更新日:2020/11/16
傷病手当金を受給中に病院を転院・病院が変わった場合に注意すべきことは?
- 申請書の内容
- 支給されない期間
- 空白期間を作らないための方法
- 健康保険の資格喪失後でも傷病手当金を継続受給するための条件
- 月の途中で転院した場合の対応
- 医師から証明をもらうタイミング
- 受給中に他の病気になった場合
内容をまとめると
- 傷病手当金を受給中に転院する場合、最初の申請期間と転院先の医師からの証明をもらうまでに空白期間があると受給できない
- 受給するためには、 証明が必要な日の前までに転院先の病院で診察を受けておく
- 1年以上継続して被保険者の期間があり、退職などで資格を失った当日に傷病手当金を受給しているか、受給できる条件を満たしていれば、継続して受給することができる
- 受給中に他の病気になった場合、医師が認めればそれぞれに傷病手当金が支給される
- ただし、2倍の金額になるのではなく、重複期間は1本分の金額が支給される
- 最初の病気の支給期間が終わった後、他の病気の治療をしていれば、残りの期間は支給される
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目次を使って気になるところから読みましょう!
【病院が変わった場合の前提知識】傷病手当金の申請には医師の証明が必要!申請書の内容とは?
傷病手当金を申請するには、申請書を協会けんぽに提出するのですが、申請書の内容とはどのようなものなのでしょうか。
そこで、
- 協会けんぽの申請書の内容
- うつ病の場合の注意点
について、以下で解説していきますので、しっかり確認してみてくださいね。
協会けんぽの傷病手当金申請書の内容(療養担当者の意見書など)
申請書の記入方法ですが、例えば、協会けんぽの申請書の場合、4枚つづりとなっており、それぞれの内容と記入者は下記のようになっています。
- 1・2枚目(被保険者記入用)
申請者の情報、傷病名、休んだ期間などを、本人(申請者)が記入
- 3枚目(事業者記入用)
- 4枚目(療養担当者記入用)
傷病名や働けない期間などを、療養担当者である医師が記入
上記を全て記入した申請書を保険者に提出すれば、申請の手続きは完了です。
うつ病の場合は療養担当者の意見書の内容を要確認
尚、対象となる病気やケガには、うつ病も含まれますが、うつ病の場合、申請書の4枚目の医師の記入した内容を確認することが大切です。
例えば、うつ病の原因が「過重労働である」となっていると、傷病手当金の対象ではなく、労災の対象となってしまう場合があるからです。
従って、療養担当者が記入する4枚目の書類の内容は、しっかりチェックするようにしてください。
病院の転院で傷病手当金が支給されない期間とは?初診日や空白期間に注意
傷病手当金の申請書の内容について解説しましたが、もし、治療中に病院を転院した場合、どうすればいいのでしょうか。
上でご説明した申請書の4枚目にあたる療養担当者が変わってしまうことになりますよね。そうなると、転院後は傷病手当金が支給されなくなってしまうのでしょうか。
- 転院前の証明
- 空白期間がある場合の支給
について以下で説明していきます。
大事なポイントですので、しっかり確認してくださいね。
傷病手当金を受給中に転院する場合は、病院変更前の証明も忘れずに!
治療中に病院を転院する場合は、まず、最初の病院でも就労不能期間を証明してもらうようにしてください。
というのは、転院先の病院で証明してもらえるのは、その病院での診察期間のみで、最初の病院でのことは関知しないためです。
例えば、 下記のような場合を考えてみます。
- 最初の申請:9月1日~9月30日まで
- 転院前の病院の治療:10月1日~10月15日まで
- 転院先での病院の治療:10月16日~10月31日まで
この場合、10月1日~10月15日の期間の就労不能の証明がなく、空白期間になっています。
従って、この空白期間の分の傷病手当金は受給されないことになってしまうのです。
転院先の医師から証明をもらうまでの空白期間は受給できない!引っ越しの時に注意
上でご説明してように、最初の申請期間が終わってから、転院先の病院での治療が始まるまでに日数がある場合、その期間は空白期間となってしまいます。
ですがそうなると、治療を受けて会社を休んでいるにもかかわらず、傷病手当金を受給できないということになってしまいます。
そのような状態を避けるためにも、最初の申請期間の最終日から日を置かず、転院先で治療を受けることをおすすめします。
こういったことは特に、引っ越しで起こることが多いので注意しましょう。
転院先の病院から証明をもらうまでの空白期間を作らないためには
それでは、転院した場合でも空白期間を作らないようにするには、具体的にどのようにすればよいのでしょうか。
例えば、転院のケースとしてよくあるのは引越しなどが多いため、引越しの場合について以下でご説明していきます。
①証明が必要な日の前に、転院先の病院で前もって診断を受けておく
空白期間ができてしまうのは、前述したように、 最初の申請期間から転院先の最初の診察日までに間があいてしまうことでした。
従って、最初の申請期間が終わる日の前に、次の転院先の病院で最初の診察を受けておくことが必要です。
具体的には、引越しした当日のうち、もくはその前までに、引越し先の新しい病院で診察を受けておくことです。
こうすれば、最初の申請期間が終わった翌日(=引越しした当日)もしくはその前から、転院した病院での診察が始まっているため、空白期間は生じることなく傷病手当金を無駄にすることなく受給することができます。
②転院前の病院からは転院先の初診日の前日まで証明してもらう
また、もし、転院先の病院で初診を受ける日がわかっている場合は、最初の病院で就労不能期間の証明をその前日までにしてもらうことをおすすめします。
これは、転院先の病院の初診の日にちがわかっているときにしかできませんが、こうすれば、あわてることなく計画的に段取りを進めることができますよね。
例えば、
転院先の病院での初診が10月1日の場合、最初の病院での証明を9月30日までにしてもらうという具合です。
③転院前の病院に紹介状を書いてもらい、転院先でも同じ病名にしてもらう
さらに当然のことですが、傷病手当金をもらうということは、病院が変わっても同じ病気のために就労不能となっているわけですから、転院前と後の病院で同じ病名になっていなければなりません。
基本的に、転院前と後の病院で病名が異なるケースはあまりないかもしれませんが、病気の症状は同じでも、万が一、診察する医師によって病名が異なるなどのことがないように、最初の病院と転院先の病院としっかり連携をとってもらうことが大切です。
そのために、最初の病院で紹介状を書いてもらい、転院先の病院でも同じ病名にしてもらうようにするとよいでしょう。
協会けんぽの資格喪失後も傷病手当金を継続受給することは可能?
