チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (82/342)
『舞台 ゲームしませんか?~荒野行動~』が10月30日(水)に開幕する。その稽古場にて、主演の杉江大志と、三浦海里に話を聞いた。【チケット情報はこちら】本作は、ゲーム×演劇をテーマに、脚本を吹原幸太、演出をほさかようが手掛けるオリジナル作品。全世界で3億ダウンロードを突破する人気バトルロワイヤルゲーム「荒野行動」(ネットゲーム)をプレーする人々の“青春群像劇”が描かれるということだが、果たしてどんな作品になっているのか。杉江は「コメディ寄りだと思います。キャスト…特に先輩方のキャラが濃い!(笑)笑って観てもらえる内容なのですが、その中で各々の葛藤が丁寧に描かれているので、演者としては演じ甲斐を感じています」、三浦は「『荒野行動』をプレーしたことがある人には“あるある”があって楽しいですし、プレーしたことがない人にも理解しやすいつくりになっていると思います。なので安心して観に来てほしいです!」と語る。冴えないビジュアル系バンド『十二使徒(じゅうにしと)』の解散で無為な毎日を送る斎藤ショウを中心に、本来なら接点がないはずの5人が「荒野行動」でチームを組み、現実世界でも繋がり、それぞれの人生が動き出す――という物語。杉江が演じるのはショウ、三浦が演じるのは「荒野行動」の世界で同じチームを組むミキオという高校生だ。杉江は「ショウはバンドでのビジュアルにパンチがありますが、実は“濃い人に囲まれた普通のヤツ”です(笑)。ゲームの中では頼れるリーダーなのに、現実では『十二使徒』の頼れないリーダーであることに悩んでいる。いろんな姿を見せられる役だと思います」、三浦は「ミキオは“こじらせた陰キャラ”です(笑)。でもゲームの中では1番明るい。本当はそうでありたい、という姿がゲームで出るんだと思います。そういうギャップを、ゲームをしながらどう見せるかは、今稽古で苦労している部分ですね」稽古について杉江は「演出のほさかさんを中心に、みんながアイデアを出して、みんなで一緒に考えて、つくっている感じ」、三浦も「僕にとっては全部が刺激で勉強の日々です。“この台詞をこんな風に言うんだ”とか“毎回違う”とか思いながら皆さんの芝居を受けたり見たりしているので、1日があっという間」と楽しそう。さらに三浦はさまざまなおもしろさが詰まった「いい感じのバラバラ感がある」作品になっているといい、杉江は「演劇ならではの“生のやり取り”が詰まっているから、あるライン以上のものが求められる。それは、ありがたいです。“台詞を早く覚えたい!”と思えるしあわせな現場です」と意気込んだ。公演は10月30日(水)から11月4日(月・祝)まで東京・こくみん共済 coop ホール / スペース・ゼロにて。取材・文:中川實穂
2019年10月25日カナダのサーカスエンターテインメント集団「シルク・エロワーズ」の最新公演「サルーン」が日本初上陸。10月25日の開幕に先がけて、24日、東急シアターオーブにて公開リハーサルが行われ、アクロバティックなパフォーマンスの数々を披露した。【チケット情報はこちら】カナダ・モントリオールで1993年に旗揚げしたシルク・エロワーズは、これまでに12のオリジナル作品を世に送り出し、世界50ヵ国550都市で5500公演以上を上演、350万人以上の観客を魅了してきた。日本には2013年に「iD(アイディー)」で初来日し、7万人以上の観客を楽しませた。新作の舞台となるのはウエスタン時代のアメリカで、サルーンとは西部開拓時代の酒場のこと。酒場に集う血気盛んな開拓者やカウボーイ、踊り子たちがエネルギッシュなステージで盛り上げる。何と言っても最大の見どころは、観る者をアッと驚かせる数々のサーカスアクト。宙を舞う本数が増えていくジャグリングは、高難度の技が決まるたびに会場が沸き、背丈ほどの大きなリング(ホイール)を操り、妖精のようにしなやかに回る女性パフォーマーは観客を魅了。シーソーを使って天井近くまで男たちが高く飛び合うティーターボードは、息を飲むスリリングさ。彼らの緊張感が伝わってくるようで、手に汗握る。さらに、これまでの作品にはなかったシルク・エロワーズとして初の試みとなるのが、ミュージシャンたちによる生演奏と生歌。ギター、バイオリン、バンジョー、ピアノなどを演奏し、ウエスタン・カントリー・ミュージックで西部の世界を作り出す。個々の演目の盛り上げ役でもありながら、本編を通して繰り広げられる物語をストーリーテラーのように導く。出演者全員で陽気に歌い踊る場面では、じっとしてはいられないはずだ。公開リハ後、スペシャルサポーターのキャイーン天野ひろゆきは、「あっという間の時間でした!観ているだけで当時のアメリカの息吹を感じることができるし、演目と演目のつながりを感じさせないように次から次へと展開されていく、本当にすばらしいステージでした」と大絶賛。ウド鈴木も、「酒場のロマンス、喜怒哀楽といった人間模様が描かれていて、大変ドラマチックでロマンチックです。それでいてエキサイティングな技の数々でした!」と興奮冷めやらぬ様子だった。日本公演の楽曲サポーターDa-iCEの工藤大輝は、「生演奏ってのがいいですよね。その時にしか出せない空気感というか、それに合わせて演目をやっていることがすごく新鮮でした」とすっかり魅せられたようだ。東京公演は10月25日(金)~11月4日(月・休)に東急シアターオーブにて、大阪公演は11月13日(水)~17日(日)にオリックス劇場にて開催。チケット発売中。なお、11月1日(金)19時公演は、ぴあ半館貸切公演。この公演のチケットは10月28日(月) 23時59分まで発売中。取材・文:門 宏
2019年10月25日現在、配信中の津軽弁ラップ曲『TSUGARU』がSNSなどで話題沸騰の演歌歌手、吉幾三。10月30日(水)には急遽『TSUGARU』のCD発売が決定するなど注目を集める中、12月には『吉幾三 特別公演』が大阪・新歌舞伎座でおこなわれる。第一部は松竹新喜劇の作品をベースにしたお芝居『どたばた遊侠伝 時代おくれの竜』を、そして第二部は『吉幾三 オン・ステージ ジャンルを超えて…吉幾三 世界の旅唄』の豪華2本立てだ。「吉幾三 特別公演」チケット情報「60歳を過ぎると物忘れがひどい」とボヤキ節の吉幾三。先日は歌番組の収録でヒット曲『雪國』の歌詞を間違えたそうで、「しょうがないから歌い直したよ。隣にいた五木ひろしさんに『2回歌ったみたいに疲れたわ』と言ったら、『2回聴いたみたいにいい歌だった』と言って笑ってたね」と、持ち前のユーモアも忘れない。芝居もアドリブ満載で楽しませる。「突然『昨日は旨いもんを食ったそうだね』と芝居の途中で相手に振ったりね。ひとしきりお客さんと一緒になって笑った後に、また本筋に戻す必要があるから。台詞は絡む相手の分まで覚えてる」と頼れる座長の横顔もチラリ。芝居心にも定評があり、緩急のノウハウは松竹新喜劇の大スター、藤山寛美を手本にしたと明かす。「一方的に独学で芝居を学ばせてもらったのは寛美先生だけ。とぼけた話し方や芝居の間の取り方、すべてが勉強になりました。僕は田舎育ちの9人兄弟。20歳そこそこで大阪に出て、アイドル歌手としてデビューしたのが昭和48年のこと。当時、寛美先生の人情喜劇は、そうだよなと泣きながら観ていました。今でも大阪時代の友人と会うと大阪弁が出ます。そういう意味では松竹新喜劇の作品にはすごく思い入れがありますね」。今回演じるのは香具師の竜三。面倒見のいい人気者だが、濡れ衣を着せられ流罪に。3年後、お礼参りに出向くはずが、物語は予想外の展開に…。「竜三は行った先々で困った人がいれば話を聞いて、お金を置いてくる。