田舎へ戻って家業を継ぐことに。経営不振で一度は工場閉鎖を考えるも、女性従業員ローレンの言葉により、ロンドンでドラァグクイーンのローラに出会ったことを思い出し、ドラァグクイーンのための“キンキーブーツ”を作ろうと思い立つ。全曲シンディ・ローパーによって作詞・作曲された楽曲はすべてがパワフルでキャッチー。ポップ、バラード、ダンサブルと、シーンに合わせた色とりどりの楽曲が散りばめられ、観客の心を躍らせる。作品や楽曲、振付の持つ力は、ブロードウェイのトニー賞受賞によってすでに示されているが、やはり肝心なのはそれらを体現する役者の力だ。チャーリーを演じる小池徹平、ローラを演じる三浦春馬、そして、ふたりを支える工場の従業員やドラァグクイーンのパフォーマーたち。特に、ドラァグクイーンに扮した三浦はまるで別人だ。露出度の高いミニスカートに高いピンヒールを履き、鍛え上げられた美しい身体の隅々まで神経を行き渡らせ、しなやかに歌い踊る。ローラが憑依したようにしか思えないほどで、客席からは自然と歓声や手拍子が沸き起こる。小池も若き経営者として工場再興に奮闘する反面、プレッシャーに押されて周りが見えなくなることも。そんなチャーリーを繊細に表現し、力強い歌声でも魅せる。さらに、コミカルでキュートなソニンの演技など、個々のパフォーマンス力が抜群に素晴らしく、彼らがひとつになったときのパワフルさと華やかさにも圧倒される。中でも、靴工場でブーツができたときの1幕のラストシーン。ベルトコンベアを駆使したステージングで、役者たちが入り乱れながら歌い踊り、喜びを表す様は圧巻だ。また、華やかなステージの中には、「父親の期待に応えられなかった」というふたりの共通する想いや、「他人を受け入れることで世界が変わる」というメッセージも。楽しいだけのステージではなく、そうしたドラマ性が作品に深みを与え、ラストのハッピーな大団円へと繋がるのだ。8月22日(月)まで大阪・オリックス劇場にて上演中。その後、8月28日(日)から9月4日(日)まで東京・東急シアターオーブにて上演。チケットは発売中。取材・文:黒石悦子
2016年08月16日2014年に宝塚歌劇100周年を祝い制作された、宝塚歌劇OGバージョン、オール女性キャストによるブロードウェイミュージカル『シカゴ』が、再演される。主役のひとり、ロキシーを演じる大和悠河に作品への思いを聞いた。ブロードウェイミュージカル「シカゴ」宝塚歌劇OGバージョンチケット情報稽古では、ブロードウェイから来たスタッフに「がむしゃらにやってはダメ。もっと、クールにスタイリッシュに」と指示されるという。「稽古をしているとどうしても燃えて熱くなってしまう(笑)。前回よりもさりげないカッコ良さが出たロキシーが目標ですね」1920年代のシカゴを舞台に、殺人の罪を犯したヴェルマとロキシーが刑務所で出会い、様々な策を巡らせ、無罪を勝ち取りショービジネス界でスターになっていく物語。女を武器に、男性やマスコミを踏み台にしてのし上がるロキシーは、色っぽくて魅力的だ。「ふたつ道があるとしたら、どちらを選ぶべきか、本能的にかぎ分けられる。ロキシーは、とにかく自分の心に正直でピュアな人。私も宝塚の男役に憧れてこの世界に入り、夢を叶えたので、彼女のスターへの思いは共感できますね。多くの人に元気を与えられる役だと思います」。また、直訳すると「多くの男たちは私をケアしてくれたけど、彼らは私の背中を引っ掻いているだけ。私もね」など、ロキシーとヴェルマが歌う楽曲の歌詞はシニカルで洒落ている。「私はブロードウェイで何回も見ましたが、観客はいつも歌詞やセリフを聞いて大笑いするんです。私もその皮肉たっぷりのユーモアを伝えられたら」さらに、ボブ・フォッシーの振付を元にした、アン・ラインキングによるセクシーな振付も素晴らしい。彼女はフォッシーの元恋人で、20年前にブロードウェイでロキシーを演じた。「振付の全部に意味があるんです。ヘタな装飾は一切なく、今、ここでこう感じているから体が動くといった踊りです」1996年にブロードウェイで開幕したリバイバル版の『シカゴ』は、今でもロングランを続け、今年で20年目を迎える。その節目の年に、宝塚歌劇OGバージョンの今作が、ニューヨークのリンカーン・センター・フェスティバルでも上演されることになった。「今、ブロードウェイの最新の振りを教わっています。芝居や歌を含めすべて無駄なものが削ぎ落され『シカゴ』は進化し続けている。それがブロードウェイで20年間も愛されている理由ですね」宝塚歌劇OG初の海外公演となる。「どういう反応になるか楽しみです。私たちには宝塚で培ってきた品格がある。それを武器にエレガントで美しい舞台をお届けしたい。東京と大阪の公演は、ニューヨークの後ですから、さらにパワーアップしたステージを見ていただけると思います」8月21日(日)まで東京国際フォーラム ホールC、8月25日(木)から31日(水)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:米満ゆうこ
2016年08月16日大植真太郎、森山未來、平原慎太郎の『談ス』全国縦断公演から6か月。今秋、大植を中心とするC/Ompany(シースラッシュ)が、ラヴェルの名曲「ボレロ」を題材に、三部構成の新作『忘れろ/ボレロ』を上演する。出演者は大植のほか、柳本雅寛、辻本知彦、そして『談ス』に続いての平原と、個性も実力も確かな顔ぶれだ。【チケット情報はこちら】「『ボレロ』というと、ダンスならモーリス・ベジャール版が有名ですし、音楽もあちこちでかかっているので、観客それぞれが『あの時のあの人』『あの風景』といった記憶を持っていると思うんです。そうした既存のイメージを一度“忘れ”させる作品にしたくて、このタイトルにしました」と、大植は語る。実は、今回の三部作のうち、第一部は、既に2014年、大植とスウェーデンのダンサーによって『BO.LE.RO』の名で初演され、コペンハーゲン国際振付コンクールで3位に輝いている。当時から、大植の中には三部作の構想があったという。では、どんな内容になるのか?「第一部は、音楽を一切かけず、身体だけで『ボレロ』を表現します。最初は音楽をかけるつもりで創っていたのですが、音楽に敬意を抱くからこそ、BGMのように流してしまっては、真に向き合うことにならないような気がして。逆に、第二部では音楽を流す一方、舞台上ではほぼ踊らず、『ボレロ』という曲の魅力や、架空の演奏者達の物語を語っていきます。この曲では楽器がどんどん増えていきますが、最後に登場するシンバル奏者をお父さんにもつ家族のお話を描きたい。つまり、音楽と言葉という、耳から入るものを通して、見えないはずのものを構築するのが狙いです。そして第三部は、音楽とダンス。ただし全曲は使わず、出だしのスネアドラムのみを繰り返します。音楽には失礼かもしれないけれど、録音をそのまま流すと、テーブルにぼんと置かれた大きなケーキのようになってしまうので、ダンサーである僕たちの間やライブ性を出すために、音楽にも一歩譲ってもらって。僕にとっては声も身体なので、歌うかもしれないし、音楽に頼ろうとする自分達を表現することもできそうです」『ボレロ』というと、全ての要素がフィナーレに向かって高揚していくイメージだが、大植が目指すのはもっと多様性に富む世界だ。「ベジャール版では、中央で踊るリズムと周囲のメロディーってまるで精子と卵子のようで、行き着く先は一つ。でも、人生はそうはいかないですよね。ひとつの頂点ではなく、どんどん目的地が増えていく世界を、僕は表現したい。心理学で言うならフロイトよりもユング派なんです。音楽は終わっても、終われなかった人がいたり終わりたくない人がいたり……。何が終わりなのか、“忘れた”果てにどんなことが起きるのか、生きるとは何か、そういうことまで、最終的には問いかけたいです」名曲を端緒にした、スリリングな問いかけが始まろうとしている。公演は11月11日(金)・12日(土)東京・DDD AOYAMA CROSS THEATERにて上演。チケットは発売中。取材・文:高橋彩子
