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ケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下KERA)が作演出を手がけた『室温~夜の音楽~』を21年ぶりに上演。河原雅彦が演出を担う。そこで河原と共に、音楽と出演を兼ねる在日ファンクの浜野謙太、主演の古川雄輝が出席した取材会に参加。その模様をレポートする。KERA作品を手がける上で、真っ先に浮かんだのがこの『室温』だったと言う河原。「僕はとても音楽が好きで、この『室温』は副題にもあるように音楽と共にある作品。で、前作の“たま”の音楽の土着感から考えてファンクだ…“在日ファンク”だ!って(笑)。実際すごくハマっていますし、いい芝居を作らないと音楽に持ってかれちゃうなってくらい、ハマっていると思います(笑)」だが当のバンドメンバーは、本作への参加に当初懐疑的だったと浜野は言う。「ただ河原さんと本当に一から組み立てさせてもらったので、今ではある意味、共犯みたいな気持ちが強いです。何曲か書き下ろしもあって、ライブだけでは表現出来なかったことが、今引き出されている感じ。バンドとしても新しい一歩を踏み出させてもらって、とても感謝しています」双子の妹を拉致・監禁、集団暴行された上に殺された、キオリとその父。妹の命日、親子の家にはさまざまな人々が訪れて――。浜野演じる木村と古川演じる間宮も“さまざまな人々”のひとりだが、その役どころの説明は難しく、古川自身「稽古が進むにつれ、今まで思っていた人物像とはちょっと違ってきていて…。どういう役かと聞かれても、なかなか難しくて答えられないんです」と顔を曇らせる。そんな不安げな古川に河原から、「でも素敵ですよ」とひと言。さらに「わからないことをわからないという俳優は、とても誠実だと思います」との言葉に、浜野も「わからない時のポカーンって顔が、僕にとってはまさに間宮。だからもう出来てるじゃんって思います」と笑う。すると古川も、「役としっかり向き合えるのは舞台ならでは。そういう意味でいい時間を過ごせているなと思います」と語る顔は、少し明るくなったように見えた。最後に河原は、作品の魅力について改めてこう語る。「僕が好きなのは、いろんな感情を持って帰れる多面的な作品。KERAさんはそういうものを書ける作家さんで、この『室温』もどこまでも真っ黒で、どこまでも真っ白な作品なんですよね。ただそのホンを預かる以上、初演にはない面白さを出せなければ、やっぱり僕らの負け。だから勝てるように頑張ります!」取材・文:野上瑠美子
2022年06月10日東京・上野の国立西洋美術館のリニューアルオープンを記念して先日より「自然と人のダイアローグフリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」がスタートした。国立西洋美術館とドイツ・エッセンのフォルクヴァング美術館の共同企画によるもので、ゴッホ、モネ、セザンヌ、ゴーガン、フリードリヒといった19世紀から20世紀にかけて活躍した西洋美術の巨匠たちが、自然と対話(ダイアローグ)しながら生み出した100点以上に及ぶ傑作が展示されている。4つの章で構成されており「I章 空を流れる時間」は“空の王者”と称されたブーダンの「トルーヴィルの浜」、「引き潮のドーヴィルの浜」、「海浜」という海辺と空を捉えた3点で始まり、彼に影響を受けたモネ(「雲の習作」、「波立つプールヴィルの海」、「雪のアルジャントゥイユ」、「セーヌ河の朝」ほか)、さらにマネ(「嵐の海」、「ブラン氏の肖像」)、ルノワール、マティスなど印象派の画家たちの作品を中心に展開する。リヒターの「雲」(1970年制作)とモネの「舟遊び」(1887年)が並んで展示されているのがひときわ目を引く。「II章 〈彼方〉への旅」では自然に自らの感情を託した作家たちの作品が並ぶ。フリードリヒの「夕日の前に立つ女性」、生涯に100点以上の波の絵を描いたクールベの「波」、ゴーガンの「海辺に立つブルターニュの少女たち」、「扇を持つ娘」、「『ノア・ノア』より マナオ・トゥパパウ(死霊が見ている)」などが目を引く。「Ⅲ章 光の建築」では自然を観察・分析し、独自の絵画空間を生み出した画家たちの作品――セザンヌの「ベルヴュの館と鳩小屋」、シニャックの「サン=トロペの港」、カンディンスキーの「小さな世界」、ミロの「絵画」、クレーの「月の出(サン=ジェルマン界隈)」、ル・コルビュジエの「三人の人物(モデュロール)」などが展示されている。そして「IV章 天と地のあいだ、循環する時間」と銘打たれた最後の章では、そのタイトル通り、自然の中での循環する時間と人生を重ね合わせて表現された作品の数々が並ぶ。ゴッホの「刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン・ポール病院の麦畑)」の来日はこれが初めて。同じくゴッホの「ばら」、モネの「睡蓮」、ミレーの「春(ダフニスとクロエ)」、ムンクの「雪の中の労働者たち」、「アルファとオメガ」、「眼鏡を掛けた自画像」などの名画が連なる。声優の駒田航がナビゲーターを務めている音声ガイドもオススメ。ピアニストの福間洸太朗の選曲および演奏によるBGM(バッハ、ベートーヴェン、ラヴェルなど6曲を収録)とあわせて、それぞれの作品の背景や画家に関する解説がやさしく、心地よくに染み入ってくる。ドイツ・ロマン主義から印象派、ポスト印象派に20世紀絵画まで、西洋絵画の巨匠たちの“競演”を楽しめる貴重な展示となっている。
2022年06月10日2020年にコロナ禍で中止になり、今年再演されるミュージカル『ミス・サイゴン』は、奇しくも日本初演から30周年を迎える。エンジニア役の伊礼彼方と、キム役の昆夏美が大阪市内で開かれた取材会で思いを語った。ミュージカル「ミス・サイゴン」 チケット情報ベトナム戦争末期、エンジニア(伊礼のほか、市村正親、駒田一、東山義久の交互出演)が経営するキャバレーで働くベトナム人の少女キム(昆のほか、高畑充希、屋比久知奈の交互出演)は、アメリカ兵クリスと恋に落ちるが、サイゴン陥落の中、二人は引き離されてしまう…。社会の底辺から這い上がってきたエンジニアは、アメリカン・ドリームを夢見る貪欲なキャラクターだ。今回、初出演となる伊礼は、「オーディションのとき、今の僕は狼で、求めているのはハイエナだと言われた。この2年間で演じる引き出しも増え、ハイエナになる準備ができています」と語る。「エンジニアはフランス系ベトナム人で、僕はハーフ。僕も日本にきた時は、見た目や言語、文化が違い、自分だけが世界から取り残された気分で孤独を感じていた。その孤独を埋めるために悪ガキだった時期があり、エンジニアには同じような部分を感じる。彼は女の子を道具にし、人をモノとしか思わない。そういう接し方をしないと自分が保てないんじゃないかと僕は捉えていて、哀れな悲しい男だなと。その感情を隠し持った上で演じたいですね」と意欲的だ。一方、キムに扮するのは今回が3回目になる昆。「キムという役に出会ったころ私は20代で、パワーや前に向かっていく気持ちが強く、演じるにあたってそれがいい作用を及ぼしていた」と振り返る。若くして母親になるキムだが、「私に子どもはいませんが、友達に子どもが生まれたりして、年齢を重ねてきたぶん、変化が出てきました。少女が必死に生きてきただけではなく、母の面もプラスして見せられたらと思います」と話す。伊礼が、「昆さんが息子タムをどう抱くのか楽しみ。子どもの抱き方で愛情や役者がどこまで役を掘り下げているかが伝わってくるので」と言い、彼女を見つめると、昆は「顔を向けて言われたら怖い(笑)。頑張ります…」とうろたえ気味に応じ、会場は笑いに包まれた。また、お互いの役の印象については、「伊礼さんのエンジニアは本当にカッコよくて、華と色気がある」と昆が語れば、伊礼も「昆さんはキムを演じるのが3回目ですが、今もピュアさがあって素晴らしい」と昆を絶賛。本番でぜひ、確かめてほしい。7月24日(日)から28日(木)までプレビュー公演、7月29日(金)から8月31日(水)まで東京・帝国劇場、9月9日(金)から19日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて。その後、愛知、長野、北海道、富山、福岡、静岡、埼玉を巡演。チケットは順次発売。6月11日(土)10:00より大阪公演のチケット先行先着プリセールを実施。取材・文:米満ゆう子
