更新日:2021/05/01
iDeCoは派遣社員や契約社員でも利用できる?運用例や必要書類も解説
内容をまとめると
- iDeCoは掛金と金融商品を自分で決めて運用し、効率的に老後資産を形成できる
- メリットは、掛金の所得控除や運用益非課税、受取時の控除などにより節税が可能
- デメリットは、60歳になるまで引き出せず、元本割れリスクもあるため注意が必要
- 派遣社員の掛金上限は月額2.3万円だが、無理のない範囲で決めることが大切
- 運用する金融機関で口座開設し、派遣元へ「事業所の証明」の記入を依頼する
- iDeCoについて、さらに詳しく知りたい場合は、無料相談でお金のプロに話を聞いてみるのがおすすめ
- 今ならスマホ1台で無料オンライン相談できるので、お金の悩みはその場で解消できる
目次を使って気になるところから読みましょう!
iDeCo(確定拠出年金)とは?自分で作るもう一つの年金
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、自分が拠出した掛金を自分で選んだ商品で長期にわたって運用し、老後資金を形成していく年金制度です。
加入者は毎月一定の掛金を拠出し、定期預金、保険、投資信託などの運用商品から好きなものを選び、自ら運用していきます。
そして、60歳以降に運用して得た資産を年金または一時金として受け取ります。
iDeCoに加入できる人は以下の通りです。
- 日本国内に住んでいる20~60歳未満
- 公的年金(国民年金や厚生年金など)に加入している
- 国民年金保険料の未納や猶予状況がない
- (会社に企業年金制度がある場合)会社がiDeCoへの加入も認めている
派遣社員がiDeCoを利用するメリット
派遣社員がiDeCoを利用するメリットについて見ていきましょう。
以下の内容について説明します。
- 老後の資産を形成できる
- 掛金が所得控除の対象となり、所得税・住民税が軽減する
- 運用益が非課税
- 年金や一時金受取り時に適用される各種控除
メリット①老後の資産を備えることができる
今後、国の年金制度だけで老後生活を送ることは難しいため、「老後資金に2,000万円必要」とのフレーズが出現し、個人で老後の資産形成をする必要性が説かれています。
派遣社員は正社員と異なり、厚生年金基金や確定給付企業年金などの企業年金が利用できないケースが多いですが、iDeCoを利用した老後の資産形成が可能です。
貯蓄のために定期預金を作成したり、漠然と普通預金に預けっぱなしにしておいても、僅かな利子しか受け取れないため、このような年金制度を活用するのがおすすめです。
メリット②所得税・住民税の控除を受けられる
iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となり、課税所得から差し引かれるため、結果として所得税と住民税の負担を軽減できます。
例えば、以下の例で税金の軽減額をシミュレーションしてみましょう。
- 加入年齢:30歳
- 年収:300万円
- 掛金:月額5,000円
軽減額 | 1年 | 30年 |
---|---|---|
所得税 | 3,000円 | 90,000円 |
住民税 | 6,000円 | 180,000円 |
税制優遇額 | 9,000円 | 270,000円 |
毎年9千円、トータルで27万円という大きな節税効果があります。
メリット③運用益が非課税
通常、投資信託や定期預金などの金融商品で運用益や利息が出た際は、そこから源泉分離課税20.315%が差し引かれます。
例えば、10万円の運用益が出た場合、通常だと20,315円の税金が引かれて、受け取れる金額は79,685円になります。
一方、iDeCoは運用益が非課税のため、上記の例だと10万円の運用益をそのまま再投資できます。
iDeCoは老後資金の形成を目的としていて、運用期間は数十年と長期になることが多いため、非課税のメリットを長期に渡って享受できます。
メリット④年金や一時金受取り時の税金控除
iDeCoで積み立てた資産は、老齢給付金として原則60歳から受け取ることができます。
受け取りは以下の方法があり、各種控除が適用されるため、一定額まで税金がかかりません。
種類 | 受取方法 | 控除の対象 |
---|---|---|
一時金 | 70歳になるまでに一括受取 | 退職所得 |
年金 | 5~20年以下の有期年金が一般的だが、 終身年金が可能な場合もあり | 公的年金等 の雑所得 |
一時金+年金 | 資産の一部を一時金で受取り、 残りを年金で受取る | 退職所得+ 公的年金等 |
一時金は退職金の代わりに活用でき、年金は65歳の公的年金支給開始まで無収入期間をカバーできるでしょう。
派遣社員がiDeCoを利用するデメリット
派遣社員がiDeCoを利用するデメリットについても見ていきましょう。
- 60歳になるまで受給できない
- 投資のため元本割れのリスクがある
デメリット①60歳になるまで受給できない
iDeCoは老後の資産形成を目的とした制度であるため、60歳になるまで原則として積み立てた資金を引き出すことはできません。
60歳から資金を受け取るには、通算加入者等期間が10年以上必要であり、10年に満たない場合は受給可能な年齢が繰り下げられます。
急にまとまったお金が必要になった場合でも、途中で引き出すことはできないので、掛金は生活費を圧迫しないよう無理のない範囲で設定しましょう。
また、緊急用にいつでも使えるお金は別で用意しておくことも大切です。
デメリット②投資のため元本割れのリスクがある
iDeCoの運用商品の中には元本が確保されていないものもあり、運用成績により積み立てた分がプラスにもマイナスにもなり得る投資リスクがあります。
また、将来受け取れる金額はあらかじめ確定しているわけではなく、元本割れする可能性もあるので注意しましょう。
一般的に、iDeCoは長期運用であるため、相場の浮き沈みに関わらず定期的に一定額で購入し続ける「ドルコスト平均法」により、平均購入コストを比較的安くできる効果があります。
相場は絶えず上下に変動するものなので、一時的にマイナスになったとしても悲観的になる必要はありません。
しかし、許容範囲を超えた元本割れをしている場合は、配分変更やスイッチングなどの方法で運用方法を見直すことも検討しましょう。
DeCoについて、さらに詳しく知りたい場合は、無料相談でお金のプロに話を聞いてみるのがおすすめです。今ならスマホ1台で無料オンライン相談できるので、お金の悩みはその場で解消できます。
派遣社員の方のiDeCoの運用例を解説!