2016年08月16日8月10日より紀伊國屋サザンシアターにて「名探偵コナン×ライブミステリー~洋上の迷宮(ラビリンス)~」が開幕した。本作品は観客自身が探偵となり、事件の謎を解明する舞台型謎解きステージ。事件に至るまでが描かれた「事件編」と、犯人を推理する「捜査編」、そして事件を解き明かす「解決編」という3部に分かれている。舞台演劇と謎解きを同時に楽しめる新感覚のエンターテインメントだ。【チケット情報はこちら】公演初日には、演出の村上大樹をはじめ平野良、塩野瑛久、宮城紘大、加藤里保菜、浜本ゆたか、中道裕子、三上市朗らによる囲み取材と公開ゲネプロが行われた。クルー役の平野は「素敵な舞台になることを確信しています!」と自信たっぷり。大学生役を演じる宮城も「良い舞台になっている。」と笑顔をのぞかせた。同じく大学生を演じる塩野、加藤は「観客と一緒に楽しみたい。」と舞台型謎解きステージならではの意気込みを語った。一隻の豪華客船から物語は始まる。ある財閥主催のパーティが行われている最中、殺人事件が発生した。海以外逃げ場のない船の上で、一体誰がどういった目的で殺害を行ったのか―、平野演じる葉上良一は豪華客船にクルーとして乗員。少し頼りないところもあるが、この事件を解決に導くために乗客の言動、状況を注意深く調べていく。財閥の娘、その友人、母親、執事、船長などそれぞれがどこか怪しく、誰もが犯人のようにみえてくる。舞台上で繰り広げられる捜査、そして浮上する容疑者、一緒になって犯人を探すうちに、まるで自分自身も出演者として作品に参加しているような感覚になり、みるみるうちにのめり込んでしまう。そして解決編へとつながる前に、ストーリーテラーを務める江戸川コナンが登場。事件内容のおさらいと観客を解決へと導く手助けをしてくれる。観客は配られた問題用紙に回答を埋めていき、犯人と思われる名前を記入、提出をし解決編を待つ。自分の推理が正解なのか、犯人は一体誰なのかを予想しながら待つ時間が緊張感と期待感を誘った。解決編では動機はもちろんのこと、殺人に至るまでのトリックが舞台上で繰り広げられる。最後には答え合わせと、正解者には表彰が行われるので、表彰を目指して「事件編」「捜査編」の一挙一動を見逃さないようにしてほしい。公演は、8月21日(日)まで東京・紀伊國屋サザンシアター。9月16日(金)・17日(土)に北海道・道新ホール、9月22日(木・祝)から25日(日)まで大阪・松下IMPホールで上演。チケットは発売中。
2016年08月15日昨年、好評を博した岸惠子の一人芝居『わりなき恋』が、9月に再演される。【チケット情報はこちら】本作は、3年前に発表しベストセラーとなった同名恋愛小説を、著者である岸みずからが脚本、朗読、さらには衣裳も手掛け、舞台化した意欲作。海外で活躍するドキュメンタリー作家・笙子(69歳)が、パリに向かう機内で大手企業に勤める兼太(58歳)と隣り合ったことをきっかけに惹かれ合い、「最後の恋」を自覚しながらも逢瀬を重ねていく、というストーリーを、岸の朗読で届ける。今回の再演について岸に話を聞いた。「やってよかったと思っています。自分で書いて自分でやるんですから、想いも特別ですし」と初演を振り返る岸。「舞台でやってみないかという提案に、最初はとてもダメだと思ったんです。私、舞台慣れしてないから。舞台は3回しか経験がなかったので。でも、4年かけて思う存分書いた作品ですから、やってみようかって。舞台は、座って読んだらみんな退屈しちゃうと思って立って、衣裳も6回変えて、シナリオも十数回書き直してうんと凝縮して出来上がったものです。だから、1回だけで終わってしまうのがちょっと惜しいなと、再び上演することにしました。新しい発見があるといいなと思います」84歳を迎えた今、恋の話を届ける理由を聞いてみると「私は高齢者をみじめに扱わないでほしい、モノのように扱わないでほしいんです。その極端な例として、高齢者にも恋はあるよ、ということを(小説で)書いてみたかったんですね。それが一番手っ取り早かった。人生の終わりに虹が立つような、それは消えるものではあるけれども、一瞬の輝きがあってもいいんだよということを絶対に書きたかったんです」初演に続き、衣裳も自身が手掛ける。「この長い物語でみなさんが退屈しちゃうといけないから、せめて衣装でちゃんと見せようと思って。それで6回も(衣裳を変えて)、大変でしたけど(笑)。衣裳というのはまるごとその人があらわれるでしょう?なので凝りました」「主人公は私自身の性格そのものかもしれません」と話す岸。そんな主人公の美しい恋を描いた渾身の作品を、本人の身体を通して表現される贅沢な約1時間30分だ。原作未読でも十分に楽しめる作品。成熟した男女の“最後の恋”をぜひ体感してほしい。公演は9月24日(土)神奈川・神奈川県立音楽堂(木のホール)、28日(水)東京・新宿文化センター大ホール、10月1日(土)埼玉・さいたま市民会館おおみや大ホール、4日(火)兵庫・兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール、8日(土)千葉・千葉市民会館大ホール、12日(水)東京・町田市民ホールにて上演。取材・文:中川實穗
2016年08月15日『市村座』が8月11日より開幕した。【チケット情報はこちら】今回のテーマは「父と子」。芝居仕立人情噺『子別れ・下』は、古典落語に市村が動きをつけ、一人芝居として演じる。熊、金坊、女房など、一人とは思えない絶妙な会話の掛け合いと動きだ。熊は自分の過去を後悔し、隠しつつも女房への未練が溢れている。無邪気でおませな金坊は、別れた父と母の距離を肌で感じている。また女房の市村の所作のしなやかさには舌を巻く。鰻屋で夫婦が再会するシーンは、互いの恥ずかしさと嬉しさが交錯し、一気に引き込まれた。ミュージカル俳優として名高い市村だが、芝居の上手さも実感できる。音楽講談『二世たちのコーラスライン』は、『屋根の上のヴァイオリン弾き』の三女チャヴァ、『ミス・サイゴン』のタム、『オペラ座の怪人』『ラブ・ネバー・ダイ』のグスタフと、市村の出演作の子供たちがブロードウェイのオーディションを受けるという奇想天外な物語。講談として、基本、机の前に座って、歌い舞う。馴染みのあるメロディに乗せて、「サンライズ・サンセット」が「賛成、サンキュー」、「アメリカン・ドリーム」が「ブロードウェイ・ドリーム」と歌われるから、遊び心たっぷりだ。ミュージカルの二世たちがただオーディションで出会う話かと思いきや、物語は『コーラスライン』と重なり、チャヴァはキャシー(『コーラスライン』)、グスタフはポール(『コーラスライン』)とオーバーラップしてゆく。グスタフが自らをカミングアウトし、父親である怪人がそれを見守る様は、涙無くしては語れない。市村がかつてポール(『コーラスライン』)も怪人(『オペラ座の怪人』『ラブ・ネバー・ダイ』)も演じていることを知る人は、よりぐっとくるにちがいない。市村は『ラブ・ネバー・ダイ』でグスタフが登場したことから、この話の原案を思いついたという。親子の絆の素晴らしさを受け取ると同時に、この物語はミュージカルを担う次世代への市村からのエールのようにも感じられた。唄入り狂言『ピアフという人』では、ブロードウェイから飛び、打って変わってパリの雰囲気。エディット・ピアフの人生、恋模様を語りで振り返りつつ、ジャック・ピルスの「去りし夢」、ピアフの「水に流して」「群衆」「愛の讃歌」が歌われる。市村の哀愁と色気の帯びた、伸びやかな歌声は、実にシャンソンとよく似合い、場の空気を一変させた。大団円は『俵星玄蕃』。忠臣蔵のサイドストーリーであり、三波春夫の長編歌謡浪曲として有名。市村座の定番でもあり、市村の十八番だ。浪曲、語り、芝居など、この一編にさまざまな要素が含まれている。並大抵の技量では演じきれない難曲だが、市村はエネルギーたっぷりに演じ上げた。東京公演は21日(日)まで東京芸術劇場プレイハウスで上演。その後、大阪、名古屋など全国5か所を巡演する。チケット発売中。取材・文:三浦真紀