2022年06月10日2018年からスタートし、コロナ禍での延期なども経て、ついに東京・上野の森美術館でツアーのラストを迎える『木梨憲武展 Timing―瞬間の光り―』。その開幕に先駆け行われたプレスプレビューに参加、当日出席した木梨の生の声とともに、気になる展覧会の内容をレポートする。「とんねるず」としての活躍はもちろん、近年はラジオパーソナリティや楽曲制作など、多方面で精力的に活動している木梨。そんな彼が、30年近くに渡り続けているのがアート制作だ。自身の作風について、「悲しいテーマはほぼありません。皆さんにはここからなにか感じ取って、変換して、明日に向かって“REACH OUT”していただけたら」と語るように、彼の作品は見ればつい笑顔になってしまうような、ユニークで、生命力に溢れたものばかりだ。木梨の言う「REACH OUT」とは「手を差し伸べる、人々と触れあう」を意味し、手をモチーフにした彼の作品シリーズでもある。その最新作が、町工場と協力した、約3メートルの巨大なオブジェ「REACH OUT TOWER」。木梨は、「最終的には『太陽の塔』と同じくらいの大きさにして、中に入れるようにするのが隠れた私の目標」と笑う。さらに富山のガラスアーティストと共作したガラス作品や、サインペンで描いた手で埋め尽くされた丸いキャンバスの絵画作品。さらには木製の手を大量に貼りつけた「REACH OUT Tree」など、異なる素材、手法を用いたさまざまな「REACH OUT」が並ぶ。2階の展示室で鑑賞者を待ち受けるのは、木梨がこつこつ作り上げた大量の妖精(フェアリー)たち。それらはほぼ段ボールや商品パッケージなど身近な素材で作られており、その数なんと2000以上!その中には木梨のパートナーであり、木梨のアーティスト活動を支える存在でもある、安田成美がかつて見たというフェアリー・コッカの姿も。このコッカはAR作品として、アプリ上で楽しむことも出来る。そしてラストを飾るのは、『感謝』と名づけられた巨大な花束の絵画作品。実は本作、ツアー中に木梨がどんどん描き加えていったことで、花束はいつの間にか木のように、さらに木梨の想いはキャンパスからはみ出し、額縁にも大量の花を咲かせている。そして作品名を記載したプレートには、木梨からの直筆メッセージも。60歳の大台に乗っても、「ガキのころからなにも変わっていないので、このまま突き進みたいと思っております!」と、遊び心を忘れない木梨。ここには彼の自由で前向きなパワーが溢れている。取材・文:野上瑠美子
2022年06月09日辻井伸行、「富士山河口湖ピアノ・フェスティバル」への山下洋輔出演に喜び昨年に続き、富士山の麓に世界的なピアニストたちが集い、開催されるピアノフェスティバル「富士山河口湖ピアノ・フェスティバル2022」の合同取材会が5月下旬にオンラインで開催され、ピアニストの辻井伸行が出席。ジャズピアニストの山下洋輔、作曲家・加古隆ら錚々たる面々が来場する今年のフェスへの期待を語った。同フェスティバルは富士山の麓の富士河口湖町にて昨年初めて開催され、盛況を博した。2回目となる今回は、長年にわたり日本のジャズを牽引し、今年80歳を迎えた山下洋輔、昨年に続いての参加となる作曲家でピアニストの加古隆、さらに国際的に活躍するピアニストの菊池洋子、日本を代表するソリスト・川久保賜紀、遠藤真理、三浦友理枝による華麗で美しいピアノトリオなど錚々たる顔ぶれが集う。辻井は同フェスティバルについて「ピアノはソロ、協奏曲、管楽器や弦楽器との共演など、ジャンルを超えていろんなことができる、いろんな魅力を伝えられる音楽祭になっている」とピアノフェスティバルならではの魅力を強調する。特にジャズの巨匠・山下の出演について「ご一緒するのは初めてですが、何年か前にコンサートに伺って、素晴らしくて、すごいなとびっくりしました。今回、演奏を聴けるのを楽しみにしています」と期待を口にする。約3000人収容の河口湖ステラシアター、”逆さ富士“の名所として知られる河口湖の北岸にある約100人収容の河口湖円形ホール、そして河口湖総合公園芝生広場での屋外コンサートなど、様々なスタイルでコンサートが行われるのも同フェスティバルの魅力。辻井は「円形ホールは、お客様との距離が近く、より一体となって、臨場感もあって楽しいコンサートでした。ピクニックコンサートでは、芝生で食事したり、子どもから大人までくつろぎながら楽しんでいただきたいです」と語る。また、昨年は小学校で音楽教室も開催。あえて題名を告げずに演奏し、子どもたちにどのようなイメージが浮かんできたかを答えてもらったり、逆に子どもたちからのお題に合わせて即興演奏を披露するなどしたが「みんな、すごく喜んでくれて、ピアノの楽しさを存分に伝えられたんじゃないかと思います」と語り、今年も「音楽の楽しさ、ピアノ1台でいろんなことができると伝えたい」と意気込みを語った。フェスティバル開幕の約10日前、9月13日に34歳の誕生日を迎えるが「音楽家は一生勉強だと思うので、まだまだいろんなレパートリーに挑戦したい。新たにいろんな勉強をして音楽表現を深めていきたいし、成長した姿を聴いていただきたい」と抱負を口にしていた。富士山河口湖ピアノ・フェスティバル2022は河口湖ステラシアターほかにて9月22日、23日、24日、25日開催。
2022年06月09日片岡愛之助・戸次重幸らが出演する『奇人たちの晩餐会』が、東京・世田谷パブリックシアターで6月7日に開幕。同日昼に報道陣向けのゲネプロと囲み取材が行われた。フランス喜劇の代表的な脚本家フランシス・ヴェベールが1998年に発表し、同年ヴェベール自身の監督・脚本によって映画化もなされた本作。自ら選んだ風変わりなゲストを仲間内で紹介しあい、裏で“キング・オブ・馬鹿”を決めるディナーに興じる底意地の悪い編集者ピエール(戸次)が、変わり者のフランソワ(愛之助)に振り回され、人生最大のピンチを迎えるシチュエーションコメディだ。今回の上演版では、山田和也が演出を手がける。ピエールが『奇人たちの晩餐会』の同伴者に選んだのは、30万本以上のマッチ棒で巨大な模型をつくる趣味を持つ税務署勤めのフランソワ。しかしピエールはこの“ディナー”を前に強烈なぎっくり腰に見舞われてしまう。さらにピエールの悪趣味に愛想を尽かした妻クリスティーヌ(水夏希)からは留守電で別れを告げられ──。その場に居合わせたフランソワはピエールに救いの手を差し伸べるも、すべて裏目に出て彼をどんどん窮地へ追い込む。ピエールがピンチに陥っても自作の模型愛をまくし立てるなど空気の読めないフランソワを、愛之助は持ち前のやわらかい物腰で造形。事態を引き起こしている張本人にもかかわらずまったく悪びれず、常に悠然としている姿が何とも笑いを誘う。フランソワに翻弄される戸次ピエールは終始うんざり顔、もしくは腰痛に表情を歪ませる。エキセントリックな愛人マルレーヌ(野口かおる)に弄ばれる様子をはじめ、次々と見舞われるトラブルの収集がつかず、ただアルカイックスマイルを浮かべて立ち尽くすことしかできない瞬間もおかしい。露悪的で性根が腐っているピエールが憎めないのは、「ミスター残念」の異名でファンや共演者からいじられ愛される普段の戸次のキャラクターがあるからだろう。囲み取材には、愛之助と戸次が参加。息の合った二人の掛け合いが楽しめるコメディなのでは、とレポーターから話題を向けられると、両者ともに「至近距離で豪速球のキャッチボールをしている感覚です」と口を揃える。愛之助は「鬱々とした気分を晴らし、疲れを吹き飛ばしてくれるパワーのある作品」、戸次は「ジェットコースターのように次々と起きる事件を目撃して」と言葉に力を込め、観客にメッセージを送った。上演時間は約150分(15分休憩を含む2幕)。東京公演は6月19日(日)まで。その後、大阪・長野・愛知・福岡と巡演する。チケット販売中。取材・文=岡山朋代
