サッカーを始めたばかりの人の中には、オフサイドがいまいちわからない人も多いのではないでしょうか。この記事では、オフサイドとはなんなのか、その概要について解説します。オフサイドを理解することでプレーの向上につなげられるほか、試合観戦もより楽しいものとなるはずです。ぜひ参考にしてください。オフサイドとはオフサイドは、簡単にいうと攻撃側のチームの待ち伏せ行為を禁止するためのルールです。詳しくは後述しますが、待ち伏せができないことによって、相手のディフェンスラインとの駆け引きが生まれ、サッカーをより面白いものにしていると考えられます。オフサイドの条件オフサイドは、味方選手がパスを出す際に、オフサイドポジションにいる選手がパスを受けるもしくはパスを受けようとした時にとられます。オフサイドポジションとは、相手陣内でなおかつボールより前の、相手チームの後方から2番目の位置にいる選手よりも相手ゴールに近いエリアのことです。簡単にいうと、相手陣内でパスを受けようとする際に自分の目の前に相手選手が一人しかいないとオフサイドポジションにいることになり、オフサイドを取られてしまいます。なお、選手の頭や胴体、足の一部でもオフサイドポジションにあればオフサイドを取られます。そのため、試合においては数センチ単位で攻撃側の選手とディフェンの選手との間で駆け引きが行われています。オフサイドポジションにいる=オフサイドではないオフサイドに関して注意しなければならないのが、オフサイドポジションにいるだけでオフサイドをとられるわけではないことです。味方選手がパスを出す瞬間にオフサイドポジションにいてもそのボールに関与しない・相手選手の邪魔をしなければオフサイドとはみなされません。また、ゴールキック・コーナーキック・スローインでボールを受ける場合、オフサイドは取られません。オフサイドの再開方法オフサイドを取られた時は、相手チームの間接フリーキックから再開されます。間接フリーキックとは、キックしたボールが直接ゴールに入っても得点とはならないフリーキックのことです。間接フリーキックの後キッカー以外の選手が一度ボール触れていれば得点が認められます。ちなみに、間接フリーキックの際は主審が片手を上げます。オフサイドのルールが改正される?サッカーでは毎年ルールの見直しや改正が行われていますが、オフサイドに関しては2022年の夏からルール改正が行われると言われています。現行のオフサイドは頭や胴体、足などが一部でもオフサイドポジションにあればオフサイドであると判定されます。しかし改正後は、体の一部が相手選手と同じラインにあればオフサイドと判定されません。例えば、体のほとんどの部分が現行のオフサイドポジションにあったとしても、足や頭が相手選手と同じ位置もしくは相手選手よりも後方にあればオフサイドにはなりません。ここまで読んで「あまり大きな差ではないのでは? 」と思う人もいるかもしれませんが、このルール改正が実現すると、これまでよりも半歩〜1歩ほどポジションを前に取ることができます。1歩の違いはサッカーにおいては大きな違いであり、ゴールにつながる可能性が高まると考えられます。またディフェンダーはオフサイドが取りにくくなるため、より守備的になるかもしれません。つまり、この改正はサッカーの試合全体にも大きく影響する可能性があるということです。まとめ今回は、オフサイドの概要から具体的な条件、さらにはルール改正などについて解説しました。攻撃側の待ち伏せ行為を禁止するオフサイドがあることによって、攻守の駆け引きが行われており、この駆け引きの存在がサッカーをより面白いものにしているといっても過言ではありません。ぜひ、今回の内容を参考にオフサイドのルールを覚えてください。
2021年08月23日サッカーにはさまざまなテクニックがありますが、その中でもダブルタッチは初心者でも取り組みやすいテクニックです。この記事では、ダブルタッチの概要から具体的なやり方や練習方法、コツなどについて解説します。試合で使えるテクニックを身につけたい、1対1で負けたくないといった方はぜひチェックしてみてください。ダブルタッチとはダブルタッチとは、サッカーにおけるテクニックの1つです。左右の足のインサイドを使って右→左もしくは左→右と一瞬でボールを移動させ、相手をかわすことができます。相手を交わしたあとは一気にスピードをあげることで、置き去りにすることも可能です。ダブルタッチの上手な選手サッカーにおけるテクニックには、そのテクニックを得意とする代表的な選手が存在します。例えば、マルセイユルーレットならジダン、ヒールリフトならネイマール、エラシコならロナウジーニョといったイメージです。そして、このダブルタッチに関しては、イニエスタやメッシが有名です。ダブルタッチを身につけたい方は、一度チェックしてみるといいでしょう。ダブルタッチは初心者でも取り組みやすいテクニックサッカーのダブルタッチは、サッカー経験の浅い人でも比較的行いやすいテクニックだといえます。フェイントなどのテクニックは体の動かし方やボールの扱い方などが複雑なものも少なくないため、なかなかうまくできない人も少なくないでしょう。しかし、ダブルタッチは、インサイドを使ってボールを動かすというシンプルなものであるため、初心者であっても繰り返し練習を行うことで扱えるようになります。ちなみに、初心者でも扱いやすいからといって実践で活用できないわけではありません。先述の通り、イニエスタやメッシなどトップ選手が試合で活用するテクニックであるため、磨くことによって自分の武器にもなるでしょう。ダブルタッチのやり方ここで改めてダブルタッチのやり方を解説します。ダブルタッチはインサイドを使ってボールを横方向に移動させ、反対のインサイドでボールを前に出します。右方向への移動→前へ、左方向への移動→前へと左右両方向に対応可能です。ダブルタッチを行う際のコツダブルタッチにはいくつかのコツがあります。例えば、ダブルタッチは行うタイミングが非常に重要です。具体的には、相手がボールを奪おうと足を出してきたタイミングで、素早くボールを動かします。また、前へボールを出したあとは、相手に追いつかれないようにするために一気に加速することも大切です。なお、ボールを横に動かす際は、ボールが動く範囲が小さいと相手の足が届いてしまうため、相手の足が届かない範囲を意識して大きく動かすようにしましょう。ダブルタッチは左右の足のインサイドが正確に使えなければ扱えないため、インサイドによるボールタッチの質を向上させることも重要です。特にボールに触れる際の力加減を間違えてしまうとうまくできないため、利き足だけでなく非利き足もうまく使えるように練習しましょう。ダブルタッチの練習方法ダブルタッチの練習は、1人でも行うことができます。練習の際は、もし持っていればマーカーやコーンを設置し相手選手と想定してください。なければ石や水筒などを代わりに利用しても構いません。あとは、相手選手の前で右→左、左→右とインサイドでボールを動かし、逆の足で前に押し出すという動きを繰り返し行います。慣れてきたら実際に人を相手にして取り組んでみてください。まとめ今回は、ダブルタッチの概要から行う際のコツ、練習方法などについて解説しました。ダブルタッチは初心者でも取り組みやすいテクニックです。シンプルな動作でありながら、一瞬で相手を置き去りにできるテクニックであるため、今回の内容を参考にぜひ練習に取り組んでみてください。
2021年08月19日上手い子や昔から所属していた子が優先的にポジションを決められ、下の学年の上手い子も優先的に出される状況。まだ低学年だからポジションやメンバーを固定せず、みんなを出場させてあげてほしいと思うけど、親の意見をクラブに言ってもいい?子どもがチームに居づらくならない?というご相談をいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、悩めるお母さんに子どもが楽しくサッカーを続けるためのサポートをアドバイスします。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<仲間に心無い言葉を投げられる息子。親はどう介入すべきか問題<サッカーママからのご相談>今年からクラブチームへ入会した低学年(8歳)です。新学年になるタイミングでチームへ加入し練習試合がありますが、出場機会が平等にないように感じます。上手い子や昔から所属していた子が優先的にポジションを決められ、下の学年の上手い子も優先的に出される状況なので、うちの子の出場機会が少ないです。また試合に同行するコーチも毎回違い、指導者間でもやり方にも差があるように思います。まだ、低学年ですしポジションやメンバーも固定せず、せめて同学年は力量関係なく出して欲しいと思うのですが、こういった保護者の意見はクラブチーム側へ言っても良いのでしょうか?親が余計なことをして子どもがチームに居づらくなるのが心配です。通える範囲にはサッカーができる場所(チーム、スクールともに)ないので、クラブに面倒な親認定されたくないのですが、いいやり方があればアドバイスいただきたいです。<島沢さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。お母さんのように「出場機会が平等でないのはおかしい」と気づかれる方がもっと増えるといいのですが、まだまだ少ないのが現状のようです。周囲に相談できるママ友も多くないでしょうし、孤独感を持たれているのではないでしょうか。■全員出してほしい、という希望はごもっとも8歳で「低学年」とあるので、小学2年生でしょうか。お母さんが書いている「低学年ですし、ポジションやメンバーも固定せずせめて同(この)学年は力関係なく出して欲しい」という希望は、もっともだと思います。どんな性質のクラブなのかはわかりかねますが、コーチの方々の育成への理解がもしかしたら少し乏しいチームなのかもしれません。とはいえ「試合に同行するコーチも毎回違い、指導者間でもやり方にも差がある」というのは、例えば地域の少年団や町クラブで、指導者が他に職業をもったボランティアコーチで編成されているのなら、致し方ないかなとも思います。よもや有償のコーチを揃えた民間クラブだったとしても、運営は一部の大規模クラブ以外は経営が厳しい場合が多いです。コーチをやりくりするうえで全体を見ていることも少なくありません。■複数のコーチに見てもらうことは選手にとってメリットになることもあるただ、いつも同じコーチで、指導方法も同じの良さもありますが、選手を見る目やサッカーに対する考え方が偏ってしまうデメリットもあります。反対に、複数のコーチがみて違う方法で指導することは、一件継続性に欠けるかのように見えます。が、実は、さまざまな価値観にふれたり異なる指導を経験できるのは、選手にとってメリットになることもあります。例えば「利き足を磨け」と言うコーチがいる一方で、「左右蹴れるようになれ」と促すコーチがいる。でも、それを選ぶのは選手です。そして、選ぶ力をつける際は、サッカーコーチもサポートとしますが、その前に家庭の子育てがものを言います。■クラブに意見するというより、訪ねる形で切り出してみては次に、書かれている質問に答えさせてください。「こういった保護者の意見はクラブチーム側へ言っても良いのでしょうか?」意見するというよりも、「今の少年サッカーは、平等に出場させるというか、低学年は特にそんな傾向だと聞きますが、どんなふうに考えていらっしゃいますか?」と育成の方針を尋ねてみてはいかがでしょうか?育成の方針を聞いたうえで、日本サッカー協会が示している育成方針(スライド7枚目「将来に向けて この年代にふさわしいゲーム環境を」)などをホームページから抜き出してコピーしたものを渡してはどうでしょうか。そこで初めて「保護者としては全員に試合に出場する機会を設けてほしい。せめて低学年のうちは試合を平等に経験できるよう配慮してほしい」と希望を伝えます。■コーチの回答がどんなものでも、息子さんが他のことをしたいと言うまでは通わせてそうした場合、クラブ側の答えがどんなものになるでしょうか。「そうですね。まだ低学年だから全員出場させますね」と言ってもらえるとありがたいですね。しかしながら、それとは逆になる確率のほうが高そうです。例えば、私がこれまで似たようなケースで保護者がクラブ側に問い合わせた場合、もらった答えは以下のようなものです。「コーチの判断でやっていることなので、嫌だったらやめてください」「スポーツは実力の世界なので、試合に出たいなら上手くなれとしか言えません」「公式戦は勝たなくてはいけないので選ばれた子だけしか出られませんが、練習試合はほぼ同じ時間出られるよう調整します」こういった回答だった場合は、他のチームを探してみる選択肢もあります。ただし、通える範囲にはサッカーができる場所がここ以外にないとのこと。息子さんが試合の出場機会がなくてもサッカーを続けたいと言うのであれば、お母さんが妥協するしかないかもしれません。息子さんがサッカーに飽きたり、他のことをやりたいと言い出すまでは通わせてあげたほうがいいかと思います。■サッカー、スポーツに限らず何をするかを選ぶのは子ども自身しかしながら、日本に小学生ができるスポーツはサッカー以外にもたくさんあります。例えばスケートボードなど、さまざまな競技があることは、オリンピックやパラリンピックが教えてくれますね。よって息子さんに「他のスポーツに興味が出てきたら、言ってね。お母さんも調べたり、協力するよ」と言っておいてもいいかと思います。さらにいえば、スポーツに限らず、他にもたくさんあります。楽器、歌唱、囲碁や将棋、絵画といった芸術。加えて、スポーツの部類ですがダンス教室に通う子どもも増えています。さまざまな選択肢を与えてあげるのは親だとしても、そこから自分で選ぶのは子どもだという理解のもと、一緒に考えてあげてください。■子どもが楽しくサッカーしているかどうか、まずは様子を見よう(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)一方で、気になるのは「親が余計なことをして子どもがチームに居づらくなるのが心配」と書かれていることです。保護者が意見したくらいで子どもにしわ寄せが及ぶような状況、もしくはそのような不安を保護者に抱かせてしまうクラブが、息子さんにサッカーを楽しませてくれたり、成長できる時間や環境を与えてくれるかは疑問です。お子さんにその都度「サッカー楽しい?」と尋ねてあげてください。目の輝きやそぶりで、楽しめているのかどうかはすぐにわかるはずです。万が一目に余ることがあれば、違うことにシフトする提案をすればいいと思います。お子さんが楽しくないのであれば、サッカーにしがみつく必要はありません。とにもかくにも、まずは様子を見ましょう。お子さんがサッカーを楽しめる環境かどうかを観察しながら、少し離れた場所から見守ってあげてください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2021年08月18日サッカーを始めとしたスポーツをしていると「スポーツマンシップにのっとり」という言葉を耳にすることがあります。このスポーツマンシップとはなんなのでしょうか。この記事では、スポーツマンシップの意味や役割について解説します。スポーツマンシップとは?スポーツマンシップとは、スポーツ選手が身につけておくべきとされる競技精神のことです。英語では「Sportsmanship」と表記されます。スポーツマンシップの具体的な例としては、全力を尽くすことや公明正大であること、競技の対戦相手や審判、味方などへの敬意と尊敬を忘れないことなどが挙げられます。これらの点を踏まえると、スポーツマンシップはいいゲーム、いい試合を作るための考え方ともいえるでしょう。ただ試合に勝利すればいいのではなく、お互いが試合を終えたときに嫌な気持ちにならないように取り組むことが求められます。サッカーでも欠かせないスポーツマンシップスポーツマンシップを忘れてはいけないのは、サッカーも同じです。サッカーの場合、相手選手や審判、スタッフ、サポーター、さらにはルールなどリスペクトしなければならない人やものはたくさんあります。他の競技同様、サッカーもスポーツマンシップを重視している競技の1つだといえるでしょう。実際に、サッカーの試合中にスポーツマンシップが垣間見える場面は少なくありません。例えば、接触プレー直後に選手が倒れ込んだとき、プレーが続いていてもボールを外に蹴りだすことはよくあります。また、ボールを外に蹴り出したことに対する感謝を示すために、プレー再開後は相手にボールを返し、お互いに拍手を送る点はサッカーの大きな特徴だといえるでしょう。また、相手選手が足をつった時、足を伸ばすサポートをするシーンもよく見られます。このように、サッカーの試合においては、日常的にスポーツマンシップを見かけることができるでしょう。スポーツマンシップは感動のための道具ではないスポーツマンシップが垣間見えるシーンは、見ている人の感動にもつながるものですが、スポーツマンシップは人々を感動させるためにあるものではありません。先ほども説明しているように、相手選手や味方、審判、スタッフなどへの尊敬を示し、いいゲームを作ることがスポーツマンシップの考え方だといえます。その結果として感動を引き起こすことはあるかもしれませんが、感動させたいために、形だけのスポーツマンシップを示すことは本質ではありません。スポーツマンシップを忘れないようにすることは大切ですが、履き違えないように注意する必要があります。社会においても役立つスポーツマンシップ「スポーツ」という言葉がついていますが、スポーツマンシップの考え方は競技だけでなく学校や会社、家庭など社会生活を送るうえでも欠かせないものです。友人や知人など、自分自身と関わる人をリスペクトすること、困っている人、傷ついている人を助けること、より良い社会を作ろうとすることは、スポーツマンシップに共通するものだといえます。逆にいうと、サッカーを始めとしたスポーツを通してスポーツマンシップを身につけることは、社会で生きていく際のスキルを身につけることだと解釈できるでしょう。まとめ今回は、スポーツマンシップの概要について解説しました。スポーツマンシップという言葉を耳にする機会はよくありますが、実際にどういうもので、どのような役割があるのか理解していない人は少なくないでしょう。スポーツマンシップを発揮するうえでは、相手選手や仲間、審判、ルールなどへの尊敬の念を持ちいいゲームを作るように勤めることが大切です。まずはこの視点を持ち、普段の練習や試合に臨んでみてください。