2016年08月12日芝居をやりたい、という思いから誕生した、*pnish*(パニッシュ)は佐野大樹、森山栄治、鷲尾昇、土屋佑壱といった同世代の役者4人のユニット。今年、結成15周年迎えた彼らが放つ本公演は、*pnish* vol.15 『サムライモード』。これは2008年に上演した演目で、「侍」として己の信念を貫く漢(おとこ)たちの笑って泣ける痛快戦国活劇だ。*pnish*vol.15『サムライモード』チケット情報今回もそれぞれが初演と同じ役に挑むが、新たに脚色・演出に鈴木勝秀、客演に佐藤永典をはじめ、崎山つばさ、川上将大、津村知与支、藤原一裕、鳥羽潤といった彩り豊かな顔ぶれを迎え、初演とはひと味違った舞台を志す。そこで現在の彼らの思いを伺った。「初演当時から7年。僕らも変わり、できることも感じ方も変わっています。そこに、鈴木勝秀さんという男くさい新たなテイストが入ってどんな世界を届けられるか、すごく興味があります。15周年を迎え、改めて応援してくれる方々ともっと会える機会を作りたいし、もっとたくさんの人達と会うためにどんどん活動の機会を増やしたいと実感しています。なので、改めて、*pnish*の舞台はおもしろいんだ!と感じてもらえる舞台を贈ります」(ガラクシャ役・土屋佑壱)「この作品は、裏切りに次ぐ裏切りが目まぐるしいお話ですが、前回僕は、おもしろい、を意識して演じていた気がしています。でも、今回、改めて脚本を読んだら、当時とはまるで違う捉え方ができて驚きました。それは成長なのか、変化なのかを僕のなかで見つけることが今から楽しみです。初演を観た方も初めて観る方にも、新たな世界を届けるので待っていてください。どんな話か気になる方には、初演のDVDも発売中です!(笑)」(橘役・森山栄治)「先日、久々に15周年を記念したハピパニこと『HAPPY *pnish* BIRTHDAY 15th!』をやれて、とても楽しかった。みんな、根っこは変わっていないけどそれぞれ成長したと感じられて、ますますおもしろいことを一緒にしたいと感じました。再演ではなく、新たな気持ちで挑みます。ハピパニに15歳の方が来てくれて驚きましたが、そんなふうに幅広い層に楽しんでいただける舞台を作りたいです」(シスイ役・鷲尾昇)「昨年の舞台版『魔王 JUVENILE REMIX』に続き、本公演ができることがとても嬉しい!今年は、愉快で笑える *pnish* だけでなく、なにか漢っぽいものをやりたいと話して、この演目に辿り着きました。なので、僕らのなかでは新作上演のつもりでいます。佐藤くんを始め手練れが揃っている座組で、全員が輝ける作品なので、一度と言わず二度三度と、噛み締めにきてください」(サイガ役・佐野大樹)東京は9月24日(土)から27日(火)まで、サンシャイン劇場、神戸は10月1日(土)・2日(日)、新神戸オリエンタル劇場にて上演。取材・文/おーちようこ
2016年08月12日『機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096』のエンディングテーマ『Next 2 U -eUC-』を歌うななみが、2ndフルアルバム『Light in the Darkness』を引っさげ、8月26日(金)大阪より全国ツアー“ななみ 2016 tour「白と黒の世界」”をスタートする。ライブは文字通り“白”と“黒”のななみが観られるステージになりそうだ。【チケット情報はこちら】本作でななみは、陰と陽、ネガティブとポジティブなどを黒と白の曲で表現。前半6曲が黒で、後半6曲が白に分かれている。ななみは、「いろんな歌い方をするのが好きなので、どの曲もかぶらないように歌っています。黒い曲で一番好きなのは6曲目の『SaRieL』、白は7曲目の『only lonely』。黒からだんだん白に浄化されていくようなイメージのアルバムです」と紹介した。アルバムの8曲目には、『機動戦士ガンダムUC』1stエンディングテーマの別バージョン『Next 2 U』を収録。8月13日(土)、14日(日)には『機動戦士ガンダムUC』スペシャルライブイベント「RE:UnChild」、11月3日(木)には「澤野弘之 LIVE [nZk]004」に出演し、「澤野さんのライブのステージに立ちたい」という夢も叶える。全国ツアーのステージでは、「ライブも白と黒に分けようと思ってます」というななみ。「キャラが違い過ぎるって言われても、そこは世界が違いますので、白と黒の自分を演じ分けようと。私の中にいる10代の頃の自分を引きずり出してやりたいなと思います」と意気込み十分。さらに、4月から6月にかけて行った“生きる”をテーマにした自主企画ライブ「ALIVE」でいろんな空気を感じ取ったようで、「ライブを観てくれている人は笑顔でいるより、涙を流しているほうが嬉しい。作り笑顔はできるけど、泣くのは難しいと思うんです」とななみ。「イベントで私が登場するのはいつも最後。他の方が作った空気感にあわせたライブをいつも考えていました。だからツアーも会場によって、自分の空気を作り出していこうと思います」と意気込みを語った。全国ツアーは、8月26日(金)大阪・umeda AKASO、9月11日(日)福岡・Gate’s7、9月17日(土)東京・原宿アストロホールは一般発売中。10月1日(土)大分・BRICK BLOCKの一般発売は8月13日(土)。取材・文:門 宏