2022年06月08日アメリカン・ハード・ロックの至宝、NIGHT RANGER(ナイト・レンジャー)が10月にデビュー40周年の日本ツアーを開催する。公演は、10月21日(金)・22日(土)・23日(日)昭和女子大学 人見記念講堂、10月25日(火)グランキューブ大阪 メインホールの全4公演。NIGHT RANGER チケット情報チケットは、6月8日(水)12:00から14日(火)23:59までいち早プレリザーブを受付中。また、VIPパッケージの特別先行(先着販売)も、6月16日(木)23:59まで受付中。
2022年06月08日7月23日(土)・24日(日)の2日間、舞洲スポーツアイランド特設会場にて開催される、夏フェス「ジャイガ」こと『OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2022』。本イベントのタイムテーブルが発表された。『OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2022』チケット情報またオープニングアクトとして、23日(土)に我儘ラキア、24日(日)にyutoriの出演も決定。チケットは、6月9日(木)23:59まで先行先着プリセールを実施中。
2022年06月07日6月4日(土)、『恭しき娼婦』(演出:栗山民也)が新宿・紀伊國屋ホールで開幕した。タイトルの"娼婦"は、アメリカ北部から南部へとやってきたリズィー(奈緒)のこと。彼女は、無実の罪を着せられて逃走する黒人青年(野坂弘)と出会うが、彼女に虚偽の証言をさせようと迫る街の権力者と、その息子フレッド(風間俊介)らが次々と部屋にやってくる。リズィーの魅力が、物語をぐいぐいと引っ張っていく。くるくると表情が変わり、背筋がすらりと伸びてしなやかに動く。とびあがったり、頭をかきむしったりと、喜びや怒りを表現する。報酬を受け取るのに「いくらか当てる!」と目をつぶって足の指先までふるわせる姿はとてもチャーミングだ。奈緒の演じるリズィーから、動物的な生命力の輝きが放たれている。また彼女は尊厳や意思を持っている。安く買い叩こうとする客には「受け取らない!」ときっぱりと拒絶する。自分を蔑んでくる相手には、毅然と立ち向かう。尊厳を持つリズィーに影響を受けていくフレッド。社会的に地位ある家に生まれ、周囲の期待を背負うフレッドは、リズィーとの出会いで価値観がゆらいでいく。風間は、フレッドの戸惑いを、仏頂面のなかに声や動きで苛立ちを込めながら演じる。街の権力者(金子由之)が登場してからが恐ろしい。蔑みの対象である黒人青年と、由緒ある家系の白人男性の「どちらを救うか選べ」と迫る。リズィーの意思、混乱、迷い、信念……その揺れ動きにハラハラし、胸が締め付けられる。タイトルの恭しき(原文:respectueuses)は「敬意を表する」などの意味だ。いったい誰が、彼女に敬意を表していたのか。舞台美術のいびつな壁の角度と、登場人物の内面を浮き彫りにするような照明が、あらがえない大きな存在を感じさせる。黒人差別が、差別とさえ思われていない時代と地域のこと。黒人青年役の野坂弘の、不安げなたたずまいから目を背けたくても逸らせない。『恭しき娼婦』が発表された1946年は第二次世界大戦が終結した直後で、人間の尊厳と、権利と、自由が問われていただろう時だ。黒人や娼婦という虐げられる人たちの姿からは、著者・サルトルの強い怒りを感じる。奈緒らによって生き生きと演じられることで、現代でもそこかしこに存在するたくさんの虐げられる瞬間がよぎるだろう。上演は19日(日)まで。その後25・26日に兵庫、30日に愛知公演あり。文・取材:河野桃子
2022年06月07日ナードマグネットが、6月26日(日)兵庫・神戸 太陽と虎公演を皮切りにスタートする「だいばくはつツアー」のゲスト第一弾を発表した。ナードマグネットチケット情報同公演は、6月22日(水)発売予定の3rdフルアルバム『アイム・スティル・ヒア』のリリースツアーとして東名阪ワンマンを含む全国12箇所で開催されるもの。今回出演が発表されたのは、さよならポエジー、ズカイ、時速36km、Lucie,Too、SEVENTEEN AGAiN、kobore、鉄風東京、bokula.、SACOYANSの9組だ。8月7日(日)香川公演までのチケットは発売中。8月14日(日)栃木公演以降は、6月12日(日)23:59までオフィシャルニ次先行(抽選)を受付中。「だいばくはつツアー」【兵庫公演】▼6月26日(日) 神戸 太陽と虎[共演]さよならポエジー【岡山公演】▼7月3日(日) 岡山ペパーランド[共演]ズカイ/他【神奈川公演】▼7月10日(日) F.A.D YOKOHAMA[共演]時速36km【宮城公演】▼7月17日(日) LIVE HOUSE enn 2nd[共演]Lucie,Too/他【広島公演】▼7月23日(土) 広島・4.14[共演]bokula./他【福岡公演】▼7月24日(日) INSA[共演]SACOYANS/他【香川公演】▼8月7日(日) TOONICE[共演]kobore/SEVENTEEN AGAiN【栃木公演】▼8月14日(日) 宇都宮HELLO DOLLY[共演]鉄風東京/他【東京公演】※ワンマン▼8月21日(日) 渋谷CLUB QUATTRO【北海道公演】▼9月18日(日) PLANT[共演]有【愛知公演】※ワンマン▼9月25日(日) 池下CLUB UPSET【大阪公演】※ワンマン▼10月2日(日) BIGCAT
2022年06月07日メンバー各々がそれぞれのバンドで活動する、インストジャズ界のオールスターバンド、POLYPLUSがキャリア初の東名阪クアトロツアーを敢行する。公演は、8月30日(火)渋谷CLUB QUATTRO、9月12日(月)名古屋クラブクアトロ、9月13日(火)梅田クラブクアトロにて。POLYPLUSチケット情報また、6月8日(水)には東海テレビ・フジテレビ系全国ネット「クロステイル ~探偵教室~」のオリジナルサウンドトラックスをリリース予定。ツアーのチケットは、7月16日(土)10:00より一般発売開始。一般発売に先駆け、6月7日(火)12:00から14日(火)23:59までオフィシャル二次先行(抽選)受付を実施。
2022年06月07日芸能生活50周年を迎える吉幾三が、初登場の東京・明治座で門出を祝う──。「昔から座長公演をやっていた身として、一度は立ってみたかった劇場さんです」と第一声を発した吉に、その構想を語ってもらった。第一部の『親はがっかり!子はしっかり!』は、吉が原案・音楽を、岡本さとるが潤色・演出を手がける人情喜劇。キャストには主演を務める吉のほか、中本賢、芳本美代子、島崎和歌子、佐藤B作らも名を連ねる。劇中では、安藤物流の社長・万作(吉)を取り巻く下町のハートフルな人間模様が展開。13年前に妻を亡くした万作は、長女・和枝(芳本)を溺愛するあまり、彼女に“悪い虫”がつかないように躍起になっていたが……。吉自身も、実生活で3人の子ども(長男・長女・次女:次女は本作キャストの寿三美)を持つ父親。特に現在ハワイで暮らす長女を思い浮かべながら、「子どもが自立して家を出るにせよ、パートナーと生活するために離れて暮らすにせよ、それぞれが喜ばしい門出だから嬉しい反面……やっぱり寂しい。何かあってもすぐ飛んでいける距離じゃないから」と劇中の設定と自身の境遇をクロスオーバーさせた。本作は3月に愛知・御園座で上演されている。娘を想う万作の気持ちが前面に表れる吉の歌唱シーンでは、目元をハンカチで拭う観客もいたとか。吉は「中には嗚咽を漏らす男性もいてさ。それ目の当たりにしたら、万作のような心境の親御さんが日本にはたくさんいらっしゃるんだなって」と当時を振り返り、「それでも行かせてやるのが親心。この普遍的な想いを、笑いと涙を交えながら明治座のお客さんにも届けたいね」と意気込む。第二部は『50th Anniversary in 明治座頼り…頼られ…ありがとう』と題された歌謡ショー。3月にリリースされた芸能生活50周年のメモリアル最新シングル「頼り頼られ…」をタイトルにしのばせている。「歌詞の“人は一人じゃ生きて行けない”はこれまで支えてくれた女房をはじめ、聞き手やスタッフに対する想い」「病気をしたからこそ“生かされている”という歌詞が自然と浮かんだ」と話すように“感謝”の意を込めて歌う。「酒よ」「雪國」「酔歌」といったヒット曲はもちろん、明治座ならではの取り組みとして「世界7ヵ国の歌を披露するコーナーを設けます」と吉。韓国の曲はハングルで、アメリカの曲は英語で、インドネシアの曲は日本語を交えた現地の言葉で歌うという。中でも見どころは、歌に合わせた民族衣装の早着替え。「イントロの数小節で挑戦するんだけど……これまで成功した試しがねぇのよ!」と豪快に言い放ち、記者を笑わせた。「芸能生活50周年『吉幾三特別公演』」は、7月8日(金)~24日(日)に東京・明治座にて。ぴあでは座席指定できるチケットを、5月29日(日)10:00より発売する。取材・文:岡山朋代