僕もよくコンサートで『安否確認に来ました』と冗談を言うんだけど、それと同じ。人情ですよね。気づけばどたばた喜劇に発展していく。最後は竜三の言葉で暗転になると思うので、大阪弁で面白く終わりたいですね」。「第二部の歌のステージは構成をいろいろと考えているところですが、諸外国の歌をメドレーで歌うコーナーをもうけます。自分の歌も好きだけど、歌ったことのない歌に挑戦するのも好き。12月だしクリスマス曲があってもいいし、最後はインドネシア、韓国、アメリカとか各国の曲を民族衣装に早替えしつつ、現地語で歌う。スタッフからは“最後はハワイで、ウクレレ片手に上半身裸で出たら面白い”と言われるけど、風邪ひくのはこっちだからね。皆さんと楽しめるものをいろいろ考え中です(笑)」。公演は12月1日(日)から18日(水)まで大阪・新歌舞伎座にて上演。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2019年10月25日村上春樹の長編『ねじまき鳥クロニクル』が、イスラエル出身のインバル・ピントと藤田貴大の演出により舞台化。そこで女子高生の笠原メイを演じる、門脇麦に話を聞いた。【チケット情報はこちら】年に1本ペースで舞台出演を重ね、名立たる演出家からの信頼も厚い門脇。彼女自身は舞台に立つ魅力を、どんな点に感じているのだろうか。「1か月くらい稽古期間があるっていうのが、映像との一番の違いですよね。その分、いろんなことを試行錯誤出来るのが舞台の面白さであり、同時に自分の実力の無さとも向き合わなければいけない。だから“楽し苦しい”って感じですね(笑)」これまで門脇は、インバルの日本での上演作品はほぼ観てきたという。「いつか参加してみたいと思っていたので、純粋に嬉しかったです。ただ今回は村上さんの原作がとても難解ですし、筋書きがすべての話ではない。でもあの行間にある思想的な部分を、言葉ではなく、インバルさんがつくる世界観みたいなもので伝えることが出来たら…。とても面白いものになると思いますし、エンターテインメントとして楽しんでいただけるものになるんじゃないかと思います」演じる笠原メイは、主人公の岡田トオルを導いていく存在。「自分の世界観がある利発的な女子高生の役ですが、自分で殻をつくって、そこから世の中を俯瞰しているようなキャラクター。その奥の部分が見えてくると、作品にとってなにかいいスパイスになれるんじゃないかなと。この難解な物語を理詰めにするのではなく、音楽、踊り、そういった肉体的な部分から膨らませていければいいなとは思っていて。そうすることで今までにない新しくて、面白いものが生まれそうな気がしています」岡田トオルを演じるのは、ともに共演経験のある成河と渡辺大知。「成河さんはあれだけたくさんの舞台をやってらっしゃるのに、真心と熱量が人一倍どころじゃないぐらいある方。またご一緒出来るのはすごく楽しみですし、気が引き締まる想いです。大知くんは立っているだけでチャーミングな方。そこをインバルさんがどうピックして、演出されていくのか。これもまた楽しみですね」さらに音楽には大友良英と、今をときめく才能が一堂に会する。「すごいものが出来ないとまずい、みたいな空気がムンムンしているので(笑)、楽しみでもありプレッシャーでもあります。もちろん精一杯頑張りますので、ぜひ期待していてください」取材・文:野上瑠美子
2019年10月25日舞台『OZMAFIA!! sink into oblivion』が、10月23日よりこくみん共済 coop ホール(全労済ホール)/スペース・ゼロにて開演。初日には、神永圭佑、谷 佳樹、遊馬晃祐、一村すみれの4名が登壇したマスコミ向けの取材会見とゲネプロが行われた。【チケット情報はこちら】本作は、2013年に発売された女性向けシミュレーションゲーム『OZMAFIA!!』を原作に、2017年に上演された初演から演出家・キャストを一新したもの。童話の名前を冠したマフィアたちが統べる街を舞台に、記憶をなくした少女・フーカ(一村)が、謎の人物・シーザー(安東秀大郎)に追われる中、マフィア・オズファミリーのカラミア(神永)、キリエ(谷)、アクセル(遊馬)と出会い、物語が始まっていく。会見時に見どころを聞かれ、遊馬は「やっぱり“キュンキュン”ですよ!」と女性向けゲーム原作であるポイントを挙げる。「カラミアさんのあのシーンや、キリエのあのシーン……そして僕が演じるアクセルの超絶濃厚ラブシーンとか!」と観客の期待感を高める発言で会場を笑いに誘い、一村は「本当に個性豊かなキャラクターがたくさん出てきますので、“推し”を探しながら観ていただけたらなと思います!」と遊馬に続いた。さらに、男性陣3人は、観客をキュンとさせるキャラクターのアピールポイントを聞かれ、神永は「マフィアのボスという懐の深さや男らしさ。カラミアはクセ者揃いのファミリーの中で、唯一フーカを温かく迎え入れる存在でもあるので、そういった安心感ですね」とコメント。カラミアの懐の深さや大らかさは、稽古でも演出の伊勢(直弘)と悩みながら作り上げたことを明かした。谷は、「キリエは掴みどころがなく、どこか気になってしまう男。最初は“1推し”ではなかったとしても、気づいたら好きになっている、そういうところがあると思います」と、笑顔で語る。遊馬は、「最初でこそフーカに不信感を抱いていますが、少しずつアクセルなりにフーカに近づこうとする。そんな彼の優しさや男気、気持ちの変化を見ていただけたらと思います」と語り、「それで(お客さんを)オトすの?」と谷から聞かれると、「オトすんじゃない、オチるんです」と自信のある表情を見せた。魅力的なキャラクターたちが観客をどのようにキュンとさせるのか。ぜひ劇場でたしかめてほしい。舞台『OZMAFIA!! sink into oblivion』は、10月27日(日)まで、こくみん共済 coop ホール(全労済ホール)/スペース・ゼロにて上演中。取材・文:渡邉千智
2019年10月24日12月3日(火)から2020年3月22日(日)まで、東京・森アーツセンターギャラリー&スカイギャラリーにて開催される大型鉄道イベント「特別展 天空ノ鉄道物語」。同イベントのアンバサダーに中川家礼二と松井玲奈が就任することが決定した。【チケット情報はこちら】「特別展 天空ノ鉄道物語」は、六本木ヒルズ森タワーの52階全フロアを舞台に、鉄道ファンはもちろん、子どもから大人まで幅広い世代が楽しめる多様なプログラムを展開。就任にあたって、中川家礼二は「数々の鉄道好き芸能人の中からアンバサダーに選ばれて大変嬉しい。選ばれなかった人たちからは羨望の眼差しが向けられていると思う。その期待に応えられるよう、鉄道の面白さや奥深さをしっかりと伝えていきたい!」。また、「ドラマなどを見ていても、映り込んだ鉄道や駅が気になってストーリーに集中できず、思わず話しかけてしまい、妻から突っ込まれることが多々あるんです」と鉄道熱をアピール。松井は、「鉄道ファンだけでなく、鉄道にあまり興味がない方にも魅力を知ってもらえるように頑張りたい。二度や三度来ても楽しめる見どころを発信したい」。さらに「大の新幹線好きで、特に車両を前から見た時のフォルムが好きな『顔鉄』なのですが、最近では新幹線のトイレの進化が気になってしまい、乗るといつもチェックします」と鉄道へのあふれる愛がわかるエピソードを明かした。アンバサダーふたりにイベントの魅力をひと言で表現してもらうと、礼二は「東京一望の“天空駅”に駆け抜ける列車やAR体験、ヘッドマークなどお宝アイテムは必見」。松井は「鉄道各社の“車両ドア”インスタレーション、見た目も華やかなスイーツ」と語った。開催は12月3日(火)より。「国鉄冷蔵コンテナのオリジナル サコッシュ(肩掛けミニバッグ/非売品)」付きチケット、お得な前売り券も好評発売中!
