傷病手当から失業保険への切り替え手順は?どちらが得かも解説!

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病気やケガなどで働けずに傷病手当をもらっているとき、心配になるのは傷病手当をもらえる期間が終わったときのことではないでしょうか。


働けるようになり求職活動をするとき、収入がないのは不安ですよね。
 


しかし、失業保険へ切り替えることで傷病手当の期間が終わっても、失業保険金を受け取ることができます。

また、上手に切り替えることで、空白期間をなくすこともできるのです。


そこで、この記事では、

  • 傷病手当と失業保険それぞれの目的
  • 傷病手当と失業保険はどちらが得なのか
  • 傷病手当や失業保険ではどのくらい受け取れるのか
  • 傷病手当から失業保険への切り替え手順

などについて解説いたします。 


傷病手当から失業保険へスムーズに切り替えることができれば、収入や仕事の心配も軽減するかと思いますので、ぜひ最後までお読みください。

退職後、傷病手当金が終わったら失業保険金?併給はできるの?

内容をまとめると

  1. 傷病手当金と失業保険金は目的が違うので同時に受け取ることが不可能
  2. 傷病手当と失業保険で受け取れる金額の算定方法と、実際のシミュレーション
  3. 傷病手当から失業保険に切り替えるべきタイミングは、働けるようになったとき!
  4. 傷病手当金から失業保険に切り替える手順
  5. 失業保険の期間は延長できる!延長の手続き方法や条件とは
  6. 障害年金は傷病手当・失業保険と併用できるので申請しよう


傷病手当金と失業保険金は同時に受け取ることはできません。


その理由は、それぞれの制度の目的にあります。

  • 傷病手当金の目的 ケガや病気のために働けない状況にある方の生活の保障
  • 失業保険の目的 働ける状況であるが就職先が決まらない方の生活を保障することで、就職に向けて活動できるようにすること

病気やケガのためにやむをえず失業している場合は、失業保険の「働ける状況」にはあたらないために失業保険を受け取ることができません。


そして、働ける状況である人はケガや病気のために働けない状況ではないので傷病手当金を受け取ることができません。


このことから、傷病手当金と失業保険金は同時に受け取ることができないことがわかります。


ここから、傷病手当金と失業保険について解説していきます。

傷病手当と失業保険の違いとは?

傷病手当と失業保険は何が違うのでしょうか。


その違いは支給資格にあります。そこで、それぞれの支給資格を比べてみます。


傷病手当の支給資格

傷病手当の支給資格は以下のとおりです。

  • 仕事外における病気やケガで働くことができない
  • 病気やケガで仕事を4日以上休む
  • 休職中に給料またはその他の給付金を受け取っていない

仕事以外の病気やケガには、うつ病や精神疾患、風邪やインフルエンザも含まれます。


ただし、傷病手当の対象となるためには、口頭で申告するだけではなく、医師の診断書など書類の提出も必要になります。そして仕事内容や診断書から傷病手当の対象になるか判断が行われます。


また、4日以上の休みとは連続して3日間休み、その後も休んでいる状態を意味します。


失業保険の支給資格

失業保険の支給資格は以下のとおりです。

  • 失業状態にある
  • 働く意思と能力を持ち、求職活動をしていること
  • 雇用保険の被保険者である期間が基準を満たしている

ここでの求職活動とは、ハローワークにおいて求人に応募したり、職業相談を受けていることを意味しています。


個人的に転職サイトなどで就職先を探したり、応募していても、求職活動をしているとはみなされません。

傷病手当の支給が終わったら失業保険を受け取ることはできる?