2016年08月12日11月に上演されるアラン・エイクボーン作のコメディー『扉の向こう側』で、宝塚歌劇団雪組の歴代男役・娘役トップスター3人が顔を揃える。ホテルのスイートルームに呼び出され、見知らぬ実業家から「二人の妻を殺した」という告白文の証人になってくれるよう頼まれる娼婦のフィービー。逃げ出そうとして隣の部屋に繋がる扉を開けると、そこにはとっくの昔に死んだはずの妻たちが…!?三つの年代を行き来しながら進むタイムワープものだが、演出の板垣恭一が「大胆な仕掛けを決して安っぽくない形で使った、とてもとても面白い戯曲」と惚れ込む傑作だ。【チケット情報はこちら】フィービーを演じるのは、宝塚を退団後、これが3作目の舞台となる壮一帆。「1作目で男役、2作目で性別のない役を演じ、やっと女性の役が来たと思ったらSMクイーン役(笑)。普段使わない言葉が並ぶ台詞の中で、壮一帆の人となりをどれだけ出せるかがテーマです」と新たな挑戦に意欲を燃やす。タイムワープ先の40年前の世界に生きる、最初の妻ジェシカ役の紺野まひるは、「舞台は6年ぶりなので緊張します。見た目も内面も、90年代っぽい雰囲気を出して演じられたら」。そして20年前の世界=現代に生きる二番目の妻ルエラ役の一路真輝は、「この3人で良かったと言われる舞台にしたい」と意気込みを語った。この3人、壮と紺野は同期だが、二人が一路と本格的に共演するのは今回が初めて。だが現場には、とてもそうは思えない和やかな空気が漂っていた。役に対する不安を覗かせる壮に、「未来のSMクイーンなんだから何でもアリなんじゃない?」と一路が言えば、「それもそうですね。じゃあ触覚とかつけましょうか(笑)」(壮)、「楽しくなってきた!」(紺野)と二人が乗っかって大盛り上がり。また、一路が「私、出ハケが苦手で色々やらかすと思うからよろしくね」と意外な告白をすると、壮が「この中ではまひるがいちばんしっかりしてると思う」、紺野が「いえ、私もそう見えるだけで、私生活なんてハチャメチャです(笑)」とパスを回し、最後には「みんなで力を合わせて頑張りましょう」という何とも平和なゴールを決めるひと幕も。この空気感は、今回の舞台にも生きてくるのでは、と一路は分析する。「歌劇団出身の方とご一緒すると、在籍した時代が違っても、不思議な共通意識が流れているのを感じるんです。物語の中の3人も、同じ男性を知っているという共通点からか、初対面なのにすぐに理解し合って協力するようになる。そういう意味でも、非常にいいメンバーだと思います」。一路の言葉に、壮と紺野、そして板垣も深く頷いていた。『扉の向こう側』は11月11日(金)兵庫・兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールより開幕。その後、東京、愛知を周る。なお、現在チケットぴあでは東京・愛知公演の先行抽選受付中。兵庫公演発売中。取材・文:町田麻子
2016年08月12日鴻上尚史率いる「虚構の劇団」の第12回公演『天使は瞳を閉じて』が、8月5日(金)に開幕した。【チケット情報はこちら】本作は、鴻上主宰の劇団「第三舞台」(2011年に解散)が、1988年に鴻上作・演出で初演。以来、再演を重ねてきた作品だ。「虚構の劇団」では2011年8月に上演され、今回5年ぶりとなる。初日の公演を観劇した。舞台は、放射能に汚染されて人間がいなくなった地球。人間がいないせいで天使は暇を持て余していた。しかしあるとき、天使の1人が「透明な壁」に囲まれた小さな街を見つける。そこはかつて原発事故が起き、放射能を外に漏らさないために壁で覆った街。しかしその壁が結果的に街を守り、人類滅亡から逃れた唯一の場所だった。そこで暮らす人間は、街ができた経緯を忘れ、楽しそうに生活している。その姿に惹かれ、1人の天使が人間になる。もう1人の天使は、そんな人間たちの毎日をただただ見つめ続ける――。描かれているのは、人間の営みだった。天使が思わず人間になってしまうほど思いやりや夢に満ちた世界が、(放射能ではなく)人間の心に起因して少しずつ変わっていく。その小さな発端の連なりや、そこから生まれる別の感情、なにかのきっかけで弾ける残酷さ……そういったものが一つひとつ丁寧に描かれ、演じられている。また、鴻上作品ならではの笑いやダンスのシーンは楽しい。ユタカ(上遠野太洸)とマリ(鉢嶺杏奈)の新婚夫婦がいちゃつく姿では、美男美女の壊れっぷりに笑った。物語は少しずつ回転速度を上げていく。いつでもやり直せた日々は、気付けばもう引き返せない速度で動いており、舞台上の空気も変わってしまっている。そんな変化をただ見つめることしかできない天使(小沢道成)の表情は、やさしく切なく悲しい複雑な色をしていた。上演前、舞台上には「通行制限中帰還調整区域につき通行止め原子力災害現地対策本部」と書かれた看板が立っていた。本作はもともとチェルノブイリの原発事故を発端に書かれたものだが、今その看板は身近で生々しいものになった。1988年に書かれた戯曲が驚くほど今とシンクロする。過去に観たことある人も、ない人も、ぜひ“今”観てほしい作品だ。『天使は瞳を閉じて』は8月14日(日)まで東京・座・高円寺1にて。その後、愛媛、大阪、東京にて上演。取材・文:中川實穗
2016年08月12日日本トップクラスのタップダンサーであり、振付家・演出家としても数多の演劇賞を受賞している玉野和紀。2007年の『CLUB SEVEN SP(4th)』の中で30分のミニミュージカル「ワン・ハート」として上演され、単独での公演を熱望されていたのが、この『CROSS HEART(クロスハート)』。今回の上演のため、歌もダンスもさらにパワーアップした本作で、ヒロインを演じる唯月ふうかに聞いた。A NEW MUSICAL『CROSS HEART(クロスハート)』チケット情報時は現代。とある大学に、フランスの歴史を研究するサークルがあった。ある日、教授のもとに、差出人不明の荷物が届く。そこにはフランスの歴史的資料がとある女性の書いた手記が入っていた。教授はその手記を基に、学生たちと共に演劇で再現しようと試みる。次第に演技に熱が入る学生たち。ふとした瞬間、「100年戦争」の真っただ中、1424年のフランスにタイムスリップしてしまう。学生たちは、歴史の流れに翻弄されながら互いに敵対しあい、歴史に背くものと理解しつつも自らの宿命・愛・友情に揺れ動きながら、突き進む……。「玉野さんとは、ミュージカル『ピーターパン』(唯月は9代目ピーターパンとして2013年より主演)の演出でご一緒しているのですが、『CLUB SEVEN』にもずっと憧れていたので、出演が決まって嬉しかったです」と声を弾ませる唯月。玉野作品については、「盛りだくさんの歌とダンスで、お客さんをとことん楽しませるエンターテインメント」とその魅力を語ってくれた。インタビューの前には、ちょうどビジュアル撮影も終了。ウエストを絞った中世風の衣装に、柔らかな笑顔が印象的だ。「玉野さんから、『演じるのは一途な女の子だよ』とヒントをいただけて。ひとりの人だけをずっと想い続けている子なんだなと思って、ときめいている表情の中にも切ない気持ちを込めてみました」と、さっそく役づくりにも取り組んでいる様子だ。ミュージカルに出演するようになった4年前からは、観劇の仕方も変わったという。「ミュージカルは同じ歌やセリフでも、一回一回が同じにはならないし、共演者とのやりとり次第で微妙に違う芝居に見えたりしますよね。どうやったらあんな風に見えるのかなって思いますし、観劇しているときもそういうところをつい見ちゃいます」と唯月は笑う。そして「ようやく最近、周りを見ながら舞台に立てるようになった気がします」とも。「歌声をしっかり出すためと、舞台での持久力のために、筋トレは欠かせません!」と、熱意も人一倍の19歳。玉野ワールドを唯月がどう表現してみせるのか、本番を楽しみに待ちたい。公演は12月9日(金)から28日(水)まで、東京・ Zeppブルーシアター六本木にて。取材・文佐藤さくら