2019年10月24日ふぉ~ゆ~が主演するエンターテイメントショー『ENTA!2 4U. Zeppin de SHOW』の製作発表が行われ、メンバーの福田悠太・辰巳雄大・越岡裕貴・松崎祐介が登壇した。【チケット情報はこちら】MCに呼び込まれた4人は、2018年12月に上演された前回の『ENTA!』で披露された初のオリジナル曲「Everything 4 You」を歌いながら登場。堂島孝平が手がけたアップテンポなナンバーに合わせる激しいダンスで、会見場の空気をヒートアップさせた。昨年に引き続く第2弾となる本作では、歌唱パフォーマンスをはじめ、コントやゲストを迎えてのトークが繰り広げられる。前回同様、カメラがステージ上・舞台裏を問わず常に彼らを追ってその様子をハイビジョン中継する“生カメラ”の趣向も健在。辰巳は「僕たちが今できることを全て詰め込む、ふぉ~ゆ~の“取扱説明書”みたいな作品をお届けします!」と宣言すれば、越岡も「2019年の集大成、そして2020年によいスタートを切れるようファンの皆さんと盛り上がっていけたら」と続いた。『ENTA!2』の具体的な内容を問われると、福田は「新曲を2曲、発表しますよー!」と予告。全員で「おぉ~!」「イェーイ!」と喜びを爆発させ、振付を福田、うち1曲の作詞を辰巳、ラップ部分を松崎、衣装を越岡が手がけることが明かされた。辰巳が「去年、新曲をお披露目した時にファンの方が泣いてくださって」「待っていてくれたんだ……と思ったら一緒に感動しちゃって、歌い出せなかった」と振り返る一方で、福田が「今回も泣く準備してほしいよね」とつぶやくと、記者から大きな笑い声が上がる。毎回異なるゲストが訪れ、初対面のふぉ~ゆ~とコラボレーションした昨年同様、今回の『ENTA!2』も爆笑問題(東京)、小川菜摘(大阪)、島田秀平(名古屋)といった多彩な15人がステージに華を添える。スクリーンに次々と映し出されるラインナップのうち、松崎のボルテージが一段と上がったのは、壇蜜の名が挙がった瞬間。「男性を魅了するフェロモンの秘密を聞けば、男子高校生みたいな僕たちにも色気が醸せるかも」とボケをかまし、会見場の笑いを誘った。公演は12月11日(水)から15日(日)まで、東京・Zepp DiverCity TOKYOにて。その後、21日(土)・22日(日)に大阪・Zepp Namba、28日(土)・29日(日)に愛知・Zepp Nagoyaと巡演する。チケットは、ぴあ特別サイトにて発売中。取材・文:岡山朋代
2019年10月23日構成作家のオークラが作・演出を手がけ、山崎樹範が主演する~崩壊シリーズ~『派』が、10月18日に東京・俳優座劇場にて開幕した。【チケット情報はこちら】本作は、2016年の『九条丸家の殺人事件』、17年の『リメンバーミー』に続く“崩壊シリーズ”の第3弾。行き詰まりを見せる劇団・荻窪遊々演劇社が、現状打破のために新進気鋭の若き作家を迎えたことで巻き起こる騒動が描かれる。山崎をはじめ、伊藤裕一、上地春奈、大水洋介(ラバーガール)、そして梶原善が第1・2弾に引き続いて続投し、今回新たに松島庄汰、安西慎太郎、前島亜美がキャスティングされた。初日を控えた舞台挨拶には出演者8人とオークラが参加。開口一番、山崎が「観てくださる方に夢や希望を与えたい……なんて気持ちはさらさらございません!」と高らかに宣言すると、チケット購入者からゲネプロ参加に選ばれた“公式サポーター”の観客約40人から大きな笑い声が。一方のオークラは「初めてご覧になる方でも楽しめるようにつくりました」と新規ファンの開拓に意欲を見せると、山崎も「小さな劇団が悪戦苦闘しながら汗をかいて這いつくばっている姿を見て、皆さんに笑ってもらいたい」と続いた。新メンバー3人は見どころを説明する。劇団に迎え入れられる作家役の松島は「荻窪遊々演劇社の面々に翻弄される姿を楽しんで」とコメント。元・地下アイドルの劇団員役を演じる前島は「人生で初めて、舞台上で“あること”をします!」と宣言すると、同じく劇団役の安西は「本番にもかかわらず、(前島演じる)桜を大好きな気持ちが漏れてしまうピュアさをご覧ください」と笑顔を見せた。今回、荻窪遊々演劇社が取り組む新作は“法廷もの”。この公演が失敗に終わったら劇団は解散──という状況の中、劇中劇はスタートする。そこに劇団員同士のリアルな争いが重なり、作品は思わぬ方向へ。山崎はステージ上を息つく間もなく動き回り、三角関係を繰り広げる劇団員、頑固な作家、早退したがる脇役らに翻弄される栗須健司を熱演。彼が事態をどのように収めるのか、前作で結婚した杉山杏里(上地)と迎える新たな局面も含めて注目したい。シリーズの特徴である、美術セットの激しい“崩壊”は今回も健在。105分(休憩なし)の上演時間でステージがどう変貌を遂げるのか、結果はぜひ劇場で見届けてほしい。東京公演は11月4日まで。その後、24日まで大阪・宮城・富山・石川・愛知・福岡と7都市を巡演する。チケット発売中。取材・文:岡山朋代
2019年10月23日舞台「フラガール -dance for smile-」が現在、東京・日本青年館ホールにて上演中。開幕に先がけ公開ゲネプロと囲み取材が行われ、取材には主演の井上小百合(乃木坂46)、矢島舞美、富田望生、太田奈緒(AKB48)、福島雪菜(劇団4ドル50セント)、伊藤修子、味方良介、有森也実、山崎銀之丞が出席した。【チケット情報はこちら】昭和40年、エネルギーが石炭から石油に代わろうとする時代の福島県いわき市の炭鉱町を舞台に、労働者から目の敵にされながらも“常磐ハワイアンセンター”設立に向けてフラガールへと生まれ変わっていく少女たちの姿を軸に描く。映画は2006年に公開され数々の賞を受賞した大ヒット作。舞台化は初となり、総合演出は河毛俊作、プロデュース・構成演出は岡村俊一が手掛ける。会見では、井上が初挑戦となったフラダンスについて「ビックリするぐらいしんどくて、最初は動けなくなったほどでした。これは大変だぞと思っていたのですが、稽古を重ねていくうちに、みんなどんどん身体が動くようになっていった。本番でその成果が出せればいいなと思っています」と語ると、井上と共にフラガールを演じる富田や太田、福島、伊藤も深く頷く。そんなメンバーにダンスを教える先生・平山まどか役の矢島は「私は先生役なので最後はみんなを見守るのですが、日に日に上達していくフラガールの皆さんに感動していました」、常磐ハワイアンセンターの企画部長として彼女たちを見守る吉本役の山崎も「キャスト達が、物語の中と同じように少しずつ成長していく姿を見せてもらいました。大ヒット映画の舞台版ということで多少のプレッシャーもありますが、井上小百合版の『フラガール』、皆さんに楽しんでいただけるものになっていると思います」とそれぞれ語り、自信を覗かせた。また、紀美子(井上)の母親役の有森が「私が演じるのは、変わりゆく炭鉱に不安を抱えながらも娘を応援し、少女たちからエネルギーをもらい、新しい時代に踏み出すひとりの人間です。難しいけれど楽しい役です」と話すように、少女たちの奮闘と共に、彼女たちを取り巻く大人たちの姿も丁寧に描かれる。だからこそ、登場人物ひとりひとりの人生がフラによって変わっていく様子が鮮やかで、胸に響く作品となっていた。クライマックスのダンスは、人が生で演じるからこその気迫を肌で感じられる仕上がり。ぜひ劇場で体感してほしい。公演は10月27日(日)まで東京・日本青年館ホール、11月2日(土)から4日(月・祝)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。取材・文:中川實穗
2019年10月23日11月9日(土) に東京・東京建物ブリリアホールにて開催される「サンダーバード・ウインドオーケストラコンサート」。同公演の会場にて人気キャラクターや模型の展示が行われることが決定した。【チケット情報はこちら】会場ではメインビジュアルに掲載されている、5人兄弟、ペネロープ、パーカー、ブレインズのキャラクターが勢ぞろい。巨大1号と2号がエントランスで来場者をお出迎えするほか、ファンにはたまらない精巧な各種模型の展示、さらに庵野秀明(映画監督)、柿沼秀樹(小説家)が所有する貴重なアイテムも披露される予定。これらは撮影可能となっている。また、コンサートの演奏曲目も決定した。作曲家バリー・グレイの名曲の数々を日本屈指の吹奏楽団・東京佼成ウインドオケの生演奏でお届け。コンサート最後では、客席みんなで大合唱できる日本語版の「サンダーバード」メインテーマが披露される予定。<演奏予定曲目>「サンダーバード」メインテーマファイヤーフラッシュ・ランディングトレーシー・ラウンジ・ピアノゼロエックスのテーマ組曲第一楽章「サンダーバード」メインテーマ(コーラスあり)ほかにも多数の楽曲が演奏される予定。チケットはぴあで発売中。
2019年10月23日季節ごとに来場者を楽しませてくれるイベントが恒例になりつつある梅田スカイビル。この秋、10月22日(火・祝)から11月10日(日)にかけて開催されるイベント「空中庭園ネオンナイト in 梅田スカイビル」では、空中庭園展望台40Fがネオンカラーに染まる非日常空間に。館内は気鋭のアーティスト「FOREHEAD」が手がける作品にブラックライトの演出を加え、大阪の夜景とのコラボレーションを楽しむことができる。また、期間中の土・日・祝日は先着限定でメークアップアーティストにネオンペイントをデコレーションしてもらえるイベントも実施。フェイスペイント、ボディペイント、ネイルなどを選んで、ブラックライトに反応するメイクアップを楽しもう。「星空に近い天体観測 -2019 Autumn-」チケット情報また、10月31日(木)のハロウィンナイトは、ネオンペイントがハロウィン仕様にバージョンアップ。今までとは少し違ったファッショナブルなハロウィンの夜を空中庭園で過ごそう。さらに、夏のイベントで好評だった「星空に近い天体観測」はこの秋も開催。屋上展望台のスペシャルエリアにドーム型のシースルーテントを設置し、さえぎるものがない空間での大阪の夜景と天体観測を楽しむことができる。今回はウェルカムドリンクとして世界の地ビールも用意されているので、大切な人と大阪の天空でラグジュアリーな夜を過ごしてみては?「空中庭園ネオンナイト in 梅田スカイビル」【開催日】10月22日(火・祝)~11月10日(日)【開催場所】梅田スカイビル・空中庭園展望台※「星空に近い天体観測 -2019 Autumn-」は事前応募が必要