2022年06月07日ブロードウェイミュージカル『ピピン』が2022年8月30日(火)から東急シアターオーブで開幕する。もともとミュージカル『シカゴ』や映画版『キャバレー』で知られる鬼才ボブ・フォッシーによる演出と振付で1972年に初演された本作は、2013年に新演出版がブロードウェイで上演され、同年のトニー賞でミュージカル部門・最優秀リバイバル作品賞を含む4部門を受賞。日本では2019年に城田優主演で新演出版が上演されているが、今回は主演のピピン役に森崎ウィン、キャサリン役に愛加あゆを迎えての上演となる。19年に引き続き、ピピン の祖母・バーサ役を演じる前田美波里に話を聞いた(※中尾ミエとのWキャスト)。「(再演を)待ちに待っていました」と語る前田。前回の公演をご覧になった方は鮮明に覚えていらっしゃる方も多いだろう。前田は作品の中で、空中ブランコのアクロバットに挑戦したり、美脚を大胆に露出したりと、観客にとにかく強烈なインパクトと感動を与える役を熱演。「見せ場はたった1つ。『No Time At All』という曲だけ。でもそれがこの作品のテーマの中でどれだけ大切か。良い仕事をさせていただけて、本当に幸せです」と振り返る。前田は1948年8月生まれ、現在73歳。「人間、年齢が来ると身体が言うことを聞かなくなったりしますが、なるべくそうならないように自分を鍛えて鍛えて、きょうまでやってきました」とプロの意地を見せるが、実際、前回は初めてのアクロバット経験で、稽古はなかなかに苦労した様子。「最後の3、4回ぐらいですけど、ようやく本番中のパフォーマンスで、相手に自然と身体を委ねることができたんです。すごく気持ちよかった。今回の公演では開幕からそういう風になれるように努力したいです。年齢も年齢だから怖いけれど、頑張ります」と意気込む。コロナ禍で公演中止も経験。「舞台がないと、何のために生きているか分からない。それぐらい舞台が好きなんだと再認識しました。舞台というまな板の上に立って、演出家にお料理されて、それをおいしそうにお客様が食べてくださる、観てくださる。それが何より幸せですね」。幼少の頃から励んでいたクラシックバレエや、ひょんなことで数年間習っていたという日舞、出演していたレビューといった経験が、回り回って今の俳優人生に活きていると感じている。「人間って、結局、損することはないの。この作品のテーマでもありますが、人生、待っていても仕方がないんです。こんな落ち込む時代だからこそ、明るくなれる『ピピン』を観て、ぜひピピンのように自分の人生を切り開いていってほしいですね」と話していた。今回はどんな驚きと感動を見せてくれるのか。心待ちにしていたい。公演は9月19日(月)まで。取材・文:五月女菜穂ヘア&メイク/矢野トシコ〈SASHU〉スタイリング/松田綾子〈オフィス・ドゥーエ〉赤ワンピース/DUEdeux ピアス、リング/ともにウノアエレ(ウノアエレ ジャパン)
2022年06月06日北海道のオールナイト野外ロックフェスRISING SUN ROCK FESTIVALが、2019年以来、3年ぶりの開催にむけて第3弾の出演アーティストと出演日を発表した。バンドとしては最多出演の「東京スカパラダイスオーケストラ」が今年も出演決定!「田島貴男〈ひとりソウルショウ〉」や「BEGIN」などRSRの歴史を刻んできたアーティスト達に加え、 「Saucy Dog」「sumika」「奇妙礼太郎」「ROTH BART BARON」が3回目の出演、「映秀。」「SADFRANK」の初出演が決まった。まだ詳細は明かされてないが「SATURDAY MIDNIGHT SESSION」というオリジナル企画も含めて、10組のアクトがラインナップに加わり、石狩に新たな色が塗り重ねられていく。出演日も合わせて発表されており、現状、8/12(金)13組、8/13(土)25組と合計38組のアクトがラインナップされている。今後もタイムテーブルや追加の出演アーティストなどが発表されていくので、オフィシャルHPやSNSなどをチェックしていて欲しい。現在チケット抽選受付中。
2022年06月06日舞台『黄昏』が2022年6月21日(火)から東京・紀伊國屋ホールで開幕する。1978年の初演以来、世界各地で上演され続けているアーネスト・トンプソンの戯曲。舞台は、米国メイン州、美しい湖ゴールデン・ポンドの岸辺にたたずむ別荘。偏屈な性格で最近老いを感じ始めたノーマン(石田圭祐)と、ノーマンの10歳年下の妻・エセル(高橋惠子)のふたりがひと夏を過ごすために、別荘へやってくる。そんなふたりのもとに、42歳になる娘のチェルシー(瀬奈じゅん)から手紙が届く。父との確執から疎遠になりがちなチェルシーだが、8年ぶりにゴールデン・ポンドを訪れ、ボーイフレンド(松村雄基)を連れてくるといって……。2020年1月に高橋惠子主演で上演されて、2年ぶりの再演。ビリー役の林蓮音(Jr.SP/ジャニーズJr.)以外のキャストは、前回と同じ顔ぶれだ。6月3日(金)、江東区文化センターでゲネプロ(総通し舞台稽古)と取材会が行われた。「きょう初めて舞台上でマスクをとって芝居をさせていただいて。顔を見て芝居ができるのは全然違うなと思いました。2年ぶりに顔を見た感じがします」と心境を語った高橋。「6人しか出ていないんですけど、人と人のつながりを大切にしている作品。コロナ禍で家族ともなかなか会えない状況がある中で、(本作の登場人物たちのように)直接会って、わだかまりを解いていくことはとても大事なことだと思いました」と話していた。今回から参加となる林は「(共演者の)みなさんが優しすぎた」と稽古期間を振り返りつつ、「僕は21歳。最初に役の年齢を聞いた時に嘘だろ!?と思ったんですけど、みなさん『13歳に見えるよ』と言ってくれたので、13歳を演じられるように最後まで頑張りたいと思います」とフレッシュな回答。瀬奈じゅんは「お客様に『家族っていいな』と思っていただけるように、そして今の自分にとって何が大切なのか考えていただけるような時間になるように。何よりエンターテイメントの一つとしてとにかく楽しんでいただけるように、精一杯務めてまいりたい」と挨拶し、松村雄基は「生きていくことは本当に苦しいし、つらいことも多いけれど、まんざら悪くないよというエールをお届けしたい」。作中、大きな事件が起こるわけではないし、大きな場面転換があるわけでもない。自然豊かなゴールデン・ポンドの描写を挟みながら、どこにでもありそうな一つの家族の一夏の物語が淡々と描かれている。シンプルな舞台ではあるが、その分ストレートに想いを感じ取れる。観終わった後は、なんでもない日常がとても美しく、尊く、愛おしく思え、心がほんのりと温かくなることだろう。上演時間は約2時間15分(途中休憩あり)。東京公演は6月21日(火)~26日(日)、紀伊國屋ホール。なお、21日14:00公演終了後には、音楽の藤原道山氏のライブ&トークショーが開催される(司会:松村雄基、ゲスト:高橋惠子、瀬奈じゅん)。取材・文・撮影:五月女菜穂