2016年08月12日小説家・樋口一葉(1872~1896)の井上ひさし評伝劇『頭痛肩こり樋口一葉』が、8月5日に開幕した。舞台『頭痛肩こり樋口一葉』チケット情報1984年の初演以来、上演回数は755回を数える井上の名戯曲を、今回は樋口一葉没後120年記念として上演。樋口一葉を永作博美が演じ、一葉を取り巻く女性たちとして三田和代、熊谷真実、愛華みれ、深谷美歩、若村麻由美が2013年に続いて出演する。5000円札にまでなった偉大な小説家・樋口一葉だが、道のりは真っ直ぐではなかった。舞台で描かれるのは、父や兄に先立たれ、樋口家の戸主となり、小説で身をたてる以外に道はないと奮闘する一葉19歳から24歳の死後2年まで。盆の樋口家の様子を通してみせていく。「♪ぼんぼん盆の16日に地獄の釜の蓋があく」と、軽快な歌で幕が開いた。6人の女性がお盆のたびに樋口家に集い、近況を報告であーだこーだと笑って泣いて、不幸もあれど毎年賑やか。舞台の上では、幽霊役の若村がワイヤーで吊られているかのようにスーッと動き、三田や愛華は下ネタで大笑い。以前、永作が本作について「女は生きてても死んでも元気」と話したが、本当に観ているだけで元気が出てくる賑やかさで楽しい。しかし、三田演じる一葉の母は明るく社交的だが「世が世であれば」「まさかこんな時代になるとは」という言葉を度々口にし、過ぎ去った時代への無意識な執着が、娘の恋を妨げ、借金を増やしてしまう。熊谷演じる小学校の先生も、愛華演じる“世が世ならお姫様”も、夫により身分を落とすが、そこに抵抗する術がない。そんな時代の話なのだ。永作演じる一葉も、戸主として、貧しさに苦しみ、恋を捨て、家族のために七転八倒している。盆にその愚痴を話す様には愛らしさがあり、話を聞く女性たちも明るく受け流す。だが、ふと一葉が舞台上に一人になると、そのたびに突然ポカッと暗闇が開いたように世の中への憤りや絶望が見えるのだ。その暗闇がこの作品をただの楽しい作品にはせず、“それでもたくましく生きる美しさ”を感じさせてくれる。深谷のみせるラストシーンは本当に美しく、もともとは井上ひさしが「女性が活躍する時代のために」と書き下ろした戯曲だそうだが、今の時代、すべての人に届く作品だと感じた。8月25日(木)まで東京・シアタークリエにて。9月に兵庫、新潟、宮城、山形、滋賀、長崎、愛知で上演。取材・文:中川實穗
2016年08月10日長塚圭史のソロプロジェクト葛河思潮社の第五回公演『浮標(ぶい)』が、8月4日に神奈川で開幕した。本作は、1940年に初演された三好十郎の戯曲で、葛河思潮社の公演全5回のうち3回上演している作品。日中戦争の影が忍び寄る時代を舞台に、洋画家・久我五郎(田中哲司)が、自己の芸術を信じ、肺を病む妻の美緒(原田夏希)を看護しながら貧困と闘う姿を描く。舞台セットは、黒い木枠の中に白い砂が敷き詰められた、砂場のような造り。両側に椅子が並べられ、出演者は出番以外もその椅子に座り、砂の上で繰り広げられる芝居を見つめる。死にゆく妻を必死で看病する男・五郎を演じるのは、田中哲司。葛河思潮社の本作初演から3度目の出演で、最愛の妻が生き延びられるならどんなことでもする、というギリギリの精神状態で、約4時間(1幕75分、2幕55分、3幕90分)を演じ切る。そして、病床の妻・美緒を演じるのは原田夏希。長塚演出作品は2作目で、本作は初めての出演。最初から最後まで寝たきりの状態、つまりほぼ上半身だけで、死を目前にした人間の揺れ動く感情を豊かに演じていた。夫婦のそばには、耳は遠いがおしゃべりで明るい“小母さん”がいて、五郎と共に美緒の看病をしている。そこに訪ねてくるのが、美緒の親兄弟や、金貸しの友人、大家、腕利きの医者、兵隊の友人らだ。彼らは、五郎に画壇の話をして圧力をかけたり、美緒の財産を譲るように画策したり、出征が決まって挨拶に来たりする。しかしだからといって、単純なヒールやヒーローにはならない。夫婦を困らせるために存在しているのではなく、彼らは彼らで生きていくために今この場面に登場していると感じさせるのだ。生きることはきれいごとでは済まされない。しかし、きれいなこともちゃんとある。さまざまな想いが幾重にも重なった芝居で、生きることと切り離せない“生々しさ”を際立たせる。命が終わりつつある美緒にねだられ五郎が詠むのは『万葉集』だ。言わずと知れた、日本に現存する最古の和歌集。約1300年前の歌が今も詠み継がれていることに、美緒に残された「生」を見つつも、やはり「生きる」ことの絶対的な価値を突きつけられた。公演は、8月7日(日)までの神奈川・KAAT神奈川芸術劇場を皮切りに、愛知、兵庫、三重、福岡、佐賀、東京にて上演。取材・文:中川實穗
2016年08月10日FRESH! by AbemaTV&ニコニコ生放送で隔週木曜日に放送されている「アニメぴあちゃんねる」。8月11日(木・祝)放送のゲストは8月20日(土)より3か月連続で開催されるライブイベント「VENUS PROJECT「実験型2.5次元女神ライブ2016」」に出演する田辺留依と、8月10日にシングル「永遠ループ」を発売した和島あみの2組が登場。【チケット情報はこちら】番組前半では、和島あみが登場。7月に行われた上海でのライブのエピソードや、初体験となった海外での出来事をオフショット写真と共に語る。さらに、地元・北海道での思い出や、歌手を目指したきっかけ。2016年に開催されたホリプロ×ポニーキャニオン次世代アニソンシンガーオーディションで応募総数10,041の中からグランプリを獲得するまでなど、足跡について語る。2組目のゲストの田辺留依は、番組レギュラーの秦佐和子も出演する「VENUS PROJECT「実験型2.5次元女神ライブ2016」」についてトーク。また、同ライブイベントに出演する一宮朔が応援に駆け付ける。VENUS PROJECTのラジオ「女神ラジオ~めがらじ~」で共演している一宮と秦の息のあった掛け合いも期待できそうだ。さらに「アニメぴあちゃんねる」視聴者向けに、同イベントの特典満載な特別チケットも紹介される。そのほか、田辺が最近凝っている、料理やお菓子、部屋の写真など、プライベートの写真も披露される。■アニメぴあちゃんねる日時: 8月11日(木・祝)午後8時~午後10時20:00~21:30FRESH! by AbemaTV(無料)&ニコニコ生放送(無料)21:30~22:00FRESH! by AbemaTV(会員放送)&ニコニコ生放送(会員放送)出演:タカオユキ / 秦佐和子 / 高野麻里佳 / 美濃部達宏ゲスト:田辺留依 / 和島あみ / 一宮朔
2016年08月10日1998年の初舞台以来、数々の名演を残し『桜華に舞え』『ロマンス!!』で宝塚歌劇団を退団する星組トップスター・北翔海莉(ほくしょう・かいり)。稀代の実力派エンターテイナーがラストステージに挑む心境を本人に聞いた。【チケット情報はこちら】「この作品に出合うために宝塚歌劇団に入ったのだと思える台本でした」。北翔が語ると重みがある。明治維新の立役者のひとりで、西郷隆盛と共に西南戦争へと身を投じた薩摩藩士、桐野利秋の生き様を描く『桜華に舞え』。演出家・齋藤吉正が、入団時の試験で提出した作品がベースだという。「愛する者のために命を賭ける精神や忠誠心、義などがテーマで、私が一番演じたいと思うような役でした」。“人斬り半次郎”という異名を持つ剣豪でありながら、「敵にも立派な侍だったと敬意を払う愛情深さがあった。それらをしっかり立ち回りでも表現したい」と話す。稽古開始前に2日間鹿児島へ行き、桐野と同じ示現流(じげんりゅう)の道場で学んだ。「相手のエリアに瞬時に入り逃げ場なく追い詰めるという流派で、正直驚きました。精神統一のために笛を吹いて自分をコントロールするそう。それでいて心の広さがあるのが薩摩隼人だと知ることができ良かったです」。飽くなき探究心を持つ北翔。「本物を分かったうえでの宝塚バージョンをやらないと!」と頼もしい。同時に退団するトップ娘役・妃海風(ひなみ・ふう)は、敵対する会津藩の娘・大谷吹優役。彼女の父を殺めてしまった桐野は、記憶喪失を患い彼を慕う彼女を前に苦悩する。