2021年08月18日サッカーをしていて「くさびのパスを入れろ! 」という言葉を耳にしたことのある方は多いのではないでしょうか。この記事ではサッカーにおけるくさびとはなんなのかその概要を解説します。また、くさびのパスを入れることでどのような効果があるのか、という点についても取り上げているため参考にしてください。くさびとはくさびとは、ものをつなぎとめて固定する際に使用する道具のことです。漢字だと「楔」と書書かれます。そして、サッカーにおけるくさびとは、フォワードをはじめとした前線の選手に出す縦パスのことです。「くさびのパスを入れる」といった言い方をされることが多く、くさびのパスを入れることによって攻撃の起点を作ることができるほか、相手の守備陣形を崩すことも可能です。実際にくさびという言葉は知らなくても、自然とくさびのパスを出しているケースも少なくないでしょう。少年サッカーではくさびが少ない?プロをはじめとした大人や高校生などの試合では、くさびのパスがフォワードの選手に入ることはよくあります。一方で少年サッカー、特に年齢の低い子どもたちのサッカーの試合でくさびのパスを見かけることはあまり多くありません。これは、相手のマークがついた状態の味方にパスをだすという選択肢を持っていないことが多いためです。くさびのパスを受ける場合、どうしても相手が密集しているエリアにパスをすることになるため、子どもたちの場合そこを避けてしまいます。くさびのパスだけが相手を切り崩すための手段ではありませんが、選択肢として持てていれば、より多彩な攻撃ができるようになるでしょう。くさびを受ける選手に求められるスキルいくら良いくさびのパスが入っても、くさびを受ける選手のスキルが不十分だと簡単にボールを奪われてしまうでしょう。そのためくさびのパスを受ける場合、相手に体をぶつけられてもボールを奪われないキープ力が必要です。また、相手ディフェンダーのプレッシャーを受けながらボールをコントロールしなければならないため、正確なトラップができることも重要となります。さらに、ボールを受けた後の展開の攻撃につなげるためにも、広い視野を確保する必要もあります。このように、くさびのパスは通常のパスを受けるよりも難易度はグッと高くなると言えるでしょう。くさびのパスを入れる効果ここでは、くさびのパスを入れることでどういった効果が得られるのか具体的に解説します。なぜわざわざ相手が近くにいるエリアにパスを出すのかわからないといった人は参考にしてください。相手ディフェンスの陣形を崩せるディフェンスをする場合、選手はボールが動くとポジションを細かく修正する必要があるため、くさびのパスを入れることで、相手ディフェンダーの陣形を崩すことが可能です。特に、くさびのパスは自陣の深い位置に入ることが多く、相手もしっかりと寄せてきます。この時、パスを受ける前に周囲の状況をチェックしておけば、ディフェンダーが動いたことでどこにスペースができているか、フリーになっている味方がいるかといったことがわかります。そこを使えば守備網を突破できる可能性が高まるでしょう。攻撃の起点になるくさびのパスを入れることで攻撃の起点となります。例えば、先述の通りパスが入ることで相手守備陣のポジショニングも変わってくるため、それに伴いできたスペースを積極的に活用することで、相手陣内へと侵入することが可能です。また、くさびのパスを攻撃のスイッチにする、とチーム内で決めておけば縦パスが入った瞬間に猛攻を仕掛けることもできるでしょう。まとめ今回は、くさびとはなんなのかその概要について解説しました。サッカーにおけるくさびは、前線の選手へ出す縦パスのことであり、くさびが入ることによって相手の陣形を崩すことができます。一方で、くさびのパスの受け手は相手のプレッシャーを受けつつも正確にボールをコントロールし次につなげなければならないため、高い技術や視野が求められます。今回の内容を参考に、試合でもくさびのパスを活用してみてください。
2021年08月17日プレミアリーグU-11が誕生して7年。全国36都道府県537チームが参加する、日本最大のリーグ戦に成長しました。「全員出場」「3ピリオド制」など、独自のレギュレーションを設け「力の拮抗した相手と、年間を通じてホーム&アウェイを戦う」ことを目的とし、日本にリーグ戦文化を根付かせるための活動を続けています。プレミアリーグU-11創成期からのメンバーであり、70チームが参加する長谷工プレミアリーグ神奈川U-11(プレミアリーグ神奈川U-11)の責任者を務める、末本亮太氏(大豆戸FC代表)に「カテゴリー分けされたリーグ戦の意義」について話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之)長谷工プレミアリーグU-11神奈川1部あざみのF.C.の選手たち<<前編:「全員出場」が子どもたちの成長につながることを指導者たちも実感、プレミアリーグU-11がチーム強化につながるわけ■実力の拮抗している相手との真剣勝負の方がトレーニング効果が高いプレミアリーグ神奈川U-11は1部から3部に分かれていて、昇格・降格があります。ジュニアサッカーはクラブや少年団の間で力の差が激しく、2ケタの得点差がつく試合も少なくありません。そのような試合はお互いにとって得られるものは少なく、大量失点で負けた子たちの心情を察するに、デメリットにすらなります。この現状を改善するために、プレミアリーグは1部、2部、3部と実力に応じてカテゴリーを分けました。末本氏は言います。「プレミアリーグは『実力の拮抗した相手と、真剣勝負の中でプレーする』ことで、選手の成長に良い影響を与えられると考えています。かつては前後半15分ずつ、3本目は15分のフレンドリーマッチというレギュレーションでしたが、3本目の試合の強度がガクッと落ちてしまっていたんですね。そこで3ピリオド制にしたら、強度の高い真剣勝負が繰り広げられるようになりました」たしかに、結果が昇格・降格につながる試合とフレンドリーマッチでは、選手の意識が違うのはうなずけるところです。末本氏は「コンサートで言うと、本番とリハーサルぐらいの違いがありました」と、当時を振り返って言います。「フレンドリーマッチに意味がないとは言いませんが、真剣勝負の強度の高い中でプレーすることの方が、同じ時間試合をするとしても、トレーニング効果は何倍もあると思います」■点差がつく試合はどちらのチームにとってもメリットにならないプレミアリーグ神奈川に参加する、あざみ野キッカーズの佐渡誠監督は「拮抗したレベルの試合ができるのはいいこと。点差がつく試合は、どちらのメリットにもなりませんよね。全員出場というルールも、全体の育成という意味ですごく良いと思います」と、プレミアリーグのレギュレーションに賛同します。あざみ野F.C.の林和泉代表も「点差が開かない試合をシーズンを通してやることはすごく大切で、プレミアリーグの場合は、年に何試合かとくに重要な試合があります。そこには、指導者も子どもたちも、公式戦の重要な試合と同じモチベーションで挑んでいます」と話します。全員を出場させることで全体のレベルアップをうながし、真剣勝負の場を体験させる。その経験が6年生になったときに、活きていると感じることも多いようです。末本氏は言います。「今年のU-12横浜市春季少年サッカー大会の上位はプレミアリーグの参加クラブでしたし、地区予選を勝ち抜いて出場する、神奈川県大会の出場クラブのおよそ半数が、プレミアリーグに参加しているクラブです。5年生のときに、同じぐらいのレベルの相手と真剣勝負を繰り広げたことで力をつけて、6年生に良い形でつなげていると感じています」■子どものサッカーを「点」で見ないで「面」で見るプレミアリーグには昇格・降格があるので、次年度にどのカテゴリーに所属するかは、シーズンを終えてみないとわかりません。「今年の4年生が来年5年生になるので、そのときにプレミアリーグの1部に所属しているかもしれないし、2部かもしれません。4年生のコーチは、翌年のプレミアリーグのことも見据えて準備をする必要性が出てきます。全員出場なので、『8人の上手な子だけじゃ、試合にならないぞ』と理解すれば、自然とその学年の選手全員をレベルアップさせることに、意識が向いていくと思うのです」プレミアリーグに参加するクラブの選手は、「小学5年生のときに、年間を通した強度の高いリーグ戦に出場する機会が保証されている」と言えます。これは非常に珍しいケースです。「選手は試合に出ることで、間違いなく成長します。それが同じぐらいのレベルの相手ではなおさらです。メディアを通じて情報が発信されることで、『プレミアリーグに所属するクラブには5年生のリーグ戦があって、必ず試合に出られる』という理由で、選手や保護者に選ばれるクラブも出てくると思っています」プレミアリーグは年間を通した結果で優勝が決まり、各地域の優勝チームが争うチャンピオンシップもあります。2部リーグ以下では、U-11のセカンドチーム、U-10チームの登録を認めるなど、様々な出場機会を創出。サッカーの上手、下手に関係なく、プレーする場を提供し、経験を積む機会を与えています。「子どもたちのサッカー人生はこれからです。小学生のときにセカンドチームだった子がJリーガーになった例なんて、いくらでもありますよね。保護者は子どものことを、その瞬間という『点』で見ていますけど、僕ら指導者はその子のサッカー選手としての成長という、長い『面』で見ています。そこの違いはあると思いますが、プレミアリーグは両方のちょうどいいところにアプローチできるリーグだと思っています」■子どもの成長のためにどんな場を作るか、を大人が考えなければならない年間を通じて、実力の拮抗した相手と真剣勝負をする。全員を試合に出場させ、全体のレベルアップをうながす。その理念に共感した、全国的な家電メーカーのアイリスオーヤマが2019年よりスポンサードするなど、広がりを見せています。神奈川県では独自に、2020年度より長谷工コーポレーションがメインスポンサーとして、子どもたちの環境をサポートしています。子どもの成長のために、どのような場を作るか。情熱を持った大人たちが真剣に考え、毎年のようにレギュレーションがブラッシュアップされているのも、プレミアリーグの特徴のひとつです。このリーグを経験した子どもたちの中から、将来のJリーガー、日本代表選手が出てくるのも、そう遠くない未来になりそうです。末本亮太(すえもと・りょうた)JFA B級ライセンス、フットサルC級ライセンス、JFA公認キッズリーダー。大豆戸FC代表理事、U12監督。ジュニアユース、シニアチームの立ち上げ、クラブのサッカー以外の多角的な活動構築にも尽力。「ちょっと自慢できる、サッカーを通じて出会うはずのない感動、人、未来を創造し、非日常を提供すること」をミッションに掲げ、自チームの活動の他に「プレミアリーグU11神奈川」の運営や地域でサッカー広場を開催するなど、育成年代の活動に力を注ぐ。また、小学生を連れての被災地訪問などNPO団体として、サッカーだけにとどまらない活動も行っており、将来を担う子どもたちの育成にも力を注いでいる。
2021年08月16日サッカーの魅力の1つともいえるのが華麗なテクニックです。この記事では、数あるテクニックの中でも、見ている人を魅了しやすいエラシコについて解説します。そもそもエラシコとはなんなのか知りたい、やり方やコツが気になるといった方はぜひ参考にしてください。エラシコとはエラシコとはサッカーにおけるテクニックの1つです。アウトサイドでボールを外側へ軽く押し出し、同じ足のインサイドで素早く逆側に切り返すことで、相手をかわすことができます。難易度の高いテクニックですが、うまくできるようになれば、一瞬で相手を抜き去ることも可能です。ちなみにエラシコは、「輪ゴム」を意味するポルトガル語である「エラッスチコ」に由来しています。ボールがアウトサイドからインサイドへとスムーズに移動する様子が輪ゴムのようであることから、このような呼ばれ方をしているとされています。エラシコが得意な選手は?試合でエラシコを使用するプロの選手は少なくありませんが、特に元ブラジル代表のロナウジーニョはエラシコの使い手として有名です。また、意外と知らない人も多いかもしれませんが、実はエラシコは、サッカー解説者であるセルジオ越後さんが発案者だとされています。エラシコのやり方ここで改めてエラシコのやり方を確認しておきましょう。エラシコは、ドリブルしている最中に、アウトサイドでボールを外側へ押し出し、その直後に同じ足のインサイドでボールを切り返し相手を抜きます。同じ足でインサイド→アウトサイドとボールに触れる仕組みであるため、軸足の位置は変えずに行ってください。また、インサイドでの切り返しを行ったあとは、相手を置き去りにするためにドリブルのスピードをアップさせることも重要です。エラシコを行う際のコツここでは、エラシコを行う際のコツを3つ紹介します。これからエラシコを身につけようとしている方は参考にしてください。ヒザの使い方を意識する鋭くスピーディーなエラシコを行うためには、膝の使い方が重要です。アウトサイドでボールを蹴る場合、膝の向きはややボール側に傾ける程度となるのが一般的です。しかし、エラシコの場合膝の傾きが浅いと次の動作にスムーズに移行できないため、膝を体が倒れそうなくらいしっかりと傾けることがポイントとなります。膝の傾きを確保することによって、ボールを足が追い越せるため、次のインサイドの動作に移りやすくなるでしょう。軸足の位置は一定先ほども触れていますが、エラシコは同じ足のアウトサイド、インサイドで行うため、軸足の位置は変えません。また、軸足はできるだけボールの近くに置くほうがいいでしょう。これは、軸足がボールから離れていると、動作が小さくなり相手を騙すことが難しくなるためです。ボールは押し出すイメージで触れるエラシコをする際にボールを強く蹴ってしまうと、足元から離れてしまうため失敗します。エラシコを行う場合、ボールは蹴るのではなく、軽く押し出すイメージで扱いましょう。また、ボールを押し出す際は、ボールの中心より少し下に触れるようにすることもポイントです。ボールに触れる時間が長ければ長いほど、より鋭いエラシコが可能となるため、ボール触れる時間も意識してみてください。エラシコの練習方法エラシコの練習は1人でも行えます。マーカーやコーンを設置し、相手に見立ててエラシコを繰り返し行ってください。最初は動きを確認するためにもゆっくり行い、慣れてきたら徐々にスピードを上げて行きましょう。ウィイレのように簡単にできるわけではないため、何度も繰り返すことで体に動きを染み込ませていきます。自分のエラシコを撮影し、見返してみることも有効です。まとめ今回は、エラシコの概要から行う際のコツ、練習方法などについて解説しました。エラシコは難易度の高いテクニックですが、うまくできれば、一瞬で相手を抜き去ることも可能です。今回紹介したコツや練習方法を参考に、エラシコの練習に取り組んでください。