2019年10月23日人気上昇中のジャニーズ4人組・ふぉ~ゆ~が、昨年12月の『ENTA!』に続き、今年もZepp Namba(OSAKA)で『ENTA!2 4U.Zeppin de SHOW』を開催する。ジャニーズに所属し、20年以上研鑽を重ねてきた福田悠太、越岡裕貴、辰巳雄大、松崎祐介。舞台で芝居をしつつ、KinKi Kidsやタッキー&翼ら先輩たちのバックを長く務め、全員30歳を超える。先輩やスタッフらの応援を胸に開催した2017年の『GACHI』では、「自分たちにしかできないエンタメを」と4人の個性を発揮する全力投球のステージを見せ、業界の注目を得た。ソロ活動もファンも増え、いよいよ彼らの出番だ。メンバーの辰巳雄大が来阪し、『ENTA!2』への意気込みを語った。「ENTA!2」チケット情報『ENTA!』は「ふぉ~ゆ~のバラエティ番組を生で見ていただけるような感覚になってもらえるライブを」と始まった。「僕ら、ふぉ~ゆ~は、その瞬間、そのタイミングでしか生まれないものを大切にしたいという思いでやっています。2019年の僕らが考えた全力のエンタテインメントがそこにあれば」と、今回の公演に臨む。メンバーが持ち回りで担当する開幕前のアナウンスから始まり、キレッキレのダンス、レベルアップした歌をメインに、コントやゲストを交えたトークなどで構成。なかでもカメラ4台を使い、247インチの大型ビジョンに4人を全編映し続ける演出が見もの。カメラは楽屋へも入り、着替えまで映し出す。「楽屋でもお客さんの声が聞こえるように」と依頼した4人。生着替えで見せる彼らの体に反応する声に、ちゃんとリアクションする。「はい、僕らジャニーズですから、鍛えてますよ(笑)。お客さんも楽屋に来た感覚になって楽しんでもらえたらいいなって」。生カメラが入ることで、彼らはまったく休憩なし。「ドリンク飲んだり、ミントタブレット食べたり、ダンスの位置確認も、お客さんの前で。最初、キツいかなと思ったんですが、やってみたら僕らもすごく楽しめました。生カメラ、ふぉ~ゆ~に合ってます(笑)」。毎公演変わる多彩なゲストは、直前にテーマだけ決めて本番トークへ。その後、メンバーのひとりがソロトークでコーナーを締める。「お客さんを楽しませることが大前提ですけど、自分たちもすごく鍛えられた時間でした。めっちゃ緊張しましたけど。僕らのすべてが詰まっている舞台です。Zeppを僕らがZeppinにしますから、ぜひ、遊びに来てください!」。公演は12月11日(水)から15日(日)東京・Zepp DiverCity Tokyo、12月21日(土)・22日(日)Zepp Namba(OSAKA)、12月28日(土)・29日(日)Zepp Nagoyaにて上演。大阪公演のゲストは、松本伊代(21日19時)、小川菜摘(22日12時)、安田大サーカス・クロちゃん(22日17時)。チケットは10月23日(水)一般発売。取材・文:高橋晴代
2019年10月21日乃木坂46の井上小百合が主演し、元℃-uteの矢島舞美、ドラマや映画の話題作への出演が続く富田望生と注目キャストがそろう舞台「フラガール-dance for smile-」。10月18日(金)の初日を前に、ゲネプロ、囲み取材が行われ、出演者らが登壇。日本アカデミー賞を総なめにした傑作映画を舞台化、上演するにあたっての意気込みを語った。「フラガール-dance for smile-」の公演情報フラガールのリーダー、谷川紀美子役を演じる乃木坂46・井上小百合は、フラダンスの稽古について聞かれ、「びっくりするぐらい稽古がしんどくて、最初のほうは動けなくなっちゃって。これは大変だぞ!と思っていました」とコメント。都会のダンサーだった過去を持ち、炭鉱の娘たちをフラガールへ育てる平山まどか先生役の元℃-ute・矢島舞美も「フラダンスは普段使わない筋肉をたくさん使うんです。私は先生の役なので、日に日に上達していくフラガールたちを見ていると、感動をおぼえてしまうほどでした。みんなが特訓した成果は、観に来てくれるお客さんにもリアルに感じていただけると思います」とフラガールたちの上達ぶりに自信をのぞかせた。「フラガールは思い出ばかりの作品」と話すのは、作品の舞台である福島出身の富田望生。本作の映画版では南海キャンディーズ・しずちゃんが演じたひきこもりの娘・熊野小百合役を演じる。「震災当時のわたしの担任の先生が、東京まで観に来てくれる予定なんです。台風や地震もありますが、楽しみにしてくれている方がいるってことが、やっぱり“やんなきゃいけねぇな!”という気持ちになります。力をあわせて素敵な舞台になるようがんばります」と意気込みを語ってくれた。最後に井上が公演について「この作品は実話だというのがすごく大きいです。舞台でも昭和40年の時代背景が濃く表現されていますし、何よりこういう少女たちが本当にいたというのが感動的なストーリー。今回演じることができて、すごくありがたいな、がんばらなきゃな、と思っています。とても力をもった作品なので、観に来てくださった方に“明日もがんばろう”“勇気をもらえた”と感じてもらえるように、一生懸命取り組んでいきます」と熱い思いをのぞかせた。本作には、Wキャストで太田奈緒(AKB48) 福島雪菜(劇団4ドル50セント)、味方良介、伊藤修子、有森也実、山崎銀之丞らも出演。舞台『フラガール - dance for smile -』は、10月18日(金)から27日(日)まで東京・日本青年館ホール、11月2日(土)から4日(月・祝)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。チケットぴあでは各公演、当日10時まで購入できる当日引換券を発売中。
2019年10月18日日本初演のミュージカル『アンクル・トム』が10月18日(金)、東京・博品館劇場で開幕する。出演は上口耕平、池田有希子、内藤大希、新納慎也という実力派の4人。直前に行われた最終舞台稽古を取材した。チケット情報はこちら舞台は1980年代のロンドン。作家志望の青年ケビン(上口)は、あるきっかけで隣人のトム(新納)と親しくなる。小説が好きだというトムはケビンの勧めから処女作『操られた殺人』を書き上げるも、病に倒れてしまう。ケビンはトムの小説を盗み注目のミステリー大賞に応募、最優秀作家賞を受賞してしまうのだが、そんなある日、死んだと思っていたトムがケビンの前に現れる。折りしもその頃、ロンドンでは連続殺人事件が発生していて……。先の読めないサスペンスフルなストーリーを、ドラマチックな音楽が彩っていく。オリジナルは、韓国の「大邱ミュージカルフェスティバル」で今年発表されたばかりの作品。このフェスティバルではトライアウト的な公演だったため、今回の日本版でミュージカルとして本格的に練り上げられたという。本国での本格的上演を前にして、日本版として再構築し上演されるというのも珍しいパターンだ。出演者は実力派揃い。ケビン役の上口耕平は近年歌唱力・演技力とも磨きがかかり、めきめきと存在感を増している注目株だ。今回も盗作をきっかけに追い詰められ、ある選択をせまられる青年のギリギリの心理を熱演。トム役の新納慎也はこの人らしい華やかさを封印、腹の読めない謎めいた初老の男を演じ新境地を開いた。このふたりのセリフ、歌の応酬はスリリングかつ大迫力で、見応え十分。出版社の編集長役の池田有希子は知的さと苛烈さを上手くブレンドし、ケビンの親友役の内藤大希もミステリアスな空気で物語にさらなる謎を投入。キャスト陣の熱演で、たった4人とは思えない、緊迫感のあるミュージカルになっている。近年「韓国ミュージカル」はミュージカルの大きな1ジャンルに成長しつつあるが、また1作、注目の作品が誕生しそうだ。公演は10月27日(日)まで同劇場にて、チケットは発売中。なおこの作品では次世代の俳優育成を目的とした〈エンカレッジデー〉が期間中3公演設定され、こちらには山田元、高畑こと美、ユーリック武蔵が出演(特別出演として新納も同役で出演する)。〈エンカレッジデー〉はチケット価格も安く設定されている。将来の演劇界を支援するこの試みにも注目だ。