「最終的に心と心で繋がる関係は、ふうちゃん(妃海)とでなければできない芝居です」。侍の言葉で好きなのは“最も愛あるものは最も勇気あるもの”。「それが今回自分が見せたい全てかな。守るもの未来に託すもの、色んなものを全部自分の中に受け入れて次に命を引き継ぐという…」。サムライ魂が“北翔魂”に重なる。約1年半の星組トップ在任だったが、海外ミュージカルやオペレッタを元にしたミュージカルへの挑戦など凝縮された時間だった。「星組生はみんな柔軟性があり、難しくても挑戦すれば結果が出るということを分かってくれた。日々の成長を感じ、私の方が支えてもらいました」としみじみ話す。岡田敬二が手掛けるロマンチック・レビュー・シリーズ第19作品目『ロマンス!!』では「アメ車の前で英語でポップスを歌うとか、『イル・モンド』の壮大なデュエットなど私ならではというものを用意してくれました」と。卒業だからとしめっぽい演出は好きではない。「先生も私の性格をよく分かっているから、全部が潔いいんです!」と朗らかに笑う。宝塚人生を振り返ると「1%だけの可能性みたいな状況の時にこそ奇跡が起こる。試練や壁はもう忘れたけど(笑)、それ以上の宝物を見つけられました」。常に前だけを向いている北翔が男役としてどんな有終の美を見せてくれるか楽しみだ。公演は兵庫・宝塚大劇場にて8月26日(金)から10月3日(月)まで。チケット発売中。東京公演は10月21日(金)から11月20日(日)まで。9月18日(日)より一般発売開始。取材・文:小野寺亜紀
2016年08月10日舞台『家族の基礎~大道寺家の人々~』の製作発表が8月9日に都内で行われ、作・演出を務める倉持裕、主演の松重豊、鈴木京香のほか、キャストの夏帆、林遣都、堀井新太が出席した。【チケット情報はこちら】同作は、風変わりな一家・大道寺家の人々の挫折と再生を軽妙なタッチで描く群像劇。東京のはずれに出現した『大道寺シアター』。この劇場の中心にいる父親の気まぐれと、彼らを取り巻く個性豊かな人々との狂騒と混乱に翻弄され、ついに一家離散へと追い込まれる家族。父親は一念発起、家族の「絆」を取り戻そうと奮闘するが…。同作への意気込みについて、大道寺家の中心人物、大道寺尚親役を務める松重は「毎回、舞台をやるたびに2度とやりたくないって思うんです。昨年舞台を終えた時も同じことを思ってたんですが、ちょっと傷が癒えた頃にこのお話を頂いて、倉持さんのだったらやります、って言っちゃって、今凄く後悔しています」と苦笑い。それでも「家族の基礎というざっくりとしたタイトルの中にすさまじい物語がつめ込まれている。基本はホームドラマで、家族の話を軸とした壮大な物語。とんでもない人ばかり出てくるので、誰に感情移入したら良いか分からないって部分もあるかもしれないですが、いろんな角度から見ていただいて楽しめる作品になれば」と答えた。作中では松重が小学校3年生に扮する場面も。「映像ではバカかって言われるような事でも、舞台は自分で小学校3年生だ、と言った瞬間にそうなれる、そんなミラクルが起こる空間。190センチでこの顔が半袖短パンを着るのは中々チャレンジャーですが(笑)、そこに説得力を持たせて、若干の失笑を味わおうかと思ってます」と語った。尚親の妻、大道寺須真役を務める鈴木は「私が演じる母親は一風変わった女性だなと思いましたが、家族全体がエキセントリックな感じがしています。けれども家族ってそれぞれ、どの家庭にもはたからは理解できない何かがあったりするかもしれない。この家族を通して自分の家族のことを思い抱いて、もう一度考えてみたいと思います」と意気込んだ。舞台では初共演となる松重と鈴木。お互いの印象について松重は「だいぶ前に“舞台やらないんですか?”と聞いた時は“全然無理です!”って言ってたのに、今回は稽古の初日にストレッチマットを持ってきて体を作っていて、人って変わるんだなと思いました(笑)」と話すと、鈴木も「(松重さんは)すごく繊細で熱心な方。そんな松重さんを不安にさせないように稽古を頑張りたい」と語った。舞台『家族の基礎~大道寺家の人々~』は9月6日(火)から28日(水)まで東京・シアターコクーンにて上演。その後、大阪、静岡、愛知を周る。
2016年08月10日楳図かずおのSF漫画『わたしは真悟』がミュージカルとして上演される。1980年代にビッグコミックスピリッツ誌上で連載、小学生の純粋な恋愛の危うさや、意識を持った産業用ロボットが進化していく様を重厚かつ奇抜なタッチで描き、特異な魅力を放つ傑作だ。演出・振付はフランスのフィリップ・ドゥクフレ、真鈴役を高畑充希、悟役を門脇麦が演じることも大きな話題に。初共演でW主演となるふたりに話を聞いた。【チケット情報はこちら】「楳図さんにドゥクフレさん、と普通は集まりようがない人たちが集まる。何か化学反応が起こるのではという期待感があります」と、言葉を探りながら話す高畑。「(NHKの)朝ドラ(『とと姉ちゃん』)が終わったら、今までチャレンジしていなかったことをやってみたくて。この作品はすごく面白そう、興味を引かれました」。いっぽうの門脇は、ミュージカル初挑戦。「ワクワク半分、不安半分。ミュージカルは、バレエをやっていたこともあり昔から身近にあったものなのですごく興味がありました。歌はこれからですが、ずっとやりたいと言っていたので、とても嬉しい」と、意欲を見せる。原作は30年以上前に発表された異色作だが、「普段はグルメ漫画などを読んでいる(笑)ので、いつも読んでいるのとは違うなあと。何かこう、すごく“圧”のある作品ですね」(高畑)、「スケールが大きくて、宇宙規模。(昔の作品だが)むしろ新しく感じる。逆にあの時代だったからこそ、生まれた作品なのかな、と腑に落ちるところも」(門脇)と、既にその不思議な魅力に囚われたよう。「観ておいたほうがいい。この先、こんな作品が現れるかどうかわからない!」という高畑は、初の海外演出家との仕事に「がっつり染められようと思うんです。“私を好きにして”と(笑)!」。対する門脇の役柄は、小学生の男の子。「私、中身は男の子みたいな感じなので(笑)」と、違和感はない様子だが「普段から女の子っぽいファッションや趣味に興味がない。興味あるのは“食”、ですね(笑)」という。すると、この日初対面のふたりが「美味しいもの食べよう!」と完全に意気投合。公演で訪れる先々で美味しい料理に舌鼓、という楽しみも増え、「地方のお客さんに、ぜひ観ていただきたい」(高畑)、「目撃してほしい、体感してほしい!」(門脇)。誕生したばかりの絶妙なタッグ──。刺激に溢れた充実の舞台となるだろう。公演は12月2日(金)より神奈川・KAAT神奈川芸術劇場(プレビュー公演)、中旬から下旬に静岡、富山、京都で公演ののち、2017年1月8日(日)から26日(木)まで、東京・新国立劇場中劇場で上演。チケットの一般発売は8月20日(土)午前10時より。なお、東京公演のプリセールを実施中。受付は8月16日(火)午後11時59分まで。取材・文:加藤智子