2021年08月16日世間はお盆休みですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。休暇をとられている方も、世間のカレンダーとは逆にお仕事の方も、お子さんが夏休みのこの時期に色々と考えることがあるのではないでしょうか。本日は、ジュニアサッカー(少年サッカー)の保護者向け情報サイト「サカイク」で2021年1月から7月に配信した記事の中でみなさんの注目度が高かった記事をランキングでご紹介します。記事配信当時に見逃した方も、サッカーを通して子どもを自立させる方法など参考になることがたくさんありますので、ぜひいま一度ご覧ください。第5位サッカーの保護者づきあいで疲れないために知っておきたい、面倒な質問をうまくかわす「答え方」子どものサッカーで親のストレスとなるのが、「親同士の付き合い方」という声はたくさん聞かれます。子どもの年齢は同じでも、親同士は年齢も育ってきた地域や環境もバラバラなわけで、普段の友人づきあいや会社での人間関係とはまた違うコミュニケーションの場でのやり取りがストレスになることもありますよね。子どもや家族の話など、あまり答えたくないことを聞かれて相手に苦手意識を持つことも。そんなとき、カドが立たない質問返し「かわし術」を身に付けると気が楽になるそう。あくまで「スキル」なので、今から身につけて実践することが可能です。子どものサッカーがしんどい、と親御さんが疲れてしまわないため会話術をご覧ください。記事を読む>>第4位昔と今の子どもを取り巻く環境の違い、最近の子がやる前から「無理」「やらない」という理由とは「子どもにはちゃんと年齢なりに自立していってほしい」と思っている方は多いですよね。そのためにはいろいろ体験して失敗も経験しつつ学んでいってほしいところですが、最近の子は失敗することを怖がり、失敗しそうなことにはやる前から「無理」「やらない」という事も多いそう。そして、「自由にしていいよ」と言われると思考がフリーズする現代の子どもたち......。どうして子どもたちはそんなに失敗が怖いのか。サッカーも、失敗をすることで上達していきます。子どもたちの「無理」「やらない」を解消するために親ができることは何か、参考にして下さい。記事を読む>>\夏休みの自主練にピッタリ/「テクダマ」DVDプレゼントキャンペーン開催中! >>第3位子どもたちに聞いた、サッカーで親に言われて「嬉しい言葉」「イラっとする言葉」とは!?みなさんは自分の子どもがサッカーのことで親に言われてうれしい言葉って、どんな言葉だと思いますか?逆に言われてイラっとする言葉は?普段お子さんがどう思っているのか、気になる保護者の方も多いですよね。子どもたちに本音を聞いてみたので、その回答をご覧ください。記事を読む>>第2位今まで続かなかった子もこのノートなら続けられる! 親が言わなくても習慣化しやすいサッカーノートに隠された工夫サッカーノートがいいことは知っているけれど、続かなかった......。というお子さんも多いと思います。何とか習慣化させたいと思っている親御さんは多いものですよね。ノートを渡したからと、誰でもがひとりで書けるものではありません。続けるために親ができるサポートを、サカイクサッカーノートの開発に携わったしつもんメンタルコーチの藤代圭一さんに話を聞きました。記事を読む>>第1位「元日本代表が教える」というのが売りのスクールで、新米女性コーチに保護者から不満の声。保護者を納得させる方法を教えて普段はお父さんコーチからの指導の悩みに答える連載に、はじめて女性コーチから届いたお悩み。「元日本代表が教える」が売りのスクールで働く新米女性コーチ。子どもたちと年齢が近く親しみやすいのが自分の特長だけど、保護者からは「元日本代表のコーチに教えてほしいのに」と不満が漏れる。指導理念やカリキュラムは共有しているがどうしたら保護者に納得いただけるのか、というご相談をいただきました。元プロが必ずしも優れたコーチではないのです。子どもを伸ばすために指導者に求められることとは。記事を読む>>いかがでしたでしょうか。これからも親御さんご自身が考えるきっかけになったり、チームがよくなるきっかけになる記事を配信していきますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。\夏休みの自主練にピッタリ/「テクダマ」DVDプレゼントキャンペーン開催中! >>
2021年08月12日今年も猛暑が続いています。暑い中、練習をがんばっているサッカー少年少女の中にはすでに夏バテになっている子も少なくないことでしょう。子どもが夏バテで「どうしても食べられない」ことに悩む保護者は多いもの。「運動量が多いのに栄養が足りないのでは?しっかり食べさせるべき?」「そうめんやゼリーだけでも食べれば良しとしていいの?」と言う声も少なくありません。香川真司選手の管理栄養士であり、プロアスリートやサッカーチームを栄養面で長年サポートしてきた吉村俊亮さんに、夏バテでどうしても食べられないときはどうしたらいいか伺いました。(取材・文:小林博子)<<前編:サッカー少年の親を悩ます、子どもの夏バテ対策に効果的な栄養素と朝ごはん■夏バテで食べられないときは、ゼリーなどのど越しのいい食材だけでも良しとする夏バテで心配になるのは食事量が減ったり、ゼリーやそうめんなどつるんとした冷たいものしか食べなくなったりすること。活動量が多いサッカーをする子どもには栄養が足りているのか心配ですし、成長期でもあるだけに、食べない日が続くのは悩ましいものです。「お子さんが夏バテで食べられないなら、まずは何かをとりあえず身体の中に入れるだけでも大丈夫です。栄養補給ゼリーやそうめんなど、喉越しの良い食材だけでもかまいません」そう話してくれたのは、プロサッカー選手の食事サポートも行っている管理栄養士の吉村俊亮さん。専門家からそう言ってもらえるのは、子どもの夏バテによる食欲減退に悩む親御さんたちもひと安心ではないでしょうか。どうしても食べられないときは、栄養補給ゼリーなど、口にできるものだけでも構いません(画像はイメージ)■栄養素よりも、まずはカロリー!前回の記事でも解説した通り、夏バテは食欲の低下によりエネルギー不足が続くことが一つの原因です。夏バテで食べられなくなった場合は、栄養価よりも「エネルギー摂取」に重点を置くことが先決と吉村さんは言います。ですので、ゼリーでもそうめんでも、口に入れることができるもので、1日に必要なカロリー数を満たすことを意識してみてください。サッカーをする子どもたちは、1日3000kcalを目標にしましょう。■夏バテにはそうめんより蕎麦カロリー摂取すればいいからと言って、アイスやお菓子で良いわけではありません(画像はイメージ)ただし、カロリー摂取さえすればいいからといって、アイスとスナック菓子などでも良いわけではないことにはご注意ください。ゼリーは栄養補給ゼリーにしたり、子どもが嫌がらなければプロテインを摂り入れてみるのも手だそうです。また、そうめんを食べる際は、クエン酸が摂れるオレンジジュースを添えるなど、少しの工夫が夏バテからの回復をサポートしてくれるのだそう。消化されやすい蕎麦やお茶漬けがおすすめ(写真はイメージ)また、冷たい麺類を食べるなら、小腸で消化を受けづらいそうめんやうどんよりも蕎麦が良いのだそうです。小麦粉には小腸で消化をされづらいフルクタンという発酵性糖質が多く含まれているため、夏バテで消化機能が弱まっている際には消化をされにくいものを食べ過ぎないほうが良いからです。そんな理由からおすすめなのが「お茶漬け」。小麦粉からできた麺よりも米のほうが消化されやすく、さらっと流し込めるので夏バテ中でも比較的食べやすいはずだと吉村さんが教えてくれました。■少しでも食べられるようになったら......夏バテが回復傾向になり、少しずつ食欲が戻ってきた際には、その回復スピードを上げる栄養のある食事を摂れるといいですね。吉村さんに伺うと、意識したい栄養素は水溶性のビタミン類、特にビタミンB群だと言います。ビタミンBと言えば、ほうれん草と豚肉と......、と細かく考えてしまいますが、そこまでストイックにならなくてOKです。吉村さんいわく、結論としては「いつも通りのバランスの良いメニュー」がビタミンB群摂取としても有効なのだとか。1つの食材に固執せず、肉や魚、野菜や海藻など、バリエーション豊富に食べることも大切です。「バランスよく」とは、和食だったら一汁三菜でしっかりバランスの良いご飯に近づきます。さらに夏バテ対策としては柑橘類を添えるとベストだそうです。柑橘類はフルーツではなく、100%オレンジジュースなどでも良いとのことなので、気軽に実践できるのではないでしょうか。なぜ柑橘類がいいのか?その理由はこちら>>■規則正しく食べる生活にシフトを前回の記事で、夏バテになる子とならない子の違いは「食べられるかどうか」だと吉村さんが仰っていましたが、もともとの体質だけでなく、生活習慣でも「食べる力」は変わってくると言います。やり方は簡単で、朝昼晩、食事時間をできる限り規則正しく設けること。次の食事の時間が分かっていることで、無駄な間食が減り、食事のときに「お腹が空いていない」ということが起こりにくくなります。夏休みはその習慣が崩れがちです。食べる内容とともに食べる時間も可能な範囲内で意識してみましょう。■夏バテも熱中症も予防する水分補給のコツ夏バテとともに、暑い時季に心配な熱中症。適切な水分補給で熱中症対策も万全に行いたいところですね。そんな水分補給ですが、夏バテ予防のためには「冷たすぎない方がいい」という説も昔からよく言われていることです。ところが、吉村さんからのアンサーは「冷たいほうがいい」とのこと。水分補給の目的は深部体温(身体の内側の体温)が上がりすぎるのを防ぐことであり、これは夏バテ対策にもつながります。温度としては5~15℃。飲んだ時に冷たいと感じるくらいの温度です。また、夏は汗を大量に書くことによりミネラルがどんどん失われますので、スポーツドリンクを選ぶようにしましょう。■水分はどれくらい摂ったらいい?夏バテと熱中症対策のために甘いスポーツドリンクをたっぷり飲むことで、お腹が膨らんで食事量が減り、それも夏バテの一因になるのでは?と次から次へと心配事が浮かびますが「適切な水分摂取」につながる、正しい摂取量を把握したいところですね。その答えは個人差があり一概に「1日何リットル」とは言えないそう。確実に把握するためには、練習前後の体重計測が有効です。体重の減少率が練習前と比べて1%以内であれば、汗で失われた水分をある程度補えていることになります。合わせて、練習後の尿の色もチェックをした方が良いと吉村さんは言います。尿の色は"薄い黄色"がベストだそうです。これを繰り返すことで、自分にとっての適正量を感覚でつかめるようになります。チームで行うことがベストだとのことですが、体重計測が難しい場合は、せめて尿の色だけでもチェックするように伝えてみてはいかがでしょうか。■スポーツドリンクの注意点夏バテと熱中症の予防には水分補給も大事(写真はイメージ)スポーツドリンクは「甘すぎるから薄めてほしい」と子どもから言われて水を足したり、氷を大量に入れたりしがちですが、「摂取する水分と糖分、ミネラルのバランスが大切なので、できる限り薄めずに飲ませましょう」と吉村さんは言います。そうすることで、ドリンクに含まれる成分が最大の効果をもたらしてくれるからだそうです。また、スポーツドリンクは水分補給だけでなく、エネルギー補給を目的としているものも多数あり、糖分が多めです。ですので、飲んだ後に少量の水で口の中の糖分を流すことを意識したほうが良いのだそうです。練習中の口腔内の不快感が軽減されるのと、虫歯予防にもつながるためなのだとか。■プロサッカー選手はどうしている?暑いのは子どももプロ選手も同じ。食事による夏バテ対策を彼らはどうしているのか吉村さんに伺うと、「夏バテ予防ではなく、パフォーマンス維持のために食事を意識し、必要なエネルギー量を満たすバランスの良い食事をする」とシンプルなお答えでした。サッカーをする小学生の1日の必要カロリーは1日3000kcalと前述しましたが、プロサッカー選手は体格やポジションなどで差はありますが、1日3,000~4,500kcalを目標にしているそう。「食べることもトレーニング」というわけです。夏バテは真夏だけの症状と思いがちですが、「秋バテ」といって秋にも夏バテと同じ症状に悩むケースも多々あるのだそう。サッカーや勉強でパフォーマンスを維持するためにも、夏バテを秋まで持ち越さないようにしたいですね。そのため対策には食事や水分の選び方やタイミングが大きな手助けになります。ぜひ、親子で意識して過ごしてみてください。吉村俊亮(よしむら・しゅんすけ)株式会社AND-U代表取締役。管理栄養士、NSCA-CPT、フードスペシャリスト、サプリメントアドバイザー、AHA-BLS-HCP。2012年より栄養指導を開始、サッカーの香川真司など世界で活躍する多くのトップアスリートをサポートしている。
2021年08月11日ユーロ2020を見ていたら、守備の「可変式」という言葉が何度も聞かれた。選手交代せずにDFラインを変更するのはサッカーの理解力、対応力も必要で、一過性のトレンドではなく今後の選手に必要なことかと思うけど、小学生に紹介するのは早い?幅と深さの使い方の理解がまだできてないU-12年代には難しすぎ?最近の子は海外サッカーもよく見ているから教えてもいいもの?とご相談をいただきました。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、今優先すべき指導についてアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<でこぼこピッチだとぐらついて転びやすい子どもたちのボディコントロールを強化する練習はある?<お父さんコーチからのご質問>池上さんこんにちは。街クラブで指導している保護者コーチです。サッカー経験があることを知っているコーチに誘われ、子どもの入団とともに指導にもかかわるようになりました。(教えているのはわが子の年代ではありませんが)今回相談したいのは、海外のトレンドを小学生年代にも教えた方が良いのか。という事です。先日開催されたEURO2020を見ていたところ、解説の方が「可変式」と口にするのを何度も聞きました。メンバーを変えずにバックラインを4枚→3枚にするシステムを取り入れているイタリアなどに対して使われていたことが多かったと思います。戦術のトレンドは時代によって変わりますが、可変式のシステムはサッカーの理解が深くないとできないし、試合の中で柔軟に対応できることは大事だと思うのです。個人的にはトレンドというか、一つの戦術として定番化していく流れでもおかしくないのかな、と。私が教えている小6は8人制から11人制への移行年代で、この年代の課題として幅と深さが上手く使えないとほかのチームの指導者からも聞くので、可変式の導入は現実的でないと思っています。ただ、最近の子どもたちは海外サッカーも見ているので、上の年代のサッカーではこんなシステムもあると話すのはアリなのかなと思ってご相談した次第です。海外サッカーから日本が学べることは多いかと思いますが、DFラインの可変式の話題は小学生年代には高度すぎるでしょうか。今やっている11人制への移行の中で混乱させてしまうことを心配しています。池上さんのお考えをお聞かせいただけると幸いです。<池上さんのアドバイス>ご相談いただき、ありがとうございます。私としては、小学生の段階で覚える必要はないと考えています。■守備の人数は変えられない、と子どもたちが思い込まないように指導しよう例えば、4バックで守っているゲームのなかで、状況を見てベンチから「ひとり前に出ていいよ」とアドバイスするのは、決して悪いことではありません。相手が3人で攻めてくる状況であれば、ディフェンダーがひとり余っている。もしくは相手のフォワードが1トップなら、守備は2人いればいい。その両方とも、ひとり前に上げればいいわけです。守備が余っているほかには、試合運びのなかであまりパスが回らないといった状況が見られれば、試合中であっても守備の人数を減らせばいいと思います。逆に、4人で守っているときに5人で攻めてきたら、中盤からひとり下がってもらわなくてはいけません。いずれにしても、4バックや3バックなど、守備の人数が決まっていたら変えられないんだと子どもが思い込まないよう、指導してほしいと思います。自分たちで自由に考えてプレーすることが重要だと伝えてください。攻撃にしても、守備にしても、基本的なことを学ぶのが小学生年代です。言葉にとらわれず、原理原則を小学生の間に理解させることが、この年代の指導者には求められます。マークするというのはどういうことなのか。サポートするというのは、いったいどんな動きなのか。何を意味するのか。そして、カバーするとはどんなものか。そんなことを自分たちで考えられるよう、指導してあげてください。■3-3-1か、2-3-2かなどのシステムより重要なこと日本の小学生年代は現在8人制です。11人制から8人に転換した際「どんなシステムが一番最適なのか」といったシステム論が盛んに取りざたされました。3-3-1がいい。いや、2-3-2だ、といった具合です。当時は、3-3-1をしいたJリーグの下部チームが強かったため、全国大会に出場するチームはほぼ3-3-1を選択していたと記憶しています。私はそれらを受けて、子どもたちがどんなシステムで戦うかということが問題ではなく、全員で攻めて守ることが重要であることを口酸っぱく言い続けました。全員で攻撃するなかでは、みんながサイドに広がっているほうがいい、前後の深さが保てるといい。そのなかで、サポートにいくということはどんなことなのかを教えてくださいと言ってきました。つまり、子どもたちがサッカーというスポーツを基本的に学ぶにはどうするか?を大事にしてほしいと考えています。■ポジションの役目と全体バランスを覚えさせることが優先そう考えると、前述したようにご相談者様が世界の戦術トレンドとおっしゃっている可変式、ポジションのチェンジは小学生の間に特に教えることはしなくていいでしょう。例えば、サイドバックが真ん中まで出てくる、みたいなことは教えないほうがいいかもしれません。それよりも、その子が守っている「左サイド」はどんなポジションでどんな役目があるのかを集中して学んでもらったほうがいいと思います。そのように話すと「子どもは自由にプレーさせたほうがいいのでは?」という意見も出てきます。私も子どもが自分で考えて自由にプレーすることは歓迎します。ただ、この年代では「全体のバランスを覚えること」を優先させてください。左サイドの子どもが、あまりに右のほうへ移動してしまうと、左サイドが空いてしまいます。そうならないよう、いつもいいバランスでポジショニングすること。左と右の関係、前と後ろの関係といったサッカーの原理原則を伝えてください。そこをクリアして、もう少し理解度が上がっていったら、さまざまなことにトライできます。■基本を理解させず、世界のトレンドを教え込むとバランスを崩す例えば、左にプレーがスピーディーで攻撃力のある選手を置いておきます。そのうえで、みんなが右に動いておいて、左サイドを空けておく。