2022年06月06日舞台『黄昏』が2022年6月21日(火)から紀伊國屋ホール(東京都新宿区)で上演される。1978年のブロードウェイ初演以来、日本を含む世界各地で上演され続けているアーネスト・トンプソンの戯曲。1981年には映画化され、第54回アカデミー賞主演男優賞、主演女優賞、脚本賞などを受賞。シーエイティプロデュースでは、文学座の高瀬久男の演出のもと、2003年に初演され、06年再演(板垣恭一との共同演出)、18年には鵜山仁による新演出で上演。20年1月には高橋惠子の主演で上演、2年ぶりの上演となる今回は、前回とほぼ同じ顔ぶれでの上演となる。舞台は、米国メイン州、美しい湖ゴールデン・ポンドの岸辺にたたずむ別荘。偏屈な性格で最近老いを感じ始めたノーマンと、ノーマンの10歳年下の妻・エセルのふたりがひと夏を過ごすために、別荘へやってくる。そんなふたりのもとに、42歳になる娘のチェルシーから手紙が届く。父との確執から疎遠になりがちなチェルシーだが、8年ぶりにゴールデン・ポンドを訪れ、ボーイフレンドを連れてくるといって……。前回に引き続き、エセル(高橋惠子)の娘、チェルシーを演じるのは瀬奈じゅん。「前回はコロナ禍で、もしかしたら千秋楽ができないかもしれないという状況でした。多分皆さんいろいろ思うところもあったと思いますが、その分、成長しているというか、厚みが増した気がしています。その点、お稽古をしていてもすごく刺激になっていますね」と振り返る。前回の『黄昏』が終わって、20年11月に瀬奈の父親が他界。瀬奈は「『黄昏』は、親との確執が少しずつ解消されていくというストーリーなのですが、多分『黄昏』に出演していなかったら、父が亡くなるまでの間、娘として素直になれない自分がどこかしらにいたと思う。でも『黄昏』を経験したことで、私としては、心残りなく送り出せた」と言う。父との別れが、今回のチェルシーの役作りにも影響を与えていると感じているようで「チェルシーは、子どもを卒業しに来たんだなという心境になりました。夏のひとときを家族で過ごすという単純なものではなくて、子どものときの思いを全部打ち明けて、フラットになるために来たんだなと思う」。家族の絆がテーマの本作。特別養子縁組制度で授かった長男ももうすぐ5歳になる瀬奈に、家族について改めて尋ねると「家族は私の原動力であり、私のすべてです。何のために生きているかといったら、家族のためでしょうね」と語る。最後に観客へのメッセージを尋ねると、瀬奈は「私自身、自分のルーツや家族について考えさせられた2年間でした。『黄昏』はその原点に返れるような作品。このコロナ禍だからこそ感じることもきっとあると思うので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。私たちも誠実に舞台を務めますので、観にいらしてください」と話した。東京公演は6月26日(日)まで。文:五月女菜穂
2022年06月03日8月20日(土)・21日(日)の2日間、東京・大阪で開催される『SUMMER SONIC 2022』。SUMMER SONIC 2022 チケット情報20日(土)大阪公演のOCEAN STAGEに、日本のヒップホップシーンをリードし続けているパイオニアのKREVAの出演が決定した。彼の一級品のパフォーマンスをサマソニで是非体感してほしい。さらに同日大阪公演のSONIC STAGEに新進気鋭のアーティストの(sic)boyが登場する。また、20日(土)東京公演のPACIFIC STAGEには、タイの有名ドラマで話題となりそのハッシュタグがTwitter世界トレンド1位に輝くなど世界的に人気を博している二人組のBillkin & PP Krit、香港で今ダントツの人気を誇るボーイズグループ、7月の香港コロシアム10日間公演がチケット入手困難となっているMIRRORの初来日が決定した。サマソニまであと2か月ちょっと!東京公演のチケットはソールドアウトとなった。残る大阪公演とソニックマニアもご購入はお早めに。
2022年06月03日音楽劇の名作『三文オペラ』を、戦後の大阪へと舞台を置き換え、鄭義信が書き下ろした意欲作『てなもんや三文オペラ』。そこで演出も務める鄭と、ポール役のウエンツ瑛士に話を訊いた。逆境に生きる人々のたくましさを、時に切なく、時にユーモアたっぷりに描き出す鄭。その手腕は、古典的名作を題材にしたオールメール作品『泣くロミオと怒るジュリエット』(19年)でもいかんなく発揮された。本作はオールメールではないが、もともとポールはポリーという女性の役。その狙いを鄭はこう語る。「主人公のマックは、人たらしというか、男も女も魅了する人物。そういった意味で、ポリーが男性であってもいいんじゃないかなと。かといってLGBTQ問題をやろうというわけではなく、ただ原作よりも愛と希望のある作品にしたいとは思っています」生田斗真演じるマックは、大阪砲兵工廠跡地に残された屑鉄を売りさばく“アパッチ族”の親分。そのマックとウエンツ演じるポールが、結婚式を挙げるところから物語は幕を開ける。ポールについてウエンツは、「愛されるってことがそれまでほとんどなかったキャラクターだと思っていて」と切り出し、「そんな自分がマックに愛されて、しかも結婚出来る。それって時代背景も含めて、ポールにとっては一瞬も思い描くことが出来なかった、夢のようなことが起きているのかもしれないなと。その喜びの大きさを感じながら、今、役を作っている感じです」さらに自らの役どころから、こんなことも考えるそう。「ポールは親となかなか意見が相容れないわけですが、相容れない人と意見を交わすって、改めて大事なことだと思うんです。今って気が合わない人とは簡単に切れますが、その出会いに理由は絶対あるし、そういう人たちとのコミュニケーションこそ大事なんじゃないかと思わされていて。観た方がそんなことも感じてくれたら、とても嬉しいですね」生田、ウエンツのほか、笑いも熟知した手練れが多くキャスティングされており、コメディ要素もたっぷり。だが「戦争が深く影を落としている作品」と鄭が語るように、悲しくも“今”との共通点を痛感する舞台でもある。最後に鄭はこう語る。「僕たちのささやかな日常というのは、実はとてももろく、危ういものの上に成り立っています。だからこそ“愛”や“平和”というものが、生きていく上ではとても大切で。そういったことがビビットに感じられる作品になるといいなと思っています」公演日程は6月8日(水)~6月30日(木)に東京・PARCO劇場にて上演(※6月8日(水)18時~11日(土)13時公演は中止)。その後、福岡・大阪・新潟・長野と各地を巡る。チケットは発売中。取材・文:野上瑠美子
2022年06月03日FLAKE RECORDSの16周年記念イベントとしてtoeとtricotのツーマンライブが決定した。公演は、8月8日(月)大阪・umeda TRADにて。『TONE FLAKES Vol.145』チケット情報両バンドとも海外で絶大な支持を集めるバンドであり、USでは同レーベルtopshelfに所属。過去にフェスやイベントなどで一緒のラインナップに並ぶことはあっても、がっつり対バンでの共演は初めてということで、絶対に見逃せないツーマンとなった。チケットは、6月8日(水)23:59までオフィシャル先行(先着)を実施中。
2022年06月03日現代の巨匠ミッシャ・マイスキー。5月の来日では盟友マルタ・アルゲリッチとの共演で湧かせたが、10月には東京と名古屋で至宝のJ.S.バッハ無伴奏チェロ組曲全曲を聴かせてくれる。「偉大な作品。細部まで知っていればもちろん、バッハについて知識がなくても楽しめる。美しい庭園を見る時、咲いている花の名前を知らなくても楽しめるでしょう?それと同じ。ハートのある人は感動できる。何より大事なのはハートです」バロック時代、おもに通奏低音を担っていたチェロの独奏楽器としての可能性を引き出した重要な作品だ。「でも特別にチェロに惹かれたわけではないと思う。第4番の前奏曲なんて、音の跳躍が激しくて、チェロよりもオルガンで弾いたほうがふさわしいぐらいだし(笑)。でも彼が新しいことが好きだったのは確か。第6番が5弦のチェロのために書かれているようにね」秋の全曲演奏会では1日目に第1、4、5番、2日目に第3、2、6番を弾く。「一日で弾くなら第1番から順番に弾くのがいいと思う。でも私は2回に分けるのが好きで、いろいろな組み合わせを試してきたんだ。それぞれに異なる可能性があると思うけど、今回の組み合わせのポイントは、まず、第1番から始まって第6番で終わること。各組曲の5曲目に配置されているメヌエット(第1、2番)、ブーレ(第3、4番)、ガヴォット(第5、6番)が両日に分かれていること。両日に短調の組曲が1曲ずつあること。1日目の変ホ長調(第4番)とハ短調(第5番)の平行調(♭3つ)、2日目のニ短調(第2番)とニ長調(第6番)の同主調という調性のつながり。そして、1+4=5、3×2=6という数字遊び!これは偶然見つけた数式だけど、バッハは数学好きだから喜んでくれるんじゃないかな(笑)」ソ連時代のラトビア生まれ。若き日には反体制派として無実の罪で連行され、2年以上も楽器に触れることさえできなかった経験も持つ。今年3月にはウクライナのためのチャリティ・コンサートを開いた。「宗教も言葉も国籍も超えて理解し合えるのが音楽。偉大な音楽は互いを発見し発展させることができるはず。私にできるのはほんの小さなことだけれど、それを積み重ねることが大事だと思う。絶対にね」無伴奏チェロ組曲全曲演奏会は10月30日(日)31日(月)東京・サントリーホール、11月2日(水)3日(木)愛知県芸術劇場コンサートホールで。雄大な自然の中に佇む八ヶ岳高原音楽堂で味わう3曲抜粋(第3、2、6番=10月28日[金])も至福。(宮本明)