2016年08月10日the pillowsの山中さわお(vo、g)、noodlesのyoko(vo、g)、Radio Carolineの楠部真也(ds)が新バンド、Casablancaを結成。8月29日(月)よりライブ会場・通販限定のアルバム『Another Story』を発売する。【チケット情報はこちら】数々のライブ共演やレコーディング参加などthe pillowsとnoodlesの繋がりは深く、現在も山中が主宰するDELICIOUS LABELのレーベルメイト。楠部は2013年に山中が敢行したソロツアー「Buzzy Roars Tour」でツアー・メンバーを務めた。その3人により結成されたCasablancaのアルバム『Another Story』はベースレス編成で、オルタナティブ・ロックを軸にツイン・ギターが絶妙に絡み合う独特の世界観が秀逸。大半が英語詞で、yokoと山中のボーカルもときにけだるく、ときに妖艶にと様々な表情を漂わせ、それぞれ所属するバンドとはひと味違うオリジナリティで魅了してくれる作品。現在、リード曲『Ghost Town』のMVが公開されている。アルバムはライブハウスでのリリースに先がけて、DELICIOUS LABELの通販サイトで予約受付中。8月17日(水)から順次発送されるのでいち早く入手することも可能だ。8月29日(月)東京・新宿red clothを皮切りにライブも続々と決定しているので、注目の新バンドの全貌をいち早くこの目に焼き付けよう。文:浅野保志(ぴあ)■Casablancaライブ情報8月29日(月)新宿red cloth(東京都)9月14日(水)高円寺HIGH(東京都)9月20日(火)心斎橋KINGCOBRA(大阪府)10月6日(木)下北沢CLUB Que(東京都)
2016年08月09日1999年に札幌で結成された超個性派バンド、シュリスペイロフが6thアルバム『あまりかぜ』を8月10日(水)にリリースする。作詞、作曲、ボーカル、ギターを務めるフロントマンの宮本英一に話を訊いた。【チケット情報はこちら】シュリスペイロフは2013年から東京に拠点を移し、the pillowsの山中さわおが主宰する「DELICIOUS LABEL」に移籍。それ以来リリースはハイペースに。「レコーディングするスタジオにも慣れてきて音に関しては作りやすかった。前作(2015年5月発売の『その周辺』)の音を聴いて“もう少しこうした方がいいかな”とか見えていたので、今回はいいものができると」届けられた10曲は、緊張感に溢れたオルタナティブ・ロックから叙情的で文学的なナンバーまで表情豊か。「アルバムを見据えて曲を作るというよりは作りたいものを作って、自分にできるものを信じてやってみようと。結果的には今まで通りダークな曲もあれば明るい曲もあって、アルバム全体のバランスは取れてるかなと思います」演奏力には以前から定評のある彼らだが、アレンジの細部にもこだわりと自由度が共存するサウンドは実に気持ちよく、聴くたびに新たな発見もある。「アルバムの最後に収録した『やすもの』は、ブチョー(ds)、野口(寛喜)(b)に“あまり練習しないで来てほしい”と言って。可愛くしたかったんですよね。バタバタと、あえて下手な感じも面白いかなと」。『やすもの』は彼らなりのバンド観を示した歌詞も秀逸。「“バンドがいい状態だぜ”っていうのもあるし、年齢的に30代後半になって音楽だけで生活できてないことに対する強がりと、“だけど楽しいぜ”という複雑なバンドへの愛情が出てる感じですよね(笑)」本作で収録された『まともになれない』に代表される、カッコよくない生き方を描く曲も彼らならではのオリジナリティだ。宮本の書く曲には唯一無二の風格が漂う。「自分のあんまりよくないところとかダメな部分も愛でてやるという感じです。自分の作家性をもうちょっと信頼したいという気持ち、“レーベルのさわおさんがいいと言ってくれるから”ではなく、バンドを始めたときに感じてた“根拠のない自信”みたいな気持ちを取り戻したいというか。それが自然体であり、バンドもそんな僕のモードに普通に合わせてくれたのも楽しかったです」アルバムリリースに伴うインストアイベントやツアーも決定しているので、彼らの奥深い音世界をどっぷり体感してみては。取材・文:浅野保志(ぴあ)
2016年08月09日昨年話題となったタモリ氏原案の「山名屋浦里」を磨き上げ、今年も落語家・笑福亭鶴瓶が独演会の舞台に立つ。江戸時代の吉原を舞台とする、人気ナンバー1花魁と実直な武士との人情噺だが、昨年演じたものには「なにかが足りなかった」と笑福亭鶴瓶は言う。JRA笑福亭鶴瓶落語会 チケット情報「僕、遅刻をするのが嫌いなのに、今日の現場では遅れてしまったんです。というのも、飛行機に乗っていたら『山名屋浦里』のある場面の言葉が降りてきまして。ちょうど、飛行機も空港へ降りようとしていて、でも、座席前のテーブルをおろしてメモしていたから、客室乗務員の方には注意されながら『ごめんなさい。あとちょっとだけ』言うて(笑)。そのメモをちゃんと清書したくて、今日の入り時間に遅れてしまったんですけど、この噺には、浦里という花魁が酒井という武士を助ける場面がある。でも、昨年の噺を聞いてくれた人のなかには、なぜ彼女が酒井を助けるのかがよくわからないという意見があったんですね。聞いた人それぞれで想像するのが落語のおもしろさなのにとも思ったんですけど、なにかが足りないのかもしれないと自分のなかで宿題にしていたものでした」笑福亭鶴瓶は、テレビの視聴者も落語の観客も突き放さない。徹底的に寄り添う。では、『山名屋浦里』で付け加えられた描写とはなにか。それは、浦里という美しき花魁の悲哀や情を、肩書きではなくひとりの人間として描くということ。「『山名屋浦里』は、タモリさんがブラタモリで知った実話をもとに僕が落語にさせてもらったものやけど、(中村)勘九郎が歌舞伎にしたいと言うて実現する。そのこと自体はものすごくうれしかったんですけど、一方で歌舞伎との戦いが始まったとも言える。歌舞伎版『山名屋浦里』を見てくれた人が、鶴瓶の落語も聞いてみようかとなってもチンケなものだったら意味がわからないでしょ。そうじゃなくて、落語はすごいなぁと感じてもらいたい。あと、歌舞伎と比べればチケット代も安いなぁとかね(笑)。最近、ひとつのことを考え続けられる幸せってあるんやなぁと思うんです。『山名屋浦里』のことをずっと考えていなければ、飛行機での言葉も降りてきてはくれなかったと思いますから」飛行機での言葉たちを紡いだ場面を、取材現場で実際に演じてくれた笑福亭鶴瓶。圧倒的なサービス精神を持つ話芸の達人は、同作だけでなく“あの”『鶴瓶版・死神』をも改訂し、今年の独演会にかける予定だと言う。JRA笑福亭鶴瓶落語会は9月22日(木・祝)から25日(日)大阪・森ノ宮ピロティホール、9月27日(火)福岡・キャナルシティ劇場、10月28日(金)から30日(日)まで東京・赤坂ACTシアターにて。東京公演のチケット一般発売は8月20日(土)午前10時より、チケットぴあではインターネット先行も受付中。取材・文:唐澤和也
2016年08月09日ファッションブランドSKULLSHITの20周年を記念したライブイベント「SKULLSHIT 20th ANNIVERSARY 骸骨祭り」が12月3日(土)・4日(日)に千葉・幕張メッセで開催されることが決定した。【チケット情報はこちら】「骸骨祭り」はSKULLSHITが毎年開催するレギュラーイベント「SKULLMANIA」の集大成として、5年に1度開催。アーティストによるライブや、芸人によるネタのステージ、格闘技などが行われる。前回は2011年4月16日開催予定だったが、東日本大震災によりイベント名を「THE LIVE2011」に変え、さいたまスーパーアリーナで行われた。「骸骨祭り」としての開催は2006年以来10年ぶりとなる。出演アーティストの第1弾発表は8月23日(火)を予定。チケットの一般発売に先がけて、20周年記念早割先着先行を実施中。ペア2日通し券、通常価格32,000円(税込)のところを、200枚限定で20,000円(税込) で販売。受付は8月10日(水)午後11時59分まで。■「SKULLSHIT 20th ANNIVERSARY 骸骨祭り」日時:12月3日(土) 開場9:30 / 開演 11:00 / 終演(予定)21:3012月4日(日) 開場9:30 / 開演 11:00 / 終演(予定)21:30会場: 幕張メッセ国際展示場(千葉県)料金:【通し券 オールスタンディング】16,000円(税込)【各日 オールスタンディング】8,500円(税込)