右サイドに相手を引っ張っておいて、左にスペースを作ったら、そこにサッとボールをつなぐ。そんなチーム戦術がとれます。ただし、そういった戦術を理解して実践していくのは中学生からでよいでしょう。中学生になって、ひとつのポジションにいるだけでは相手のマークを外せないので、さまざまな崩し方を覚えていく。そういった段階的な指導をすればいいと私は考えます。小学生の段階で基本を理解させず、いきなりそういったものを教え込んでしまうと、わけがわからなくなってバランスを崩してしまいます。池上正さんの指導を動画で見る>>■オシム監督の疑問「日本はどうしてそんなにシステムにこだわるのか」(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)日本の小学生は、まだ団子サッカーから始まります。自分が「ここが良い」と思ってドリブルするし動いています。サッカーの理解ではなく、自分のことしか考えていない。全体のバランスとかは考えていません。したがって、ベンチにいる大人たちから「(相手に)つられて中に行き過ぎるな」という言葉がよく聞かれます。そんな声が出るのは、全体のバランスがよくないと、攻撃が単発になってしまうからです。日本人は、基本的にサッカーのシステムの話が好きなようです。オシムさんが日本代表の監督時代、記者会見でシステムに関する質問ばかり受け「日本の記者はどうしてそんなにシステムにこだわるのか?」と若干呆れていました。オシムさんも、システムが問題ではなく、戦術の理解度が重要だと考えていました。「システムなんて何でもいいんだ。相手の攻撃の仕方によって、そんなものは変わってくるのは当然だろう?」と話していました。相手にボールをとられないよう、ゴールまで運べる。それは全体のバランスがいいからできる。そういったことを覚えるのが小学生年代だと、ぜひ理解してください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2021年08月06日今年も猛暑の夏となりましたね。この暑さで夏バテになる子どもたちも多く、食事量が減ったり、体力が落ちたりと、心配になる親御さんは多いはずです。サッカーの練習や試合で運動量が多いと思うとさらに不安になってしまいますよね。夏バテ対策を正しく行うために、まずは夏バテについての基礎知識を心得ておきたいもの。香川真司選手の管理栄養士であり、プロアスリートやサッカーチームを栄養面で長年サポートしてきた管理栄養士の吉村俊亮さんに「夏バテ」について伺いました。(取材・文:小林博子)■そもそも夏バテはどんな症状のこと?そもそも夏バテとはどんな症状のことを指すのか聞いてみると、「夏バテには、実は明確な基準はありません」と意外なお答えが返ってきました。そのため、「こうなったら夏バテです」と言い切ることは難しいのですが、夏バテには様々な症状があり、その中でも多くの人が経験したことがあるのは、以下の2つになるのではということです。・食欲低下・身体がだるくなる多くの方が1度は、または毎年のように夏になると経験する症状ではないでしょうか。明確な基準がないだけに迷うかもしれませんが、子どもが夏場に食欲が落ちて普段より食べない日が続いていたり、だるそうにしていたら夏バテと判断してよさそうです。<夏バテのサイクル>気温の上昇によって深部体温(身体の内部の体温)が上昇することで胃腸の機能が弱まり、食欲が低下する↓食欲低下により1日の食事の摂取量が少なくなることが続き、長期的なエネルギー不足に↓疲労回復が間に合わず、身体のだるさを強く感じる↓夏バテ■夏バテ予防は熱中症対策にもつながる「夏バテになっていると熱中症になりやすくなるのでは?」という懸念もありますね。実際のところ、「夏バテになるとそうでないときに比べて熱中症の危険性は高まる」と言えるそうです。熱中症に限らず、夏バテが続きコンディション不良の状態では、体調が万全のときよりさまざまなトラブルを起こしやすくなるものです。熱中症は身体の中の水分量が低下して脱水状態になり、発熱やけいれん、意識障害などを起こしてしまう恐い症状です。予防法として有効なのは適切な水分摂取と言われています。水分摂取というと、練習や試合前後に「飲む」イメージが強いものですが、実は「食べる」ことによる水分摂取も重要。汁物だけでなく、野菜や米、肉や魚などにも水分は含まれています。そのため、夏バテによる食事量の低下は体内の水分量を減らし、身体が脱水状態になり、「熱中症のリスクが高い状態」につながってしまいかねません。■夏バテ予防/夏バテからの回復のために摂りたい栄養素せっかく食べるなら、夏バテ予防にもつながる食材や栄養を積極的に摂りたいですね。吉村さんに伺うと、夏場に意識して食べてほしい食材として下記をあげてくれました。・柑橘類・梅干しこれらには「クエン酸」が豊富に含まれます。クエン酸は疲労回復に一役かってくれる存在で、疲れやだるさを感じにくくするサポートをしてくれるのだそうです。食欲が落ちがちな暑い日でも、レモンやグレープフルーツ、梅干し入りのおにぎりなどなら、さっぱりとしているので比較的食べられるという子どもも多いはずです。■クエン酸の摂取は「練習後」クエン酸を含む食材に関して1つだけ注意事項があると吉村さんは言います。それは、夏バテ予防のために積極的にたくさん摂取するなら、タイミングは練習「後」がベターということ。理由は、クエン酸が「エネルギー代謝効率を低下させる」という作用を持ち、身体からエネルギーが発散されにくい状態にするからだそうです。つまり身体が「省エネモード」になるので、「夏場の練習時、特に夏バテ予防を意識するとしたら摂取するタイミングに注意しましょう」とアドバイスをくれました。■夏バテになりにくい子ども・選手の特徴「うちの子は毎年夏バテになる」と悩む親御さんがいる一方で、「夏バテとは無縁」という子もいます。体質や生活習慣の違いからくるものなのでしょうか。吉村さんは長年の経験から、「夏バテになりにくいのは"食べられる"子」に圧倒的に多いと言います。普段から食が細く、あまり食べられない子どもは、夏バテ予防を入念に行ったほうがよさそうです。朝昼晩、3食すべてが大切ですが、特に注目したいのが朝食だそうです。朝食で水分や塩分、ミネラルを身体に蓄えた状態で1日のスタートができるかどうかに身体のコンディションが左右されるからです。前述した熱中症のリスクのことも考えると、以下のような流れになるのです。しっかり食べられる↓夏バテしにくい↓食べられるから食事で水分も摂取できている↓熱中症にもかかりにくい食事の大切さがよくわかりますね。■超簡単朝ごはん写真はイメージですそうはいっても、この暑さの中でしっかり食べさせることに苦心している親御さんはたくさんいるはず。特に時間に追われがちな朝ごはんをしっかり食べさせるというのは負担が大きいものです。そんなお悩みを解決してくれる吉村さんおすすめの朝ごはんメニューがこちらです。・ごはん 1膳・納豆 1パック・卵1個・牛乳 1杯・オレンジなど柑橘系フルーツジュース 1杯「え?これだけでいいの?」とびっくりしますが、朝食で摂りたい栄養を理想のバランスで摂れるのだとか。火も包丁も使わずに5分で用意できるのもありがたいですよね。なお、上記でだいたい500~600kcalになります。小学校高学年以上の子どもたちはご飯は山盛り(260g目安)にし、納豆は2パックにすると必要なエネルギー量を満たします。まだまだ暑い日が続きます。夏バテのリスクは常に隣り合わせです。夏バテ知らずの夏になるよう、食事を少し工夫してみてください。また、子どものサポートをする親御さんも炎天下のグラウンドで過ごすことが多いはず。夏バテにならないように子どもとともに食事を工夫してご自愛くださいね。後編では、夏バテでどうしてもご飯を食べられないときはどうしたらいいのかを伺います。吉村俊亮(よしむら・しゅんすけ)株式会社AND-U代表取締役。管理栄養士、NSCA-CPT、フードスペシャリスト、サプリメントアドバイザー、AHA-BLS-HCP。2012年より栄養指導を開始、サッカーの香川真司など世界で活躍する多くのトップアスリートをサポートしている。
2021年08月05日今年からサッカーを始めた息子。みんなとは経験年数が違い、初心者なのでまだまだ下手。それでも人数の関係で試合には出してもらっているけど、プレーで足を引っ張るのでチームメイトから心無い言葉をかけられる。コーチも保護者も黙認している。これって普通なの?親が介入すべき?とのご相談をいただきました。わが子がチームメイトからひどい言葉をかけられていると知った時、みなさんならどうしますか。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、悩めるお母さんに3つのアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<Jクラブで仲間に見下される息子に自信を取り戻してほしい問題<サッカーママからのご相談>こんにちは。これまでも似たような質問があったかもしれませんがご相談させてください。子どもがチームメイトから心無い言葉を投げかけられています。監督、コーチがそれを黙認してます。これって普通なのでしょうか?息子は今年からサッカーチームに入りました。みんなが一斉に入団した小1の時は興味を示さなかったので、これまで運動系の習い事などはしてきませんでしたが、3年生の終わりごろに自分もサッカーしたいと言い出したのでこの春入団させました。周りの同級生とは経験年数も違うし、当然ですが初心者なのでど下手です。ですが、人数が少ないこともあり、試合には出場しています。練習でも試合でもみんなと同じレベルでプレーできないので、同級生の子たちはど下手な息子にイラつくようで、度々「何やってんだよ」「はあ?そんなこともできないのかよ」「足引っ張んなよ」などと言われたりしています。それを監督もコーチも目の前で見ていますが、特に何も言いません。子どもたちの保護者もです。言われてもしょうがないと思っているのかもしれません。息子は第一子で、親の私がこれまで保護者付き合いをほとんどしてこなかったこともあり、これが普通なのかわからないのと、どうしても下手な子の親は肩身が狭いというか、発言しにくい雰囲気を感じています。こんなとき、親として介入すべきなのでしょうか。<島沢さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。10歳なので小学4年生くらいでしょうか。息子さんがチームメイトから「足を引っ張るな」などと心無い言葉を言われているのは、お母さんにとってもお辛いですね。ただ、ご相談文には言われた息子さんの様子は書かれていないので、息子さんの反応や気持ちが気になるところです。■「こうすれば解決する」という正解はなかなか見つからないとはいえ、息子さんが傷ついているであろうことは想像に難くありません。彼の傷をどう癒し、どう解決していくか。親としてはとにかく何でもしてあげたい。一日も早く楽にしてあげたいと考えるのが当然です。しかし、「こうやれば解決しますよ」という虎の巻はなかなか見つかりません。例えば、お母さんが保護者一人ひとりにお願いする、子ども一人ひとりを叱る、コーチに苦情を言って監視してもらう。はたまた、そんなチームは早くに見限り早々に移籍する。さまざまありますが、私はどれもお勧めできません。理由は、息子さんの成長につながらないからです。■「助けなくては!」と焦らず、親御さんの思考を整えましょうじゃあ、どうすればいいか。あらかじめ言っておきますが、解決法はひとつではありません。ケースバイケースです。以下はあくまで私がお母さんだったらどうするか、という視点でアドバイスを三つお伝えしますね。ひとつめは、自分自身のマインドセット(固定化された考え方)を整えること。息子のピンチだ、助けなくては!と思うと、余計に焦って感情的になりがちです。今回の出来事をピンチだととらえずに、息子さんも、ご自分もともに成長するチャンスととらえましょう。成長するには、上述したような過干渉な方法は選択しないことです。■まずは落ち着ける環境で話を聞く作業を!気持ちを吐き出すとスッキリするそしてふたつめ。息子さんとこのことについてじっくり話しましょう。どんな気持ちなのか?どうしたら解決できるのか?ひとつずつ問いかけ、どんなときにどんなふうにいわれたのか?そのとき、自分はどんな態度をとったのか?コーチたちはどんな様子だったのか?それらをなるべく具体的に話をしてもらいます。息子さんの話を聴くときは、自宅の廊下や台所で立ち話、というものではなく、例えば送迎の際の車の中で二人きりの時や、他の家族がいない時にじっくりリビングでお茶やジュースを飲みながら話を聴いてあげてください。その際は「それは嫌だね」「よく我慢したね。ママならぶん殴っちゃうよ」とお子さんの気持ちに寄り添ってあげてください。そして、「あなたはまったく悪くない」「我慢しなくていいんだよ」「ママは君の味方だからね」ということを繰り返し言い聞かせましょう。この話を聴く作業だけで、お母さんの役目は半分果たせています。子どものほうも、たとえ名案が浮かばなくても、親に自分が傷ついた出来事を話せば、かなりスッキリします。お母さんが、例えば誰かに愚痴などを聞いてもらうのと同じ感覚です。■嫌なことは嫌、やめてと言えるようにしよう三つめは、息子さんは仲間に「そういうことは言わないでほしい」ときちんと言えているのかを尋ねてください。お母さんが「下手な子の親は肩身が狭いというか、発言しにくい」と考えているように、息子さんも「僕はサッカーが下手だから、そういうのは言わないでとは言いづらい」と思っていないでしょうか?親子とは不思議なもので、気持ちや価値観は非常に高い確率でシンクロします。もし、息子さんがまだ抗議していないのなら、嫌なことは嫌、やめてほしいことはやめてと言えるようになることをぜひ目指してください。■「補欠だから......」と上手い子たちがいじめて良いわけはない小学校中学年くらいは、サッカーの上手い下手で子どもの間にヒエラルキーが生まれることは多々あります。ある小学校の先生に取材した際、こんな話を聴きました。そこの小学校はサッカー少年団に入る子がすごく多く、3クラスあるなかで1クラスの男子の半分近くが団員でした。休み時間にサッカーをして活発に遊んでくれるので最初はその先生も「よく外遊びしていいなあ」と好意的に見ていました。ところが、徐々にヒエラルキーに気づき始めます。「一部の子だけがいつもボールの片づけをしていたり、掃除の班のなかで、レギュラーの子が補欠の子に自分がやらなければならない掃除を奴隷のようにやらせていたんです。ほぼいじめですよね」しかも、なかには「奴隷36番」などと、サッカー少年団の背番号で呼ばれている子までいました。先生は掃除や片づけを強制されている子どもたちに「なんで断らないの?嫌だって言いなよ」と話したら、その子たちはこういったのです。「だって、僕たち、補欠だから」試合に勝てるのはレギュラーの上手い子たちのおかげ。たまに補欠である自分たちが試合に出ると足を引っ張ってしまう。「だから、命令には従わなくてはいけないと思ってたって言うんです。おいおい、それは違うだろうと諭しましたが、やらされている子たちは泣きながら聞いてるわけです。何のためにサッカーをしているのかわかりませんよね」と先生は憤っていました。その先生がすぐに少年団の保護者代表に話をしてくれたおかげで、大人たちが解決に動き、なんとかいじめはなくなったそうです。僕たち、補欠だからと、仲間の理不尽な命令に従っていた子どもたちは、きっと自己肯定感が下がっていたことでしょう。自己肯定感とは「自分は存在していい人間だ」「今の自分でいい」と自分自身に満足し、自分の価値や存在意義を肯定できる力です。別名、自尊感情とも言われ、この力が人間的な成長の土台になります。■コーチたちに問題に向き合ってもらえる話し方(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)ほかの保護者が何も言わないのは歯がゆいことではありますが、指導現場において保護者には責任はありません。なので「なんで自分の子どもが暴言を吐いているのに注意しないのか?」といちいち怒るよりは、子どもたちをより良い環境でサッカーをさせる責任と義務があるコーチの方々に「良いことではないのでは?」と話すほうがいいと思います。ただし、その際に「うちの子が傷ついてる。どう責任をとってくれるのだ?」という被害者的な思考からくる抗議では、真摯に向き合ってもらえないかもしれません。例えば、子どもはいじめる子どもと、いじめられる子が頻繁に入れ替わります。したがって、今は息子さんが傷つけられているけれど、そのうち違う状況になるかもしれません。スポーツをしていくうえで、そのような上下関係をつくらず、みんなでサッカーを通して成長できたらいいですよね。そのような主旨のことを、チーム全体を考えたうえでの意見として話すといいでしょう。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2021年08月04日小学生年代では、「全員出場させる」という方針を掲げているチームも増えつつありますが、まだまだ高学年になるとレギュラーと控えを分けるチームも少なくありません。ましてや中学や高校、プロの世界などでは上手い選手がレギュラーとして毎回スタメンで出場し続けるのが当たり前と思っている親御さん・指導者は多いでしょう。実際に高いレベルのチームで「全員がレギュラー」と打ち出しているチームは見当たりません。