2019年10月18日演劇プロデュースチームLALSTORYによる舞台『さけび』が、本日、新宿サンモールスタジオで初日を迎えた。テネシー・ウィリアムズによる二人芝居だが、日本での上演記録はほとんど無いという稀な作品。演出は東憲司(劇団桟敷童子)。出演は、山路和弘と朴ロ美という、演劇界のみならず声優としても人気を博す、どちらも巧者だ。【チケット情報はこちら】客席へ着くや、まずその舞台美術に圧倒される。小劇場ではしばしば我々観客は、舞台の目に大きく映るものだが、今作のセットの存在感は別格。客席は舞台に支配され、「しっかり見ているからな」と突きつけられる感覚がある。大胆なデザインは「誰も見たことない舞台」と謳うだけのことはある。物語は、山路演じる、劇作家であり俳優のフェリースと、その妹であり女優の、朴演じるクレア、このふたりのもとを、劇団の仲間が「あなたと妹さんは狂っている!」と電報を残し、旅先の劇場から突如去ってしまったところから始まる。公演の中止を訴えるクレア、それに対しフェリースは「ふたりだけの芝居」を上演することで頑なに公演を続けようとするのだ。出番を待つ俳優の舞台裏を描いたように見えるが、いざ「ふたりだけの芝居」が始まると現実なのか虚構なのか、まるで判断のつかない混沌の世界が展開していく。しかしこのふたり、仲間に逃げられたのではあるが、捨てられた、取り残された存在だという印象がない。むしろ自ずと世間から離れたような気高さを覚える冒頭、擦り切れそうな“叫び”をあげ、まるで漂うかのように舞台を操る山路と、張り裂けんばかりの声を轟かせ、登場するや否や発せられるエキセントリックな反応を魅せる朴から目が離せない。何よりも面白いのは、公演を続けるか否かを巡る序盤では、我々は傍観者、いや、ある一種の監視者のようにフェリースとクレアを俯瞰視していたはずが、中盤以降はいつの間にかふたりと同じ視点で社会と体制への不安に共感してしまっていることだ。そして終盤、ずるずると作品に引き込まれ、脳と心を揺さぶられ、魂まで吸い取られた我々の顔を、フェリースとクレアが眺めているのだ。これはもう、本当にずるい。見ているつもりが、見られていたのだ。開演前、客席に着いたときに覚えた感覚が蘇り、ゾクゾクする。山路と朴のひたすら烈しく打ち合うセリフの応酬。朴が発する鋭い言葉をぶっ太い釘と例えるならば、山路は金槌かの如く、その釘をこちらの心臓に打ち付けてくる。「手元が狂った」といわんばかりに金槌が直に胸を打つときもある。本気の言葉のぶつけ合いは、「男女の」と単なる言葉だけでは言い表せないが間違いなくラブストーリーと言えるだろう。衝撃が小空間に詰め込まれた圧巻の作品をぜひご覧頂きたい。公演は10月27日(日)まで、サンモールスタジオにて。チケット発売中。残りわずか!取材・文:山村敬男
2019年10月18日歌舞伎俳優・尾上菊之助が新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』に挑む。宮崎駿の全7巻の漫画を原作に、映画版では描かれなかったすべてのストーリーを、昼の部・夜の部通しで上演。あの壮大な物語がどう歌舞伎になるのか。座頭として一座を率いながらナウシカを演じる菊之助の挑戦に、期待が募る。【チケット情報はこちら】宮崎駿が『風の谷のナウシカ』の連載を始めたのが1982年。原作の2巻の途中までを映画化して話題となったのが1984年だった。描かれているのは、戦争によって産業文明が滅んでなお、人間同士が争う世界。主人公の少女ナウシカは、人々が恐れる巨大な蟲や有毒な瘴気を発する腐海と親しみながらその世界に希望を求めていく。「宮崎監督が原作を書かれてから30年以上経ちましたが、このディストピア(反理想郷)のなかで描かれる、環境、エネルギー資源、遺伝子操作、核、戦争といった問題は、変わらず考えていかなければいけない普遍的なテーマだなと改めて思います。歌舞伎もまさしく普遍的なテーマを持つものが古典として残ってきました。また、歌舞伎には『仮名手本忠臣蔵』『菅原伝授手習鑑』『義経千本桜』など丸1日かけて上演する通し狂言という上演方法があり、この物語のスケールの壮大さはそれに匹敵すると思ったんです」。この作品を歌舞伎にしたいと考えた理由を菊之助はこう語る。確かに、歌舞伎と『風の谷のナウシカ』、意外に遠くないのかもしれない。では、具体的にどのように進めてきたのか。「たとえばナウシカの衣裳に関しては、パッと観た瞬間にナウシカだとわかるように漫画に寄り添っていこうと思っています。漫画そのままではなく、青い色、ブーツ、手袋などのエッセンスを抽出して歌舞伎と上手く融合できればと思っています。それから、王蟲や巨神兵といった大きな生き物たちは、歌舞伎でもキツネや猪などのいろんな生き物が出てきますので、その延長線上の表現方法で考え、登場させようかと考えています。また、映画版に登場した音楽も、古典歌舞伎の黒御簾音楽をベースに、一部和楽器の編成で演奏します」と、菊之助のなかにはすでに構想がある様子。そして何より頼もしいのが、「古典の技法が必ず力になると思っているんです」という言葉だ。「新作歌舞伎を創作するときに助けになるのは、やはり古典の蓄積だと思っています。『風の谷のナウシカ』のあらすじをざっと大づかみして来ていただければ、あとはもう歌舞伎の世界にどっぷり入って楽しんでいただけるはずです」。400年もの間、様々な人間と物語を表現してきた歌舞伎である。『風の谷のナウシカ』の真髄がそこに見えてきても不思議はない。公演は12月6日より新橋演舞場にて。チケットは10月19日(土)より一般発売。取材・文:大内弓子
2019年10月18日幼なじみの男女が半世紀にわたってやりとりした手紙の朗読劇『ラヴ・レターズ』は今年、日本初演から30年目を迎える。演出の藤田俊太郎と10月31日の公演で剛力彩芽とともに出演する尾上右近に、本作の魅力や思いを聞いた。【チケット情報はこちら】米国の作家A.R.ガーニーによる朗読劇で、ニューヨークで1989年に初演。日本では90年に初演され、故・青井陽治の翻訳・演出のもと、数々の俳優たちが舞台に立ってきた。2017年12月から、青井の遺志を受け継いだ藤田が演出を担当。右近は、同年12月に松井玲奈とともに本作に出演し、今回が2回目の挑戦となる。右近は、前回の出演について「歌舞伎以外の舞台経験が浅い時で、実感としては手も足も出なかった。ハードルが高かったといいますか、ハードルをくぐったような感じでした」と素直に語る。だからこそ今回の出演は「もう1回チャレンジさせていただきたいと思っていたので、本当に嬉しい」。本作がここまで愛される理由や魅力はどこにあるのだろうか。演出の藤田は「多角的」とコメントし、「この作品の魅力は、手紙と通して誰かに何かを伝えること、その思いだと思うんです。(台本の設定は)アメリカのある限られた人種、場所での話ですが、時代を超えて、普遍的な意味を見い出すことができる作品だと思います。特に自分が一番という考えになりがちな現代に、「他者を思いやり、いくつしむ」という作品のテーマには、新たな価値があるのでは」と話す。今回上演される台本は、故・青井氏が最後に直した新翻訳版だといい、「青井さんが亡くなって2年。青井さんから僕たちに新たに届けられた、ラヴレターだなと思います」とも語った。右近は「前回は作品の厚みを知らない怖さがあったけれど、今回は知っているからこその怖さがあります。緊張感を持ちながら、今の等身大の自分を表現できたら」と意気込み、「50年という年月を描きながら、普遍的な価値を持つ、とても稀有な作品。老若男女問わず、みなの心に届く作品でもあるので、幅広い方に見ていただきたいです」と話した。一方、藤田は、「演じる役者、カップルによって、まるで表情を変える作品です。素晴らしい公演をお届けしたいと思います」。『ラヴ・レターズ 2019 Autumn Special』は新国立劇場小劇場にて、10月31日(木)尾上右近&剛力彩芽、11月1日(金)平方元基&昆夏美、2日(土)三浦貴大&大島優子、3日(日・祝)岡山天音&黒島結菜、4日(月・休)松本利夫(EXILE)&樹里咲穂が出演。チケット発売中。取材・文・撮影:五月女菜穂
2019年10月18日12月13日(金)から29日(日)まで、東京・国際フォーラム・ホールCにて上演される新演出版ミュージカル「サタデー・ナイト・フィーバー」(イギリスプロダクション)来日公演。同公演のヒロイン・ステファニー役が決定した。【チケット情報はこちら】ステファニー役を務めるのは、2017年に東急シアターオーブで上演された『雨に歌えば』リナ役の熱演で好評を博したオリヴィア・ファインズ。そのほか、ダンスフロアの上方で歌う、ビー・ジーズのギブ三兄弟役を含め、全23名のキャストが決定している。トニー役を演じるリチャード・ウィンザーは、マシュー・ボーンの「白鳥の湖」をはじめ「シザー・ハンズ」「ドリアン・グレイ」「くるみ割り人形」など来日は6回を数え、日本でもファンが多い。リチャードは、今回のミュージカル「サタデー・ナイト・フィーバー」のプロモーションで11月上旬に来日を予定している。映画「サタデー・ナイト・フィーバー」の公開40周年を記念して2018年にイギリスで立ち上がったミュージカル「サタデー・ナイト・フィーバー」。同公演は演出家のビル・ケンライトがリチャード・ウィンザーありきでスタートしたプロジェクト。新演出の初期段階からリチャード本人もプロジェクトに関わり、トニーの苦悩を描いた後半のソロ・ダンスでは、振付のビル・ディーマーいわくリチャードのアイディアが多く取り入れられている。チケットは発売中。