2016年08月08日2014年の初演時には、こんな真田幸村と十勇士の物語があったのかと驚かせた『真田十勇士』。今年は、その再演と映画が同時期に披露される。主人公の猿飛佐助を演じるのは、初演に引き続き、中村勘九郎。このビッグプロジェクトを前にした思いを語ってくれた。舞台『真田十勇士』チケット情報今回の企画を聞いて、「まずは驚きでいっぱいになりました」という勘九郎。しかし、映画版の撮影もすでに終了し、「その勢いのまま舞台にも飛び込んでいけると思います。初演を超えたところからスタートを切るので、絶対に面白くなるはずですよ」と早くも熱く意気込んでいる。この『真田十勇士』の佐助は、実はとんでもないパワーが必要な役である。幸村が腰抜けで、佐助が自分の嘘で彼を本物の天下一の武将に仕立て上げようと導いていくという設定だからだ。それを、ハイテンションの台詞と、ギャグあり、ワイヤーアクションあり、もちろん大立ち回りありで見せていくことになる。「初演はもう毎日クタクタでした(笑)。でも、僕自身は楽しいお芝居が大好きなので、そういう役をもらったら、とことんやりたくなっちゃうんです。それに、思い切り体使って、大きな声を出してっていう単純なことが、いちばん面白くて大事だと思うので。僕が率先してやって、これは楽しいお芝居なんですよということをお客さんに提示して、そこにみんなが乗っかっていけたらいいなと思うんですね。ただ、できれば再演は、水をひと口飲める間を作ってほしいなと思いますけど(笑)」。再演では、新キャストが加わるうえに、初演と映画版で由利鎌之助を演じた加藤和樹が、今度は相棒の霧隠才蔵に扮するという変化もある。「和樹にはミュージカル俳優として何曲か歌ってもらわないと。それが今回の僕のいちばんの責任ですし(笑)、僕自身も新しいギャグのネタに挑戦して、さらに笑えるものにしたいですね。くだらないところは徹底的にくだらなく、でも、本気出したら俺たちカッコいいんだぞ、っていうふうになればいいなと思うんです」。“真田イヤー”といわれる今年。架空の物語である『真田十勇士』だからこそ描けることもある。「大河ドラマ『真田丸』をお好きな方にこそ観に来ていただきたいですね。あの史実をもとに、こんな個性的なキャラクターを登場させて、こんなエンターテインメントができるんだと、驚いてもらえると思います」。さらなるパワーで客席を巻き込んでくれることを、期待したい。公演は9月11日(日)~10月3日(月)の東京・新国立劇場 中劇場での公演を皮切りに、10月8日(土)~10月10日(月・祝)のKAAT 神奈川芸術劇場 ホール、10月14日(金)~10月23日(日)の兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホールと各地をめぐる。チケットは各地とも発売中。取材・文:大内弓子
2016年08月08日松尾スズキ演出のミュージカル『キャバレー』が来年1月より上演。主演にミュージカル初挑戦となる長澤まさみが決定した。同作は、クリストファー・シャーウッドの小説『ベルリン物語』とジョン・ヴァン・ドゥルーンの戯曲『私はカメラ』を原作に、1966年、巨匠ハロルド・プリンスがミュージカル化。ヒトラー政権の台頭へと向かう時代を背景に、ベルリンのキャバレー「キット・カット・クラブ」のデカダンなショーと、歌姫サリーをはじめとする人々の恋物語を、絶妙な構成で描く。日本では1982年の初演以来、様々な演出、キャストで繰り返し上演されている。松尾演出の『キャバレー』は2007年、松雪泰子、阿部サダヲ、森山未來、星野源らの出演で上演。10年ぶりのリニューアル上演となる今回の公演は、歌姫サリーに長澤まさみ、キャバレー、キット・カット・クラブのMCに石丸幹二、サリーの恋のお相手クリフに小池徹平を迎え、新演出でお贈りする。出演決定に際し、長澤は「ミュージカルの出演は今回が初めてなのですが、またひとつ女優として新たな一歩を踏み出してみたく、挑戦することにしました。以前から松尾さんの舞台に出るのが夢だったので、松尾さんの演出を受けられる事が今から楽しみです。経験豊かな共演者の皆さんにも助けをもらって素晴らしい公演になる事を期待して進んでいきたいです。不安やプレッシャーも有りますが、何よりも楽しんでより多くのお客様に松尾キャバレーを見て頂きたいです」とコメントを寄せている。ミュージカル『キャバレー』は2017年1月に東京・EX THEATER ROPPONGI、神奈川・KAAT神奈川芸術劇場ホールで上演。2月より大阪、宮城、愛知、福岡を周る。
2016年08月08日ミュージカル『王家の紋章』が8月5日(金)、東京・帝国劇場で幕を開けた。原作は、連載開始から40年を迎える少女漫画の金字塔。主演は浦井健治。ミュージカル『王家の紋章』チケット情報少女漫画史に残る歴史大作ロマンが、世界で初めてミュージカル化された。考古学を学んでいるアメリカ人少女キャロルが古代エジプトにタイムスリップしてしまい、若きエジプト王・メンフィスと運命の愛に落ちる物語が、ウィーン・ミュージカル界の巨匠シルヴェスター・リーヴァイによる美しい音楽で紡がれる。漫画から抜け出したような豪華な衣裳を身に纏った出演者の熱演で、壮大かつロマンチックな世界が舞台上に広がった。初日の舞台は熱狂する観客が熱い拍手を贈り、カーテンコールでは客席内が総立ちに。キャロル役の新妻聖子が「私はウン十年来の原作のファン。ずっとこの『王家の紋章』から私が頂いてきた幸せを、少しずつでも舞台上でお返しできれば。客席に(原作の)細川智栄子先生と芙~みん先生の姿が見えるだけで涙が出そうです。もう死んでもいいです…死なないです、死んでもいいくらい幸せです」と興奮気味に挨拶。イズミル役の宮野真守も「人生で初めて帝国劇場に立たせていただけることになりました。子役の頃からずっと役者をやっていて、帝劇を目指したこともあって、なかなか上手くいかないこともあった。でも今こうして、最高のメンバーと最高の作品で、この場所に立てていることが嬉しく不思議。自分の人生において大きな一歩になりました」とこちらも感無量の言葉。そしてメンフィス役を演じた浦井健治が、初日を無事迎えたことに対し感謝を述べるとともに、「ひとつお知らせがあります。『王家の紋章』再演が決まりました!2017年4月に帝国劇場、そして5月に大阪で公演決定です!」と発表。上演前から話題騒然で、今回の公演チケットは完売している作品だけに、客席からは驚きと喜びの声が上がった。続いて作曲者のリーヴァイ氏が登壇し、客席の細川智栄子氏と芙~みん氏を紹介。また日本語で「すべてとってもすばらしかった!」と大きな声で叫ぶと、客席はさらに大きな拍手で包まれた。出演はほか、キャロル役(Wキャスト)に宮澤佐江、イズミル役(Wキャスト)に平方元基、ライアン役に伊礼彼方、アイシス役に濱田めぐみ、イムホテップ役に山口祐一郎ら。公演は8月27日(土)まで、東京・帝国劇場にて。
2016年08月05日