しかし、今年6月から7月にかけて開催されたEURO2020(※新型コロナウィルスの影響で1年延期)で優勝したイタリア代表が「全員レギュラー」を実現して話題になりました。国際大会に出場する強国の代表チームでどうして全員レギュラーを実現できたのか。マンチーニ監督の言葉を紐解きます。(構成・文:熊崎敬)■「全員がレギュラー」実に13大会ぶりとなるヨーロッパ制覇を成し遂げたイタリア。7試合に及ぶ過酷なトーナメントの中での、マンチーニ監督の次のコメントが話題となりました。「全員がレギュラーだ」これは1-0で勝った、ウェールズとのグループステージ3戦目の直後に飛び出した言葉です。すでにトルコ、スイスを破っていたイタリアは、この試合の前に決勝トーナメント進出を決めていました。そのため指揮官は、キャプテンのCBボヌッチ、GKドンナルンマ、MFジョルジーニョの3人を残して、スタメンを大幅に変更。そのことについて訊かれ、マンチーニ監督はこう答えました。「今日、我々が示したのは、全員がレギュラーということ。だれもが勝利への欲求を表現し、やるべきことを果たした。我々には特定のレギュラーはおらず、そのときピッチに立つ11人がいるだけだ」■誰が出てもチーム力が落ちなかったからこその言葉「このフレーズは勝利監督の常套句ですね」そう語るのは、名手バッジョに魅了され、イタリアに移住して23年、"カルチョ"に深く精通するジャーナリスト宮崎隆司さん。「代表監督だけではなく、少年チームの監督もよく口にしますよ。そう言うことでチームの結束が高まりますから」日本なら、しばしば耳にする「全員野球」や2019年ラグビー・ワールドカップで流行した「ワンチーム」が、これと同じ文脈でしょう。言うまでもなく、どんなチームにもレギュラーとサブのヒエラルキーがあり、それはマンチーニのイタリアも例外ではありません。ですが、宮崎さんはこう付け加えます。「今大会のイタリアはレギュラーとサブの差が小さく、誰が出てもチーム力は落ちなかった。その意味で、マンチーニの言う"全員がレギュラー"という言葉は単なる常套句ではなかったと思います」■W杯予選敗退の失意がユーロに向けての一体感や熱気を生んだ宮崎さんによると、53年ぶりのヨーロッパ制覇は3年前の悪夢を抜きにしては考えられないといいます。言うまでもない、ワールドカップ予選敗退のことです。「4度の世界一を誇るイタリア人にとって、"アッズーリ"のいないワールドカップなんてありえない。それが現実のものとなり、人々は失意のどん底に突き落とされました。ドイツ人やフランス人に嘲笑され、プライドを傷つけられていたこともあり、ユーロに向けて自然と国中に一体感や熱気が生まれたのです」監督がマンチーニ氏だったことも、もちろん大きい。「ワールドカップを逃したときの代表監督は、当時すでに70歳だったヴェントゥーラ。現役時代の実績もなければ、指導者としてもビッグクラブでの経験は皆無に等しい。戦術は古く、求心力もない。そんな監督のもとで最悪の事態が起き、あとを託されたのがマンチーニだった。マンチーニは一見、優男風に見えますが胆力やカリスマ性があり、現役時代もバッジョに次ぐ実力者として尊敬されていました。そんなマンチーニだったからこそ、イタリアは復興できた言っても過言ではないと思います」■絶対的エースがいないからこそ、総合力で戦う監督が代わったといっても、今大会のイタリアは決してタレントに恵まれていたわけではありません。「こいつがなんとかしてくれる」というエースがいないため、総合力が問われることになりました。実際に延長戦、90分、延長PK戦、延長PK戦と決勝トーナメントの厳しい戦いを勝ち上がることができたのは、マンチーニがスタメンと5人の交代枠(延長戦は6人)を上手く使いまわし、チームの力を最大限に引き出したからです。7試合すべてでスタメンを飾ったのは、前述したドンナルンマ、ボヌッチ、ジョルジーニョの3人だけ。マンチーニは登録26人中、23人を代わる代わるピッチに送り出しました。宮崎さんによると、4-3-3のいたるところにマンチーニ流の創意工夫が見られたといいます。「前線で違いを生み出すのは、左サイドの10番インシーニェ。彼の突破力を生かすために、マンチーニは左SBスピナッツォーラに献身的なサポートを要求し、スピナも驚異的な運動量で応えました。また負担のかかる中盤の3枚も、左右2枚を4人でまわし、替えが効かない中央のジョルジーニョを支えた。イングランドとの決勝戦に臨むイタリアは、トルコとの初戦からスタメン4人が異なっていましたが、こうしたことからも"全員がレギュラー"が言葉だけではなかったことがわかります」■「控え」を固定化しているチームは勝てなくなる「全員がレギュラー」それは監督ならだれもが口にする常套句ですが、言うは易し、行なうは難し。宮崎さんが身近な例を引き合いに出して解説します。「日本では中学、高校なら3学年で1チームつくりますが、イタリアは1学年で編成するので総勢20人前後。試合や合宿がマストではないこともあって、みんなが試合に出られるようになっています。そんなイタリアにもレギュラーと控えを固定化する指導者がいて、そういうチームは出番のない子が次々とチームを去り、やがて勝てなくなる。日本では"3年間控えでも、努力すれば成長できる"と言う人がいるようですが、イタリアの子はそんなふうには考えません。彼らは試合に出るために、サッカーチームにいるわけですから」全員がレギュラー。それは指導者を含めた環境に、説得力がともなってこそなのです。熊崎敬(くまざき・たかし)岐阜県出身。ライター。30年近くサッカーを中心としたスポーツの取材を続けており、これまでに訪れた国と地域は約50か国。行く先々でスタジアム巡り、草サッカー観戦に加え、サッカーにまつわる壁画探索を精力的に行っている。好きな選手はマラドーナ。著書に『日本サッカーはなぜシュートを打たないのか?』(文春文庫)、サッカーことばランド(ころから株式会社)、カルチョの休日 イタリアのサッカー少年は蹴球3日でグングン伸びる(内外出版社)などがある。
2021年08月03日ジュニアサッカーの主役は選手たち。本当の意味での選手ファーストを実現するためのリーグ戦として2021年7月にスタートした「アシタノタメニリーグ・U-10」。前編では、リーグを主催する一般社団法人あしたのためにプロジェクト代表の久保田大介さんに、リーグを立ち上げた理由などを伺いました。後編では久保田さんが「イチ押し」と語る、子どもの主体性を伸ばすハーフタイムのレギュレーションなどをご紹介します。(取材・文:松尾祐希)開幕戦に参加したチームの選手たち(提供:アシタノタメニリーグ・U‐10)<<前編:周りを見る余裕と試合運びが身につく!新設U-10リーグの「特別な」レギュレーションとは■大人の介入を最小限にすることで子どもたちが主体的に話し合うようになる――環境作りの面では、親に対するお願いもルールに含まれており、指導者のコーチングや親の指示も制限しています。その狙いを教えて下さい。あくまでジュニアサッカーの主役は選手たちです。そこを履き違えている指導者は少なくありません。大人が自分を表現する場、週末は主役になれる。そうした大人主体の話ではなく、本来は選手たちのサッカーであるはずなので、主役を選手たちに戻してあげたかったんです。保護者の人たちは反対サイドで見守るだけにしてもらったのはそのためです。大人が介入するのを最小限に留めるので、ハーフタイム、試合前、試合後を含めて選手たちから自然と「今日の試合どうしようか」という話し合いが生まれます、ピッチ内でも自分たちで話し、ハーフタイムに指導者から何か言うのではなくてあくまで選手同士で和気藹々としながらサッカーのことを考えていく。それを指導者が見守るような形にしたいんです。試合後も大人は説教をしない。ジュニア年代ではそのような形が望ましいと思っています。指導者からすれば口出しをしないことが怖いかもしれませんが、勇気を持って1試合やらせてみると発見があります。私は元広島観音高校の監督でボトムアップをベースに長年指導してきた畑喜美夫先生にお世話になっている関係で畑先生と一緒に合宿を企画・開催したのですが、その際に参加した指導者が選手の変化に驚いていたのを目の当たりにしました。1回勇気を持って選手に任せてみると、いろんな発見があります。そうしたことも含め、このリーグ戦を通じて指導者も子どもたちと一緒に成長してもらえるといいですね。「アシタノタメニリーグ・U-10」のレギュレーション基本は8人制だが、対戦チーム同士の合意があれば、人数変更もOKハーフタイム7分のうち、5分は選手だけの時間とし、指導者はベンチから離れる。指導者は何か伝えたいことがあるならば、2分以内にまとめる力が必要になる。試合時間を長くし(25分ハーフ)、試合運びに緩急をつけることを学ぶ。また、長い時間なので必然的に多くの選手を出さなければいけなくなる。リトリートラインの設置(ゴールキックは必ずGKが蹴る)ユニフォーム&用具の細かすぎる規定を廃止しきたりだけの挨拶、やめましょう(試合後は歩み寄ってグータッチ)得失点差、総得点の廃止。大差ゲームをなくすため勝ってるチームがゴール後にボールを持ち帰る行為はイエローカード。試合開催日の夜、オンラインで指導者同士の「感想戦」を実施■ハーフタイムも子どもたち主体で。指導者が話せるのは2分だけハーフタイムは子どもたちが主体的に話し合う場になっている(提供:アシタノタメニリーグ・U‐10)――そういう意味では7分間のハーフタイムにおいて、2分間しか指導者が話してはいけないルールは、子どもたちの自立を促すきっかけになりそうですよね。僕の中でハーフタイムの過ごし方はイチ押しです(笑)。選手に任せる取り組みは他でもやっているかもしれませんが、コーチと選手の時間をそれぞれ設けているレギュレーションはあまりありません。私が目指しているのはボトムアップとトップダウンの融合。指導者が先に話すか後に話すかは各チームに任せるつもりです。最初に大人が話してしまうとそれに子どもたちが合わせてしまう可能性がある一方で、最後にコーチが話をすると今まで子どもたちが話してきた内容を全否定する場合もあります。指導者が大事なことを伝えつつ、選手たちの意見を尊重する。大人たちが状況に応じて話をしつつ、うまく子どもたちの考えを引き出していきたいですね。■失敗の繰り返し、無駄なことも通じて経験を積んでいく――指導者の中には教えすぎている方もいるかもしれません。そういう意味ではハーフタイムのレギュレーションは子どもにとってプラスになりそうですよね。そうですね。私は年齢に合う指導をすべきだと考えています。サッカーは幼少期からしっかり教えないといけないという風潮もありますが、子どもの習性としてはボールがあるところに行くのが当たり前。だけど、団子サッカーをさせないようにする風潮もある。私は子どもらしくて団子サッカーでもいいと思うんです。なので、U-10のリーグではいろんな失敗を繰り返して、無駄なこともやりながら、経験を積んでいく。10歳なら10歳なりの失敗がありますし、無駄なことをしてしまうサッカーから得るものもあります。さらに年齢が下がれば、もっと自由にやればいいかもしれませんし。私は小学生だけではなく、中学生や高校生の指導に携わってきた経験があります。例えば、高校生なら18歳なりのサッカーをすべきですが、難しさがあります。何故ならば、大人でもないけど、子どもでもないからです。なので、大人のような全てしっかりした無駄なことのないサッカーだけをすべきではないけど、子どものような幼稚なミスを避けながらプレーをしないといけません。つまり、年代に合うようなサッカーを各カテゴリーで行うべきだと考えています。ジュニア年代から次のカテゴリーに繋げていくためにも、U-10世代から11人制に移行した時を見据えて指導をしていくべきではないでしょうか。■8人制から11人制への移行のギャップを無くしたい――"アシタノタメニリーグ・U-10"を通じ、子どもたちにどのような成長をしてほしいと考えていますか?私は本当のフットボール人生が始まるのは、ジュニアユース年代からだと思っています。なので、「進級したのでやっと大人のサッカーができる」というマインドで中学に行って欲しいですね。ジュニアユース年代では8人制から11人制に変わり、ボールもピッチサイズも変わっていきます。別のスポーツと言ってもいいぐらいの違いがある中で、ジュニア年代でそのギャップを少なくしたいと考えています。相手の状況を見て引くなど、試行錯誤しながらいろんな経験値を持つ。そんな選手に成長して、中学年代に進んでほしい。次に繋げるという意味ではリーグ戦において試合を行う人数は8人ではなく、できれば1人増やして実施することが望ましいかもしれません。9人制だと、8人制よりも11人制にリンクしやすいと思うからです。リーグ戦で負けたチームに対してどうするかを考えてもう1度戦うことも含め、U-10年代から本来のリーグ戦を味わって欲しいなと思っています。■サッカーは社会とリンクしている。サッカーを通じて人として成長してほしい――これから子どもたちにとって本当のサッカー人生が始まっていく中で、"アシタノタメニリーグ・U-10"をどのように発展させていきたいですか?将来的なビジョンは今回参加してくれるU-10のチームに来年も参加していただき、来年はU-11でも行いたいと考えています。そして、3年後にはU-10からU-12のカテゴリーが揃え、年代によって試合時間も変えながらそれぞれリーグ戦が行えるようになるといいですね。U-12なら30分ハーフの11人制でもいいかもしれませんし、日々発展させながら最終的には全国各地で実施できるようにしたいです。そして、子どもたちにはサッカーを通じて、人として成長もしてもらいたいです。「サッカーをしてきたからこそ、柔軟な人間になった」、「サッカーをしてきたから自分で工夫する癖がついた」、「サッカーを通じて遊び心が豊富になった」、「自由の意味を理解した」。何か一つでもいいので得てもらいたい。サッカーと社会はリンクしているので、サッカーのリーグ戦を通じてそういうところも僕は発信をしたいですね。久保田大介(くぼた・だいすけ)東京都出身。1999年~2020年5月まで、SUERTE juniors横浜(現・LOBØS.FC)代表・監督を務める傍ら、2004年~2016年3月まで都立国際高校女子サッカー部 や世田谷区の公立中学サッカー部などで指導に携わる。現在は"一般社団法人あしたのためにプロジェクト"の代表を務め、2021年6月に"アシタノタメニリーグ・U-10"を創設した。アシタノタメニリーグ・U‐10 ホームページはこちら>>
2021年08月02日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は初心者に多い、「インステップキックが蹴れない」という悩みを改善するトレーニングをご紹介します。広大なスペースがなくても公園などのちょっとした場所でできるので、ぜひ親子で遊びながらチャレンジしてみてください。インステップキックは、強いボールを蹴る時に多く使用し、ロングボールや強いシュートの際によく使います。試合の中ではいくつかのキックを使いますが、強いボールを蹴る時に使うのがインステップキックです。しかし、初心者はインサイドキックはすぐ身についても、強く蹴るインステップキックががなかなか難しいもの。身体が小さい・細くて筋肉がないから強いキックが蹴れないわけではありません。コツを覚えれば、誰でも強いキックが蹴れるようになります。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、試合の中でインステップを使って強いボールを蹴ることができるようになります。親は難しい動きは一切ありません。【蹴り方のコツ】1.助走は正面ではなく、少し斜めに入る2.蹴る方の足のつま先は外側に向ける3.靴紐の結び目のあたりをボールに当てる4.蹴る時に軸足はボールの横に置く5.軸足は膝を少し曲げた状態で踏み込む6.腕の振りを加える。右足で蹴るなら左手を振り上げて蹴るそれぞれのポイントを意識しながら一連の動きを反復する【トレーニングのポイント】・親は膝でボールを支え、キックの衝撃を和らげる・親は手でボールをしっかり押さえる・子どもが動きのポイントを覚えたら、ゆっくりパス交換で蹴る練習を行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2021年07月31日昔の子に比べると技術がありスマートなプレーをする子が多いが、平たんでないでこぼこピッチだと一気にプレーの質が落ちる。バランスを崩して転びやすくなる子も多くイレギュラーバウンドへの対応力がない。練習環境が良すぎる日本の環境が原因?遊びを取り入れながら、足場の悪い環境でのトレーニングもしたほうがいい?というご相談をいただきました。皆さんのチームではどうですか?今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、海外の育成環境の事例やJクラブトレーナーの言葉をもとにアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<「元日本代表が教える」というのが売りのスクールで、新米女性コーチに保護者から不満の声。保護者を納得させる方法を教えて<お父さんコーチからのご質問>こんにちは。私は街クラブで教えている保護者コーチです。指導年代はU-10~U-12です。ご相談したいのは、足場の良くない場所での練習についてです。