2022年06月02日還暦を迎えた昨年は、全国で“OZONE60”と題したプロジェクトを展開。今年は、2004年に結成された総勢15人のビッグ・バンド、No Name Horsesとの初のベスト・アルバム『THE BEST』をリリースし、全国ツアーを行なうなど精力的な活動を見せる小曽根真。コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻などの社会状況のなか、改めて「音楽の力」を感じたという彼に話を聴いた。今年4月、ワールドツアーの最後に訪れたハンガリー。ロシア侵攻による避難民も多いと知り、予定されていたコンサートとは別にフリーのコンサートを開いたそう。「最初は傷つき硬直していた人々の顔がコンサート後には少し和らいでいるのを見て、音楽という言語を与えられた者として役に立てる意義を感じた」と言う。コロナ禍での初の緊急事態宣言期間中、53日間の自宅から行ったライブ配信でも、音楽を通したコミュニケーションで多くの人に希望と元気を与え話題に。そんな小曽根が、東日本大震災の2年後、岩手県・宮城県で被災者を応援するチャリティ・ゲリラライブを一緒に行なったのが「No Name Horses」だ。「ジャズのビッグ・バンドは集まったプレイヤーの個性が弾け合うことで、エネルギーが何十倍にも膨れ上がるもの。『No Name~』は、僕が日本で初めてそんなワクワク感を感じたメンバーです。この間それぞれが自分の活動と並行しながら、アルバムをつくるごとに集まり、刺激を与え合いながら成長してきました」。『THE BEST』は、それぞれが名プレイヤーで名作曲家であることを知ってもらえるよう、メンバーの個性がよく現れた名曲を厳選。自身が作曲した『ザ・パズル』に加え、彼が大きな影響を受けたという2人のミュージシャン、オスカー・ピーターソンの『ノリーンズ・ノクターン』と、昨年亡くなったチック・コリアの『ラ・フィエスタ』が小曽根のアレンジで新録音されている。「レコーディングを通して、『全然衰えないまま円熟している』と実感しました。曲順はシークエンスを大切に、物語をつくるように考えているので、短編集を読むように楽しんでほしいですね」。そんな注目のアルバムを携えた全国ツアーも注目だ。「ドラムから始まる曲をピアノで始めたり、4拍子の曲を3拍子で演奏したり、ステージで僕はよくメンバーにいたずらをしかけるのですが、何をやっても見事に受けて立ってくれるのがこのバンドの凄さ(笑)。“その瞬間だけの生きている音楽”を、ビッグ・バンドでやれる無謀さがこのコンサートの醍醐味ではないかと思います。また、ミュージシャンのエネルギーと音楽の素晴らしさをきちんと伝えてくれる照明と音響も本当に見どころ。感動が何倍にもなる…そんな空間ですね。“ショー”として魅せる“コンサート”を楽しんで頂けると嬉しいです」。公演は6月23日(木)福岡サンパレス ホテル&ホールにて。その他、東京、熊本、大分、山口、広島、愛知、三重で開催。チケットは発売中。
2022年06月02日キレッキレのダンスで魅了しつつ、ダンスで物語を表現する“無言芝居”で人気のダンスパフォーマンスグループs**tkingz(シットキングス)。通称シッキン。shoji(ショージ)、kazuki(カズキ)、NOPPO(ノッポ)、Oguri(オグリ)の4名でオリジナルの舞台を展開し、今秋、結成15周年を迎える。名だたるアーティストのダンス振付を300曲以上も手掛け、アメリカのダンスコンテストで2年連続優勝を果たすなど、今、数あるダンスグループの中で突出した高いダンス技術を持つ彼らが、それぞれの振付力や演出力を統合させて作り上げる舞台。それは、ダンス通もダンス初心者も、誰が見ても一緒にダンスの楽しさを体感できるように作られた、仲良し4人組のシッキン・ワールドだ。今回はコロナ禍で断念した『HELLO ROOMIES!!!』(ハロー・ルーミーズ)を、2年を経て上演。どんな舞台になるのか、kazukiとNOPPOに話を聞いた。s**t kingz 「HELLO ROOMIES!!! 」チケット情報「僕らの舞台は言葉やセリフがなく、アクティング要素をふんだんに盛り込んで表現するダンスパフォーマンスというイメージです」とNOPPO。シッキンの舞台には物語があり、音楽に合わせて踊るだけの通常のダンス公演とは一味違う。また今回の作品には、初めてメンバー以外のキャラクターが登場。それが主役の“A子”。映画監督を夢見ているが思い通りにいかず、日々モヤモヤした思いがA子の心の中に“ゴミ”(ルーミーズ)として溜まっていく。そんなある日、A子にチャンスが訪れるが…というストーリーだ。躍る楽曲は全曲オリジナルを目指す中、先駆けてこの舞台のコンセプトソング『心踊らせて』をMVと同時に配信。これまでは明るくハッピーな曲が多かったが、今回はグッとくるメッセージ性の強いもの。「大挑戦です」とkazukiは言う。「シッキンが本当に日々感じていることで、コメディではあるけれどテーマとしては深いマジメなものです」。4人はA子の仲間の人間やA子の心のゴミという抽象的な部分をダンスで表現し、演じる。「いろんな濃いキャラクターが入れ代わり立ち代わり、何人も出てきます」とNOPPO。「人生いろいろな選択がある中で、何を選択するか悩みながらどうやって自分らしく生きていくか。僕らのパフォーマンスが背中を押してあげられるきっかけになったらいいなと。だから最終的に『ここに来てよかった』と思ってもらえるような舞台にしたい」。作品は“超踊るコメディ”、笑いは存分に?「もちろん! まかせてください!!」と声をそろえるふたり。観客はA子に自らを投影しつつ、笑い、考え、前へ進む勇気をもらえるだろう。「観た人全員に楽しんでほしいと思って作っています。映画館へ行くような気軽な感じで観に来てください!」(kazuki)。公演は9月14日(水)~19日(月)東京・新国立劇場 中劇場、11月10日(木)~13日(日)大阪・森ノ宮ピロティホール、11月18日(金)~20日(日)愛知・日本特殊陶業市民会館ビレッジホールにて。チケットは6月4日(土)一般発売。取材・文:高橋晴代
2022年06月01日8月13日(土)に開催するサントリーホール公演が瞬く間に完売となった、ジョン・ウィリアムズの90歳を記念した「ジョン・ウィリアムズ」ウインド・オーケストラ・コンサート、待望の追加公演の開催が9月11日(日)東京文化会館にて決定した。追加公演にはヴァイオリンソロ・司会として、松本蘭のゲスト出演も決定している。「スター・ウォーズ」をはじめ、「ジョーズ」「スーパーマン」「インディ・ジョーンズ」「E.T.」「ハリー・ポッター」など数え切れないほどの作品の音楽を生み出したジョン・ウィリアムズは、2022年2月8日、90歳のお誕生日を迎えた。アカデミー賞においては、今までに52度のノミネート、5度の受賞を誇り、グラミー賞は驚異の25回受賞など数々の受賞歴を誇り、映画音楽以外でも、4つのオリンピック(1983夏ロサンゼルス、1988夏ソウル、1996夏アトランタ、2002冬ソルトレークシティ)のテーマ曲、ボストン・ポップス・オーケストラの音楽監督を14シーズン務め、ボストン・ポップス日本ツアーに際し、当時皇太子だった徳仁天皇陛下の結婚の儀(1993年)のために『雅の鐘』(Sound the Bells!) を作曲するなど、記憶にも記録にも残る数多くの功績を残している。作品の代名詞となるような映画音楽を60年以上に渡って作り続け、今なお映画音楽界のトップランナーとして輝き続ける、巨匠「ジョン・ウィリアムズ」の名曲の数々を、東京佼成ウインドオーケストラが奏でる極上の生演奏でぜひご体験ください!