2019年10月18日新国立劇場バレエ団がケネス・マクミラン振付『ロメオとジュリエット』を上演する。シェイクスピアの悲劇のバレエ化で、1965年の初演以来、世界中で愛されている名作だ。新国立劇場では2001年以来レパートリーに加わり、今回で5演め。押しも押されもせぬ人気演目となっている。主演3キャストのうち木村優里・井澤駿組の、舞台上での衣裳付きリハーサルに潜入した。【チケット情報はこちら】ジュリエットの木村は初役、ロメオの井澤も前回(2016年)は怪我で降板したため、共に観客には初お目見えのフレッシュなコンビとなるふたり。スラリとした容姿が実に舞台映えする。見学した3幕は、ロメオとジュリエットが初めて一夜を過ごしたあとから始まる。ロメオはその前の2幕でジュリエットの従兄ティボルトを殺害してヴェローナの町を追放となり、ジュリエットと離れなければならない。指揮者が振るタクトに合わせ、オーケストラではなくピアノがプロコフィエフの音楽を奏でるという、リハーサルならではの光景の中で展開するのは、愛と嘆きがない交ぜになった切ないパ・ド・ドゥだ。去ろうとするロメオのマントを脱がせ、別れを惜しむ木村ジュリエット。そのジュリエットを切なげに抱きしめ、抱き上げる井澤ロメオ。マクミランの振付は、演劇のように自然かつドラマティックで、ジュリエットの踊りにも両手で手を覆って嘆くなどの仕草が組み込まれるのだが、そうした動きと共に木村の悲しげな息遣いが聞こえてきて、真に迫る。別れの時が来てロメオが去ると、入れ替わりにジュリエットの両親、乳母、そして、婚約者パリスが入ってくる。意に沿わない結婚に抵抗し、懇願するジュリエットだが、両親も乳母も取りつく島がない。そのことを悟ったジュリエットがベッドの上で身じろぎせず何秒間も座り続ける場面があるのだが、彼女が覚悟を決め、結果的に悲劇へと向かう前のこの姿には、心打たれずにはいられない。教会へ出向き、ロレンス神父から仮死状態になる薬を渡されたジュリエットが自室に戻ると、再び両親やパリスが現れる。ここでパリスと踊るジュリエットは、うつろな、まるで魂の入っていない人形のよう。さらに必見なのは、薬を相手に彼女が繰り広げる、怯えや恐怖、決意の表現。木村の瑞々しい表現力が光る。こうしてドラマは、ジュリエットが死んだと思い込んだロメオの自殺、そのロメオを見たジュリエットの慟哭、そして自害まで一気に駆け抜けていく。愛し合いながらすれ違い、それでも互いを想いながら果てる恋人たちの姿を、悲しく美しく描き上げたマクミランの傑作の開幕は間もなくだ。取材・文:高橋彩子
2019年10月17日2012年に第1期が放送されて以降、根強い人気を誇るオリジナルアニメシリーズ『PSYCHO-PASS サイコパス』。第1期の物語を軸にした舞台が10月末より上演。本作に出演する前山剛久に話を聞いた。【チケット情報はこちら】本作は、人間の心理状態を数値化し、監視・管理された近未来を舞台に、公安局刑事課の刑事たちが、犯罪予備軍である“潜在犯”を抑圧するために奮闘する姿を描く。前山が演じるのは、刑事たちと対峙する謎の人物・槙島聖護だ。作品でいえば“悪役”だが、前山はその立ち位置に目を輝かせる。「僕、悪役って大好きなんです。作品の中でも目で追ってしまうし、僕自身惹かれるんですよね。槙島は、知的ながらも残酷で隙がない。僕が演じてきた悪役の中で一番人間味がないかもしれません」現に、TVアニメでも、槙島の出るシーンに目を奪われていたようだ。「彼が出るシーンはつい前のめりになって見ていました。それはストーリー原案、脚本の虚淵(玄)さんが考えたキャラクター性と、声優の櫻井(孝宏)さんが作り上げた雰囲気にあると思います。二次元の槙島がとても魅力的だからこそ、どこまでリアルに落とし込めるかが勝負ですね」難しさを口にしつつも、槙島を模索することも楽しんでいる。「彼の言葉は、シェイクスピア作品やいろんな文献からの抜粋が多く、言っていることも難しい。 “何を言っているかわからないけど、スッと入ってきてしまう”のを表現したくて、いろんなパターンを試しています」と嬉々とした表情を見せた。その上で、演出の三浦 香からはチャレンジングな言葉をもらったという。「三浦さんからは、“あえて役者の動きとは逆をしてほしい場面がある”と言われました。役者をやっていると、動きたくなるししゃべっている人を見るのは当たり前ですが、槙島の不気味さを表現するために、あえて何も動きをつけずにしゃべってみてほしい、と。今まで役者として習ってきたことを殺さないといけない場面があるのは、今回の1番の挑戦ですね」主演であり、槙島と対極にある狡噛慎也を演じるのは久保田悠来。「映像でも活躍されているからこそ、舞台と映像のいいところをミックスさせたアプローチをしていて、見ていて発見がたくさんあります。それが、槙島が狡噛に“面白い”と感じるところと一緒なのかなと思ってますね」と、久保田が演じる狡噛を前山らしい目線で語った。舞台版『PSYCHO-PASS サイコパス Chapter1―犯罪係数―』は10月25日(金)から11月10日(日)まで、品川ステラボールにて上演。取材・文:渡邉千智
2019年10月17日映像や舞台で活躍中の若手俳優が多く所属する、キューブの若手俳優のサポーターズクラブ「C.I.A.(Cube Infinity Artists)」が、今年も年末に1年間の感謝を込めたライブ『SUPER LIVE 2019』を開催する。出演する川原一馬、金井成大、永田崇人、安田啓人の4人に意気込みやC.I.A.への思いを聞いた。【チケット情報はこちら】C.I.A.は2017年12月に発足し、昨年末に初めて『SUPER LIVE』を開催。“メンバー発信”をテーマに、歌やダンスを披露した。前回に引き続き、演出を務める川原は「ファンの皆さんに感謝の気持ちを込めて、僕たちのプライベートな部分、各々が輝いている部分にフィーチャーしたライブにしたい。今年しかできない時事ネタや幅広い年齢層に刺さる曲を選んで、みんなが楽しめるような工夫ができたら」と構想を語ってくれた。8月にリリースされたオリジナルソング『ドドドどんまい!』のパフォーマンスをはじめ、今回もC.I.A.の魅力が詰まったライブになりそうだ。昨年のライブについて、金井は「自分たちでゼロから作る初めての経験だった。お客さんを楽しませることができたのはもちろん、メンバーとも結束できた感覚があって、すごくよかった」と振り返る。「素直に楽しかった」と語るのは永田。「ライブを通じて、メンバーのことをたくさん知って大好きになって、お客さんとも『今年も一年頑張ったよな』とシンクロした感覚があった」と明かした。また、昨年は体調不良で不参加だった安田は「迷惑をかけた分、今年は恩返しができるようにしたい」と意気込む。1年を締めくくるライブ。抱負を尋ねると金井は「キャンディちゃん(※金井のファンの愛称)に向けた、世界を狙う、大きなプロジェクトが動いている。ライブに来てもらえれば分かると思うので、ぜひ応援してもらいたい」。安田は「今、応援してくださっているファンの方がこれからもずっと応援してくださるように頑張るのはもちろん、一人でも多くの人にC.I.A.のこと、個人個人のことを知ってもらえたら」と語った。また、永田は「まずは個人としての知名度をあげたいし、C.I.A.のこともたくさんの人に知ってほしい。素敵な人がたくさんいるので、みんなで一緒に戦っていきたい」。川原は「俳優としての僕たちも、プライベートな僕たちも両方を見てもらって、ファンの方とより深いコミュニケーションがとれる場になったら。そのために一人一人が俳優という職業を背負って頑張っているので、ぜひ応援していただきたい」と話していた。公演は12月27日(金)から29日(日)まで東京・品川インターシティホールにて。チケットは、チケットぴあにて現在、抽選先行プレリザーブのエントリーを受付中。取材・文:五月女菜穂
2019年10月16日舞台『Starry☆Sky on STAGE』SEASON2~星雪譚ホシノユキタン~が、2020年1月15日(水)から26日(日)まで、東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて上演される事が決定した。honeybeeが贈るドラマCD、乙女ゲームなどからなる女性向けメディアミックス作品シリーズの舞台化となる同公演。今年の7月に初めて舞台化され、大好評を博した。今回の舞台は、公演前半の日程では冬に行われる舞台オリジナルの学園行事に向けた物語(星公演)となっており、公演期間最後の週末で、その学園行事がメインとなった(雪公演)エンターテインメントショーが中心の舞台となっている。また、今回の公演では出演者による舞台オリジナル曲が披露される。脚本は、前回に引き続き錦織伊代氏が担当。総合監修として松崎史也氏が務める。チケットは、10月26日(土) 昼12:00よりぴあ・いち早プレリザーブ、11月12日(火) 昼12:00よりぴあ・プリセールの受付が開始。■『Starry☆Sky on STAGE』 SEASON 2 ~星雪譚 ホシノユキタン~公演日程:2020年1月15日(水)~26日(日) 全16回予定劇場:紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA脚本:錦織伊代(アイデアフラッド)総合監修:松崎史也振付:石岡貢二郎(K-DanceNexus)キャスト【Spring】 土萌羊役:坪倉康晴 / 七海哉太役:田中尚輝 /東月錫也役:國島直希【Summer】金久保誉役:阿瀬川健太 /宮地龍之介役:古谷大和(星公演のみ映像出演)/木ノ瀬梓役:橘りょう【Autumn】 星月琥太郎役:青木一馬 /水嶋郁役:丸山ナオ /陽日直獅役:輝山立【Winter】 天羽翼役:桜庭大翔 /青空颯斗役:二平壮悟/不知火一樹役:杉江優篤神楽坂四季役:榊原徹士夜久月子役: 竹井未来望白銀桜士郎役 : 鈴木翔音犬飼隆文役 : 佐藤和斗/小熊伸也役 : 瑞野史人/ 白鳥弥彦役 : 高橋凌