最近の子どもたちは、昔に比べて粗削りな選手が少なく、みんなスマートで上手な動きをしますが、それは整備されたピッチの上でのことであり、グラウンドコンディションが良くないところでのプレーだと一気に質が下がります。バランスを崩して転ぶことも増えます。静止した状態のリフティング練習と一緒で、きれいで平らなグラウンドでの練習だけではボールがちょっとずれたときの調整力など、試合で咄嗟の時に使う技術がなかなか身につかない気がしてます。もちろん今サッカーを楽しんで中学以降も続けてくれることが一番なのですが、今どきの子は細身で体幹が弱く、相手に当たられるとグラつく子も多いので、サッカーの時間の中で身体を強くする要素も入れられたらと思っているのです。海外ではデコボコのピッチが当たり前で、イレギュラーバウンドしたボールに食らいつくのでボディコントロールも上手になると聞くのですが、やはり練習環境が良すぎることの弊害などもあるものでしょうか。砂浜など足場が不安定な環境で、遊びを取り入れたトレーニングなども考えているのですが、池上さんはどう思われますか。<池上さんのアドバイス>今の子どもたちが育つ環境を考えると、野山を駆け巡るようなものではありません。サッカーコートは土か人工芝の整備されたところのみですね。彼らの遊び方も同様です。自然の中で走り回るとかではありません。私たち世代の子ども時代は鬼ごっこが遊びの中心でしたが、今はテレビゲームなど「静的な遊び」が多いようです。しかも、地方と都市部の違いはもうあまりなく、遊び方や環境は昔とは少し違います。とはいえ現実は受け入れるしかありません。■神経系が発達する幼少期は生活の中でいろんな動きができるのが理想神経系がどんどん発達する幼少期は、山を登ったり、坂を下ったり、飛んだり跳ねたりと、生活の中でいろんな動きができるのが理想です。サッカーのトレーニングのなかに「コーディネーション」と呼ばれる体をなめらかに動かすための練習を取り入れてもいいでしょう。そのあたりは、検索すれば動画サービスでもいっぱい出てきます。そういうものを取り入れてはどうでしょうか。イングランドは、育成年代のトレーニングにクロスカントリーを取り入れたりしているようです。地面に凹凸があるので、足首を鍛えることにはなりますね。ただし、大人がそういうところばかりに気をとられ、ストイックになりすぎてしまうのもどうかと思います。もちろん砂場の練習が悪いわけではないけれど、子どもたちにはサッカーをする時間は限られています。考え方は間違ってはいないと思いますが、そのことにあまり執着する必要はないでしょう。■「ズレが生じる」ようなリフティング環境を用意して、対応力を養う南米は主に芝のグラウンドを使います。地面に凸凹があっても芝生が生えていることでクッションになっているので、足がかかったりするなどイレギュラーなことは起こりません。以前、ジーコが「人工芝なんてグラウンドではない」と話していると聞いたことがあります。その一方で、オランダは「小学生の間は人工芝でやりなさい」とオランダサッカー協会が推奨しています。小学生までは良い環境で、きちんとした技術を身につけることが必要だという考えです。ご相談者様がおっしゃるように、子どもたちがバランスを崩すようならば、まずはコーディネーションのトレーニングを取り入れてみてください。加えて、静止した状態で行うリフティングは試合で使わない技術なので、例えば走りながらやったり、二人で前に進みながらパス交換しながらリフティングをするような練習をしましょう。ひとりでやるリフティングは、ほぼ予想した通りのところにボールが落ちてきますが、二人で行うとズレが生まれます。とっさに動く体の対応力も養えるでしょう。■どこに跳ねるかわからないボールで瞬発力を向上させるもうひとつの方法は、リアクションボールを使う練習です。リアクションボールは「凸凹がついたボール」です。サカイクを運営するE-3のショップで販売している「テクダマ」も、サッカー専用に開発されたリアクションボールの一つです。リアクションボールはどこに跳ねるかわかりません。そのボールをワンバウンドさせてみたり、投げてキャッチするトレーニングを行います。ボールがどこにいくかわからないので、瞬発力の向上に役立ちます。ダイレクトでキャッチするのではなくて、まずは「ワンバウンドで取ってね」と言ってワンバウンドしたボールをとってもらいます。そうすると、子どもはだんだん構え始めます。「腰を低くしろ」とか「構えろ」などとあらかじめ大人が教えてはいけません。本人たちがそれをやり始めたところで、「パスが来る時にそういう構えだと、多少ズレても受けられるよね」と説明すればいいだけのことです。■まずは遊びの雰囲気で行うことが大事。指導しようと真剣になりすぎないことまずは「ワンバウンドでいくよ」という話をするだけでいいのです。最初はとれなくても「ワンバンで取ってねっていったよ」などと、和やかに遊びの雰囲気で行ってください。日本のコーチは練習を「できるまでやれ」みたいに真剣すぎるところがあります。そうならずに、楽しくやらせてください。上述したように、「ワンバウンドでとって」と言いながらやっていくと、子どもは構えるようになりますが、それでも取れないこともあります。「構えてても取れないことがあるよね。でも、構えないと、もっと取れないよね。試合の中でも、いつもそんなことを考えてやろうね」と伝えてください。■子どもの運動能力が低下しているのは確かだが、工夫次第で足りない部分を補えるそもそも、日本と海外ではグラウンド環境に差があります。海外は天然芝が多いので、雨上がりはピッチがスリッピーになります。そうすると、練習や試合でワンバウンドのボールが予測よりも伸びてきます。南米や欧州の子どもたちは普段から当たり前のようにやっているのですが、日本の子どもは多くが土のグラウンドなのでそんな経験ができません。今日は芝が荒れているからどうするか?といったことを学べないわけです。それに、日本では雨が降ると使えない土のグラウンドもありますね。文部科学省からも、子どもの運動能力が低下しているデータ等が伝わってきます。冒頭でお話ししたように、子どもたちの育つ環境が変化しているからです。ただ、そのあたりの足らない部分を取り戻すことは決して難しくはありません。大人が考え過ぎず、コーディネーションの回数を増やすとか、複合的な動きをしてからボールコントロールをするといった工夫をしてあげてください。池上正さんの指導を動画で見る>>■小学生年代の体幹トレーニングについてJクラブトレーナーの見解は......(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)あるJリーグのトレーナーによると、小学生の体幹教室が流行っているそうです。でも、そのトレーナーは「小学生の間は走り回っていればいいんですよ」と話していました。例えば練習中のミニゲームで勝ち負けを意識して必死でやれば、おのずと体幹(※背骨の周辺部分の胴回りのこと)は鍛えられます。プロになったときに「身体のここが弱いね」と意識して鍛えればいいのです。「小学生の間は、普通に練習していればいい」が大方の見解です。結論として、少々ピッチが荒れてても、グラウンドは絶対きれいなほうがいいと私は思います。オランダサッカー協会の考え方と一緒です。そのなかでいい技術が磨ける。いい技術を出せる。コンディションが良好なグラウンドでいい技術をつけることを、まずは考えてください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2021年07月30日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は初心者に多い、「相手の位置を見ずにボールをトラップしてしまう」(奪われやすい場所に止めてしまう)という悩みを改善するトレーニングをご紹介します。広大なスペースがなくても公園などのちょっとした場所でできるので、ぜひ親子で遊びながらチャレンジしてみてください。試合の中では、常に相手選手がいるので、相手の位置を見てボールを奪われない場所にボールを止めることが大事です。「どこに」ボールをコントロールするか、常に考えながらプレーしなければなりません。しかし、初心者は相手選手の位置を考える余裕がなく、自分のところに来たボールをそのままトラップすることも多いもの。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、試合の中で相手の位置を見て空いている場所へのボールコントロールやドリブルができるようになります。親は難しい動きは一切ありません。【やり方】1.目印で2つのゲートを作り、それを挟んで親子で対面して立つ2.親は子どもの足元にボールを転がし、どちらかのゲートを指定3.子どもはボールをコントロールし、指定されたゲートを通って親にボールを返す4.慣れたら親はボールを転がした後にゲートを塞ぎに行く5.子どもは空いている方のゲートをドリブルで突破する【ポイント】・親の動きをギリギリまで見て、どちらにコントロールするか判断する・ボールを足元ではなく方向づけてコントロール・止まらずに行うこと・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2021年07月29日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は初心者に多い、「狙った所に正確にボールを蹴れない」(味方が受けやすいところに正確にパスが出せない)という悩みを改善するトレーニングをご紹介します。広大なスペースがなくても公園などのちょっとした場所でできるので、ぜひ親子で遊びながらチャレンジしてみてください。試合の中ではパスを「どこに」出すかも重要です。味方の右足なのか左足なのか、前か後か......。見方が受けやすい場所、相手にボールを奪われない場所に正確にパスを出さなければなりません。しかし、初心者は正確に蹴ることができず、味方が受けにくい場所へのパスになってしまったり、相手選手にカットされやすい場所へのパスになってしまうことも多いもの。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、試合の中で狙った所に正確なパスを出せるようになります。親は難しい動きは一切ありません。【やり方】1.親子で対面して立ち、目印を3つ置く2.子どもは目印から少し離れて立ち、親は子どもの足元にボールを転がす3.子どもは目印をよく狙ってボールを蹴って当てるのを繰り返す4.慣れたら親子で対戦、先に3回連続で当てたら得点などゲーム性を持たせる【ポイント】・ボールを蹴りやすい位置に止める・コーンをよく見てしっかり狙う・狙って当てるのを繰り返し行う・止まらずに行うこと・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2021年07月28日7月18日(日)、柏レイソルなどで活躍した長谷川太郎氏が代表を務める一般社団法人TREが元日本代表で昨季までジェフユナイテッド千葉で活躍していた佐藤寿人氏をゲストに迎え、千葉県の"ZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREA"で「SPECIALストライカークリニック」を開催しました。今回のSPECIALストライカークリニックは一般社団法人TREが主催する"TRE2030 STRIKER PROJECT"の各ACADEMY(ストライカーアカデミー・TRE.Lab・朝TRE・ゴールスキルサーキット)に通う選手たちが参加。17時からスタートした第一部には小学校2、3年生の子どもたち、19時15分からスタートした第二部には小学校4年生から6年生の子どもたちが佐藤寿人氏とともに汗を流しました。(取材・文・写真:松尾祐希)クリニック(第一部)に参加した選手たちと記念撮影(C)松尾祐希■ピッチの中では自分で判断しなければならない長谷川太郎氏の依頼で実現した今回のSPECIALストライカークリニック。トレーニングでは佐藤寿人氏がデモンストレーションを行う場面もあり、子どもたちからは大きな歓声が上がりました。今回のトレーニングは佐藤氏が練習メニューを作成。さまざまなパターンのシュートにトライをさせましたが、その狙いについて佐藤氏はこう話します。「ストライカーに特化すると、判断の答えは選手たち自身で持たないといけません。育成年代のうちに考え方を整理し、アイデアを与えてあげることも大事なのですが、最終的な判断はピッチに立っている選手で行わないといけません。育成年代の時から意識をしないといけませんし、プロの世界では一人の選手として勝負する必要があります」「特にストライカーはそれが顕著になっていくので、将来を考えた上で今回のトレーニングメニューを作成しました。今回のクリニックをきっかけに考え方を整理してあげたい。自分でいかに判断をして、持っている技術を発揮していかにゴールを奪うか。これを今回のトレーニングメニューで落とし込みたいと考えていました」■高学年ではより実践に近い練習を実施選手たち自身が考えて動くことを重視して指導していた佐藤寿人さん(C)松尾祐希低学年の子どもたちを対象とした第一部では浮き球のシュートやステップワークを用いたシュート練習などをメインに実施。高学年の子どもたちを対象とした第二部ではステップワークだけではなく、より実戦に近い形でシュートを放つ形でトレーニングを実施。ランダムにボールを出すことでシューターに判断が求められるシュチュエーションとするなど、選手たちも技術の向上を目指して積極的にチャレンジをしていました。どちらのクリニックでも佐藤氏が練習メニューの意図を説明するだけではなく、選手たちのチャレンジする姿勢を引き出すような声掛けと自ら判断する重要性を助言。選手たちもJリーグ通算220得点を奪ったストライカーの言葉に対して、真剣に耳を傾けます。すると、時間の経過とともに動きが良くなり、終盤にはコーチ陣から何度も「ナイスシュート」という言葉が聞かれるようになりました。■最後はスペシャルマッチでプロの技を見せた一部、二部ともにシュートメニューを消化した後にミニゲームを行い、佐藤氏もフリーマンとして実際にピッチに入って選手たちの指導にあたりました。また、選手たち同士のミニゲームだけではなく、最後はコーチ陣と選手たちのスペシャルマッチを実施。佐藤氏だけではなく、長谷川氏も参加して元Jリーガーの技を惜しげもなく披露しました。練習後は佐藤氏にサインを求める列ができるなど、大盛況で幕を閉じた今回SPECIALストライカークリニック。主催したTREの長谷川氏も「本当にわかりやすくトレーニングを進めてもらいました。子どもたちも自分の考えをもとにプレーを遂行しようとしてくれていました。今後もまた協力してもらえると嬉しいです」と語り、子どもたちが新たな刺激を受けたことに頬を緩ませていました。
2021年07月28日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は初心者に多い、「相手選手の動きがよく見えてない状態でパスを出してしまう」(ボールを奪われるリスクが高い状況でパスをしてしまう)という悩みを改善するトレーニングをご紹介します。広大なスペースがなくても公園などのちょっとした場所でできるので、ぜひ親子で遊びながらチャレンジしてみてください。試合の中では常に相手選手がボールを奪おうと狙っています。自分が持っているボールを味方にパスしたときに、カットされないように相手選手の動きをよく見てパスを通せる状況を作ることが大切です。 しかし、初心者は相手選手がちゃんと見れていないため、味方に出したパスを取られてしまう事も多いもの。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、試合の中で相手にボールを奪われないように状況を判断しながらパスを出せるようになります。親は難しい動きは一切ありません。【やり方】1.親子で対面して立ち、それぞれのそばに2つ目印を置く2.相手の目印に向かってボールを投げる3.親は空いている目印にボールを当てる、子どもはそれを防ぐために横に移動しながらキャッチ4.慣れたら足で行う目印に当てたら得点など、ゲーム性を持たせると楽しめる【ポイント】・ギリギリまで相手をよく見る・目印を狙う様子を見せない・相手の逆方向を狙う・目印に当たらなくても気にしない・力まずリラックスして行う・止まらずに行うこと・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2021年07月27日本当の意味での選手ファーストを実現するためのリーグ戦として、一般社団法人あしたのためにプロジェクト「アシタノタメニリーグ・U‐10」を立ち上げました。子ども達のためでなく「ただ消化するため」につくられている試合形式が多かったり、「大人が満足するため」にやっているような目的が形骸化してしまっている現状が多い中、ジュニア年代の試合として本来あるべき姿に戻そう、という思いがキッカケで作られたこのリーグは、子どもを伸ばすために考えられた他ではないレギュレーションが特長です。一般社団法人あしたのためにプロジェクト代表理事の久保田大介さんに、リーグ立ち上げについての思いなどを伺いました。(取材・文:松尾祐希)本当の意味での選手ファーストを実現するU‐10リーグが開幕(提供:アシタノタメニリーグ・U‐10)■U‐10年代は本当のフットボールの入り口――"アシタノタメニリーグ・U‐10"を創設された理由を教えて下さい。理由はふたつあります。