傷病手当と失業保険の支給資格のなかで最も大きな違いは、働ける状態にあるかということです。


働けない状態でのみ受け取ることができるのは、傷病手当です。


働ける状態で受け取ることができるのが、失業保険です。


そのため、傷病手当の支給を受けている間は、病気やケガのために働ける状態にないということなので、失業保険を受け取ることはできません。


しかし病気やケガのために失業してしまうと、働けるように体が回復したら心配なことは収入と就職のことですよね。


働ける状態に回復しても、就職先が見つかるまでは収入がないために不安がつのるでしょう。


しかし、病気やケガが治りまた働ける状態になったうえで、失業保険の支給資格を満たしていれば、失業保険を受け取れる可能性があります


大事なことは、ハローワークなどで求職活動を始めていることです。

傷病手当は受給期間終了後、状態にかかわらず給付が打ち切りになる

傷病手当には、受給期間に期限があります。


受給期間はどのくらいに定められているのでしょうか。


組合によって違いはありますが、受給開始から1年6ヶ月を法律では下限としています。


また、病気やケガが完治していなくても、受給期間が終わると給付を打ち切られてしまいます。


ただし、1年6ヶ月を過ぎたら、失業保険を受け取る事ができる場合があります。


また、受給期間の期限が過ぎても働ける状態まで改善しないと思われるときは、傷害年金の請求も考えておきましょう。

傷病手当終了後、失業保険に切り替えて得する場合って?


傷病手当を受け取っている人が失業保険に切り替えるべきなのは、どんな場合でしょうか。


それは病気やケガが治り、働けるようになったときです。


病気やケガが治り、働けるようになったらすぐに失業保険の申請手続きをしましょう。


傷病手当から失業保険に切り替えるときは、待機期間が7日間あるので、すぐに失業保険の手続きを行う事で、受給が途切れる空白期間をなるべく短くすることがおすすめです。


待機期間とは、失業保険の受給が決まった日から支給が始まるまでの期間を指します。

この期間は無職でなければ失業保険は支給されません。アルバイトもできないので注意が必要です。

傷病手当金から失業保険に切り替えて賢くもらう方法とは?シミュレーションで解説


病気やケガのために退職してしまったら、治っても就職や収入のことが心配ですよね。


しかし、傷病手当から失業保険に切り替えることで、傷病手当の受給が終わっても失業保険を受け取ることができるようになります。


そこで、傷病手当から失業保険へどのようにして切り替えを行うのか

  • 退職後29日以内に働ける場合の切り替え手順
  • 退職後30日以上働けない場合の切り替え手順

について解説いたします。


傷病手当から失業保険にスムーズに切り替えることで、安心して求職活動に励むことができるかと思います。

【退職後29日以内に働ける場合】傷病手当から失業保険への切り替え手順

退職後どのくらい経っているかで切り替え手順は異なります。


まず、退職後29日以内に働ける場合についての切り替え手順をご説明していきます。

  1. 失業保険の申請のための書類などを揃える
  2. ハローワークで申請手続きを行う
  3. 雇用保険説明会に参加する
  4. 待機期間が終えるのを待つ
  5. 失業保険の支給が始まる

手続きを行うハローワークは、住民票に記載されている住所を管轄しているところになります。もし、住民票の異動を行っていない場合は要注意です。


申請に必要なものは

  • 雇用保険被保険者離職票
  • マイナンバーカードなどの個人番号確認書類
  • 運転免許証などの身元確認書類
  • 写真
  • 印鑑
  • 本人名義の通帳

です。


スムーズに手続きが行えるように準備しておきましょう。


また、ハローワークで申請手続きをするとき、退職の理由や働く意思の確認などの確認も行われます。

【退職後30日以上働けない場合】傷病手当から失業保険への切り替え手順

病気やケガの治癒に時間がかかり、退職してから30日以上働けないという場合はどのような手順で失業手当への切り替えを行うのでしょうか。


基本的な手順は29日以内に働ける場合と同様ですが、30日以上働けない場合は申請を行う前にやるべきことがあります。


追加して行うことを加えた手順は以下の通りです。

  1. 失業保険の給付期間延長の手続き
  2. 傷病証明書を取得する
  3. 失業保険の申請のための書類などを揃える
  4. ハローワークで申請手続きを行う
  5. 雇用保険説明会に参加する
  6. 待機期間が終えるのを待つ
  7. 失業保険支給が始まる

29日以内に働ける場合の手順に加えて、1と2を行う必要があります。


また、傷病証明書とは病気やケガが治り働ける状態にあることを証明するものです。


病気やケガが良くなり働ける状態になったら、担当医に書いてもらいます。

傷病手当と失業保険はどちらが得?高い?シミュレーションで解説!