2022年06月01日ROTH BART BARONによる“夏の祭典”「BEAR NIGHT3」が、8月7日(日)、バンド初の日比谷野外大音楽堂にて開催される。昨年、アイナ・ジ・エンド、原田郁子、Seihoらもゲストで出演し、新木場Studio Coastで開催された伝説の「BEAR NIGHT2」に引き続き、シリーズ第3弾となる今回も10名超えの特別編成にてパフォーマンスが行われる。ROTH BART BARONチケット情報本公演限定のグッズ販売や開場中も楽しめる特別アイデアも企画されているそうなのでお楽しみに。6月12日(日)23:59まで、公演のチケットのオフィシャル先行(抽選)を受付中。
2022年06月01日スクリーンデビューから70年以上を経た今も、俳優にとどまらず、作家、ジャーナリストとして活躍する岸惠子。そんな岸が、コロナ禍により中止になっていたスペシャルトークショー『いまを生きる』をついに開催する。この夏で90歳を迎える彼女が、今どんなことを語ろうとしているのか。その胸の内を合同取材会で語ってくれた。24歳での結婚を機に、フランスを拠点に活動するようになった岸。その視点はまさにグローバルで、今彼女が最も注視するのがロシアによるウクライナ侵攻だ。「ウクライナの人って、すごく強いと思うんです。国に対する愛と信仰で、あそこまで戦うことが出来る。けれど私は、ロシア人のいいところもいっぱい知っているんですね。その優しさと明るさ、そして素朴な人のよさ。そんな彼らが、なにがなんだかわからないうちに戦いに駆り出され、死んでいくっていうのはものすごく虚しいことだろうなと。その一方、一生の半分以上をヨーロッパのど真ん中で暮らしてきた私からすると、日本の人たちはあまりにものんきに思える。そんなこともお話出来たらと思っています」1968年に起きたチェコスロバキアの民主化運動「プラハの春」など、さまざまな歴史的事件の現場にも立ち会ってきた岸。歴史の生き証人として、「私が生きた時代はすぐそこなのに、もう昔という過去にされてしまっている。でもその時起きたいろいろなことを、改めて認識して欲しいと思うんです」と語る口調は、非常に力強い。だがそんな岸も今年90歳。体の衰えを実感するというが、「でもそれはしょうがないことだと思っています」ときっぱり。さらに健康法を聞かれると、「なにもしないのがいいんじゃないでしょうか」と笑う。年齢を重ねることで、出来ないことも増えていく。しかしそんな悲壮感は、岸からはまったく漂ってこない。「私、本はあと2冊書きたいの」と語る目は輝き、物事への興味や探求心が、人を生かす原動力だということを、岸から思い知らされるようだ。さらに近年話題の“終活”はしているかと聞かれると、「全然していませんね」とこれまたきっぱり。「私、子供のころから“死”というものは強く意識しているんです。ただ5、6歳のころに思った“死”というものは、90歳間近になっても現前としてあるけれど、だからってどうということはない。昨日があるから今があり、明日があるから今を一生懸命に生きる。ただ“いまを生きる”ということだと思います」取材・文:野上瑠美子
2022年05月31日氷川きよしが東京・大阪・福岡・愛知の4都市を巡る大規模な『氷川きよし特別公演』。その第一部で展開される芝居『ケイト・シモンの舞踏会 ~時間旅行でボンジュール~』に出演する彩輝なおが、公演や氷川に向けた想いを語った。堤泰之が作・演出を手がける本作は、氷川演じる歌手志望の子門慧音(しもん・けいと)を中心とする物語が繰り広げられる。病気の母に代わってアルバイトで家計を支える慧音のもとに、母の容体が悪化したという連絡が入る。駆けつけた慧音を前に、天国へ旅立つ母。落ち込んだ慧音が「時を戻せたら」と思いながら形見の砂時計をひっくり返すと時空が歪み、18世紀のフランスにタイムスリップしていて──。彩輝が扮するのは、慧音がタイムスリップ先で出会うブルボン公爵の娘・ショコラ。「この年齢でまさか“ご令嬢”の役を頂戴するとは」と笑顔を見せ、ビジュアル撮影で身につけ横に大きく張り出したボリュームあるドレスについて言及する。何でも宝塚歌劇に在団していた頃、トップスター就任前の『薔薇の封印~ヴァンパイア・レクイエム~』(2003〜04年)で一瞬だけ同じ種類のドレスを着用したことがあるらしいが、彩輝いわく「優雅に立ち居振る舞うのは初めて」──。(共演者で)トップ娘役だった「後輩の愛原実花ちゃんにノウハウを教えてもらおう」と背筋を伸ばす。自身のInstagramで「変装します」と予告している通り、ご令嬢の他にどんな姿でステージに現れるかにも注目だ。氷川とは、宝塚時代に参加したトークイベント以来の共演だそう。近年、アニメソングにロックナンバーと幅広い楽曲をのびのびと歌い上げる氷川の姿に「新しいことに挑戦しながら音域や声量もパワーアップされていて、ご活躍を楽しみに拝見していました」「よくぞこれまで大きなケガや病気もなく走り続け、私たちに素敵な歌声や姿を届けてくださいましたよね」と目を細める。「そんな氷川さんとご一緒できる日々が尊いですし、座長と過ごす空間を大切にしたいと思います」と語ってインタビューを結んだ。公演は、6月3日(金)~7月4日(月)に東京・明治座にて。その後、7月23日(土)~8月5日(金)に大阪・新歌舞伎座、8月15日(月)~27日(土)に福岡・博多座、9月5日(月)~15日(木)に愛知・御園座と巡演する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2022年05月31日ベネッセの親子向けコンサート『しまじろうとうみのだいぼうけん』が、5月14日(土)から全国28都市でスタートした。今年20周年を迎える「しまじろうコンサート」は、小さな子どもでも安心して楽しめる“初めてのコンサート”としても親しまれており、会場では親子・祖父母の3世代で参加する姿が多く見られた。今回の夏の公演は、海の中を舞台にした新作ストーリーで、<こどもちゃれんじ>の人気キャラクター“しまじろう”とその仲間たちが冒険を繰り広げる。幼児でも飽きない工夫がたくさん見られ、クイズに参加したり、歌に合わせて手遊びをしたりといった「観客参加型」になっている点もしまじろうコンサートの大きな魅力。後半の特別ダンスステージでは、人気の定番曲やダンスが次々と披露され、子どもたちが夢中になってダンスを楽しむ姿も見られた。このダンスステージでは撮影OKで、ステージや子どもたちの様子を写真に残すことができると好評だ。前14列プレミアム席なら、さらに間近でしまじろうたちをカメラにおさめられるのもうれしい。また、来場者にはコンサートを応援するアイテム「ピッカリかいがら」のプレゼントも。新型コロナウイルスの感染防止対策で「声を出さずにしまじろうたちを応援する」演出は、安心感もあり楽しさも満点。みんなで一斉に振ることで、光の演出と合わさってキラキラと光ると、客席全体に一体感が生まれ、会場はまるで海の底のような幻想的な雰囲気に。会場ではコンサートグッズとして、コンサート中にずっと使えるライトや、しまじろうとおそろいのTシャツ、コンサートの曲やダンスが楽しめるCDつき絵本、DVD等も販売されている。また、20周年の特別仕様となっている背景が用意された「フォトスポット」が会場中に設けられており、記念撮影をする親子でにぎわっていた。小さな子どもや赤ちゃん連れの親子でも安心して楽しめるように、客席も常に照明が付いており、途中で子どもが泣いてしまっても「おたがいさま」とあたたかく見守り合うのが、「しまじろうコンサート」の特長だ。会場内にはおむつ替えや授乳スペースのほか、ベビーカーを置くスペースも確保され、子どもの対応に慣れたスタッフも数多く配置されていた。入場時検温や入り口での手指消毒、会場内では一定の距離を保つ運用など感染防止対策への配慮も万全だ。キュートな「しまじろうのクリアおでかけバッグ」つき「プレミアム席」は多数の公演で満席が出ているが、平日公演ならまだ申し込み可能な会場も。公演は9月25日(日)まで開催されている。