ひとつ目は10歳を一つの区切りとし、フットボーラーとしてのターニングポイントにしてほしかったからです。小学校4年生は10歳を迎え、そろそろフットボーラーとして一段ステージを上がってもおかしくない年齢。低学年の頃は遊びの中でサッカーに触れていく中で、4年生からはジュニアユース年代に進んでいく入口として競技に向き合ってほしかったんです。そして、ふたつ目の理由はU‐10のリーグ戦がU‐12年代、U‐11年代と比較すると、リーグ戦の機会が多くはありません。そうした疑問を持っていたので、新たにリーグ戦を創設する際にどの年代で行うべきかをTwitter上でアンケートを取りました。すると、U‐12が最もリーグ戦を開催している年代でニーズがなく、逆にU‐10の需要があったんです。そうしたふたつのことから、本当のフットボールの入り口として、U‐10年代でフットボールの本質に基づいたリーグ戦を創設しました。「アシタノタメニリーグ・U-10」のレギュレーション基本は8人制だが、対戦チーム同士の合意があれば、人数変更もOKハーフタイム7分のうち、5分は選手だけの時間とし、指導者はベンチから離れる。指導者は何か伝えたいことがあるならば、2分以内にまとめる力が必要になる。試合時間を長くし(25分ハーフ)、試合運びに緩急をつけることを学ぶ。また、長い時間なので必然的に多くの選手を出さなければいけなくなる。リトリートラインの設置(ゴールキックは必ずGKが蹴る)ユニフォーム&用具の細かすぎる規定を廃止しきたりだけの挨拶、やめましょう(試合後は歩み寄ってグータッチ)得失点差、総得点の廃止。大差ゲームをなくすため勝ってるチームがゴール後にボールを持ち帰る行為はイエローカード。試合開催日の夜、オンラインで指導者同士の「感想戦」を実施■出場機会を作るための25分ハーフ――確かに、ジュニア年代に限らず、各カテゴリー最上級位のリーグ戦は充実しています。その一方でその間に当たる年代のリーグ戦は数が限られていますよね。しかし、海外に目を向けると、特に欧州では年齢ごとにリーグ戦を行っているケースがほとんどです。そういう意味では定着すれば、選手のレベルアップに繋がりそうですよね。例えば、神奈川県の横浜市ではU‐10年代の大会として市大会を行っています。数チームでのリーグ戦で決勝トーナメントに進むチームを決めますが、リーグ戦では行っていません。そうした事情を踏まえ、私は年間を通じて週末に試合がある状況を作りたかったんです。同じチームと2度対戦することでチームとしても個人としても成長具合を測れます。1つの試合で上のステージへの進出が決まってしまうと、指導者の人は目先の勝敗に意識がいく場合も少なくありません。また、リーグ戦は選手たちの出場機会を増やすきっかけになります。一番望ましいのは指導者の方が良識を持つことです。大人はリーグ戦を行う意味を考えながら、子どもたちと接する環境を作っていかなければいけません。成長を促したり、進級してもサッカーを続けること。そういう目的を大人たちが持っていれば、自ずと全員を出場させますよね。25分ハーフにしたのも出場機会を作るためです。全日本少年サッカー大会は20分ハーフですが、試合時間を長くすれば自ずと選手交代が必要になります。ルールとして設けているわけではありませんが、全選手の出場を奨励しています。暑い時期でも25分ハーフでやるので、自ずとスタートの選手だけで試合は成り立ちません。ルール化はしていませんが、全選手が試合に出場するリーグ戦を行うことで、選手の成長を促せると考えています。■必ずしも8人でなくてOK、チームやピッチ状況に合わせて臨機応変に対応すればいい――試合を行う人数も基本は8人制ですが、ピッチ状況やチーム事情を考慮して7人から9人で行うことも認めています。そこの狙いを教えて下さい。僕は8人制が必ずしも正解だとは思っていません。10年前にジュニア年代のサッカーが8人制へ移行する際、JFAが移行の理由に挙げたのはボールタッチを増やすためでした。しかし、単純に8人制をやるだけでは意味がありません。ボールタッチを増やすことに意欲的ではなかった指導者が8人制のサッカーをやったとしても、効果が出るとは思えなかったんです。ピッチサイズが小さくなり、8人制の場合はミスが即失点につながります。11人制で信念のない指導をしている人であれば、間違いなくリスクを考えて省略したサッカーをする可能性があります。出場させられる人数も減ってしまうので、スタメンで出場する選手のタッチ数が多くなる一方で、その分補欠に回った選手は出場機会がなくなってボールタッチが減ってしまうのも懸念材料です。そうした指導者の問題を解決するために"アシタノタメニリーグ・U‐10"では臨機応変に出場する人数を変えていくつもりです。ピッチが広いのであれば人数を増やしてもいいですし、ピッチが狭いのであれば減らす。柔軟に考え、一番良い形で試合をさせてあげることが大事ではないかと。"アシタノタメニリーグ・U‐10"は一応8人制というレギュレーションにしていますが、環境に合わせて決めてもらって構いません。8人制ありきではなく、選手が成長するためには何が良いのか。大人たちが子どもたちのために考えることを望んでいます。■走り切れない試合時間にすることで、ペース配分や試合運び学ぶきっかけになるハーフタイム7分のうち、5分は選手だけの時間としているので、子どもたちが主体的に話し合う場になっている(提供:アシタノタメニリーグ・U‐10)――"アシタノタメニリーグ・U‐10"は25分ハーフで行われます。U‐10の試合では15分のレギュレーションがほとんどで、U‐11でも15分で行う場合が少なくありません。15分だと走り切れる選手もいますが、25分ハーフだといくらスタミナがあっても最初から最後まで走り続けることは不可能です。ペース配分も求められますが、考える力を身に付けることも意図しているのでしょうか。15分ハーフであれば、最初から最後まで走り切れるかもしれません。しかし、走り切れたとしてもプレーでゆとりを失い、周りを見る余裕がなくなってしまいます。あまりにも忙しい試合になってしまいますし、試合時間が短ければ相手も素早く寄せてくるので、セーフティーに試合を進めるチームも多くなってしまうのではないでしょうか。その結果、忙しない試合になってしまうので、あえて長い時間をプレーしてほしかったんです。考えながら試合を進めていくきっかけになりますし、「今は慌てなくて良いからゆっくりボールを回そう」など、試合運びを学ぶ場になるんです。あまりジュニア年代でやっていない取り組みなので、そういうところも"アシタノタメニリーグ・U‐10"で培っていければいいなと思います。■ボールを大事にすることはフットボールを知る第一歩――試合時間以外にも独自のルールが設けられています。リトリートラインを設けた理由を教えて下さい。リトリートラインは、まずGKから試合をスタートしてほしいという想いからルールに入れました。基本的にGKキックはGKが蹴ります。しかし、キック力がなければ、パワーがあるフィールドの選手が前に大きく蹴ります。なので、クリエイティブではないプレーを避け、リトリートラインを作るので下から始めたかったんです。ボールを大事にしていくことはフットボールを知る第一歩になりますし、逆に相手が後ろに引かずに始めるのであれば、選手たちは対応する知恵を出すことになります。選手全員でこの状況をどうすればうまく持っていけるかを考える機会を作り、それをピッチに立つ選手が主体となって取り組める環境を作ってあげる狙いがあります。久保田大介(くぼた・だいすけ)東京都出身。1999年~2020年5月まで、SUERTE juniors横浜(現・LOBØS.FC)代表・監督を務める傍ら、2004年~2016年3月まで都立国際高校女子サッカー部 や世田谷区の公立中学サッカー部などで指導に携わる。現在は"一般社団法人あしたのためにプロジェクト"の代表を務め、2021年6月に"アシタノタメニリーグ・U-10"を創設した。
2021年07月27日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は初心者に多い、「仲間とうまく連携が取れない」という悩みを改善するトレーニングをご紹介します。広大なスペースがなくても公園などのちょっとした場所でできるので、ぜひ親子で遊びながらチャレンジしてみてください。サッカーはチームスポーツなので、仲間(味方)と上手く連携を取りながらゴールを目指す動きが不可欠です。 しかし、初心者は自分のプレーで精いっぱいなこともあり、相手のことを考えないで強いパスを出してしまったり、自分勝手なプレーが多くなってしまうことも多いもの。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、味方と連携してプレーできるようになります。親は難しい動きは一切ありません。【やり方】1.親子ともにボールを持って対面して立つ2.ボールを山なりに投げあって交換3.山なりのボール交換に慣れたら、片方はバウンドさせる(1つは山なり、1つはバウンドボール)4.手でのボール交換に慣れたら足でパス交換する【ポイント】・相手をよく見る・相手がミスをしたときは、ボールを投げるのを待ってあげる・力まずリラックスして行う・止まらずに行うこと・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2021年07月27日Jクラブの育成組織に所属する息子。何度も悔しい思いをしてようやく周りと同じ土俵に立てたと思っていたけど、常に二軍で試合に出られず、チームメイトからも見下されている。自信をなくしプレーの成長も見られないし、このまま続けてもジュニアユースに上がれそうにないので親の自分が辛いし悔しくて、ダメ出ししたり口うるさくしてしまう。このまま続けさせていい?息子の自信を取り戻すにはどうしたら?というお悩みをいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、悩めるお母さんに3つのアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<出場機会がない息子。友達といたいから移籍したくない問題<サッカーママからのご相談>初めましてこんにちは。チーム及び息子のチームメイトについての悩みを相談させてください。息子は5年生で現在、Jクラブの育成組織で活動しています。4年時のセレクションで合格し活動を始めました。そこに至るまでに何度となく悔しい思いをしてようやく、周りと同じ土俵に立てたと思っていました。しかし、ここ最近試合に出れずベンチスタートばかりです。スピードがない、体が小さい、ウエイトがない、などを理由に常に二軍でチームメイトからも見下されています。試合に出ても辛そうな自信のないプレーばかりで、得意だったドリブルもしなくなりました。萎縮してパスも弱い、チームメイトの言いなりでここ1年半いい所がなくなってしまいました。自分で考えてプレーしても見下されチームメイトに文句を言われ、やりたいプレーもさせてもらえていません。1年半前から成長が見られなくなってしまいました。練習風景は見れないので分かりませんが、みんな、上の学年に選ばれるためにやる、選ばれたやつが上手くて偉いという感じになっています。本人はこのまま続けたいと言っていますが、この先続けてもジュニアユースには上がれそうにないと私が思ってしまい、辛くもなり、悔しくもなり練習をもっとやらせたくなったり、口うるさくダメ出しや出来ないことを言ってしまいます。プレーしているのは親ではなく子どもという事は頭では理解していても、どうしても現実を目の当たりにすると、悔しさが込み上げてきてしまいます。このまま、続けることに意味はあるのでしょうか?バカにされて見下され、自信をなくし自分の思うプレーができない息子に、どのような声かけをしたらいいのか......。自信を取り戻して練習や試合に挑めるようにするにはどうしたらいいのでしょうか。アドバイスを頂けると嬉しく思います。 よろしくお願い致します。<島沢さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。JクラブのU‐12チームでプレーされているとのこと。この年代の中である意味最も高いレベルでプレーしているので、お母さんが期待していることが相談文でみてとれます。■このままだと子どもがつぶれる短いメール文からすべてを理解するのは難しいのですが、ひとつだけ断言できることがあります。少し厳しい言い方になりますが、お母さんがこのままだと間違いなく息子さんはつぶれてしまうと思います。それはサッカー選手としてだけでなく、人としても、です。できることなら、今の接し方や態度、そして息子さんのサッカーに対するお母さんの考え方を変えてほしいと願います。どんな言葉を投げつけているか、お子さんがどんな表情でお母さんの言葉を聞いているか、容易に想像がつきます。なぜなら、多くの取材でそんな親子をたくさん見てきたからです。■自分のネガティブな部分を客観視できているのは救い一方で、もうひとつ断言できることがあります。「お母さんは十分やり直しができますよ」ということです。なぜなら、この相談で、ご自分の状況を正直に報告されているからです。子育てのやり直しがなかなかできない親御さんは、他者に自分の状況を伝えるとき、ご自分のネガティブな部分やありようを隠そうとします。きれいな言葉や観念的な言葉で形容しがちです。ご相談文にこうあります。「本人はこのまま続けたいと言っていますが、この先続けてもジュニアユースには上がれそうにないと私が思ってしまい、辛くもなり、悔しくもなり練習をもっとやらせたくなったり、口うるさくダメ出しや出来ないことを言ってしまいます」お母さんはご自分の態度や言葉を心から後悔されているようです。プレーしているのは親ではなく子どもであること。それを頭で理解していても、悔しさが込み上げてしまう。そのように、ご自分を客観的にみることが「まだ」できています。こうやって客観視できている今、どうか一日も早く子育てを転換しませんか?■親の押し付けになっていないか、いま一度気持ちを整理しようそこで、お母さんに三つのアドバイスをさせてください。ひとつめ。まず、息子さんのサッカーをご自分がなぜ応援しているのか?ここを正直にご自分に問い直してみましょう。以下のどれが、お母さんの気持ちに一番近いですか?1.プロになってほしいから何が何でも頑張ってほしい2.結果を出して、サッカーで人生を切り開いてほしい3.サッカーを楽しみながら、いろいろなことを学んで、人生の糧にしてほしいもし、1か2であれば、お母さんの「こうなってほしい」という希望は、子どもからすれば親の押し付けです。したがって、少しずつ、お母さんがサッカーを応援する理由を3に近づけてください。私がなぜそんなことをお母さんに要求するのか。それは、ごくごく一部を除いてサッカーの場合、親御さんがわが子に対し1や2の気持ちが強い家庭は子どもの成長を止めてしまうからです。自主練をさせたり、試合のビデオを観てダメ出ししたり、厳しい言葉で子どもを鼓舞するご家庭は非常に多いです。親御さんはそうすることを親としてのサポートだと勘違いしています。お母さんも似たことをなさっていると思います。ただ、お母さんは、自分がそうしてしまうことを、現時点ですでに後悔しています。いいプレーができなかったり、試合に出られない息子さんを、ご自身が情けなく感じたり、歯がゆく感じて腹を立てている。息子さんに当たっているだけだということを理解しています。ぜひ、今一度「サッカーを楽しみながら、いろいろなことを学んで、人生の糧にする」という目的を親子で確認してください。そしてこれまでの怒ったりしてきたことを、できれば謝りましょう。それだけでも、息子さんは気が楽になるはずです。■今のうちに子離れしないと、後々子どもの心が壊れる可能性があるふたつめは、子離れすること。今のお母さんは、息子さんのサッカーに依存しているように映ります。親が乗っかれば、小さな体とこころはじきに壊れてしまいます。チームでサッカーを続けたいというなら、続けさせてあげてください。さまざまな岐路を親が命令し決めてしまうと、子どもはその先うまくいかないことがあると「お母さんがやめろって言ったじゃん」と必ず言います。やさしくて言わない子もいますが、大きくなったらトラウマのように蘇ります。小さいときに世話を焼き過ぎたことがすべからくうまくいかず、大人になったわが子に「僕の人生を返せ!」と泣かれたり、暴力をふるわれた親御さんを私は取材で何人も会ってきました。まるで脅しているようで嫌な気持ちになるかもしれませんが、今ならやり直しできます。■子どもにどんな声掛けをしたらいいか(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)三つめ。子離れするための策を伝えます。「自信をなくし自分の思うプレーができない息子に、どのような声かけをしたらいいのか?」とあります。が、親の声掛けでサッカーが上手くなるなら、私も教えてほしいです。サッカーのことは何も言わないこと。過去のことを謝って「もう何も言わないように努力するね」と約束をしましょう。練習や試合から帰ってきたら、「今日、楽しかった?」と尋ねてください。笑顔で、美味しいごはんをつくって、早寝早起きをさせましょう。家庭が安全基地になりさえすれば、息子さんは勝手にサッカーで成長します。そのあたりのことは、私のこの連載を最初から読んでいけばよく理解できるはずです。そして、本を読むなどして子育てのことをもっと勉強しましょう。