傷病手当と失業保険は、どちらを受け取るのが得といえるのでしょうか。


どちらか一方しか貰えないのなら、より多く貰える方を選びたいものですよね。


しかし、一概にどちらが得、どちらが多く受け取れるとは断定できません。


なぜなら、退職の理由や退職をした年齢は人によってさまざまです。そして、受給日数や算定に用いる数字は退職した理由や年齢で変わります。


そのため、受け取れる金額は人によって大きく変わるためどちらが得とはいえないのです。


そこで、

  • 傷病手当で受け取ることができる金額
  • 失業保険で受け取ることができる金額

について実際にシミュレーションいたします。


算出方法も解説いたしますので、自分がどのくらい受け取ることができるのか、ぜひ参考にしていただきたいと思います。

傷病手当でもらえる金額

病気やケガのために働けなくなった場合の傷病手当は、どのくらい受け取ることができるのでしょうか。

傷病手当の算定方法

傷病手当では、1ヶ月の月収の3分の2にあたる金額を受け取ることができます。

1日分の支給額は以下の計算式で算出することできます。

(傷病手当金の支給開始日前1年間の標準報酬月額を平均した額)÷30日×2/3=1日分の支給額

標準報酬月額とは、毎月受け取る給料など報酬の月額を区切りの良い幅で区分したものです。この標準報酬月額は50等級に区分されており、これをもとに保険料や保険給付の額が決まります。

実際に受け取ることができる傷病手当のシミュレーション

平均報酬月額15万円の場合を例にあげて、どのくらい受け取ることができるのかシミュレーションしてみます。

一日当たりの支給額は、

15万円÷30日×2/3=3,333円

一日当たり3,333円受け取れることがわかります。

このとき、30日で割ってでた数字は一の位で四捨五入し、また、2/3をかけてでた数字は小数第一位を四捨五入します。

次に、所定日数をかけます。所定日数とは支給開始からの求職日数を指し、土日祝日を含みます。

所定日数が120日とすると、

3,333円×120日=399,960円

およそ40万円受け取れることがわかります。1ヶ月当たり10万円ですね。

失業保険でもらえる金額

失業保険は、どのくらい受け取ることができるのでしょうか。

失業保険の算定方法

失業保険における一日の支給額は基本手当日額と呼ばれます。

基本手当日額は賃金日額給付率約50%~80%をかけることで算出することができます。

ここでかける割合は退職したときの年齢によって違うため、厚生労働省のホームページを参考にするとよいでしょう。

また、賃金日額は退職前6ヶ月間の給与の平均額のことであり、以下のように算出します。

退職前の6ヶ月間の給与総額÷180(30日間×6ヶ月)=賃金日額

実際に受け取ることができる失業保険のシミュレーション

30歳で退職した場合を例にあげてシミュレーションしてみます。

退職前の6ヶ月間の給与総額が90万円とすると、賃金日額は

90万円÷180=5,000円

30歳で退職し、賃金日額が5,000円の人の給付率は厚生労働省のホームページによると80%なので

5,000円×80%=4,000円

一日当たりの支給額は4,000円、1ヶ月では12万円ということがわかりました。

ただし失業保険の支給開始日は、退職理由や年齢によって異なります

今回のシミュレーションでは、失業保険の方が多く受け取ることができることがわかりました。

しかし、退職時の年齢や貰っていた賃金など条件によってどちらが多くなるのかは異なります。

特に、給与が多い人は失業保険では給付率が下がるため、傷病手当の方が多く貰える傾向があります。

失業保険の延長とは?手続き方法や条件を解説


失業手当には、手当を貰う期間が1年と定められています。


そのため病気やケガで働くことがができない期間が長い場合、そのままでは失業手当を受け取ることができる期間が短くなってしまいます。


これでは安心して求職活動が行えませんよね。


しかし、失業手当は給付期間の延長が可能なのです。


そこで

  • 失業保険の給付期間を延長するための条件
  • 失業保険の給付期間を延長するために行う手続きとは

について解説いたします。


給付期間の延長は、退職してから30日たったらすぐに申請しましょう。

失業保険の延長手続きをする条件

失業保険の給付延長はどんな場合に申請が可能なのでしょうか。

延長手続きが可能になる条件とは、
  • 病気またはケガの治療のため療養中であること
  • 妊娠や出産、育児(子供が3歳以下の場合)のために働くことが難しいこと
  • 親族の看護や介護をしていて働くことが難しいこと
  • 定年退職の後、休養を希望していること
です。以上の項目の1つ以上に該当していることと、すぐに働ける状態にないことの両方を満たしていることが延長が認められる条件です。