2019年10月16日山本亮太(宇宙Six/ジャニーズJr.)が主演を務める舞台『相対的浮世絵』が10月25日(金)に開幕する。稽古場にて、出演者の石田明(NON STYLE)、玉置玲央、山西惇に話を聞いた。【チケット情報はこちら】本作は、土田英生が脚本・演出を手掛け2004年に初演されたヒューマン・コメディ。3度目の上演となる今回は青木豪が演出を手掛け、山本亮太、伊礼彼方、石田明、玉置玲央、山西惇が出演する。山西が「初日から挨拶もそこそこに、最初から最後まで読み合わせ(台詞だけを合わせる稽古)をしました。出自がバラッバラの5人やから、どうなるのか楽しみにしていたのですが、実際に読んでみると、それがいい感じになっていた」と話すように、ジャニーズJr.の山本、ミュージカルの伊礼、お笑いの石田、小劇場中心の玉置、映像からミュージカルまで出演する山西と、実に幅広い面子が揃う5人芝居。玉置も「舞台が六角形になっているのですが、僕はそれが格闘技のリングみたいだなと思っていて。この芝居が、いろんなジャンルの役者の殴り合いみたいになったら面白いのかなと感じています。それぞれが持っている技術も感覚も全然違うので、それが楽しんでもらえたらと思う。でも内容はほっこりするんですけどね(笑)」と、この5人ならではの化学反応を期待する。生きている人間と死んだはずの人間が再会する物語。笑えて「温かいのにエグい」(石田)という内容について、石田は「きれいごとがない作品だなと思います。人間のあかんところも肯定してもらえる。だから、お客様もその日の心のコンディションによって見え方が変わると思いますよ。そして演じる側も“今日はこの人の話になったな”ってことがあり得る」。山西も「登場人物みんながダメやからね(笑)。そこを重ね合わせて“生きててもいいんだな”と思ってもらえると、それは演劇のひとつの役目かなと思う」と語る。実際に稽古が始まって玉置は「この5人は一緒にいて居心地がいい。“(芝居の)やりとりをもっとしたい”って思うんです」と、既にいい関係が始まっている様子。残りのメンバーの山本と伊礼の様子について山西は「ふたりは兄弟役なのですが、今は兄弟になろうとしてる感じで。お互いがどういう兄でどういう弟でっていうのを探っている感じがかわいらしいです」。この5人と青木がつくりあげる『相対的浮世絵』がどんな作品になるのか、楽しみに待ちたい。公演は10月25日(金)から11月17日(日)まで東京・下北沢本多劇場、11月22日(金)から24日(日)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WW ホールにて。取材・文:中川實穂
2019年10月16日劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)の第57回本公演『ピースフルタウンへようこそ』が、10月11日に東京・サンシャイン劇場にて開幕。その初日公演に潜入した。【チケット情報はこちら】劇団創立40周年記念となる本作は、座長の三宅裕司が演出を、SET本公演では三作目となる吉高寿男が脚本を手掛け、「幸福」をテーマに描かれた作品。人気の高級住宅街・青金台(あおがねだい)と寂れた素裸無町(すらむちょう)を舞台に、そこで暮らす人々の姿から、本当の平和とは?幸福とは?人間とは?を問う物語で、SETの“ミュージカル・アクション・コメディー”の集大成ともいえるエンターテインメント作品となっている。「あなた今、幸せですか?」という台詞から始まる舞台。絵に描いたような幸せそうな暮らしを送り“ちょっとしたことでも歌って踊りたくなる”という青金台の人たちの生活と、困窮していて喧嘩も多いが誰もが正直でどこかのびのびとした雰囲気の素裸無町の人たちの生活を対比するように物語は進んでいく。青金台の出来事は、突如としてミュージカルが始まるのがおかしい。SETならではの歌やダンスのクオリティはやはり魅力で、今回はさらに三宅と野添義弘というベテランコンビのハーモニーも聴けるのでぜひ注目を。素裸無町の面々は歌わないぶんテンポのいい芝居で見せるが、このやりとりもSETならではの息の合い方。後半には華やかなアクションシーンもあり、小倉久寛らベテラン勢の若手に劣らぬキレの良さも見どころだ。もちろん恒例である三宅VS小倉の丁々発止のやり合いも。旗揚げメンバーから若手まで、それぞれがさまざまに活躍している姿に、40周年の劇団ならではの層の厚さを感じた。クライマックスにはこの40年、劇団が作り続けてきたものに思いを馳せずにはいられない展開も。「幸福」とはなにか、ぜひ劇場で目撃してほしい。カーテンコールで三宅は「40周年を迎えましたが、これからも体力が続く限りやっていこうと思っています。お客様が楽しくて元気が出るような作品をつくっていきたい」と挨拶。また、旗揚げ公演は「お客さんが7人、出演者が15人だった」と明かし、小倉も「旗揚げ公演のことを思うと、(40年後に)この劇場でこんなにたくさんお客様が入って、やっているとは思わなかった」と感慨深く振り返り、「三宅さんが『終わってから飲みに行く』って言うんですよ。『俺を褒めてやるんだ』と言っているのを聞いて泣きました」と語った。思いもよらない展開が次々に巻き起こる本作は、10月27日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて上演後、11月8日(金)・9日(土)に愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT、11月13日(水)・14日(木)に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールを巡演。取材・文:中川實穗
2019年10月16日東京バレエ団が、世界的に活躍する振付家、勅使川原三郎に委嘱した『雲のなごり』を世界初演する。約2週間後に初日を控え、勅使川原によるリハーサルが公開された。この作品には、東京バレエ団から5人のダンサーたちが出演、演出助手で共演もする佐東利穂子とともに、勅使川原との創作に取り組んでいる。リハーサルの冒頭、「いま私たちは、音楽に対しての理解を、誤差のないように、ともに同じ身体言語で捉えようと稽古しています」と語った勅使川原。音楽は、武満徹の『地平線のドーリア』(1966年)と『ノスタルジア-アンドレイ・タルコフスキーの追憶に-』(1987年)、本番ではオーケストラの生演奏が実現する。その独特のサウンドがスタジオに響くと、ダンサーたちはたちまち身体を反応させる。2016年の勅使川原演出のオペラ『魔笛』に出演し、彼の世界は経験済みというダンサーもいるが、皆一様に手探りの状態でのスタート。そんな中にも時折、目を見張るほど美しい瞬間が立ち現れる。創作のプロセスは順調に進んでいるようだ。【チケット情報はこちら】リハーサル後の記者懇親会で、「このような機会をいただき、とても嬉しい。悩むことなく武満さんの音楽でいきたいと思った。『地平線のドーリア』には、独特の、直観的な、身体的な感じを受けていた」と話す勅使川原。藤原定家の歌「夕暮れはいずれの雲のなごりとてはなたちばなに風の吹くらむ」に着想し、「はじまりもおわりもないことがありうるのではないか」と、創作にのぞむ。佐東も、「武満さんの音楽を初めて聴いた瞬間、身体が衝撃を受けたことを思い出します。あらためてこの音楽を捉えなおし、向き合いたい」という。同席した東京バレエ団の斎藤友佳理芸術監督は、「東京バレエ団での新作の初演は、ノイマイヤー振付『時節の色』以来19年ぶり。創立55年でようやく日本人振付家の方に振付をお願いできることになった」と感無量の様子。ダンサーたちも、「どれだけ新しい世界に自分が入ることができるか、挑戦です」(沖香菜子)、「苦戦と模索の日々だが、作品ができる場にいられることは、ダンサーにとっていい経験」(柄本弾)、「稽古場で勅使川原さんが言われる言葉を素直に受け取り、自然と作品になっていくことを目指したい」(秋元康臣)と意欲的。勅使川原も「私が上から色を塗るのではなく、皆の中から何かを引き出すことがこの作品の第一の目的」と、彼らの可能性に賭ける。同時上演は、バランシン振付『セレナーデ』とベジャール振付『春の祭典』。勅使川原の新作とともに、趣の異なる現代の傑作がずらりと並ぶ。公演は10月26日(土)、27日(日)、東京文化会館にて。チケットは発売中。取材・文:加藤智子
2019年10月15日1日2,700円で主な大阪市内の電車・シティバスが乗り放題。さらに誰もが1度は訪れたい40か所以上もの観光スポットが無料で入場できるお得な「大阪周遊パス」。大阪観光を楽しむ人の間で人気を集めている。そんな「大阪周遊パス」を使って、ぜひ足を運んでいただきたい観光スポットを紹介してみよう。「大阪周遊パス」チケット情報秋のハイシーズンにおすすめしたいのが、万博記念公園。日本を代表する芸術作品「太陽の塔」は、大阪観光で外せないスポットのひとつだが、見どころはそれだけではない。この時期だからこそ楽しめるのが、期間限定で開催中の「コスモスフェスタ 2019」(11月4日まで ※期間中は無休)。22品種約20万本ものコスモスが、澄み渡る秋の青空の下で穏やかな風に揺れている様子を楽しむことができる。ちょっと疲れたら、「森の足湯」でリラックスしてみるのもいいだろう。天然の地下水を温めた環境にも体にも優しい足湯である。こちらの秋季営業も11月30日(土)までの期間限定となっている。万博記念公園近隣の観光スポットとして併せて楽しんでもらいたいのが、EXPOCITY内にある大観覧車 レッドホース オオサカホイール(通常:1,000円)。高さ123メートルを誇る日本一の観覧車は、世界でも屈指の高さ。ゴンドラからは大阪の街並や夜景を一望できる他、シースルーの床面が全ゴンドラに採用されており、抜群の眺望を楽しむことができる。また、夜の観光スポットとして人気なのが、NAKANOSHIMA NIGHT VIEW CRUISE(中之島ナイトビュークルーズ)。通常、大人1,500円・小学生750円の人気クルーズは、日本夜景遺産「浪華三大橋」をはじめ、大阪市中央公会堂や大阪城のライトアップ、剣先公園の大噴水、建ち並ぶビル群の夜景をクルーズ船の上から楽しめる。水面に映る大阪の街並みは、一見の価値あり。11月30日(土)までの期間限定となっているため、早めのご利用を。以上の紹介した観光スポットがすべて無料で利用できる「大阪周遊パス」。もちろん、この他にも多くの無料観光スポットがあるので、ぜひ詳細な情報をチェックしていただきたい。