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2021年07月21日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は初心者に多い、「切り返しの動きが遅い」という悩みを改善するトレーニングをご紹介します。広大なスペースがなくても公園などのちょっとした場所でできるので、ぜひ親子で遊びながらチャレンジしてみてください。試合中、ドリブルで方向転換をするときや相手を抜き去る時に素早い切り返しをすることが多いです。守備の際も相手の切り返しについていく動きができないと、あっさりとドリブル突破を許してピンチを招いてしまいます。しかし、初心者はボールを切り返しの動きが上手くできなかったり、遅くなってしまうことも少なくないもの。守備の時も相手の切り返しについていけず、遅れたりバランスを崩すことも。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、切り返しの動きが速くできるようになります。親は難しい動きは一切ありません。ボールを手で転がすだけ。【やり方】1.子どもの周りに3つの目印を置き、子どもは目印の中心に立つ2.親は、いずれかの目印を指定し、ボールは子どもが立っている場所に転がす3.子どもは親が指定した目印の所に行ったら、切り返して元居た場所(3つの目印の中心)に戻る4.慣れたら2つの目印を指定し、2回切り返してボールを受けるなど難易度を上げる【ポイント】・指定された目印から元の場所に戻るスピードを意識する・力まずリラックスして行う・止まらずに行うこと・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2021年07月19日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は初心者に多い、「ターンが上手くできない」という悩みを改善するトレーニングをご紹介します。広大なスペースがなくても公園などのちょっとした場所でできるので、ぜひ親子で遊びながらチャレンジしてみてください。試合中は、相手がボールを奪いに来るのでターンで方向を変える場面がたくさんあります。上手くターンすることで相手にボールを奪われなかったり、相手を交わすことができます。 しかし、初心者はボールを止めることが精いっぱいだったりして、自分が狙った所に上手く方向を変えられないことも少なくないもの。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、、試合中も自分が狙った所に方向を変えられる、上手なターンができるようになります。親は難しい動きは一切ありません。ボールを手で転がすだけ。【やり方】1.親がボールを持ち、横並びに立つ2.親が転がしたボールをインサイドでターンして戻る3.慣れたらアウトサイドや足裏でのターンに挑戦4.バウンドしたボールなどで難易度アップ【ポイント】・ターンの時は素早く、キュッと回る・足先だけで行かない・ボールのところまで身体を追いつかせる・力まずリラックスして行う・止まらずに行うこと・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2021年07月19日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は初心者に多い、「狙ったところに強いボールを蹴れない」という悩みを改善するトレーニングをご紹介します。広大なスペースがなくても公園などのちょっとした場所でできるので、ぜひ親子で遊びながらチャレンジしてみてください。試合中は、相手がたくさんいる中で強いボールを狙った所に蹴れるとパスが通ったりシュートが決まります。緩いボールだと相手にカットされてしまうので、強いボールを自分の狙った所に蹴るスキルが必要です。しかし、初心者は狙った所にはボールが蹴れるけどパスが弱くなってしまったり、キックが弱かったりするので、相手にボールを取られてしまったり、どこかに引っかかってしまうことも少なくないもの。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、試合中も自分が狙った所に強いパスが出せるようになります。親は難しい動きは一切ありません。【やり方】1.コーンなどの目印を間において、親子で対面して立つ2.ボールをコーンに当てて相手陣地に押し込む3.助走無をつけて強く蹴ることを繰り返す【ポイント】・目印をよく見て狙う・しっかり助走を取って強いボールを蹴る・力まずリラックスして行う・止まらずに行うこと・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2021年07月16日「元日本代表が教える」が売りのスクールで働く新米女性コーチの悩み。子どもたちと年齢が近く親しみやすいのが自分の特長だけど、保護者からは「元日本代表のコーチに教えてほしいのに」と不満が漏れる。指導理念やカリキュラムは共有しているし、元日本代表コーチが全クラスを担当するのは無理だから自分たちがいるのだけど、どうしたら保護者に納得いただけるのか。というご相談をいただきました。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、アドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<サッカー経験者だが感覚でやってきたので教え方がわからない。U-8からU-12年代は何から教えればいい?<新米スクールコーチからのご質問>初めまして。これまでお父さんコーチからの相談が多いと思うのですが、私は今年22歳の新米女性 コーチです。会社員として未就学児~U-12のクラスがあるスクールのコーチをしています。メインのコーチは私以外に2人いて、2人とも元日本代表です。私は選手と年も近く、女性で親しみやすいのがメリットであり、デメリットだと実感しています。元日本代表が教えるスクールというのが売りでもあるので、私が教えていいのかなど疑問を持ちつつ指導に当たっていますが、保護者アンケートにも「元日本代表とうたっているのならそのコーチに教えてもらいたい」などの意見があります。元代表のコーチがすべてのクラスを担当するのは難しいから私たち社員がいるわけで、指導の方向性やカリキュラムなどは共有しているのですが、どうすれば子どもと保護者の満足度が向上するのか本当に悩んでいます。池上さんがスクールで指導する際など、どんな風に保護者達を納得させているか、などアドバイスをくださると嬉しいです。よろしくお願いいたします。<池上さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。今の時代、入社試験の面接官には、卒業大学を省いた履歴書が渡されます。肩書や経歴だけでは判断できない、してはいけないと考えられています。そう考えるとサッカーコーチも、プレーがどれだけ上手いか(上手かったか)ではなく、本当に指導力があるかが問われるべきです。■選手としての実績=優れた指導者ではないところがサッカーの指導者は、いまだに選手時代の成果で判断されてしまうようです。選手時代の成績だけを看板にして指導者をしているケースも見聞きします。本当にサッカーの成り立ちを知っているのか、コーチングそのものを学んだうえで教えているのかが判断しかねます。選手時代の実績だけを前面に出しているスクールもあります。Jリーグの下部組織にも引退した選手が教える側として十分な学びを得ないまま、指導現場に立つのが実態かと思います。いずれも決して小さくはない問題だと感じています。上記のことを踏まえると、ご相談者様がやるべきは、自分自身がとことん勉強することだと思います。元日本代表選手に対し、サッカーの経験は追いつけなくても指導力でしのぐことはあなたの努力次第です。■プレーヤーとしてのキャリアとコーチとしてのキャリアは別物そこで、少し私の話をしましょう。私は45歳でJリーグクラブに初めて所属しました。Jリーグで私が出会った人の中には元日本代表や元Jリーガーなど選手としての実績のあるコーチがたくさんいて、圧倒されました。実際に一緒にピッチに立つと、私が知らなかった練習方法など新しい情報をたくさん知っていてとても感心しました。ところが、コーチングの方法は指示命令が多く見受けられました。もちろんそうでない人もいらっしゃいましたが、多くの元プロ選手は自分の育成時代に受けた指導をそのまま継承しているようでした。つまり、自分が教えられたように、教えていました。私は徐々に引け目を感じなくなりました。プレーヤーとしてのキャリアと、コーチとしてのキャリアは別物だと思えました。確かに高いレベルでプレーしてきた経験は、指導者としてプラスの要素であることは間違いありません。ただし、それは決定的なものではないと感じました。■子どもたちが変わっていくような指導ができれば保護者の見方も変わるJリーグに指導者として加入すると、アンダーカテゴリーの保護者達がまず注目するのは「どこのJチームから来たか?」「どこで選手をしていたのか?」といったことでした。みなさんご存知のように、私はYMCAという組織でサッカーを教えていました。恐らく「こんなコーチで大丈夫なの?」といった眼差しを向けられていたかと思います。しかし、指導を始めてしばらく経つと、ある大きな大会で強豪チームから勝利を挙げました。保護者は「こんなすごいチームに勝つなんて」とみなさん驚かれました。そこから、私を見る目が変わりました。試合に勝つこと以外でも、目の前にいる子どもたちが変わっていくような指導ができれば、保護者の見方は変わっていきます。そこを理解して、コーチングの勉強に邁進してほしいと思います。学んで得たことを、保護者とのコミュニケーションにも役立ててください。例えば、この子たちには今、こんなことが足らないので、こういうことに取り組んでいますとか、クラブの方針はこうだから、こうしようと思う、ここに着目してトレーニングしてきたら成果が現れました、といったことを丁寧に自分の言葉で伝えてください。人は見えないことやわからないことに不安を覚えます。保護者にご自分の指導を説明できれば、少しずつ信頼は上がるはずです。■「子どもがいないからわからないでしょ?」には学術的エビデンスを用意一方、若手や独身のコーチは子育ての経験のなさに悩むケースもあるようです。保護者から「子どもがいないからわからないでしょ?」と言われてしまうこともあるでしょう。そんなとき、学術的なエビデンスを話せるようになれば、親御さんたちに納得してもらえます。私はさまざまなチームに行って指導する機会があります。私の指導を見ると、みなさん「こうすればいいとわかりました。勉強になります」と言ってくださいます。しかし(そうは言っても、難しい)という本音も聞こえてきます。「そうは言ってもね」と言い続け、変われないコーチも実際にいらっしゃいます。指導者の道は簡単ではないのかもしれません。池上正さんの指導を動画で見る>>■保護者からの信頼を得るには指導者の学ぶ姿勢が大事(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)以前「幼児の指導のスペシャリストになりたい」と希望を語る女性コーチがいました。私は「だったら、このくらいの本は読んだほうがいいよ」と、シュタイナーなど基礎的な幼児教育の本を貸してあげました。しかし、なかなか読み進められないようでした。私が「幼児にサッカーだけやらせてていいの?」といった話をすると「サッカークラブですから、サッカーをやらせればいい」と言います。学べば学ぶほど、幼児に必要なことがわかるはずです。「スペシャリストになりたいって言ってたんじゃないの?」と折にふれ言葉をかけましたが、忙しくて手が回らないようでした。結局、保護者からの深い信頼は得られないままでした。女性だから云々は、自分では言わないことが大切かと思います。女性か男性かは関係ないという気持ちで、ぜひ学ぶことに向き合ってください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2021年07月16日FC市川GUNNERSでは、夏休み期間中にFC市川GUNNERSのコーチによる、短期集中サッカーキャンプを開催します。コロナ対策として今年は全てのキャンプは泊まりではなく日帰りで設定しています。ドリブル、シュートなど基礎的なテクニックの向上から、シュートブロック、チャレンジ&カバーやクロスの攻防など実践的なトレーニングまで学べるキャンプです。ストライカーキャンプGKキャンプ小学1年生から中学3年生までの男女を対象とした各種キャンプがありますので、下記より詳細をご覧いただき、お申し込みください。開催スケジュールチャイルドキャンプ日時:8月10日(火)~11日(水) 通い2日間対象:小学1年生~2年生(男女)定員:30名参加費:1セッション3,000円(税別)、4セッション10,000円(税別)ジュニアキャンプ日時:8月10日(火)~11日(水) 通い2日間対象:小学3年生~4年生(男女)定員:30名参加費:1セッション3,000円(税別)、4セッション10,000円(税別)GKキャンプ日時:8月2日(月)~3日(火)通い2日間対象:小学4年生~6年生(男女)、中学1年生~3年生(男女)定員各10名参加費: 7,000円(税別)、1日のみ4,000円(税別)ストライカーキャンプ日時:8月2日(月)~3日(火)通い2日間対象:小学4年生~6年生(男女)、中学1年生~3年生(男女)定員:各10名参加費:7,000円(税別)、1日のみ4,000円(税別)開催場所:北市川フットボールフィールド(千葉県市川市柏井町4-294-5)TEL:047-712-0070各キャンプの詳細は「ニュース&イベント情報」にて詳しい内容&申し込み先はこちら>>
2021年07月15日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は初心者に多い、「相手を見ながらドリブルできない」という悩みを改善するトレーニングをご紹介します。広大なスペースがなくても公園などのちょっとした場所でできるので、ぜひ親子で遊びながらチャレンジしてみてください。試合中は、ドリブルでもパスでも常に顔を上げたプレーが求められます。ドリブルの時、足元ばかり見ているとボールを奪いに来た相手選手に気づくのが遅れ、容易にボールを失ってしまうリスクがあります。常に顔を上げて相手を見ながらドリブルすることができるようになれば、相手選手がボールを奪いに来たらドリブルで交わす、もしくはフリーな味方にパスを出したり、ゴール前ならシュートを打つなど、様々なプレーにつなげることができます。しかし、初心者は足元のボールに意識が行きがちで相手の顔を見ることができず、相手が寄せてきて焦ってしまいます。または、周りが見えてなくてパスやシュートができないものです。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、自然と相手を見ながらドリブルができ、落ち着いてプレーすることができるようになります。親は難しい動きは一切ありません。【やり方】1.目印を3つずつ対象において、親子で対面して立つ(目印は3つ以上置いてもよい)2.子どもはボールを持ったまま親をよく見て、親が回った目印と同じ色の目印を回る3.慣れたらドリブルしながらやってみる4.それも慣れたらパスを織り交ぜるなど、判断を伴ったゲームにしたり難易度を上げる【ポイント】・親の顔、動きをよく見る・最初はボールを持って親と同じ色の目印を回る動きを覚える・力まずリラックスして行う・止まらずに行うこと・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2021年07月15日日本代表のDF植田直通選手や谷口彰悟選手を始め、これまで55名ものJリーガーを輩出してきた熊本県の大津高校が、今春ジュニアユースを設立。現在2022年度の体験会、説明会参加者を募集しています。グランヴァロール大津FCジュニアユースの体験会、説明会概要これまで中学生年代のクラブチームがなかった地元・大津町にこの春、下部組織として「グランヴァロール大津FCジュニアユース」を設立。監督には大津高校OBで卒業後はアビスパ福岡やHondaFCでプレーした本田真監督が就任しました。チームの狙いは、大人のサッカーの入り口である中学生年代で心と頭を鍛えて、高校年代以降も活躍できる選手の育成。サッカーを通じたピッチ内外で主体的に動ける人材の育成も理念として掲げています。平岡和徳総監督も総監督を務めるほか、同じグラウンドで練習を行うなど、大津高と密に連携しながら活動するのも、特徴の一つです。大津高校サッカー部総監督の平岡和徳さんがアドバイザーとして育成を全面サポートします現在は1期生である中学1年生の20名のみで活動をしていますが、8月9日(祝)には、2022年度から加入する選手を対象に体験会と説明会を実施します。対象となるのは現在小学6年生の男子選手。現在在籍する選手とのトレーニングになるため、プレーの効率を考え、10名のみの限定となっています。現在定員まで残り僅かとなっておりますので体験会にに興味のある方は詳細をご確認の上お申し込みください。募集対象現小学6年生(新中学1年生)の男子会場説明会18:00~大津町体育館会議室体験会19:00~20:30スポーツの森大津人工芝体験会・説明会詳細・参加申し込みはこちら>>
2021年07月15日