iDeCoの運用例と税制優遇のシミュレーションを見ていきましょう。
加入者例
- 35歳女性・派遣社員
- 年収:300万円
- 家族:夫と子供1人(2歳)
- 掛金:月額10,000円
iDeCoポートフォリオ(投資信託)
- 国内株式:20%
- 外国株式:40%(先進国30%+新興国10%)
- 国内債券:30%
- 外国債券(先進国):10%
今後、家族構成やライフステージが変化する可能性があるため、掛金は1万円に抑えつつ、内外の株式と債券を組み合わせてリスク分散しながら、将来に向けて積極的な運用をしています。
税制優遇のシミュレーション
1年の軽減額 | 25年の軽減額 | |
---|---|---|
所得税 | 6,000円 | 150,000円 |
住民税 | 12,000円 | 300,000円 |
税制優遇額 | 18,000円 | 450,000円 |
老後資金を貯蓄しながら、所得税と住民税の負担を25年間軽減できるため、大きな節税効果があります。
派遣社員のiDeCoの掛金の上限は?目安はいくらが良い?
iDeCoの掛金は月5千円以上で、上限は職業によって異なります。
派遣社員の上限金額は月2.3万円(年額27.6万円)です。
ちなみに、会社員や公務員で企業型確定拠出年金に加入している場合は月2.0万円、確定給付企業年金や厚生年金基金に加入している場合は月1.2万円が上限です。
派遣社員は上記のような企業年金等が基本的にないため、上限が高く設定されています。
しかし、お伝えした通り、iDeCoは60歳になるまで資金を引き出すことができないため、生活費を圧迫しないよう無理のない掛金を設定するようにしましょう。
派遣社員がiDeCoを利用する際の注意点
派遣社員がiDeCoを利用する際の注意点について見ていきましょう。
派遣社員で働く場合、派遣元の会社と労働契約を結び、社会保険に加入し、給料等を受けます。
iDeCoの手続きも派遣元で行いますが、派遣元との関係や企業年金制度の有無により、加入内容や毎月の拠出額が変わるため、事前に確認しておくのが良いでしょう。
そして、派遣契約がなくなった場合、その期間は働けないので、無職の状態でも加入を継続する仕組みに変更する対応が必要となります。
派遣元の変更が多いと手続きが大変になることがありますが、派遣先(勤務先)だけが変わるのであれば、特に手続きは必要なくiDeCoを継続できます。
iDeCoで運用することを考えているなら、無料相談でお金のプロに話を聞いてみるといいでしょう。今ならスマホ1台で無料オンライン相談できるので、かんたんに相談できます。
派遣社員がiDeCoを利用する際の書類手続き
派遣社員がiDeCoを利用する際の書類手続きの流れは、以下のようになります。
- 運用する金融機関を決めて口座開設、iDeCoの申請
- 派遣元に「事業主の証明書」への記入を依頼
- その他書類(申込書や本人確認書類等)と一緒に金融機関へ郵送
- 1~2ヶ月後、手続き完了通知が届く
2の「事業主の証明書」は勤務する派遣先ではなく、派遣元の会社に記入をお願いしましょう。
事業主は従業員からのiDeCo加入の申し出を正当な理由なく断ってはいけないため、問題なく発行してくれると思いますが、発行してもらえない場合は冷静に説明しましょう。
それでも対応してくれない場合の対処法も説明します。
派遣会社からの事業主の証明書が必要
iDeCo加入の際は、派遣元の会社に対して「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」という書類に記入を依頼する必要があります。
この時、派遣先(勤務先)ではなく、派遣元に記入をお願いすることを間違えないようにしましょう。
また、以下に挙げることも追加で依頼します。
- 現況届の提出(年1回)
- 年末調整への追記
- 従業員が希望する場合は掛金の納付(給与天引き)
掛金の納付に関しては、従業員が「事業主払込」ではなく「個人払込」を選択すれば不要なため、「個人払込」を選択するのがおすすめです。
いずれも簡単な作業なので、依頼すれば問題なく行ってもらえるでしょう。
事業主の証明書を発行してもらえない場合は?