2022年05月31日舞台『貴婦人の来訪』が2022年6月1日(水)から新国立劇場小劇場で開幕する。本作は、スイスの劇作家、フリードリヒ・デュレンマットの代表作で、1956年に初演。全体主義へと傾倒していった社会への痛烈なアンチテーゼとして話題を呼び、その後、世界各地で上演されてきた。舞台のみならず、映画やオペラ、ミュージカルとしても上演され続けている名作だ。今回は、新国立劇場2021/2022シーズンのシリーズ「声議論、正論、極論、批判、対話...の物語」の最終章。演出を手掛けるのは五戸真理枝。新国立劇場の『どん底』(2019)で見せた、大胆かつユニークな演出も記憶に新しい彼女が、どんな『貴婦人の来訪』を展開するのか。開幕を控えた5月中旬、オンラインで稽古場を見学した。舞台は、産業が廃れ、貧困にあえぐ小都市ギュレン。この町の出身の大富豪・クレール夫人が帰郷する。大金の寄付を申し出た彼女は、条件としてかつての恋人の死を求める。夫人は恋人に捨てられ、町を去っていたーー。この日は、冒頭の場面から演出を詰めていく稽古。1時間ほど見学していたので、ある程度長いシーンを見られるかなと思っていたのだが、いい意味で稽古が進まないことに驚いた。演出の五戸が芝居を止めて、気になるポイントを指摘すると、俳優たちがそれぞれに提案や質問をする。試す。そしてまた議論をする。そう、シリーズのタイトル通り、とにかく稽古場で「対話」がなされているのだ。オンラインでの見学だったので、会話の一言一句を聞き取れたわけではないのだが、カンパニー一同がこの名作を咀嚼し、体現するプロセスを見た気がした。小山ゆうなの翻訳もあわせて、新しい『貴婦人の来訪』が見られると期待したい。五戸はオフィシャルのインタビューで「お客様に働きかけることの多い舞台にできたらいいですね。劇中の出来事やキャラクターに心揺さぶられるご自身の、真の想いや欲するところに気づき、それを認めて先に進むための糧にする。この作品をご覧いただき、そんな発見をしていただけたなら、とても嬉しく思います」と語っている。公演は6月19日(日)まで。出演者は秋山菜津子、相島一之、他。チケット発売中。取材・文:五月女菜穂
2022年05月30日今年2月に東京・東京建物 Brillia HALLで上演され好評を博した稲垣吾郎が主演を務めるミュージカル・コメディ「恋のすべて」。この度6月9日(木)~6月19日(日)まで京都・京都劇場にて上演する。舞台は1930年代のアメリカ。稲垣演じる探偵のニック・テイラーは、事件に巻き込まれて亡くなった友人の妻に送金するような人のいい男。そんな彼のもとに「娘を恋に落としてくれ」という奇妙な依頼が届いたことから物語ははじまる。依頼主は手広く事業を展開する経営者のクラーク(羽場裕一)。クラークは娘・コニー(花乃まりあ)の周りをうろつく若者・テディ(松田凌)を追い払いたいが、実はその裏でテディの母・カミラ(北村岳子)の投資を当てにしているため、大っぴらにテディを邪険にすることができない。クラークから提示された高額なギャランティに、依頼を引き受けるニックだが、コニーと過ごすうちにロマンティックな雰囲気となっていく。しかしクラークはさらに自身の愛人ザラ(石田ニコル)をテディ誘惑に仕向けたことで更なる展開を迎える…。初演では歌、ダンスはもちろん、そのコメディセンスでショーマンぶりを発揮した稲垣。自身と同年代の役柄でもあり、今だからこそ演じられるとも感じられる役。少し間をあけての再演となるが、また新しい面を見せてくれるだろう、稲垣のニックに期待したい。作・演出には、稲垣主演で18年・19年と上演された『FREE TIME,SHOW TIME~君の輝く夜に』の記憶も新しい、劇団ラッパ屋主宰の鈴木聡。稲垣とは多くタッグを組んできたからこそ生まれた物語を、スウィングジャズの生バンドの演奏が彩る。稲垣にとっても久々となるという京都公演。豪華キャストで送る、笑い溢れた華やかな物語をぜひ劇場で体験してほしい。ミュージカル・コメディ「恋のすべて」は2022年6月9日(木)~6月19日(日)まで京都・京都劇場にて。プレイガイドでのチケット一般発売は5月28日(土)10時より。
2022年05月27日毎月定例で落語会の配信を手掛けている文春落語オンラインが、2月から5月まで全5回にわたり「文春落語柳家さん喬オンライン一門会」を開催し好評を博した。これは柳家喬太郎、柳亭左龍、柳家喬之助が出演する生配信を皮切りに、一門の落語家が月替わりで総出演し、大師匠の柳家さん喬が最終回にトリをつとめる形で開催されたスペシャル企画。MC役の人気者の喬太郎はフル出演した。高座では古典、新作ともバラエティ豊かな一門の個性を存分に味わえる。また毎回人気のトークコーナーは、ふだん聞けない爆笑ものの裏話も無編集で楽しめ、見どころ満載の5公演となっている。特に最終回のさん喬・喬太郎の親子回は、落語ファンならずとも見逃せない深い話が話題にもなった。現在その5公演分を1コンテンツにまとめた動画を期間限定でオンデマンド配信中。1公演平均90分ほどで、配信期間中は繰り返し視聴ができる。柳家さん喬一門の実力派の落語をじっくり堪能する絶好の機会だ。【公演概要】文春落語柳家さん喬オンライン一門会全5回イッキ見<第1回>2月26日生配信柳家喬之助「三人無筆」柳亭左龍「棒鱈」柳家喬太郎「蒟蒻問答」トークコーナー<第2回>3月9日生配信柳家喜三郎「あたま山」柳家小志ん「黄金の大黒」柳家小平太「二階ぞめき」柳家喬太郎「花見小僧」トークコーナー<第3回>4月3日生配信柳家やなぎ「タイトル未定」柳家さん花「あくび指南」ダーク広和(マジック)柳家喬太郎「刀屋」トークコーナー<第4回>5月3日生配信柳家さん助「夏の医者」柳家小傳次「いもりの黒焼」柳家喬志郎「その名はおてふ」柳家喬太郎「華やかな憂鬱」トークコーナー<最終回>5月4日生配信柳家喬太郎「路地裏の伝説」柳家さん喬「幾代餅」トークコーナー【チケット】発売中~5月30日(月)23:59まで料金:7,000円(税込)【視聴期間】5月17日 (火) 10:00~5月31日 (火) 23:55
2022年05月26日