その他の理由であっても正当と認められれば延長が可能になることもあります。

また、延長はいつまででもできるのではなく、できる期間は定められています。

その期間とは、定年退職後の休養を希望している場合は1年間それ以外の場合は4年間延長することができます。

また、申請は延長後の受給期間の最後の日までに行うことができますが、ぎりぎりに申請してしまうと、本来貰えるべき日数分よりも少なくなってしまうので、早めの申請をおすすめします。

失業保険の延長手続きをする方法

失業保険を延長するとき、どのように手続きは行うのでしょうか。


延長の手続きは、指定された書類や印鑑などを揃えてハローワークで行います。


手続きに必要な書類は、以下のものを揃えましょう。

  • 受給期間延長申請書
  • 医師による診断書や、妊娠などの場合は母子手帳など、延長の理由を証明できるもの
  • 雇用保険受給資格者証(失業手当給付手続きが終わった後受け取る証明書)
  • 離職票(退職した会社から退職時に受け取る書類)
  • 印鑑


受給期間延長申請書は、ハローワークの窓口または郵送で受け取ることが可能です。


定年退職後の休養を希望している場合は、診断書など延長の理由を証明するものは必要ありません。


延長の手続きに本人が行けないときは、本人以外の代理人がハローワークに行き、手続きを行う事ができます。ただし、その場合は委任状を持参しなければなりません。


また延長の手続きも、住民票に記載されている住所を管轄しているハローワークで行います。


傷病手当や失業保険の手続きのことをもっと詳しく知りたければ、無料相談で保険のプロに相談してみましょう。今ならスマホ1台で無料オンライン相談できるので、気軽に話を聞いてみるのがおすすめです。

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参考:障害年金は傷病手当・失業保険と併用できるので終わる前に申請するべき


傷病手当と失業保険は併用することはできませんが、障害年金は傷病手当または失業保険併用することができます。


障害年金と傷病手当を併用するときは、傷病手当は規定通り貰えるのではなく、金額が調整されて給付が行われます。


金額の調整方法は以下の通りです。

  • 障害年金より傷病手当金が多額:障害年金との差額を受け取ることが可能
  • 障害年金より傷病手当金が少額:傷病手当金を受け取ることは不可能

つまり、傷病手当は障害年金の金額によって減らされてしまうのです。


また、障害年金と失業保険を併用するときは、金額の調整はなく規定通り受け取ることができます。


ただし、受けるためには以下のような条件があります。

  • 障害年金を受給する条件を満たしていること
  • 働く意思を持ち、働ける能力もあること

上にあげた条件を満たしていれば受け取ることが可能なので、障害年金を受けていても傷病手当の申請、また傷病手当が終わる前には空白期間を作らないよう早めに失業保険の申請をしましょう。

傷病手当と失業保険はどちらが得かは人それぞれ!場合によっては切り替えよう


傷病手当と失業保険について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • 傷病手当金と失業保険金はそれぞれの目的が違うため同時に受け取ることができない
  • 傷病手当は病気やケガで働けない人が対象、失業保険は働ける状態にある人が対象である
  • 傷病手当と失業手当は、退職した理由や年齢で異なるため、どちらが得とはいえない
  • 傷病手当の給付が終わり、働ける状態であれば失業保険に切り替えることができる
  • 失業保険の受給期間は延長することができるので、早めの申請がおすすめ
  • 障害年金と傷病手当もしくは失業保険は同時に受け取ることができる

でした。


病気やケガで働けなくなると、とても不安に感じますよね。


しかし、傷病手当や失業手当などの制度を利用することで、治療が長引いたとしても安心して過ごすことができるのではないでしょうか。


また、傷病手当と失業保険の受給できる金額は人によって異なります。


置かれている状況によっては切り替える必要も出てくるので、傷病手当と失業保険の目的や給付金額の算定方法を知っておくと、スムーズに対応できるのではないかと思います。

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