前章で説明した「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」の記入について、派遣元が対応してくれないために、iDeCoに加入できないケースがあるようです。
法律上、事業主は従業員によるiDeCo加入の申し出を正当な理由なく断ってはいけないことになっています。
派遣元が対応してくれないのは、上記のことを単に知らないだけかもしれないため、感情的にならず冷静に説明し、改めてお願いすると良いでしょう。
それでも応じてくれない場合は、派遣元の担当者やコーディネイターなどに話を通してもらったり、他の従業員に協力を仰ぐなどの方法をとってみましょう。
参考:日本の大手派遣会社
参考までに日本の大手派遣会社をご紹介します。
- テンプスタッフ
- アデコ
- スタッフサービス
- リクルートスタッフィング
①テンプスタッフ
『テンプスタッフ』の特徴を見ていきましょう。
業界トップクラスの求人数
取引企業は大手からベンチャーまで幅広く、職種も様々、未経験からできる仕事もあります。
福利厚生やスキルアップ支援が充実
各種社会保険や健康診断、有給休暇、産休・育休制度が完備されていて、2020年4月から半日有給休暇、通勤交通費支給、慶弔休暇・見舞金制度もスタートしています。
事務系OA講座や資格取得支援、e-ラーニングなど様々なスキルアップ支援も用意されています。
安心のサポート体制
仕事探しやキャリアプランなどの相談ができ、希望に沿う仕事を紹介してくれます。
就業後もスタッフが定期的に職場を訪問し、フォーローをします。
②アデコ
『アデコ』の特徴を見ていきましょう。
キャリアコーチによるサポート
専任の担当者がつき、仕事の紹介や就業中の評価フィードバック、コーチング、キャリアコンサルティングなどを行い、キャリア形成を長期的にサポートします。
キャリアシードとして働ける
アデコと期間制限のない雇用契約を結び、派遣先企業にて長期に安定して働くことができます。
派遣先は60を超える国と地域5,100拠点以上あり、外資系企業から日本全国の企業まで幅広くカバーしています。
プレミアム求人がある
実際に働いた派遣社員達の意見やデータから、働きやすさや満足度の高さ、時給の良さなど高い評価を得ている職場を推薦してくれるサービスがあります。
③スタッフサービス
『スタッフサービス』の特徴を見ていきましょう。
業界No.1の求人数
職種・業種ともにほぼ全ての派遣領域をカバーしていて、求人数は業界トップです。
仕事紹介のスピードが早く、他社に比べて求人の選択肢が広いことが高く評価されています。
条件にこだわって仕事探しができる
高時給希望、専門スキルを生かしたい、大手有名企業で働きたいなど、こだわりの条件から仕事が探せます。
翌月から始められる仕事も多く、就業中でも気軽に相談できます。
紹介予定派遣や時短勤務などの求人も豊富
派遣で試した後に正社員になるかどうかを決められる紹介予定派遣、育児や介護などと両立しやすい時短勤務など、柔軟な働き方ができる求人も豊富に取り揃えられています。
④リクルートスタッフィング
まとめ:派遣社員のiDeCo(確定拠出年金)利用について
派遣社員のiDeCo利用について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の記事のポイントは、
- iDeCoは掛金と金融商品を自分で決めて運用し、効率的に老後資産を形成できる
- 掛金の所得控除や運用益非課税、受取時の控除などにより節税が可能
- 60歳になるまで引き出せず、元本割れリスクもあるため注意が必要
- 派遣社員の掛金上限は月額2.3万円だが、無理のない範囲で決めることが大切
- 運用する金融機関で口座開設し、派遣元へ「事業所の証明」の記入を依頼する
でした。
iDeCoは節税しながら効率的に老後の資産形成ができるため、将来に不安を感じている派遣社員の人にもおすすめです。
ただし、60歳までは引き出せなかったり、投資性の強い商品を運用する場合は元本割れリスクがあるため、内容をよく理解し、無理のない掛金で運用していくことが大切です。
iDeCoについて、さらに詳しく知りたい場合は、無料相談でお金のプロに話を聞いてみるのがおすすめです。今ならスマホ1台で無料オンライン相談できるので、お金の悩みはその場で解消できます。
年金制度への不安が高まる中、老後の資産形成は誰しも気になるところだと思います。
特に派遣社員で働く人は、正社員よりも不安定な要素が多く、老後資金まで手が回らないという人も多いかもしれません。
そこでおすすめなのが、iDeCo(個人型確定拠出年金)です。
iDeCoは2017(平成29)年の法改正により派遣社員でも加入できるようになり、節税しながら老後資金を形成できるので、とてもおすすめなのです。
この記事では、
について、解説していきます。
この記事を読んでいただければ、派遣社員がiDeCoに加入するメリットや注意点が分かり、開設までの流れも把握できると思います。
ぜひ、最後までご覧ください。