2019年10月15日あんなに暑かった夏も過ぎ、すっかり秋モードに。過ごしやすくなった今こそ、お出かけを楽しみませんか? 芸術の秋にオススメしたいのが、梅田スカイビルの27階に位置する絹谷幸二 天空美術館。人類最古の絵画技法につながる壁画の古典技法・アフレスコを体験するワークショップが「第13回キッズデザイン賞」の「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門」で受賞するなど、子どもとのお出かけにぴったりなアートスポットとして注目されている美術館だ。絹谷幸二 天空美術館チケット情報イタリアで絵画修業を重ねた絹谷幸二は、アフレスコを用いた作品を多く発表。絹谷幸二 天空美術館では、東京・青山の「こどもの城」の壁画として長く愛された20連作の大作『アラベスク』をはじめ、本物のアフレスコをじっくり観賞することができる。漆喰を塗ったレンガの“壁”をキャンバスにアフレスコを描くというワークショップも毎月開催。普段とは全く違う技法で絵を描く体験と、100年後も世界に残る作品作りが楽しめる。さらに作品解説やアフレスコの歴史や描き方、壁から剥がして絵画として再構築する技法も紹介するなど、さまざまな角度から絵画の魅力に触れられると人気を集めている。館内では、鮮やかな色彩で描かれた絵画や360度から見学できる立体作品のほか、音楽と3Dで絵の中に飛び込む体験ができる映像作品も上映中!“静かに作品を鑑賞するもの”という美術館の暗黙の了解を覆すワクワクするアート体験に、子どもたちも夢中になること間違いなし。今年の秋は、大人も子どもも楽しめる美術館へ出かけよう!■ワークショップ「アフレスコを描く」【開催日時】10月19日(土) 14:00~(約2時間)【対象】大人~小学生(中高学年)【人数】先着12名【参加費】大人 2,000円、大・高・中学生 1,600円、小学生 1,500円(付き添いの保護者も1名まで展示解説に参加可)、親子料金2,500円(親1名+小学生1名、追加小学生1名500円)※持参用具や詳細の確認、申込みはHPにて「絹谷幸二 天空美術館」大阪市北区大淀中1-1-30梅田スカイビル タワーウエスト27F【開館時間】10:00~18:00※金・土・祝前日は10:00~20:00(入館は閉館の30分前まで)【休館日】火曜(祝日の場合は開館し、翌平日が休館)【入館料】一般1000円、大学・高校・中学生 600円、小学生以下無料、団体・障がい者割引あり【HP】チケットぴあ割引入館引換券一般900円、大学・高校・中学生500円文:上田亜矢(ピース)
2019年10月11日日本を代表するクリエイティブディレクター、佐藤可士和の展覧会が2020年9月16日(水)から12月14日(月)まで、東京・国立新美術館にて開催される事が決定した。1990年代、株式会社博報堂でアートディレクターとして斬新な広告プロジェクトを次々と手がけた佐藤は、2000年の独立以降、企業から、幼稚園や大学などの教育機関、病院、ミュージアム、エンターテインメント界、ファッション界、そして地域産業まで、多種多様なクライアントを対象として、革新的なVI・CI計画やブランド戦略を手がけ、国内外から注目を集めてきた。過去最大規模の個展となる本展では、佐藤自身がキュレーションする会場構成のなかで、約30年にわたる活動の軌跡を多角的に紹介する。■「佐藤可士和展」会期:2020年9月16日(水)-12月14日(月)会場:国立新美術館 企画展示室1E(東京都)休館日:毎週火曜日※ただし、9月22日(火・祝)、11月3日(火・祝)は開館、9月23日(水)、11月4日(水)は休館開館時間:10:00-18:00(毎週金・土曜日は、9月は21:00まで、10月・11月・12月は20:00まで)※入場は閉館の30分前まで
2019年10月11日帝政ロシア時代、最後の皇帝ロマノフ2世の末娘で、唯一の生き残りと言われるアナスタシア。1997年には彼女を主人公にしたアニメ映画『アナスタシア』が発表され、さらにそこから着想を得て制作されたのが、ミュージカル『アナスタシア』だ。ブロードウェイを皮切りに世界各国で上演を重ねるこの話題作が、ついに日本上陸。そこで主人公のアーニャをWキャストで演じる、木下晴香に話を聞いた。【チケット情報はこちら】『ロミオ&ジュリエット』や『モーツァルト!』など、話題のミュージカルに立て続けに出演、その透明感のある歌声でいずれも好評価を得てきた木下。さらに映画『アラジン』では、プレミアム吹き替え版でのヒロイン・ジャスミン役を演じるなど、役者としてのステップを着実に上り続けている。「『アラジン』のお仕事をやってから、声だけの表現という初めての世界を経験し、言葉の大切さを改めて感じました。それは今後の舞台にも必ず生きていくことだと思います」木下演じるアーニャは、記憶を失いつつも、家族とともにサンクトペテルブルグで健気に生きる少女。そんな彼女が自らの過去を取り戻すため、詐欺師のディミトリと共にパリへと旅立つことから物語は大きく動き出す。「今回のオーディションの時、“アーニャに求める人物像”というものを聞かされたのですが、それがとても強烈だったんです。まず『おとぎ話のプリンセスのような人材は求めていない』と。えっ、いない!?あっ、はいっ!みたいな(笑)。そして『逞しく、自尊心を持った強い女性であり、記憶をなくしてもひとりで生き抜いてきたサバイバーである』とも。それは自分が演じる上での軸にもなると思います」その壮大な世界観に加え、衣裳や最新の舞台装置など、「目で見てすごく楽しい作品」と語る木下。これだけの大作への出演を前に、木下が自身への課題として掲げていることとは?「ミュージカルの世界に入ってひとつ目標にしていたのが、主演であったり、タイトルロールであったり、そして日本初演の作品に携わるということ。今回日本で初めてアーニャを演じるということで、やはり私たちにしか出来ないもの、日本のキャストがやるということに意味を持たせていけたらいいなと。もちろん海外のクリエイティブチームの皆さんとたくさんコミュニケーションを取り、あちらのアプローチをリスペクトしつつ。そしてこれが日本初演のアーニャだと胸を張って舞台に立てるよう、頑張っていきたいです」公演は3月1日(日)より東京・東急シアターオーブにて開幕。取材・文:野上瑠美子
2019年10月11日宝塚歌劇月組公演『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』が、10月4日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。日本オーストリア友好150周年記念として贈る本作は、『エリザベート』や『モーツァルト!』など、日本でも人気の大ヒットミュージカルを生み出したウィーン劇場協会が2017年に現代のオーストリアを題材に制作した作品。オーストリア以外の国では初上演となる。宝塚歌劇月組 日本オーストリア友好150周年記念 UCCミュージカル『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』チケット情報舞台はウィーンにある老舗の四つ星ホテル「ホテル・エードラー」。ホテルの御曹司ジョージ・エードラーとハリウッド女優エマ・カーターとの恋と葛藤を軸に、家族への愛、故郷への想いを描いたハートウォーミングな物語だ。映像を取り入れた演出で、幕開きからワクワクさせられる。楽曲には、オーストリアの国民的シンガーソングライター、ラインハルト・フェンドリッヒのヒット曲を使用。心弾むものからうっとりするものまで、耳なじみのいい、バラエティに富んだ楽曲の数々が物語を彩る。役者それぞれの個性はもちろん、組の一体感やパワーを感じるような、華やかで躍動感あふれるレビューシーンも満載だ。『エリザベート』を想起させるセリフがあったりと、ウィーンミュージカルならではの洒落っ気ある笑いでも楽しませてくれる。トップスター・珠城りょうが演じるジョージは、伝統と格式を重んじる両親に対して、現代的な感覚を持つ跡取り。「今の時代に合わせて変えていくべき」と、ホテルはもちろん、ウィーンの街を思い行動する、芯のある人物だ。従業員のミスを大きな心でフォローする余裕を持ちながらも、美園さくら演じるエマへの思いに苦しくなったりと、おおらかさと真っ直ぐさを持ちあわせたキャラクターは、珠城のハマリ役。エマを演じる美園は、ハリウッド女優としての息苦しさと、故郷の空気に触れて心が解放されていく様を繊細に表現している。さらに、エマを利用して稼ごうとする豪腕なマネージャー・リチャード役の月城かなと、一見紳士的でありながらもダメッぷりが愛らしい父親ヴォルフガング役の鳳月杏、太陽のような明るさをもち、“マッチョ”ナンバーで楽しませてくれるアルゼンチン代表サッカー選手・パブロ役の暁千星など、それぞれに個性あふれるキャラクターを好演している。故郷を思う気持ちにあふれた、家族に会いたくなるような、温かい気持ちになれるミュージカル『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』は、11月11日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、11月29日(金)から12月28日(土)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは10月20日(日)一般発売。取材・文:黒石悦子
2019年10月11日