傷病手当金を受給中に転院した場合の対応についてご説明しましたが、例えば、受給中に退職などで、協会けんぽの被保険者でなくなる場合、傷病手当金の支給はどうなるのでしょうか。
退職後も傷病手当金を受け取れるかどうかは、その後の生活に多大な影響がありますよね。
そこで、
- 退職した後も、傷病手当金を継続して受給するための条件
- 退職した会社と、次の会社での被保険者の期間
について、以下で解説していきます。しっかり内容を確認してくださいね。
傷病手当金を継続受給するための条件
退職した後も継続して傷病手当金を受給できるのは、以下の2つを両方とも満たしていることが必要です。
- 退職日(資格喪失日の前日)まで継続して1年以上、協会けんぽの被保険者であったこと
- 資格喪失時に、傷病手当金をもらっていた、または、その条件を満たしていたこと
退職後の場合は被保険者期間が1日も空かないようにすることが重要
上でご紹介した2つの条件をふまえた上で、退職に関してもうひとつ注意が必要な点があります。
傷病手当金を継続受給するためには、最初の会社を退職し、次の会社に転職した場合に、前職での勤務期間と次の職場での勤務期間の間が継続していることが必要となります。
例えば、
- 最初の勤務先(株式会社A):2月1日~9月30日まで勤務
- 次の勤務先(株式会社B):10月1日~4月30日まで勤務
の場合、最初の勤務先と次の勤務先の就労期間に空白がない、つまり、被保険者期間が空白なく1年以上継続しているので、傷病手当金は受給できます。
しかし、
- 最初の勤務先(株式会社A):2月1日~9月30日まで勤務
- 次の勤務先(株式会社B):10月2日~4月30日まで勤務
の場合、10月1日がブランクとなっているために、被保険者期間が継続して1年以上とならなくなってしまうのです。
傷病手当金を受給中、月の途中で転院した場合の請求期間と手続き
傷病手当金を受給中に転院した場合、空白期間を作らないための対策を前述しましたが、月の途中で転院した場合の具体的な手続きはどのようにすればよいのでしょうか。
この場合、転院前と後の請求期間に応じてそれぞれ請求しなくてはなりません。
転院の具体的な例としては、「転院先の医師から証明をもらうまでの空白期間を作らないためには」でご紹介した引っ越しなどが多いかもしれません。
引越し先でどの病院に転院するか事前に決めておき、引越しした日もしくはその翌日までに、転院先の病院で診察を受け、就労不能期間の証明を依頼するようにしましょう。
ここまで読んで、「内容が難しくて理解できない。」という疑問が残った方も少なからずいらっしゃると思います。
そのような方は自分1人で理解しようとせずに、お金のプロに無料で相談をしてみましょう。専門的な内容はプロに任せることが最前な方法です。
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医師から証明をもらうタイミングはいつが良い?
参考:傷病手当金は他の病気になった場合重複して受給できる?
例えば、2つの病気に重複してかかった場合に、傷病手当金はどのように支給されるのでしょうか。
2つの病気として傷病手当金を受給することはできますが、その場合の金額と期間については、以下のように規定されているので注意してください。
- 金額について
支給される金額は、2倍もらえるのではなく、病気が重複している期間も規定の金額のみ支給されます。
- 期間について
2番目の病気の治療が始まった時点で、まだ1年6ヶ月の期間が終わっていなければ、1年6ヶ月から最初の病気の期間を差し引いた残りの期間の分が支給されます。
例えば、最初の病気で1年間支給されていた場合、まだ6ヶ月分の期間が残っているので、2番目の病気では残りの6ヶ月分の傷病手当金が支給されることになります。
ちなみに、2つの病気、つまり、病名が異なっていても医師によって関連性があるとされればひとつの病気として見なされ、金額や受給期間に変更はありません。
傷病手当金の受給中に転院した場合の注意点まとめ
傷病手当金の受給中に転院した場合についてご説明してきましたが、たくさんの情報がありましたので、特に大切なポイントを、最後にもう一度おさらいしておきましょう。
- 受給中に転院する場合、転院前と転院後の証明期間の空白期間は支給されない
- 空白期間を作らないためには、 証明が必要な日の前までに転院先の病院で診察を受けておく、 最初の病院で転院先の初診日の前日までの証明をしてもらっておく
- 健保の資格を失っても、 それまでに1年以上継続して被保険者の期間があり、資格を失った当日、傷病手当金を受給しているか、または受給できる条件があれば、継続して受給することができる
- 2つの病気になった場合、最初の病気の支給期間が終わった後、他の病気の治療をしていれば、1年半の支給期間の残りの期間は支給される
- ただし、金額は2倍になるのではなく、規定どおりの金額が支給
転院前後の空白期間をなくすことで、傷病手当金を全額受給することが可能なことがわかりました。
大切な傷病手当金ですので、もれなく申請して全額受給できるようにしていただければと思います。